説明

圧力検出装置用パッケージおよび圧力検出装置

【課題】 圧力検出装置用パッケージの圧力の測定範囲を拡げる。
【解決手段】 基部11および基部11の上部に位置する枠状部12を有する絶縁基体1と、枠状部12の内側であって、基部11の上面に設けられた第1電極層3と、第1電極層3の上面との間に気密封止された空間を形成するように枠状部12上に接合された、内面が上方に反っているダイヤフラム2と、ダイヤフラム2の内面であって平面視して第1電極層3と重なる領域に設けられた第2電極層4とを備えている圧力検出装置用パッケージ10である。撓むことのできる範囲を拡げることが可能になるので、圧力の測定範囲を拡げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力を検出するための圧力検出装置用パッケージとして、静電容量型の圧力検出装置用パッケージが知られている。静電容量型の圧力検出装置用パッケージとしては、例えば、特許文献1に記載の静電容量型圧力センサが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の静電容量型圧力センサは、固定電極が設けられたガラス基板と、ガラス基板と対向して配置され、可動電極を有する平板状のシリコン基板とが、枠形状のスペーサを挟んで設けられている。特許文献1に記載の静電容量型圧力センサでは、シリコン基板に圧力がかかったときに、シリコン基板が撓むことによって生じる可動電極の変位を固定電極と可動電極との間の静電容量の変化から測定することにより、シリコン基板にかかる圧力の大きさを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−139559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の静電容量型圧力センサは、シリコン基板が平板状であることから、シリコン基板はスペーサの厚み以上に撓むことができない。その結果、圧力の測定範囲がスペーサの厚みによって制限されてしまうことから、圧力の測定範囲を拡げることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る圧力検出装置用パッケージは、基部および基部の上部に位置する枠状部を有する絶縁基体と、枠状部の内側であって、基部の上面に設けられた第1電極層と、第1電極層の上面との間に気密封止された空間を形成するように枠状部上に接合された、内面が上方に反っているダイヤフラムと、ダイヤフラムの内面であって平面視して第1電極層と重なる領域に設けられた第2電極層とを備えている。
【0007】
本発明の一実施形態に係る圧力検出装置は、圧力検出装置用パッケージと、第1電極層および第2電極層に電気的に接続された半導体素子とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、ダイヤフラムの内面が上方に反っていることから、ダイヤフラムの内面と絶縁基体の上面との間隔を大きくすることができる。これにより、ダイヤフラムの撓むことのできる範囲を拡げることが可能になるから、圧力の測定範囲を拡げることができる。
【0009】
本発明の圧力検出装置によれば、ダイヤフラムの撓むことのできる範囲が拡げられている圧力検出装置用パッケージを備えていることから、圧力の測定範囲を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置をA−A’線で切って上方向から見た断面図である。
【図3】図1に示す圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置をB−B’線で切って下方向から見た断面図である。
【図4】変形例1に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図5】変形例2に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図6】変形例3に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図7】変形例4に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図8】変形例5に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図9】変形例6に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【図10】変形例7に係る圧力検出装置用パッケージおよびこれを用いた圧力検出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る圧力検出装置および圧力検出装置用パッケージについて図面を参照して説明する。
【0012】
<圧力検出装置の構成>
