説明

圧力式水位計測装置及びこれを用いた防波管内堆積物除去方法

【課題】防波管底部に設けられる底蓋を水位よりも上方の位置から確実に開閉させることができる圧力式水位計測装置を提供する。防波管下方の土砂を除去して底蓋を開閉させ易くする。
【解決手段】下端部が水面下に挿入されて設置された防波管4と、この防波管4の内部に挿入される圧力式水位計5と、防波管4の下端開口部4aに着脱自在に設けられると共に通孔7が形成された底蓋6と、底蓋6に連結されてこの底蓋と一体に変位し、防波管4に沿って略平行に水面より上方まで延設された操作棒10と、操作棒10を操作する操作部11とを備え、操作棒10を操作部11による操作で軸方向及び周方向に変位可能とする。操作棒10の底蓋6よりも下方に位置する部位に操作棒10の内部を介して供給される水を噴出する噴出ノズル25を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川やダムなどの水位計測に用いる投入式の圧力式水位計を防波管の内部に収容し、防波管の下端開口部に通孔が形成された底蓋が設けられている圧力式水位計測装置及びこれを用いた防波管内堆積物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川やダムの水位を計測する機器のひとつに液圧を検出することによって液面の高さを測定する圧力式水位計を液中に設置する投入式の圧力式水位計測装置がある。これは、防波管と称する円筒型の配管をその下端部が水面下に挿入されるように設置し、この防波管の内部に圧力式水位計を挿入し、この圧力式水位計を最も水位が低下する水位よりも下方に位置し、且つ、防波管の下端開口部よりも上方に位置するように設置したものである(特許文献1,2参照)。
【0003】
このような圧力式水位計測装置は、フロート式水位計測装置(特許文献3参照)と比べると、安価でスペースが小さい箇所に取付けることが可能であるが、河川等に設置する場合には、小刻みな水位変動まで防波管内に伝達されると、圧力式水位計で感知する水位表示がばらつくため、図5に示されるように、防波管の下端開口部を底蓋で閉塞し、この底蓋に小口径の通孔を開けることで、防波管内に小刻みな水位変動が伝達されることを抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128688号公報
【特許文献2】特許第3234970号公報
【特許文献3】特開2007−78561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示されるように、圧力式水位計5が収容された防波管4の下端開口部4aに設けられた底蓋6に通孔7を形成されていると、この通孔7から流水と共に水中の土砂等の浮遊物が少なからず入り込むため、この通孔7を介して入り込んだ浮遊物が防波管4の底蓋上面に堆積し、この堆積物αによって通孔7が塞がれてしまし、正確な水位を計測することができなくなる不都合がある。
このため、従来の圧力式水位計測装置においては、ダムや水路の断水を行い、防波管底部の底蓋を開放して防波管内部の堆積物を除去する作業を行うようにしており、大掛かりな作業が必要となり、大変な手間と時間を要していた。
【0006】
このような不都合を回避するために、前述した特許文献3に示されるように、筒状体の下端の開口部に、ここを開閉する開閉蓋を設け、この開閉蓋をヒンジを中心に回動自在とし、ヒンジと反対側の端部にワイヤーを接続してワイヤーを介して遠隔操作する構成も考えられるが、底蓋は、ワイヤーを巻き出すことで、自重によってヒンジを中心に開放させる構成であるため、開閉操作時に防波管の下方に土砂が溜まっている場合には、底蓋の開動作が不能になるという不都合がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、圧力式水位計を防波管内に挿入する圧力式水位計測装置において、防波管底部に設けられる底蓋を水位よりも上方の位置から確実に開閉させることができる圧力式水位計測装置を提供することを主たる課題としている。また、防波管の下端部が土砂で埋設された場合でも、防波管下方の土砂を除去して底蓋を開閉させ易くすることをも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る圧力式水位計測装置は、下端部が水面下に挿入されて設置される防波管と、この防波管の内部に挿入される圧力式水位計と、前記防波管の下端の開口部に着脱自在に設けられると共に通孔が形成された底蓋と、前記底蓋に連結されてこの底蓋と一体に変位し、前記防波管に沿って略平行に水面より上方まで延設された操作棒と、前記操作棒の水面より上側に設けられて該操作棒を操作する操作部と、を備え、前記操作棒は、前記操作部による操作で軸方向及び周方向に変位可能であることを特徴としている。
