説明

圧力調整装置、および車両用圧力調整方法

【課題】乗用車等の乗物の移動中、標高の変化に応じて刻々と変化する車外の気圧によっ
て、耳詰まり等の不快感を乗員に与えてしまうことを防止できる圧力調整装置を提供する
こと。
【解決手段】バス等の乗物の車両に搭載された室内圧力調整装置1は、ナビゲーションシ
ステム部10と、圧力コントローラー20と、内気圧センサー30と、外気圧センサー4
0と、室内圧力調整機構50とを備えている。室内圧力調整機構50は、出発地から目的
地への移動に伴い、出発時における車両の室内の気圧から目的地における気圧に徐々に近
づけるように、車両の室内における気圧を調整する。室内の気圧は徐々に調整されるため
、移動中に急激な気圧変化が生じることがなく、目的地に到着したときの車内外における
気圧差が低減する。これにより、目的地に車両が移動して乗員が降車するまでの間におい
て、乗員に耳詰まり等の不快感を与えてしまうことを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の気圧を調整する圧力調整装置、および車両用圧力調整方法に関する

【背景技術】
【0002】
従来、乗用車等の乗物の車両内において、車両室内の気圧変化によって乗員に不快を感
じさせてしまうことを防止するため、室内の気圧を調節するようにした装置が知られてい
る。
【0003】
例えば、特許文献1には、乗用車の室内の空調を制御することによって室内の気圧を調
節する車両用空調装置が提案されている。図15に特許文献1の車両用空調装置の構成、
図16に室内の気圧変化、図17に車両用空調装置の制御フローを示す。図15に示すよ
うに、車両用空調装置10は、空調ユニット20と、排気ユニット30と、内気圧センサ
ー40と、制御装置100とを備えている。制御装置100は、内気圧センサー40が検
出する室内の気圧が所定時間内に所定値以上変化した場合に、空調ユニット20の外気導
入経路および排気ユニット30の内気排出経路を遮断する(図17のステップS300)
。これにより、室内を車外に対して気密状態とし室内の気圧の急激な変動を抑止している
。そして、所定時間経過した後(ステップS400:Yes)、両経路を徐々に開放し、
室内の気圧を車外の気圧に一致させる(ステップS500,S600)。こうすることに
より、図16に示すように、室内の気圧は車外の気圧に比べてより緩やかに変化するよう
になって、耳詰まり等を生じて乗員に不快を感じさせてしまうことを防止できる。
【0004】
特許文献2には、車両酸素富化装置の制御装置によって、室内の酸素濃度を制御する技
術が提案されている。図18に制御装置における構成、図19,20に制御フローを示す
。図18に示すように、車両には、制御装置を含むナビゲーション装置1と、酸素富化装
置2とが設けられている。車両酸素富化装置の制御装置は、ナビゲーション装置1による
車両の位置情報に基づいて高度を推定し(図19のステップS2)、これが所定値以上で
あり酸素濃度が薄くなっているときに、酸素富化装置2を作動させて室内に酸素を供給す
る(ステップS4)。また、車両がトンネルを走行中の場合についても(図20のステッ
プS12)、酸素富化装置2を作動させて室内に酸素を供給する(ステップS13)。こ
れにより、標高が高い場所やトンネルの走行時においても、車両内の酸素が薄くなって室
内の酸素濃度が低下することが抑制されるので、乗員に十分な酸素を供給でき、高山病等
、酸素不足に起因する体調不良を防ぐことができる。
【0005】
また、特許文献2の装置では、トンネル走行中と判定すると(図20のステップS12
:Yes)、室内に酸素を供給する(ステップS13)。これにより、長距離トンネル内
のように排気ガスが充満し、室内に外気を導入することで室内の酸素濃度を維持できない
環境で、室内の環境が悪化することを防止するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−276883号公報
【特許文献2】特開2004−330867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、車両が山の麓等から山頂や標高地の高い場所に向けて山道を移
動する場合、標高に応じて外気圧や酸素濃度等が変化するので、外気圧と車両の室内の圧
力とを比較し、急激な圧力変動を抑止した後に室内の圧力を外気圧に近づける特許文献1
の方法では、標高に応じて刻々と変化する外気圧に室内の圧力を合せこむには時間的なタ
イムラグが発生する。このため、室内と車外の圧力差が生じることとなり、降車時には、
耳詰まり等による不快感を乗員に与えてしまう可能性があった。
【0008】
また、特許文献2の方法を利用して、ナビゲーションにより入手した位置情報に基づい
て、リアルタイムに標高値(高度)を推定しながら、急激な圧力変動を抑止した後に室内
の圧力を徐々に外気圧に近づける特許文献1の方法による気圧制御を行ったとしても、標
高に応じて刻々と変化する外気圧に室内の圧力を合せこまなければならない場合、タイム
