圧力バランス型制御弁
【課題】 弁体による流体の締切り性能を向上し、耐久性、寿命を高めることができると共に、種々の流体制御にも広く適用することができるようにする。
【解決手段】 弁体ガイド6を、第2弁座21の位置で2分割して形成された上側筒部6Aと下側筒部6Bとにより構成する。下側筒部6Bには、流路穴6Cよりも上側で上側筒部6Aとの嵌合部側に弁座取付部6Dを設け、この弁座取付部6Dと上側筒部6Aとの間には、第2弁座21を移動可能に取付ける。第2弁座21は、弁座取付部6D内に隙間をもって挿入され環状部22Aと筒部22Bとの間に斜めに傾斜したシート面部22Cが形成された可動シート22と、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がW字状をなして形成され弁座取付部6Dと可動シート22との間に配設されたばね部材23とにより構成している。
【解決手段】 弁体ガイド6を、第2弁座21の位置で2分割して形成された上側筒部6Aと下側筒部6Bとにより構成する。下側筒部6Bには、流路穴6Cよりも上側で上側筒部6Aとの嵌合部側に弁座取付部6Dを設け、この弁座取付部6Dと上側筒部6Aとの間には、第2弁座21を移動可能に取付ける。第2弁座21は、弁座取付部6D内に隙間をもって挿入され環状部22Aと筒部22Bとの間に斜めに傾斜したシート面部22Cが形成された可動シート22と、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がW字状をなして形成され弁座取付部6Dと可動シート22との間に配設されたばね部材23とにより構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発電所等において作動流体の流れを制御するのに好適に用いられる圧力バランス型制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、火力発電所、原子力発電所等においては、例えば高温、高圧の蒸気等を含んだ流体の流量制御を行ったり、圧力制御を行ったりするために圧力バランス型制御弁を用いることが多い。
【0003】
この種の従来技術による圧力バランス型制御弁は、制御対象となった流体の流入口、流出口を有した弁ハウジングと、前記流入口と流出口との間に位置して該弁ハウジング内に設けられ軸方向の一側が開口し軸方向の他側が前記弁ハウジングにより閉塞された筒状の弁体ガイドと、該弁体ガイドの径方向に穿設された流路穴と、該流路穴に対して軸方向の一側と他側とにそれぞれ離間して前記弁体ガイドの内周側に形成された環状の第1弁座,第2弁座と、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため前記弁体ガイド内に摺動変位可能に設けられ前記第1弁座,第2弁座に離,着座する第1弁部,第2弁部を有した弁体とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この場合の弁体には、前記弁体ガイドの軸方向一側と他側とを連通させるバランス孔を形成し、該バランス孔を通じて弁体の軸方向一側と他側とに同等の流体圧を作用させる構成としている。これによって、前記弁体は、その一側と他側とにおける受圧面積差に相当する力だけで、閉弁状態を保持することができるようになり、開弁時にも比較的小さい駆動力で弁体を動かすことができるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2003−90457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術による圧力バランス型制御弁は、弁体ガイドに設けた第1弁座と第2弁座とに対して弁体側の第1弁部と第2弁部とを離,着座させる構成であるため、両者の寸法公差等を厳しく管理する必要があり、両者の間に僅かでも寸法のバラツキ等が生じたときには、例えば第1弁部が第1弁座に着座しているときに、第2弁部を第2弁座に完全には着座させることができず、弁体の閉弁時における流体の締切り(遮断)性能が低下するという問題がある。
【0007】
このため、他の従来技術では、例えば弁体の第2弁部側にフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)からなるシール部材を設け、このシール部材により弁体の締切り性能を向上させる構成としたものがある。しかし、このようなフッ素系樹脂からなるシール部材は、シール面に傷等が生じ易いという欠点があり、耐久性、寿命を向上することが難しい上に、例えば300℃以上の高温では使用できず、適用可能な流体が制限されるという問題がある。
【0008】
一方、弁体の外周側に金属製のピストンリングを装着してシール性を確保する構成とした別の従来技術も知られている。しかし、この場合には、金属製のピストンリングを拡,縮径できるようにするために、リングの周方向途中に合せ面部を形成する必要があり、この合せ面部の位置から流体洩れが発生してしまう。また、流体圧が高くなると、ピストンリングが内側に流体圧を受けて拡径するために、弁体ガイドの内周面にピストンリングの外周が強く接触するようになり、弁体の円滑な開,閉弁動作(摺動変位)が妨げられるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、弁体ガイド内での弁体の開,閉弁動作を円滑にして安定させることができ、弁体による流体の締切り性能を向上できる上に、耐久性、寿命を高めることができ、種々の流体制御にも広く適用することができるようにした圧力バランス型制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、流体の流入口と流出口とを有した弁ハウジングと、前記流入口と流出口との間に位置して該弁ハウジング内に設けられ軸方向の一側が開口端となって前記流入口と流出口のうちいずれか一方側に連通し軸方向の他側が前記弁ハウジングによって閉塞された筒状の弁体ガイドと、該弁体ガイドの径方向に穿設され前記流入口と流出口のうち他方側に連通した流路穴と、該流路穴よりも軸方向の一側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第1弁座と、前記流路穴よりも軸方向の他側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第2弁座と、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため前記弁体ガイド内に変位可能に設けられ前記第1弁座に離,着座する第1弁部および前記第2弁座に離,着座する第2弁部を有した弁体と、該弁体に形成され前記弁体ガイドの軸方向一側の室と他側の室とを連通することにより該弁体に軸方向の両側から作用する流体圧をバランスさせるバランス孔とを備えてなる圧力バランス型制御弁に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記弁体ガイドの第2弁座と前記弁体の第2弁部とのいずれか一方は、前記弁体ガイドの内周側と前記弁体の外周側との間に位置し軸方向に移動可能な別部材として形成された環状の可動シートと、前記弁体ガイドの軸方向他側の室と前記流路穴との間をシールするように該可動シートを付勢する環状のばね部材とにより構成したことにある。
【0012】
また、請求項2の発明によると、前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流出口側に常時連通し、前記流路穴が流入口側に常時連通する構成とし、前記第2弁座は、前記弁体ガイドの軸方向に移動可能に設けられ前記弁体の第2弁部が離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体ガイドとの間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁部に向けて弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成している。
【0013】
一方、請求項3の発明によると、前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流入口側に常時連通し、前記流路穴が流出口側に常時連通する構成とし、前記第2弁部は、前記弁体の軸方向に移動可能に設けられ前記弁体ガイドの第2弁座に対して離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体との間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁座に対して弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成している。
【0014】
また、請求項4の発明によると、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がベローズ状をなすリング体として形成する構成としている。
【発明の効果】
【0015】
上述した如く、請求項1の発明によれば、弁体ガイドの軸方向一側が開口端となって流入口または流出口側に常時連通し、軸方向の他側は弁ハウジングにより閉塞されている。そして、弁体ガイドの径方向に穿設した流路穴は流出口または流入口側に常時連通し、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため第1弁座に離,着座する第1弁部および第2弁座に離,着座する第2弁部を有した弁体には、前記弁体ガイドの軸方向一側の室と他側の室とを連通させるバランス孔を設けているので、弁体の閉弁時に第1弁部が第1弁座に着座し、第2弁部が第2弁座に着座した状態では、例えば前記流入口に連通する弁体ガイドの流路穴を弁体により流出口側から遮断することができ、この流出口側の流体圧をバランス孔を通じて弁体の軸方向一側と他側との両方から作用させ、弁体を閉弁状態に保持するための力を小さく低減でき、弁体を開弁させる方向に大きな流体圧が作用するのを抑えることができる。
【0016】
しかも、請求項1の発明では、前記第2弁座と第2弁部とのいずれか一方を、軸方向に移動可能な別部材として形成された環状の可動シートと、前記弁体ガイドの軸方向他側の室と前記流路穴との間をシールするように該可動シートを付勢する環状のばね部材とにより構成しているので、仮に弁体の第1弁部と第2弁部との離間寸法が、第1弁座と第2弁座との離間寸法に一致しないようなバラツキが存在する場合でも、弁体の第1弁部が第1弁座に着座した状態で、第2弁座または第2弁部は可動シートが軸方向に移動することによって前記寸法のバラツキを吸収することができ、相手方(第2弁部または第2弁座)に確実に着座できると共に、弁体による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。
【0017】
また、請求項2の発明では、流路穴よりも弁体ガイドの軸方向他側に位置する第2弁座を、前記弁体の第2弁部が離,着座する環状の可動シートと、該可動シートを前記第2弁部に向けて弾性的に付勢する環状のばね部材とにより構成しているので、弁体の閉弁時に前記流入口に連通する弁体ガイドの流路穴から弁体の外周に沿って可動シートに流入口側の圧力が作用すると、このときの流体圧は可動シートを前記第2弁部に押付ける方向の背圧として働くようになる。
【0018】
このため、仮に弁体の第1弁部と第2弁部との離間寸法が、第1弁座と第2弁座との離間寸法に一致しない場合でも、第2弁座を可動シートとばね部材とで構成することにより、弁体の第1弁部が第1弁座に着座した状態で、第2弁部を第2弁座側の可動シートに確実に着座させることができ、弁体による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。また、第2弁座を構成する可動シートとばね部材とを、耐熱性の高い金属材料等を用いて形成することにより、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができ、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。さらに、例えばピストンリング等を用いる必要がないので、弁体を弁体ガイド内で円滑に摺動変位することができ、弁体の開,閉弁動作を安定させることができる。
【0019】
一方、請求項3の発明によると、弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が流入口側に常時連通し、流路穴が流出口側に常時連通する構成とし、第2弁部は、前記弁体ガイドの第2弁座に対して離,着座する可動シートと、該可動シートと弁体との間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁座に対して弾性的に付勢する環状のばね部材とにより構成しているので、弁体の第1弁部が第1弁座に着座した状態で、第2弁部側の可動シートを第2弁座に確実に着座させることができる。そして、弁体の閉弁時には流入口からの流体圧がバランス孔を通じて弁体ガイドの他側の室へと導かれるため、このときの流体圧を弁体の外周側から可動シートに対し背圧として作用させることができ、ばね部材と一緒に可動シートを第2弁座に向けて付勢することができる。これによって、弁体による流体の締切り(遮断)性能を向上することができ、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができると共に、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。