図1〜3に示すように、本発明の一実施形態の圧力検出装置100は、圧力検出装置用パッケージ10と、圧力検出装置用パッケージ10に設置された半導体素子5とを備えている。圧力検出装置100は、気体の圧力を検出するのに用いることができる。圧力検出装置100は、例えば、乗用自動車のタイヤの空気圧を検出するために、タイヤの内部に設けることができる。また、圧力検出装置100は、エンジン等の燃焼機の内圧を検出するために燃焼機の内部に設けることができる。
【0013】
<圧力検出装置用パッケージの構成>
本発明の一実施形態の圧力検出装置用パッケージ10は、絶縁基体1と、絶縁基体1の上面に設けられた第1電極層3と、絶縁基体1上に接合されたダイヤフラム2と、ダイヤフラム2の内面に設けられた第2電極層4とを備えている。絶縁基体1は、基部11と基部11の上部に位置する枠状部12とによって構成される。
【0014】
基部11は、板状の部材であって、平面視したときの形状が円形状である。基部11は、枠状部12を介してダイヤフラム2を支持するために設けられている。また、基部11の下面には、半導体素子5を収納するための第1凹部111が形成されている。第1凹部は、平面視したときの形状が四角形状である。
【0015】
基部11は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックスのような絶縁材料を用いることができる。
【0016】
枠状部12は、基部11の上部に位置している。このように、絶縁基体1が枠状部12を有していることによって、基部11とダイヤフラム2との間に所定の間隔を確保することができる。これにより、ダイヤフラム2に外部の圧力が加わったときに、ダイヤフラム2をダイヤフラム2と絶縁基体1との接合部よりも低い位置まで撓ませることが可能になる。
【0017】
枠状部12は、平面視したときの内周の形状が円形状である。このように、平面視したときの枠状部12の内周の形状が円形状であることから、ダイヤフラム2に外部からの圧力が加わった際に枠状部12に伝わる力を分散させて基部11に伝えることができる。その結果、基部11に部分的に圧力が集中する可能性を低減することができるので、圧力検出装置用パッケージ10の信頼性を向上させることができる。
【0018】
枠状部12は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックスのような絶縁材料を用いることができる。
【0019】
第1電極層3は、基部11の上面に設けられている。第1電極層3は枠状部12の内側に位置している。第1電極層3と後述する第2電極層4との間には静電容量が形成される。ダイヤフラム2が外部から圧力を受けたときに、その圧力に応じてダイヤフラム2が撓んで、第1電極層3と第2電極層4との間隔が変化する。これにより、第1電極層3と第2電極層4との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を測定し、演算を行なうことによって圧力の大きさを求めることができる。圧力の大きさを求めるための演算は、基部11の下面の第1凹部111に半導体素子5を設け、この半導体素子5を用いて行なうことができる。図1に示す圧力検出装置100では、第1凹部111に設けた半導体素子5を第1凹部111に充填した樹脂9で気密封止した状態を示している。また、圧力検出装置用パッケージ10の外部に別途装置を設け、この装置を用いて同様の演算を行なうこともできる。
【0020】
第1電極層3は、平面透視したときの形状が円形状である。第1電極層3の外周の形状が、枠状部12の内周の形状と相似であることにより、第1電極層3を広い範囲に形成することができる。そのため、第2電極層4との間に形成される静電容量を大きくすることができ、圧力検出装置用パッケージ10の外部からの圧力に対する感度を向上させることができる。
【0021】
第1電極層3としては、導電性の良好な材料を用いることが望ましい。具体的には、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等の金属材料またはそれらを用いた合金を用いることができる。
【0022】
ダイヤフラム2は、絶縁基体1との間に気密封止された空間13を形成するように絶縁基体1上に接合されている。ダイヤフラム2は、内面が上方に反っている。このため、ダイヤフラム2の内面と絶縁基体1の上面との間隔を大きくすることができる。これにより、圧力検出装置用パッケージ10のダイヤフラム2の撓むことのできる範囲を拡げることができる。その結果、圧力検出装置100における圧力の測定範囲を拡げることができる。なお、ここでいう「反っている」とは、ダイヤフラム2を1気圧の雰囲気中に配置したときに、絶縁基体1とは反対側(図1における上方)に反っていることを示している。
【0023】
また、ダイヤフラム2の内面が上方に反っていることによって、ただ単にダイヤフラム2の内面に段差が設けられている場合と比較して、ダイヤフラム2が撓んだときに、部分的に圧力が集中する可能性を低減することができる。そのため、ダイヤフラム2の信頼性を向上させることができる。
【0024】
