圧延制御装置及び圧延制御方法
【課題】操業状態により圧延機の影響係数が大きく変化した場合でも、安定した板厚制御,張力制御を実施する。
【解決手段】影響係数の変化に応じて、板厚制御および張力制御の制御出力先を前段スタンド速度および後段スタンド圧下を切替えて、または制御出力配分を変更することで、極低速から高速部まで安定した制御を実現する。板厚制御と張力制御の制御出力先を、前段スタンド速度および後段スタンド圧下とを圧延状態に応じて切替えて使用することで板厚精度および生産効率を向上させる。
【解決手段】影響係数の変化に応じて、板厚制御および張力制御の制御出力先を前段スタンド速度および後段スタンド圧下を切替えて、または制御出力配分を変更することで、極低速から高速部まで安定した制御を実現する。板厚制御と張力制御の制御出力先を、前段スタンド速度および後段スタンド圧下とを圧延状態に応じて切替えて使用することで板厚精度および生産効率を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延制御装置及び圧延制御方法に関し、特に、圧延状態が大きく変化するときにも圧延精度の維持に好適な圧延制御装置及び圧延制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延装置は作業ロールにより被圧延材に荷重を加えることにより、被圧延材の加工に係る観測値が目標値となるように加工するものである。例えば、被圧延材を所望の板厚にするため、圧延操業中は、製品品質に影響する圧延機の出側板厚を一定に保ついわゆる板厚制御(AGC)が行われている。一方、製品品質の維持と共に操業の安定性を確保するために、圧延機前後で被圧延材にかかる張力を一定に保ついわゆる張力制御(ATR)が行われている。このような技術は例えば特開2011−16164号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−16164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧延制御では、複数の制御項目が存在し、また、この複数の制御項目の観測値を目標値となるように制御するために、複数の制御端から選択可能である。すなわち、選択可能な制御端のうちから、制御項目の各々に対する制御端を選択して、選択した制御端を制御することで、各々の制御項目の観測値が目標値となるように制御するのである。
【0005】
ここで、タンデム圧延機を例にとると、上記で例に挙げた被圧延材を所望の板厚にするためには、制御端として、上流側圧延機スタンドのロール速度を制御することが知られている。また、張力を一定に保つためには、制御端として、下流側スタンドのロールギャップを操作することで実施することが知られている。この場合には、圧延現象として、ロール速度の操作により出側板厚および張力が変化し、ロールギャップの操作によっても出側板厚および張力が変化する。
【0006】
このように、圧延制御では、複数の制御項目が存在し、また、複数の制御端が存在するのであるが、互いに影響されるのである。
【0007】
さらにロールギャップ操作による張力への影響を例にとって説明すると、張力は、圧延速度にほぼ比例するため、非常に圧延速度が小さい場合においては、大きく低下する。特に圧延操業を、圧延機において圧延操業を、従来と比べて10分の1程度である1〜5mpm程度の極低速領域で実施しようとすると、ロールギャップから張力への影響係数が低下する結果、ATRでロールギャップを操作し、AGCでロール速度を操作する制御構成では、制御的に不安定となり、板厚制御が発振したり、過制御となる場合が発生する。つまり、1本の同じ被圧延材の圧延操業中においても、極低速から通常圧延速度(例えば600mpm)まで圧延操業を実施する場合、ロール速度から出側板厚または張力、ロールギャップから出側板厚または張力への影響の度合い(影響係数)が変化する。
【0008】
このように、圧延制御では、複数の制御項目が存在し、また、複数の制御端が存在するのであるが、圧延状態によって、制御対象への影響の度合い(影響係数)が変化する。そのため、制御が不安になるという問題が生じていた。
【0009】
本発明の目的は、制御の不安定性を克服し、さらには、製品品質の向上が可能な圧延制御装置及び圧延制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る所定の変化量が目標値となるよう所定の操作端に指令値を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態に応じて、前記所定の指令値の少なくとも一部部分に相当する指令値分を他の操作端への指令として振り分けるように構成した。
【0011】
あるいは、作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1の操作端に指令値を供給する第1の制御部と、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるよう第2の操作端に指令値を供給する第2の制御部を有し、前記第1の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第1の操作端から前記第2の操作端に変更して供給し、前記第2の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第2の操作端から前記第1の操作端に変更して供給するように構成する。
【0012】
あるいは、作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第2のゲインで第2の操作端に指令を供給し、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるように第3のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第4のゲインで第2の操作端に指令を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態が所定になった場合に、前記第1から第4のゲインを補正するように構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御の不安定性を克服し、さらには、製品品質の向上が可能となる。
【0014】
具体的に板厚制御及び張力制御に適用した場合には、本発明を適用することで、高速から極低速まで圧延速度を変化させる圧延操業を実施する場合においても、常に板厚制御および張力制御の応答を最適な状態に保つことができ、製品品質および操業効率を向上することが可能となる。また制御操作端の余分な動作を不要とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の圧延制御方法。
【図2】圧延制御方法(参考例)。
【図3】圧延制御方法(参考例)。
【図4】2スタンド圧延機の圧延現象。
【図5】影響係数の速度依存性。
【図6】影響係数の速度依存性。
【図7】影響係数の速度依存性。
【図8】圧下板厚制御の場合の制御構成。
【図9】速度板厚制御の場合の制御構成。
【図10】速度板厚制御+非干渉制御の場合の制御構成。
【図11】シミュレーション結果。
【図12】シミュレーション結果。
【図13】制御操作端選択装置。
【図14】影響係数の求め方。
【図15】板厚制御,張力制御の動作概要。
【図16】実施例−2。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態の基本的な考え方を説明し、その後に具体的な例を説明する。
