説明

圧力フィルタ装置

発明は、圧力フィルタ装置(1)、特に液体フィルタ装置に関し、フィルタハウジングポット(3)、および上記ポットに気密状に連結され得るフィルタハウジングカバー(4)を有するフィルタハウジング(2)と、フィルタハウジング(2)内に配置される少なくとも1つのフィルタエレメント(5)とを備える。発明に従えば、フィルタハウジングポット(3)に固定されたベントライン(6)は、フィルタハウジングカバー(4)の直下に位置する汚染側のガス収集領域(7)を(油圧液体)タンク(8)に接続し、またはフィルタエレメント(5)に固定され、そのアッパーエンドディスク(11)を通して案内されるベントライン(6)は、フィルタハウジングカバー(4)の直下に位置する未処理側のガス収集領域(7)をフィルタエレメント(5)の清浄側(13)を介して(油圧液体)タンク(8)に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力フィルタ装置に関し、特に、請求項1のプリアンブルに従った油圧フィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の圧力フィルタ装置では、しばしば、上記圧力フィルタ装置のフィルタハウジング内で空気も分離されてフィルタハウジングカバーの直下に蓄積する。もし、この空気が放出されなければ、その体積は定常的に増加し、濾過されるべき液体のための有効なフィルタ領域を減少させる。このように、もし、蓄積した空気が放出されなければ、例えば鉛直に配置されたフィルタエレメント中では、頂部から始まって絶えず広がり、したがって利用されない領域を、流れが通過できなくなる。さらに、特にバイパスの場合には、不十分な量のオイルしか供給しない空気流れが生じ得、したがってベアリングに損傷を引き起こし得る。特に、オープンシステムでは、例えばフィルタエレメントにおいて多量の空気が導入されて分離され、そこにおいて、フィルタハウジングカバーに設けられ、それを通してそのようなフィルタ装置が排気されるベントラインが知られている。しかし、公知のベントラインの欠点は、フィルタエレメントの交換の際に、そのフィルタハウジングカバーへの配置のために、上記ベントラインが最初に時間をかけて分解され、後に再度組みつけられなければならないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、したがって、特に取り扱いを簡素化する、一般的な種類のフィルタ装置の改良、または少なくとも変形例を提供する課題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、独立請求項の主題による発明によって解決される。有利な実施例は従属請求項の主題である。
【0005】
本発明は、圧力フィルタ装置、例えば液体(hydraulic)フィルタ装置の場合に、フィルタハウジングポットにベントラインを取り付け、本発明に従って配置されたベントラインは、フィルタハウジングカバーの直下に位置する未処理側(crude-side)のガス収集領域を(油圧液体:hydraulic liquid)タンクに接続するという概略のアイデアに基づく。さらに、好ましくはフィルタハウジングポットと、上記ポットに気密状に(pressure-tight manner)連結され得るフィルタハウジングカバーとから構成されるフィルタハウジング内に、実際にフィルタ機能を発揮するフィルタエレメントが配置される。フィルタエレメントの交換の際には、フィルタハウジングポットへのベントラインの発明的な配置は、最初にフィルタハウジングカバーを簡潔な方法で螺合解除し、続いてベントラインの複雑な取り外しの必要なくフィルタエレメントを取り除くことを可能にする。新しいフィルタエレメントの組み付けは、同じ簡潔な方法で行われ、ここでもまた、複雑なベントラインの組み付けは排除される。この変形例としては、ベントラインは、フィルタエレメント自体に固定され、そのアッパーエンドディスクを通して供給され得、この場合には、ベントラインは、清浄側を介して、フィルタハウジングカバーの直下に位置する未処理側のガス収集領域をタンク、特に油圧液体タンクに接続する。この場合には、ベントラインはフィルタエレメントの構成要素となり、それと一緒に容易に交換され得る。ベントラインのタンクへの接続は、例えば、フィルタエレメントのロアエンドディスクにタンクへと続く戻りラインに結合する(engages)中空ピンが配置され、ベントラインが、上記中空ピンを介して戻りラインに連通して接続されるように行われる。何れの手法も、フィルタエレメントを交換する間に、それぞれのベントラインの複雑な組み付けまたは取り外しが、もはや必要とされず、それによって本発明の圧力フィルタ装置の取り扱いは画期的に簡素化されるという、たいへんな利点を有している。