ダイヤフラム2の内面のうち、空間13に露出している領域が、上方に反っているとともに、絶縁基体1と接合されている領域が平面状である。これにより、ダイヤフラム2の撓むことのできる範囲を拡げつつ、絶縁基体1とダイヤフラム2との接合性を向上させることができる。
【0025】
また、ダイヤフラム2は、内面が上方に反るとともに、外面も上方に反っている。このとき、内面の曲率半径よりも外面の曲率半径の方が大きい。このように、ダイヤフラム2の内面と外面を同じ方向に反らせていることから、ダイヤフラム2のうち空間13に露出している部分の厚みを薄くすることができる。これにより、ダイヤフラム2を撓みやすくすることができつつ、ダイヤフラム2に局所的に過度に大きな応力が集中することを抑制できる。
【0026】
ダイヤフラム2は、絶縁材料によって形成される。具体的には、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックスのような絶縁材料を用いることができる。さらに、ダイヤフラム2は、枠状部12と同じ材料を用いて形成されることが好ましい。これによりダイヤフラム2と枠状部12との熱膨張率差を低減することができることから、燃焼機等のダイヤフラム2が高温下に晒される環境に設置した場合の圧力検出装置用パッケージ10の信頼性を向上させることができる。
【0027】
ダイヤフラム2は、枠状部12と気密に接合されている。接合には、ガラス質成分を用いることができる。ダイヤフラム2と枠状部12との接合にガラス質成分を用いることによって、接合部材としてろう材等の金属材料が用いられた場合と比較して、接合部材に塑性変形が生じる可能性が低減されている。これにより、圧力検出装置用パッケージ10の長期信頼性を向上させることができる。
【0028】
また、ダイヤフラム2と絶縁基体1との間に気密封止された空間13が形成されていることにより、第1電極層3および第2電極層4が外気の影響を受けることによって変質する可能性を抑制できる。その結果、圧力検出装置用パッケージ10の信頼性を向上させることができる。空間13の内部には、不活性気体を充填することができる。不活性気体としては、窒素またはアルゴンを用いることができる。これにより、第1電極層3および第2電極層4が変質する可能性をさらに抑制することができる。
【0029】
圧力検出装置用パッケージ10における第2電極層4は、ダイヤフラム2の内面に設けられている。第2電極層4は、平面透視したときに第1電極層3と重なる領域に位置している。第2電極層4と第1電極層3との間に静電容量が形成される。
【0030】
第2電極層4は、平面透視したときの形状が円形状である。第2電極層4の外周の形状が、枠状部12の内周の形状と相似であることにより、第2電極層4を広い領域に形成することができる。そのため、第1電極層3との間に形成される静電容量を大きくすることができ、圧力検出装置用パッケージ10の外部からの圧力に対する感度を向上させることができる。
【0031】
第2電極層4としては、導電性の良好な材料を用いることが望ましい。具体的には、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等の金属材料またはそれらを用いた合金を用いることができる。
【0032】
圧力検出装置用パッケージ10は、さらに第1接続導体6、第2接続導体7および外部接続導体8を備えている。第1接続導体6は、第1電極層3および基部11の第1凹部111に設けられる半導体素子5を電気的に接続するために設けられている。また、第2接続導体7は第2電極層4および半導体素子5を電気的に接続するために設けられている。また、外部接続導体8は、半導体素子5および外部回路を電気的に接続するために設けられている。第1接続導体6は、基部11の内部に設けられており、基部11の上面と基部11の第1凹部111に引き出されている。
【0033】
第2接続導体7は、枠状部12および基部11の内部に設けられており、枠状部12の上面および基部11の第1凹部111に引き出されている。外部接続導体8は、第1凹部111から基部11の下面のうち第1凹部111以外の領域に引き出されている。第1接続導体6、第2接続導体7および外部接続導体8は、短絡することがないようにそれぞれ離間して設けられている。
【0034】
第1接続導体6、第2接続導体7および外部接続導体8としては、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等の金属材料またはそれらを用いた合金を用いることができる。
【0035】
ここで、圧力検出装置用パッケージ10の寸法の一例を示すと、基部11および枠状部12の外径は7mm、枠状部12の内径は4mm、ダイヤフラム2の肉厚は0.2mm、ダイヤフラム2の内面における反りの大きさは0.2mm、第1電極層3および第2電極層4の直径はそれぞれ3mmとして作製することができる。
【0036】
なお、ここでいう「反りの大きさ」とは、ダイヤフラム2の内面のうち最も上方に位置している箇所と最も下方に位置している箇所との高低差を反りの大きさと見なしている。
【0037】