ラグの発生を抑止しきれない。このため、乗員に与える不快感を抑止するには至らなかっ
た。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]車両に設けられる圧力調整装置であって、前記車両の室内の気圧を検出す
る室内気圧検出手段と、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情
報を取得した地点から目的地に至る移動経路を決定する移動経路決定手段と、前記目的地
における気圧を取得する外気圧取得手段と、前記移動経路に従う前記車両の移動に伴って
、前記検出された室内の気圧から前記目的地における気圧に徐々に近づけ、前記目的地に
到着するときに前記目的地における気圧となるように、前記車両の室内の気圧を調整する
室内気圧調整手段とを備えることを特徴とする圧力調整装置。
【0011】
この構成によれば、目的地への移動に伴って、車両の室内の気圧が徐々に調整されるた
め、移動中に急激な気圧変化が生じることがない。また、目的地に到着するときに目的地
における気圧となるように室内の気圧が調整されるので、目的地に到着したときの室内外
における気圧差は抑制されている。したがって、車両によって目的地に移動する際に、耳
詰まり等の不快感を乗員に与えてしまうことを防止できる。
【0012】
[適用例2]上記圧力調整装置において、前記車両の室外の気圧を検出する外気圧検出
手段をさらに備え、前記移動経路に従う前記車両の移動によって、前記目的地への残り所
要時間、または前記目的地からの距離が所定値より小さくなると、前記室内気圧調整手段
は、前記検出された室外の気圧を前記目的地における気圧として、前記車両の室内の気圧
を調整することを特徴とする圧力調整装置。
【0013】
この構成によれば、目的地に近づいたときに、車両の室外の気圧を目的地における気圧
として扱うことによって室内の気圧が室外の気圧に徐々に近づけるように調整される。こ
れにより、目的地に到着したときの室内外における気圧差はより小さくなり、車両の乗員
に耳詰まり等の不快感を与えてしまうことをより確実に防止できる。
【0014】
[適用例3]上記圧力調整装置において、前記車両の室内の酸素濃度を調整する酸素濃
度調整手段をさらに備え、室内の酸素濃度が所定値より低下すると、当該酸素濃度調整手
段は、前記車両の室内に酸素を供給することにより前記所定値を維持するように調整する
ことを特徴とする圧力調整装置。
【0015】
この構成によれば、車両による移動中、酸素濃度調整手段から車室内に酸素が供給され
るとともに、酸素の供給を含めた気圧が目的地における気圧に徐々に近づくように制御さ
れるので、耳詰まり等の不快感を乗員に与えてしまうことを防ぐとともに、酸素不足によ
る様々な症状を乗員にもたらしてしまうことを防止できる。
【0016】
[適用例4]上記圧力調整装置において、前記室内気圧調整手段は、前記車両がトンネ
ルに突入する際、前記調整した室内の気圧をさらに加圧することを特徴とする圧力調整装
置。
【0017】
この構成によれば、トンネルに突入する際、車両の室内における気圧の急激な変化が抑
制されるので、トンネル突入時に、耳詰まり等の不快感を乗員に与えてしまうことを防止
できる。
【0018】
[適用例5]上記圧力調整装置において、前記室内気圧調整手段は第1の空気清浄手段
を備え、当該第1の空気清浄手段は前記車両の車外より導入した空気を清浄化し、前記室
内気圧調整手段は、前記第1の空気清浄手段により清浄化された空気を前記室内に流入さ
せることにより、前記車両の室内の気圧を調整することを特徴とする圧力調整装置。
【0019】
この構成によれば、車外の空気を清浄化し、清浄化された空気を室内に流入することに
よって、車室内の気圧が調整されるので、例えば、長距離トンネル内のように排気ガスが
充満した場所を通過する際にも、乗員にとって快適な室内空間を維持することができる。
【0020】
[適用例6]上記圧力調整装置において、前記室内気圧調整手段は第2の空気清浄手段
をさらに備え、当該第2の空気清浄手段は前記車両の車外より導入した空気を清浄化し、
前記室内気圧調整手段は、前記第1の空気清浄手段と前記第2の空気清浄手段とを選択的
に用いて、清浄化した空気を途切れることなく前記車両の室内に流入させることにより、
前記車両の室内の気圧を調整することを特徴とする圧力調整装置。
【0021】
この構成によれば、第1の空気清浄手段と第2の空気清浄手段とにより、清浄化した空
気が途切れることなく車両の室内に流入するので、室内空間を快適な状態に維持すること
ができる。
【0022】
[適用例7]車両の室内の気圧を検出するステップと、前記車両の位置情報を取得する
ステップと、前記位置情報を取得した地点から目的地に至る移動経路を決定するステップ
と、前記目的地における気圧を取得するステップと、前記移動経路に従う前記車両の移動
に伴って、前記検出された室内の気圧から前記目的地における気圧に徐々に近づけ、前記
目的地に到着するときに前記目的地における気圧となるように、前記車両の室内の気圧を
調整するステップとを含むことを特徴とする車両用圧力調整方法。
