説明

土木建築用光硬化性パテ組成物

【課題】 本発明の目的は、パテ硬化物が実質的に透明性を有し、温度依存性の小さい光硬化性のために施工時間を短縮でき、かつ、チキソトロピック性を保持しているため、塗工時にタレが少なく作業性良好な、無機質基材、特にコンクリートに対し、繊維シート補修工法等を行う際に有用な、コンクリート等の被補修基材表面の表面経時劣化の視認可能な、透明な土木建築補修、補強用光硬化性パテ組成物を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、(A)重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和単量体、(C)光重合開始剤、(D)光透過性を阻害しない充填材からなる土木建築用光硬化性パテであって、前記光硬化性パテ硬化物の光線透過率が60%以上であることを特徴とする土木建築用光硬化性パテ組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パテ硬化物が実質的に透明性を有し、温度依存性の小さい光硬化性のために施工時間を短縮でき、かつ、補修基材面の表面経時劣化を確認可能な視認性を持ち、かつ、チキソトロピック性を保持しているため、塗工時にタレが少なく作業性良好な、無機質基材、特にコンクリートの繊維シート補修補強工法に有用な、土木建築用光硬化性パテ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは耐用年数が長いため、道路や鉄道のトンネル、橋脚、支柱や、屋内外の床面、建物の構造等、さまざまな分野で幅広く利用されている。しかしながら近年、1)コンクリートの中性化;長時間大気中の二酸化炭素ガスに暴露されたことにより、強いアルカリ性を持つコンクリートの中性化が進行し、内部の鉄筋まで到達後、鉄筋の腐食が進行、堆積が増大してコンクリートクラックを生じる、2)コンクリートの塩害;塩化物イオンによって鉄筋表面の酸化皮膜が侵される、3)アルカリ骨材反応;コンクリート中のアルカリ分と骨材のシリカ成分の反応から膨張性のゲル化物質を生成し、これが吸水膨張してコンクリートのひび割れ等を発生させる、等の化学的な問題を生じているのに加え、地震、地盤沈下等により、設計以上の負荷がかかり、結果としてひび割れ、崩壊、崩落、等の物理的問題も生じている。
【0003】
これらの課題を解決するために、各種補強、補修等のメンテナンス法が多く提案されている。例えば、コンクリート基材面上にビニルエステル樹脂をプライマーとして塗布、硬化させ、プライマー層の表面にビニルエステル系のパテ組成物を塗布し、この上に含浸用樹脂としてビニルエステル樹脂を用いて炭素繊維シートに含浸させて硬化させ補強する方法(特許文献1)、水系エマルジョン樹脂と粉体からなるモルタルでコンクリート表面を下地処理した後、ラジカル重合性樹脂、光重合開始剤、充填材、強化繊維からなる光硬化性プリプレグシートを貼り付け、端部をパテで封止する方法(特許文献2)、光硬化開始剤を含む熱硬化性樹脂を床面に塗布し、その上に光硬化開始剤を含む熱硬化性樹脂に無機質または有機質充填材を配合した配合物を塗布し、その上に光硬化性プリプレグシートを貼り付ける方法(特許文献3)等が提案されており、これら方法の中でパテが使用されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3602713号公報
【特許文献2】特開2004−181934号公報
【特許文献3】特開2004−293161号公報
【0005】
しかしながら、これらの補修・補強方法におけるパテは、充填材量が多く、あるいは使用される充填材がタルク、炭酸カルシウム等であるため、硬化物の透明性が大変低く、コンクリート表面の経時劣化が視認できない、あるいは1液型でないため現場での配合操作を有し、結果施工にかかる時間が長くなる、あるいは乾燥性が良くないため硬化物表面性能が劣る、等の課題があった。
【0006】
一方、光硬化型のパテ組成物も多く提案されている。例えば、エチレン性不飽和基含有樹脂、充填材、可視光領域に吸収を有する触媒、加熱により活性化する触媒からなる光硬化パテ(特許文献4)、重合性不飽和基含有樹脂、重合性不飽和単量体、可視光重合触媒、紫外光重合触媒からなるパテ組成物(特許文献5、6)、等が提案されている。
【0007】
【特許文献4】特開平8−60044号公報
【特許文献5】特開平11−140352号公報
【特許文献6】特開2000−204297号公報
【0008】
しかしながら、これらのパテにおいても、充填材量が多かったり、あるいは使用される充填材がタルク等であったり、あるいは視認性を損なう量の着色剤等が配合されていたりするため、被塗工体の表面状況が確認できない、等の課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、パテ硬化物が実質的に透明性を有し、温度依存性の小さい光硬化性のために施工時間を短縮でき、かつ、チキソトロピック性を保持しているため、塗工時にタレが少なく作業性良好な、無機質基材、特にコンクリートに対し、繊維シート補修工法等を行う際に有用な、コンクリート等の被補修基材表面の表面経時劣化の視認可能な、透明な土木建築補修、補強用光硬化性パテ組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、(A)重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和単量体、(C)光重合開始剤、(D)充填材、からなる土木建築用光硬化性パテ組成物であって、前記光硬化性パテ硬化物の光線透過率が60%以上であることを特徴とする土木建築用光硬化性パテ組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパテ組成物は、適度な透明外観を有し、かつパテ硬化物が透明性を有し、光硬化性のために施工時間を短縮でき、かつ、適度なチキソトロピック性を保持しているため、塗工時にタレが少なく作業性良好であり、かつ、補修基材面の表面経時劣化を確認可能な透明視認性を持つため、特にコンクリートの繊維シート系補修・補強工法に対し、施工後のメンテナンスを容易にできる、極めて有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[光線透過率]
本発明において用いられる「光線透過率」なる技術用語は、前記(A)、(B)、(C)、(D)からなる本発明の光硬化性パテ組成物の硬化物を23℃の雰囲気で、JIS K 7105 規定に基づき、次に述べる測定方法で測定されるものである。
【0013】
<測定方法>
