説明

圧入装置

【課題】パンチテーブルのスライド方向に直交する方向の幅寸法を縮小することができる圧入装置を提供すること。
【解決手段】圧入装置1は、圧入ワーク8を支持する回転テーブル4と、圧入部品82を押し出すパンチ2と、パンチ2を配設して、回転テーブル4の回転平面方向に対して平行な方向へスライドさせるパンチテーブル25と、を備えている。圧入装置1は、圧入ワーク8に形成された圧入穴81の回転位置を、回転テーブル4を回転させて変更する一方、圧入部品82のスライド位置を、パンチテーブル25をスライドさせて変更して、回転位置とスライド位置とを一致させ、パンチ2によって圧入部品82を圧入穴81へ圧入するよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧入部品を圧入ワークの圧入穴へ圧入する圧入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の圧入ワークにおける圧入穴に対して圧入部品を圧入するに当たっては、圧入ワークの位置をテーブル等に固定しておき、圧入パンチを、圧入ワークにおける各圧入穴の平面方向の適宜位置に移動させている。そして、圧入部品は、圧入穴に予め配置しておくか、圧入パンチの側に把持させておき、圧入パンチを下降させて圧入部品を圧入穴に圧入している。
また、例えば、特許文献1の遊技機用圧入装置においては、加圧駆動部により昇降駆動される加圧体に対して、複数の圧入パンチを磁力によって水平方向で位置変更自在に装着することが開示されている。これにより、複数の圧入パンチの平面方向の位置を適宜変更することができ、圧入位置が異なる種々の製品に対して柔軟に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−300027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の圧入装置においては、X方向及びY方向の両方向に圧入パンチを移動させるために、装置の平面方向の寸法を大きくせざるを得ない。また、特許文献1に開示された圧入装置においては、複数の圧入パンチを装着する加圧体の平面方向の寸法を大きくせざるを得ない。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、パンチテーブルのスライド方向に直交する方向の幅寸法を縮小することができる圧入装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧入ワークを支持して、回転駆動源によって回転する回転テーブルと、
圧入部品を把持する把持部を有し、パンチ駆動源によって上記把持部から上記圧入部品を押し出すよう構成したパンチと、
該パンチ及び上記パンチ駆動源を配設し、スライド駆動源によって上記回転テーブルの回転平面方向に対して平行な方向へスライドさせるパンチテーブルと、を備えており、
上記圧入ワークに形成された圧入穴の回転位置を、上記回転テーブルを回転させて変更する一方、上記圧入部品のスライド位置を、上記パンチテーブルをスライドさせて変更して、上記回転位置と上記スライド位置とを一致させ、上記パンチによって上記圧入部品を上記圧入穴へ圧入するよう構成してあることを特徴とする圧入装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の圧入装置は、回転テーブルの回転とパンチのスライドとを組み合わせることにより、圧入ワークにおける適宜位置に形成された圧入穴へ、圧入部品を圧入することができるものである。
圧入ワークの圧入穴に圧入部品を圧入するに当たっては、回転テーブルに圧入ワークを支持し、パンチの把持部に圧入部品を把持する。次いで、圧入ワークに形成された圧入穴の回転位置を、回転駆動源によって回転テーブルを回転させて変更し、また、把持部に把持した圧入部品のスライド位置を、スライド駆動源によってパンチテーブルをスライドさせて変更する。こうして、圧入穴の回転位置と圧入部品のスライド位置とを一致させ、パンチ駆動源に駆動されるパンチによって圧入部品を圧入穴へ圧入する。
このように、本発明の圧入装置においては、パンチテーブルを一方向にのみスライドさせる構造を採用している。それ故、本発明の圧入装置によれば、パンチテーブルのスライド方向に直交する方向の幅寸法を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例にかかる、圧入装置を、側方から見た状態で示す説明図。
【図2】実施例にかかる、圧入装置を、図1と直交する側方から見た状態で示す説明図。