【0020】
また、請求項4の発明は、ばね部材を、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がベローズ状をなすリング体として形成しているので、ばね部材の弾性変形能を向上できると共に、その両端側を弁体ガイド(または弁体)側と可動シートとに弾性変形状態で当接させつつ、両者の間を気液密にシールすることができ、例えば弁体ガイド(弁体)側と可動シートとの間から流体が漏洩するのをばね部材により遮断することができる。さらに、ばね部材を耐熱性の高い金属材料を用いて形成することにより、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができ、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による圧力バランス型制御弁を添付図面の図1ないし図15に従って詳細に説明する。
【0022】
ここで、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した圧力バランス型制御弁(以下、制御弁1という)で、この制御弁1は、後述の弁ハウジング2、弁体ガイド6、弁体7、弁開閉機構8、弁軸19およびグランドパッキン20等により構成されている。
【0023】
そして、制御弁1は、所謂逆作動弁として構成され、後述の弁体7がスプリング9により常時閉弁方向に付勢されている。このため、逆作動弁である制御弁1は、外部から給排する圧縮空気(後述の圧力室14)を大気圧のレベルまで低下させたときに、後述の弁体7はスプリング9によって全閉状態に保持されるものである。
【0024】
2は制御弁1の外殻を構成する弁ハウジングで、この弁ハウジング2は、制御対象となる流体の流路途中に配設される弁箱3と、後述の支持フレーム4とから大略構成され、弁箱3内には制御対象の流体(例えば、高温、高圧の給水等)が流通するものである。
【0025】
そして、弁箱3は、前記給水の流入口3Aおよび流出口3Bと、該流入口3Aと流出口3Bとの間に位置し後述の弁体ガイド6が嵌合される貫通穴3Cが穿設された仕切壁部3Dと、該仕切壁部3Dの貫通穴3Cと上,下で対向し貫通穴3Cよりも大径に形成された筒状開口部3Eとを有している。
【0026】
4は弁箱3の上側に設けられ、弁ハウジング2の一部を構成する支持フレームで、該支持フレーム4の一端側は、筒状開口部3Eを上側から閉塞する蓋体部4Aとなり、該蓋体部4Aの中心側には後述の弁軸19が挿通される軸挿通穴4Bが穿設されている。そして、該軸挿通穴4Bは、支持フレーム4の蓋体部4A内を軸方向(上,下方向)に貫通して延び、その一端(下端)側は弁体ガイド6内と連通している。
【0027】
また、支持フレーム4の蓋体部4Aには、軸挿通穴4Bの上部側部位を拡径することにより段付穴として形成されたパッキン取付穴4Cが設けられ、該パッキン取付穴4Cは、その上端が蓋体部4Aの上面に開口している。そして、このパッキン取付穴4C内には後述のグランドパッキン20が側面圧(締め代)をもって取付けられるものである。
【0028】
5は支持フレーム4の上端(他端)側に設けられ、支持フレーム4の一部となる支持板で、該支持板5は、支持フレーム4の上端側に複数のガイド部5A,5A,…等を介して取付けられ、後述のダイヤフラム13を下側から支持するものである。そして、支持板5の各ガイド部5Aは、後述の可動シェル12を矢示F1,F2 方向に移動可能(上,下動可能)にガイドするものである。
【0029】
6は流入口3Aと流出口3Bとの間に位置して弁箱3内に設けられた筒状の弁体ガイドで、該弁体ガイド6は、後述する第2弁座21の位置で上,下方向に2分割して形成された他側筒部としての上側筒部6Aと一側筒部としての下側筒部6Bとにより構成されている。
【0030】
そして、弁体ガイド6の上側筒部6Aと下側筒部6Bとは、図3〜図6に示す如く後述の第2弁座21を上,下方向(軸方向)から挟むように凹凸嵌合した状態でサブ組立される。この場合、弁体ガイド6は、上側筒部6Aと下側筒部6Bとを第2弁座21と一緒にサブ組立した状態で、筒状開口部3E側から弁箱3内に挿入される。そして、弁体ガイド6は、下側筒部6Bの一側(下端側)が貫通穴3Cに嵌合され、上側筒部6Aの上端側(他側)には上方から蓋体部4Aが嵌合されることにより弁箱3内に位置決めされている。
【0031】
ここで、弁体ガイド6は、下側筒部6Bの一側(下端側)が開口端となって貫通穴3C(流出口3B)側に連通し、上側筒部6Aの上端側(他側)は蓋体部4Aにより閉塞されている。そして、弁体ガイド6内には、後述の弁体7が摺動変位可能に挿嵌して設けられ、弁体7は弁体ガイド6と協働して流入口3Aと流出口3Bとの間を連通,遮断するものである。
【0032】
また、弁体ガイド6の下側筒部6Bには、流入口3A側と常時連通する流路穴6C,6C,…が径方向に穿設され、該流路穴6Cよりも上側(他側)には、上側筒部6Aと下側筒部6Bとの間に位置して弁座取付部6Dが設けられている。そして、弁座取付部6Dは、下側筒部6Bの内周側をクランク状に切欠いた段付溝として形成され、この弁座取付部6Dと上側筒部6Aの端面との間には後述の第2弁座21が取付けられている。
【0033】
一方、弁体ガイド6の下側筒部6Bの内周側には、流路穴6Cの下側(一側)に位置して環状の第1弁座6Eが形成され、該第1弁座6Eには、後述する弁体7の第1弁部7Cが離,着座する。そして、弁体ガイド6の流路穴6Cは、第1弁部7Cが第1弁座6Eから離座したときに貫通穴3C(流出口3B)側と連通し、第1弁部7Cが第1弁座6Eに着座したときに貫通穴3C(流出口3B)側に対して遮断されるものである。
【0034】
ここで、弁体ガイド6内は、後述の弁体7により軸方向一側の室A(以下、下側室Aという)と、軸方向他側の室B(以下、上側室Bという)とに画成されている。そして、この場合の下側室Aと上側室Bとは、後述する弁体7の各バランス孔7Eにより常時連通されるものである。
【0035】
7は弁体ガイド6内に摺動可能に挿嵌された弁体で、該弁体7は、図2〜図6に示すように蓋部7Aと、該蓋部7Aの一側(下面側)から下向きに延び蓋部7Aよりも小径に形成された筒部7Bとから有蓋筒状に形成されている。そして、筒部7Bの一側(下端側)外周には、前記第1弁座6Eに離,着座する第1弁部7Cが形成されている。また、筒部7Bの他側外周には、蓋部7Aとの境界部位に位置して第2弁部7Dが形成され、該第2弁部7Dは、後述する第2弁座21の可動シート22に離,着座するものである。
【0036】
また、弁体7の蓋部7Aには、軸方向(上,下方向)に延びる複数のバランス孔7E,7E,…が設けられ、該各バランス孔7Eは、弁体ガイド6内の下側室Aと上側室Bとを弁体7の上,下方向両側で常時連通させる。これにより、弁体7には、蓋部7Aの上面側と下面側とに等しい流体圧が作用し、バランス孔7Eは弁体7に軸方向の両側から作用する流体圧をバランスさせるものである。
【0037】
ここで、弁体7の蓋部7Aは、図3中に示すように弁体ガイド6内で受圧面積Saをもって流体圧を受圧し、筒部7B側では受圧面積Sb(Sb≒Sa)をもって流体圧を受圧する。このため、弁体7の閉弁時には、両者の受圧面積差ΔS(ΔS=Sa−Sb)に相当する力だけで弁体7を閉弁方向に押圧することができ、その閉弁状態を保持することができる。また、弁体7の開弁時にも、受圧面積差ΔSを小さく設定することにより、比較的小さい駆動力で弁体7を開弁方向に動かすことができ、これによって、弁体7が弁体ガイド6の内周面に沿って滑らかに開,閉弁動作するのを補償できるものである。
【0038】
8は弁体7から離間して支持フレーム4の他端側に設けられた弁開閉機構で、該弁開閉機構8は、後述のばね受18と支持板5との間に配設され、弁体7を常時閉弁方向に付勢したスプリング9と、後述する空気圧作動式のアクチュエータ10等とにより構成されている。
【0039】
10は弁体7をスプリング9に抗して開弁方向に駆動する空気圧(気体圧)作動式のアクチュエータで、該アクチュエータ10は、上,下の可動シェル11,12と、外周側が該可動シェル11,12間に挟持して設けられた可動隔壁としてのダイヤフラム13とからなり、該ダイヤフラム13は上側の可動シェル11との間に圧力室14を画成している。
【0040】
ここで、可動シェル11,12は、支持フレーム4上の支持板5をダイヤフラム13と共に上,下方向から取囲むように配設されている。そして、ダイヤフラム13は、その中央部側が支持板5に固着され、該支持板5によって背面側から補強(バックアップ)されている。また、上側の可動シェル11とダイヤフラム13は、図1に示す如く圧力室14内の空気圧を受圧するものである。
【0041】
また、下側の可動シェル12には、支持板5の各ガイド部5Aが挿通される複数の挿通穴12A,12A,…が設けられ、これらの挿通穴12Aにより可動シェル12は、支持フレーム4に対し各ガイド部5Aに沿って上,下動可能に取付けられている。そして、可動シェル12は、その内周側端部が後述する可動ヨーク16の外周側に固着され、この可動ヨーク16と一体に矢示F1 ,F2 方向に移動(上,下動)するものである。
【0042】
15は上側の可動シェル11に設けられた気体圧の給排口で、該給排口15には、外部の圧気源が空気圧配管(いずれも図示せず)等を介して接続され、これによってアクチュエータ10の圧力室14内には圧縮気体としての圧縮空気が給排される。そして、圧力室14内の空気圧が最小の圧力になっている間は、スプリング9により可動シェル11,12および可動ヨーク16等が矢示F1 方向に付勢され、これによって弁体7は図1に示す如く閉弁状態に保持される。
【0043】
一方、アクチュエータ10は、給排口15から圧力室14内に操作空気圧が供給されると、この空気圧が増加するに応じて圧力室14内の容積を増大させる。そして、この圧力室14内の空気圧により、可動シェル11,12は可動ヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示F2 方向に押動され、これによって弁体7は図5に示す如く弁開度が増大されるものである。
【0044】
16は支持フレーム4内に上,下動可能に設けられた可動枠体としての可動ヨークを示し、該可動ヨーク16は有底の枠状体として形成され、スプリング9を径方向外側から覆う構成となっている。また、可動ヨーク16の底部16A側には、後述の弁軸19が固定して取付けられ、可動ヨーク16は弁軸19と共に駆動力伝達手段を構成するものである。
【0045】
17は可動ヨーク16の底部16Aに設けられた固定ボルト、18は該固定ボルト17に緩止めナット18A等と一緒に螺合して設けられたばね受を示している。そして、該ばね受18は、固定ボルト17に対する螺合位置を緩止めナット18Aと一緒に変えることにより、スプリング9の付勢力を可変に調節できるものである。
【0046】
19は弁体7に対して可動ヨーク16と共に駆動力を伝達する弁軸で、該弁軸19は、図1に示すように支持フレーム4(蓋体部4A)の軸挿通穴4B内に軸方向に摺動可能(上,下動可能)に挿嵌され、その下端側は弁体ガイド6内で弁体7に連結されている。また、弁軸19の上端側は、可動ヨーク16の底部16Aに固定(連結)されている。そして、弁軸19は、可動ヨーク16の動きを弁体7に伝達し、弁体7を上,下方向へと開,閉弁させるものである。
【0047】
20は支持フレーム4の蓋体部4Aと弁軸19との間をシールするグランドパッキンで、該グランドパッキン20は、複数(例えば、9個)のパッキン材を支持フレーム4のパッキン取付穴4C内に互いに重合わせて装着することにより構成されている。そして、グランドパッキン20は、それぞれのパッキン材が弁軸19の外周面に締め代をもって摺接するものである。
【0048】
これにより、グランドパッキン20は、支持フレーム4の軸挿通穴4Bと弁軸19との間をシールしている。このため、例えば弁箱3内を流れる高圧の給水等の流体は、支持フレーム4の軸挿通穴4Bを介して外部に漏洩するのをグランドパッキン20によって防止される。
【0049】
21は弁体ガイド6に可動に設けた第2弁座で、該第2弁座21は、弁体ガイド6の上側筒部6Aと下側筒部6Bとの間に位置して下側筒部6Bの弁座取付部6D内に取付けられている。そして、第2弁座21は、図3、図4に示すように後述の可動シート22とばね部材23とにより構成され、弁体7の第2弁部7Dが離,着座するものである。
【0050】