1)前記(A)〜(D)からなるパテ組成物を脱泡後、離型処理されたガラス板の端部に厚み2mmとなるように堰を設け、そのガラス板に流し延べ、その上から気泡が入らぬよう、PETフィルムで覆い、屋外光にて2時間硬化させる。
2)硬化後、ガラス板から硬化物を剥がし、さらに覆ったPETフィルムを剥がして得られた厚さ2mmの板状硬化物から、5cm×5cmの試験片を切り出し、23℃、湿度50%の恒温室に2日以上放置する。
3)あらかじめ状態調節を施しておいた装置(日本電色工業株式会社製「NDH−300A」に、2)で準備した試験片を取り付け固定する。
4)測定される全光線透過率(TL)を光線透過率とする。
【0014】
本発明の透明とは、コンクリート舗道板表面にフォントサイズ8ポイントの数値等の文字を記載した紙を載せ、その上に硬化物試験片を置き、上からはっきり読めるものをいう。この目視で確認した際に、確認できる場合をパテ硬化物の視認性が優れると言う。これは、前記のパテ硬化物の光線透過率60%以上との条件を満たすことが重要である。60%未満では、視認が困難で、視認性に優れると言えない。
【0015】
[粘度、TI]
本発明において用いられる「粘度」「TI」なる技術用語は、前記(A)〜(D)からなる本発明の光硬化性パテを25℃にて、JIS K 6901 5.5、5.6 規定に基づき、次に述べる測定方法で測定されるものである。
<測定方法>
1)前記(A)〜(D)からなるパテ組成物をサンプル瓶に入れ、遮光環境下、25℃の恒温水槽で2時間放置した後、BH型粘度計にて20rpm、2rpmの時の粘度を測定する。
2)20rpmで測定した時の数値を粘度、2rpmで測定した時の数値を20rpmで測定した時の数値で除した値が揺変度で、これをTIとする。
【0016】
本発明のパテ組成物は、その硬化物の光線透過率が60%以上に制御され透明である。該硬化物の光線透過率がこの範囲内に制御され、この上下層に、本発明のパテと同様の高い光線透過率を有するプライマー、光硬化型プリプレグシート等を用いてコンクリート等の表面を補修、補強することにより、基材表面の経時劣化を確認可能な視認性を獲得する。また、粘度が、好ましくは50〜10,000dPa・s、TIが好ましくは3.5以上に制御されていることが重要である。粘性がこの範囲に有れば、タレを抑制でき、立ち面(壁)、天井面等への塗工作業時の良好な作業性を獲得する。
【0017】
本発明における重合性不飽和基含有樹脂(A)としては、例えば不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。これらの樹脂の数平均分子量は300より大きいものであるが、樹脂の粘度や樹脂硬化物の物性の点で数平均分子量500〜5000のものが好ましい。これらの樹脂は、単独で使用しても良いし、必要に応じ、2種以上併用しても良い。
【0018】
かかる、重合性不飽和基含有樹脂(A)は、それぞれ通常、重合性不飽和単量体(B)を用いて溶解し、熱硬化性樹脂組成物として使用されるが、(A)および(B)の使用比率としては、好ましくは、前記樹脂(A)10〜95重量部に対して前記単量体(B)5〜90重量部であり、より好ましくは前記(A)20〜90重量部に対して前記(B)10〜80重量部である。
【0019】
本発明の(A)成分である不飽和ポリエステルとしては、α,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコ−ル類、一塩基酸類、モノアルコール類、必要によりジシクロペンタジエン系化合物との付加反応、または脱水縮合反応等によって、公知の方法で合成し、得られるものであり、好ましくは数平均分子量500〜5000の範囲のものである。
【0020】
不飽和ポリエステルを調整するにあたって使用されるα,β−不飽和二塩基酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。飽和二塩基酸としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボン酸、テトラクロロフタル酸及びその無水物、テトラブロモフタル酸及びその無水物、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,12−ドデカン2酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。上記二塩基酸類は、単独で使用しても、二種以上併用して用いても良い。
【0021】
多価アルコ−ル類としては、例えばエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等に代表される2価フェノールとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキシレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオ−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリングリコ−ル等を挙げることができる。上記多価アルコール類は、単独で使用しても、二種以上併用して用いても良い。
【0022】
本発明に使用する不飽和ポリエステルには、性能を損なわない範囲で一塩基酸類を使用しても良い。一塩基酸類としては、例えば安息香酸、ソルビン酸、モノメチルマレート等が挙げられる。更に前記二塩基酸及び一塩基酸に、アセトアセチル酸又は該化合物の酸クロライドを併用することもできる。
【0023】
本発明に使用する不飽和ポリエステルには、性能を損なわない範囲でモノアルコール類を使用することができる。モノアルコール類としては、例えば2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ターシャリーブチルシクロヘキシルアルコール等が挙げられる。
【0024】
本発明に使用する不飽和ポリエステルは、性能を損なわない範囲内でジシクロペンタジエン系化合物により変性したものを使用することも可能である。ジシクロペンタジエン系化合物による変性方法については、種々の公知の方法が可能であり、例えばジシクロペンタジエンとマレイン酸付加生成物(シデカノールモノマレ−ト)を得、これを一塩基酸として用い、ジシクロペンタジエン骨格を導入する方法等が挙げられる。
【0025】
本発明に使用する不飽和ポリエステルは、性能を損なわない範囲内で水酸基含有アリルエーテル化合物を使用しても良い。水酸基含有アリルエーテル化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、うちでも代表的なものにはエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物等が挙げられ、水酸基を1個有するアリルエーテル化合物が好ましい。これらは、単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0026】
