説明

圧着機

【課題】安定的な圧着を長期的に保障し機械的性能及び電気的性能の向上を図ることができる圧着機を提供する。
【解決手段】圧着機10は、電線60が載置される基板部53及び基板部53の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片51を有する端子金具50を電線60に圧着するものであって、端子金具50の基板部53が載置されるアンビル20と、アンビル20との間で端子金具50を加圧して端子金具50の一対の圧着片51を電線60に加締めるクリンパ19と、を備え、クリンパ19における端子金具50の圧着片51を加締める加締部32が、鏡面仕上げ39を施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧着機の一例として、図9に示すように、クリンパ101の上歯型102に、頂点を含む垂直な仮想直線Aの左右に、半径R1の円弧部103と、半径R2の円弧部104とを形成し、電線105が載置された端子金具106の一対の圧着片107をアンビル108とで加締めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭61−48681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1では、クリンパ101の形状を変更することで性能の向上を図ろうとしているが、加締め時に圧着片107が突き当たるクリンパ101は、表面が摩耗し易く、良好な表面を長期的に維持することが難く、クリンパ101の摩耗によって安定した圧着を行えなくなった場合に、機械的性能や電気的性能に支障を生じる虞がある。なお、図10は、図9における未使用のクリンパ101のB矢視図(標準仕上げ)であり、図11は図10における円弧部104(加締部)の拡大表面図である。未使用状態でも表面上に凹凸が確認できる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安定的な圧着を長期的に保障し機械的性能及び電気的性能の向上を図ることができる圧着機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1)本発明に係る圧着機は、電線が載置される基板部及び当該基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機であって、前記端子金具の基板部が載置されるアンビルと、当該アンビルとの間で当該端子金具を加圧して前記端子金具の一対の圧着片を前記電線に加締めるクリンパと、を備え、前記クリンパにおける前記端子金具の前記圧着片を加締める加締部が、鏡面仕上げを施されていることを特徴としている。
【0007】
上記1)に記載の発明によれば、端子金具の基板部が載置されたアンビルに対してクリンパが昇降されることで、クリンパの加締部が端子金具の一対の圧着片に衝突して圧着片を塑性変形させる。このとき、端子金具の一対の圧着片に衝突するクリンパの加締部に鏡面仕上げが施されているため、加締部と圧着片との摩擦が小さくなっているので、圧着片を加締部によって安定的に圧着することができ、機械的性能や電気的性能の向上を図ることができる。
【0008】
2)また、本発明に係る圧着機は、電線が載置される基板部及び当該基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機であって、 前記端子金具の基板部が載置されるアンビルと、当該アンビルとの間で当該端子金具を加圧して前記端子金具の一対の圧着片を前記電線に加締めるクリンパと、を備え、前記クリンパにおける前記端子金具の前記圧着片を加締める加締部が、ハードクロムメッキ処理を施されていることを特徴としている。
【0009】
上記2)に記載の発明によれば、端子金具の基板部が載置されたアンビルに対してクリンパが昇降されることで、クリンパの加締部が端子金具の一対の圧着片に衝突して圧着片を塑性変形させる。このとき、端子金具の一対の圧着片に衝突するクリンパの加締部にハードクロムメッキ処理が施されているために、加締部と圧着片との摩擦が小さくなっているので、圧着片を加締部によって安定的に圧着することができる。また、ハードクロムメッキ処理により加締部の表面の硬度が高くなるので摩耗し難くなり、良好な表面を長期的に維持することで、機械的性能や電気的性能の向上を図ることができる。
【0010】
3)また、本発明に係る圧着機は、電線が載置される基板部及び当該基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機であって、 前記端子金具の基板部が載置されるアンビルと、当該アンビルとの間で当該端子金具を加圧して前記端子金具の一対の圧着片を前記電線に加締めるクリンパと、を備え、前記クリンパにおける前記端子金具の前記圧着片を加締める加締部が、鏡面仕上げの上にハードクロムメッキ処理を施されていることを特徴としている。