22は第2弁座21を構成する可動シートで、該可動シート22は、図3〜図7に示すように耐熱性の高い金属材料等を用いて横断面が略L字状をなす環状シートとして形成され、下側筒部6Bの弁座取付部6D内に移動可能に配置(隙間をもって嵌合)されている。そして、可動シート22は、下側筒部6Bの弁座取付部6D内に隙間をもって挿入され、弁座取付部6D内を周方向に延びる環状部22Aと、該環状部22Aの内周側から軸方向一側(下側)に向けて延び弁体7の外周を小さな隙間を介して取囲む筒部22Bと、該筒部22Bと環状部22Aとの間に形成されたシート面部22Cとにより構成されている。
【0051】
そして、可動シート22のシート面部22Cは、弁体7の第2弁部7Dに対応した傾斜面として形成され、弁体7の閉弁時には、図4に示すように第2弁部7Dがシート面部22Cに着座して両者の間を遮断するものである。また、可動シート22の環状部22Aと筒部22Bとは、後述のばね部材23を下側筒部6Bの弁座取付部6Dとの間で全周にわたって取囲み、ばね部材23を弁座取付部6D内に安定した状態で収納し保持するものである。
【0052】
23は可動シート22と共に第2弁座21を構成する環状のばね部材で、該ばね部材23は、耐熱性を有する弾性金属材料、例えば耐熱ニッケル合金等の金属材料を用いて横断面が屈曲したジグザグ形状に形成され、例えば300℃以上の高温下でもばね性を保持できるものである。そして、ばね部材23は、弁体ガイド6内の上側室Bと流路穴6Cとの間を可動シート22と一緒にシールするように可動シート22を上方(軸方向他側)に向けて付勢するものである。
【0053】
この場合、ばね部材23は、図4、図6および図8に示す如く外周側にU字状またはV字状に屈曲した2個の屈曲部23A,23Aを有し、内周側には同じくU字状またはV字状に屈曲した1個の屈曲部23Bを有している。そして、ばね部材23は、これらの屈曲部23A,23Bによりジグザグ形状をなすようにベローズ状に折曲げられ、その横断面はW字状をなすリング体として形成されている。なお、ばね部材23は、横断面がW字状のものに限るものではなく、多数個の凹凸部からなるジグザグ形をしたベローズ状のリング体として形成すればよい。
【0054】
ここで、ばね部材23は、図3〜図6に示すように下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22との間に締代をもって配設され、可動シート22の環状部22Aを軸方向他側(上方)に向けて付勢することにより、弁体7の第2弁部7Dが可動シート22のシート面部22Cに安定して着座するのを補償するものである。また、ばね部材23は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22の環状部22Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールする機能も有している。
【0055】
本実施の形態による圧力バランス型制御弁1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0056】
まず、弁開閉機構8のアクチュエータ10は、圧力室14内の空気圧が大気圧に近い最小の圧力状態におかれるときに、可動シェル11,12および可動ヨーク16等がスプリング9により矢示F1 方向に付勢され、このときの付勢力が弁軸19を介して弁体7へと伝達されることにより、弁体7は弁体ガイド6内で図1および図2に示す如く閉弁状態におかれる。
【0057】
次に、アクチュエータ10の給排口15から圧力室14内に圧縮空気を供給すると、圧力室14は内部の容積が増大され、圧力室14内の空気圧により可動シェル11,12が可動ヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示F2 方向に押動される。そして、この矢示F2 方向の駆動力(押動力)は弁軸19を介して弁体7へと伝達される。
【0058】
このため、弁体7は弁体ガイド6内を上向きに摺動変位し、図5に示す如く第1弁部7Cが弁体ガイド6の第1弁座6Eから離座して開度が増大される。そして、弁体7が開弁した状態では、弁箱3の流入口3Aから流出口3Bに向けて弁体ガイド6の各流路穴6C内を矢示C方向へと給水が流れ、給水の流量は、弁体7の開度に応じて制御される。
【0059】
ところで、弁体7の蓋部7Aには、軸方向(上,下方向)に延びる複数のバランス孔7E,7E,…を穿設し、該各バランス孔7Eにより、弁体7には蓋部7Aの上面側と下面側とに等しい流体圧を作用させ、弁体7が弁体ガイド6の内周面に沿って滑らかに開,閉弁動作するのを補償できるようにしている。
【0060】
しかし、このためには弁体ガイド6に流路穴6Cの上,下に離間して第1弁座6Eと第2弁座21とを設け、弁体7の外周側には、第1弁座6Eに離,着座する第1弁部7Cと第2弁座21に離,着座する第2弁部7Dとを設け、両者の離,着座するタイミングを一致させる必要があり、製作時の寸法管理等が難しくなってしまう。
【0061】
そこで、本実施の形態では、弁体ガイド6を、第2弁座21の位置で上,下方向に2分割して形成された上側筒部6Aと下側筒部6Bとにより構成し、該下側筒部6Bには、流路穴6Cよりも上側(他側)で、上側筒部6Aとの嵌合部側寄りに位置して弁座取付部6Dを設け、この弁座取付部6Dと上側筒部6Aの端面との間には、第2弁座21を軸方向(上,下方向)に移動可能に取付ける構成としている。
【0062】
そして、この場合の第2弁座21は、下側筒部6Bの弁座取付部6D内に隙間をもって挿入され、環状部22Aと筒部22Bとの間に斜めに傾斜したシート面部22Cが形成された環状の可動シート22と、例えば耐熱ニッケル合金等の耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がW字状をなすリングとして形成され、下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22との間に締代をもって配設されたばね部材23とにより構成している。
【0063】
このため、仮に弁体7の第1弁部7Cと第2弁部7Dとの離間寸法(軸方向の間隔)が、第1弁座6Eと第2弁座21との離間寸法に一致しないようなバラツキ等が存在する場合でも、第2弁座21の可動シート22は、ばね部材23の弾性変形により軸方向に移動可能となっているので、寸法のバラツキを容易に吸収することができる。これにより、弁体7の第1弁部7Cが第1弁座6Eに着座するときには、第2弁部7Dを第2弁座21の可動シート22(シート面部22C)に確実に着座させることができ、弁体7による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。
【0064】
しかも、弁体7の閉弁時に弁体ガイド6の流路穴6Cから弁体7の外周に沿って可動シート22に矢示D方向(図3、図4参照)の圧力が流入口3A側から作用しても、可動シート22は矢示D方向の流体圧を背圧として受圧することができ、可動シート22のシート面部22Cをばね部材23と一緒に第2弁部7Dに押付ける方向に付勢することができる。このため、第2弁部7Dと第2弁座21とのシール性を効果的に高めることができ、弁体7による流体の締切り(遮断)性能をより一層に向上することができる。
【0065】
また、可動シート22の環状部22Aと筒部22Bとは、ばね部材23を下側筒部6Bの弁座取付部6Dとの間で全周にわたって取囲む構成としているので、ばね部材23を弁座取付部6D内に安定した状態で収納するように保持することができ、例えば図4中で矢示D方向に作用する流体圧が、ばね部材23に高圧状態のまま付加されるのを防ぐことができると共に、ばね部材23が流体圧を直接的に受けるのを抑えることができる。
【0066】
そして、ばね部材23は、可動シート22の環状部22Aを軸方向他側(上方)に向けて付勢することにより、弁体7の第2弁部7Dが可動シート22のシート面部22Cに安定して着座するのを補償することができる。また、ばね部材23は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22の環状部22Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールすることができ、例えば弁座取付部6Dと可動シート22との間から流体が漏洩するのをばね部材23により遮断することができる。
【0067】
また、第2弁座21を構成する可動シート22とばね部材23とを、耐熱性の高い金属材料等を用いて形成することにより、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができ、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。
【0068】
さらに、例えば従来技術で用いているピストンリング等のように、周方向の途中位置に合せ面部(切欠き)等が存在しない、無端のリング体として可動シート22を形成することができるので、弁体7を弁体ガイド6内で円滑に摺動変位することができ、弁体7の開,閉弁動作を安定させることができる。
【0069】
次に、図9ないし図15は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、例えば発電所の給水等の流体が弁箱内を逆向きに流れる構成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0070】
図中、31は本実施の形態で採用した弁ハウジングを示し、該弁ハウジング31は、第1の実施の形態で述べた弁ハウジング2とほぼ同様に構成され、弁箱32と支持フレーム4とを有している。しかし、この場合の弁ハウジング31は、後述する弁箱32内を矢示C′方向に流体(給水)が流れる点で第1の実施の形態とは異なるものである。
【0071】
32は本実施の形態で採用した弁箱で、該弁箱32は、第1の実施の形態で述べた弁箱3とほぼ同様に構成され、流入口32A、流出口32B、貫通穴32C、仕切壁部32Dおよび筒状開口部32Eを有している。しかし、この場合の弁箱32は、流入口32Aが図9中の左手側に配置され、流出口32Bが右手側に配置され、内部を流体が矢示C′方向に流れる点で、第1の実施の形態とは異なっている。
【0072】
33は弁箱32内に設けられた筒状の弁体ガイドで、該弁体ガイド33も、第1の実施の形態で述べた弁体ガイド6とほぼ同様に構成され、筒状開口部32E側から弁箱32内に挿入される。そして、弁体ガイド33は、軸方向の一側(下端側)が貫通穴32Cに嵌合され、他側(上端側)が蓋体部4Aに嵌合することにより弁箱32内に位置決めされている。
【0073】
しかし、この場合の弁体ガイド33は、単一の筒体として形成され、各流路穴33Aの軸方向一側と他側とに第1弁座33Bと第2弁座33Cとが一体に形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっている。また、弁体ガイド33内は、後述の弁体34により軸方向一側の室A(以下、下側室Aという)と、軸方向他側の室B(以下、上側室Bという)とに画成されている。そして、下側室Aと上側室Bとは、後述する弁体34の各バランス孔34Dにより常時連通されている。
【0074】
34は弁体ガイド33内に摺動可能に挿嵌された弁体で、該弁体34は、第1の実施の形態で述べた弁体7とほぼ同様に構成され、蓋部34Aと筒部34Bとにより有蓋筒状に形成されている。そして、筒部34Bの一側(下端側)外周には、弁体ガイド33の第1弁座33Bに離,着座する第1弁部34Cが形成され、蓋部7Aには軸方向(上,下方向)に延びる複数のバランス孔34D,34D,…が設けられている。
【0075】
しかし、この場合の弁体34は、蓋部34Aの外周側に後述の第2弁部37等を着脱可能に取付けるための取付用段差部34Eが設けられ、該取付用段差部34Eは、蓋部34Aの外周側を一側(下端側)から他側(上端側)に向けて3段階で縮径するようクランク状に切欠いた段付溝として形成されている。そして、取付用段差部34Eの下部側には、後述の第2弁部37が取付けられ、上部側には第2弁部37を抜止め状態に保持するための弁部押え35が固定して設けられるものである。
【0076】
ここで、弁部押え35は、取付用段差部34E(蓋部34Aの外周側)に着脱可能に取付けられるリングとして形成され、後述の第2弁部37と共に弁体34の一部を構成するものである。そして、弁体34の蓋部34A(弁部押え35を含む)は、図10中に示すように弁体ガイド33内で受圧面積Saをもって流体圧を受圧し、筒部34B側では受圧面積Sb(Sb≒Sa)をもって流体圧を受圧するものである。
【0077】
また、弁部押え35の下部外周側には、後述する可動シート38の筒部38Bが小さな隙間をもって挿入されるように横断面がL字状をなした環状の切欠き部35Aが形成されている。さらに、弁部押え35の下部内周側には、蓋部34Aの外周側(取付用段差部34E)との間に耐熱性のシール部材36が設けられ、該シール部材36は、弁体34の蓋部34Aと弁部押え35との間を気液密にシールするものである。
【0078】