本発明の一実施形態の圧力検出装置用パッケージ10は、ダイヤフラム2の内面が上方に反っていることから、ダイヤフラム2の内面と絶縁基体1との間隔を大きくすることができる。これにより、ダイヤフラム2の撓むことのできる範囲を拡げることができる。
【0038】
<半導体素子の構成>
半導体素子5は、第1接続導体6、第2接続導体7および外部接続導体8に接続されている。半導体素子5は、第1接続導体6および第2接続導体7を介して伝達された第1電極層3と第2電極層4との間の静電容量の変化から、ダイヤフラム2に加えられた圧力を演算し、その結果を外部接続導体8に出力する機能を備えている。具体的には、まず、ダイヤフラム2に加えられた圧力の大きさと圧力が加えられたときの静電容量の大きさとの関係のデータを半導体素子5にあらかじめ記録させておく。そして、このデータと検出された静電容量の大きさとを照合することによって、ダイヤフラム2に加えられた圧力の大きさを求めることができる。このように、圧力の大きさと静電容量の大きさとの関係のデータを半導体素子5にあらかじめ記録させておくことから、ダイヤフラム2に加えられた圧力の大きさの変化と静電容量の大きさの変化が正比例の関係でなくても、正確に圧力の測定を行なうことができる。
【0039】
半導体素子5は、絶縁基体1の下面の第1凹部111に設けられており、樹脂9によって気密封止されている。半導体素子5が絶縁基体1の下面に設けられていることにより、別部材に半導体素子5が設けられている場合と比較して、第1電極層3および第2電極層4と半導体素子5との間の配線長さを短くすることができる。これにより、第1接続導体6および第2接続導体7の間で形成される不要な静電容量を小さく抑えることができる。その結果、圧力検出装置100は、ダイヤフラム2に加えられた外部からの圧力を精度よく検知することができる。また、半導体素子5は、樹脂9によって気密封止されていることにより、耐久性が向上されている。
【0040】
第1接続導体6、第2接続導体7、および外部接続導体8と半導体素子5との接続方法としては、例えば、はんだバンプ、金バンプ、導電性樹脂またはボンディングワイヤを用いることができる。
【0041】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、本実施形態においては、基部11を平面視したときの形状が円形状であるが、四角形状、楕円形状または多角形状であってもよい。また、本実施形態においては、枠状部12の内周は円形状であるが、四角形状、楕円形状または多角形状であってもよい。
【0042】
本実施形態においては、枠状部12と基部11が一体的に形成されているが、枠状部12は基部11と別々に形成されていてもよく、また枠状部12と基部11とが異なる材料によって形成されていてもよい。本実施形態においては、第1電極層3は平面視したときの形状が円形状であるが、四角形状、楕円形状または多角形状であってもよい。本実施形態においては、第2電極層4は平面視したときの形状が円形状であるが、四角形状、楕円形状または多角形状であってもよい。
【0043】
<変形例1>
圧力検出装置100の変形例1について説明する。なお、本変形例1の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
上述した実施形態に係る圧力検出装置100は、基体11の上面を平面状としたが、これに限られない。例えば、図4に示すように、基体11が、上面における枠状部12に囲まれた領域に凹部を有する形状であってもよい。
【0045】
本変形例1では、絶縁基体1の基部11が、上面における枠状部12に囲まれた領域に第2凹部112を有しており、この第2凹部112の表面に第1電極層3が形成されている。これにより、ダイヤフラム2の内面と絶縁基体1の上面との間隔をさらに大きくすることができる。したがって、ダイヤフラム2の撓むことのできる範囲をさらに拡げることができる。その結果、圧力検出装置用パッケージ10の圧力の測定範囲を拡げることができる。
【0046】
第2凹部112の形状は、下方向に反っている形状であることが好ましい。これにより、枠状部12近傍の基部11の厚みを確保しつつ、ダイヤフラム2の撓むことのできる範囲を拡げることができる。したがって、圧力検出装置用パッケージ10の強度を確保しつつ、圧力の測定範囲を拡げることができる。さらに、基部11の厚みが連続的に変化することから、基部11に伝わった圧力が部分的に集中する可能性を低減することができる。
【0047】
また、枠状部12の側面のうち空間13に露出している側面と、第2凹部112とが連続的に形成されていることが好ましい。これにより、枠状部12から基部11へ圧力が伝わる際に、圧力が部分的に集中する可能性を低減することができる。
【0048】
これにより、圧力検出装置用パッケージ10は、ダイヤフラム2に加えられる圧力に対する強度が向上している。詳しくは、想定している圧力の測定範囲を超えるような強い圧力がダイヤフラム2に加えられた場合に、ダイヤフラム2の内面または第2電極層4が、基部11の上面または第1電極層3と接触する可能性がある。この場合は、ダイヤフラム2は内面が下方に反った形状になるように撓んでいることが考えられる。
【0049】
