説明

土壌処理剤含有固形物の製造法

【課題】土壌処理剤含有エマルジョンの製造時間、及び土壌処理剤含有固形物の製造時間を短縮できる製造法を提供することである。
【解決手段】2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と、土壌処理剤を混合・攪拌することにより土壌処理剤含有固形物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌処理剤の含有量が高く、農家が使用する際に土壌処理剤の刺激臭を感じない程度に、土壌処理剤の放出が極度に抑制され、また、土壌に処理すると速やかに土壌処理剤を放出し、短期間に土壌処理を完了する土壌処理剤含有固形物の製造法に関する。詳しくは、土壌処理剤含有エマルジョンの製造時間、及び土壌処理剤含有固形物の製造時間を短縮できる製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロルピクリンや1,3−ジクロルプロペン(以下、D−D)に代表される土壌処理剤は作物の栽培団地化地域、特産地化地域の連作障害防止に広く使用されており、収穫後から次の作付けまでの合間に処理されている。1年間の作物の作付け回数を多くするために、土壌処理期間は短いほど好ましい。一般には、平均地温が15℃〜25℃の時に、土壌処理に要する期間は10日〜15日である。
【0003】
クロルピクリン類などの土壌処理剤は蒸気圧が高く、通常の使用条件では、ガス化しやすく刺激臭を有している。特に、クロルピクリンは強い刺激臭を有しており、使用時には、保護眼鏡、保護マスク、手袋を着用して、特殊な灌注器具を使って、土壌に灌注し、灌注後に土壌表面をガスバリアー性のあるフィルムで被覆する方法で土壌を処理している。
【0004】
このように刺激臭を有するクロルピクリンなどの土壌処理剤の無臭化製剤としては、クロルピクリンをデキストリンに吸着させた後、ポリビニルアルコールのフィルム袋に密封した製剤あるいはクロルピクリンを直接ポリビニルアルコールのフィルム袋に密封した製剤が知られている(米国特許第5846904号公報、特開平7−324002号公報)が、土壌処理剤の刺激臭低減は不十分である。
【0005】
特開昭60−19760号公報には、土壌処理剤と水溶性高分子を組み合わせて、高粘度液として、土壌処理剤の蒸気圧を低減した組成物が開示されているが、この組成物の土壌処理剤の刺激臭低減は不十分である。また、組成物の状態で土壌処理剤を長期間組成物中に保持できない点も問題である。
【0006】
農薬活性成分を水溶性高分子の水溶液中に乳化する際、界面活性剤を乳化剤として使用することはよく知られている。しかし、本発明者らの検討によれば、クロルピクリンなどの土壌処理剤を、水溶性高分子の水溶液と混合・攪拌しても、高い土壌処理剤濃度のエマルジョンを得ることは困難であった。また、高い土壌処理剤濃度のエマルジョンを得るために、界面活性剤の使用量を増やせば、水溶性高分子の水溶液から固形物の析出を引き起こすなど、均一なエマルジョンを得ることは困難であった。このため、界面活性剤の存在下、クロルピクリン類などの土壌処理剤と水溶性高分子の水溶液を混合・攪拌して、クロルピクリン類などの土壌処理剤を含有するエマルジョンを得るためには、クロルピクリン類などの土壌処理剤の使用量を極端に少なくする必要があった。また、低い土壌処理剤濃度のエマルジョンから得られたゲル化物は、土壌処理剤含有量が低く、土壌処理剤の放出を極度に抑制するために、乾燥工程で、該ゲル化物から多量の水を除去しなければならず、乾燥時の負荷が大きいことも問題であった。
【0007】
香料や農薬などの作用物質をアルギン酸ナトリウムやローメトキシルペクチンの水溶液に対して、20重量%以下の量を使用して、同作用物質を分散させ、その後、2価以上の金属塩を添加して、多孔質構造のゲル化物中に作用物質を含有させたゲル化物は知られている。(特開昭55−25456号公報)また、同文献には、得られたゲル化物を乾燥す
ることにより、作用物質の放出を抑制できることも開示されている。しかし、クロルピクリンに代表される土壌処理剤を農家が施用する時には、農家が刺激臭を感じないほど、土壌処理剤の放出が極度に抑制されていることが好ましいが、反面、施用後、短期間に土壌処理を完了することが必要である。前記文献には、作用物質の組成物からの放出制御が開示されているが、農家が刺激臭を感じないほどに作用物質の放出が極度に抑制できる点については何ら開示されていない。また、前記文献には作用性物質の放出を抑制する方法は開示されているが、施用後、短期間に作用物質を放出させることについては何ら開示されていない。また、クロルピクリンに代表される土壌処理剤にゼラチンを共存させ、2価以上の金属塩を添加してゲル化するアルギン酸塩やローメトキシルペクチンなどの多糖類の水溶液とエマルジョンを調整し、このエマルジョンを2価以上の金属塩を添加させて得られるゲル化物とした後、乾燥することにより、農家が使用する際、土壌処理剤の刺激臭を感じない程度に、土壌処理剤の放出が極度に抑制された土壌処理剤含有固形物、及びその製造法が提案されている。(WO2005/044003号公報)しかし、同文献に開示された製造法では乳化完了までに長時間を要し、製造効率が非常に悪いという問題点があった。また、同文献には、2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と、土壌処理剤を混合・攪拌しても土壌処理剤含有エマルジョンは得られないことが明示されている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5846904号公報