【0006】
発明に従った解法の有利な工夫では、ベントラインは、少なくともガス収集領域において、フィルタハウジングカバーの内側の輪郭に適合し得るフレキシブルホース部材として形成される。その弾力性によって、そのようなフレキシブルホース部材は、さらに、それによって圧力フィルタ装置の動作中の好ましくないバイパス流れを防ぐ絞りとして働き得る。一般に、そのようなフレキシブルホース部材は、非常に費用効率の高い方法で製造されることができ、そのうえ、フィルタエレメントの組み付け、または取り外しの何れにおいても邪魔にならない。
【0007】
発明に従った解法のさらに有利な実施例では、ベントラインは、少なくともガス収集領域において、その形状に関して、フィルタハウジングカバーの内側の輪郭に適合する固定的なパイプ部材として形成される。これは、排気のために重要なガス収集領域のベントラインが、常に定義されたように配置され、例えばフレキシブルホース部材として形成される場合に生じ得るような位置の変化が回避されるという、たいへんな利点を有している。さらに、そのような固定的なパイプ部材は、もし、例えば、さらに関節式ジョイントがフィルタハウジングカバーとフィルタハウジングポットとの間の遷移領域に設けられ、その関節式ジョイントが、ガス収集領域内に延びるベントラインの部分の旋回を可能にするならば、フィルタエレメントの組み付け、および取り外しの邪魔にならない。
【0008】
さらに重要な発明の特徴、および利点は、従属請求項から、図面から、および図面に基づいた例示の関連する記載から生じる。
【0009】
以上で述べられた特徴、およびさらに以下に説明される特徴は、それぞれ示された組み合わせだけでなく、しかし、また、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせで、または独立して、用いられ得ることは理解されるべきである。
【0010】
本発明の好ましい例示的な実施例は図に示され、以下の記述で詳細に説明されている。ここで、同一の符号は、同一の、または類似の、または機能的に同一の構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発明に従った圧力フィルタ装置の断面図を示す。
【図2】図1と同様の、しかし他の実施例の圧力フィルタ装置の図を示す。
【図3】発明に従った圧力フィルタ装置のさらなる実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1によれば、特に液体フィルタ装置として形成され得、例えばおよそ16〜20バールの圧力範囲で動作する発明の圧力フィルタ装置1は、フィルタハウジング2を含み、それは、実質的にフィルタハウジングポット3、および特に上記フィルタハウジングポット3に気密状に接続され得るねじ込み可能なフィルタハウジングカバー4から構成される。図1から図3ではそれぞれ左半分だけが図示されているフィルタハウジング2の内部には、特にリングフィルタエレメントのタイプのフィルタエレメント5が配置されている。発明に従った図1および図3の圧力フィルタ装置1のフィルタハウジングポット3には、フィルタハウジングカバー4の直下に位置する未処理側のガス収集領域7を(油圧液体)タンク8に接続するベントライン6が取り付けられている。一般に、タンク8は、もし、圧力フィルタ装置1が潤滑油装置を含む場合には、潤滑油タンクとして形成され得る。ベントライン6は、圧力フィルタ装置1の恒久的な排気をもたらし、それによって、フィルタエレメント5のフィルタ領域が、濾過される液体に完全にさらされ、フィルタ領域全体に亘るフィルタ効果が発生させられることが、高い信頼性で保証され得る。圧力フィルタ装置1の恒久的な排気は、したがって、その一定の高いフィルタ能力を確実にする。
【0013】
図1に示される圧力フィルタ装置1によれば、そのベントライン6は、少なくともガス収集領域7において、その形状に関して、フィルタハウジングカバー4の内側の輪郭に適合する固定的なパイプ部材として形成される。フィルタハウジングカバー4の螺合解除後、それの部分9がガス収集領域7中に突き出たベントライン6は、関節式ジョイント10によって傾くことができ、このようにして、フィルタエレメント5がフィルタハウジングポット3から容易に除去され得る。ここで、ベントライン6は、側方の表面において(図1に示すように)、または図示しない底部領域においてフィルタハウジングポット3を貫通することができ、何れの場合にも、ベントライン6はタンク8に接続される。