【0011】
上記3)に記載の発明によれば、端子金具の基板部が載置されたアンビルに対してクリンパが昇降されることで、クリンパの加締部が端子金具の一対の圧着片に衝突して圧着片を塑性変形させる。このとき、端子金具の一対の圧着片に衝突するクリンパの加締部に、鏡面仕上げ上にハードクロムメッキ処理が施されているため、加締部と圧着片との摩擦が小さくなっているので、圧着片を加締部によって安定的に圧着することができる。また、鏡面仕上げ上に、さらにハードクロムメッキ処理が施されているため、加締部の表面の硬度が高くなるので摩耗し難くなり、良好な表面を長期的に維持することで、機械的性能や電気的性能の向上を図ることができる。
【0012】
4)また、本発明に係る圧着機は、上記(1)または上記(2)に記載した圧着機において、前記鏡面仕上げが、表面粗さRa0.1μm以下であることを特徴としている。
【0013】
上記4)に記載の発明によれば、鏡面仕上げの表面粗さがRa0.1μm以下であることで、加締部を小さい摩擦で圧着片に衝突させることができるので、一対の圧着片への圧着力を均等にして安定的に塑性変形させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る圧着機によれば、良好な表面を長期的に維持することが難い、機械的性能や電気的性能に支障を生じる、という問題を解決でき、これにより、安定的な圧着を長期的に保障し機械的性能及び電気的性能の向上を図ることができる圧着機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明の複数の好適な実施形態を説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1〜図3は本発明に係る圧着機及び端子金具の第1実施形態を示すもので、図1は本発明の第1実施形態に係る圧着機の正面図、図2は図1の圧着機に用いる端子金具を含むクリンパとアンビルとの外観斜視図、図3は図1の圧着機の要部拡大断面図、図4は図3の未使用のクリンパのC矢視図、図5は図4の鏡面仕上げした加締部の拡大表面図、図6は図5の使用後の拡大表面図である。
【0017】
図1、図2に示すように、本発明の第1実施形態である圧着機10は、フロア上などに設置されるベース11と、駆動源12と、端子金具50と電線60とを圧着接続する圧着用アプリケータ13と、から構成されている。
【0018】
ベース11は、水平方向に沿って略平坦な平坦部14を備えている。圧着用アプリケータ13は、ベース11に載置されて支持されている。
【0019】
駆動源12は、図示しないサーボモータと、駆動力を伝達する駆動軸15と、シャンク16の不図示の円板部に掛止されるフック17と、からなる。サーボモータの回転運動は、ピストン・クランク機構を介して直線運動に変換されてラム18を昇降動作させることができるようになっている。なお、駆動源12としては、サーボモータの代わりに、ダイレクトドライブ方式でシャンク16に連結するピストンロッドを備えた油圧シリンダ等を用いてもよい。
【0020】
圧着用アプリケータ13は、クリンパ19とアンビル20とを備え、クリンパ19の昇降動作により端子金具50の芯線圧着片51を加締めて電線60の芯線62を圧着する構造になっている。
【0021】
圧着用アプリケータ13により加締められる端子金具50としては、種々の形態の端子金具が適用可能であり、例えば、箱状の電気接触部を有する雌型の端子金具や、タブ状の電気接触部を有する雄型の端子金具や、双方の電線を繋ぐジョイント用の端子金具などが適用可能である。
【0022】
端子金具50は、導電性板母材を所定形状に打ち抜き加工してから、折り曲げ成形して形成されたものであり、電線60の被覆部61に圧着される一対の被覆圧着片54と、電線60の被覆部61を除去した芯線62が載置される湾曲した基板部53と、基板部53の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の芯線圧着片51と、相手端子と接触する接触片を内側に有する箱状の電気接触部55と、を備えている。
【0023】
端子金具50は、一対の芯線圧着片51が、クリンパ19の昇降動作により内向きに加締められることで、電線60の芯線62に圧着されて電気的に接続されると共に、一対の被覆圧着片54が内向きに加締められることで、電線60の被覆部61に固定される。
【0024】
クリンパ19の昇降動作は、サーボモータの回転運動を、ピストン・クランク機構により直線運動に変換し、クリンパ19を保持するラム18を上昇または下降させることにより行われる。ラム18の昇降動作を制御する不図示の制御部では、ラム18の加速、減速、圧着、待避等の制御を行う。
