説明

土壌作業装置

機械フレーム38と、昇降され得る穿孔工具1のためのドライブ36で、穿孔工具を土壌8に抜き差しするドライブと、穿孔工具のために機械フレーム38上で移動可能に案内されるガイド要素30と、穿孔工具のための工具ホルダ2とを備える移動型土壌作業装置に関する。力の作用がもはや生じないときに装置が第1の回動軸周りに作用する復原モーメントを工具ホルダに及ぼし、それにより穿孔工具が土壌からの引き抜き後に元の開始位置へと再び回動する場合、工具ホルダと穿孔工具の全体の重心は、第1の回動軸周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する工具ホルダと穿孔工具の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少又は補償されるように第1の回動軸に対して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴部分の前に記載の土壌に空洞を形成するための移動型土壌作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の土壌作業装置は、機械フレームと、昇降され得る少なくとも1つの穿孔工具のためのドライブとを備え、上記穿孔工具は、土壌に突き刺された後に引き抜かれるようになっている。少なくとも1つの穿孔工具のためのガイド要素、例えば支持アームは、機械フレーム上で移動可能に案内される。穿孔前に、穿孔工具は所定の穿孔角度下で開始位置に位置する。工具ホルダは1または複数の穿孔工具を保持する。工具ホルダは、ドライブによって昇降され得るガイド要素の第1の回動軸周りで支持され、それにより、土壌との係合中、すなわち、力の適用下で、穿孔工具をガイド要素に対して回動させることができる。適用された力の解放時に、装置は、第1の回動軸周りに作用する復原モーメントを工具ホルダに及ぼし、それにより、穿孔工具は、土壌からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動する。
【0003】
上述のタイプの装置は、穿孔工具を用いて土壌に空洞を形成するのに役立つ。この場合、土壌の深さ領域にスリット形状の空洞が形成され、また、最小の想定し得るサイズの穴が表面上に残る。上記空洞は、水の排水性の向上を可能にするとともに、土壌の通気を促進し、また、土壌のゆるみは、植物、特に芝生の成長を向上させるのに有効である。
【0004】
欧州特許公開第0037595A号からは、平行四辺形の様態で案内される2つの支持アームを備える土壌作業装置が知られており、支持アームは、一端が工具ホルダを回動可能に支持するとともに、他端が機械フレームに回動可能に支持される。クランクドライブのプッシュロッドが、工具ホルダに対して関節結合されて前記工具ホルダを駆動させ、それにより、工具ホルダが上下移動を行なう。2つの支持アームのうちの一方は、長さを調整することができ、ストッパを有する復帰スプリングを含む。穿孔工具が土壌の外側にある限り、支持アームは、スプリング力に起因してストッパに当接する。穿孔工具が突き刺された状態にあり、かつ土壌作業装置が移動されている状況では、穿孔工具が工具ホルダと一緒に移動方向と反対に回動され、また、長さ調整可能な支持アームがスプリング力に抗して延ばされる。
【0005】
まだ今のところ知られる土壌作業装置では、復原モーメントを穿孔工具に及ぼすスプリング要素が使用され、そのため、穿孔工具は、それらが土壌の外側に位置した時点で、それらの開始位置へと再び戻る。以下において、開始位置は、上記少なくとも1つの穿孔工具が穿孔直前にとる位置として理解されるべきである。しかしながら、土壌の外側では、質量慣性および上下移動の作用下で、工具ホルダおよび穿孔工具の慣性モーメントがスプリングの復原モーメントに抗して作用する。このため、穿孔工具をそれらの開始位置へと再び戻すべくバネ剛性が高いスプリング要素が使用される。しかしながら、バネ剛性が高いスプリング要素は、穿孔工具が土壌中に依然としてある間に所望の小さい穴を形成せずに土壌表面にスリット状に切り込むという危険性を高める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上を考慮して、本発明の目的は、スリット形成の危険が低減される最初に記載したタイプの装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は請求項1の特徴によって達成される。
【0008】
本発明は、工具ホルダおよび少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心が、復原モーメントに抗する工具ホルダおよび穿孔工具の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるように第1の回動軸に対して配置されることを有利に提供する。
【0009】