【0017】
なお、制御操作端操作時の制御状態量の変化量を影響係数と呼ぶ。例えば、実施例の図1において示すような2スタンド圧延機を考えた場合、#2スタンドロールギャップを単位量(例えば1mm)変化させた場合の#2スタンド出側板厚の変化量(mm単位)を、#2スタンドロールギャップから#2スタンド出側板厚への影響係数とし、図8及び図9を参照し、
(板厚/圧下)影響係数501
=#2スタンド出側板厚の変化量/#2スタンドロールギャップ変化量
で定義する。
【0018】
#2スタンドロールギャップからスタンド間張力への影響係数
(張力/圧下)影響係数503
=スタンド間張力の変化量/#2スタンドロールギャップ変化量
は、圧延速度にほぼ比例するため、非常に圧延速度が小さい場合においては、大きく低下する。そのため、AGCは上流側圧延機スタンドの#1スタンドロール速度を、ATRは下流側スタンドの#2スタンドロールギャップを操作することによっては、安定にAGC,ATRを実施することが困難となり、AGCにて#2スタンドロールギャップを、ATRで#1スタンドロール速度を操作することが必要となる。
【0019】
なお、影響係数としては、
(張力/速度)影響係数502
=スタンド間張力の変化量/#2スタンドロール速度変化量
(板厚/速度)影響係数504
=#2スタンド出側板厚の変化量/#2スタンドロール速度変化量
も考慮する必要がある。
【0020】
圧延機において圧延操業を、従来と比べて10分の1程度である1〜5mpm程度の極低速領域で実施しようとすると、ロールギャップから張力への影響係数が小さくなる結果、ATRでロールギャップを操作し、AGCでロール速度を操作する制御構成では、制御的に不安定となり、板厚制御が発振したり、過制御となる場合が発生する。
【0021】
つまり、1本の同じ被圧延材の圧延操業中においても、極低速から通常圧延速度(例えば600mpm)まで圧延操業を実施する場合、ロールギャップから張力への影響係数のみが大きく変化し、安定にAGCおよびATRを実施することが困難となる。
【0022】
そこで圧延中、圧延速度の変化によるロールギャップから出側板厚、ロールギャップから張力、ロール速度から出側板厚またはロール速度から張力への影響係数(操作端を単位量操作時の状態量変化量)を監視し、影響係数の状態により最適な制御(AGC,ATR)と制御操作端(ロールギャップ,ロール速度)の組合せで、AGCおよびATRを実施する。
【0023】
例えば、通常圧延速度においては、AGCはロール速度、ATRはロールギャップを操作する場合においても、ごく低速圧延時は、ロールギャップから張力への影響係数が小さくなるため、AGCはロールギャップ、ATRはロール速度を操作するように変更する。
【0024】
このように、高速から極低速まで圧延速度を変化させる圧延操業を実施する場合においても、常に板厚制御および張力制御の応答を最適な状態に保つことができ、製品品質および操業効率を向上することが可能となる。
【0025】
また、制御状態量に対する影響係数の小さい制御操作端を用いて制御することによる制御出力増大を抑制できるため、制御操作端の余分な動作を不要とすることが可能となる。
【0026】
以下に、具体的な例を説明する。
【実施例1】
【0027】
2スタンド連続圧延機のAGC,ATRに本制御を適用する場合について以下説明する。
【0028】
図2及び図3に示すように、2スタンド連続圧延機においては、#1スタンド圧延機2,#2スタンド圧延機3の圧延機2台の他、#1スタンド圧延機入側に入側ブライドルロール1、#2スタンド出側に出側ブライドルロール4が設置されている。コイル状に巻かれた被圧延材は、入側設備で巻き出されて、入側ブライドルロール1を経て圧延機に送り込まれ、#1スタンド圧延機2,#2スタンド圧延機3で所定の板厚まで圧延された後、出側ブライドルロール4を経由して出側設備でコイル状に巻き取られる。入側ブライドルロール1,#1スタンド圧延機2,#2スタンド圧延機3および出側ブライドルロール4は、それぞれ入側ブライドルロール駆動装置11,#1スタンド圧延機駆動装置21,#2スタンド圧延機駆動装置31および出側ブライドルロール駆動装置41により駆動される。また、#1スタンド圧延機2および#2スタンド圧延機3には、各圧延機スタンドの作業ロール間隔を操作するための#1スタンド圧下制御装置22および#2スタンド圧下制御装置32が設置されている。
【0029】
圧延機においては、製品精度および操業効率の観点から#2スタンド出側板厚を一定値に維持するため、出側板厚計5で検出した板厚実績を用いて#1スタンド圧延機2の速度を操作する板厚制御52と、スタンド間張力計6で検出した張力実績を用いて#2スタンド圧延機3の作業ロール間隔を操作する張力制御51が設置されている。
【0030】
図4に、2スタンド連続圧延機の圧延現象概略を示す。各スタンド圧延現象は、ロールギャップ,ロール速度,入側板厚,入側張力,出側張力を入力とし、出側板厚,出側板速,入側板速を出力とする圧延現象モデルで表現できる。#1スタンド圧延機2と#2スタンド圧延機3間の張力は、#2スタンド入側板速と#1スタンド出側板速の差の時間積分により決定される。従って、#2スタンドのロールギャップを変更した場合、#2スタンド出側板厚,#2スタンド出側板速,#2スタンド入側板速が変動する。#2スタンド出側板速の変化は、#2スタンド出側張力変動を発生させるが、これについては、出側ブライドルロール速度を変化させることで抑制可能である。#2スタンド入側板速変動は、スタンド間張力変動を発生させる。つまり、#2スタンド圧延機3のロールギャップ変動は、#2スタンド圧延機の出側板厚を変動させるのみでなく、スタンド間張力変動も発生させることになる。同様にして、#1スタンド圧延機のロール速度を変化させると、#1スタンド出側板厚,#1スタンド出側板速,#1スタンド入側板速を変動させ、スタンド間張力変化を経て#2スタンド出側板厚変動を発生させる。#1スタンド入側板速変動は、#1スタンド入側張力変動となるが、これについては、入側ブライドルロール速度を変更することで抑制可能である。つまり、#1スタンドのロール速度は、スタンド間張力と#2スタンド出側板厚に影響し、#2スタンドのロールギャップは、スタンド間張力と#2スタンド出側板厚に影響する。
【0031】
入側板速および出側板速は、
入側板速=ロール速度×(1+後進率)
出側板速=ロール速度×(1+先進率)
であらわされる。#2スタンドのロールギャップを操作することで#2スタンド出側板厚および#2スタンド先進率、#2スタンドの後進率が変化し、スタンド間張力が変化する。また、スタンド間張力が変化することで、#2スタンドの先進率,出側板厚,後進率も変動する。また、スタンド間張力が変動することで、#1スタンド出側板厚および先進率,後進率も変動する。#1スタンド先進率変動は、#1スタンド出側板速変動となり、スタンド間張力が変動する。このように、圧延現象は、#1スタンドと#2スタンド間をスタンド間張力を介して影響しあう複雑な現象となる。
【0032】
そのため、影響係数の変化を数式で表現するのは困難である。ここでは、図4に示すような2スタンド圧延機の圧延現象をシミュレーションした結果で、影響係数の変化の傾向を示す。
【0033】
図5及び図6に、高速圧延時と極低速圧延時において、#2スタンドロールギャップと、#1スタンド速度を正弦波状に操作した場合の#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力の変動をシミュレーションした結果を示す。
【0034】