【特許文献2】特開平7−324002号公報
【特許文献3】特開昭60−19760号公報
【特許文献4】特開昭55−25456号公報
【特許文献5】WO2005/044003号公報
【非特許文献1】インターネット上のwebサイトhttp://www.chloropicrin.jp/shiryou/ekizai/index.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、土壌処理剤の含有量が高く、農家が使用する際に土壌処理剤の刺激臭を感じない程度に、土壌処理剤の放出が極度に抑制され、また、土壌に処理すると速やかに土壌処理剤を放出し、短期間に土壌処理を完了する土壌処理剤含有固形物及びその製剤の製造法を提供することである。更に詳しくは、土壌処理剤含有エマルジョンの製造時間、及び土壌処理剤含有固形物の製造時間を短縮することができる製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、クロルピクリンなどの土壌処理剤を用いて、アルギン酸ナトリウムやローメトキシルペクチンなどの2価以上の金属を添加してゲル化する多糖類の水溶液とのエマルジョン化を鋭意検討した結果、クロルピクリン中にゼラチンを共存させなくとも、アルギン酸ナトリウムやローメトキシルペクチンなどの2価以上の金属を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤を混合・攪拌することにより、極めて容易に土壌処理剤含有エマルジョンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 以下の(a)〜(c)の工程を通して製造されることを特徴とする土壌処理剤含有固形物の製造法。(a)少なくとも2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤及び必要により無機鉱物を混合・攪拌して土壌処理剤を含有するエマルジョンを製造する、
(b)工程(a)で得られたエマルジョンに2価以上の金属塩を添加して、ゲル化物を製
造する、
(c)工程(b)で得られたゲル化物を乾燥させて土壌処理剤含有固形物を製造する。
[2] 土壌処理剤がクロルピクリン、1,3−ジクロルプロペン、及びメチルイソチオシアネートから選ばれる1種以上の土壌処理剤であることを特徴とする[1]に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[3] 2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類を土壌処理剤に対して、1重量%以上15重量%以下の量を使用することを特徴とする[1]、[2]のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[4] 2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類がアルギン酸塩、ローメトキシルペクチン、及びカッパーカラギーナンから選ばれる1種以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[5] ゼラチンを土壌処理剤に対して、0.5重量%以上15重量%以下の量を使用することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[6] 工程(a)において、無機鉱物を水溶液または土壌処理剤のどちらか一方、または両方に添加することを特徴とする[1]〜[5]に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[7] 無機鉱物を土壌処理剤に対して、0.1重量%以上10重量%以下の量を使用することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[8] 工程(b)で得られるゲル化物を乾燥させて、水を土壌処理剤含有固形物に対して、0.5重量%以上20重量%以下の量にすることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の工程(c)の方法で製造される土壌処理剤含有固形物。
[10] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の工程(b)の方法で製造される土壌処理剤含有ゲル化物。
[11] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の工程(a)の方法で製造される土壌処理剤含有エマルジョン。