【0009】
したがって、防波管の下端の開口部に着脱自在に設けられる底蓋は、これと一体に変位する操作棒を操作することにより軸方向及び周方向に変位させることが可能となるので、操作部による操作部の軸方向及び周方向への移動を底蓋に直接伝達させることが可能となり、底蓋を操作部の操作通りに動かすことが可能となる。このため、底蓋の下方に土砂が溜まっていても、底蓋を押し下げたり回動させたりすることで、底蓋の下方の土砂をある程度排除させることができ、底蓋の開閉動作を的確に行うことが可能となる。
【0010】
また、上述した圧力式水位計測装置は、さらに操作棒を防波管の下端に取付けられた底蓋よりも下方に延設し、操作棒の内部に外部から供給される水を下端部まで導く導水路を形成し、この操作棒の底蓋よりも下方に位置する部位に導水路を介して供給された水を噴出する噴出ノズルを設けるようにしてもよい。
このような構成によれば、操作部による底蓋の動きが底蓋下方の土砂で妨げられている場合でも、噴出ノズルから噴出させる水により防波管の下方に溜まっている土砂を吹き散らして除去することが可能となり、操作部による底蓋のよる動きをより確実にすることが可能となる。
【0011】
尚、前記噴出ノズルは、前記操作棒の前記底蓋よりも下方の部分において、前記操作棒の軸方向に複数配設されると共に前記操作棒の周方向にも複数配設されて、前記操作棒の軸心に対して略垂直方向に水を噴出するようにするとよい。このよう構成とすることで、防波管下方に溜まっている土砂を広範囲に亘って除去することが可能となる。
【0012】
また、前記噴出ノズルを操作棒の下端にも設けて、操作棒の軸方向下方に水を噴出するようにしてもよい。このような構成とすることで、操作棒の直下に溜まっている土砂を除去して操作棒のスムーズな動きを確保することが可能となる。
【0013】
また、底蓋は、その上面が中央部位を頂部として周縁に向かうほど下方へ下がるテーパ状に形成され、通孔は、中央部位に軸方向に形成されるようにするとよい。
このような構成によれば、底蓋の上面がテーパ状に形成されているので、底蓋を防波管から外した場合に、底蓋の上面に堆積している浮遊物を底蓋の上から除去しやすくなり、また、通孔の距離を相対的に長くすることができるので、防波管内に侵入する土砂等を低減することが可能となる。
【0014】
ここで、操作部は、操作棒に結合された操作レバーと、この操作レバーを所定の軌跡上を上下動または水平動させるガイド孔が形成された操作盤と、操作盤に設けられ、操作レバーの動きを規制可能するストッパとを有して構成するようにしてもよい。
このような構成によれば、操作レバーをガイド孔に沿って所定の軌跡通りに摺動させればいいので、操作を誤ることがなく、また、ストッパにより操作レバーの動きを規制することができるので、操作レバーを設定した位置で保持させることが可能となり、底蓋の位置が不安定になることを避けることが可能となる。
【0015】
尚、操作盤に設けられるガイド孔は、操作棒の軸方向に沿って形成された軸孔と、この軸孔の下端に連結され、操作棒の周方向に沿って形成された周孔とから形成される構成とし、底蓋を防波管の軸方向に変位させる動作と周方向に変位させる動作との2段階として、底蓋の予め決まった動きを確保することで、底蓋の動きを安定させることができると共に、底蓋の移動する軌跡を見越して防波管の設置箇所の調整が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明に係る圧力式水位計測装置は、防波管の下端の開口部に着脱自在に設けられる底蓋をこれと連結して一体に変位する操作棒を操作部による操作で軸方向及び周方向に変位可能としたので、操作部による軸方向及び周方向の操作を底蓋に直接伝達させることが可能となり、底蓋を操作部の操作通りに動かすことが可能となるため、底蓋の開閉動作を的確に行うことが可能となる。
【0017】
また、操作棒を防波管の下端よりも下方に延設し、操作棒の内部に外部から供給される水を下端部まで導く導水路を形成し、この操作棒の底蓋よりも下方に位置する部位に噴出ノズルを設けるようにすることで、操作部による底蓋の動きが底蓋下方の土砂等で妨げられる場合でも、噴出ノズルから噴出させる水により防波管の下方に溜まっている土砂を除去することが可能となり、操作部による底蓋の確実な動きを確保することが可能となる。