本発明の(A)成分であるポリエステル(メタ)アクリレートとは、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する飽和ポリエステル樹脂もしくは不飽和ポリエステル樹脂をいい、飽和ポリエステル樹脂若しくは不飽和ポリエステル樹脂の末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させたものである。かかる樹脂の数平均分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜5000である。
【0027】
前記飽和ポリエステルは、飽和二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものであり、また不飽和ポリエステルはα,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものであり、末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を導入するための官能基を有している。
【0028】
ここでいう飽和二塩基酸類としては、前記した飽和二塩基酸を挙げることができ、α,β−不飽和二塩基酸としては、前記した不飽和二塩基酸を使用することができる。また多価アルコール類としては、前記した多価アルコールを用いることができる。
【0029】
前記ポリエステル(メタ)アクリレートに用いる(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
本発明の(A)成分であるエポキシ(メタ)アクリレートとは、1分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応せしめて、エポキシ基に不飽和一塩基酸の酸基が付加してなる不飽和基含有樹脂を指称し、好ましくはジ(メタ)アクリレートおよび/またはトリ(メタ)アクリレートにかかるものである。不飽和基含有エポキシ樹脂の平均エポキシ当量が、好ましくは100〜500なる範囲内にあるようなエポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを、エステル化触媒の存在下で反応せしめて得られるものであり、エポキシ樹脂としては次に例示されるような化合物が代表的なものとして挙げられる。
【0031】
末端エポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応物、水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、シクロヘキサンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、ノルボルナンジアルコールとエピクロルヒドリンとの反応物、テトラブロモビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応物、トリシクロデカンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物、クレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物、1,6ナフタレンジオールとエピクロルヒドリンとの反応物、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンアリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカーボネート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート等が挙げられる。
【0032】
また、水酸基を2個以上有する化合物の末端水酸基にエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加せしめたグリシジルエーテル型化合物としては、例えば水酸基を2個以上有する化合物に該オキサイドを付加し、エピクロルヒドリンを反応せしめて得られるものである。例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノールエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノールプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ジフェニルエチレンオキサイド付加物、ジフェニルプロピレンオキサイド付加物、等の各グリシジルエーテル型化合物が挙げられる。
【0033】
また、エポキシ基との反応で鎖伸長等の調整のために、水酸基を2個以上有する化合物を使用しても良く、具体的な化合物として、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナンジアルコール、テトラブロモビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、1,6−ナフタレンジオール等が挙げられる。上記エポキシ樹脂は、性能を損なわない範囲で、単独で用いても2種以上併用して用いても良い。
【0034】
エポキシ(メタ)アクリレートを調整するにあたって使用される、不飽和一塩基酸として特に代表的なものを挙げれば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート等があり、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0035】
なお、これらの不飽和一塩基酸は、単独で使用しても2種以上併用して用いても良い。上記したエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、公知の方法で合成することが可能であるが、好ましくは、60〜140℃、特に好ましくは、80〜120℃なる範囲内の温度において、エステル化触媒を用いて行われる。エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との使用量は、酸基/エポキシ基の当量比で好ましくは0.7〜1.3/1、より好ましくは0.8〜1.2/1である。
【0036】