【発明の効果】
【0012】
本発明の土壌処理剤含有固形物の製造法を実施することにより、土壌処理剤含有エマルジョンの製造時間、及び土壌処理剤含有固形物の製造時間を短縮することができ、工業上、非常に有用な方法である。また、本発明の土壌処理剤含有固形物の製造法に従い、製造される土壌処理剤含有固形物は人が土壌処理剤の臭気を感じないほど、土壌処理剤の放出が極度に制御されているため、農家が簡便に取り扱うことが可能である。また、本固形物を土壌に処理すると、速やかに土壌処理剤を放出し、短期間で土壌を処理することができ、1年間の作物の作付け回数を減じることがなく、作物生産において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の土壌処理剤含有固形物の製造法は以下の工程を経由する。すなわち、(a)2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤とを混合・攪拌して土壌処理剤含有エマルジョンを製造する工程、(b)工程(a)で得られたエマルジョンを2価以上の金属塩を添加して、土壌処理剤を含有するゲル化物を製造する工程、(c)工程(b)で得られたゲル化物を乾燥して土壌処理剤含有固形物を製造する工程、である。本発明で言うゲル化物は(b)工程で得られる固形物であり、土壌処理剤含有固形物は(c)工程で得られる固形物である。
【0014】
先ず、工程(a)について説明する。工程(a)においては2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤を混合・攪拌して土壌処理
剤含有エマルジョンを製造する。
【0015】
本発明で使用される土壌処理剤は、土壌中の病害虫の防除を目的として使用される薬剤であり、かつ、40℃で液体の薬剤をいう。例えば、40℃で液体の殺線虫剤、土壌殺菌剤などが挙げられる。殺線虫剤の具体例としては、例えば、1,3−ジクロルプロペン(一般名:D−D)、ジクロロジイソプロピルエーテル(一般名:DCIP)、メチルイソチオシアネート、(RS)−S−sec−ブチル=O−エチル=2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−イルホスホノチオアート(一般名:ホスチアゼート)、S,S−ジ−sec−ブチル=O−エチル=ホスホロジチオアート(一般名:カズサホス)、(RS)−[O−1−(4−クロロフェニル)ピラゾール−4−イル]=O−エチル=S−プロピル=ホスホロチオアート(一般名:ピラクロホス)、土壌殺菌剤の具体例としては、例えば、クロルピクリン、5−エトキシ−3−トリクロロメチル−1,2,4−チアジアゾール(一般名:エクロメゾール)などが挙げられる。好ましくは沸点が40℃以上で且つ、蒸気圧が70Pa/20℃以上である土壌処理剤であり、好適なものとしてクロルピクリン、1,3−ジクロルプロペン(D−D)が例示される。本発明の土壌処理剤は単独で、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。また、本発明の土壌処理剤に他の農薬を混合させて、より機能的な土壌処理剤含有固形物を製造することもできる。具体的には、O,O−ジメチル=O−3−メチル−4−(メチルスルフィニル)フェニル=ホスホロチオアート(一般名:メスルフェンホス)、(2aE,4E,4’S,5’S,6R,6’S,8E,11R,13R,15S,17aR,20R,20aR,20bS)−6’−[(E)−1,3−ジメチル−1−ブテニル]-3’,4’,5,6,6’,7,10,11,14,15,17a,20,20a,20b−テトラデカヒドロ−4’,20,20b−トリヒドロキシ−5’,6,8,19−テトラメチルスピロ[11,15−メタノ−2H,13H,17H−フロ[4,3,2−pq][2,6]ベンゾジオキサシクロオクタデシン−13,2’−[2H]−ピラン−17−オン(一般名:ネマデクチン)、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド(一般名:フルスルファミド)、3,5−ジメチルテトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアジン−2−チオン(一般名:ダゾメット)、1,4−ジクロロ−2,5−ジメトキシベンゼン(一般名:クロロネブ)などの他の農薬などとの混合農薬とすることもできる。本発明の土壌処理剤に他の農薬を混合させて得られる混合農薬も本発明の土壌処理剤含有固形物に含まれる。
【0016】