高速圧延時においては、#2スタンドロールギャップ、#1スタンド速度いずれを操作した場合においても、#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力が同じ位変動する。それに対して、極低速圧延時においては、#1スタンド速度操作時は、板厚と張力が同じ程度で変動するのに対して、#2スタンドロールギャップ操作時は、#2スタンド出側板厚変動に対して、スタンド間張力変動が小さい。
【0035】
この結果から、図7に示すように、高速圧延時においては、(張力/圧下)影響係数501,(張力/速度)影響係数502,(板厚/圧下)影響係数503,(板厚/速度)影響係数504のいずれも同等であるが、極低速部においては、(張力/圧下)影響係数501が、(板厚/圧下)影響係数503に比較して小さくなる。
【0036】
#2スタンド圧下を用いて#2スタンド出側板厚を制御する場合の制御構成を図3、制御ブロック図を図8に、#1スタンド速度を用いて#2スタンド出側板厚を制御する場合の制御構成を図2、制御ブロック図を図9に示す。AGCを#2スタンド圧下で実施する場合、ATRを#1スタンド速度を用いて実施する。またAGCを#1スタンド速度で実施する場合、ATRを#2スタンド圧下を用いて実施する構成となっている。
【0037】
図8に示すように、AGCを#2スタンドロールギャップを用いて行う場合、速度依存性を持つ(張力/圧下)影響係数501が、ロールギャップ操作による張力への影響項となる。圧下操作により張力が変化するがその影響度が速度に応じて変化し、低速部では小さくなる。そのため、板厚制御が#2スタンド圧下を操作した影響がスタンド間張力に出にくくなる。
【0038】
一方、図9に示すように、速度板厚制御を行う場合、速度依存性を持つ(張力/圧下)影響係数501が、#2スタンドロールギャップを操作するATRの閉ループ内にあるため、極低速時はATRが#2スタンドロールギャップを大きく操作する。#2スタンドロールギャップ変更により、#2スタンド出側板厚が変化する板厚/圧下)影響係数503は同じであるため、スタンド間張力変動を同じだけ修正する場合、高速時よりも極低速時のほうが大きな#2スタンドロールギャップ変更量を必要とし、#2スタンド出側板厚に大きな変動を与えることになる。
【0039】
#2スタンドロールギャップを操作すると、#2スタンド圧延荷重が変動するため、被圧延材の板幅方向の圧下率の違いによって発生する板幅方向の波打ちの度合いである形状が変化する。そのため、タンデム圧延機においては、#1スタンド速度を用いて、#2スタンド出側板厚を制御する板厚制御を用いている。#2スタンド速度を操作するAGCの制御構成で、極低速領域まで圧延操業を実施すると、(張力/圧下)影響係数501が小さくなるため、#2スタンドのロールギャップ変更量が大きくなり、圧延荷重変動も大きくなるため形状への影響も大きくなる。したがって、板厚制御の応答性のみでなく、#2スタンドのロールギャップ変更量の抑制という観点からも、極低速時に#1スタンド速度を操作端とするAGCを実施するのは適当でない。
【0040】
簡略化したモデルを用いてシミュレーションを実施した結果を以下にて示す。シミュレーション条件を以下に示す。
(1)通常圧延速度
図9にて、 501=1.0
502=0.5
503=0.5
504=1.0
とした場合。
(2)極低速圧延(#1スタンド速度操作AGCの場合)
図9にて、 501=0.1
502=0.5
503=0.5
504=1.0
とした場合。
(3)極低速圧延(#2スタンドロールギャップ操作AGCの場合)
図8にて、 501=0.05
502=1.0
503=1.0
504=0.5
とした場合。
(4)極低速圧延(#1スタンド速度操作AGCの場合)
図10にて、501=0.1
502=0.5
503=0.5
504=1.0
510=0.5
511=0.5
とした場合。
【0041】
図8および図9および図10の各影響係数部に適当な値を設定することで、極低速部における(張力/圧下)影響係数501が小さくなることをシミュレーションした。
【0042】
図11及び図12に、シミュレーション結果を示す。(1)の通常圧延速度においては、図9のAGCが#1スタンド速度を操作する場合についてシミュレーション実施したが、影響係数の設定が同じであるため、AGCが#1スタンド速度を操作する図8の場合も同様の結果となる。この場合、図8の制御構成でも図9の制御構成でも同じ結果となる。
【0043】
極低速圧延時においては、(2)の#1スタンド速度をAGCが操作する場合においては、#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力が振動している。従って、図9の制御構成では安定に制御できないことがわかる。一方(3)の#2スタンド圧下をAGCが操作する場合においては、(1)と同様のAGC応答を得ることができる。
【0044】
本例のように、クロス項(図9における(張力/速度)影響係数502,(板厚/圧下)影響係数503)が存在する場合には、影響を予測して予め補正を加える非干渉制御が一般に用いられる。図9において、非干渉制御を適用した場合を図10に示す。図10においては、(張力/速度)影響係数502による#1スタンド速度変更によるスタンド間張力への影響を、非干渉制御ゲイン511の非干渉制御を入れることで防止する。同様に、(板厚/圧下)影響係数503による#2スタンドロールギャップ操作による#2スタンド出側板厚への影響を、非干渉制御ゲイン510の非干渉制御を入れることで防止する。非干渉制御適用時のシミュレーション結果を図12(4)に示す。AGCの制御応答は、図11(1)の高速圧延部と同等であるが、張力制御出力が大きくなっており、#2スタンドロールギャップを大きく操作するため、#2スタンド出側板形状に影響を与える可能性大である。
【0045】
以上より、圧延速度により(張力/圧下)影響係数501が大きく変化する場合においては、極低速時は#2スタンドロールギャップを操作するAGCを使用することで制御応答を確保し、かつ制御出力量を最小限に抑制することが可能であることが確認できる。#1スタンド速度を操作する板厚制御の場合、張力制御操作端が#2スタンドロールギャップであることから被圧延材の形状への影響が大きくなる。
【0046】
図1に、本実施例の圧延制御方法を示す。板厚制御(AGC)7と張力制御(ATR)8は、それぞれ#1スタンド速度、#2スタンド圧下に対する制御出力が可能な状態とし、制御操作端選択装置9にて、圧延実績から板厚制御7と張力制御8の制御操作端を決定して、決定された制御操作端を用いて板厚制御および張力制御を実施する。
【0047】