【0023】
このようにすれば、車両によって目的地に移動する際に、耳詰まり等の不快感を乗員に
与えてしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施例)
以下、乗物の車両に搭載された圧力調整装置について説明を行う。図1は、第1実施例
に係る圧力調整装置を搭載した乗物の車両を示す概略構成図である。図2は、圧力調整装
置の構成を示した図である。図1に示すように、室内圧力調整装置1は、ナビゲーション
システム部10と、圧力コントローラー20と、内気圧センサー30と、外気圧センサー
40と、室内圧力調整機構50とを備える。なお、本実施例では、車両の走行中、室内圧
力調整機構50により制御される空気導入口を除き車両の室内と室外とが隔離されて、室
内空間は略密閉状態になるものとする。こうした乗物の具体例としては、図1に示したバ
スの他、乗用車、電車、航空機等を挙げることができる。
【0026】
ナビゲーションシステム部10は、GPS部(位置情報取得手段)11と、交通情報取
得部12と、移動経路決定部(移動経路決定手段)13と、高度情報取得部14と、気象
情報取得部(外気圧取得手段)15と、地図情報データベース16とを有する。
【0027】
GPS部11は、測位衛星S(図2参照)からの衛星信号をGPSアンテナ11aで受
信して測位することにより、車両の位置情報を取得する。
【0028】
交通情報取得部12は、道路交通情報システム(VICS:Vehicle Information and
Communication System)からの情報を、アンテナ12aで受信することにより、渋滞や交
通規制等の道路交通情報を取得する。なお、交通情報取得部12による道路交通情報の取
得経路としてはこれに限られることなく、例えば、無線LANを利用してインターネット
、または携帯電話通信網等を介して所定のサーバーから取得するようにしてもよい。
【0029】
移動経路決定部13は、ユーザーが所望する目的地までの移動経路を設定する処理を行
う。移動経路の設定は、例えば、ナビゲーションシステム部10に備えられたタッチパネ
ルまたはリモコン等へのユーザー操作に従って行われる。ユーザーは、GPS部11によ
って測位した位置を出発地として、ユーザーが所望した目的地に至る経路のうち、必要に
応じて、道路交通情報に基づき渋滞や交通規制を回避した経路を移動経路に設定すること
ができる。
【0030】
高度情報取得部14は、地図情報データベース16を用いて目的地の高度情報を取得す
る。地図情報データベース16には地図上の各地の標高を含む地図情報が記憶されており
、高度情報取得部14は、地図情報データベース16を参照して、決定した移動経路にお
ける目的地の標高を高度情報として取得する。
【0031】
気象情報取得部15は、取得した高度情報から下記の測高公式に基づいて目的地の気圧
Peを算出する。なお、P0は基準気圧(現在地の気圧)、T0は気温、hは現在地と目
的地の高度差である。
【0032】
【数1】

【0033】
さらに、気象情報取得部15は、日本気象協会や気象情報提供会社等の気象情報提供シ
ステムからの情報をアンテナ15aで受信し、受信した全国各地の気圧情報等を含む気象
情報から目的地の最新の気圧Pe’を取得する。そして、高度情報から算出した目的地の
気圧Peと目的地の最新の気圧Pe’とを照合し差異があれば、気圧Pe’を目的地の気
圧Peとする。なお、目的地の最新の気圧Pe’は適宜気象の変化に応じて変動すること
も考えられるので、気象情報取得部15は定期的に気象情報を取得して最新の気圧Pe’
に更新して目的地の気圧Peを求めるようにしてもよい。
【0034】
もっとも、目的地の気圧Peを取得する方法としては上述したものに限られない。例え
ば、測高公式から算出した気圧をそのまま目的地の気圧Peとして用いてもよいし、気象
情報提供システムから取得した気圧Pe’をそのまま目的地の気圧Peとして用いるよう
にしてもよい。
【0035】
内気圧センサー30は、車両の室内における気圧(以下、「室内気圧」という)を計測
するための圧力センサーである。外気圧センサー40は、車外の気圧(以下、「外気圧」
という)を計測するための圧力センサーである。
【0036】
図3は、内気圧センサー30および外気圧センサー40として用いられる圧力センサー
の構成を示す図であり、(A)は圧力センサーの断面図、(B)は同図(A)におけるA
−A断面を示す図である。圧力センサー100は、ダイアフラム120と、このダイアフ
ラム120と対向して設けられる容器140、及び感圧素子としての圧電振動片130と
を基本構成とする絶対圧センサーである。
【0037】
上記のような基本構成を有する圧力センサー100のうち、ダイアフラム120は、外
部(図3(A)では上方)からの圧力を受圧すると、受圧した圧力によって撓み変形する
薄肉部122と、この薄肉部122の周囲に形成される枠部128とを基本構成とする。
ダイアフラム120は薄肉部122の一方の面に、前記圧電振動片130を載置、固定す
るための支持部124を有する。支持部124は詳細を後述する圧電振動片130を2点