37は弁体34に可動に設けられた第2弁部で、この第2弁部37は、弁体34の取付用段差部34Eに対して弁部押え35よりも先に取付けられ、その後に弁部押え35によって取付用段差部34E内に抜止め状態で保持されるものである。そして、第2弁部37は、図10〜図13に示すように後述の可動シート38とばね部材39とにより構成され、弁体ガイド33の第2弁座33Cに対して離,着座するものである。
【0079】
38は第2弁部37を構成する可動シートで、該可動シート38は、図10〜図14に示すように耐熱性の高い金属材料等を用いて横断面が略L字状をなす環状シートとして形成され、取付用段差部34Eの下部側に軸方向で移動可能に配置されている。そして、可動シート38は、蓋部34Aの外周側で取付用段差部34E内に隙間をもって挿入され、取付用段差部34Eの周方向に延びる環状部38Aと、該環状部38Aの外周側から軸方向他側(上側)に向けて延び上端側が弁部押え35の外周側に小さな隙間を介して遊嵌された筒部38Bと、該筒部38Bと環状部38Aとの間に形成されたシート面部38Cとにより構成されている。
【0080】
そして、可動シート38のシート面部38Cは、弁体ガイド33の第2弁座33Cに対応した傾斜面として形成され、弁体34の閉弁時には、図11に示すように第2弁座33Cにシート面部38Cが着座して両者の間を遮断するものである。また、可動シート38の環状部38Aと筒部38Bとは、後述のばね部材39を蓋部34Aの外周側(取付用段差部34E)との間で全周にわたって取囲み、ばね部材39を取付用段差部34E内に安定した状態で収納し保持するものである。
【0081】
39は可動シート38と共に第2弁部37を構成する環状のばね部材で、該ばね部材39は、第1の実施の形態で述べたばね部材23とほぼ同様に構成され、横断面が屈曲したジグザグ形状に形成されている。そして、ばね部材39は、弁体ガイド33内の上側室Bと流路穴33Aとの間を可動シート38と一緒にシールするように可動シート38を下方(軸方向の一側)に向けて付勢している。
【0082】
しかし、この場合のばね部材39は、図11、図13および図15に示す如く内周側にU字状またはV字状に屈曲した2個の屈曲部39A,39Aを有し、外周側には同じくU字状またはV字状に屈曲した1個の屈曲部39Bを有している。そして、ばね部材39は、これらの屈曲部39A,39Bによりジグザグ形状をなすようにW字状に折曲げられ、その横断面はW字状をなすリング体として形成されている。
【0083】
ここで、ばね部材39は、図10〜図13に示すように蓋部34Aの外周側に位置する取付用段差部34E内で弁部押え35と可動シート38との間に締代をもって配設され、可動シート38の環状部38Aを軸方向一側(下方)に向けて付勢することにより、弁体ガイド33の第2弁座33Cに対して可動シート38のシート面部38Cが安定して着座するのを補償するものである。また、ばね部材39は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が取付用段差部34E内で弁部押え35と可動シート38の環状部38Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールする機能も有している。
【0084】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、弁体ガイド33の第1弁座33Bと第2弁座33Cに対して弁体34の第1弁部34Cと第2弁部37とが離,着座するタイミングを一致させることができ、前記第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
【0085】
即ち、本実施の形態では、弁体34の筒部34B外周側に環状の取付用段差部34Eを設け、該取付用段差部34Eの下部側には第2弁部37を軸方向(上,下方向)に移動可能に配置すると共に、取付用段差部34Eの上部側には、該第2弁部37を抜止め状態に保持する弁部押え35を固定して設ける構成としている。
【0086】
そして、この場合の第2弁部37は、蓋部34Aの外周側で取付用段差部34E内に隙間をもって挿入され、環状部38Aと筒部38Bとの間に斜めに傾斜したシート面部38Cが形成された環状の可動シート38と、例えば耐熱ニッケル合金等の耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がW字状をなすリングとして形成され、取付用段差部34E内で弁部押え35と可動シート38との間に締代をもって配設されたばね部材39とにより構成している。
【0087】
このため、仮に弁体34の第1弁部34Cと第2弁部37との離間寸法(軸方向の間隔)が、弁体ガイド33の第1弁座33Bと第2弁部33Cとの離間寸法に一致しない場合でも、第2弁部37の可動シート38は、ばね部材39の弾性変形により軸方向に移動可能となっているので、弁体34の第1弁部34Cが第1弁座33Bに着座するときに、第2弁座33Cに対して第2弁部37の可動シート38(シート面部38C)を確実に着座させることができ、弁体34による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。
【0088】
しかも、弁体34の閉弁時に流入口32A側からの流体圧が弁体34のバランス孔34Dを介して弁体34の蓋部34A、弁部押え35に閉弁方向に作用すると共に、弁部押え35の外周に沿って可動シート38に矢示D′方向(図10、図11参照)から作用しても、可動シート38は矢示D′方向の流体圧を背圧として受圧することができ、可動シート38のシート面部38Cをばね部材39と一緒に第2弁座33Cに押付ける方向に付勢することができる。このため、第2弁座33Cと第2弁部37とのシール性を効果的に高めることができ、弁体34による流体の締切り(遮断)性能をより一層に向上することができる。
【0089】
また、可動シート38の環状部38Aと筒部38Bとは、ばね部材39を弁体34の取付用段差部34Eと弁部押え35との間で全周にわたって取囲む構成としているので、ばね部材39を取付用段差部34Eの下部側に安定した状態で収納するように保持することができ、例えば図11中で矢示D′方向に作用する流体圧が、ばね部材39に高圧状態のまま付加されるのを防ぐことができると共に、ばね部材39が流体圧を直接的に受けるのを抑えることができる。
【0090】
そして、ばね部材39は、可動シート38の環状部38Aを軸方向下側(下方)に向けて付勢することにより、弁体34の第2弁部37(可動シート38のシート面部38C)が第2弁座33Cに対し安定して着座するのを補償することができる。また、ばね部材39は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が弁部押え35の下面と可動シート38の環状部38Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールすることができ、例えば弁部押え35と可動シート38との間から流体が漏洩するのをばね部材39により遮断することができる。
【0091】
なお、前記第1の実施の形態では、第2弁座21を可動シート22と共に構成するばね部材23を、横断面がW字状をなすリング体として形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ばね部材を横断面がジグザグ状に屈曲した形状(例えば、横断面がV字状、U字状、M字状またはN字状をなす形状)のリング体として形成する構成としてもよい。そして、この点は第2の実施の形態で述べたばね部材39についても同様である。
【0092】
また、前記第1,第2の実施の形態では、弁体7,34がスプリング9により常時閉弁方向に付勢される所謂逆作動弁として構成された圧力バランス型制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば常開の正作動弁として構成された圧力バランス型制御弁にも適用できるものである。
【0093】
さらに、前述した各実施の形態では、原子力発電所等で用いる制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば石油化学コンビナート、化学プラントまたは精油所で用いられる制御弁等、種々の流体の流れを制御する制御弁に対しても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態による圧力バランス型制御弁の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1中の弁箱、弁体ガイドおよび弁体等とを拡大して示す部分断面図である。
【図3】図2中の弁体ガイドおよび弁体を拡大して示す断面図である。
【図4】図3中の第2弁座と第2弁部等とを拡大して示す要部断面図である。
【図5】弁体が開弁した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図6】図5中の第2弁座と第2弁部等を拡大して示す要部断面図である。
【図7】図3中の可動シートを単体として示す一部破断の斜視図である。
【図8】図3中のばね部材を単体として示す一部破断の斜視図である。
【図9】第2の実施の形態による弁箱、弁体ガイドおよび弁体等を示す部分断面図である。
【図10】図9中の弁体ガイドおよび弁体を拡大して示す断面図である。
【図11】図10中の第2弁座と第2弁部等とを拡大して示す要部断面図である。
【図12】弁体が開弁した状態を示す図10と同様位置での断面図である。
【図13】図12中の第2弁座と第2弁部等とを拡大して示す要部断面図である。
【図14】図10中の可動シートを単体として示す一部破断の斜視図である。
【図15】図10中のばね部材を単体として示す一部破断の斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
1 圧力バランス型制御弁
2,31 弁ハウジング
3,32 弁箱
3A,32A 流入口
3B,32B 流出口
4 支持フレーム
4A 蓋体部
6,33 弁体ガイド
6A 上側筒部
6B 下側筒部
6C,33A 流路穴
6D 弁座取付部
6E,33B 第1弁座
7,34 弁体
7C,34C 第1弁部
7D,37 第2弁部
7E,34D バランス孔
8 弁開閉機構
9 スプリング
10 アクチュエータ
11,12 可動シェル
13 ダイヤフラム
14 圧力室
16 可動ヨーク
19 弁軸
21,33C 第2弁座
22,38 可動シート
23,39 ばね部材
34E 取付用段差部
35 弁部押え
A 下側室(軸方向一側の室)
B 上側室(軸方向他側の室)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発電所等において作動流体の流れを制御するのに好適に用いられる圧力バランス型制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、火力発電所、原子力発電所等においては、例えば高温、高圧の蒸気等を含んだ流体の流量制御を行ったり、圧力制御を行ったりするために圧力バランス型制御弁を用いることが多い。
【0003】
この種の従来技術による圧力バランス型制御弁は、制御対象となった流体の流入口、流出口を有した弁ハウジングと、前記流入口と流出口との間に位置して該弁ハウジング内に設けられ軸方向の一側が開口し軸方向の他側が前記弁ハウジングにより閉塞された筒状の弁体ガイドと、該弁体ガイドの径方向に穿設された流路穴と、該流路穴に対して軸方向の一側と他側とにそれぞれ離間して前記弁体ガイドの内周側に形成された環状の第1弁座,第2弁座と、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため前記弁体ガイド内に摺動変位可能に設けられ前記第1弁座,第2弁座に離,着座する第1弁部,第2弁部を有した弁体とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この場合の弁体には、前記弁体ガイドの軸方向一側と他側とを連通させるバランス孔を形成し、該バランス孔を通じて弁体の軸方向一側と他側とに同等の流体圧を作用させる構成としている。これによって、前記弁体は、その一側と他側とにおける受圧面積差に相当する力だけで、閉弁状態を保持することができるようになり、開弁時にも比較的小さい駆動力で弁体を動かすことができるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2003−90457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術による圧力バランス型制御弁は、弁体ガイドに設けた第1弁座と第2弁座とに対して弁体側の第1弁部と第2弁部とを離,着座させる構成であるため、両者の寸法公差等を厳しく管理する必要があり、両者の間に僅かでも寸法のバラツキ等が生じたときには、例えば第1弁部が第1弁座に着座しているときに、第2弁部を第2弁座に完全には着座させることができず、弁体の閉弁時における流体の締切り(遮断)性能が低下するという問題がある。
【0007】