工具ホルダおよび少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心は、第1の回動軸周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する工具ホルダおよび穿孔工具の慣性モーメントが過補償されるように第1の回動軸に対して配置することができる。
【0010】
この実施形態は、バネ剛性があまり大きくないスプリング要素の使用を可能にし、あるいは、スプリング要素が全く必要とされないという利点を有する。これは、第1の回動軸周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する工具ホルダおよび穿孔工具の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるからである。
【0011】
更なる利点は、構成要素の数の減少にあり、それにより、製造コストがかなり低減される。また、作動寿命を延ばすことができるとともに、メンテナンス作業を減らすことができる。
【0012】
元の開始位置への復帰移動を制限するためにストッパが設けられる場合には、機械フレーム、機械要素、特にベアリングに対する衝撃荷重を減らすことができ、更に有利である。
【0013】
工具ホルダおよび少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心を第1の回動軸上に位置させることができる。
【0014】
本発明の更なる典型的な実施形態によれば、工具ホルダに対して更なる質量が結合され、この更なる質量が好ましくは工具ホルダに対してこれと一緒に回転するように締結される。
【0015】
更なる質量、工具ホルダ、および、少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心は、復原モーメントに抗する工具ホルダ、上記更なる質量、および、少なくとも1つの穿孔工具の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるように第1の回動軸に対して配置される。
【0016】
更なる質量、工具ホルダ、および、少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心は、第1の回動軸周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する工具ホルダ、上記更なる質量、および、少なくとも1つの穿孔工具の慣性モーメントが過補償されるように第1の回動軸に対して配置することができる。
【0017】
更なる質量、工具ホルダ、および、少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心を第1の回動軸上に位置させることができる。
【0018】
更なる典型的な実施形態によれば、工具ホルダおよび少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心の第1の回動軸からの距離、好ましくは水平距離、または、上記更なる質量、工具ホルダ、および、少なくとも1つの穿孔工具の全体の重心の第1の回動軸からの距離、好ましくは水平距離を調整することができ、好ましくは全ての工具ホルダに関して中心に調整できる。
【0019】
これにより、工具ホルダおよび少なくとも1つの穿孔工具の慣性モーメントの大きさ、あるいは、上記更なる質量、工具ホルダ、および、少なくとも1つの穿孔工具の慣性モーメントの大きさを調整できるという利点を有する。
【0020】
ガイド要素は、機械フレームに第2の回動ベアリングで回動可能に支持される支持アームであってもよい。
【0021】
上記支持アームは、スプリング力に抗して長さ調整できるように構成することができる。これは、スリット形成の危険の更なる減少を達成するという利点を有する。
【0022】
少なくとも1つの螺旋状にあるいは渦巻き状に形成される金属トーションスプリングまたは圧力スプリングは、支持アームの延在に抗するスプリング力を生み出すことができる。上記スプリングは、逓減的なスプリング特性を有することが好ましい。
【0023】
少なくとも1つのトーション・各圧力スプリング要素またはスプリングダンパ要が上記支持アームの側に、好ましくは支持アームと平行に配置される。上記スプリング要素は、第1の回動軸周りの工具ホルダの回動動作を可能にするとともに、土壌との係合の解放時に復原モーメントの少なくとも一部を工具ホルダに対して及ぼし、それにより、穿孔工具は、土壌からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動される。
【0024】
更なる典型的な実施形態によれば、上記トーション・各圧力スプリング要素または上記スプリングダンパ要素は、穿孔工具が土壌の外側に配置される場合に高い復原モーメントを工具ホルダに及ぼし、穿孔工具が土壌内に配置される場合に、小さい復原モーメントを工具ホルダに及ぼすように機械フレームに配置される。