このとき、ダイヤフラム2の内面の形状と第2凹部112の形状が、どちらも下方に反っている形状であることから、ダイヤフラム2の内面または第2電極層4と基部11の上面または第1電極層3とが接触する領域を、第2凹部112の形状が平面状である場合と比較して、広くすることができる。したがって、これらの接触による衝撃をダイヤフラム2に部分的に集中させることなく、ダイヤフラム2の広範囲にわたって分散させることができる。このため、圧力検出装置用パッケージ10は、ダイヤフラム2に加えられる圧力に対する強度が向上している。
【0050】
<変形例2>
圧力検出装置100の変形例2について説明する。なお、本変形例2の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
上述した実施形態に係る圧力検出装置100は、ダイヤフラム2の外面全体を反っている形状としたが、これに限られない。例えば、図5に示すように、ダイヤフラム2の外面の一部が平面状に形成されていてもよい。
【0052】
本変形例2では、ダイヤフラム2の外面の一部のうち、空間13と上下に重なり合う領域の中央部が平面状に形成されている。このように、ダイヤフラム2の内面が上方に反っているとともに外面の一部を平面状にすることによって、ダイヤフラム2のうち外面が平面状になっている領域を、外面における空間13と上下に重なり合う領域全体が反っている場合と比較して、薄くすることができる。これにより、ダイヤフラム2を撓みやすくすることができ、ダイヤフラム2にかかる圧力の測定範囲を効果的に大きくすることができる。なお、平面視で、枠状部12の内周が円形状であり、ダイヤフラム2の外面の平面状に形成された領域が、円形状であることが好ましい。
【0053】
<変形例3>
圧力検出装置100の変形例3について説明する。なお、本変形例3の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
上述した実施形態に係る圧力検出装置100は、ダイヤフラム2の内面全体を反っている形状としたが、これに限られない。例えば、図6に示すように、ダイヤフラム2の内面の一部が平面状に形成されていてもよい。
【0055】
本変形例3では、ダイヤフラム2の内面のうち、空間13に露出している領域の中央部が平面状に形成されており、この中央部を囲む周辺部に反りが設けられている。すなわち、第2電極層4の一部をダイヤフラム2の内面のうち、ダイヤフラム2が最も撓む部分である中央部が平面状に形成され、この部分に第2電極層4の少なくとも一部が配設されている。そのため、圧力測定前の基準となる外気圧(例えば、1気圧の雰囲気中)において、第1電極層3と第2電極層4とが平行に配置される。従って、初期状態における第1電極層3と第2電極層4との間に形成される静電容量を大きくするとともに、ばらつきを低減することができる。結果として、圧力検出装置用パッケージ10の外部からの圧力に対する精度を向上させることができる。
【0056】
<変形例4>
圧力検出装置100の変形例4について説明する。なお、本変形例4の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
上述した実施形態に係る圧力検出装置100は、第1凹部111の内径が枠状部12の内径よりも小さい構成であったが、これに限られない。例えば図7に示すように、第1凹部111の内径が枠状部12の内径よりも大きい構成であってもよい。
【0058】
本変形例4では、第1凹部111の内径が枠状部12の内径よりも大きい。これにより、基部11となるセラミックグリーンシートを製造時に凹部形状に反らせることによって、基部11の上面における枠状部12に囲まれた領域を凹部形状としたときに、これに連動して基部11の下面、つまり第1凹部111の底面の一部が凸部形状になった場合であっても、図7に示すように凸部形状になった領域の周囲に平坦部113を形成することができる。この平坦部113に半導体素子5を実装することによって、半導体素子5の実装信頼性を向上させることができる。
【0059】
<変形例5>
圧力検出装置100の変形例5について説明する。なお、本変形例5の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
上述した実施形態に係る圧力検出装置100は、第2凹部112の表面の形状が弧状であったがこれに限られない。例えば、図8に示すように、第2凹部112の表面にさらに第3凹部114が設けられていてもよい。
【0061】
本変形例5では、第2凹部112の表面に第3凹部114が形成されている。これにより、ダイヤフラム2のうち撓み量が大きい領域の直下において、ダイヤフラム2の内面と絶縁基体1の上面との間隔を重点的に大きくすることができる。したがって、ダイヤフラム2の撓むことのできる範囲をさらに拡げることができる。その結果、圧力検出装置用パッケージ10の圧力の測定範囲を拡げることができる。
【0062】
<変形例6>
圧力検出装置100の変形例6について説明する。なお、本変形例6の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