前記エステル化触媒としては、公知慣用の化合物がそのまま使用できるが、そのうちでも特に代表的なもののみを挙げれば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルアニリンもしくはジアザビシクロオクタンの如き、各種のアミン類;またはジエチルアミン塩酸塩、スズ、亜鉛、鉄、クロム、バナジウム、リン含有化合物、などである。
【0037】
また、本発明におけるエポキシ(メタ)アクリレートでは、水酸基の少なくとも一部にカルボキシル基を付与し得る化合物を反応させてカルボキシル基を導入しても良い。カルボキシル基の導入方法としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸の反応により生じた水酸基、すなわち、エポキシ基の開環反応により生成した水酸基に酸無水物を反応させて得ることが好ましい。この反応は、エポキシ(メタ)アクリレートを製造後、エポキシ(メタ)アクリレート中に酸無水物を添加するか、あるいは、エポキシ(メタ)アクリレートと重合性不飽和単量体の混合物中に酸無水物を添加することにより得られる。
【0038】
カルボキシル基を付与し得る化合物の好ましいものである酸無水物としては、代表的なものを挙げれば、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、無水トリメリット酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、等が挙げられる。尚、カルボキシル基を付与し得る化合物としては、上記酸無水物が好ましいが、例えばイソシアネート基とカルボキシル基を有する化合物やシリル基とカルボキシル基を有する化合物等も使用することができる。
【0039】
かかるエポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、500〜3000なる範囲内が好ましい。
【0040】
本発明の(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートとしては、分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含むものである。かかるウレタン(メタ)アクリレートは、例えばポリイソシアネートとポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオール等のポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル化合物とをイソシアネート基と水酸基との当量比がほぼ同じとなるように反応させて得られるものである。
【0041】
ウレタン(メタ)アクリレートを調製するにあたって使用されるポリオールとしては、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール等が挙げられる。またポリオールの数平均分子量は200〜3000のものが好ましく、特に好ましくは400〜2000のものである。
【0042】
前記ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドの他に、ビスフェノールA及びビスフェノールFに上記アルキレンオキサイドを付加させたポリオールも含む。
【0043】
前記ポリエステルポリオールとは、飽和二塩基酸類と多価アルコール類の縮合重合体又はポリカプロラクトンのように環状エステル化合物の開環重合体を意味する。ここで使用する二塩基酸類としては、前記した二塩基酸を挙げることができ、また多価アルコール類としては、前記した多価アルコールを挙げることができる。
【0044】
ポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体または異性体の混合物(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。またポリイソシアネートの市販品としては、例えばバーノックD−750、クリスボンNX(大日本インキ化学工業(株)製品)、デスモジュールL(住友バイエル社製品)、コロネートL(日本ポリウレタン社製品)、タケネートD102(三井武田社製品)、イソネート143L(三菱化学社製)等を挙げることができる。これらの市販品は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。上記ポリイソシアネートのうちジイソシアネート、特にTDIが好ましく用いられる。
【0045】
水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の様な水酸基を2個有するアルコールのモノ(メタ)アクリレート類;α−オレフィンエポキサイドと(メタ)アクリル酸の付加物、カルボン酸グリシジルエステルと(メタ)アクリル酸の付加物;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート等の多価アルコールの部分(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0046】
前記ウレタン(メタ)アクリレートには、硬化時の嫌気性改良のために、アリルエーテル基を該ウレタン(メタ)アクリレートに導入することも可能である。合成方法の点から好ましくは水酸基含有アリルエーテル化合物を用いて導入する。かかる水酸基含有アリルエーテル化合物としては、前記公知慣用のものが使用できる。
【0047】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば先ずポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを、好ましくは数平均分子量500〜30000、特に好ましくは700〜5000になるようにNCO/OH=2〜1.5で反応させ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを生成し、次いでそれに水酸基含有アクリル化合物を該プレポリマーのイソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量となるように反応させる方法が挙げられる。
【0048】
別の方法としては、まず水酸基含有アクリル化合物とポリイソシアネートとを反応させ、次いで得られたイソシアネート基含有化合物とポリエーテルポリオールとを反応させる方法が挙げられる。この方法で得られるウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量500〜30000であることが好ましく、700〜5000であることが特に好ましい。