図13に制御操作端選択装置9の動作を示す。制御操作端選択装置9においては、板厚制御(AGC)および張力制御(ATR)の制御操作端を決定する。ここでは、基本的には#1スタンド速度を操作するAGCを利用し(張力/圧下)影響係数501が、基準となる高速圧延部(例えば600mpm)での影響係数の1/5となったら#2スタンドロールギャップを操作するAGCに切替えることを考える。圧延シミュレータ901を用いて、図5に示したように、圧延速度を変化させて#1スタンド速度および#2スタンド圧下を正弦波状に操作するシミュレーションを実施し、シミュレーション結果の#2スタンド出側板厚変動およびスタンド間張力変動を記録する。圧延モデル901にて必要となる摩擦係数、変形抵抗は圧延実績から推定する必要が有る。それを実施するのが変形抵抗、摩擦係数学習装置902である。推定した摩擦係数,変形抵抗は、製品仕様毎にデータベース10に格納される。製品仕様より変形抵抗,摩擦係数設定装置903は、データベース10を検索して、該当する変形抵抗,摩擦係数を圧延シミュレータ901に入力する。圧延シミュレー901においては、被圧延材の板厚,張力等の圧延実績を用いて圧延シミュレータ内のパラメータを補正することで実圧延と圧延シミュレータを可能な限り一致させる。例えば、圧延荷重の計算値を実績に合わせるように補正係数=(圧延荷重実績/圧延荷重計算値)を設定する等のことを行う。このパラメータの補正は必ずしも行う必要はなく、圧延シミュレータ901内で圧延現象の演算に用いているモデル(圧延現象のモデルとしては、HILLの式等が一般に知られている)をそのまま用いて演算してもよい。圧延実績から、圧延速度を設定して圧延シミュレータ901にて、#2スタンドロールギャップおよび#1スタンド速度を予め定めた一定量(ロールギャップであれば10μm、速度であれば0.1mpm等)を一定周波数(例えば1Hz)で正弦波状に操作して、#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力変動の振幅を求める。振幅は、#2スタンドロールギャップまたは#1スタンド速度の操作の1周期内での最大最小値の差をとることで求めることができる。図14にその一例を示すが、#2スタンドロールギャップを操作した場合は、ロールギャップ振幅921,#2スタンド出側板厚振幅922,スタンド間張力振幅923が求まる。圧延シミュレータ901は、この各振幅を影響係数演算装置904に出力する。影響係数演算装置904においては、入力された振幅から影響係数を求める。例えば、
(張力/圧下)影響係数501=
スタンド間張力振幅923/ロールギャップ振幅921
(板厚/圧下)影響係数503=
#2スタンド出側板厚振幅922/ロールギャップ振幅921
のように演算する。この結果得られた各影響係数を、影響係数判定装置905に出力する。影響係数判定装置905においては、高速部における影響係数と、演算された影響係数を比較して1/5以下となっている場合は、#2スタンドロールギャップを操作する圧下板厚制御を選択して、制御操作端ゲイン設定装置906に設定する。制御操作端ゲイン設定装置906におては、圧下板厚制御を選択された場合は、板厚制御圧下ゲイン602=1.0とし、板厚制御速度ゲイン601=0.0、張力制御速度ゲイン701=1.0、張力制御圧下ゲイン702=0.0として、板厚制御7および張力制御8に設定する。なお、圧下板厚制御が選択されない場合は、板厚制御圧下ゲイン602=0.0とし、板厚制御速度ゲイン601=1.0,張力制御速度ゲイン701=0.0,張力制御圧下ゲイン702=1.0として、板厚制御7および張力制御8に設定する。
【0048】
板厚制御7においては、出側板厚計6より板厚実績を受け取り、板厚設定値との差をとることで板厚偏差とし、(板厚/速度)影響係数504の逆数603および(板厚/圧下)影響係数503の逆数604をかけ、さらに板厚制御速度ゲイン601,板厚制御圧下ゲイン602を掛けて積分することで速度または圧下への制御出力を作成する。張力制御8においても同様に、スタンド間張力計5より張力実績を受け取り、張力設定値との差をとることで張力偏差とし、(張力/速度)影響係数502の逆数703および(張力/圧下)影響係数501の逆数704をかけ、さらに張力制御速度ゲイン701,張力制御圧下ゲイン702を掛けて積分することで速度または圧下への制御出力を作成する。ここで、板厚設定値,張力設定値は、予め製品仕様に応じて決定される値である。
【0049】
以上により、圧延状態に応じた制御操作端から制御状態量への影響係数の変化に応じて各制御における制御操作端を切替えることが可能となる。
【実施例2】
【0050】
実施例1においては、板厚制御の制御操作端として#2スタンドロールギャップまたは#1スタンド速度と完全に切替えたが、影響係数に応じて圧下と速度を併用して制御出力端とすることも可能である。例えば、(張力/圧下)影響係数501に応じて、図16に示すように制御操作端ゲインを変更する。
【実施例3】
【0051】
実施例1および2においては、2スタンド圧延機について説明したが、3以上の圧延機スタンドを持つタンデム圧延機についても同様に影響係数に応じて、制御操作端を変更することで、高速圧延時から極低速圧延時まで板厚制御、張力制御の応答を最適な状態とすることが可能である。
【0052】
本発明は、スタンドの基数はいくつでも良く、2基以上の圧延機スタンドを持つタンデム圧延機に適用でき、また、タンデム圧延機以外の例えばステッケル圧延機にも適用可能である。なお、本実施例では、板厚及び張力の制御に適用した例を説明したが、圧延における他の制御に適用できるのはもちろんである。また、操作端として、速度及びロールギャップを用いた例を説明したが、他の操作端に適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0053】
1 入側ブライドルロール
2 ♯1スタンド圧延機
3 ♯2スタンド圧延機
4 出側ブライドルロール
7 板厚制御
8 張力制御
9 制御操作端選択装置
10 データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延制御装置及び圧延制御方法に関し、特に、圧延状態が大きく変化するときにも圧延精度の維持に好適な圧延制御装置及び圧延制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延装置は作業ロールにより被圧延材に荷重を加えることにより、被圧延材の加工に係る観測値が目標値となるように加工するものである。例えば、被圧延材を所望の板厚にするため、圧延操業中は、製品品質に影響する圧延機の出側板厚を一定に保ついわゆる板厚制御(AGC)が行われている。一方、製品品質の維持と共に操業の安定性を確保するために、圧延機前後で被圧延材にかかる張力を一定に保ついわゆる張力制御(ATR)が行われている。このような技術は例えば特開2011−16164号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−16164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧延制御では、複数の制御項目が存在し、また、この複数の制御項目の観測値を目標値となるように制御するために、複数の制御端から選択可能である。すなわち、選択可能な制御端のうちから、制御項目の各々に対する制御端を選択して、選択した制御端を制御することで、各々の制御項目の観測値が目標値となるように制御するのである。
【0005】
ここで、タンデム圧延機を例にとると、上記で例に挙げた被圧延材を所望の板厚にするためには、制御端として、上流側圧延機スタンドのロール速度を制御することが知られている。また、張力を一定に保つためには、制御端として、下流側スタンドのロールギャップを操作することで実施することが知られている。この場合には、圧延現象として、ロール速度の操作により出側板厚および張力が変化し、ロールギャップの操作によっても出側板厚および張力が変化する。
【0006】
このように、圧延制御では、複数の制御項目が存在し、また、複数の制御端が存在するのであるが、互いに影響されるのである。
【0007】
さらにロールギャップ操作による張力への影響を例にとって説明すると、張力は、圧延速度にほぼ比例するため、非常に圧延速度が小さい場合においては、大きく低下する。特に圧延操業を、圧延機において圧延操業を、従来と比べて10分の1程度である1〜5mpm程度の極低速領域で実施しようとすると、ロールギャップから張力への影響係数が低下する結果、ATRでロールギャップを操作し、AGCでロール速度を操作する制御構成では、制御的に不安定となり、板厚制御が発振したり、過制御となる場合が発生する。つまり、1本の同じ被圧延材の圧延操業中においても、極低速から通常圧延速度(例えば600mpm)まで圧延操業を実施する場合、ロール速度から出側板厚または張力、ロールギャップから出側板厚または張力への影響の度合い(影響係数)が変化する。