上述した実施形態に係る圧力検出装置100は、ダイヤフラム2の上面の全体が外部に露出した構成であったがこれに限られない。例えば、図9に示すようにダイヤフラム2の上面に、第2電極層4よりも大きいメタライズ層21が設けられていてもよい。このメタライズ層21は外部からの電磁波に対するシールドとして機能させることができ、外部の圧力を精度良く検出することができる圧力検出装置用パッケージとなる。その結果、圧力検出装置100は、外部からの電磁波による影響が低減されている。メタライズ層21としては、例えば、タングステンまたはモリブデン等の材料を用いることができる。
【0064】
<変形例7>
圧力検出装置100の変形例7について説明する。なお、本変形例7の各構成において、前述の圧力検出装置100と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
変形例6に係る圧力検出装置100は、ダイヤフラム2の上面に、第2電極層4よりも大きいメタライズ層21が設けられており、メタライズ層21の上面の全面が外部に露出していたが、これに限られない。例えば、図10に示すように、メタライズ層21の上面全面がセラミック層22によって被われていてもよい。これにより、例えば、ガス雰囲気中においてメタライズ層21が変質する可能性を抑制でき、圧力検出装置100のガス雰囲気中における信頼性を向上させることができる。セラミック層22としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックスのような絶縁材料を用いることができる。
【0066】
<圧力検出装置の製造方法1>
まず、圧力検出装置用パッケージ10の製造方法1について説明する。初めに、絶縁基体1の製造方法を説明する。圧力検出装置用パッケージ10において、例えば、絶縁基体1が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤および分散剤を添加混合してペースト状とし、これをドクタブレード法によってシート状に成形することで、セラミックグリーンシートが形成される。このセラミックグリーンシートを所定形状で打ち抜いて積層し、焼成することによって絶縁基体1を作製することができる。
【0067】
次に、ダイヤフラム2の製造方法を説明する。セラミックグリーンシートを積層するまでの工程は、絶縁基体1の場合と同様の工程を用いることができる。ダイヤフラム2を作製するためのセラミックグリーンシートを焼成する際には、ダイヤフラム2の内面のうち反りが形成される領域の下にダミー部材を配置し、セラミックグリーンシートおよびダミー部材を上下方向から加圧しながら焼成を行なう。これにより、ダイヤフラム2の内面のうち任意の領域に反りを形成することができる。ダミー部材としては、ダイヤフラム2の焼結温度においてもダイヤフラム2と接合一体化しない材料を用いることが望ましい。これにより、焼成後のダイヤフラム2からダミー部材を容易に取り除くことができる。ダイヤフラム2と接合一体化しない材料としては、例えばモリブデンやタングステンのような高融点金属製の成形体の表面に電融アルミナの微粉をコーテングしたものを用いることができる。
【0068】
ダミー部材の形状は、所望するダイヤフラム2の内面の反りの形状に対応する形状を用いることができる。具体的には、図1に示すように、ダイヤフラム2の内面のうち空間13に露出している領域の全体に反りが設けられている場合には、上面の形状が断面視したときに円弧状であるダミー部材を用いる。また、図5および図6に示すように、ダイヤフラム2の内面のうち空間13に露出している領域の中央部が平面状であって、この中央部を囲む周辺部に反りが設けられている場合には、上面の形状が断面視したときに平面状の領域とこの領域を囲む円弧状の領域とによって構成される形状であるダミー部材を用いる。
【0069】
第1電極層3、第2電極層4、第1接続導体6、第2接続導体7および外部接続導体8は、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤および分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストをスクリーン印刷法によって絶縁基体1用またはダイヤフラム2用のセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これを絶縁基体1用またはダイヤフラム2用のセラミックグリーンシートとともに焼成することによって所定のパターンに形成される。
【0070】