【0049】
本発明で用いられる重合性不飽和基含有樹脂(A)は、空気乾燥性であることが好ましい。前記空気乾燥性を付与する化合物としては、1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物、2)乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸、3)アリルエーテル基含有ポリオール、4)脂環式二塩基酸、5)ジシクロペンタジエンから成る群から選択されるものが挙げられる。
【0050】
前記1)のアルコリシス化合物としては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の3価アルコール、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等の4価アルコールなどの多価アルコールと、脂肪油、好ましくは乾性油、とりわけヨウ素価130以上の油脂で、例えばアマニ油、大豆油、綿実油、落花生油、やし油等とのエステル交換反応により得られるポリオール化合物である。前記2)の脂肪酸としては、上記脂肪油、好ましくは前記乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸が使用される。前記3)のアリルエーテル基含有ポリオールについては、前記のものを使用することができる。また、前記4)の脂環式二塩基酸としては、例えば、テトラヒドロ(無水)フタル酸、4−メチル−テトラヒドロ(無水)フタル酸、3−メチル−テトラヒドロ(無水)フタル酸、、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボン酸等が挙げられる。
【0051】
空気乾燥性を付与する化合物の導入方法としては、1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物を上記樹脂のアルコール成分として用いる方法、2)酸成分として乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸を用いる方法、3)アリルエーテル基を含有するポリオールをアルコール成分として使用する方法、4)酸成分として脂環式二塩基酸を用いる方法、5)ジシクロペンタジエンと酸或いはグリコールを反応して酸成分、アルコール成分として使用する方法などがある。この際、空気乾燥性を付与する化合物は、他のアルコ−ル成分や酸成分に併用して使用されるのが好ましく、場合によりそれのみをアルコ−ル成分や酸成分として使用することもできる。
【0052】
かかる空気乾燥性を付与する化合物(空気乾燥性付与構成成分)の含有量は、本発明の組成物にワックスなどを添加せずに空気乾燥性を付与することができれば特に制限されないが、重合性不飽和基含有樹脂(A)中、好ましくは3.0〜70モル%(全樹脂成分に於いて)、より好ましくは10〜60モル%である。
【0053】
本発明で用いられる重合性不飽和基含有樹脂(A)は、透明性、強度物性等を損なわなければ、空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂単独であっても、空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂を別の不飽和基含有樹脂と混合して使用しても良い。
【0054】
本発明に使用する重合性不飽和単量体(B)としては、重合性不飽和基含有樹脂(A)と架橋反応が可能となる不飽和単量体等が挙げられる。かかる重合性不飽和単量体としては、ビニル基、または(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。ビニル基を有する単量体の具体的な例としては、スチレン、p−クロルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
【0055】
(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAEO変性(n=2)ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性(n=3)ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ジシクロペンタジエン、ジシクロデカンまたはトリアジンの如き各種誘導体類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等を挙げることができる。これら重合性不飽和単量体は、単独でも2種類以上組み合わせて使用しても良い。
【0056】
本発明に使用する重合性不飽和単量体(B)として、硬化物の耐衝撃性、耐熱水性、耐薬品性等の性能を向上させる必要がある場合には、一分子中に少なくとも2個以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を使用しても良い。この一分子中に少なくとも2個の重合性二重結合を有する化合物としては、多官能の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。多官能の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのようなアルカンジオールジ−(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上の併用して用いられる。
【0057】
さらに前記重合性不飽和単量体(B)としては、空乾性を付与する不飽和単量体を用いることもでき、例えばジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等のアクリル酸誘導体、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロ〔5-2−1-02,6〕デカニルアクリレート等を挙げることができ、またエポキシ反応性希釈剤等も使用できる。
【0058】
本発明で用いられる光重合開始剤(C)としては、特に限定されるものではないが、公知の光重合開始剤、特に紫外光から可視光領域の何れかに感光性を有するものを使用することができる。紫外光領域に感光性を有する重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンジルケタール系、(ビス)アシルホスフィンオキサイド系をはじめとする公知の開始剤を使用することができる。
【0059】