本発明で使用する多糖類は、2価以上の金属塩を添加して、ゲル化する多糖類である。(本発明に係る2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類は本明細書を通して単に多糖類ということもある。)この性質を有する多糖類としては、アルギン酸塩、ペクチン、あるいはカッパーカラギーナン(κ−カラギーナン)などが例示される。アルギン酸塩としては、例えば、アルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、その他アルギン酸を出発原料とした塩が使用できる。この中でも、アルギン酸ナトリウムが特に好ましい。ペクチンとしては、例えばハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチンが挙げられ、この中でもエステル化度が50%以下のローメトキシルペクチンが特に好ましい。カッパーカラギーナンはカッパー型に分類されるカラギーナンであり、必ずしも精製されたものでなくても良く、粗抽出物でも良い。これらの多糖類は単独で、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0017】
本発明において、多糖類の使用量は土壌処理剤に対して、1.0重量%以上を使用する。多糖類の使用量の上限は経済的な観点から適宜決定されるが、特に制限はない。好ましくは、土壌処理剤に対して15重量%以下であればよい。これらの多糖類は0.5重量%以上15重量%以下程度の濃度の水溶液として使用される。
【0018】
本発明において、2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する
水溶液の調整方法としては、2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類の水溶液とゼラチンを混合して調整する方法、2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類の水溶液とゼラチン水溶液を混合して調整する方法、2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチン水溶液を混合して調整する方法などが挙げられる。なお、該水溶液中、ゼラチンは必ずしも完全に溶解している必要はなく、分散状態でもよい。
【0019】
本発明で使用されるゼラチンは顆粒状、粒状、粉末状、微粒子状などのものが挙げられる。多糖類とゼラチンを含有する水溶液調整時のゼラチンの溶解性、均一分散性などの観点から、粉末状、微粒子状のものを使用するのが好ましく、微粒子状のものを使用するのがより好ましい。
【0020】
ゼラチンの使用量は土壌処理剤に対して、0.1重量%以上30重量%以下であればよく、好ましくは、0.5重量%以上15重量%以下である。
【0021】
かくして、工程(a)では、多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤を混合・攪拌すれば、土壌処理剤含有エマルジョンを製造することができる。本発明でいう土壌処理剤含有エマルジョンは、攪拌を止めて10分間放置しても、2相分離していない状態、すなわち、土壌処理剤の液滴が目視で認められない状態のものをいう。
【0022】
本発明の土壌処理剤含有エマルジョンは、多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤を混合・攪拌するだけで製造することができるが、更に、無機鉱物を加えると、土壌処理剤含有エマルジョンの生成は一層早まる。無機鉱物は土壌処理剤または多糖類とゼラチンを含有する水溶液のどちらか一方または両方に添加してもよく、多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤を混合した状態に添加してもよい。
【0023】
本発明で使用される無機鉱物はゼオライト、ホワイトカーボン、タルク、クレーなどが挙げられ、その粒径が200μ以下の微粒子が好ましい。入手し易い微粒子状の無機鉱物として、ホワイトカーボン、クレー粉などがある。無機鉱物の使用量は、0.1重量%以上10重量%以下程度の量を使用すればよい。
【0024】
本発明の土壌処理剤含有エマルジョンは土壌処理剤、2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類、ゼラチン、水、及び必要に応じて無機鉱物で構成されるが、土壌処理剤含有エマルジョンの生成を妨げない程度に紫外線吸収剤、防腐剤、着色剤などを更に添加してもよい。
【0025】
次に、工程(b)について説明する。工程(b)においては、エマルジョンを2価以上の金属塩と反応させて、土壌処理剤を含有するゲル化物を製造する。
【0026】
本発明で2価以上の金属塩とは、そのカチオンとして、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、銅、鉛等のカチオンであり、アニオンとして、塩素、硫酸、乳酸、クエン酸、硝酸、酢酸などのアニオンが挙げられる。これら具体例としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム等のカルシウム塩、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化バリウム等のバリウム塩、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛塩、塩化ニッケル等のニッケル塩、硫酸銅等の銅塩、酢酸鉛等の鉛塩、硝酸銀等の銀塩などが挙げられる。中でも、塩化カルシウムが好ましい。これらの金属塩は多糖類の使用量に対して、1.0重量倍以上使用すればよい。また、水溶液として使用する場合0.1重量%〜飽和濃度の水溶液として使用することができる。