【0025】
本発明の更なる典型的な実施形態によれば、工具ホルダとガイド要素との間にトーション要素が配置され、上記トーション要素は、ガイド要素に対する工具ホルダの回動動作を可能にするとともに、力の影響の解放時に、復原モーメントの少なくとも一部を工具ホルダに対して及ぼし、それにより、穿孔工具は、土壌からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動される。
【0026】
上記トーション要素は、少なくとも1つのエラストマー要素、エラストマー化合物要素、または、螺旋状にあるいは渦巻き状に形成された金属トーションスプリングから成ることができる。
【0027】
本発明の更なる典型的な実施形態によれば、トーション要素が少なくとも2つの磁気要素を備え、上記少なくとも2つの磁気要素は、それらが第1の回動軸周りの工具ホルダの回動動作を可能にするとともに、土壌との係合の解放時に、上記磁気要素が復原モーメントの少なくとも一部を工具ホルダに対して及ぼすように互いに対して方向付けられ、それにより、穿孔工具は、土壌からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動される。
【0028】
上記磁気要素が永久磁石またはソレノイドから成ることができ、ソレノイドは、移動段階に応じて作動されあるいは作動停止されるようになっている。
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の典型的な実施形態について更に詳しく説明する。
【0030】
図面では、以下が概略的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】土壌作業装置の側面図である。
【図2】穿孔工具を有する本発明の典型的な実施形態の側面図である。
【図3】支持アームの2つのポイントの加速度および速度の進展の表示である。
【図4】中心位置決め装置を有する本発明の典型的な実施形態の側面図である。
【図5】螺旋状または渦巻き状に形成されたトーションスプリングが使用される更なる典型的な実施形態の側面図である。
【図6】エラストマー金属化合物要素が使用される更なる典型的な実施形態の側面図である。
【図7】トーション要素が3つの磁石を備える更なる典型的な実施形態の側面図である。
【図8】スプリングダンパ要素を有する本発明の更なる典型的な実施形態の側面図である。
【図9】長さ調整可能な支持アームを有する更なる実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、自走式のあるいはトラクタを用いて引くことができる移動型土壌作業装置の側面図が示されている。上記土壌作業装置6は機械フレーム38を備えており、上記機械フレームには、ガイド要素30を介して、ドライブ36によって昇降されるようになっている複数の穿孔工具1が回動可能に支持される。上記昇降移動に起因して、穿孔工具1が土壌8中に交互に押し込まれ、また、土壌作業装置6の前進の作用下で、穿孔工具1が土壌8内で傾動を行なう。これにより、土壌8が穿孔穴の下方で掘り返され、それによって、例えば土壌8の排水性が向上される。土壌作業装置6の移動速度にもかかわらず、土壌の表面の穿孔穴は、可能な限り小さくとどめるべきである。
【0033】
上記少なくとも1つの穿孔工具1は、保持手段4を用いて工具ホルダ2に締結されることが好ましい。ガイド要素30によって案内される上記工具ホルダ2は、様々な長さおよび形状並びに直径の穿孔工具1の取り付けに適している。上記ガイド要素30は、好ましくはクランクドライブ36によって駆動されつつ昇降移動を行なうようになっている。別の方法として、ガイド要素30を液圧的にあるいは電気的に駆動させることもできる。
【0034】
工具ホルダ2は、第1の回動軸12を中心に回動するようにガイド要素30に支持される。この場合、工具ホルダ2は、上記昇降移動の作用下で土壌8中に突き刺して再び引き抜くことができる1つの穿孔工具1または一群の穿孔工具1を保持する。複数の好ましくは互いに隣り合う穿孔工具1または穿孔工具1の互いに隣り合うグループを駆動させることができる。穿孔工具1、および、穿孔工具1のそれぞれのグループは、位相シフトを伴って駆動されることが好ましい。
【0035】
図2は本発明の典型的な実施形態の側面図を示している。クランクドライブ36は、プッシュロッド34を介して、支持アームの形態を成すガイド要素30を駆動させるようになっている。第1の回動ベアリング10では、上記プッシュロッド34がガイド要素30に支持される。第2の回動ベアリング26では、ガイド要素30が機械フレーム38に回動可能に支持される。ガイド要素30には、工具ホルダ2が第1の回動軸12を中心に回動されるように支持される。工具ホルダ2は、互いに反対方向に延びる2つのアーム2a、2bを備える。工具ホルダ2のアーム2aは、少なくとも1つの穿孔工具1を工具ホルダ2と一緒に回転するように上記工具ホルダに締結するための締結手段4を備える。