【0014】
これに対して、図3の圧力フィルタ装置1では、ベントライン6は、少なくともガス収集領域7において、フィルタハウジングカバー4の内側の輪郭に適合し得るフレキシブルホース部材として形成される。そこで、図3のベントライン6の部分9が、フレキシブルホース部材として形成され、例えばフィルタエレメント5またはフィルタエレメント5のアッパーエンドディスク11に取り付けられたサポートジオメトリ12によって、その流入口がフィルタハウジングカバー4の最高部の真下に位置される。フィルタエレメント5のアッパーエンドディスク11上に形成されたサポートジオメトリ12には、もし、フィルタエレメント5が目詰まりした場合にバイパスフローを許容する通路20が設けられ得る。この場合にも、また、ベントライン6は、例えばフィルタハウジングポット3の側部の表面を通して、またはその底部を通して設けられ、タンク8に連通するように接続され得る。フィルタハウジングポット3の底部を通して設けられるベントライン6は、破線でだけ示され、オプショナルである。一般に、アッパーエンドディスク11の形態は、ベントライン6、すなわち例えばホースまたはパイプが、それが常にフィルタハウジングカバー4の下方の最高点になるように、位置されるように形成され得る。さらに、アッパーエンドディスクの形態は、バイパスの場合の流れも許容する。また、ベントライン6が、フィルタエレメント5が組み込まれた後にアッパーエンドディスク11の適切な位置にラッチされ、特にクリップされることも考えられる。
【0015】
または、図2に示される圧力フィルタ装置1中で、ベントライン6は、フィルタエレメント5に設けられ(arranged)、またはねじ留めされて、そのアッパーエンドディスク11を通して設けられる。ベントライン6のガス収集領域7中に突出する部分9は、固定的であり得、またはフレキシブルホース部材で形成され得る。図2から明らかなように、ベントライン6は、ガス収集領域7から、フィルタエレメント5のアッパーエンドディスク11を通して、上記の清浄側13から、ロアエンドディスク14、および続くドレインチャネル15を通してタンク8へと続く。そのロアエンドディスク14では、フィルタエレメント5は、フィルタハウジングポット側のドレインチャネル15に結合し、同時にベントライン6の一部(segment)を形成する中空ピン16を有している。アッパーエンドディスク11とロアエンドディスク14との間に位置するベントライン6の部分9aは、任意に、固定的なパイプ部材として、またはフレキシブルホース部材として形成され得る。図2の実施例では、内側、および外側に突出するノズル21,21’がフィルタエレメント5のアッパーエンドディスク11に形成され、ベントライン6は、そのそれぞれの部分9,9aが上記ノズルに接続される。
【0016】
一般に、フィルタエレメント5には、さらにバイパスバルブ17が配置されることができ、上記バイパスバルブは、フィルタエレメント5が目詰まりした場合に、フィルタエレメントの未処理側18を清浄側13に接続する。一般に、発明の圧力フィルタ装置1は、液体の部門(hydraulic sector)で用いられ、ベントライン6の配置の提案される解法は、主に、例えば燃料または潤滑油フィルタなどの他のフィルタ装置にも適用され得る。
【0017】
圧力フィルタ装置1の作動中に、ベントライン6を介した望ましくないバイパス流を防止するためには、ベントライン6の領域内、特にフィルタハウジングポット3の外側に絞り19が設けられ得、上記絞りは、少なくとも望ましくないバイパス流を制限する。もちろん、そのような絞り19は、ベントライン6のフレキシブルホース部材によって、部分9内に形成されることもでき、それは、例えば図2に示される実施例において有利である。
【0018】
一般に、圧力フィルタ装置1、および特にベントライン6の発明的配置または取り付けによって、特にフィルタエレメント5を交換する際の圧力フィルタ装置1の非常に簡素化されたメインテナンスが、信頼性の高いフィルタリング効果と共に達成される。
【0019】
一般に、図3に破線で示されるように、ベントライン6は、また、フィルタエレメント5の外周、またはエンドディスク11,14に取り付けられ(例えばクリップされ)得、この場合には、ロアエンドディスク14は、外周において軸方向に、ドレインチャネル15に結合するピン16’を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力フィルタ装置(1)、特に液体フィルタ装置であって、
