説明

圧着端子の接続装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電線の端部に取り付けた圧着端子と、ヒューズボックス等の端子固定部とを接続する圧着端子の接続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ヒューズボックス等における端子固定部と、圧着端子との接続構造については、たとえば、実開平4−61728号公報に、図4に示すような、ヒューズボックスFが開示されている。ヒューズボックスFにおいては、端子固定部の接続金具aに対し、電線bを圧着した圧着端子cをジョイント板dを介して接続するようにしている。
【0003】圧着端子cの電線接続部eは、電線bを加締めて抱持しているため、圧着端子cの電気接触部fより高く膨出しており、ヒューズボックスFの接続金具aに対し電線接続部eを外側に向けて取り付けるようにしている。そのため、電流容量の大きいヒューズボックスの場合は、当然、電線の径も太くなるので、それを収容するため大型のヒューズボックスが必要となる問題点がある。
【0004】一方、図5に示すように、圧着端子c′の電線接続部e′を内側に向けて取り付けるようにした圧着端子の接続装置F′が、実開昭48−77682号公報に提案されている。接続装置F′は、ターミナル板gに係止凹部hを設けて、圧着端子c′の膨出した電線接続部e′を受け入れるようにしている。
【0005】しかしながら、接続装置F′においては、ターミナル板gを切り欠いて係止凹部hを設けているため、電流容量が大きい場合は発生する熱の放散が不十分となり、接続部が加熱されて障害が起こるおそれがあるなどの問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、使用中の熱の放散が良好で、相手側の端子固定部に対する取付け作業が円滑に実施でき、圧着端子の収納部の空間が節減され、大型の圧着端子の接続に好適な圧着端子の接続装置を提供することを課題とする。
【0007】前記の課題を達成するため、本発明は、複数の圧着端子を並設状態で収容する端子接続室に並設した複数の端子固定部に対し、電線を接続した該複数の圧着端子をジョイント板を介して接続する圧着端子の接続装置であって、該端子接続室において該端子固定部を突出した位置に設け、前記ジョイント板を階段状に折曲して、該複数の端子固定部に対応した複数の固定用孔を有する接続部と、該接続部より低位置の端子載置部とを形成し、前記端子固定部に対し該ジョイント板の固定用孔と圧着端子の電気接触部の孔を通じてボルトを螺合して圧着端子を接続すると共に、該端子載置部上に該複数の圧着端子の電線接続部を並設状態で配置するようにし該端子載置部に該圧着端子の電線接続部に当接する複数の端子係止片を該複数の固定用孔に対応して突設したことを特徴とする。
【0008】端子接続室の仕切壁にジョイント板を固定するための係止突起を設けることが好適である(請求項)。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の実施例に係わる圧着端子の接続装置Aを分離して示した斜視図である。圧着端子の接続装置Aは、ヒューズボックス1を構成する端子接続室2に設けられた隣接する端子固定部3、3に、電線4を接続した2本の圧着端子5、5をジョイント板6を介して接続する装置である。
【0010】ヒューズボックス1は、収納するヒューズの端子と、電線4を接続した圧着端子5とを接続するための端子接続室2を備えており、端子接続室2には複数の端子固定部3が並設されている。端子固定部3には、ボルト17を螺合する接続金具7が埋設されており、端子接続室2の底壁2aより接続金具7が突出した状態に形成されている。端子接続室2の仕切壁2b、2bの上端部には係止用の突縁8、8が相対向して設けられ、仕切壁2b、2bの内側にはそれぞれ係止突起9が付設されている。
【0011】ジョイント板6は、導電性金属板をプレス加工により階段状に折曲して形成したもので、ヒューズボックス1の端子固定部3上に載置する接続部10と、連結部11を介して接続部10より低位置に形成された端子載置部12とを有している。連結部11の高さは、電線4を接続した圧着端子5の電線接続部5aの高さに合わせて設定することが好ましい。
【0012】接続部10には、固定用のボルト17を挿入する固定用孔13が、隣接する端子固定部3の接続金具7の位置に対応して開設されている。端子載置部12には、端子載置部12の一部を切り起こして形成した端子係止片14が、固定用孔13に対応して、圧着端子5の電線接続部5aを配置する左側にそれぞれ設けられている。
【0013】ヒューズボックス1の端子固定部3に電線4を接続した圧着端子5を接続するには、ジョイント板6を端子接続室2の突縁8、8間に挿入してヒューズボックス1の端子固定部3上に載置する。このとき、ジョイント板6の連結部11の側端11aが、係止突起9を乗り越えて所定の位置に挿入され係止される。