【0036】
ガイド要素30と平行に結合アーム24が配置されており、結合アーム24の一端が調整装置40内に支持される。調整装置40は、機械フレーム38と一緒に回転するように上記機械フレームに締結される。調整装置40から離れて面する端部では、ストッパ22が結合アーム24に回動可能に接続される。上記ストッパ22はガイド要素30に関節結合される。ストッパ22の位置は上記調整装置40を用いて調整できる。ストッパ22の位置により、少なくとも1つの穿孔工具1の開始位置が調整される。これは、少なくとも1つの穿孔工具1および/または工具ホルダ2が少なくとも穿孔前にストッパ22に当接するからである。調整装置40は、互いに隣り合う全ての穿孔工具および穿孔工具のそれぞれのグループのための開始位置を中心に設定するために使用できることが好ましい。調整装置40は電気的に、油圧的に、あるいは、空圧的に動作させることができる。穿孔工具1が突き刺されて土壌作業装置6が移動方向Aに移動される状況では、少なくとも1つの穿孔工具1が第1の回動軸12を中心に回動される。
【0037】
上記ガイド要素30は、クランクドライブ36のプッシュロッド34によって駆動されつつ、特にポイントB、Cで昇降移動を行なう。図3には、クランクドライブ36の一定の角速度において、ガイド要素30のポイントB、Cが昇降される速度VB、VCが簡略化された様態で表わされている。
【0038】
x軸上には、クランクピン16の角度方向が示されている。ガイド要素30の上記ポイントB、Cは、クランクピンが既に180°を超えたときに下死点UTに達する。これは、一方で、クランクドライブ36の回転軸および第1の回動ベアリング10が互いに対して水平変位で配置され、他方で、ガイド要素30のポイントB、Cが、第2の回動ベアリング26を中心とするガイド要素30の回動動作に起因して、正確な垂直移動を行なわないからである。
【0039】
図3には、ガイド要素30のポイントB、Cの加速度の進展aB、aCも示されている。速度VB、VCがゼロである昇降移動の上死点OTおよび下死点UTでは、加速度aB、aCがそれらの最大値に達する。加速度aB、aCの最大値は、地球の加速度よりも数倍高い。穿孔工具1は、土壌の外側のFでマークされた領域に配置される。この領域では、昇降移動中に一緒に移動される質量、すなわち、工具ホルダ2および少なくとも1つの穿孔工具1は、垂直方向上向きの非常に高い加速度に晒される。このとき図2の工具ホルダ2のアーム2bが対応する重量を有し、かつ水平方向における第1の回動軸12に対する工具ホルダ2および穿孔工具1の全体の重心32が少なくとも1つの穿孔工具1の反対側に配置されるように工具ホルダ2のアーム2bが第1の回動軸12に対して配置される場合には、復原モーメントが工具ホルダ2、したがって、穿孔工具1に対して及ぼされ、それにより、穿孔工具1が元の開始位置へと再び回動される。
【0040】
あるいは、図2に係る典型的な実施形態では、工具ホルダ2ではなく、少なくとも1つの穿孔工具1が、2つのアームを備えるように設計することもできる。その場合も、工具ホルダ2と2つのアームを有する少なくとも1つの穿孔工具1との全体の重心は、第1の回動軸12周りに作用する工具ホルダ2および穿孔工具1の慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するように配置される。
【0041】
また、更なる質量44を工具ホルダ2および/または穿孔工具1に対してこれらと一緒に回転するように締結し、それにより、第1の回動軸12周りに作用する工具ホルダ2、穿孔工具1、および、更なる質量44の慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく、穿孔工具1、更なる質量44、および、工具ホルダ2の全体の重心が配置されるようにすることもできる。
【0042】
図4は、結合アーム24がストッパ22を有するのではなく、スプリングダンパ要素42がガイド要素と平行に配置される点が異なる、図2の実施形態に類似する典型的な実施形態を示している。上記スプリングダンパ要素42は、一方側が機械フレーム38に回動可能に支持され、反対側が工具ホルダ2に回動可能に支持される。スプリングダンパ要素42は、工具ホルダ2を第1の回動軸12を中心に回動させることができるととともに、土壌との係合の解放時に復原モーメントの少なくとも一部を工具ホルダ2に対して及ぼし、それにより、穿孔工具1は、土壌8から引き抜かれた後に、元の開始位置へと回動する。工具ホルダ2のアーム2bは位置調整装置46と更なる質量44とを備える。上記更なる質量44から第1の回動軸12までの距離は、上記位置調整装置46を用いて好ましくは中心に調整することができる。位置調整装置46は、更なる質量44の位置を決定するようになっているセンサを備える。更なる質量44の位置は、第1の回動軸周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する工具ホルダ2、更なる質量44、および、少なくとも1つの穿孔工具1の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるように工具ホルダ2、穿孔工具1、および、更なる質量44の全体の重心を第1の回動軸12に対して配置するべく調整することができる。