【0018】
尚、噴出ノズルを、操作棒の底蓋よりも下方に位置する部分において、操作棒の軸方向に複数配設されると共に、操作棒の周方向にも複数配設する構成とすれば、防波管の下方に溜まっている土砂を広範囲に亘って除去することが可能となる。また、噴出ノズルを、操作棒の下端にも設けて、操作棒の軸方向下方に水を噴出するようにすれば、操作棒の直下に溜まっている土砂を除去して操作棒のスムーズな動きを確保することが可能となる。
【0019】
また、底蓋の上面を、周縁に向かうにつれて下方へ下がるテーパ状に形成することで、底蓋の上面に堆積している浮遊物を底蓋の上面から除去しやすくなり、また、底蓋に形成される通孔を中央部位に軸方向に形成することで、通孔の距離を相対的に長くすることが可能となり、防波管内に侵入する土砂等を低減することが可能となる。
【0020】
さらに、操作部を、操作棒に結合された操作レバーと、この操作レバーを所定の軌跡上を上下動または水平動させるガイド孔が形成された操作盤と、操作盤に設けられ、操作レバーの動きを規制可能するストッパとを有して構成することで、操作レバーをガイド孔に沿って所定の軌跡通りに摺動させることが可能となり、操作を誤ることがなくなり、また、ストッパにより操作レバーを設定した位置で保持させることが可能となるので、底蓋の位置が不安定になることを避けることが可能となる。
【0021】
尚、操作盤に設けられるガイド孔は、操作棒の軸方向に沿って形成された軸孔と、この軸孔の下端に連結され、操作棒の周方向に沿って形成された周孔とから形成される構成とし、底蓋を防波管の軸方向に変位させる動作と周方向に変位させる動作との2段階として、底蓋の予め決まった動きを確保することで、底蓋の動きを安定させることができると共に、底蓋の移動軌跡を見越して防波管の設置箇所の調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係る圧力式水位計測装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、図1の圧力式水位計測装置のA−A線から見た図である。
【図3】図3は、本発明に係る圧力式水位計測装置の操作部を示す図であり、(a)は、底蓋を防波管の下端開口部に装着した状態での操作レバー位置を示す図であり、操作レバーの位置がストッパ15により上下方向に動かないように規制されている状態を示し、(b)は、底蓋を防波管の下端開口部から下方へ外すと共に周方向に回動させた状態での操作レバー位置を示す図であり、操作レバーの位置がストッパ16により周方向に動かないように規制されている状態を示す。
【図4】図4は、操作棒と一体に回動する底蓋が操作レバーを変位させることで変位することを説明する説明図であり、(a)は、底蓋と操作レバーとの関係を示した概略図、(b)は、底蓋を下げて回動させる動作を説明する説明図である。
【図5】図5は、従来の圧力式水位計測装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明における圧力式水位計測装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1において、圧力式水位計測装置1は、例えば、ダムや河川などの側壁2の近傍に、下端部が水面下に挿入されて固定具3を介して側壁2の所定位置に設置された円筒状の防波管4を具備している。この防波管4は、開口している上端の位置が予想される最高水位よりも上位に位置するように設定され、また、下端の位置が予想される最低水位よりも下位に位置するように設定されている。
【0025】
この防波管4には、圧力式水位計5が上端開口部から挿入されて収容されており、この圧力式水位計5は、最も水位が低下する水位よりも下方に位置し、且つ、防波管4の下端開口部4aよりも上方に位置するように設置されている。
【0026】
防波管4の下端には、着脱可能な底蓋6が設けられており、この底蓋6には、小口径の通孔7が形成され、防波管内の水は、この通孔7を介してのみ流入又は流出するようになっている。
【0027】