【図3】実施例にかかる、圧入装置を、図2のA−A線矢視によって示す平面図。
【図4】実施例にかかる、圧入装置を、上方から見た状態で示す平面図。
【図5】実施例にかかる、圧入穴の回転位置と圧入部品のスライド位置とを一致させた状態の圧入装置を、側方から見た状態で示す説明図。
【図6】実施例にかかる、パンチを下降させる状態の圧入装置を、側方から見た状態で示す説明図。
【図7】実施例にかかる、圧入ワークがバックアップに接触する状態の圧入装置を、側方から見た状態で示す説明図。
【図8】実施例にかかる、圧入穴に圧入部品を圧入した状態の圧入装置を、側方から見た状態で示す説明図。
【図9】実施例にかかる、図6における圧入穴及び圧入部品の周辺を拡大して示す説明図。
【図10】実施例にかかる、図7における圧入穴及び圧入部品の周辺を拡大して示す説明図。
【図11】実施例にかかる、圧入ワークが姿勢を変化させたときの圧入穴及び圧入部品の周辺を拡大して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述した本発明の圧入装置における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記圧入部品は、上記圧入穴へ外周部を圧入するリング状の部品であり、上記パンチテーブルは、上記パンチの軸中心が上記回転テーブルの回転中心の上を通る状態でスライドすることが好ましい(請求項2)。
この場合には、圧入部品の平面方向の向きを特定する必要がなく、圧入穴の形成位置が異なる多品種の圧入ワークに対して、圧入部品を容易に圧入することができる。また、パンチテーブルの平面方向におけるスライド方向(一方向)に直交する方向の幅寸法をさらに効果的に縮小することができる。
【0010】
また、上記回転テーブル及び上記パンチテーブルは、架台に対して配設してあり、上記パンチテーブルは、上記架台において上記回転テーブルに対する上方に設けた架台上部に対して配設してあり、該架台上部は、上記パンチテーブルのスライド方向の両側において上記架台に支持してあり、かつ、上記架台上部には、上記パンチテーブルのスライド方向に沿った長穴が形成してあり、上記パンチテーブルは、上記架台上部の上方位置において、上記長穴に対して上記スライド方向に直交する両側に配設したリニヤガイドによって案内されてスライドするよう構成してあり、上記パンチは、上記長穴を通して下方に垂下する状態で、上記パンチテーブルから下方に突出して配設してあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、パンチ及び架台の構成が適切であり、パンチが圧入部品を圧入ワークの圧入穴に圧入する際の荷重を、架台の架台上部によって安定して受けることができる。
【0011】
また、上記圧入装置は、上記圧入ワークを間に介して上記パンチの直下位置に対向するバックアップを備えており、上記圧入ワークと上記バックアップとの間に隙間を形成しておき、上記圧入部品を上記圧入ワークに形成した圧入穴に圧入する際には、上記パンチによって上記圧入部品を介して上記圧入ワーク及び上記回転テーブルを上記バックアップに対して下降させ、上記圧入ワークにおける上記圧入穴の形成位置の下方を上記バックアップに接触させるときに、上記回転テーブルに対する上記圧入ワークの支持状態が変化して、上記圧入部品の圧入方向に対して上記圧入穴の軸方向を一致させることができるよう構成してあることが好ましい(請求項4)。
【0012】
この場合には、パンチによって圧入部品を圧入ワークに形成された圧入穴へ圧入する際には、テーブルに支持した圧入ワークとバックアップとの間には、隙間を形成しておく。
次いで、パンチを下降させたときには、圧入部品が圧入ワークの圧入穴に接触し、圧入部品を介して圧入ワーク及び回転テーブルが下方に押される。そして、圧入ワークにおける圧入穴の形成位置の下方にバックアップが接触する。
【0013】
このとき、圧入部品の圧入方向に対して圧入穴の軸方向が若干傾いている場合には、圧入ワークが下降する過程において、圧入ワークがバックアップに接触することにより、回転テーブルに対する圧入ワークの支持状態が変化する。これにより、圧入部品の全周が圧入穴に接触し、圧入部品の圧入方向に対して圧入穴の軸方向を一致させた状態で、パンチによる加圧力をパンチの直下位置にあるバックアップによって受け止めて、圧入部品を圧入穴に圧入することができる。