【0043】
図5には、スプリングダンパ要素42の代わりにトーション要素48、50、64が使用される点が異なる、図2の実施形態に類似する実施形態が示されている。第1の回動軸12に同軸に作用する上記トーション要素48、50、64は、工具ホルダ2とガイド要素30との間に配置される。
【0044】
穿孔前に、トーション要素48、50、64は無負荷状態である。この場合、穿孔直前の開始位置で、穿孔工具1の所定の穿孔角度がセットされる。力が穿孔工具1に対して及ぼされると、すなわち、穿孔工具1の刺入状態で土壌処理装置6が移動方向Aに進められている間、トーション要素48、50、64は穿孔工具1を移動方向と反対に回動させることができる。及ぼされている力が解放されると、すなわち、穿孔工具1を土壌8から引き抜いた後、トーション要素48、50、64が復元力の少なくとも一部を工具ホルダ2に対して及ぼし、それにより、穿孔工具1は、引き抜き後に元の開始位置へと回動する。
【0045】
図5において、トーション要素48、50、64は、第1の回動軸12に対して同軸に延びる渦巻き状に、かつそれぞれ螺旋状に形成された金属製のトーションスプリング48である。上記金属スプリングの一方側がガイド要素30に締結され、他端が工具ホルダ2に対して一緒に回転できるように締結される。また、この場合、同軸のアクスル形状またはシェル形状の支持要素を補強のために使用することもできる。このとき、上記支持要素を工具ホルダ2およびガイド要素30に回転可能に支持することもできる。
【0046】
図6は、穿孔角度の中心調整のために更に結合アーム24が工具ホルダ2に回動可能に支持される図5の変形実施形態を示している。土壌8中への刺入前に、上記結合アーム24がストッパ22と直接に接触する。工具ホルダ2から離れた端部では、結合アーム24が中間要素54に回動可能に支持され、中間要素54自体は機械フレーム38に回動可能に支持される。調整装置40、この場合には偏心ロッドを使用して、全ての穿孔工具1および穿孔工具1のそれぞれのグループに関してストッパ22を中心に調整することができる。ストッパ22は、穿孔工具1の元の開始位置への復帰移動を画定するように作用する。したがって、穿孔工具1の穿孔角度を中心に調整することができる。あるいは、ストッパ22をガイド要素30または工具ホルダ2に対して直接に取り付けることによって、穿孔角度を個別に調整することもできる。
【0047】
図6において、トーション要素48、50、64は、例えばRosta社から入手できる金属エラストマー化合物要素50から成る。上記エラストマー金属化合物要素50は、好ましくは四角形で、かつそれぞれが三角形の中空外形から成るケーシング55を備える。エラストマー金属化合物要素は、ケーシング55の内部に配置され、この場合も好ましくは四角形でそれぞれが三角形の断面を有する中心ロッド56を更に備える。あるいは、上記ケーシング55および上記ロッド56に略多角形断面を与えることができる。
【0048】
上記ロッドは、例えばケーシング55およびロッド56が略四角形状の場合、45°の回転角だけケーシング55に対してオフセットされる。ケーシング55とロッド56との間には、ケーシング55の角部にエラストマー要素58が配置されており、上記エラストマー要素はケーシング55およびロッド56の全長にほぼ沿って延びる。回転モーメントの作用下で、ロッド56をケーシング55に対して回転させることができる。プロセスでは、上記エラストマー要素58が圧縮されて、全復原モーメントの少なくとも一部を形成する弾性復原モーメントが生み出される。ケーシング55およびロッド56が三角形断面形状を有する場合には、更に大きいねじれ角を使用できる。
【0049】
図7は、トーション要素48、50、64を伴う更なる実施形態を示している。トーション要素48、50、64は、この場合、3つの磁気要素を備える。第1の磁気要素60は、アクスル形状保持要素63の内部に配置されており、上記保持要素に対してこれと一緒に回転するように締結される。上記保持要素63は、ガイド要素30に対してこれと一緒に回転するように締結される。保持要素63は円形断面を有する。保持要素63は、工具ホルダ2に対してこれと一緒に回転するように締結される更なる可動中間要素65によって取り囲まれる。工具ホルダ2は、回動ベアリングとしての機能を果たす保持要素63に対して第1の回動軸12周りに回動させることができる。上記中間要素65内には、2つの更なる磁気要素61、62が互いに対向して配置される。