【0025】
圧着用アプリケータ13は、フレーム21と、アンビル20を有するホルダ22と、フレーム21に続くラム18と、ラム18に螺合して昇降動作するラムボルト23と、ラムボルト23が螺合するシャンク16と、端子送りユニット24と、から構成されている。
【0026】
フレーム21は、側方からみてコ字状に形成されており、ホルダ22の取付部25と、上方に延在する支柱部26と、ラム支持部27と、から構成されている。
【0027】
フレーム21は、ベース11の平坦部14に載置されており、不図示のボルトとナット等により締結固定されている。なお、フレーム21をベース11に一体的に固定してもよい。
【0028】
ラム支持部27は、ホルダ22の取付部25から上方に延在する支柱部26の上端部に連結されている。ラム支持部27には、ラム18をガイドする空間が設けられており、ラム18がスライド自在に嵌入できるようになっている
【0029】
ホルダ22には、端子金具50が載置されるアンビル20が埋設されている。ホルダ22は、クリンパ19とラム18の下端面28との双方に対向する平坦面29を備えている。すなわち、平坦面29は、昇降方向と接離方向との双方に対し略直交して形成されている。
【0030】
アンビル20は、ホルダ22に収納保持された状態で、フレーム21の取付部25に装着される。アンビル20は、その底板30をホルダ22の底壁に密着させた状態で保持されており、ぐらつかない状態で端子金具50が載置されるようになっている。
【0031】
アンビル20は、端子金具50の基板部53に当接する湾曲凹面状の接触面31を有し、クリンパ19の押圧力を受けた際に、端子金具50の芯線圧着部51を所定の形状に加締めるようになっている。
【0032】
ラム18は、方体状に形成されている。ラム18は、鉛直方向に沿って昇降自在にラム支持部27に支持されている。また、ラム18は、その長手方向が昇降方向即ち鉛直方向に沿っている。ラム18の下端面28は、前記昇降方向に対し交差する方向に沿って平坦に形成されている。
【0033】
ラム18の下半部に、アンビル20に対して対向するようにクリンパ19が配置されている。クリンパ19は、ラム18がラム支持部27に昇降自在に支持されることによって、アンビル20に対し接離自在になっている。言い換えると、クリンパ19がアンビル20に接離するのと連動して、ラム18が昇降動作するようになっている。
【0034】
クリンパ19は、方形板状をなしており、アンビル20側の内面にアーチ形状の加締部32が形成されている。加締部32は、端子金具50の芯線圧着片51をそれぞれC字形状に加締めることができるような湾曲状または円弧状に形成されている。
【0035】
ラムボルト23は、ラム18の上端面33のねじ孔に螺合して取付けられている。ラムボルト23がラム18に取り付けられることで、ラム18は、昇降自在に動作するようになる。
【0036】
シャンク16は、中空の円柱状に形成されている。シャンク16は、一方の側の円板部が駆動源12のフック17に結合され、他方の側のねじ部がラムボルト23のねじ孔に螺合するようになっている。すなわち、シャンク16は、駆動源12の駆動力を、ラムボルト23を介してラム18に伝達して、クリンパ19を昇降動作させる。
【0037】
また、シャンク16は、ラムボルト23のねじ孔に対するねじ込み量が調整されることによって、ラムボルト23との間の相対位置が変更可能にラムボルト23に取付られている。ラムボルト23のねじ孔に対するねじ込み量を調整して、シャンク16のラムボルト23に対する相対位置が変更されると、アンビル20とクリンパ19との間の間隔も変更される。
【0038】
シャンク16には、ねじ溝に螺合するナット34が備わっており、シャンク16がラムボルト23のねじ孔にねじ込まれた際に、ナット34を締結することによって、ラムボルト23とシャンク16とが互いに固定される。
【0039】
端子送りユニット24は、ラム18の側部に備わる不図示のカムと、カムに当接して水平方向に移動する同じく不図示の連接棒と、連接棒を内部に収容するレバー支持部35と、レバー支持部35に嵌入されるクランク状のレバー36と、レバー36を回動自在に支持する枢軸37と、レバー36の先端部に備わる端子送り爪38と、から構成されている。
【0040】
端子送りユニット24は、カムが駆動源12の駆動力によって降下し、その際に連接棒の一側の端部がカムに当接して水平方向に押され、連接棒の他側の端部がレバー36に当接して、枢軸37を回動中心としてレバー36が回動する。そして、不図示の連鎖帯の送り孔に引っかかった端子送り爪38が連鎖帯を一端子毎に端子送り方向に送り出す。
【0041】
図3〜図5に示すように、クリンパ19は、加締部32の表面に、鏡面仕上げ部39が形成されている。鏡面仕上げ面39は、表面粗さが0.1μm以下である。