そのため、圧入穴と圧入部品とにかじりが生じないようにして、圧入穴に対して圧入部品を垂直に圧入することができる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の圧入装置にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の圧入装置1は、図1〜図3に示すごとく、圧入ワーク8を支持して、回転駆動源41によって回転する回転テーブル4と、圧入部品82を把持する把持部21を有して、パンチ駆動源22によって把持部21から圧入部品82を押し出すよう構成したパンチ2と、パンチ2及びパンチ駆動源22を配設して、スライド駆動源23によって回転テーブル4の回転平面方向に対して平行な方向へスライドさせるパンチテーブル25と、を備えている。圧入装置1は、図5〜図8に示すごとく、圧入ワーク8に形成された圧入穴81の回転位置(周方向位置)を、回転テーブル4を回転させて変更する一方、圧入部品82のスライド位置を、パンチテーブル25をスライドさせて変更して、回転位置とスライド位置とを一致させ、パンチ2によって圧入部品82を圧入穴81へ圧入するよう構成してある。
【0015】
以下に、本例の圧入装置1につき、図1〜図11を参照して詳説する。
図3に示すごとく、本例の圧入装置1は、複数種類の圧入ワーク8の圧入穴81に対して圧入部品82の圧入ができるようにしている。圧入ワーク8には、複数箇所に圧入穴81が形成してあり、本例の圧入装置1は、複数箇所の圧入穴81に対して順次圧入部品82を圧入するよう構成してある。圧入装置1は、パンチテーブル25によって直線状にスライドするパンチ2の直線軌跡(スライド軌跡)Lと、回転テーブル4によって回転する圧入ワーク8における圧入穴81の回転軌跡Rとが交わることを利用して、圧入ワーク8の2次元平面の任意の位置に形成された圧入穴81に対して、パンチ2に把持する圧入部品82を圧入するよう構成したものである。
【0016】
図1に示すごとく、圧入ワーク8は、自動変速機に用いるケース部品であり、複数の圧入穴81は、ケース部品の一方側に形成されている。本例の圧入部品82は、圧入穴81へ外周部を圧入するリング状の部品としてのベアリングである。
本例の圧入ワーク8は、圧入ワーク8を支持する支持部72を設けたパレット7に載置して搬送可能である。パレット7は、ベースプレート71に対して、支持部72を設けてなる。支持部72は、ベースプレート71の複数箇所から上方に突出して、圧入ワーク8の各部を支持するよう構成されている。圧入ワーク8は、複数の支持部72の上に載置される。
【0017】
図1、図2に示すごとく、圧入装置1は、工場の床面に設置する架台11に対して、回転テーブル4、パンチ2等の構成部分を配設してなる。架台11には、パレット7を載置する搬送台45が設けてあり、圧入ワーク8を支持するパレット7は、搬送台45に搬入され、圧入部品82の圧入を行った後に搬送台45から搬出されるよう構成してある。
搬送台45は、回転テーブル4によって持ち上げることができるよう、架台11に位置決めを行って載置されている。
【0018】
次に、回転テーブル4について説明する。
本例のテーブル4は、回転駆動源41によって回転可能に構成した回転テーブル4である。回転テーブル4は、パレット7を下方から支持するとともに、パンチ2によって下方に押されるときにはパンチ2の加圧力よりも小さな上方への対抗力を生じさせるよう構成してある。
図1に示すごとく、回転テーブル4は、昇降駆動源33によって昇降可能である。回転テーブル4の上記対抗力は、昇降駆動源33による推力によって発生させる。昇降駆動源33は、回転テーブル4及び回転駆動源41の全体を昇降させるよう構成してある。回転テーブル4は、鉛直方向に配される回転軸線Oの回りに回転可能であり、パンチ2は、鉛直方向に昇降可能である。
【0019】
架台11には、昇降駆動源33によって昇降可能な昇降ベース3が配設してあり、回転テーブル4は、回転駆動源41とともに昇降ベース3に配設してある。昇降駆動源33は、モータ及びボールねじによって構成されており、モータによる回転力をボールねじによって鉛直方向への推力に変換し、鉛直方向に昇降ベース3を昇降させるよう構成されている。
回転テーブル4は、昇降駆動源33におけるモータの位置制御を行って昇降し、昇降駆動源33におけるモータのトルク制御を行って上記対抗力を発生させるよう構成されている。
【0020】
図1に示すごとく、架台11には、昇降ベース3の鉛直方向へのスライドを案内するリニヤガイド32が鉛直方向に配設してある。
昇降ベース3には、リング状の回転ガイド31が配設してあり、回転テーブル4には、回転ガイド31に沿って転がり接触する転がり部材42が配設してある。また、回転駆動源41はモータによって構成されており、このモータの出力軸に設けたギヤは、回転テーブル4に設けたギヤに噛合している。