【0027】
エマルジョンを2価以上の金属塩と反応させる方法は、該エマルジョンの液滴を2価以上の金属塩を含有する水溶液中に落とし込む方法や該エマルジョンの液滴に該2価以上の
金属塩を含有する水溶液を噴霧する方法などで行うことができる。
【0028】
本発明のエマルジョンは2価以上の金属塩を含有する水溶液と接触すると、形状の定まったゲル化物が得られる。本発明で言う形状の定まったゲル化物とは、得られたゲル化物に5gの荷重を1分間加え、目視で形状の変化が認められない状態のゲル化物を意味する。本発明のエマルジョンは2価以上の金属塩を含有する水溶液と接触すると、短時間で形状の定まったゲル化物が得られる。本発明では土壌処理剤の濃度が高いエマルジョンが得られ、該エマルジョンをゲル化して調整したゲル化物中の土壌処理剤含量も高い。かくして工程(b)により、30重量%以上85重量%以下程度の土壌処理剤を含有するゲル化物が製造される。
【0029】
次に工程(c)について説明する。工程(c)は工程(b)で得られたゲル化物を乾燥して土壌処理剤含有固形物を製造する。乾燥方法は土壌処理剤の沸点以下の温度で、一般的な乾燥方法、例えば、温風乾燥、減圧乾燥、風乾などの乾燥方法いずれでも行うことができるが、常圧下での乾燥が好ましい。土壌処理剤含有固形物中の水分量が0.5重量%以上20重量%以下、好ましくは1.0重量%以上20重量%以下になるまで乾燥を行う。
【0030】
かくして得られる土壌処理剤含有固形物は土壌処理剤を60重量%以上85重量%以下、ゼラチンを0.5重量%以上15重量%以下、無機鉱物を0%以上10重量%以下、2価以上の金属塩と反応してゲル化する多糖類を1重量%以上15重量%未満、水を0.5重量%以上20重量%以下の量を含有している。
【0031】
更に好ましくは、本発明の土壌処理剤含有固形物は土壌処理剤を60重量%以上82重量%以下、ゼラチンを0.5重量%以上15重量%以下、無機鉱物を0%以上10重量%以下、2価以上の金属塩と反応してゲル化する多糖類を1重量%以上15重量%未満、水を0.5重量%以上20重量%以下の量を含有している。
【0032】
本発明でいう、土壌処理剤含有固形物に対する土壌処理剤の含有量はガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなどの分析機器で土壌処理剤量を分析した値を使用し、土壌処理剤含有固形物に対するゼラチン、無機鉱物、及び2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類の含有量は、各原料の使用量を土壌処理剤含有固形物の重量で割った値である。また、水の含有量は土壌処理剤含有固形物から、土壌処理剤、ゼラチン、無機鉱物、及び2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類の含有量を減じた値である。この他に添加物がある場合は、更に添加物含有量を減じた値である。
【0033】
工程(c)で得られる土壌処理剤含有固形物は、土壌処理剤の臭気を感じないほど、土壌処理剤の放出が極度に抑制されている。
また、本発明の方法によれば土壌処理剤含有固形物中の土壌処理剤の含有量を59%以下とすることは技術的に可能である。
【0034】
本発明の土壌処理剤の放出が極度に抑制されている土壌処理剤含有固形物の特徴としては、土壌処理剤含有固形物から土壌処理剤の放出を促進させるために、土壌処理剤含有固形物を土壌に混和、あるいは土壌中に埋設するだけでよく、土壌処理剤含有固形物を土壌中に処理すると、速やかに土壌処理剤を土壌中に放出することである。従来のクロルピクリン剤が処理できる土壌であれば、土壌処理剤含有固形物はクロルピクリン剤と同様に、土壌処理剤を土壌に放出し、土壌処理期間もほぼ同じである。本発明の土壌処理剤含有固形物は、粒径、及び地温にもよるが、一般に土壌処理剤含有固形物の粒径が2〜30mm、地温が15℃〜25℃で、土壌処理が10日〜15日で完了する。土壌処理剤含有固形物の施用にあたって、土壌処理剤含有固形物を手撒きや肥料散粒機などを使って土壌表面
に散布後に土壌混和する方法や、苗植え付け個所に溝を堀り、該溝に土壌処理剤含有固形物を散布して土壌被覆する方法などで処理すればよい。
【0035】
従来、土壌処理剤の臭気があるが故に、固形肥料、殺虫剤、殺菌剤、及び/または除草剤の固形製剤と土壌処理剤を同時に処理することは考えられなかった。本発明の土壌処理剤含有固形物は土壌処理剤の放出が極端に抑制されている固形物であるため、上記の固形製剤と同時に処理することができる。土壌処理剤含有固形物を土壌表面に散布した後、上記の固形製剤を散布してもよく、上記の固形製剤を散布後、土壌処理剤含有固形物を散布してもよく、あるいは、土壌処理剤含有固形物と上記の固形製剤を予め混合して、混合粒剤として散布してもよい。
【0036】
従来のクロルピクリン剤と同様に、土壌処理効果を高めるために土壌処理剤含有固形物を土壌に処理した後、ガスバリアー性のあるフィルムで土壌表面を被覆してもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により、本発明を更に詳述する。