【0042】
圧着機10は、アンビル20の接触面31上に端子金具50の基板部53が載置され、基板部53上に電線60の芯線62が載置される。
【0043】
そして、ラム18が降下されることで、アンビル20に対してクリンパ19が昇降されて行く。このとき、端子金具50の一対の芯線圧着片51に対して、クリンパ19の加締部32に形成されている鏡面仕上げ面39が衝突するため、芯線圧着片51との間で小さい摩擦で圧着が行われる。したがって、一対の芯線圧着片51が引っ掛りなくスムースに塑性変形され、電線60の芯線62に安定して圧着される。しかも、図6に示すように、圧着動作を約6000回実行した後でも、図5の未使用状態と殆んど変わらず、摩耗していないことがわかる。
【0044】
以上説明したように、第1実施形態の圧着機10によれば、端子金具50の基板部53が載置されたアンビル20に対してクリンパ19が昇降されることで、クリンパ19の加締部32が端子金具50の一対の芯線圧着片51に衝突して芯線圧着片51を塑性変形させる。このとき、端子金具50の一対の芯線圧着片51に衝突するクリンパ19の加締部32に鏡面仕上げ面39が形成されているため、加締部32と芯線圧着片51との摩擦が小さくなっているので、芯線圧着片51を加締部32によって安定的に圧着することができ、機械的性能や電気的性能の向上を図ることができる。
【0045】
また、圧着機10によれば、鏡面仕上げ面39の表面粗さがRa0.1μm以下であることで、加締部32を、小さい摩擦で芯線圧着片51に衝突させることができるので、一対の芯線圧着片51への圧着力を均等にして安定的に塑性変形させることができる。
【0046】
また、圧着機10によれば、クリンパ19の昇降に伴い、加締部32の鏡面仕上げ面39によって端子金具50の芯線圧着片51が加締められるため、一対の芯線圧着片51を電線60の芯線62に向け易くなり、一対の芯線圧着片51の先端部同士のぶつかり合う力が小さくなるので、一対の芯線圧着片51をバランス良く芯線62に食い込ませることができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、本発明の圧着機の第2実施形態について説明する。図7は本発明に係る第2実施形態の圧着機の要部拡大断面図である。尚、以下の各実施形態において、上述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0048】
図7に示すように、第2実施形態の圧着機10においては、クリンパ19は、加締部32の表面に、ハードクロムメッキ層41が形成されている。ハードクロムメッキ層41は、硬度Hv850〜1000以上の硬質クロムメッキであって、3μm〜5μmの厚さを有し、高い硬度を有するため、耐摩耗性及び耐久性に富む。
【0049】
アンビル20に対してクリンパ19が昇降されて行くと、端子金具50の一対の芯線圧着片51に対して、クリンパ19の加締部32に形成されているハードクロムメッキ層41が衝突するため、芯線圧着片51との間で小さい摩擦でもって圧着が行われる。したがって、一対の芯線圧着片51が引っ掛りなくスムースに塑性変形され、電線60の芯線62に安定して圧着される。
【0050】
第2実施形態の圧着機10によれば、端子金具50の基板部53が載置されたアンビル20に対してクリンパ19が昇降されることで、クリンパ19の加締部32が端子金具50の一対の芯線圧着片51に衝突して芯線圧着片51を塑性変形させる。このとき、端子金具50の一対の芯線圧着片51に衝突するクリンパ19の加締部32にハードクロムメッキ層41が形成されているため、加締部32と芯線圧着片51との摩擦が小さくなっているので、芯線圧着片51を加締部32によって安定的に圧着することができる。また、ハードクロムメッキ層41により加締部32の表面の硬度が高くなるので摩耗し難くなり、良好な表面を長期的に維持することで、機械的性能や電気的性能の向上を図ることができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の圧着機の第3実施形態について説明する。図8は本発明に係る第3実施形態の圧着機の要部拡大断面図である。
【0052】
図8に示すように、第3実施形態の圧着機10においては、クリンパ19は、被覆加締部32aの表面に、表面粗さが0.1μm以下の鏡面仕上げ部42が形成されているとともに、鏡面仕上げ部42上に、ハードクロムメッキ層43がさらに形成されている。ハードクロムメッキ層43は、硬度Hv850〜1000以上の硬質クロムメッキであって、3μm〜5μmの厚さを有する。
【0053】