【0008】
このように、圧延制御では、複数の制御項目が存在し、また、複数の制御端が存在するのであるが、圧延状態によって、制御対象への影響の度合い(影響係数)が変化する。そのため、制御が不安になるという問題が生じていた。
【0009】
本発明の目的は、制御の不安定性を克服し、さらには、製品品質の向上が可能な圧延制御装置及び圧延制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る所定の変化量が目標値となるよう所定の操作端に指令値を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態に応じて、前記所定の指令値の少なくとも一部部分に相当する指令値分を他の操作端への指令として振り分けるように構成した。
【0011】
あるいは、作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1の操作端に指令値を供給する第1の制御部と、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるよう第2の操作端に指令値を供給する第2の制御部を有し、前記第1の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第1の操作端から前記第2の操作端に変更して供給し、前記第2の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第2の操作端から前記第1の操作端に変更して供給するように構成する。
【0012】
あるいは、作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第2のゲインで第2の操作端に指令を供給し、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるように第3のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第4のゲインで第2の操作端に指令を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態が所定になった場合に、前記第1から第4のゲインを補正するように構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御の不安定性を克服し、さらには、製品品質の向上が可能となる。
【0014】
具体的に板厚制御及び張力制御に適用した場合には、本発明を適用することで、高速から極低速まで圧延速度を変化させる圧延操業を実施する場合においても、常に板厚制御および張力制御の応答を最適な状態に保つことができ、製品品質および操業効率を向上することが可能となる。また制御操作端の余分な動作を不要とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の圧延制御方法。
【図2】圧延制御方法(参考例)。
【図3】圧延制御方法(参考例)。
【図4】2スタンド圧延機の圧延現象。
【図5】影響係数の速度依存性。
【図6】影響係数の速度依存性。
【図7】影響係数の速度依存性。
【図8】圧下板厚制御の場合の制御構成。
【図9】速度板厚制御の場合の制御構成。
【図10】速度板厚制御+非干渉制御の場合の制御構成。
【図11】シミュレーション結果。
【図12】シミュレーション結果。
【図13】制御操作端選択装置。
【図14】影響係数の求め方。
【図15】板厚制御,張力制御の動作概要。
【図16】実施例−2。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態の基本的な考え方を説明し、その後に具体的な例を説明する。
【0017】
なお、制御操作端操作時の制御状態量の変化量を影響係数と呼ぶ。例えば、実施例の図1において示すような2スタンド圧延機を考えた場合、#2スタンドロールギャップを単位量(例えば1mm)変化させた場合の#2スタンド出側板厚の変化量(mm単位)を、#2スタンドロールギャップから#2スタンド出側板厚への影響係数とし、図8及び図9を参照し、
(板厚/圧下)影響係数501
=#2スタンド出側板厚の変化量/#2スタンドロールギャップ変化量
で定義する。
【0018】
#2スタンドロールギャップからスタンド間張力への影響係数
(張力/圧下)影響係数503
=スタンド間張力の変化量/#2スタンドロールギャップ変化量
は、圧延速度にほぼ比例するため、非常に圧延速度が小さい場合においては、大きく低下する。そのため、AGCは上流側圧延機スタンドの#1スタンドロール速度を、ATRは下流側スタンドの#2スタンドロールギャップを操作することによっては、安定にAGC,ATRを実施することが困難となり、AGCにて#2スタンドロールギャップを、ATRで#1スタンドロール速度を操作することが必要となる。
【0019】
なお、影響係数としては、
(張力/速度)影響係数502
=スタンド間張力の変化量/#2スタンドロール速度変化量
(板厚/速度)影響係数504
=#2スタンド出側板厚の変化量/#2スタンドロール速度変化量
も考慮する必要がある。
【0020】
圧延機において圧延操業を、従来と比べて10分の1程度である1〜5mpm程度の極低速領域で実施しようとすると、ロールギャップから張力への影響係数が小さくなる結果、ATRでロールギャップを操作し、AGCでロール速度を操作する制御構成では、制御的に不安定となり、板厚制御が発振したり、過制御となる場合が発生する。
【0021】
つまり、1本の同じ被圧延材の圧延操業中においても、極低速から通常圧延速度(例えば600mpm)まで圧延操業を実施する場合、ロールギャップから張力への影響係数のみが大きく変化し、安定にAGCおよびATRを実施することが困難となる。
【0022】
そこで圧延中、圧延速度の変化によるロールギャップから出側板厚、ロールギャップから張力、ロール速度から出側板厚またはロール速度から張力への影響係数(操作端を単位量操作時の状態量変化量)を監視し、影響係数の状態により最適な制御(AGC,ATR)と制御操作端(ロールギャップ,ロール速度)の組合せで、AGCおよびATRを実施する。
【0023】
例えば、通常圧延速度においては、AGCはロール速度、ATRはロールギャップを操作する場合においても、ごく低速圧延時は、ロールギャップから張力への影響係数が小さくなるため、AGCはロールギャップ、ATRはロール速度を操作するように変更する。
【0024】
このように、高速から極低速まで圧延速度を変化させる圧延操業を実施する場合においても、常に板厚制御および張力制御の応答を最適な状態に保つことができ、製品品質および操業効率を向上することが可能となる。
【0025】
また、制御状態量に対する影響係数の小さい制御操作端を用いて制御することによる制御出力増大を抑制できるため、制御操作端の余分な動作を不要とすることが可能となる。
【0026】
以下に、具体的な例を説明する。
【実施例1】
【0027】
2スタンド連続圧延機のAGC,ATRに本制御を適用する場合について以下説明する。
【0028】