この例において、底蓋6は、合成樹脂で構成され、防波管4の下端にあてがう基部6aと、この基部6aの上面に一体に形成された封止部6bとから構成されている。封止部6bの上面は、中央部位を頂部として周縁に向かうほど下方へ下がるテーパ状に形成され、通孔7は、最も厚みが厚い中央部位に軸方向に形成されている。これにより、防波管内の水面は、防波管外の水面が小刻みに変動しても防波管内に伝達されにくくなり、小刻みに水位変動しないようになっている。
【0028】
このような防波管4の近傍には、この防波管4に沿って略平行に配された操作棒10が設けられている。この操作棒10は、上端が水面よりも上まで延設され、下端が防波管4の下端よりも下方に延設された腐食しにくい金属素材や合成樹脂等で構成されているもので、下部近傍において底蓋6の基部6aに連結されてこの底蓋6と一体に変位されるようになっている。
【0029】
この操作棒10の水面より上方へ延設された上端部は略直角に曲折され、また、水面よりも上方に延設された鉛直部分の上部には、手動にて操作棒10を操作可能な操作部11が設けられている。この操作部11は、操作棒10に結合された操作レバー12と、この操作レバー12を所定の軌跡上で上下動または水平動させるガイド孔13が形成された操作盤14と、操作盤14に設けられ、操作レバー12の動きを規制可能するストッパ15,16とを具備して構成されており、この実施例では、操作盤14に設けられるガイド孔13を、操作棒10の軸方向に沿って形成された軸孔13aと、この軸孔13aの下端に連結され、操作棒10の周方向に沿って形成された周孔13bとから形成し、操作レバー12をこのガイド孔13を介して操作盤14から突出させ、このガイド孔13に沿って軸方向及び周方向にのみ変位できるようになっている。
【0030】
また、ストッパ15は、軸孔13aの先端部(周孔13bと連接する側と反対側の端部)の近傍に設けられ、ストッパ16は、周孔13bの先端部(軸孔13aと連接する側と反対側の端部)の近傍に設けられている。
【0031】
したがって、底蓋6の開閉が不要である通常時においては、底蓋6で防波管4の下端開口部4aを閉塞した状態が維持されるように、操作レバー12がガイド孔13の上端(軸孔の上端)に位置し、その状態が保持されるようにストッパ15で軸方向の移動が規制されるようになっている(図3(a)参照)。また、底蓋6を防波管4の下端開口部4aから外して全開させた状態においては、この全開状態が保持されるように、ストッパ16で周方向の移動が規制されるようになっている(図3(b)参照)。
【0032】
ところで、操作棒10の内部は中空に形成されて、水面よりも上側の一端から水中の他端にかけて水を導く導水路20が形成され、水面よりも上側の一端には、例えば、消防用ホース21の先端部に設けられたジョイント部22を接続するためのジョイント部23が形成されている。
【0033】
また、操作棒10の防波管4の下端よりも下方、即ち、底蓋6よりも下方に延設され部分には、水を操作棒10の軸心に対して垂直方向(径方向)に噴射する噴出ノズル25が複数受けられている。この噴出ノズル25は、操作棒10の軸方向に所定の間隔で複数(この例では、4つ)配設されると共に、操作棒10の周方向にも所定の間隔(中心角にして30度〜45度の間隔)で複数(この例では、防波管4の軸中心に向けて噴射する噴出ノズルと、この噴出ノズルを中心として両側に所定の間隔で配された2つの噴出ノズルの計3つ)配設されている。
また、操作棒10の下端にもこの操作棒10の軸心に沿って下方へ水を噴射する噴出ノズル25が設けられている。
【0034】
これら噴出ノズル25は、操作棒10の内部に形成された導水路20に接続されており、したがって、操作棒10のジョイント部23に消防用ホース21のジョイント部22を接続して水が導水路20に供給されると、この水が導水路20を介して操作棒10の先端部に導かれ、底蓋6の下方周辺に圧送されると共に、操作棒10の下方にも圧送されるようになっている。
【0035】
したがって、以上の構成において、防波管4の下端開口部4aに着脱自在に設けられる底蓋6は、これと一体に変位する操作棒10を操作レバー12により操作することで、その操作力を底蓋6に直接伝達させて、この底蓋6を軸方向及び周方向に変位させることが可能となるので、底蓋6を操作レバー12の操作通りに動かすことが可能となる。
【0036】