また、可視光領域に感光性を有する重合開始剤としては、カンファーキノン、ベンジルトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィノキサイド、メチルチオキサントン、ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)等の単独の可視光重合開始剤の他、有機過酸化物/色素系、ジフェニルヨード塩/色素系、イミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリルビイミダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカプトベンゾチアゾール/チオピリリウム塩、金属アレーン/シアニン色素等のヘキサアリルビイミダゾール/ラジカル発生剤等の公知の複合開始剤系等が挙げられる。これらは、成形条件等に応じて適宜選択され、少なくとも一種単独で、場合により2種以上併用して用いられ、通常(A)重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和単量体との合計100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部配合して使用される。
【0060】
本発明には、光硬化の補助的に、必要に応じて有機過酸化物系重合開始剤を使用することも可能である。配合される有機過酸化物系重合開始剤としては、代表的なものを挙げるにとどめれば、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等公知のものが挙げられる。これら有機過酸化物は、温度等の成形条件、作業性等に応じて適宜選択され、少なくとも一種単独で、場合により2種以上併用して用いられ、通常(A)重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和単量体との合計100重量部に対して、0.3〜5重量部配合して使用される。
【0061】
本発明に使用される光透過性を阻害しない充填材(D)としては、本発明のパテ硬化物の透明性、視認性、強度物性、耐水性、耐薬品性等の諸性能を損なわない限り、材質等、特に限定されるものではないが、例えば、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム粉、水酸化アルミニウム、ガラス粉、ガラスパウダー、ガラスミルドファイバー、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、クレー、アルミナ粉、珪砂、硅石粉、タルク、シリカパウダー、シラスバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、有機系バルーン、マイカ、セルロース糸、雲母粉末などが挙げられ、表面処理剤で表面処理されたものから未処理品まで幅広く使用することが可能である。これらの中でも、透明性の保持や、材料粘性の観点から、ヒュームドシリカ、ガラスパウダー、ガラス粉、ガラスミルドファイバー、シリカパウダー等が特に好ましい。
【0062】
上記充填材(D)は、性能を損なわない範囲内で、単独で使用しても、二種以上併用して用いても良い。また、充填材の添加量としては、透明性、視認性等の性能を維持するには、重合性不飽和基含有樹脂(A)と重合性不飽和単量体(B)の合計100重量部に対し、0.1〜50重量部未満添加することが好ましい。
【0063】
本発明のパテ組成物には、重合禁止剤が好ましく使用され、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、パラベンゾキノン、トルハイドロキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル等のピペリジン誘導体等を添加できる。好ましくは重合性不飽和基含有樹脂(A)、重合性不飽和単量体(B)の合計100重量部に対し、10〜1000ppm、好ましくは50〜900ppm添加し得るものであり、単独であるいは2種以上併用して使用することができる。
【0064】
さらに、本発明のパテ組成物には、光硬化補助として添加可能である有機過酸化物配合時の促進剤として、有機金属石鹸類、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクテン酸バナジル、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウムが挙げられ、金属キレート化合物としては、バナジルアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネートがある。またアミン類にはN,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、ジエタノールアニリン等がある。これらの添加量は、前記(A)、(B)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部使用する。なお、重合促進剤は予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。
【0065】
本発明のパテ組成物には、表面乾燥性を向上させる目的で、コバルト系、バナジウム系、マンガン系等の有機酸金属石鹸類を併用してもよい。その添加量としては、重合性不飽和基含有樹脂(A)、重合性不飽和単量体(B)の合計100重量部に対し、好ましくは0.001〜5重量部である。
【0066】
本発明のパテ組成物には、カップリング剤を使用しても良い。通常重合性不飽和基含有樹脂に用いられ、マトリックス樹脂と無機質材料との密着性を改善するものを指す。かかるカップリング剤としては、代表的には有機ケイ素系化合物或いは有機クロム系化合物である。有機ケイ素系化合物としては、一般式RSiX3 (但し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基を含む一価の炭化水素基、もしくはハイドロカーボンオキシ基、Xは塩素又は加水分解し得る有機基、例えばアルコキシ基を示す)で表される化合物が好ましい。又、有機クロム系化合物としては、一般式RCrX(但し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基を含む一価の炭化水素基、もしくはハイドロカーボンオキシ基、もしくはハイドロオキシ基、Xは塩素又はアルコキシ基又はハイドロオキシ基を示す。)で表される有機クロム系化合物が好ましい。
【0067】