で支持するために設けられるものであり、圧電振動片130の両端部を固定するために、
対を成すように形成されている。また、薄肉部122の他方の面には、圧電振動片130
を支持部124に載置した際に、圧電振動片130の振動部134が位置することとなる
部位に対応させて、厚肉化するための突出部126を設けてもよい。
【0038】
本実施例で採用する圧電振動片130は、いわゆる双音叉振動子である。双音叉型の振
動子は、振動部の両端部に基部132を有し、この2つの基部132の間に双音叉形状を
成す振動部134を有する。このような構成の双音叉型の振動子は、双音叉形状を成す振
動部134に内部応力を生じさせると、共振周波数が変化するという特性を持っている。
具体的には、振動部に引張応力が生じると共振周波数が高くなり、圧縮応力が生じると共
振周波数は低くなる。したがって、圧力センサー100において、ダイアフラムが圧力を
受圧すると、受圧した圧力によってダイアフラムは撓み変形し、支持部124を介して双
音叉振動子に引張力が作用するので、双音叉振動子に引張応力が生じ共振周波数が変化す
ることとなる。この共振周波数の変化から圧力変化を検出するのである。上述した双音叉
振動子を搭載したダイアフラム型の圧力センサー100を、内気圧センサー30および外
気圧センサー40として用いることにより、室内の気圧と車外の気圧を高精度に測定でき
、後述する室内気圧の調整をより精度良く行うことが可能となる。
【0039】
圧力コントローラー20は、内気圧センサー30からのセンサー信号に基づいて室内気
圧を検出する室内気圧検出部21と、外気圧センサー40からのセンサー信号に基づいて
外気圧を検出する外気圧検出部22と、室内気圧の調整を制御する室内圧力調整制御部2
3とを有する。なお、内気圧センサー30および室内気圧検出部21が室内気圧検出手段
に相当し、外気圧センサー40および外気圧検出部22が外気圧検出手段に相当している

【0040】
ここで、例えば、山の麓等を出発地、山頂等の標高地の高い場所を目的地として、標高
が低い出発地から標高が高い目的地に乗物の車両が移動する場合、標高が高まるにつれて
車外の気圧は低下するが、室内は略密閉空間になっているため気圧は変化し難い。このた
め、室内の気圧制御を行わない場合は、車室内外で気圧差が生じることとなり、目的地に
到着して車両から乗員が降車するときに、急激な気圧差によって乗員に耳詰まり等の不快
感を与えてしまう可能性がある。
【0041】
そこで、室内圧力調整制御部23は、目的地への移動中に室内気圧を目的地の気圧、す
なわち目的地における外気圧に徐々に近づけ、目的地への到着時に車内外の気圧差をなく
すように室内の気圧調整を行う。
【0042】
図4は、上述した室内圧力調整装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
以下、出発地から目的地に移動する際の処理について、フローチャートに従って詳細に説
明する。
【0043】
まず、乗物の車両が移動を開始する前に、ナビゲーションシステム部10のGPS部1
1は、衛星信号を受信して測位することにより、出発地の位置情報を取得する(ステップ
S10)。なお、出発地の指定方法としてはGPSを用いたものに限られない。例えば、
ナビゲーションシステム部10に備えられたタッチパネルまたはリモコン等へのユーザー
操作によって出発地が指定されて、ナビゲーションシステム部10は、指定された出発地
の位置情報を取得するようにしてもよい。
【0044】
次に、目的地・経路情報取得処理が行われる(ステップS20)。図5に、目的地・経
路情報取得処理のフローチャートを示す。目的地・経路情報取得処理では、まず、交通情
報取得部12を搭載していれば交通情報取得部12は通信により目的地への経路上の道路
交通情報を取得し(ステップS21)、気象情報取得部15は目的地および目的地への経
路上の気圧や気温等の気象情報を取得する(ステップS22)。移動経路決定部13は、
地図情報データベース16より取得した移動経路情報をベースにして、道路交通情報およ
び気象情報に基づいて少なくとも一以上の移動経路案を決定して経路情報を取得する(ス
テップS23)。この移動経路案は、例えば、道路交通情報に示される渋滞を回避するよ
うにして決定されるが、必要に応じてユーザーが複数の移動経路案の中から一つの移動経
路を最終的に決定するようにしてもよい。そして、高度情報取得部14は、地図情報デー
タベース16を参照して、出発地から目的地に至る経路上の高度情報を取得すると共に、
気象情報取得部15は目的地の気圧を取得する(ステップS24)。
【0045】
経路情報および経路上の高度情報を取得すると図4の処理に戻って、次に、室内圧力調
整制御部23は、経路上の各地点において気圧調整の目標とする室内設定気圧を決定する
(ステップS30)。室内設定気圧の設定例を図6に示す。図6では、出発地からの距離
を横軸、室内気圧を縦軸に示している。図6の例では、出発地において測定された気圧P
sより、出発地(距離L)における目的地の気圧Peが低いため、目的地に近づくにつれ