【0021】
図1〜図3に示すごとく、パレット7を載置して搬送する搬送台45は、複数のローラ451を並べて形成したコンベヤによって構成してある。搬送台45は、圧入装置1の外部にある前工程からパレット7を受け入れ、圧入装置1の外部にある後工程へパレット7を受け渡すために用いる。
本例の昇降駆動源33は、昇降ベース3及び回転テーブル4を上昇させることにより、架台11に載置した搬送台45及びパレット7を持ち上げるよう構成してある。
【0022】
回転テーブル4には、パレット7に形成した複数の位置決め穴に挿入する位置決めピン43と、搬送台45に形成した複数の位置決め穴に挿入する位置決めピンとが設けてある。搬送台45及びパレット7が昇降駆動源33によって上昇位置に持ち上げられたときには、搬送台45及びパレット7は回転テーブル4に対して位置決めされる。そして、上昇位置において、回転駆動源41によって回転テーブル4を回転させることにより、パレット7に保持する圧入ワーク8の圧入穴81を回転軸線Oの回りの任意の回転位置に移動させることができる。
【0023】
次に、バックアップ5について説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の圧入装置1は、パンチ2の直下位置においてパンチ2による加圧力を受けるバックアップ5を備えている。本例のバックアップ5は、回転テーブル4に対して上下に摺動可能に保持してある。バックアップ5は、パレット7に形成した貫通穴を通ってパレット7の上方に突出させるよう構成してある。
バックアップ5は、圧入ワーク8の下面を受ける荷重受け部51と、荷重受け部51の下方に設けた摺動部52とによって構成してある。回転テーブル4には、その上下に貫通して軸受部44が配設してあり、バックアップ5の摺動部52は、軸受部44の摺動穴441に挿通して上下に摺動可能である。
【0024】
本例においては、圧入穴81の形成数・形成位置等が異なる複数種類の圧入ワーク8に対して圧入部品82の圧入を可能にするために、バックアップ5を配設した回転テーブル4は、昇降ベース3に対して着脱可能にしている。そして、各圧入部品82を支持する支持部72を形成した複数種類のパレット7に対応して、複数種類の回転テーブル4を準備しておく。
【0025】
次に、パンチ2について説明する。
図1に示すごとく、パンチ2は、回転テーブル4に対する上方に設けた架台上部12に対して配設してある。パンチ2及びパンチ駆動源22は、架台上部12に配設したパンチテーブル25に配設してある。本例のパンチ2は、パンチテーブル25に設けたパンチ着脱部24に対して着脱可能であり、架台上部12には、複数種類のパンチ2がパンチホルダ27に保持してある。そして、パンチホルダ27に保持した各パンチ2は、パンチ着脱部24に対して1つずつ付け替え可能になっている。
【0026】
図2、図4に示すごとく、パンチテーブル25は、スライド駆動源23によって回転テーブル4の回転平面方向に対して平行な方向へスライド可能である。パンチテーブル25は、パンチ2の軸中心が回転テーブル4の回転中心(回転軸線O)の上を通る状態でスライドするよう構成してある。
架台上部12は、パンチテーブル25のスライド方向Sの両側において架台11に支持してある。本例の架台上部12は、架台下部13から立設した4本の支柱14によって支持してある。また、架台上部12には、パンチテーブル25のスライド方向Sに沿った長穴121が形成してある。
パンチテーブル25は、架台上部12の上方位置において、長穴121に対してスライド方向Sに直交する両側に配設したリニヤガイド26によって案内されてスライドするよう構成してある。パンチ2は、長穴121を通して下方に垂下する状態で、パンチテーブル25から下方に突出して配設してある。
【0027】
リニヤガイド26は、レールと、レールに対してスライドするスライダーとによって構成してある。レールは、架台上部12に配設してあり、パンチテーブル25は、スライダーに配設してスライドするよう構成してある。スライド駆動源23は、モータ及びボールねじによって構成されており、モータの回転力をボールねじによって推力に変換して、パンチテーブル25をスライドさせるよう構成されている。
【0028】
次に、土台6について説明する。