次に、絶縁基体1とダイヤフラム2との接合方法について説明する。ここで、絶縁基体1およびダイヤフラム2が、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、絶縁基体1およびダイヤフラム2用のセラミックグリーンシートは、原料粉末に酸化アルミニウム等とともに酸化珪素等のガラス質成分を含むので、焼結体となった際に、焼結体にガラス質成分が含まれることになる。まず、絶縁基体1の上面およびダイヤフラム2の内面の少なくとも一方の面を研磨し、絶縁基体1の上面にダイヤフラム2を設置した状態で、絶縁基体1とダイヤフラム2とをどちらかの部材に含まれる焼結助剤である非結晶化ガラス質成分が溶出する温度で加熱する。これにより、絶縁基体1およびダイヤフラム2の少なくとも一方から溶出されたガラス質成分によって、気密に接合することができる。このようにして、圧力検出装置用パッケージ10を製造することができる。
【0071】
本実施形態において、絶縁基体1とダイヤフラム2とは、同じ材料によって形成されているが、異なる材料で形成されていてもよい。また、ダイヤフラム2の材料の焼成温度が絶縁基体1の材料の焼成温度よりも高くなるようにすることが好ましい。具体的には、例えば、ダイヤフラム2の材料として、1550℃〜1600℃にて焼結する高温焼成の酸化アルミニウム質焼結体のセラミックスを使用し、絶縁基体1の材料として、1350℃〜1400℃にて焼結する低温焼成の酸化アルミニウム質焼結体のセラミックスを使用することができる。また、ダイヤフラム2の材料として、1550℃〜1600℃にて焼結する酸化アルミニウム質焼結体を用い、絶縁基体1の材料として、900℃〜1000℃にて焼結するガラスセラミックスを用いてもよい。これにより、異なる焼成温度の材料からなる絶縁基体1とダイヤフラム2とを上述の溶出したガラス質によって接合する際に、ダイヤフラム2の変形を低減することができる。これにより、圧力検出装置用パッケージ10の信頼性を向上させることができる。
【0072】
圧力検出装置用パッケージ10に半導体素子5を搭載することで圧力検出装置100とすることができる。
【0073】
<圧力検出装置の製造方法2>
圧力検出装置100の製造方法2について説明する。なお、本例の製造方法において、前述の圧力検出装置100の製造方法1と同様の工程については、その詳細な説明を省略する。
【0074】
上述した圧力検出装置100の製造方法1では、ダミー部材を用いてダイヤフラム2に反りを形成したが、これに限られない。例えば、ダイヤフラム2を作製するためのセラミックグリーンシートの上面に焼成時の収縮率の相違する別のセラミックグリーンシート薄層をさらに設けることによって、ダイヤフラム2に反りを形成してもよい。
【0075】
具体的には、セラミックグリーンシートの一方の主面に収縮率の相違する別のセラミックグリーンシート薄層を設けることによって、焼成後のダイヤフラム2に反りを生じさせることができる。本発明におけるダイヤフラム2のように、ダイヤフラム2の下面を上方向に反った形状にするためには、例えば、ダイヤフラム2の上面に、ダイヤフラム2用のセラミックグリーンシートよりも相対的に焼成時の収縮率が大きい(収縮代の小さい)セラミックグリーンシート薄層を設ければよい。これにより、ダイヤフラム2用のセラミックグリーンシートは、セラミックグリーンシート薄層よりも焼成時に大きく収縮しやすくなり、ダイヤフラム2の下面を上方向に反った形状となる。
【0076】
セラミックグリーンシートの焼成時の収縮率が83.5%および厚みが100μmの場合には、例えば収縮率が85.5%および厚みが25μmのセラミックグリーンシート薄層を用いることができる。また、収縮率の調整は、例えばセラミックグリーンシートに含有するバインダー量を変更することによって行なうことができる。
【符号の説明】
【0077】
1:絶縁基体
11:基部
111:第1凹部
112:第2凹部
113:平坦部
114:第3凹部
12:枠状部
13:空間
2:ダイヤフラム
21:メタライズ層
22:セラミック層
3:第1電極層
4:第2電極層
5:半導体素子
6:第1接続導体
7:第2接続導体
8:外部接続導体
9:樹脂
10:圧力検出装置用パッケージ
100:圧力検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部および該基部の上部に位置する枠状部を有する絶縁基体と、
前記枠状部の内側であって、前記基部の上面に設けられた第1電極層と、
該第1電極層の上面との間に気密封止された空間を形成するように前記枠状部上に接合された、内面が上方に反っているダイヤフラムと、
該ダイヤフラムの前記内面であって平面視して前記第1電極層と重なる領域に設けられた第2電極層とを備えた、圧力検出装置用パッケージ。
【請求項2】
前記基部の上面は、前記枠状部に囲まれた領域に凹部を有しており、該凹部内に前記第1電極層が存在している、請求項1に記載の圧力検出装置用パッケージ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧力検出装置用パッケージと、前記第1電極層および前記第2電極層に電気的に接続された半導体素子とを備えた、圧力検出装置。
【請求項4】
前記半導体素子は、前記絶縁基体の下面に設置されている、請求項3に記載の圧力検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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