て出発地の気圧Psから目的地の気圧Peに逓減し、目的地において目的地の気圧Peと
一致するように、出発地からの距離と室内設定気圧との関係が定められる。
【0046】
こうして、気圧制御の目標とする室内設定気圧が決定すると、出発地から目的地に向け
て乗物の車両は移動を開始し、移動開始後に、経路上の気圧制御処理が行われる(ステッ
プS40)。経路上の気圧制御処理は、出発地から目的地に向けた移動経路の移動中、室
内設定気圧に従って室内の気圧を調整する処理である。
【0047】
図7に、経路上の気圧制御処理のフローチャートを示す。経路上の気圧制御処理では、
まず、圧力コントローラー20の室内気圧検出部21は、内気圧センサー30を用いて室
内気圧を測定する(ステップS41)。そして、室内圧力調整制御部23は、ステップS
30にて決定した経路上の各室内設定気圧に基づいて、本気圧制御処理実行時の現在位置
に対する室内設定気圧を求め、求めた室内設定気圧に室内気圧が一致するか否かを判断す
る(ステップS42)。室内気圧が室内設定気圧に一致しない場合(ステップS42:N
o)、室内気圧が室内設定気圧より大きくなっているか否かをさらに判定する(ステップ
S43)。室内気圧が室内設定気圧より大きい場合(ステップS43:Yes)、室内圧
力調整制御部23は室内圧力調整機構50を制御して、室内気圧を減圧させ(ステップS
44)、室内気圧が室内設定気圧以下である場合は(ステップS43:No)、室内気圧
を加圧させる(ステップS45)。加圧または減圧を行うと、ステップS41に戻って、
ステップS41〜S45の処理を繰り返すことにより、目標とした室内設定気圧に室内気
圧が徐々に近づいていく。そして、室室内の圧力が室内設定気圧と一致するようになると
(ステップS42:Yes)、経路上の気圧制御処理を終了する。
【0048】
経路上の気圧制御処理が終了すると図4の処理に戻り、次にトンネル補正処理が行われ
る(ステップS50)。このトンネル補正処理は、車両がトンネル内に突入することによ
って生じる外気圧の急激な変化に基づいて、車両の室内の気圧とトンネル内の外気圧と間
で圧力差が生じ、当該圧力差により車両が受ける衝撃を緩和するために、トンネル突入時
における室内の気圧をトンネル内の外気圧に近づけるように制御しようとする処理である

【0049】
図8に、トンネル補正処理のフローチャートを示す。トンネル補正処理では、まず、圧
力コントローラー20の室内圧力調整制御部23は、出発地を出てからの経過時間または
走行距離に基づき、次のトンネルに入るまであと所定時間の地点に来ているか否かを判断
する(ステップS51)。次のトンネルまで所定時間になっていなければ(ステップS5
1:No)、気圧調整を行うことなくトンネル補正は終了する。次のトンネルまで所定時
間になると(ステップS51:Yes)、室内圧力調整制御部23は室内圧力調整機構5
0を制御して、室内を室内設定気圧から所定の気圧分(室内の気圧とトンネル内の外気圧
との差分)だけさらに加圧する(ステップS52)。これにより、トンネル内に突入した
際に生じる急激な室内の気圧とトンネル内の外気圧との圧力差による衝撃を車両が受ける
のを緩和し、室内設定気圧により近い気圧制御がなされる。
【0050】
トンネル突入時に加圧した後、室内圧力調整制御部23は加圧後の圧力を維持し続ける
(ステップS53:No)。そして、トンネルに突入してからの経過時間または走行距離
に基づき、トンネルを出るまでの残り時間が所定時間になると(ステップS53:Yes
)、室内を減圧して、経路上の室内設定気圧に戻す(ステップS54)。これにより、ト
ンネル突入から出るまでの間、室内気圧が室内設定気圧から乖離してしまうことが防止さ
れる。
【0051】
なお、トンネル補正処理では、実際にトンネルに突入するタイミングより早い時点で加
圧の制御を始め、トンネルから出るタイミングより早い時点で減圧の制御が始まるので、
室内の気圧変化は緩やかになり、急激な気圧変化を生じさせない。
【0052】
トンネル補正処理を終了すると図4の処理に戻り、次に、到達前の気圧制御処理が行わ
れる(ステップS60)。到達前の気圧制御処理では、目的地の近くまで来たときに、実
際の外気圧に室内気圧を合わせ込むように調整することにより、目的地との気圧差を抑制
する。
【0053】
図9に、到達前の気圧制御処理のフローチャートを示す。到達前の気圧制御処理では、
まず、圧力コントローラー20の室内圧力調整制御部23は、出発地を出てからの経過時
間または走行距離に基づき、目的地までの残り所要時間が所定時間以下になっているか否
か、すなわち目的地に近い場所まで来ているのかを判断する(ステップS61)。目的地
までの残り所要時間が所定時間以下になっていなければ(ステップS61:No)、目的
地に到達する前の気圧制御を行うことなく到達前の気圧制御処理は終了する。
【0054】
残り所要時間が所定時間以下となっており、目的地に近い場所まで来ていると判断する
と(ステップS61:Yes)、室内気圧検出部21は、内気圧センサー30を用いて室