[実施例1]
土壌処理剤含有エマルジョン[エマルジョン番号(A)]の製造
3000mlの四つ口フラスコにクロルピクリン[三井化学(株)製 三井東圧クロールピクリン(99.5%液剤)]1000gを装入、攪拌した。別途調製したアルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製 アルキデックスM]1.5重量%水溶液900gにゼラチン粉末[新田ゼラチン(株)製 R微粉]20gを混合した溶液を加え、攪拌羽の周速が55m/分の条件で混合・攪拌した。攪拌を開始してから50分で土壌処理剤含有エマルジョンが得られた。
【0038】
[実施例2]
土壌処理剤含有エマルジョン[エマルジョン番号(B)]の製造
3000mlの四つ口フラスコにクロルピクリン[三井化学(株)製 三井東圧クロールピクリン(99.5%液剤)]1000g、及びホワイトカーボン[DSL.ジャパン(株)製 カープレックスNo.80D]20gを装入、攪拌した。別途調製したアルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製 アルキデックスM]の1.5重量%水溶液900gにゼラチン粉末[新田ゼラチン(株)製 R微粉]20gを混合した溶液を加え、攪拌羽の周速が55m/分の条件で混合・攪拌した。攪拌を開始してから30分で土壌処理剤含有エマルジョンが得られた。
【0039】
[実施例3〜11]
土壌処理剤含有エマルジョン[エマルジョン番号(C)〜(K)]の製造
実施例1または実施例2の方法に準じて、表−1記載の条件で土壌処理剤含有エマルジョンが生成する時間、及び、該エマルジョンが得られてから、攪拌を止め、10分間放置して、相分離の有無を調べた。その結果を表−1に示した。尚、表中の略号、及び記号は以下の意味である。
CP:クロルピクリン[三井化学(株)製 三井東圧クロールピクリン(99.5%液剤)]
SO:ソイリーン[三井化学(株)製 三井ソイリーン(クロルピクリン40重量%、1,3−ジクロルプロペン52重量%の混合物)]
D−D:1,3−ジクロルプロペン[アグロカネショウ(株)製 D−D92(92重量%品)]
無機鉱物:ホワイトカーボン[DSL.ジャパン(株)製 カープレックスNo.80D]
ARG:アルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製 アルキデックスM]
PEC:ローメトキシルペクチン[新田ゼラチン(株)製 ペクチンP−25]
無 :攪拌を止めて10分間静置しても相分離が起こらなかった。
【0040】
有 :攪拌を止めて10分間静置した場合、相分離が起こった、または、土壌処理剤含有O/W型のエマルジョンが得られなかった。
【0041】
[比較例1]
土壌処理剤含有エマルジョン[エマルジョン番号(Y)]の製造
3000mlの四つ口フラスコにクロルピクリン[三井化学(株)製 三井東圧クロールピクリン(99.5%液剤)]1000g、及び、ゼラチン粉末[新田ゼラチン(株)製 R微粉]20gを装入、攪拌した。別途調製したアルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製 アルキデックスM]1.5重量%水溶液900gを加え、攪拌羽の周速が55m/分の条件で混合・攪拌した。攪拌を開始してから80分で土壌処理剤含有エマルジョンが得られた。
【0042】
[比較例2]
土壌処理剤含有エマルジョン[エマルジョン番号(Z)]の製造
3000mlの四つ口フラスコにクロルピクリン[三井化学(株)製 三井東圧クロールピクリン(99.5%液剤)]1000g、ゼラチン粉末[新田ゼラチン(株)製 R微粉]20g、及びホワイトカーボン[DSL.ジャパン(株)製 カープレックスNo.80D]20gを装入、攪拌した。別途調製したアルギン酸ナトリウム[(株)キミカ製
アルキデックスM]の1.5重量%水溶液900gを加え、攪拌羽の周速が55m/分の条件で混合・攪拌した。攪拌を開始してから50分で土壌処理剤含有エマルジョンが得られた。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2のエマルジョン化までの時間の結果から、多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤を混合・攪拌することにより、多糖類の水溶液とゼラチンを含有する土壌処理剤を混合・攪拌するよりも短時間で高濃度の土壌処理剤含有エマルジョンを製造できることがわかった。実施例1と実施例2の結果から、更に、無機鉱物を添加すると、土壌処理剤含有エマルジョンの生成が促進されることがわかった。
【0045】
[実施例12]
土壌処理剤含有のゲル化物[ゲル化物番号(a)]の製造
実施例1で製造した土壌処理剤含有エマルジョン番号A90gを塩化カルシウムの1.5重量%水溶液200gに滴下し、クロルピクリンを含有するゲル化物番号(a)91g(クロルピクリン含有量、51重量%)を得た。