【0050】
穿孔工具1がその開始位置および休止位置にある限り、第2の磁気要素62のN極が第1の磁気要素60のS極の側に配置されるとともに、第3の磁気要素61のS極が第1の磁気要素60のN極の側に配置される。
【0051】
穿孔工具1がその刺入状態にあり、かつ土壌作業装置6が移動している状況では、工具ホルダ2は、磁気モーメントに抗して第1の回動軸12を中心に保持要素63に対して回動される。穿孔工具1が土壌の外側に出ると直ぐに、全復原モーメントの少なくとも一部を示す上記磁気要素60、61、62の磁気復原モーメントが穿孔工具1を再び開始位置へと移動させる。
【0052】
磁気要素60、61、62は永久磁石またはソレノイドから成ることができる。ソレノイドが設けられる場合には、特定の移動段階中にだけ、例えば穿孔工具1が土壌1と接触していない間だけ電流をONにすることができる。
【0053】
保持要素63、中間要素65、ガイド要素30、および、工具ホルダ2は、磁化できない材料または殆ど磁化できない材料、例えば磁化できないスチール(サブマリンスチール)、高強度金属、プラスチック、好ましくはデュロプラスト、または、セラミック材料から形成されるのが好ましい。
【0054】
図7において、工具ホルダ2、中間要素65、第2および第3の磁気要素62、61、および、少なくとも1つの穿孔工具1の第1の回動軸12に対する全体の重心は、第1の回動軸12周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する工具ホルダ2、中間要素65、第2および第3の磁気要素62、61、および、少なくとも1つの穿孔工具1の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるように配置される。
【0055】
図8は、ダンパ要素68がガイド要素30と平行に配置される更なる典型的な実施形態を示している。上記ダンパ要素68は、一方側が工具ホルダ2に回動可能に支持されるとともに、反対側が機械フレーム38に回動可能に支持される。また、工具ホルダ2にはスプリング70も回動可能に支持されており、上記スプリングの反対側は機械フレーム38に回動可能に支持される。しかしながら、上記スプリング70はガイド要素30と平行に配置されない。スプリング70は、少なくとも1つの穿孔工具1が土壌8の外側に配置されるときにスプリング70が最も大きなスプリング長を有し、穿孔工具1が土壌8内に配置されるときにスプリングが最も小さいスプリング長を有するように配置される。これは、穿孔工具1が土壌8の外側にあるときにスプリング70が大きい復元成分を少なくとも1つの穿孔工具1に及ぼし、穿孔工具1が土壌8内にあるときにスプリング70が小さい復元成分を少なくとも1つの穿孔工具1に及ぼすという結果を有する。
【0056】
図9は、2部延在ガイド要素30を備える更なる典型的な実施形態を示している。ガイド要素30の2つの部分30a、30b間には、螺旋状または渦巻き状に形成される圧力スプリングの形態を成すスプリング要素76が配置される。ガイド要素30の第1の部分30aには工具ホルダ2が回動可能に支持される。ガイド要素30の第2の部分30bは機械フレーム38に回動可能に支持される。クランクドライブ36のプッシュロッド34は、ガイド要素30の第2の部分30bを介してガイド要素30を駆動させるようになっている。上記スプリング要素76は、ガイド要素30の第1の部分30aに接続されるピストンロッド78上に配置される。ガイド要素30の2つの部分30a、30bは伸縮形態を成している。スプリング要素76を調整可能な様態で可変的に調整し、ガイド要素30の第2の部分30bの孔86内でガイド要素30の第1の部分30aを案内するためにピストン・調整要素82が設けられる。シェル形状のピストン・調整要素82は、それがガイド要素30の第2の部分30bの上記孔86内でピストン要素としての機能を果たすことができるように滑らかな外面を有する。少なくとも1つの穿孔工具1を刺入する前に、ピストン・調整要素82および/またはピストンロッド78がガイド要素30の第2の部分30bと直接に接触し、それにより、穿孔工具1を土壌8中へ突き刺す直前および最中に、スプリング要素76を伴わない直接的な力伝達をガイド要素30の第2の部分30bからガイド要素30の第1の部分30aへ、およびその逆へ行なうことができる。穿孔工具1が刺入状態にあり、かつ土壌作業装置6が移動方向Aに移動されている状況では、少なくとも1つの穿孔工具1が回動される。この典型的な実施形態は、土壌作業装置が移動方向Aに非常に高速で移動する場合に穿孔工具1が土壌の表面にスリット状に切り込む可能性があるという危険を減らす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械フレーム(38)と、