内気圧を測定し(ステップS62)、外気圧検出部22は、外気圧センサー40を用いて
外気圧を測定して、目的地の気圧として取得する(ステップS63)。そして、室内圧力
調整制御部23は、室内気圧が目的地の気圧より大きくなっているか否かを判定する(ス
テップS64)。室内気圧が目的地の気圧より大きい場合(ステップS64:Yes)、
室内圧力調整制御部23は、室内圧力調整機構50を制御して、室内気圧を目的地の気圧
まで徐々に減圧させ(ステップS65)、室内気圧が目的地の気圧以下である場合は(ス
テップS64:No)、室内気圧を目的地の気圧まで徐々に加圧する(ステップS66)
。これにより、室内の圧力が目的地における実際の気圧により近づくよう調整されて到達
前の気圧制御処理が終了する。
【0055】
到達前の気圧制御処理が終了すると、図4の処理に戻り、室内圧力調整制御部23は、
目的地に到着したか否かを判断する(ステップS70)。目的地に到着していなければ(
ステップS70:No)ステップS40に戻って室内気圧が繰り返し制御され、目的地に
到着すると、図4の処理を終了する。
【0056】
以上に説明したように、第1実施例の室内圧力調整装置1によれば、目的地への移動に
伴って、出発時の室内気圧から目的地点における気圧に徐々に近づき、目的地に到着した
ときに目的地点における気圧となるよう、車両の室内気圧が調整される。
【0057】
図10は、第1実施例における気圧変化の一例を示す図である。なお、図10では、横
軸は出発地からの距離、縦軸は高さおよび気圧に対応しており、室内気圧の変化を実線、
外気圧の変化を破線、高度変化を2点鎖線で示している。図10に示すように、出発地か
ら目的地に移動する場合、高度変化に応じて外気圧は変化する。しかしながら、移動中の
室内気圧は、目標とした室内設定気圧(図6参照)に従って制御されているので、移動中
に外気圧が急激に変化したとき(例えば、区間A参照)にも、外気圧の影響を受けること
なく、室内気圧は徐々に低下するようにして緩やかに変化する。このため、移動中に、耳
詰まり等の不快感を乗員に与えてしまうことを防止できる。そして、到着地に到着した時
には、室内外の気圧差がほとんどなくなっているので、降車時に耳詰まり等の不快感を乗
員に与えてしまうことも防止できる。したがって、出発地から目的地への移動全般に渡っ
て快適な移動環境を乗員に提供することが可能となる。
【0058】
なお、車両が目的地の近くまで移動したときには、到着前の気圧制御処理によって、室
内気圧を、実際の外気圧に徐々に近づけるように気圧調整を行った。これにより、出発地
を出発後、移動中に天候の変化等によって目的地の気圧が変化していても、この気圧の変
化に適切に対処して、目的地に到着して乗員が降車する際に、耳詰まり等の不快感を与え
てしまうことをより確実に防止できる。
【0059】
さらに、トンネル補正によって、車両がトンネル内に突入したときに、車両の室内の気
圧とトンネル内の外気圧との急激な圧力差が生じないように制御されているので、前記気
圧差により生じる衝撃を車両が受けることを緩和或いは防止できる。
【0060】
(第2実施例)
上記第1実施例では、室内気圧を制御するようにしたが、第2実施例では、さらに車両
室内の酸素濃度を調整し、高度が高い場所に移動したとき等に室内の酸素濃度が低下する
ことを防ぐようにする。
【0061】
図11に、第2実施例に係る室内圧力調整装置の構成を示す。なお、室内圧力調整装置
2は、第1の実施例と同様に乗物の車両に設けられるものであり、第1実施例と同様の構
成については同じ符号を付与し、詳細な説明を省略するものとする。
【0062】
図11に示すように、室内圧力調整装置2は、第1実施例に係る室内圧力調整装置1の
構成に加えてさらに酸素濃度調整装置(酸素濃度調整手段)60を備えている。酸素濃度
調整装置60は、圧縮酸素を収容した酸素タンクを有しており、室内に酸素を供給する。
【0063】
第2実施例における経路上の気圧制御処理について、図12のフローチャートに従って
説明する。経路上の気圧制御処理を開始すると、ナビゲーションシステム部10は、GP
Sによる測位、もしくは移動時間または走行距離から現在位置を特定し、地図情報データ
ベース16を参照して、現在位置の高度情報を取得する(ステップS100)。
【0064】
次に、室内圧力調整制御部23は、酸素濃度調整装置60を制御して、高度に応じて室
内に酸素を供給し、酸素濃度が所定値を維持するように調整する(ステップS101)。
すなわち、標高が高くなるにつれて、室内圧力調整制御部23は、酸素供給量を増加する
ことにより、室内の酸素濃度が低下することを抑制し酸素濃度が所定値を維持するように
機能する。
【0065】
次に、外気圧検出部22は、内気圧センサー30を用いて室内気圧を測定し(ステップ
S102)、室内圧力調整制御部23は、酸素供給後の室内気圧が設定気圧に一致するか
否かを判断する(ステップS103)。設定気圧に一致しない場合(ステップS103:
No)、室内気圧が設定気圧より大きくなっているか否かをさらに判定する(ステップS