図2及び図3に示すように、2スタンド連続圧延機においては、#1スタンド圧延機2,#2スタンド圧延機3の圧延機2台の他、#1スタンド圧延機入側に入側ブライドルロール1、#2スタンド出側に出側ブライドルロール4が設置されている。コイル状に巻かれた被圧延材は、入側設備で巻き出されて、入側ブライドルロール1を経て圧延機に送り込まれ、#1スタンド圧延機2,#2スタンド圧延機3で所定の板厚まで圧延された後、出側ブライドルロール4を経由して出側設備でコイル状に巻き取られる。入側ブライドルロール1,#1スタンド圧延機2,#2スタンド圧延機3および出側ブライドルロール4は、それぞれ入側ブライドルロール駆動装置11,#1スタンド圧延機駆動装置21,#2スタンド圧延機駆動装置31および出側ブライドルロール駆動装置41により駆動される。また、#1スタンド圧延機2および#2スタンド圧延機3には、各圧延機スタンドの作業ロール間隔を操作するための#1スタンド圧下制御装置22および#2スタンド圧下制御装置32が設置されている。
【0029】
圧延機においては、製品精度および操業効率の観点から#2スタンド出側板厚を一定値に維持するため、出側板厚計5で検出した板厚実績を用いて#1スタンド圧延機2の速度を操作する板厚制御52と、スタンド間張力計6で検出した張力実績を用いて#2スタンド圧延機3の作業ロール間隔を操作する張力制御51が設置されている。
【0030】
図4に、2スタンド連続圧延機の圧延現象概略を示す。各スタンド圧延現象は、ロールギャップ,ロール速度,入側板厚,入側張力,出側張力を入力とし、出側板厚,出側板速,入側板速を出力とする圧延現象モデルで表現できる。#1スタンド圧延機2と#2スタンド圧延機3間の張力は、#2スタンド入側板速と#1スタンド出側板速の差の時間積分により決定される。従って、#2スタンドのロールギャップを変更した場合、#2スタンド出側板厚,#2スタンド出側板速,#2スタンド入側板速が変動する。#2スタンド出側板速の変化は、#2スタンド出側張力変動を発生させるが、これについては、出側ブライドルロール速度を変化させることで抑制可能である。#2スタンド入側板速変動は、スタンド間張力変動を発生させる。つまり、#2スタンド圧延機3のロールギャップ変動は、#2スタンド圧延機の出側板厚を変動させるのみでなく、スタンド間張力変動も発生させることになる。同様にして、#1スタンド圧延機のロール速度を変化させると、#1スタンド出側板厚,#1スタンド出側板速,#1スタンド入側板速を変動させ、スタンド間張力変化を経て#2スタンド出側板厚変動を発生させる。#1スタンド入側板速変動は、#1スタンド入側張力変動となるが、これについては、入側ブライドルロール速度を変更することで抑制可能である。つまり、#1スタンドのロール速度は、スタンド間張力と#2スタンド出側板厚に影響し、#2スタンドのロールギャップは、スタンド間張力と#2スタンド出側板厚に影響する。
【0031】
入側板速および出側板速は、
入側板速=ロール速度×(1+後進率)
出側板速=ロール速度×(1+先進率)
であらわされる。#2スタンドのロールギャップを操作することで#2スタンド出側板厚および#2スタンド先進率、#2スタンドの後進率が変化し、スタンド間張力が変化する。また、スタンド間張力が変化することで、#2スタンドの先進率,出側板厚,後進率も変動する。また、スタンド間張力が変動することで、#1スタンド出側板厚および先進率,後進率も変動する。#1スタンド先進率変動は、#1スタンド出側板速変動となり、スタンド間張力が変動する。このように、圧延現象は、#1スタンドと#2スタンド間をスタンド間張力を介して影響しあう複雑な現象となる。
【0032】
そのため、影響係数の変化を数式で表現するのは困難である。ここでは、図4に示すような2スタンド圧延機の圧延現象をシミュレーションした結果で、影響係数の変化の傾向を示す。
【0033】
図5及び図6に、高速圧延時と極低速圧延時において、#2スタンドロールギャップと、#1スタンド速度を正弦波状に操作した場合の#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力の変動をシミュレーションした結果を示す。
【0034】
高速圧延時においては、#2スタンドロールギャップ、#1スタンド速度いずれを操作した場合においても、#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力が同じ位変動する。それに対して、極低速圧延時においては、#1スタンド速度操作時は、板厚と張力が同じ程度で変動するのに対して、#2スタンドロールギャップ操作時は、#2スタンド出側板厚変動に対して、スタンド間張力変動が小さい。
【0035】
この結果から、図7に示すように、高速圧延時においては、(張力/圧下)影響係数501,(張力/速度)影響係数502,(板厚/圧下)影響係数503,(板厚/速度)影響係数504のいずれも同等であるが、極低速部においては、(張力/圧下)影響係数501が、(板厚/圧下)影響係数503に比較して小さくなる。
【0036】
#2スタンド圧下を用いて#2スタンド出側板厚を制御する場合の制御構成を図3、制御ブロック図を図8に、#1スタンド速度を用いて#2スタンド出側板厚を制御する場合の制御構成を図2、制御ブロック図を図9に示す。AGCを#2スタンド圧下で実施する場合、ATRを#1スタンド速度を用いて実施する。またAGCを#1スタンド速度で実施する場合、ATRを#2スタンド圧下を用いて実施する構成となっている。
【0037】
図8に示すように、AGCを#2スタンドロールギャップを用いて行う場合、速度依存性を持つ(張力/圧下)影響係数501が、ロールギャップ操作による張力への影響項となる。圧下操作により張力が変化するがその影響度が速度に応じて変化し、低速部では小さくなる。そのため、板厚制御が#2スタンド圧下を操作した影響がスタンド間張力に出にくくなる。
【0038】
一方、図9に示すように、速度板厚制御を行う場合、速度依存性を持つ(張力/圧下)影響係数501が、#2スタンドロールギャップを操作するATRの閉ループ内にあるため、極低速時はATRが#2スタンドロールギャップを大きく操作する。#2スタンドロールギャップ変更により、#2スタンド出側板厚が変化する板厚/圧下)影響係数503は同じであるため、スタンド間張力変動を同じだけ修正する場合、高速時よりも極低速時のほうが大きな#2スタンドロールギャップ変更量を必要とし、#2スタンド出側板厚に大きな変動を与えることになる。
【0039】
#2スタンドロールギャップを操作すると、#2スタンド圧延荷重が変動するため、被圧延材の板幅方向の圧下率の違いによって発生する板幅方向の波打ちの度合いである形状が変化する。そのため、タンデム圧延機においては、#1スタンド速度を用いて、#2スタンド出側板厚を制御する板厚制御を用いている。#2スタンド速度を操作するAGCの制御構成で、極低速領域まで圧延操業を実施すると、(張力/圧下)影響係数501が小さくなるため、#2スタンドのロールギャップ変更量が大きくなり、圧延荷重変動も大きくなるため形状への影響も大きくなる。したがって、板厚制御の応答性のみでなく、#2スタンドのロールギャップ変更量の抑制という観点からも、極低速時に#1スタンド速度を操作端とするAGCを実施するのは適当でない。
【0040】
簡略化したモデルを用いてシミュレーションを実施した結果を以下にて示す。シミュレーション条件を以下に示す。
(1)通常圧延速度
図9にて、 501=1.0
502=0.5
503=0.5
504=1.0
とした場合。
(2)極低速圧延(#1スタンド速度操作AGCの場合)
図9にて、 501=0.1
502=0.5
503=0.5
504=1.0
とした場合。
(3)極低速圧延(#2スタンドロールギャップ操作AGCの場合)
図8にて、 501=0.05
502=1.0
503=1.0
504=0.5