図1、図2に示すごとく、架台11において回転テーブル4に対する下方に設けた架台下部13には、圧入部品82を圧入穴81に圧入する際にバックアップ5の下方に位置してバックアップ5に加わる荷重を受ける土台6が配設してある。土台6は、土台駆動源61によって、回転テーブル4の昇降方向に対して直交する方向にスライド可能である。土台6は、土台駆動源61によって、パンチ2の直下位置において、パンチテーブル25のスライド方向Sと平行な方向にスライドする。土台6は、バックアップ5の下方においてパンチ2から加わる荷重を受けるものである。
【0029】
土台6は、架台下部13に対してリニヤガイド63を介して配設した土台ベース62から上方に向けて配設してある。リニヤガイド63は、架台下部13に配設したレールと、土台ベース62に取り付け、レールに対してスライドするスライダーとによって構成してある。また、土台駆動源61は、モータ及びボールねじによって構成されており、モータの回転力をボールねじによって推力に変換して、土台ベース62をスライドさせるよう構成されている。
図5に示すごとく、圧入穴81への圧入部品82の圧入を行う際には、土台6は、土台駆動源61によってスライドさせて、パンチテーブル25によるパンチ2のスライド位置の直下位置に常に位置させる。つまり、圧入装置1は、回転テーブル4を回転させて決定される圧入穴81及びバックアップ5の回転位置に対し、パンチ2のスライド位置及び土台6のスライド位置を合わせて、圧入を行う。
【0030】
次に、圧入装置1について説明する。
本例の圧入装置1は、図5に示すごとく、圧入ワーク8に形成された圧入穴81、及びその下方に位置するバックアップ5の回転位置を、回転テーブル4を回転させて変更する一方、パンチ2に把持した圧入部品82のスライド位置を、パンチテーブル25をスライドさせて変更するとともに、土台6のスライド位置を、土台ベース62をスライドさせて変更し、回転位置とスライド位置とを一致させて、パンチ2によって圧入部品82を圧入穴81へ圧入するよう構成してある。
また、圧入装置1は、圧入穴81及びバックアップ5の回転位置と、土台6のスライド位置と、パンチ2に把持した圧入部品82のスライド位置とを、回転駆動源41、土台駆動源61及びスライド駆動源23を駆動して、各圧入穴81について順次一致させて、パンチ2によって圧入部品82を各圧入穴81へ順次圧入するよう構成してある。
【0031】
圧入装置1は、圧入ワーク8とバックアップ5との間に隙間C1を形成しておき、圧入部品82を圧入ワーク8に形成した圧入穴81に圧入する際には、パンチ2によって圧入部品82を介して圧入ワーク8及び回転テーブル4をバックアップ5に対して下降させ、圧入ワーク8における圧入穴81の形成位置の下方をバックアップ5に接触させるときに、回転テーブル4に対する圧入ワーク8の支持状態が変化して、圧入部品82の圧入方向D2に対して圧入穴81の軸方向D1を一致させることができるよう構成してある。
【0032】
圧入装置1は、図1に示すごとく、圧入ワーク8を載置したパレット7を搬送台45に搬送する際には、土台駆動源61によって土台6を回転テーブル4の下方から退避させるとともに、昇降駆動源33によって回転テーブル4を下降させておくよう構成してある。また、圧入装置1は、図5に示すごとく、圧入部品82を圧入穴81に圧入する際には、昇降駆動源33によって上昇する回転テーブル4によって搬送台45及びパレット7を架台11から持ち上げるとともに、土台駆動源61によって土台6をテーブルにおけるバックアップ5の下方にスライドさせるよう構成してある。
また、圧入装置1は、図5〜図7に示すごとく、圧入部品82を圧入穴81に圧入する際には、バックアップ5と土台6との間に隙間C2を形成しておき、パンチ2による加圧力を受けて、圧入ワーク8、パレット7、バックアップ5及び回転テーブル4が下降する際に、土台6に対してバックアップ5が接触した後、バックアップ5に対して圧入ワーク8が接触して、圧入を行うよう構成してある。
【0033】
次に、本例の圧入装置1を用いて、圧入部品82を圧入ワーク8の圧入穴81に圧入する方法につき説明する。
まず、図1に示すごとく、圧入を行う圧入ワーク8及びパレット7に対応する回転テーブル4を、架台11の昇降ベース3に取り付ける。また、パンチ2の把持部21に、圧入部品82を把持させておく。また、土台駆動源61によって土台6を回転テーブル4の下方から横に退避させるとともに、昇降駆動源33によって回転テーブル4を下降させておく。
そして、圧入ワーク8を支持したパレット7を搬送台45に搬入する。このとき、回転テーブル4を下降させていることにより、搬送台45の上方に、回転テーブル4に配設したバックアップ5が突出しないようにし、バックアップ5と、搬送台45に搬送するパレット7とに干渉が生じないようにすることができる。また、圧入装置1における限られたスペースを有効に使用することができる。