104)。室内気圧が設定気圧より大きい場合(ステップS104:Yes)、室内圧力
調整制御部23は室内圧力調整機構50を制御して、室内気圧を減圧させ(ステップS1
05)、室内気圧が設定気圧以下である場合は(ステップS104:No)、室内気圧を
加圧させる(ステップS106)。これにより、室内気圧は設定気圧により近づくよう調
整される。
【0066】
以上に説明した第2実施例によれば、車両の室内には、高度に応じて酸素が供給されて
、移動中の酸素濃度低下が抑制される。また、供給した酸素を含めた気圧が室内設定気圧
に合わせ込むように気圧調整が行われる。したがって、例えば、山の麓等から山頂や標高
地の高い場所に向けて山道を移動する場合に、耳詰まり等の不快感を与えてしまうことを
防ぐとともに、頭痛、痙攣、チアノーゼ等の酸素不足に起因する様々な症状を乗員にもた
らすことを防止できる。
【0067】
(第3実施例)
上記第1実施例および第2実施例では外気を室内に導入することによって気圧を制御す
るようにしたが、第3実施例では、さらに室内に導入する空気を清浄化することにより、
より快適な室内環境を提供する。
【0068】
図13に、第3実施例の室内圧力調整機構の一例を示す。図13に示すように、室内圧
力調整機構50は、第1タンク(第1の空気清浄手段)51aおよび第2タンク(第2の
空気清浄手段)51bと、車外からの空気導入口52とそれぞれのタンク51a,51b
とを連通する流路53と、それぞれのタンク51a,51bと室内への空気吹出口55と
を連通する流路54と、流路53に設けられた弁56a,56bと、流路54に設けられ
た弁58a,58bとを有する。第1タンク51aおよび第2タンク51bの内部にはそ
れぞれフィルター57が設けられており、タンクに流入する外気はフィルター57によっ
て清浄化される。
【0069】
室内圧力調整制御部23は、弁58a,58bを制御して、第1タンク51aと第2タ
ンク51bとのいずれかを通じて、清浄化された空気を空気吹出口55から室内に導入す
ることにより、経路上の気圧制御および到達前の気圧制御を行う。そして、いずれかのタ
ンクを使用するうちに、使用中のタンクの清浄化された空気の量が低下したら、他方のタ
ンクに切り替えることによって清浄化された空気を空気吹出口55から室内に導入すれば
よい。その間に、清浄化された空気の量が低下した方のタンクに、空気導入口52から導
入した新鮮な空気を流路53を通じて導入し貯蔵すればよい。
【0070】
第3実施例によれば、トンネル等、空気が汚れた場所を通過するときにも、室内にきれ
いな空気を導入することができ、快適な室内環境を維持することができる。また、2つの
タンクを用いるようにしているので、新鮮な空気の導入が途切れることがなく、室内を快
適な環境に維持し続けることができる。
【0071】
以上、第1実施例ないし第3実施例について説明したが、これに限られることなくその
趣旨に逸脱しない様々な形態としてもよい。以下、変形例について説明する。
【0072】
(変形例1)上記実施例では、目的地に向けて出発する時点で、目的地の気圧に合わせ
込むようにして室内設定気圧を決定するようにしたが、さらに、移動経路途中における休
憩地点等、目的地に至るまでの途中の地点の気圧にも合わせ込むように、室内設定気圧を
決定してもよい。例えば、出発前に目的地の気圧Peおよび途中降車地点の気圧Pcを取
得しておき、図14に示すように、出発地から途中降車地点までの距離において気圧Pc
、出発地から目的地までの距離Lにおいて気圧Peとなるよう、室内設定気圧を決定する
。このようにすれば、途中で降車する地点においても、耳詰まり等の不快感を乗員に与え
てしまうことを防止できる。
【0073】
なお、出発地を出発した後に、途中降車地点の追加設定、目的地の変更等を行い、これ
に応じて室内設定気圧の設定を移動中に適宜切り替え可能としてもよい。
【0074】
(変形例2)上記実施例では、経路上の気圧制御処理、トンネル補正処理および到着前
の気圧制御処理を行う場合について説明したが、トンネル補正処理、到着前の気圧制御処
理については必須の処理ではない。すなわち、経路上の気圧制御処理のみを行うようにし
てもよいし、経路上の気圧制御処理およびトンネル補正処理、もしくは経路上の気圧制御
処理および到着前の気圧制御処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1実施例に係る室内圧力調整装置を搭載した乗物の車両を示す概略構成図。
【図2】室内圧力調整装置の構成を示す図。
【図3】圧力センサーの構成を示す図。
【図4】室内圧力調整装置が行う処理の流れを示すフローチャート。
【図5】目的地・経路情報取得処理の流れを示すフローチャート。
【図6】気圧設定の一例を示す図。
【図7】経路上の気圧制御処理の流れを示すフローチャート。
【図8】トンネル補正処理の流れを示すフローチャート。
【図9】到着前の気圧制御処理の流れを示すフローチャート。
【図10】気圧変化の一例を示す図。
【図11】第2実施例に係る室内圧力調整装置の構成を示す図。
【図12】経路上の気圧制御処理の流れを示すフローチャート。