とした場合。
(4)極低速圧延(#1スタンド速度操作AGCの場合)
図10にて、501=0.1
502=0.5
503=0.5
504=1.0
510=0.5
511=0.5
とした場合。
【0041】
図8および図9および図10の各影響係数部に適当な値を設定することで、極低速部における(張力/圧下)影響係数501が小さくなることをシミュレーションした。
【0042】
図11及び図12に、シミュレーション結果を示す。(1)の通常圧延速度においては、図9のAGCが#1スタンド速度を操作する場合についてシミュレーション実施したが、影響係数の設定が同じであるため、AGCが#1スタンド速度を操作する図8の場合も同様の結果となる。この場合、図8の制御構成でも図9の制御構成でも同じ結果となる。
【0043】
極低速圧延時においては、(2)の#1スタンド速度をAGCが操作する場合においては、#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力が振動している。従って、図9の制御構成では安定に制御できないことがわかる。一方(3)の#2スタンド圧下をAGCが操作する場合においては、(1)と同様のAGC応答を得ることができる。
【0044】
本例のように、クロス項(図9における(張力/速度)影響係数502,(板厚/圧下)影響係数503)が存在する場合には、影響を予測して予め補正を加える非干渉制御が一般に用いられる。図9において、非干渉制御を適用した場合を図10に示す。図10においては、(張力/速度)影響係数502による#1スタンド速度変更によるスタンド間張力への影響を、非干渉制御ゲイン511の非干渉制御を入れることで防止する。同様に、(板厚/圧下)影響係数503による#2スタンドロールギャップ操作による#2スタンド出側板厚への影響を、非干渉制御ゲイン510の非干渉制御を入れることで防止する。非干渉制御適用時のシミュレーション結果を図12(4)に示す。AGCの制御応答は、図11(1)の高速圧延部と同等であるが、張力制御出力が大きくなっており、#2スタンドロールギャップを大きく操作するため、#2スタンド出側板形状に影響を与える可能性大である。
【0045】
以上より、圧延速度により(張力/圧下)影響係数501が大きく変化する場合においては、極低速時は#2スタンドロールギャップを操作するAGCを使用することで制御応答を確保し、かつ制御出力量を最小限に抑制することが可能であることが確認できる。#1スタンド速度を操作する板厚制御の場合、張力制御操作端が#2スタンドロールギャップであることから被圧延材の形状への影響が大きくなる。
【0046】
図1に、本実施例の圧延制御方法を示す。板厚制御(AGC)7と張力制御(ATR)8は、それぞれ#1スタンド速度、#2スタンド圧下に対する制御出力が可能な状態とし、制御操作端選択装置9にて、圧延実績から板厚制御7と張力制御8の制御操作端を決定して、決定された制御操作端を用いて板厚制御および張力制御を実施する。
【0047】
図13に制御操作端選択装置9の動作を示す。制御操作端選択装置9においては、板厚制御(AGC)および張力制御(ATR)の制御操作端を決定する。ここでは、基本的には#1スタンド速度を操作するAGCを利用し(張力/圧下)影響係数501が、基準となる高速圧延部(例えば600mpm)での影響係数の1/5となったら#2スタンドロールギャップを操作するAGCに切替えることを考える。圧延シミュレータ901を用いて、図5に示したように、圧延速度を変化させて#1スタンド速度および#2スタンド圧下を正弦波状に操作するシミュレーションを実施し、シミュレーション結果の#2スタンド出側板厚変動およびスタンド間張力変動を記録する。圧延モデル901にて必要となる摩擦係数、変形抵抗は圧延実績から推定する必要が有る。それを実施するのが変形抵抗、摩擦係数学習装置902である。推定した摩擦係数,変形抵抗は、製品仕様毎にデータベース10に格納される。製品仕様より変形抵抗,摩擦係数設定装置903は、データベース10を検索して、該当する変形抵抗,摩擦係数を圧延シミュレータ901に入力する。圧延シミュレー901においては、被圧延材の板厚,張力等の圧延実績を用いて圧延シミュレータ内のパラメータを補正することで実圧延と圧延シミュレータを可能な限り一致させる。例えば、圧延荷重の計算値を実績に合わせるように補正係数=(圧延荷重実績/圧延荷重計算値)を設定する等のことを行う。このパラメータの補正は必ずしも行う必要はなく、圧延シミュレータ901内で圧延現象の演算に用いているモデル(圧延現象のモデルとしては、HILLの式等が一般に知られている)をそのまま用いて演算してもよい。圧延実績から、圧延速度を設定して圧延シミュレータ901にて、#2スタンドロールギャップおよび#1スタンド速度を予め定めた一定量(ロールギャップであれば10μm、速度であれば0.1mpm等)を一定周波数(例えば1Hz)で正弦波状に操作して、#2スタンド出側板厚およびスタンド間張力変動の振幅を求める。振幅は、#2スタンドロールギャップまたは#1スタンド速度の操作の1周期内での最大最小値の差をとることで求めることができる。図14にその一例を示すが、#2スタンドロールギャップを操作した場合は、ロールギャップ振幅921,#2スタンド出側板厚振幅922,スタンド間張力振幅923が求まる。圧延シミュレータ901は、この各振幅を影響係数演算装置904に出力する。影響係数演算装置904においては、入力された振幅から影響係数を求める。例えば、
(張力/圧下)影響係数501=
スタンド間張力振幅923/ロールギャップ振幅921
(板厚/圧下)影響係数503=
#2スタンド出側板厚振幅922/ロールギャップ振幅921
のように演算する。この結果得られた各影響係数を、影響係数判定装置905に出力する。影響係数判定装置905においては、高速部における影響係数と、演算された影響係数を比較して1/5以下となっている場合は、#2スタンドロールギャップを操作する圧下板厚制御を選択して、制御操作端ゲイン設定装置906に設定する。制御操作端ゲイン設定装置906におては、圧下板厚制御を選択された場合は、板厚制御圧下ゲイン602=1.0とし、板厚制御速度ゲイン601=0.0、張力制御速度ゲイン701=1.0、張力制御圧下ゲイン702=0.0として、板厚制御7および張力制御8に設定する。なお、圧下板厚制御が選択されない場合は、板厚制御圧下ゲイン602=0.0とし、板厚制御速度ゲイン601=1.0,張力制御速度ゲイン701=0.0,張力制御圧下ゲイン702=1.0として、板厚制御7および張力制御8に設定する。
【0048】
板厚制御7においては、出側板厚計6より板厚実績を受け取り、板厚設定値との差をとることで板厚偏差とし、(板厚/速度)影響係数504の逆数603および(板厚/圧下)影響係数503の逆数604をかけ、さらに板厚制御速度ゲイン601,板厚制御圧下ゲイン602を掛けて積分することで速度または圧下への制御出力を作成する。張力制御8においても同様に、スタンド間張力計5より張力実績を受け取り、張力設定値との差をとることで張力偏差とし、(張力/速度)影響係数502の逆数703および(張力/圧下)影響係数501の逆数704をかけ、さらに張力制御速度ゲイン701,張力制御圧下ゲイン702を掛けて積分することで速度または圧下への制御出力を作成する。ここで、板厚設定値,張力設定値は、予め製品仕様に応じて決定される値である。
【0049】
以上により、圧延状態に応じた制御操作端から制御状態量への影響係数の変化に応じて各制御における制御操作端を切替えることが可能となる。
【実施例2】
【0050】