カップリング剤を具体的に例示すれば、(メタ)アクリレートクロミッククロライドもしくはその加水分解物、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)11−ウンデシルトリメトキシシラン、4−(1−メタクリロキシ−4−メチル−2−フェニル)1−エチルトリメトキシシラン、メタクリレートクロミッククロライド、メタクリレートクロミックハイドライド等を挙げることができる。
【0068】
本発明で使用されるより好ましいカップリング剤としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基やフェノキシ基を有するシリル基と(メタ)アクロイル基とを有する化合物であり、具体的には(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは1種単独でも併用しても構わない。更に、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基やアミノ基を有するシランカップリング剤を併用しても良い。
【0069】
カップリング剤の使用量は、通常(A)重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和単量体との合計100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
【0070】
本発明のパテ組成物は、斜面、垂直面、天井面等への塗布の際の垂れ防止の為、粘度の高い液状のものであることが好ましい。その粘度は、好ましくは50〜10000dPa・sである(25℃)。また、その際のチクソインデックス(TI)は、好ましくは、3.5以上である。その測定は、BH型粘度計(東機産業(株)製)で測定した値である。
【0071】
また、本発明のパテ組成物には、透明性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、増粘剤、顔料・染料等の着色剤、消泡剤、破泡剤等を添加しても良い。
【0072】
本発明のパテには、パテの空気乾燥性(空気硬化性)を改良する目的と、硬化収縮を低減する目的で、透明性を損なわない範囲で、低収縮化剤として熱可塑性樹脂を添加することができる。かかる熱可塑性樹脂の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエステル類、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどの単量体の単独重合体又は共重合体類、前記ビニル単量体の少なくとも1種と、ラウリルメタクリレート、イソビニルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸、セチルステアリル(メタ)アクリレートよりなる重合体の少なくとも1種の共重合体などのほか、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、飽和ポリエステル等を挙げることができる。かかる低収縮化剤を添加する場合、その添加量は重合性不飽和基含有樹脂(A)、重合性不飽和単量体(B)の合計100重量部に対し、2〜30重量部が好ましい。
【0073】
また、透明性を損なわない範囲で、増粘剤を使用しても良い。増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム、酸化亜鉛等が挙げられる。また、イソシアネート系増粘剤、膨潤性熱可塑性樹脂パウダーも場合により使用することができる。増粘剤の配合量としては、好ましくは不飽和基含有重合性樹脂と不飽和単量体の合計100重量部に対し、0.2〜10重量部とすることが好ましい。
【0074】
本発明では、光線透過率、視認性を低下させない範囲で有れば、着色剤を使用しても良い。具体的には、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄等の無機顔料や、フタロシアニンブルー等の有機顔料、染料等が挙げられる。これら着色剤の配合量としては、好ましくは不飽和基含有重合性樹脂と不飽和単量体の合計100重量部に対し、好ましくは0〜10重量部以下である。
【0075】
本発明のパテ組成物は、道路や鉄道のトンネル、橋脚、床盤、支柱や、屋内外の床・壁・天井面、建物の構造等土木建築物のセメントコンクリートが使用されている部位において、直接、或いはプライマーを介して幅広く使用することができる。
【0076】
本発明において、紫外光とは280〜380nm、可視光とは380〜780nmの波長領域の光線を指す。本発明のパテ組成物を硬化する際に使用する光源としては、光重合開始剤の感光波長域に分光分布を有する光源で有れば特に限定するものでは無く、例えばナトリウムランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、メタルハライドランプ、水銀灯、高圧水銀灯、太陽光等を好ましく使用することができる。
【実施例】
【0077】
以下に、本発明を実施例と比較例で詳細に説明するが、文中「部」、「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、表1〜2での配合は「部」である。
【0078】
<パテ用樹脂Aの製造>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコにジエチレングリコール2.5モル、ジプロピレングリコール1モル、無水フタル酸0.5モル、テレフタル酸1.2モル、アジピン酸0.5モル、無水マレイン酸1モルを仕込み、この合計に対し、エステル化触媒としてモノブチルチンオキサイドを0.5重量%添加し、窒素気流下、205℃で15時間脱水縮合反応させて、パテ用不飽和ポリエステル樹脂Aを得た。
【0079】
<パテ用樹脂Bの製造>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコにジエチレングリコール3モル、トリエチレングリコール7モル、オルソフタル酸5モル、メチルテトラ無水フタル酸5モルを仕込み、この合計に対し、エステル化触媒としてジブチルチンオキサイドを0.5重量%、トルハイドロキノン0.1重量%添加し、205℃で15時間脱水縮合反応させた後、135℃まで冷却し、次いでグリシジルメタクリレートを所定量投入し4時間反応させて、パテ用ポリエステルメタクリレート樹脂Bを得た。
【0080】
<パテ用樹脂Cの製造>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、ジエチレングリコール4.5モル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル1モル、フマル酸4.8モルを仕込み、窒素気流下、190℃にて15時間脱水縮合反応させて、パテ用空気乾燥性不飽和ポリエステル樹脂Cを得た。