【0034】
次いで、図5に示すごとく、昇降駆動源33の位置制御を行って、昇降ベース3及び回転テーブル4を上昇させ、回転テーブル4との位置決めを行って搬送台45及びパレット7を架台11から上昇位置まで持ち上げる。このとき、バックアップ5の上面と、パレット7に支持した圧入ワーク8の下面との間には、隙間C1が形成される。
次いで、回転駆動源41によって、回転テーブル4と、搬送台45と、圧入ワーク8を載置したパレット7とを、一体的に回転させ、圧入ワーク8における圧入穴81を、パンチ2のスライド軌跡Lの直下位置に位置させる。
【0035】
また、同図に示すごとく、スライド駆動源23によって、パンチテーブル25に配設したパンチ2を、圧入穴81の真上までスライドさせる。また、土台駆動源61によって、土台ベース62に配設した土台6を、圧入穴81及びバックアップ5の直下位置までスライドさせる。このとき、土台6の上面と、バックアップ5の下面との間には、隙間C2が形成される。
こうして、圧入穴81の形成位置の上方にはパンチ2が配置され、圧入ワーク8における圧入穴81の形成位置の下方には、バックアップ5及び土台6が配置される。
【0036】
次いで、図6に示すごとく、パンチ駆動源22によって、圧入部品82を把持するパンチ2を下降させ、パンチ2を圧入ワーク8の圧入穴81へ接近させる。このとき、昇降駆動源33は位置制御からトルク制御に切り替え、昇降駆動源33によって、回転テーブル4、パレット7及び圧入ワーク8に、パンチ2による下方への加圧力よりも小さな上方への対抗力を発生させる。具体的には、例えば、パンチ2の加圧力を10(kN)としたとき、対抗力は10(N)とすることができる。
【0037】
パンチ2によって圧入部品82を下降させる際には、まず、圧入部品82が圧入穴81に接触し、圧入部品82を介して圧入ワーク8、パレット7及び回転テーブル4が下方に押される。そして、まず始めに、圧入穴81の下方に位置するバックアップ5の下面が土台6の上面に接触し、これらの間の隙間C2がなくなる(図6参照)。
次いで、図7に示すごとく、圧入ワーク8、パレット7及び回転テーブル4がさらに下方に押される。このとき、圧入穴81の下方に位置するバックアップ5は、土台6によって受け止められることによって下降しない一方、圧入ワーク8、パレット7、回転テーブル4及び他のバックアップ5が下方に押される。そして、圧入ワーク8における圧入穴81の形成位置の下面にバックアップ5の上面が接触し、これらの間の隙間C1がなくなる。
そして、図8に示すごとく、圧入穴81に対して圧入部品82が圧入される。
【0038】
図9、図10に示すごとく、圧入ワーク8における圧入穴81の形成位置の下面にバックアップ5の上面が接触するとき、圧入部品82の圧入方向D2に対して圧入穴81の軸方向D1が若干傾いている場合には、図11に示すごとく、圧入ワーク8が下降する過程において、圧入ワーク8がバックアップ5に接触することにより、パレット7の支持部72に対する圧入ワーク8の支持状態が変化する。
【0039】
より具体的には、図10に示すごとく、圧入ワーク8は、複数の支持部72に接触して、パレット7に支持されている。そして、パンチ2によって下方に押される圧入ワーク8がバックアップ5に接触するときには、圧入ワーク8は、昇降駆動源33による上方への上記対抗力(パンチ2による下方への加圧力よりも小さな力)を受けて支えられている。これにより、圧入ワーク8がバックアップ5に接触する際には、図11に示すごとく、パレット7の支持部72の複数箇所が圧入ワーク8に接触している状態が、複数の支持部72の一部が圧入ワーク8から離れることが可能になる。そのため、圧入部品82と圧入ワーク8との挟持は、パンチ2とバックアップ5とによって主体的に行われ、パンチ2と支持部72とによっては補助的に行われることになる。
【0040】
こうして、圧入を行う圧入穴81の軸方向D1を、パンチ2に把持する圧入部品82の圧入方向(軸方向)D2に合わせるように、圧入ワーク8が姿勢を変化させることができる。そして、圧入部品82の全周が圧入穴81に接触し、圧入部品82の圧入方向D2に対して圧入穴81の軸方向D1を一致させた状態で、パンチ2による加圧力をパンチ2の直下位置にあるバックアップ5によって受け止めて、圧入部品82を圧入穴81に圧入することができる。
そのため、本例の圧入装置1によれば、圧入穴81と圧入部品82とにかじりが生じないようにして、圧入穴81に対して圧入部品82を垂直に圧入することができる。
【0041】