このため、他の従来技術では、例えば弁体の第2弁部側にフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)からなるシール部材を設け、このシール部材により弁体の締切り性能を向上させる構成としたものがある。しかし、このようなフッ素系樹脂からなるシール部材は、シール面に傷等が生じ易いという欠点があり、耐久性、寿命を向上することが難しい上に、例えば300℃以上の高温では使用できず、適用可能な流体が制限されるという問題がある。
【0008】
一方、弁体の外周側に金属製のピストンリングを装着してシール性を確保する構成とした別の従来技術も知られている。しかし、この場合には、金属製のピストンリングを拡,縮径できるようにするために、リングの周方向途中に合せ面部を形成する必要があり、この合せ面部の位置から流体洩れが発生してしまう。また、流体圧が高くなると、ピストンリングが内側に流体圧を受けて拡径するために、弁体ガイドの内周面にピストンリングの外周が強く接触するようになり、弁体の円滑な開,閉弁動作(摺動変位)が妨げられるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、弁体ガイド内での弁体の開,閉弁動作を円滑にして安定させることができ、弁体による流体の締切り性能を向上できる上に、耐久性、寿命を高めることができ、種々の流体制御にも広く適用することができるようにした圧力バランス型制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、流体の流入口と流出口とを有した弁ハウジングと、前記流入口と流出口との間に位置して該弁ハウジング内に設けられ軸方向の一側が開口端となって前記流入口と流出口のうちいずれか一方側に連通し軸方向の他側が前記弁ハウジングによって閉塞された筒状の弁体ガイドと、該弁体ガイドの径方向に穿設され前記流入口と流出口のうち他方側に連通した流路穴と、該流路穴よりも軸方向の一側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第1弁座と、前記流路穴よりも軸方向の他側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第2弁座と、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため前記弁体ガイド内に変位可能に設けられ前記第1弁座に離,着座する第1弁部および前記第2弁座に離,着座する第2弁部を有した弁体と、該弁体に形成され前記弁体ガイドの軸方向一側の室と他側の室とを連通することにより該弁体に軸方向の両側から作用する流体圧をバランスさせるバランス孔とを備えてなる圧力バランス型制御弁に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記弁体ガイドの第2弁座と前記弁体の第2弁部とのいずれか一方は、前記弁体ガイドの内周側と前記弁体の外周側との間に位置し軸方向に移動可能な別部材として形成された環状の可動シートと、前記弁体ガイドの軸方向他側の室と前記流路穴との間をシールするように該可動シートを付勢する環状のばね部材とにより構成したことにある。
【0012】
また、請求項2の発明によると、前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流出口側に常時連通し、前記流路穴が流入口側に常時連通する構成とし、前記第2弁座は、前記弁体ガイドの軸方向に移動可能に設けられ前記弁体の第2弁部が離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体ガイドとの間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁部に向けて弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成している。
【0013】
一方、請求項3の発明によると、前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流入口側に常時連通し、前記流路穴が流出口側に常時連通する構成とし、前記第2弁部は、前記弁体の軸方向に移動可能に設けられ前記弁体ガイドの第2弁座に対して離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体との間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁座に対して弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成している。
【0014】
また、請求項4の発明によると、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がベローズ状をなすリング体として形成する構成としている。
【発明の効果】
【0015】
上述した如く、請求項1の発明によれば、弁体ガイドの軸方向一側が開口端となって流入口または流出口側に常時連通し、軸方向の他側は弁ハウジングにより閉塞されている。そして、弁体ガイドの径方向に穿設した流路穴は流出口または流入口側に常時連通し、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため第1弁座に離,着座する第1弁部および第2弁座に離,着座する第2弁部を有した弁体には、前記弁体ガイドの軸方向一側の室と他側の室とを連通させるバランス孔を設けているので、弁体の閉弁時に第1弁部が第1弁座に着座し、第2弁部が第2弁座に着座した状態では、例えば前記流入口に連通する弁体ガイドの流路穴を弁体により流出口側から遮断することができ、この流出口側の流体圧をバランス孔を通じて弁体の軸方向一側と他側との両方から作用させ、弁体を閉弁状態に保持するための力を小さく低減でき、弁体を開弁させる方向に大きな流体圧が作用するのを抑えることができる。
【0016】
しかも、請求項1の発明では、前記第2弁座と第2弁部とのいずれか一方を、軸方向に移動可能な別部材として形成された環状の可動シートと、前記弁体ガイドの軸方向他側の室と前記流路穴との間をシールするように該可動シートを付勢する環状のばね部材とにより構成しているので、仮に弁体の第1弁部と第2弁部との離間寸法が、第1弁座と第2弁座との離間寸法に一致しないようなバラツキが存在する場合でも、弁体の第1弁部が第1弁座に着座した状態で、第2弁座または第2弁部は可動シートが軸方向に移動することによって前記寸法のバラツキを吸収することができ、相手方(第2弁部または第2弁座)に確実に着座できると共に、弁体による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。
【0017】
また、請求項2の発明では、流路穴よりも弁体ガイドの軸方向他側に位置する第2弁座を、前記弁体の第2弁部が離,着座する環状の可動シートと、該可動シートを前記第2弁部に向けて弾性的に付勢する環状のばね部材とにより構成しているので、弁体の閉弁時に前記流入口に連通する弁体ガイドの流路穴から弁体の外周に沿って可動シートに流入口側の圧力が作用すると、このときの流体圧は可動シートを前記第2弁部に押付ける方向の背圧として働くようになる。
【0018】
このため、仮に弁体の第1弁部と第2弁部との離間寸法が、第1弁座と第2弁座との離間寸法に一致しない場合でも、第2弁座を可動シートとばね部材とで構成することにより、弁体の第1弁部が第1弁座に着座した状態で、第2弁部を第2弁座側の可動シートに確実に着座させることができ、弁体による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。また、第2弁座を構成する可動シートとばね部材とを、耐熱性の高い金属材料等を用いて形成することにより、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができ、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。さらに、例えばピストンリング等を用いる必要がないので、弁体を弁体ガイド内で円滑に摺動変位することができ、弁体の開,閉弁動作を安定させることができる。
【0019】
一方、請求項3の発明によると、弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が流入口側に常時連通し、流路穴が流出口側に常時連通する構成とし、第2弁部は、前記弁体ガイドの第2弁座に対して離,着座する可動シートと、該可動シートと弁体との間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁座に対して弾性的に付勢する環状のばね部材とにより構成しているので、弁体の第1弁部が第1弁座に着座した状態で、第2弁部側の可動シートを第2弁座に確実に着座させることができる。そして、弁体の閉弁時には流入口からの流体圧がバランス孔を通じて弁体ガイドの他側の室へと導かれるため、このときの流体圧を弁体の外周側から可動シートに対し背圧として作用させることができ、ばね部材と一緒に可動シートを第2弁座に向けて付勢することができる。これによって、弁体による流体の締切り(遮断)性能を向上することができ、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができると共に、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。
【0020】
また、請求項4の発明は、ばね部材を、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がベローズ状をなすリング体として形成しているので、ばね部材の弾性変形能を向上できると共に、その両端側を弁体ガイド(または弁体)側と可動シートとに弾性変形状態で当接させつつ、両者の間を気液密にシールすることができ、例えば弁体ガイド(弁体)側と可動シートとの間から流体が漏洩するのをばね部材により遮断することができる。さらに、ばね部材を耐熱性の高い金属材料を用いて形成することにより、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができ、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による圧力バランス型制御弁を添付図面の図1ないし図15に従って詳細に説明する。
【0022】
ここで、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した圧力バランス型制御弁(以下、制御弁1という)で、この制御弁1は、後述の弁ハウジング2、弁体ガイド6、弁体7、弁開閉機構8、弁軸19およびグランドパッキン20等により構成されている。
【0023】
そして、制御弁1は、所謂逆作動弁として構成され、後述の弁体7がスプリング9により常時閉弁方向に付勢されている。このため、逆作動弁である制御弁1は、外部から給排する圧縮空気(後述の圧力室14)を大気圧のレベルまで低下させたときに、後述の弁体7はスプリング9によって全閉状態に保持されるものである。
【0024】
2は制御弁1の外殻を構成する弁ハウジングで、この弁ハウジング2は、制御対象となる流体の流路途中に配設される弁箱3と、後述の支持フレーム4とから大略構成され、弁箱3内には制御対象の流体(例えば、高温、高圧の給水等)が流通するものである。
【0025】
そして、弁箱3は、前記給水の流入口3Aおよび流出口3Bと、該流入口3Aと流出口3Bとの間に位置し後述の弁体ガイド6が嵌合される貫通穴3Cが穿設された仕切壁部3Dと、該仕切壁部3Dの貫通穴3Cと上,下で対向し貫通穴3Cよりも大径に形成された筒状開口部3Eとを有している。
【0026】
4は弁箱3の上側に設けられ、弁ハウジング2の一部を構成する支持フレームで、該支持フレーム4の一端側は、筒状開口部3Eを上側から閉塞する蓋体部4Aとなり、該蓋体部4Aの中心側には後述の弁軸19が挿通される軸挿通穴4Bが穿設されている。そして、該軸挿通穴4Bは、支持フレーム4の蓋体部4A内を軸方向(上,下方向)に貫通して延び、その一端(下端)側は弁体ガイド6内と連通している。
【0027】
また、支持フレーム4の蓋体部4Aには、軸挿通穴4Bの上部側部位を拡径することにより段付穴として形成されたパッキン取付穴4Cが設けられ、該パッキン取付穴4Cは、その上端が蓋体部4Aの上面に開口している。そして、このパッキン取付穴4C内には後述のグランドパッキン20が側面圧(締め代)をもって取付けられるものである。
【0028】
5は支持フレーム4の上端(他端)側に設けられ、支持フレーム4の一部となる支持板で、該支持板5は、支持フレーム4の上端側に複数のガイド部5A,5A,…等を介して取付けられ、後述のダイヤフラム13を下側から支持するものである。そして、支持板5の各ガイド部5Aは、後述の可動シェル12を矢示F1,F2 方向に移動可能(上,下動可能)にガイドするものである。
【0029】
6は流入口3Aと流出口3Bとの間に位置して弁箱3内に設けられた筒状の弁体ガイドで、該弁体ガイド6は、後述する第2弁座21の位置で上,下方向に2分割して形成された他側筒部としての上側筒部6Aと一側筒部としての下側筒部6Bとにより構成されている。