【0046】
[実施例13〜22]
土壌処理剤含有のゲル化物[ゲル化物番号(b)〜(k)]の製造
実施例12の方法に準じて、表−2記載の条件で、実施例2〜11記載のエマルジョン番号(B)〜(K)から、それぞれ、ゲル化物番号(b)〜(k)を得た。
【0047】
[参考例1〜2]
土壌処理剤含有のゲル化物[ゲル化物番号(y)〜(z)]の製造
実施例12の方法に準じて、表−2記載の条件で、比較例1〜2記載のエマルジョン番号(Y)〜(Z)から、それぞれ、ゲル化物番号(y)〜(z)を得た。結果を表−2に示した。
【0048】
【表2】

【0049】
以上の結果より土壌処理剤の含有量の高いゲル化物が製造できることがわかった。
【0050】
[実施例23]
土壌処理剤含有固形物[土壌処理剤含有固形物番号(A−a)]の製造
実施例12で製造したゲル化物番号(a)80gを室温で72時間、風乾を行い、土壌処理剤含有固形物番号(A−a)33g(クロルピクリン含有量、81重量%)を得た。
【0051】
土壌処理剤含有固形物中の土壌処理剤量の分析
メタノール−水(9−1、容積−容積)の溶液20mlを予め精秤したシリコン共栓付き50ml試験管に入れて、精秤した。この溶液に土壌処理剤含有固形物番号(A−a)1粒を入れて、精秤した。6日間室温で保存した後、溶液中の土壌処理剤量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。溶液中の土壌処理剤量から、土壌処理剤含有固形物中に含有する土壌処理剤量を算出した。
【0052】
[実施例24〜33]
土壌処理剤含有固形物[土壌処理剤含有固形物番号(B−b)〜(K−k)]の製造
実施例23の方法に準じて、実施例13〜22で得られたゲル化物番号(b)〜(k)
を表−3記載の条件で乾燥して、それぞれ土壌処理剤含有固形物番号(B−b)〜(K−k)を得た。
【0053】
[参考例3〜4]
土壌処理剤含有固形物[土壌処理剤含有固形物番号(Y−y)〜(Z−z)]の製造
実施例23の方法に準じて、参考例1〜2で得られたゲル化物番号(y)〜(z)を表−3記載の条件で乾燥して、それぞれ土壌処理剤含有固形物番号(Y−y)〜(Z−z)を得た。結果を表−3に示した。
【0054】
【表3】

【0055】
以上の結果より土壌処理剤含量の高い土壌処理剤含有固形物が製造できることがわかった。また、得られた土壌処理剤含有固形物は土壌処理剤の臭気は認められなかった。
【0056】
[実施例34〜43]
土壌処理剤含有固形物の臭気の測定
実施例12、13、16、18、及び20で得られた土壌処理剤含有ゲル化物、実施例23、24、27、29、及び31で得られた土壌処理剤含有固形物をクロルピクリン量に換算にして、5gを500mlポリ容器に入れ、密封して室温で24時間保存した。気相部の空気を200ml採取し、メタノール10mlに吸収させた。メタノール液中のクロルピクリン量を高速液体クロマトグラフィーで測定した。
【0057】
[参考例5〜8]
実施例34〜38の方法に準じて、参考例1〜2で得られた土壌処理剤含有ゲル化物、参考例3〜4で得られた土壌処理剤含有固形物の臭気を測定した。
【0058】
[比較例3]
実施例34〜38の方法に準じて、土壌処理剤含有固形物をクロルピクリン量に換算して、5g使用する代わりに、クロルピクリン[三井化学(株)製 三井東圧クロールピクリン(99.5%液剤)]5gを使用して臭気を測定した。結果を表−4に示した。
【0059】
【表4】

【0060】
以上の結果より土壌処理剤含有固形物は土壌処理剤及びゲル化物に対して、極度に土壌処理剤の放出が抑制されていた。
【0061】
[実施例44〜46]
土壌処理剤含有固形物の土壌処理試験
62.2L容積のコンテナに茂原市近郊の土壌(土壌水分、15重量%)を41L充填した。コンテナの中央部に実施例23、24、31で得られた土壌処理剤固形物番号(A−a)、(B−b)、及び(I−i)をクロルピクリン量に換算して3gを深さ10cmに埋設した。埋設後、上面を0.05mmの農業用ビニールシートで被覆した。30分、1時間、3時間、7時間、24時間、48時間、72時間、96時間、168時間、240時間後に気相部の空気を200ml採取し、メタノール10mlに吸収させた。メタノール液をHPLC分析して、クロルピクリン量を調べた。
【0062】
[参考例9]
実施例45〜47の方法に準じて、参考例4で製造した土壌処理剤含有固形物番号(Z−z)を用いて同様の試験を行った。
【0063】
[参考例10]
実施例45〜47の方法に準じて、参考剤としてクロルピクリン3gを4cm×9cmのポリビニルアルコールフィルム(日本合成化学工業社製、ハイセロンS400C)袋に入れ、密封した製剤を用いて同様の試験を行った。
【0064】
【表5】

【0065】
以上の結果より土壌処理剤含有固形物を土壌に処理すると、参考例の土壌処理剤含有固形物、土壌処理剤と同様に土壌処理を行うことができることがわかった。
【0066】
[実施例47]
キュウリつる割れ病に対する効果