その後、パンチテーブル25のパンチ着脱部24に保持するパンチ2を、他の圧入部品82を把持させたパンチ2に切り替える。次いで、回転駆動源41によって回転テーブル4を回転させて、圧入ワーク8における他の圧入穴81をパンチ2のスライド軌跡Lの直下位置に位置させ、スライド駆動源23によってパンチ2を圧入穴81の真上までスライドさせるとともに、土台駆動源61によって土台6をパンチ2穴の直下位置までスライドさせる。そして、この他の圧入穴81に他の圧入部品82を圧入することができる。
以降、圧入穴81の数に応じて、上記と同様に順次圧入部品82の圧入を行うことができる。
【0042】
また、本例の圧入装置1においては、パンチ2と土台6とは、それぞれパンチテーブル25又は土台ベース62によって、圧入装置1における特定のスライド方向(横方向)Sにのみスライドする。
そのため、本例の圧入装置1によれば、パンチテーブル25及び土台ベース62のスライド方向Sに直交する方向の幅寸法を縮小することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 圧入装置
11 架台
12 架台上部
121 長穴
13 架台下部
2 パンチ
21 把持部
22 パンチ駆動源
23 スライド駆動源
25 パンチテーブル
3 昇降ベース
33 昇降駆動源
4 回転テーブル
41 回転駆動源
45 搬送台
5 バックアップ
6 土台
61 土台駆動源
7 パレット
72 支持部
8 圧入ワーク
81 圧入穴
82 圧入部品
S スライド方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧入ワークを支持して、回転駆動源によって回転する回転テーブルと、
圧入部品を把持する把持部を有し、パンチ駆動源によって上記把持部から上記圧入部品を押し出すよう構成したパンチと、
該パンチ及び上記パンチ駆動源を配設し、スライド駆動源によって上記回転テーブルの回転平面方向に対して平行な方向へスライドさせるパンチテーブルと、を備えており、
上記圧入ワークに形成された圧入穴の回転位置を、上記回転テーブルを回転させて変更する一方、上記圧入部品のスライド位置を、上記パンチテーブルをスライドさせて変更して、上記回転位置と上記スライド位置とを一致させ、上記パンチによって上記圧入部品を上記圧入穴へ圧入するよう構成してあることを特徴とする圧入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧入装置において、上記圧入部品は、上記圧入穴へ外周部を圧入するリング状の部品であり、
上記パンチテーブルは、上記パンチの軸中心が上記回転テーブルの回転中心の上を通る状態でスライドすることを特徴とする圧入装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の圧入装置において、上記回転テーブル及び上記パンチテーブルは、架台に対して配設してあり、
上記パンチテーブルは、上記架台において上記回転テーブルに対する上方に設けた架台上部に対して配設してあり、
該架台上部は、上記パンチテーブルのスライド方向の両側において上記架台に支持してあり、かつ、上記架台上部には、上記パンチテーブルのスライド方向に沿った長穴が形成してあり、
上記パンチテーブルは、上記架台上部の上方位置において、上記長穴に対して上記スライド方向に直交する両側に配設したリニヤガイドによって案内されてスライドするよう構成してあり、
上記パンチは、上記長穴を通して下方に垂下する状態で、上記パンチテーブルから下方に突出して配設してあることを特徴とする圧入装置。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の圧入装置において、該圧入装置は、上記圧入ワークを間に介して上記パンチの直下位置に対向するバックアップを備えており、
上記圧入ワークと上記バックアップとの間に隙間を形成しておき、上記圧入部品を上記圧入ワークに形成した圧入穴に圧入する際には、上記パンチによって上記圧入部品を介して上記圧入ワーク及び上記回転テーブルを上記バックアップに対して下降させ、上記圧入ワークにおける上記圧入穴の形成位置の下方を上記バックアップに接触させるときに、上記回転テーブルに対する上記圧入ワークの支持状態が変化して、上記圧入部品の圧入方向に対して上記圧入穴の軸方向を一致させることができるよう構成してあることを特徴とする圧入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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