【0081】
実施例1〜5、比較例1〜3[パテの調製]
上記で得られた重合性不飽和基含有樹脂を、表1に示す比率でまず、不飽和単量体に溶解し、液状樹脂を得た。次に、表1に示す各種成分を配合し、高速回転ディゾルバーにて配合し、巻き込んだ気泡を除去して、実施例1〜5、比較例1〜3のパテを調製した。
【0082】
[硬化物試験片の作成]
ガラス板の端部に厚み2mmとなるように堰を設け、そのガラス板に流し延べ、その上から気泡が入らぬよう、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムで覆い、晴天時に屋外光にて1時間硬化させ、これを離型し、5cm×5cmの大きさに機械的に切り出した。
【0083】
<可使時間>
晴天時の屋外光にてヘラ等により、引き延ばすことができなくなる時間を可使時間とした。
<配合後の外観>
目視にて、配合後のパテの外観を確認した。透明性があり、視認性の期待できそうなものを○、そうでないものを×とした。
【0084】
<パテ硬化物の視認性>
コンクリート舗道板表面にフォントサイズ8ポイントの数値等の文字を記載した紙を載せ、その上に硬化物試片を置き、上からはっきり読めるか否かを目視で確認する。
【0085】
<パテ硬化物の光線透過率>
JIS K 7105 規定に基づき、前記切り出した試片を、23℃、湿度50%の恒温室に2日以上放置した。そして、あらかじめ状態調節を施しておいた装置(日本電色工業株式会社製「NDH−300A」に、試片を取り付け固定し、測定される全光線透過率を光線透過率とした。
【0086】
<粘度、TI>
JIS K 6901 5.5、5.6 規定に基づき、以下のように測定した。前記パテをサンプル瓶に入れ、遮光条件にて、25℃の恒温水槽で2時間放置した後、BH型粘度計にて20rpm、2rpmの時の粘度を測定する。20rpmで測定した時の数値を粘度、2rpmで測定した時の数値を20rpmで測定した時の数値で除した値が揺変度で、これをTIとした。
【0087】
【表1】

6%Co−Oct:大日本インキ化学工業(株)製、オクチル酸コバルト
SM:スチレンモノマー、
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、
MMA:メチルメタクリレート
【0088】
【表2】

【0089】
まず、可使時間については、実施例パテも比較例パテも短く、非常に良好であったが、実施例1〜5の光硬化性パテは、目視においても視認性良好であったのに対し、比較例1〜3の光硬化性パテは、著しく視認性に劣るものであった。また、この評価は、光線透過率の測定結果においても大きな差となって現れた。
(この時点で本発明における目標は達せられなかったため、粘度、TIについては、実施例のパテのみ評価した。)
【0090】
これら実施例・比較例から、本発明の光硬化性パテは、非常に透明性に優れ、適度な粘性をもち、付着性も良好なものであることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のパテ組成物は、パテ硬化物が実質的に透明性を有しているので、経時的に視認観察を要する分野に利用できる。特に土木建築物のコンクリートの補修補強工法に対し、施工後のメンテナンスを容易にできるという、極めて有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重合性不飽和基含有樹脂、(B)重合性不飽和単量体、(C)光重合開始剤、(D)光透過性を阻害しない充填材からなる土木建築用光硬化性パテであって、前記光硬化性パテ硬化物の光線透過率が60%以上であることを特徴とする土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項2】
前記充填材(D)の含有率が、前記(A)+(B)の合計100重量部に対し、0.1〜50重量部未満であることを特徴とする請求項1に記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項3】
前記充填材(D)が、ヒュームドシリカ、ガラスパウダー、ガラスミルドファイバーの何れか1種以上であることを特徴とする請求項1〜2何れか一つに記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項4】
パテ組成物の粘度が、50〜10,000dPa・sであることを特徴とする請求項1〜3何れか一つに記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項5】
パテ組成物のチクソインデックス(TI)が、3.5以上であることを特徴とする請求項1〜4何れか一つに記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項6】
前記重合性不飽和基含有樹脂(A)が、不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項7】
重合性不飽和基含有樹脂(A)が、空気乾燥性である重合性不飽和基含有樹脂であって、その構成成分である空気乾燥性を付与する化合物が、1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物、2)乾性油をけん化して得られる脂肪油脂肪酸、3)アリルエーテル基含有アルコール、またはポリオール、4)脂環式二塩基酸及び5)ジシクロペンタジエンからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項8】
前記重合性不飽和基含有樹脂(A)に於ける空気乾燥性付与構成成分の含有量が、3.0〜70モル%である請求項7に記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項9】
光重合開始剤(C)が、可視光領域、紫外光領域に感光性を有する何れか1種以上であることを特徴とする請求項1〜6何れか一つに記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。
【請求項10】
さらに、有機金属石鹸類を含有することを特徴とする、請求項1〜6、9何れか一つに記載の土木建築用光硬化性パテ組成物。

【公開番号】特開2006−274145(P2006−274145A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97869(P2005−97869)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】