昇降され得る少なくとも1つの穿孔工具(1)のためのドライブ(36)であって、前記穿孔工具(1)が土壌(8)を突き刺して再び引き抜かれるように作用する、ドライブ(36)と、
少なくとも1つの前記穿孔工具(1)のために前記機械フレーム(38)上で移動可能に案内されるガイド要素(30)であって、穿孔前に前記穿孔工具(1)が所定の穿孔角度で開始位置に配置される、ガイド要素(30)と、
前記穿孔工具(1)のための工具ホルダ(2)であって、前記穿孔工具(1)を土壌との係合中に前記ガイド要素(30)に対して回動させることができるように前記ドライブによって昇降され得る前記ガイド要素(30)の第1の回動軸(12)周りで該工具ホルダを回動させることができ、少なくとも前記穿孔工具(1)を土壌(8)から引き抜いた後に、前記第1の回動軸(12)周りに作用する復原モーメントが前記工具ホルダ(2)に及ぼされ、それにより、前記穿孔工具(1)が元の開始位置へと再び回動する、工具ホルダ(2)と、
を備える移動型の土壌作業装置において、
前記工具ホルダ(2)および前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心が、前記復原モーメントに抗する前記工具ホルダ(2)および前記穿孔工具(1)の慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるように前記第1の回動軸(12)に対して配置されることを特徴とする、土壌作業装置。
【請求項2】
前記工具ホルダ(2)および前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心が、前記第1の回動軸(12)周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する前記工具ホルダ(2)および前記穿孔工具(1)の慣性モーメントが過補償されるように前記第1の回動軸(12)に対して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項3】
前記工具ホルダ(2)および前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心が前記第1の回動軸(12)上に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項4】
前記工具ホルダ(2)に対して更なる質量(44)が結合され、この更なる質量が好ましくは前記工具ホルダに対してこれと一緒に回転するように締結されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項5】
前記更なる質量(44)、前記工具ホルダ(2)、および、前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心が、復原モーメントに抗する前記慣性モーメントが少なくとも部分的に減少されあるいは補償されあるいは過補償されるように前記第1の回動軸(12)に対して配置されることを特徴とする、請求項4に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項6】
前記更なる質量(44)、前記工具ホルダ(2)、および、前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心が、前記第1の回動軸(12)周りに作用する慣性モーメントが復原モーメントの少なくとも一部を形成するべく復原モーメントに抗する前記慣性モーメントが過補償されるように前記第1の回動軸(12)に対して配置されることを特徴とする、請求項5に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項7】
前記更なる質量(44)、前記工具ホルダ(2)、および、前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心が前記第1の回動軸(12)上に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項8】
前記工具ホルダ(2)および前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心の前記第1の回動軸(12)からの距離、好ましくは水平距離、または、前記更なる質量(44)、前記工具ホルダ(2)、および、前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心の前記第1の回動軸(12)からの距離、好ましくは水平距離を調整できることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項9】