【図13】室内圧力調整機能の構成例を示す図。
【図14】変形例1を説明する図。
【図15】従来技術の構成を示す図。
【図16】従来技術の室内の気圧変化を示す図。
【図17】従来技術の制御フローを示す図。
【図18】従来技術の構成を示す図。
【図19】従来技術の制御フローを示す図。
【図20】従来技術の制御フローを示す図。
【符号の説明】
【0076】
1…室内圧力調整装置、10…ナビゲーションシステム部、11…位置情報取得手段と
してのGPS部、12…交通情報取得部、13…移動経路決定手段としての移動経路決定
部、14…高度情報取得部、15…外気圧取得手段としての気象情報取得部、16…地図
情報データベース、20…圧力コントローラー、21…室内気圧検出手段としての室内気
圧検出部、22…外気圧検出手段としての外気圧検出部、23…室内気圧調整手段として
の室内圧力調整制御部、30…室内気圧検出手段としての内気圧センサー、40…外気圧
検出手段としての外気圧センサー、50…室内気圧調整手段としての室内圧力調整機構、
60…酸素濃度調整手段としての酸素濃度調整装置、51a…第1の空気清浄手段として
の第1タンク、51b…第2の空気清浄手段としての第2タンク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる圧力調整装置であって、
前記車両の室内の気圧を検出する室内気圧検出手段と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報を取得した地点から目的地に至る移動経路を決定する移動経路決定手段と

前記目的地における気圧を取得する外気圧取得手段と、
前記移動経路に従う前記車両の移動に伴って、前記検出された室内の気圧から前記目的
地における気圧に徐々に近づけ、前記目的地に到着するときに前記目的地における気圧と
なるように、前記車両の室内の気圧を調整する室内気圧調整手段とを備えることを特徴と
する圧力調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力調整装置において、
前記車両の室外の気圧を検出する外気圧検出手段をさらに備え、
前記移動経路に従う前記車両の移動によって、前記目的地への残り所要時間、または前
記目的地からの距離が所定値より小さくなると、前記室内気圧調整手段は、前記検出され
た室外の気圧を前記目的地における気圧として、前記車両の室内の気圧を調整することを
特徴とする圧力調整装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧力調整装置において、
前記車両の室内の酸素濃度を調整する酸素濃度調整手段をさらに備え、
室内の酸素濃度が所定値より低下すると、当該酸素濃度調整手段は、前記車両の室内に
酸素を供給することにより前記所定値を維持するように調整することを特徴とする圧力調
整装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の圧力調整装置において、
前記室内気圧調整手段は、前記車両がトンネルに突入する際、前記調整した室内の気圧
をさらに加圧することを特徴とする圧力調整装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の圧力調整装置において、
前記室内気圧調整手段は第1の空気清浄手段を備え、
当該第1の空気清浄手段は前記車両の車外より導入した空気を清浄化し、
前記室内気圧調整手段は、前記第1の空気清浄手段により清浄化された空気を前記室内
に流入させることにより、前記車両の室内の気圧を調整することを特徴とする圧力調整装
置。
【請求項6】
請求項5に記載の圧力調整装置において、
前記室内気圧調整手段は第2の空気清浄手段をさらに備え、
当該第2の空気清浄手段は前記車両の車外より導入した空気を清浄化し、
前記室内気圧調整手段は、前記第1の空気清浄手段と前記第2の空気清浄手段とを選択
的に用いて、清浄化した空気を途切れることなく前記車両の室内に流入させることにより
、前記車両の室内の気圧を調整することを特徴とする圧力調整装置。
【請求項7】
車両の室内の気圧を検出するステップと、
前記車両の位置情報を取得するステップと、
前記位置情報を取得した地点から目的地に至る移動経路を決定するステップと、
前記目的地における気圧を取得するステップと、
前記移動経路に従う前記車両の移動に伴って、前記検出された室内の気圧から前記目的
地における気圧に徐々に近づけ、前記目的地に到着するときに前記目的地における気圧と
なるように、前記車両の室内の気圧を調整するステップとを含むことを特徴とする車両用
圧力調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−163017(P2010−163017A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6321(P2009−6321)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】