このため、防波管内に土砂等の堆積物が底蓋6上に溜まっている状態において、この堆積物を除去する場合には、ストッパ15,16を外し、軸孔13aの上端部に位置している操作レバー12を手で持って軸孔13aに沿って下方へ移動させ、周孔12bとの交差部分まで押し下げる。これにより、操作棒10は押し下げられ、これと一体に変位する底蓋6は、防波管4の下端開口部4aから外れて下方へ下げられる。その後、操作レバー12を周孔13bに沿ってその先端まで摺動させれば、操作棒10は、自身の軸心を中心に回動し、操作棒10と一体に変位する底蓋6も、操作棒10の軸心を中心として操作レバー12と同じ角度だけ回動する。
【0037】
これにより、底蓋6の上面は、ダムや水路などの水流に晒されることとなり、底蓋6の上部に溜まっている堆積物を、ダムや水路などの水流によって、また、底蓋6を回動させる際の衝撃によって、除去することが可能となる。この際、底蓋6を水流に晒した状態を維持するために、外したストッパ16を取り付けて、操作レバー12の周方向の移動を規制するとよい。
【0038】
その後、底蓋6を元の位置に戻すには(底蓋6を防波管4の下端部に装着する場合には)、ストッパ16を取り外して、操作レバー12の移動規制を解除し、操作レバー12を周孔13bに沿って軸孔13aとの交差部まで移動させる。これにより、操作棒10は自身の軸心を中心して回動し、この操作棒10と一体に変位する底蓋6も防波管4の直下まで移動する。しかる後に、操作レバー12を軸孔13aに沿って上方へ移動させれば、操作棒10は、上方へ変位し、これと一体に変位する底蓋6は防波管4の下端開口部4aに装着されて、防波管4の下端を閉塞し、通常使用時の元の状態に戻る。
【0039】
このため、底蓋6の下方に土砂が溜まっている状態においても、操作レバー12を操作することで、底蓋6を押し下げたり回動させたりすることが可能となるので、底蓋6の上述した動きにより、底蓋下方の土砂をある程度排除させることができ、底蓋6の開閉動作を的確に行うことが可能となる。
【0040】
また、底蓋6の周囲に堆積した土砂などによって底蓋6を動かしにくい場合や底蓋6の動きが底蓋下方の土砂で妨げられている場合でも、噴出ノズル25から噴出させる水により防波管4の下方に溜まっている土砂を吹き散らして除去することが可能となり、操作部11による底蓋6のよる動きをより確実に操作することが可能となる。
【0041】
即ち、噴出ノズル25は、操作棒10の底蓋6よりも下方の部分において、操作棒10の軸方向に複数配設されると共に、操作棒10の周方向にも複数配設されているので、防波管下方に溜まっている土砂を広範囲に亘って除去することで、底蓋6のスムーズな動きを確保することが可能となり、また、噴出ノズル25は、操作棒10の下端にも設けられているので、操作棒10の直下の土砂も除去することが可能となり、操作棒10のスムーズな動きを確保することが可能となる。
【0042】
また、底蓋6は、その上面が中央部位を頂部として周縁に向かうほど下方へ下がるテーパ状に形成されているので、底蓋6を防波管4から外した場合に、底蓋6の上面に堆積している堆積物αを底蓋6の上から除去しやすくなる。
【0043】
さらに、操作レバー12は、ガイド孔13に沿って所定の軌跡通りに摺動させればいいので、操作を誤ることがなく、また、操作に無駄な動きを伴うことがなくなる。しかも、操作盤14に設けられるガイド孔13は、操作棒10の軸方向に沿って形成された軸孔13aと、この軸孔13aの下端に連結され、操作棒10の周方向に沿って形成された周孔13bとから形成されたL字状をなし、底蓋6を防波管4の軸方向に変位させる動作と防波管4の周方向に変位させる動作との2段階となっているので、底蓋6の予め決まった動きを確保することで、底蓋6の動きを安定させることができると共に、底蓋6の可動範囲を見越して防波管4の設置箇所の調整を容易に行うことが可能となる。
【0044】
さらに、操作レバー12は、ストッパ15,16により操作レバー12の動きを規制することができるので、操作レバー12を所定の設定位置で保持させることが可能となり、底蓋6の位置が不安定になることを避けることが可能となる。
【0045】
なお、上述の構成においては、噴出ノズル25を操作棒10の周面において、軸方向に等間隔に4つ設け、周方向に3つ設けた例を示したが、この形態に限定するものではなく、噴出ノズル25の配置は、底蓋6の動きを確保するために、適宜調整するようにするとよい。また、この例において操作部11は、底蓋6の動きを操作する操作レバー12を設けただけの構成であるが、操作棒10のジョイント部23に水を供給するホースを常時接続しておき、導水路20の先端部に供給される水を操作部11に設けられた図示しない開閉弁を開閉操作して供給または停止させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 圧力式水位計測装置