前記工具ホルダ(2)および前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心の前記第1の回動軸(12)からの距離、好ましくは水平距離、または、前記更なる質量(44)、前記工具ホルダ(2)、および、前記少なくとも1つの穿孔工具(1)の全体の重心の前記第1の回動軸(12)からの距離、好ましくは水平距離を全ての前記工具ホルダに関して中心に調整できることを特徴とする、請求項8に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項10】
前記ガイド要素(30)が、前記機械フレーム(38)に第2の回動ベアリング(26)で回動可能に支持される支持アームであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項11】
前記支持アームが、スプリング力に抗して長さ調整できるように構成されることを特徴とする、請求項10に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項12】
少なくとも1つのトーション・各圧力スプリング要素(70)またはスプリングダンパ要素(42)が前記支持アームの側に、好ましくは前記支持アームと平行に配置され、前記トーション・各圧力スプリング要素(70)または前記スプリングダンパ要素(42)が、前記第1の回動軸(12)周りの前記工具ホルダ(2)の回動動作を可能にするとともに、土壌との係合の解放時に復原モーメントの少なくとも一部を前記工具ホルダ(2)に対して及ぼし、それにより、前記穿孔工具(1)が、土壌(8)からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動されることを特徴とする、請求項10または11に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項13】
前記トーション・各圧力スプリング要素(70)または前記スプリングダンパ要素(42)が、前記穿孔工具(1)が土壌(8)の外側に配置される場合に高い復原モーメントを前記工具ホルダ(2)に及ぼし、前記穿孔工具(1)が土壌(8)内に配置される場合に小さい復原モーメントを前記工具ホルダ(2)に及ぼすように前記機械フレーム(38)に配置されることを特徴とする、請求項12に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項14】
前記工具ホルダ(2)と前記ガイド要素(30)との間にトーション要素(48、50、64)が配置され、前記トーション要素が、前記ガイド要素(30)に対する前記工具ホルダ(2)の回動動作を可能にするとともに、力の影響の解放時に、復原モーメントの少なくとも一部を前記工具ホルダ(2)に対して及ぼし、それにより、前記穿孔工具(1)が、土壌(8)からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項15】
前記トーション要素(48、50、64)が、少なくとも1つのエラストマー要素、エラストマー金属化合物要素(50)、または、螺旋状にあるいは渦巻き状に形成された金属トーションスプリング(48)から成ることを特徴とする、請求項14に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項16】
前記トーション要素(48、50、64)が少なくとも2つの磁気要素(60、61、62)を備え、前記少なくとも2つの磁気要素(60、61、62)が前記第1の回動軸(12)周りの前記工具ホルダ(2)の回動動作を可能にするとともに、土壌との係合の解放時に、前記磁気要素が復原モーメントの少なくとも一部を前記工具ホルダ(2)に対して及ぼすように互いに対して方向付けられ、それにより、前記穿孔工具(1)が、土壌(8)からの引き抜き後に、元の開始位置へと再び回動されることを特徴とする、請求項14に記載の土壌作業装置(6)。
【請求項17】
前記磁気要素(60、61、62)が永久磁石またはソレノイドから成ることを特徴とする、請求項16に記載の土壌作業装置(6)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−532983(P2010−532983A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515531(P2010−515531)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059191
【国際公開番号】WO2009/007466
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(594124133)レデキシム・ハンデル−エン・エクスプロイタティーマートスハーペイ・ベスローテン・フェンノートシャップ (3)
【氏名又は名称原語表記】Redexim Handel− en Exploitatiemaatschappij B.V.
【Fターム(参考)】