キュウリつる割れ病菌(Fusarium oxysporum f.sp. cucumerinum)に汚染された圃場をトラクターにて耕耘砕土し、幅120cm、長さ600cmを一つの試験区とした。実施例31で得られた土壌処理剤含有固形物番号(I−i)55gを全面に散布し、その後、土壌混和した。土壌混和後、土壌表面を厚さ0.05mmのポリエチレンフィルムで被覆した。処理20日後にポリエチレンフィルム被覆を除去し、キュウリ苗を1区当たり40本植え付けた。移植40日後に地際部の導管の褐変程度でキュウリつる割れ病の罹病程度を調べた。
【0067】
[参考例11]
実施例48の方法に準じて、参考例4で製造した土壌処理剤含有固形物番号(Z−z)を用いて同様の試験を行った。
【0068】
[比較例4]
実施例48の方法に準じて、土壌処理剤含有固形物を使用せずに無処理区として同様の試験を行った。
【0069】
【表6】

【0070】
表−6から、土壌処理剤含有固形物番号(I−i)は参考例の土壌処理剤含有固形物番号(Z−z)と同様の効果を示した。また、無処理区に対して本発明の土壌処理剤含有固形物は明らかな処理効果を示すことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の土壌処理剤含有固形物の製造法を実施することにより、土壌処理剤含有エマルジョンの製造時間を短縮することが可能となり、更に、土壌処理剤含有固形物の製造時間も短縮することができる。また、本発明の土壌処理剤含有固形物の製造法に従い、製造される土壌処理剤含有固形物は人が土壌処理剤の臭気を感じないほど、土壌処理剤の放出が極度に制御されているため、農家が簡便に取り扱うことが可能である。また、本固形物を土壌に処理すると、速やかに土壌処理剤を放出し、短期間で土壌を処理することができ、1年間の作物の作付け回数を減じることがなく、作物生産において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(c)の工程を通して製造されることを特徴とする土壌処理剤含有固形物の製造法。(a)少なくとも2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類とゼラチンを含有する水溶液と土壌処理剤及び必要により無機鉱物を混合・攪拌して土壌処理剤を含有するエマルジョンを製造する、
(b)工程(a)で得られたエマルジョンに2価以上の金属塩を添加して、ゲル化物を製造する、
(c)工程(b)で得られたゲル化物を乾燥させて土壌処理剤含有固形物を製造する。
【請求項2】
土壌処理剤がクロルピクリン、1,3−ジクロルプロペンから選ばれる1種以上の土壌処理剤であることを特徴とする請求項1に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項3】
2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類を土壌処理剤に対して、1重量%以上15重量%以下の量を使用することを特徴とする請求項1、2のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項4】
2価以上の金属塩を添加してゲル化する多糖類がアルギン酸塩、ローメトキシルペクチン、及びカッパーカラギーナンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項5】
ゼラチンを土壌処理剤に対して、0.5重量%以上15重量%以下の量を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項6】
工程(a)において、無機鉱物を水溶液または土壌処理剤のどちらか一方、または両方に添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項7】
無機鉱物を土壌処理剤に対して、0.1重量%以上10重量%以下の量を使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項8】
工程(b)で得られるゲル化物を乾燥させて、水を土壌処理剤含有固形物に対して、0.5重量%以上20重量%以下の量にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の土壌処理剤含有固形物の製造法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の工程(c)の方法で製造される土壌処理剤含有固形物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の工程(b)の方法で製造される土壌処理剤含有ゲル化物。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の工程(a)の方法で製造される土壌処理剤含有エマルジョン。

【公開番号】特開2007−246494(P2007−246494A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76419(P2006−76419)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】