アンビル20に対してクリンパ19が昇降されて行くと、端子金具50の一対の被覆圧着片54に対して、クリンパ19の被覆加締部32aに形成されている鏡面仕上げ部42上のハードクロムメッキ層43が衝突するため、被覆圧着片54との間で小さい摩擦で圧着が行われる。したがって、一対の被覆圧着片54が引っ掛りなくスムースに塑性変形され、電線60の被覆部61に安定して圧着される。
【0054】
第3実施形態の圧着機10によれば、端子金具50の基板部53が載置されたアンビル20に対してクリンパ19が昇降されることで、クリンパ19の被覆加締部32aが端子金具50の一対の被覆圧着片54に衝突して被覆圧着片54を塑性変形させる。このとき、端子金具50の一対の被覆圧着片54に衝突するクリンパ19の被覆加締部32aに、鏡面仕上げ部42上にハードクロムメッキ層41が形成されているため、被覆加締部32aと被覆圧着片54との摩擦が小さくなっている。したがって、被覆圧着片54を被覆加締部32aによって安定的に圧着することができる。また、鏡面仕上げ部42上に、さらにハードクロムメッキ層43が形成されているため、被覆加締部32aの表面の硬度が高くなるので摩耗し難くなり、良好な表面を長期的に維持することで、機械的性能や電気的性能の向上を図ることができる。
【0055】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0056】
例えば、芯線の数は図示したものに限定されず、電線が適用される回路の容量に応じて適宜選択される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧着機の正面図である。
【図2】図1の圧着機に用いる端子金具を含むクリンパとアンビルとの外観斜視図である。
【図3】図1の圧着機の要部拡大断面図である。
【図4】図3の未使用のクリンパのC矢視図である。
【図5】図4の鏡面仕上げした加締部の拡大表面図である。
【図6】図5の使用後の拡大表面図である。
【図7】本発明に係る第2実施形態の圧着機の要部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る第3実施形態の圧着機の要部拡大断面図である。
【図9】従来の圧着機の概略図である。
【図10】図9における未使用のクリンパのB矢視図(標準仕上げ)である。
【図11】図10における円弧部(加締部)の拡大表面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 圧着機
19 クリンパ
20 アンビル
31 接触面
32 加締部
32a 被覆加締部(加締部)
39,42 鏡面仕上げ部(鏡面仕上げ)
41,43 ハードクロムメッキ層(ハードクロムメッキ処理)
50 端子金具
51 芯線圧着片(圧着片)
53 基板部
54 被覆圧着片(圧着片)
60 電線
61 被覆部
62 芯線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が載置される基板部及び当該基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機であって、
前記端子金具の基板部が載置されるアンビルと、当該アンビルとの間で当該端子金具を加圧して前記端子金具の一対の圧着片を前記電線に加締めるクリンパと、を備え、
前記クリンパにおける前記端子金具の前記圧着片を加締める加締部が、鏡面仕上げを施されていることを特徴とする圧着機。
【請求項2】
電線が載置される基板部及び当該基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機であって、
前記端子金具の基板部が載置されるアンビルと、当該アンビルとの間で当該端子金具を加圧して前記端子金具の一対の圧着片を前記電線に加締めるクリンパと、を備え、
前記クリンパにおける前記端子金具の前記圧着片を加締める加締部が、ハードクロムメッキ処理を施されていることを特徴とする圧着機。
【請求項3】
電線が載置される基板部及び当該基板部の両側縁にそれぞれ立ち上げられた一対の圧着片を有する端子金具を電線に圧着する圧着機であって、
前記端子金具の基板部が載置されるアンビルと、当該アンビルとの間で当該端子金具を加圧して前記端子金具の一対の圧着片を前記電線に加締めるクリンパと、を備え、
前記クリンパにおける前記端子金具の前記圧着片を加締める加締部が、鏡面仕上げの上にハードクロムメッキ処理を施されていることを特徴とする圧着機。
【請求項4】
前記鏡面仕上げが、表面粗さRa0.1μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載した圧着機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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