実施例1においては、板厚制御の制御操作端として#2スタンドロールギャップまたは#1スタンド速度と完全に切替えたが、影響係数に応じて圧下と速度を併用して制御出力端とすることも可能である。例えば、(張力/圧下)影響係数501に応じて、図16に示すように制御操作端ゲインを変更する。
【実施例3】
【0051】
実施例1および2においては、2スタンド圧延機について説明したが、3以上の圧延機スタンドを持つタンデム圧延機についても同様に影響係数に応じて、制御操作端を変更することで、高速圧延時から極低速圧延時まで板厚制御、張力制御の応答を最適な状態とすることが可能である。
【0052】
本発明は、スタンドの基数はいくつでも良く、2基以上の圧延機スタンドを持つタンデム圧延機に適用でき、また、タンデム圧延機以外の例えばステッケル圧延機にも適用可能である。なお、本実施例では、板厚及び張力の制御に適用した例を説明したが、圧延における他の制御に適用できるのはもちろんである。また、操作端として、速度及びロールギャップを用いた例を説明したが、他の操作端に適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0053】
1 入側ブライドルロール
2 ♯1スタンド圧延機
3 ♯2スタンド圧延機
4 出側ブライドルロール
7 板厚制御
8 張力制御
9 制御操作端選択装置
10 データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る所定の観測値が目標値となるよう所定の操作端に指令値を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態に応じて、前記所定の操作端に対する指令値の少なくとも一部分に相当する指令値分を他の操作端への指令として振り分けることを特徴とする圧延制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記操作端は、前記作業ロール間の間隔であるロールギャップを制御するものと、前記作業ロール速度を制御するもののいずれかであることを特徴とする圧延制御装置。
【請求項3】
請求項2において、前記圧延状態は圧延速度であり、前記圧延速度が所定の値になった場合に、前記ロールギャップを制御する操作端と、前記作業ロール速度を制御する操作端の一方に対する指令値の少なくとも一部分に相当する指令値分を他方の指令として供給することを特徴とする圧延制御装置。
【請求項4】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1の操作端に指令値を供給する第1の制御部と、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるよう第2の操作端に指令値を供給する第2の制御部を有し、前記第1の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第1の操作端から前記第2の操作端に変更して供給し、前記第2の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第2の操作端から前記第1の操作端に変更して供給することを特徴とする圧延制御装置。
【請求項5】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第2のゲインで第2の操作端に指令を供給し、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるように第3のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第4のゲインで第2の操作端に指令を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態が所定になった場合に、前記第1から第4のゲインを補正することを特徴とする圧延制御装置。
【請求項6】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御方法において、前記圧延に係る所定の観測値が目標値となるよう所定の制御操作端に指令値を供給し、圧延状態に応じて、前記所定の制御操作端に対する指令値の少なくとも一部分に相当する指令値分を他の操作端への指令として振り分ける圧延制御方法。
【請求項1】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る所定の観測値が目標値となるよう所定の操作端に指令値を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態に応じて、前記所定の操作端に対する指令値の少なくとも一部分に相当する指令値分を他の操作端への指令として振り分けることを特徴とする圧延制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記操作端は、前記作業ロール間の間隔であるロールギャップを制御するものと、前記作業ロール速度を制御するもののいずれかであることを特徴とする圧延制御装置。
【請求項3】
請求項2において、前記圧延状態は圧延速度であり、前記圧延速度が所定の値になった場合に、前記ロールギャップを制御する操作端と、前記作業ロール速度を制御する操作端の一方に対する指令値の少なくとも一部分に相当する指令値分を他方の指令として供給することを特徴とする圧延制御装置。
【請求項4】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1の操作端に指令値を供給する第1の制御部と、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるよう第2の操作端に指令値を供給する第2の制御部を有し、前記第1の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第1の操作端から前記第2の操作端に変更して供給し、前記第2の制御部は、圧延状態が所定になった場合に、指令値を前記第2の操作端から前記第1の操作端に変更して供給することを特徴とする圧延制御装置。
【請求項5】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御装置において、前記圧延に係る第1の観測値が目標値となるよう第1のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第2のゲインで第2の操作端に指令を供給し、前記圧延に係る第2の観測値が目標値となるように第3のゲインで第1の操作端に指令を供給し、第4のゲインで第2の操作端に指令を供給する制御部を有し、前記制御部は、圧延状態が所定になった場合に、前記第1から第4のゲインを補正することを特徴とする圧延制御装置。
【請求項6】
作業ロールで被圧延材を圧延する圧延機を制御する圧延制御方法において、前記圧延に係る所定の観測値が目標値となるよう所定の制御操作端に指令値を供給し、圧延状態に応じて、前記所定の制御操作端に対する指令値の少なくとも一部分に相当する指令値分を他の操作端への指令として振り分ける圧延制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−176428(P2012−176428A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41113(P2011−41113)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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