【0030】
そして、弁体ガイド6の上側筒部6Aと下側筒部6Bとは、図3〜図6に示す如く後述の第2弁座21を上,下方向(軸方向)から挟むように凹凸嵌合した状態でサブ組立される。この場合、弁体ガイド6は、上側筒部6Aと下側筒部6Bとを第2弁座21と一緒にサブ組立した状態で、筒状開口部3E側から弁箱3内に挿入される。そして、弁体ガイド6は、下側筒部6Bの一側(下端側)が貫通穴3Cに嵌合され、上側筒部6Aの上端側(他側)には上方から蓋体部4Aが嵌合されることにより弁箱3内に位置決めされている。
【0031】
ここで、弁体ガイド6は、下側筒部6Bの一側(下端側)が開口端となって貫通穴3C(流出口3B)側に連通し、上側筒部6Aの上端側(他側)は蓋体部4Aにより閉塞されている。そして、弁体ガイド6内には、後述の弁体7が摺動変位可能に挿嵌して設けられ、弁体7は弁体ガイド6と協働して流入口3Aと流出口3Bとの間を連通,遮断するものである。
【0032】
また、弁体ガイド6の下側筒部6Bには、流入口3A側と常時連通する流路穴6C,6C,…が径方向に穿設され、該流路穴6Cよりも上側(他側)には、上側筒部6Aと下側筒部6Bとの間に位置して弁座取付部6Dが設けられている。そして、弁座取付部6Dは、下側筒部6Bの内周側をクランク状に切欠いた段付溝として形成され、この弁座取付部6Dと上側筒部6Aの端面との間には後述の第2弁座21が取付けられている。
【0033】
一方、弁体ガイド6の下側筒部6Bの内周側には、流路穴6Cの下側(一側)に位置して環状の第1弁座6Eが形成され、該第1弁座6Eには、後述する弁体7の第1弁部7Cが離,着座する。そして、弁体ガイド6の流路穴6Cは、第1弁部7Cが第1弁座6Eから離座したときに貫通穴3C(流出口3B)側と連通し、第1弁部7Cが第1弁座6Eに着座したときに貫通穴3C(流出口3B)側に対して遮断されるものである。
【0034】
ここで、弁体ガイド6内は、後述の弁体7により軸方向一側の室A(以下、下側室Aという)と、軸方向他側の室B(以下、上側室Bという)とに画成されている。そして、この場合の下側室Aと上側室Bとは、後述する弁体7の各バランス孔7Eにより常時連通されるものである。
【0035】
7は弁体ガイド6内に摺動可能に挿嵌された弁体で、該弁体7は、図2〜図6に示すように蓋部7Aと、該蓋部7Aの一側(下面側)から下向きに延び蓋部7Aよりも小径に形成された筒部7Bとから有蓋筒状に形成されている。そして、筒部7Bの一側(下端側)外周には、前記第1弁座6Eに離,着座する第1弁部7Cが形成されている。また、筒部7Bの他側外周には、蓋部7Aとの境界部位に位置して第2弁部7Dが形成され、該第2弁部7Dは、後述する第2弁座21の可動シート22に離,着座するものである。
【0036】
また、弁体7の蓋部7Aには、軸方向(上,下方向)に延びる複数のバランス孔7E,7E,…が設けられ、該各バランス孔7Eは、弁体ガイド6内の下側室Aと上側室Bとを弁体7の上,下方向両側で常時連通させる。これにより、弁体7には、蓋部7Aの上面側と下面側とに等しい流体圧が作用し、バランス孔7Eは弁体7に軸方向の両側から作用する流体圧をバランスさせるものである。
【0037】
ここで、弁体7の蓋部7Aは、図3中に示すように弁体ガイド6内で受圧面積Saをもって流体圧を受圧し、筒部7B側では受圧面積Sb(Sb≒Sa)をもって流体圧を受圧する。このため、弁体7の閉弁時には、両者の受圧面積差ΔS(ΔS=Sa−Sb)に相当する力だけで弁体7を閉弁方向に押圧することができ、その閉弁状態を保持することができる。また、弁体7の開弁時にも、受圧面積差ΔSを小さく設定することにより、比較的小さい駆動力で弁体7を開弁方向に動かすことができ、これによって、弁体7が弁体ガイド6の内周面に沿って滑らかに開,閉弁動作するのを補償できるものである。
【0038】
8は弁体7から離間して支持フレーム4の他端側に設けられた弁開閉機構で、該弁開閉機構8は、後述のばね受18と支持板5との間に配設され、弁体7を常時閉弁方向に付勢したスプリング9と、後述する空気圧作動式のアクチュエータ10等とにより構成されている。
【0039】
10は弁体7をスプリング9に抗して開弁方向に駆動する空気圧(気体圧)作動式のアクチュエータで、該アクチュエータ10は、上,下の可動シェル11,12と、外周側が該可動シェル11,12間に挟持して設けられた可動隔壁としてのダイヤフラム13とからなり、該ダイヤフラム13は上側の可動シェル11との間に圧力室14を画成している。
【0040】
ここで、可動シェル11,12は、支持フレーム4上の支持板5をダイヤフラム13と共に上,下方向から取囲むように配設されている。そして、ダイヤフラム13は、その中央部側が支持板5に固着され、該支持板5によって背面側から補強(バックアップ)されている。また、上側の可動シェル11とダイヤフラム13は、図1に示す如く圧力室14内の空気圧を受圧するものである。
【0041】
また、下側の可動シェル12には、支持板5の各ガイド部5Aが挿通される複数の挿通穴12A,12A,…が設けられ、これらの挿通穴12Aにより可動シェル12は、支持フレーム4に対し各ガイド部5Aに沿って上,下動可能に取付けられている。そして、可動シェル12は、その内周側端部が後述する可動ヨーク16の外周側に固着され、この可動ヨーク16と一体に矢示F1 ,F2 方向に移動(上,下動)するものである。
【0042】
15は上側の可動シェル11に設けられた気体圧の給排口で、該給排口15には、外部の圧気源が空気圧配管(いずれも図示せず)等を介して接続され、これによってアクチュエータ10の圧力室14内には圧縮気体としての圧縮空気が給排される。そして、圧力室14内の空気圧が最小の圧力になっている間は、スプリング9により可動シェル11,12および可動ヨーク16等が矢示F1 方向に付勢され、これによって弁体7は図1に示す如く閉弁状態に保持される。
【0043】
一方、アクチュエータ10は、給排口15から圧力室14内に操作空気圧が供給されると、この空気圧が増加するに応じて圧力室14内の容積を増大させる。そして、この圧力室14内の空気圧により、可動シェル11,12は可動ヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示F2 方向に押動され、これによって弁体7は図5に示す如く弁開度が増大されるものである。
【0044】
16は支持フレーム4内に上,下動可能に設けられた可動枠体としての可動ヨークを示し、該可動ヨーク16は有底の枠状体として形成され、スプリング9を径方向外側から覆う構成となっている。また、可動ヨーク16の底部16A側には、後述の弁軸19が固定して取付けられ、可動ヨーク16は弁軸19と共に駆動力伝達手段を構成するものである。
【0045】
17は可動ヨーク16の底部16Aに設けられた固定ボルト、18は該固定ボルト17に緩止めナット18A等と一緒に螺合して設けられたばね受を示している。そして、該ばね受18は、固定ボルト17に対する螺合位置を緩止めナット18Aと一緒に変えることにより、スプリング9の付勢力を可変に調節できるものである。
【0046】
19は弁体7に対して可動ヨーク16と共に駆動力を伝達する弁軸で、該弁軸19は、図1に示すように支持フレーム4(蓋体部4A)の軸挿通穴4B内に軸方向に摺動可能(上,下動可能)に挿嵌され、その下端側は弁体ガイド6内で弁体7に連結されている。また、弁軸19の上端側は、可動ヨーク16の底部16Aに固定(連結)されている。そして、弁軸19は、可動ヨーク16の動きを弁体7に伝達し、弁体7を上,下方向へと開,閉弁させるものである。
【0047】
20は支持フレーム4の蓋体部4Aと弁軸19との間をシールするグランドパッキンで、該グランドパッキン20は、複数(例えば、9個)のパッキン材を支持フレーム4のパッキン取付穴4C内に互いに重合わせて装着することにより構成されている。そして、グランドパッキン20は、それぞれのパッキン材が弁軸19の外周面に締め代をもって摺接するものである。
【0048】
これにより、グランドパッキン20は、支持フレーム4の軸挿通穴4Bと弁軸19との間をシールしている。このため、例えば弁箱3内を流れる高圧の給水等の流体は、支持フレーム4の軸挿通穴4Bを介して外部に漏洩するのをグランドパッキン20によって防止される。
【0049】
21は弁体ガイド6に可動に設けた第2弁座で、該第2弁座21は、弁体ガイド6の上側筒部6Aと下側筒部6Bとの間に位置して下側筒部6Bの弁座取付部6D内に取付けられている。そして、第2弁座21は、図3、図4に示すように後述の可動シート22とばね部材23とにより構成され、弁体7の第2弁部7Dが離,着座するものである。
【0050】
22は第2弁座21を構成する可動シートで、該可動シート22は、図3〜図7に示すように耐熱性の高い金属材料等を用いて横断面が略L字状をなす環状シートとして形成され、下側筒部6Bの弁座取付部6D内に移動可能に配置(隙間をもって嵌合)されている。そして、可動シート22は、下側筒部6Bの弁座取付部6D内に隙間をもって挿入され、弁座取付部6D内を周方向に延びる環状部22Aと、該環状部22Aの内周側から軸方向一側(下側)に向けて延び弁体7の外周を小さな隙間を介して取囲む筒部22Bと、該筒部22Bと環状部22Aとの間に形成されたシート面部22Cとにより構成されている。
【0051】
そして、可動シート22のシート面部22Cは、弁体7の第2弁部7Dに対応した傾斜面として形成され、弁体7の閉弁時には、図4に示すように第2弁部7Dがシート面部22Cに着座して両者の間を遮断するものである。また、可動シート22の環状部22Aと筒部22Bとは、後述のばね部材23を下側筒部6Bの弁座取付部6Dとの間で全周にわたって取囲み、ばね部材23を弁座取付部6D内に安定した状態で収納し保持するものである。
【0052】
23は可動シート22と共に第2弁座21を構成する環状のばね部材で、該ばね部材23は、耐熱性を有する弾性金属材料、例えば耐熱ニッケル合金等の金属材料を用いて横断面が屈曲したジグザグ形状に形成され、例えば300℃以上の高温下でもばね性を保持できるものである。そして、ばね部材23は、弁体ガイド6内の上側室Bと流路穴6Cとの間を可動シート22と一緒にシールするように可動シート22を上方(軸方向他側)に向けて付勢するものである。
【0053】
この場合、ばね部材23は、図4、図6および図8に示す如く外周側にU字状またはV字状に屈曲した2個の屈曲部23A,23Aを有し、内周側には同じくU字状またはV字状に屈曲した1個の屈曲部23Bを有している。そして、ばね部材23は、これらの屈曲部23A,23Bによりジグザグ形状をなすようにベローズ状に折曲げられ、その横断面はW字状をなすリング体として形成されている。なお、ばね部材23は、横断面がW字状のものに限るものではなく、多数個の凹凸部からなるジグザグ形をしたベローズ状のリング体として形成すればよい。
【0054】
ここで、ばね部材23は、図3〜図6に示すように下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22との間に締代をもって配設され、可動シート22の環状部22Aを軸方向他側(上方)に向けて付勢することにより、弁体7の第2弁部7Dが可動シート22のシート面部22Cに安定して着座するのを補償するものである。また、ばね部材23は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22の環状部22Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールする機能も有している。
【0055】
本実施の形態による圧力バランス型制御弁1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0056】
まず、弁開閉機構8のアクチュエータ10は、圧力室14内の空気圧が大気圧に近い最小の圧力状態におかれるときに、可動シェル11,12および可動ヨーク16等がスプリング9により矢示F1 方向に付勢され、このときの付勢力が弁軸19を介して弁体7へと伝達されることにより、弁体7は弁体ガイド6内で図1および図2に示す如く閉弁状態におかれる。
【0057】
次に、アクチュエータ10の給排口15から圧力室14内に圧縮空気を供給すると、圧力室14は内部の容積が増大され、圧力室14内の空気圧により可動シェル11,12が可動ヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示F2 方向に押動される。そして、この矢示F2 方向の駆動力(押動力)は弁軸19を介して弁体7へと伝達される。
【0058】
このため、弁体7は弁体ガイド6内を上向きに摺動変位し、図5に示す如く第1弁部7Cが弁体ガイド6の第1弁座6Eから離座して開度が増大される。そして、弁体7が開弁した状態では、弁箱3の流入口3Aから流出口3Bに向けて弁体ガイド6の各流路穴6C内を矢示C方向へと給水が流れ、給水の流量は、弁体7の開度に応じて制御される。
【0059】