4 防波管
5 圧力式水位計
6 底蓋
7 通孔
10 操作棒
11 操作部
12 操作レバー
13 ガイド孔
13a 軸孔
13b 周孔
14 操作盤
15,16 ストッパ
20 導水路
25 噴出ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部が水面下に挿入されて設置される防波管と、
この防波管の内部に挿入される圧力式水位計と、
前記防波管の下端の開口部に着脱自在に設けられると共に通孔が形成された底蓋と、
前記底蓋に連結されてこの底蓋と一体に変位し、前記防波管に沿って略平行に水面より上方まで延設された操作棒と、
前記操作棒の水面より上側に設けられて該操作棒を操作する操作部と、
を備え、
前記操作棒は、前記操作部による操作で軸方向及び周方向に変位可能であることを特徴とする圧力式水位計測装置。
【請求項2】
前記操作棒は、前記底蓋よりも下方に延設され、
前記操作棒の内部に外部から供給される水を下端部まで導く導水路を形成し、この操作棒の前記底蓋よりも下方に位置する部位に前記導水路を介して供給された水を噴出する噴出ノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の圧力式水位計測装置。
【請求項3】
前記噴出ノズルは、前記操作棒の前記底蓋よりも下方の部分において、前記操作棒の軸方向に複数配設されると共に前記操作棒の周方向にも複数配設されて、前記操作棒の軸心に対して略垂直方向に水を噴出することを特徴とする請求項2記載の圧力式水位計測装置。
【請求項4】
前記噴出ノズルは、前記操作棒の下端にも設けられて、前記操作棒の軸方向下方に水を噴出することを特徴とする請求項3記載の圧力式水位計測装置。
【請求項5】
前記底蓋は、中央部位を頂部として周縁に向かうほど下方へ下がるテーパ状に形成され、前記通孔は、前記中央部位に軸方向に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧力式水位計測装置。
【請求項6】
前記操作部は、前記操作棒に結合された操作レバーと、この操作レバーを所定の軌跡上を上下動または水平動させるガイド孔が形成された操作盤と、前記操作盤に設けられ、前記操作レバーの動きを規制可能するストッパとを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧力式水位計測装置。
【請求項7】
前記操作盤に設けられるガイド孔は、前記操作棒の軸方向に沿って形成された軸孔と、この軸孔の下端に連結され、前記操作棒の周方向に沿って形成された周孔とから形成されることを特徴とする請求項6記載の圧力式水位計測装置。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載の圧力式水位計測装置を用いた防波管内堆積物除去方法であって、
前記操作部を下方に操作して(操作レバーを下方へ移動させて)前記底蓋を前記防波管の下端部から下方へ変位させて外し、しかる後に前記操作棒を周方向に操作して(操作レバーを周方向に移動させて)前記底蓋を前記操作棒を中心として回動させることで前記底蓋の軸心を前記防波管の軸心からずらす底蓋離脱ステップと、
前記底蓋が前記防波管から離脱した状態において、前記操作部を周方向に操作して(操作レバーを周方向に移動させて)前記底蓋の軸心と前記防波管の軸心とを一致させ、しかる後に前記操作棒を上方へ操作して(操作レバーを上方へ移動させて)前記底蓋を前記防波管の下端部に装着させる底蓋装着ステップと
を具備することを特徴とする防波管内堆積物除去方法。
【請求項9】
前記操作部を下方に操作して(操作レバーを下方へ移動させて)前記底蓋を前記防波管の下端部から下方へ変位することが困難な場合に、前記噴出ノズルから前記導水路を介して供給された水を噴射させることを特徴とする請求項8記載の防波管内堆積物除去方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233803(P2012−233803A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103002(P2011−103002)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】