【0014】そして、図1に示したように、圧着端子5の電線接続部5aの加締片15を下側にして、圧着端子5の電気接触部5bに設けた孔16と、ジョイント板6の固定用孔13とを合致させ、ボルト17を介してジョイント板6の固定用孔13に挿入し、接続金具7にボルト17をねじ止めすることにより、図2に示すように固定する。18はスプリングワッシャである。
【0015】ボルト15(右ねじの場合)をねじ止めする際に、ボルト17の回転に伴い圧着端子5の電線接続部5aの左側が、端子載置部12に突設した端子係止片14に衝合するので、圧着端子5および電線4が安定した状態に保持され、接続作業が円滑に実施できる。
【0016】ジョイント板6を介して接続された圧着端子5は、図3に示すように、電線4を抱持して膨出した圧着端子5の電線接続部5aが下側に向いて、ジョイント板6の端子載置部12上に位置するため、圧着端子5の上側に電線4および圧着端子5の電線接続部5aが突出することがなくなり、ヒューズボックス1の端子接続室2の容積を低減することが可能となり、ヒューズボックス1の小型化が達成できる。
【0017】
【発明の効果】本発明の圧着端子の接続装置は、階段状に折曲して端子載置部を設けたジョイント板を用いているため、圧着端子の高く膨出した電線接続部を端子載置部に配置することにより、端子接続室の空間を有効に利用できヒューズボックスなどの電気部品を小型化することが可能となる。また、ジョイント板の端子載置部に端子係止片を突設することにより、圧着端子を固定するためのボルト螺合作業が容易となり、圧着端子の組付け作業の生産性が向上する。さらに、ジョイント板の表面積を大きく活用できるため発生する熱の放散が良好となり、過熱による障害の発生が未然に防止されるなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる圧着端子の接続装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の端子固定部の接続金具にジョイント板を介して圧着端子を接続した状態を示す斜視図である。
【図3】図2の要部側面図である。
【図4】従来のヒューズボックスに圧着端子を接続する状態を示す分解斜視図である。
【図5】従来の別の圧着端子の接続装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
A 圧着端子の接続装置
2 端子接続室
2b 仕切壁
3 端子固定部
4 電線
5 圧着端子
5a 電線接続部
5b 電気接触部
6 ジョイント板
9 係止突起
10 接続部
11 連結部
12 端子載置部
13 固定用孔
14 端子係止片
16 孔
17 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の圧着端子を並設状態で収容する端子接続室に並設した複数の端子固定部に対し、電線を接続した該複数の圧着端子をジョイント板を介して接続する圧着端子の接続装置であって、該端子接続室において該端子固定部を突出した位置に設け、前記ジョイント板を階段状に折曲して、該複数の端子固定部に対応した複数の固定用孔を有する接続部と、該接続部より低位置の端子載置部とを形成し、前記端子固定部に対し該ジョイント板の固定用孔と圧着端子の電気接触部の孔を通じてボルトを螺合して圧着端子を接続すると共に、該端子載置部上に該複数の圧着端子の電線接続部を並設状態で配置するようにし、該端子載置部に該圧着端子の電線接続部に当接する複数の端子係止片を該複数の固定用孔に対応して突設したことを特徴とする圧着端子の接続装置。
【請求項2】 端子接続室の仕切壁にジョイント板を固定するための係止突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の圧着端子の接続装置。

【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図1】
image rotate


【特許番号】特許第3258208号(P3258208)
【登録日】平成13年12月7日(2001.12.7)
【発行日】平成14年2月18日(2002.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−205538
【出願日】平成7年8月11日(1995.8.11)
【公開番号】特開平9−55237
【公開日】平成9年2月25日(1997.2.25)
【審査請求日】平成10年10月13日(1998.10.13)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【参考文献】
【文献】実開 昭58−150286(JP,U)
【文献】実開 昭57−135075(JP,U)
【文献】実開 昭56−131673(JP,U)
【文献】実開 平2−76882(JP,U)
【文献】実開 昭63−69481(JP,U)