ところで、弁体7の蓋部7Aには、軸方向(上,下方向)に延びる複数のバランス孔7E,7E,…を穿設し、該各バランス孔7Eにより、弁体7には蓋部7Aの上面側と下面側とに等しい流体圧を作用させ、弁体7が弁体ガイド6の内周面に沿って滑らかに開,閉弁動作するのを補償できるようにしている。
【0060】
しかし、このためには弁体ガイド6に流路穴6Cの上,下に離間して第1弁座6Eと第2弁座21とを設け、弁体7の外周側には、第1弁座6Eに離,着座する第1弁部7Cと第2弁座21に離,着座する第2弁部7Dとを設け、両者の離,着座するタイミングを一致させる必要があり、製作時の寸法管理等が難しくなってしまう。
【0061】
そこで、本実施の形態では、弁体ガイド6を、第2弁座21の位置で上,下方向に2分割して形成された上側筒部6Aと下側筒部6Bとにより構成し、該下側筒部6Bには、流路穴6Cよりも上側(他側)で、上側筒部6Aとの嵌合部側寄りに位置して弁座取付部6Dを設け、この弁座取付部6Dと上側筒部6Aの端面との間には、第2弁座21を軸方向(上,下方向)に移動可能に取付ける構成としている。
【0062】
そして、この場合の第2弁座21は、下側筒部6Bの弁座取付部6D内に隙間をもって挿入され、環状部22Aと筒部22Bとの間に斜めに傾斜したシート面部22Cが形成された環状の可動シート22と、例えば耐熱ニッケル合金等の耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がW字状をなすリングとして形成され、下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22との間に締代をもって配設されたばね部材23とにより構成している。
【0063】
このため、仮に弁体7の第1弁部7Cと第2弁部7Dとの離間寸法(軸方向の間隔)が、第1弁座6Eと第2弁座21との離間寸法に一致しないようなバラツキ等が存在する場合でも、第2弁座21の可動シート22は、ばね部材23の弾性変形により軸方向に移動可能となっているので、寸法のバラツキを容易に吸収することができる。これにより、弁体7の第1弁部7Cが第1弁座6Eに着座するときには、第2弁部7Dを第2弁座21の可動シート22(シート面部22C)に確実に着座させることができ、弁体7による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。
【0064】
しかも、弁体7の閉弁時に弁体ガイド6の流路穴6Cから弁体7の外周に沿って可動シート22に矢示D方向(図3、図4参照)の圧力が流入口3A側から作用しても、可動シート22は矢示D方向の流体圧を背圧として受圧することができ、可動シート22のシート面部22Cをばね部材23と一緒に第2弁部7Dに押付ける方向に付勢することができる。このため、第2弁部7Dと第2弁座21とのシール性を効果的に高めることができ、弁体7による流体の締切り(遮断)性能をより一層に向上することができる。
【0065】
また、可動シート22の環状部22Aと筒部22Bとは、ばね部材23を下側筒部6Bの弁座取付部6Dとの間で全周にわたって取囲む構成としているので、ばね部材23を弁座取付部6D内に安定した状態で収納するように保持することができ、例えば図4中で矢示D方向に作用する流体圧が、ばね部材23に高圧状態のまま付加されるのを防ぐことができると共に、ばね部材23が流体圧を直接的に受けるのを抑えることができる。
【0066】
そして、ばね部材23は、可動シート22の環状部22Aを軸方向他側(上方)に向けて付勢することにより、弁体7の第2弁部7Dが可動シート22のシート面部22Cに安定して着座するのを補償することができる。また、ばね部材23は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が下側筒部6Bの弁座取付部6Dと可動シート22の環状部22Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールすることができ、例えば弁座取付部6Dと可動シート22との間から流体が漏洩するのをばね部材23により遮断することができる。
【0067】
また、第2弁座21を構成する可動シート22とばね部材23とを、耐熱性の高い金属材料等を用いて形成することにより、例えば高温、高圧の蒸気等に対しても十分な耐久性、寿命を確保することができ、種々の流体制御にも広く適用することが可能となる。
【0068】
さらに、例えば従来技術で用いているピストンリング等のように、周方向の途中位置に合せ面部(切欠き)等が存在しない、無端のリング体として可動シート22を形成することができるので、弁体7を弁体ガイド6内で円滑に摺動変位することができ、弁体7の開,閉弁動作を安定させることができる。
【0069】
次に、図9ないし図15は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、例えば発電所の給水等の流体が弁箱内を逆向きに流れる構成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0070】
図中、31は本実施の形態で採用した弁ハウジングを示し、該弁ハウジング31は、第1の実施の形態で述べた弁ハウジング2とほぼ同様に構成され、弁箱32と支持フレーム4とを有している。しかし、この場合の弁ハウジング31は、後述する弁箱32内を矢示C′方向に流体(給水)が流れる点で第1の実施の形態とは異なるものである。
【0071】
32は本実施の形態で採用した弁箱で、該弁箱32は、第1の実施の形態で述べた弁箱3とほぼ同様に構成され、流入口32A、流出口32B、貫通穴32C、仕切壁部32Dおよび筒状開口部32Eを有している。しかし、この場合の弁箱32は、流入口32Aが図9中の左手側に配置され、流出口32Bが右手側に配置され、内部を流体が矢示C′方向に流れる点で、第1の実施の形態とは異なっている。
【0072】
33は弁箱32内に設けられた筒状の弁体ガイドで、該弁体ガイド33も、第1の実施の形態で述べた弁体ガイド6とほぼ同様に構成され、筒状開口部32E側から弁箱32内に挿入される。そして、弁体ガイド33は、軸方向の一側(下端側)が貫通穴32Cに嵌合され、他側(上端側)が蓋体部4Aに嵌合することにより弁箱32内に位置決めされている。
【0073】
しかし、この場合の弁体ガイド33は、単一の筒体として形成され、各流路穴33Aの軸方向一側と他側とに第1弁座33Bと第2弁座33Cとが一体に形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっている。また、弁体ガイド33内は、後述の弁体34により軸方向一側の室A(以下、下側室Aという)と、軸方向他側の室B(以下、上側室Bという)とに画成されている。そして、下側室Aと上側室Bとは、後述する弁体34の各バランス孔34Dにより常時連通されている。
【0074】
34は弁体ガイド33内に摺動可能に挿嵌された弁体で、該弁体34は、第1の実施の形態で述べた弁体7とほぼ同様に構成され、蓋部34Aと筒部34Bとにより有蓋筒状に形成されている。そして、筒部34Bの一側(下端側)外周には、弁体ガイド33の第1弁座33Bに離,着座する第1弁部34Cが形成され、蓋部7Aには軸方向(上,下方向)に延びる複数のバランス孔34D,34D,…が設けられている。
【0075】
しかし、この場合の弁体34は、蓋部34Aの外周側に後述の第2弁部37等を着脱可能に取付けるための取付用段差部34Eが設けられ、該取付用段差部34Eは、蓋部34Aの外周側を一側(下端側)から他側(上端側)に向けて3段階で縮径するようクランク状に切欠いた段付溝として形成されている。そして、取付用段差部34Eの下部側には、後述の第2弁部37が取付けられ、上部側には第2弁部37を抜止め状態に保持するための弁部押え35が固定して設けられるものである。
【0076】
ここで、弁部押え35は、取付用段差部34E(蓋部34Aの外周側)に着脱可能に取付けられるリングとして形成され、後述の第2弁部37と共に弁体34の一部を構成するものである。そして、弁体34の蓋部34A(弁部押え35を含む)は、図10中に示すように弁体ガイド33内で受圧面積Saをもって流体圧を受圧し、筒部34B側では受圧面積Sb(Sb≒Sa)をもって流体圧を受圧するものである。
【0077】
また、弁部押え35の下部外周側には、後述する可動シート38の筒部38Bが小さな隙間をもって挿入されるように横断面がL字状をなした環状の切欠き部35Aが形成されている。さらに、弁部押え35の下部内周側には、蓋部34Aの外周側(取付用段差部34E)との間に耐熱性のシール部材36が設けられ、該シール部材36は、弁体34の蓋部34Aと弁部押え35との間を気液密にシールするものである。
【0078】
37は弁体34に可動に設けられた第2弁部で、この第2弁部37は、弁体34の取付用段差部34Eに対して弁部押え35よりも先に取付けられ、その後に弁部押え35によって取付用段差部34E内に抜止め状態で保持されるものである。そして、第2弁部37は、図10〜図13に示すように後述の可動シート38とばね部材39とにより構成され、弁体ガイド33の第2弁座33Cに対して離,着座するものである。
【0079】
38は第2弁部37を構成する可動シートで、該可動シート38は、図10〜図14に示すように耐熱性の高い金属材料等を用いて横断面が略L字状をなす環状シートとして形成され、取付用段差部34Eの下部側に軸方向で移動可能に配置されている。そして、可動シート38は、蓋部34Aの外周側で取付用段差部34E内に隙間をもって挿入され、取付用段差部34Eの周方向に延びる環状部38Aと、該環状部38Aの外周側から軸方向他側(上側)に向けて延び上端側が弁部押え35の外周側に小さな隙間を介して遊嵌された筒部38Bと、該筒部38Bと環状部38Aとの間に形成されたシート面部38Cとにより構成されている。
【0080】
そして、可動シート38のシート面部38Cは、弁体ガイド33の第2弁座33Cに対応した傾斜面として形成され、弁体34の閉弁時には、図11に示すように第2弁座33Cにシート面部38Cが着座して両者の間を遮断するものである。また、可動シート38の環状部38Aと筒部38Bとは、後述のばね部材39を蓋部34Aの外周側(取付用段差部34E)との間で全周にわたって取囲み、ばね部材39を取付用段差部34E内に安定した状態で収納し保持するものである。
【0081】
39は可動シート38と共に第2弁部37を構成する環状のばね部材で、該ばね部材39は、第1の実施の形態で述べたばね部材23とほぼ同様に構成され、横断面が屈曲したジグザグ形状に形成されている。そして、ばね部材39は、弁体ガイド33内の上側室Bと流路穴33Aとの間を可動シート38と一緒にシールするように可動シート38を下方(軸方向の一側)に向けて付勢している。
【0082】
しかし、この場合のばね部材39は、図11、図13および図15に示す如く内周側にU字状またはV字状に屈曲した2個の屈曲部39A,39Aを有し、外周側には同じくU字状またはV字状に屈曲した1個の屈曲部39Bを有している。そして、ばね部材39は、これらの屈曲部39A,39Bによりジグザグ形状をなすようにW字状に折曲げられ、その横断面はW字状をなすリング体として形成されている。
【0083】
ここで、ばね部材39は、図10〜図13に示すように蓋部34Aの外周側に位置する取付用段差部34E内で弁部押え35と可動シート38との間に締代をもって配設され、可動シート38の環状部38Aを軸方向一側(下方)に向けて付勢することにより、弁体ガイド33の第2弁座33Cに対して可動シート38のシート面部38Cが安定して着座するのを補償するものである。また、ばね部材39は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が取付用段差部34E内で弁部押え35と可動シート38の環状部38Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールする機能も有している。
【0084】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、弁体ガイド33の第1弁座33Bと第2弁座33Cに対して弁体34の第1弁部34Cと第2弁部37とが離,着座するタイミングを一致させることができ、前記第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
【0085】
即ち、本実施の形態では、弁体34の筒部34B外周側に環状の取付用段差部34Eを設け、該取付用段差部34Eの下部側には第2弁部37を軸方向(上,下方向)に移動可能に配置すると共に、取付用段差部34Eの上部側には、該第2弁部37を抜止め状態に保持する弁部押え35を固定して設ける構成としている。
【0086】
そして、この場合の第2弁部37は、蓋部34Aの外周側で取付用段差部34E内に隙間をもって挿入され、環状部38Aと筒部38Bとの間に斜めに傾斜したシート面部38Cが形成された環状の可動シート38と、例えば耐熱ニッケル合金等の耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がW字状をなすリングとして形成され、取付用段差部34E内で弁部押え35と可動シート38との間に締代をもって配設されたばね部材39とにより構成している。