フィルタハウジングポット(3)、およびこれに気密状に連結され得るフィルタハウジングカバー(4)を有するフィルタハウジング(2)と、
フィルタハウジング(2)内に配置される少なくとも1つのフィルタエレメント(5)と、
を備え、
フィルタハウジングポット(3)に固定され、フィルタハウジングカバー(4)の直下に位置する未処理側のガス収集領域(7)を(油圧液体)タンク(8)に接続するベントライン(6)が設けられていることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項2】
圧力フィルタ装置(1)、特に液体フィルタ装置であって、
フィルタハウジングポット(3)、およびこれに気密状に連結され得るフィルタハウジングカバー(4)を有するフィルタハウジング(2)と、
フィルタハウジング(2)内に配置される少なくとも1つのフィルタエレメント(5)と、
を備え、
フィルタエレメント(5)に固定され、そのアッパーエンドディスク(11)を通して設けられ、フィルタエレメント(5)の清浄側(13)を介して、フィルタハウジングカバー(4)の直下に位置する未処理側のガス収集領域(7)を(油圧液体)タンク(8)に接続するベントライン(6)が設けられていることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2のうち何れか1項の圧力フィルタ装置であって、
ベントライン(6)は、少なくともガス収集領域(7)において、フィルタハウジングカバー(4)の内側の輪郭に適合することが可能なフレキシブルホース部材として形成されていることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項4】
請求項1および請求項2のうち何れか1項の圧力フィルタ装置であって、
ベントライン(6)は、少なくともガス収集領域(7)において、その形状に関して、フィルタハウジングカバー(4)の内側の輪郭に適合する固定的なパイプ部材として形成されていることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項5】
請求項4の圧力フィルタ装置であって、
上記パイプ部材は、特にフィルタハウジングカバー(4)とフィルタハウジングポット(3)との間の遷移領域に、関節式ジョイント(10)を有していることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち何れか1項の圧力フィルタ装置であって、
上記ベントライン(6)は、フィルタハウジングポット(3)を貫通することを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうち何れか1項の圧力フィルタ装置であって、
上記ベントライン(6)の領域内、特にフィルタハウジングポット(3)の外側に絞り(19)が設けられていることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項8】
請求項1および請求項7のうち何れか1項の圧力フィルタ装置であって、
上記フィルタエレメント(5)は、そのロアエンドディスク(14)に、フィルタハウジングポット側のドレインチャネル(15)に結合する中空ピン(16)を有し、
上記ベントライン(6)は、上記中空ピン(16)を介して、ドレインチャネル(15)に連通するように接続されていることを特徴とする圧力フィルタ装置。
【請求項9】
請求項8の圧力フィルタ装置であって、
上記フィルタエレメント(5)のアッパーエンドディスク(11)に、内側、および外側に突出し、ベントライン(6)が接続されるノズル(21,21’)が形成されていることを特徴とする圧力フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505826(P2013−505826A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531307(P2012−531307)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062688
【国際公開番号】WO2011/039020
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(506292974)マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26−46, D−70376 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】