【0087】
このため、仮に弁体34の第1弁部34Cと第2弁部37との離間寸法(軸方向の間隔)が、弁体ガイド33の第1弁座33Bと第2弁部33Cとの離間寸法に一致しない場合でも、第2弁部37の可動シート38は、ばね部材39の弾性変形により軸方向に移動可能となっているので、弁体34の第1弁部34Cが第1弁座33Bに着座するときに、第2弁座33Cに対して第2弁部37の可動シート38(シート面部38C)を確実に着座させることができ、弁体34による流体の締切り(遮断)性能を向上することができる。
【0088】
しかも、弁体34の閉弁時に流入口32A側からの流体圧が弁体34のバランス孔34Dを介して弁体34の蓋部34A、弁部押え35に閉弁方向に作用すると共に、弁部押え35の外周に沿って可動シート38に矢示D′方向(図10、図11参照)から作用しても、可動シート38は矢示D′方向の流体圧を背圧として受圧することができ、可動シート38のシート面部38Cをばね部材39と一緒に第2弁座33Cに押付ける方向に付勢することができる。このため、第2弁座33Cと第2弁部37とのシール性を効果的に高めることができ、弁体34による流体の締切り(遮断)性能をより一層に向上することができる。
【0089】
また、可動シート38の環状部38Aと筒部38Bとは、ばね部材39を弁体34の取付用段差部34Eと弁部押え35との間で全周にわたって取囲む構成としているので、ばね部材39を取付用段差部34Eの下部側に安定した状態で収納するように保持することができ、例えば図11中で矢示D′方向に作用する流体圧が、ばね部材39に高圧状態のまま付加されるのを防ぐことができると共に、ばね部材39が流体圧を直接的に受けるのを抑えることができる。
【0090】
そして、ばね部材39は、可動シート38の環状部38Aを軸方向下側(下方)に向けて付勢することにより、弁体34の第2弁部37(可動シート38のシート面部38C)が第2弁座33Cに対し安定して着座するのを補償することができる。また、ばね部材39は、横断面がW字状をなすリング体として形成されることにより、その両端側が弁部押え35の下面と可動シート38の環状部38Aとに弾性変形状態で当接し、両者の間を気液密にシールすることができ、例えば弁部押え35と可動シート38との間から流体が漏洩するのをばね部材39により遮断することができる。
【0091】
なお、前記第1の実施の形態では、第2弁座21を可動シート22と共に構成するばね部材23を、横断面がW字状をなすリング体として形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ばね部材を横断面がジグザグ状に屈曲した形状(例えば、横断面がV字状、U字状、M字状またはN字状をなす形状)のリング体として形成する構成としてもよい。そして、この点は第2の実施の形態で述べたばね部材39についても同様である。
【0092】
また、前記第1,第2の実施の形態では、弁体7,34がスプリング9により常時閉弁方向に付勢される所謂逆作動弁として構成された圧力バランス型制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば常開の正作動弁として構成された圧力バランス型制御弁にも適用できるものである。
【0093】
さらに、前述した各実施の形態では、原子力発電所等で用いる制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば石油化学コンビナート、化学プラントまたは精油所で用いられる制御弁等、種々の流体の流れを制御する制御弁に対しても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態による圧力バランス型制御弁の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1中の弁箱、弁体ガイドおよび弁体等とを拡大して示す部分断面図である。
【図3】図2中の弁体ガイドおよび弁体を拡大して示す断面図である。
【図4】図3中の第2弁座と第2弁部等とを拡大して示す要部断面図である。
【図5】弁体が開弁した状態を示す図3と同様位置での断面図である。
【図6】図5中の第2弁座と第2弁部等を拡大して示す要部断面図である。
【図7】図3中の可動シートを単体として示す一部破断の斜視図である。
【図8】図3中のばね部材を単体として示す一部破断の斜視図である。
【図9】第2の実施の形態による弁箱、弁体ガイドおよび弁体等を示す部分断面図である。
【図10】図9中の弁体ガイドおよび弁体を拡大して示す断面図である。
【図11】図10中の第2弁座と第2弁部等とを拡大して示す要部断面図である。
【図12】弁体が開弁した状態を示す図10と同様位置での断面図である。
【図13】図12中の第2弁座と第2弁部等とを拡大して示す要部断面図である。
【図14】図10中の可動シートを単体として示す一部破断の斜視図である。
【図15】図10中のばね部材を単体として示す一部破断の斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
1 圧力バランス型制御弁
2,31 弁ハウジング
3,32 弁箱
3A,32A 流入口
3B,32B 流出口
4 支持フレーム
4A 蓋体部
6,33 弁体ガイド
6A 上側筒部
6B 下側筒部
6C,33A 流路穴
6D 弁座取付部
6E,33B 第1弁座
7,34 弁体
7C,34C 第1弁部
7D,37 第2弁部
7E,34D バランス孔
8 弁開閉機構
9 スプリング
10 アクチュエータ
11,12 可動シェル
13 ダイヤフラム
14 圧力室
16 可動ヨーク
19 弁軸
21,33C 第2弁座
22,38 可動シート
23,39 ばね部材
34E 取付用段差部
35 弁部押え
A 下側室(軸方向一側の室)
B 上側室(軸方向他側の室)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入口と流出口とを有した弁ハウジングと、前記流入口と流出口との間に位置して該弁ハウジング内に設けられ軸方向の一側が開口端となって前記流入口と流出口のうちいずれか一方側に連通し軸方向の他側が前記弁ハウジングによって閉塞された筒状の弁体ガイドと、該弁体ガイドの径方向に穿設され前記流入口と流出口のうち他方側に連通した流路穴と、該流路穴よりも軸方向の一側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第1弁座と、前記流路穴よりも軸方向の他側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第2弁座と、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため前記弁体ガイド内に変位可能に設けられ前記第1弁座に離,着座する第1弁部および前記第2弁座に離,着座する第2弁部を有した弁体と、該弁体に形成され前記弁体ガイドの軸方向一側の室と他側の室とを連通することにより該弁体に軸方向の両側から作用する流体圧をバランスさせるバランス孔とを備えてなる圧力バランス型制御弁において、
前記弁体ガイドの第2弁座と前記弁体の第2弁部とのいずれか一方は、
前記弁体ガイドの内周側と前記弁体の外周側との間に位置し軸方向に移動可能な別部材として形成された環状の可動シートと、
前記弁体ガイドの軸方向他側の室と前記流路穴との間をシールするように該可動シートを付勢する環状のばね部材とにより構成したことを特徴とする圧力バランス型制御弁。
【請求項2】
前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流出口側に常時連通し、前記流路穴が流入口側に常時連通する構成とし、
前記第2弁座は、前記弁体ガイドの軸方向に移動可能に設けられ前記弁体の第2弁部が離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体ガイドとの間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁部に向けて弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成してなる請求項1に記載の圧力バランス型制御弁。
【請求項3】
前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流入口側に常時連通し、前記流路穴が流出口側に常時連通する構成とし、
前記第2弁部は、前記弁体の軸方向に移動可能に設けられ前記弁体ガイドの第2弁座に対して離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体との間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁座に対して弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成してなる請求項1に記載の圧力バランス型制御弁。
【請求項4】
前記ばね部材は、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がベローズ状をなすリング体として形成する構成としてなる請求項1,2または3に記載の圧力バランス型制御弁。
【請求項1】
流体の流入口と流出口とを有した弁ハウジングと、前記流入口と流出口との間に位置して該弁ハウジング内に設けられ軸方向の一側が開口端となって前記流入口と流出口のうちいずれか一方側に連通し軸方向の他側が前記弁ハウジングによって閉塞された筒状の弁体ガイドと、該弁体ガイドの径方向に穿設され前記流入口と流出口のうち他方側に連通した流路穴と、該流路穴よりも軸方向の一側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第1弁座と、前記流路穴よりも軸方向の他側に位置して前記弁体ガイドの内周側に設けられた環状の第2弁座と、前記流入口と流出口との間を連通,遮断するため前記弁体ガイド内に変位可能に設けられ前記第1弁座に離,着座する第1弁部および前記第2弁座に離,着座する第2弁部を有した弁体と、該弁体に形成され前記弁体ガイドの軸方向一側の室と他側の室とを連通することにより該弁体に軸方向の両側から作用する流体圧をバランスさせるバランス孔とを備えてなる圧力バランス型制御弁において、
前記弁体ガイドの第2弁座と前記弁体の第2弁部とのいずれか一方は、
前記弁体ガイドの内周側と前記弁体の外周側との間に位置し軸方向に移動可能な別部材として形成された環状の可動シートと、
前記弁体ガイドの軸方向他側の室と前記流路穴との間をシールするように該可動シートを付勢する環状のばね部材とにより構成したことを特徴とする圧力バランス型制御弁。
【請求項2】
前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流出口側に常時連通し、前記流路穴が流入口側に常時連通する構成とし、
前記第2弁座は、前記弁体ガイドの軸方向に移動可能に設けられ前記弁体の第2弁部が離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体ガイドとの間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁部に向けて弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成してなる請求項1に記載の圧力バランス型制御弁。
【請求項3】
前記弁体ガイドは、軸方向一側の開口端が前記流入口側に常時連通し、前記流路穴が流出口側に常時連通する構成とし、
前記第2弁部は、前記弁体の軸方向に移動可能に設けられ前記弁体ガイドの第2弁座に対して離,着座する前記可動シートと、該可動シートと弁体との間に締代をもって配設され該可動シートを前記第2弁座に対して弾性的に付勢する前記ばね部材とにより構成してなる請求項1に記載の圧力バランス型制御弁。
【請求項4】
前記ばね部材は、耐熱性を有する弾性金属材料により横断面がベローズ状をなすリング体として形成する構成としてなる請求項1,2または3に記載の圧力バランス型制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−112539(P2010−112539A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287970(P2008−287970)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(505477224)シーシーアイ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(505477224)シーシーアイ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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