説明

圧縮木材加工品およびその製造方法

【課題】 圧縮木材加工品およびその製造方法において、圧縮成形が容易であり、小型であっても変化に富んだ木目模様を表面に形成することができるようにする。
【解決手段】 ブランク部材形成工程において、相対的に短尺の複数の木片を配列し高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤により接合して相対的に長尺に形成された集成材により板状のブランク部材3を形成し、圧縮成形工程において、ブランク部材3を、3次元形状を転写するための金型面を有する上金型5A、下金型5Bにより圧縮成形することにより、複数の木片が露出してなり、加工品本体の表面に沿う方向における各木片の外形の長手方向および短手方向で接合されている圧縮木材加工品1を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮木材加工品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材からブランク部材を切り出し、金型を用いて圧縮成形することにより3次元形状を有する圧縮木材加工品を形成することが知られている。
一方、木材加工において、比較的小さな木片を複数接合して、比較的大きな板状、柱状、ブロック状の集成材を形成することが行われている。これらの集成材は、さらに所望の形状に切断したり切削加工したりした上で、例えば柱、梁、床材などの建築部材などとして用いられている。
これら集成材は、未圧縮の木片を接着剤により貼り合わせて形成することが一般的であるが、例えば、特許文献1には、複数の間伐材を水蒸気処理して軟化させるとともに接着剤層を介して圧縮成形した集成材および集成材の製造方法が記載されている。
また、関連する技術として、特許文献2には、配向性の無いウエファーボード、合板、パーティクルボード、集成材、OSB(Oriented Strand Board)などの板状の建築用構造材料として用いられる木質材料を、金型で変形を拘束した状態で、加圧した過熱蒸気を噴射して加熱する木質材料の変形防止処理方法が記載されている。
【特許文献1】特開平7−32325号公報(図1−3)
【特許文献2】特開平11−320511号公報(第2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の圧縮木材加工品およびその製造方法には以下のような問題があった。
これらの圧縮木材加工品は、表面に木目線が露出して木目模様が現われるため、デザイン上、良好な外観面を得ることが可能であるが、ブランク部材が比較的大きな母材から切り出されるため、例えば小型の圧縮木材加工品を成形する場合、板目材を用いてもほとんどの場合、直線的な木目模様しか得られないものである。そのため、木目模様による優れたデザイン効果が得られないという問題がある。
またどうしても木目模様による優れたデザイン効果を得ようとすれば、ブランク部材の切り出し位置を木材の特定部位に限定する必要があり、ブランク部材がきわめて高価なものとなるとともに大量生産が困難になるという問題がある。
また、ブランク部材は、切削加工によりブロック材から金型に略沿うような3次元形状のブランク部材を形成する場合と、圧縮後の形状よりも大きい板状のブランク部材を形成する場合とが考えられるが、前者ではブランク部材の加工時に切削する部分の木材が無駄に消費され、後者では圧縮成形後に成形品の端部などの形状を整えるために切断、切削する必要があるのでその部分の木材が無駄に消費されるという問題がある。そのため、例えば抗菌作用を有するヒノキなどの高価な木材を用いる場合、材料のコストが増大しやすいという問題がある。
また特許文献1に記載の技術では、小径の間伐材を用いて集成材を形成するので、間伐材の有効利用を図ることができ、材料コストを低減することができるものの、小径の間伐材を単純に圧縮して、単純形状の堅牢な建築材料、例えば柱や梁などを製作することを目的としている。ところが、種々の3次元形状を有する函、収容容器、外装体などを成形する場合には、金型面に沿って変形するため、圧縮時に、圧縮方向と交差する方向に引張力が作用する。そのため、圧縮過程での木材に割れが発生し、良好な外観が得られない恐れがあるという問題がある。
また特許文献2に記載の技術を圧縮木材加工品の製造方法に用いることも考えられるが、この技術は、ストランド状の削片が特定方向に配向された複数層の隣接層同士が互いに直交するよう配置されて整形され、接着剤を介して結合されたOSBなどの板形状の変形防止処理方法である。そのため、このように変形防止処理を行った板を3次元形状に圧縮成形しようとすれば、変形が容易でないため良好な成形品を形成することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、圧縮成形が容易であり、小型であっても変化に富んだ木目模様を表面に形成することができる圧縮木材加工品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、木材を金型により圧縮成形して3次元形状を形成する圧縮木材加工品の製造方法であって、前記木材として、相対的に短尺の複数の木片を配列し高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤により接合して相対的に長尺に形成された集成材を用いて、圧縮成形のためのブランク部材を形成するブランク部材形成工程と、前記ブランク部材を前記金型により高温水蒸気雰囲気で圧縮成形する圧縮成形工程とを備える方法とする。
この発明によれば、ブランク部材が、相対的に短尺の複数の木片を配列し高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤により接合して相対的に長尺とされた集成材により形成されるので、高温水蒸気雰囲気で圧縮される際に、複数の木片間の接合状態が緩和され、複数の木片間の相対移動が可能となる。そのため圧縮成形時に金型面に沿って変形しやすくなる。その結果、圧縮成形時にブランク部材にかかる応力負荷を軽減され、複数の木片に割れなどを起こすことなく圧縮成形することができる。
また各木片の木目線が割れ目などにより損なわれることなく良好に変形され、それらが組み合わされることにより、表面に変化に富んだ木目模様が形成される。そのため、デザイン効果の高い外観を有する木目模様を容易に得ることができる。
【0006】
ここで、集成材が相対的に長尺に形成され複数の木片が相対的に短尺に形成されたとは、集成材からブランク部材を形成するときに金型により圧縮される面の主要部を形成する集成材の表面の最も短手となる外形幅寸法が、その表面に現われた木片の外形の長手方向の幅寸法よりも大きいことを意味する。このような集成材表面は、複数の木片がその短手方向に接合されるとともに、その長手方向にも接合された寄せ木細工状に構成された面となっている。
【0007】
複数の木片の形状は、隣接位置に配列された他の木片に対して密着可能であるとともに、圧縮時に相対移動容易な形状とすることが好ましい。そのためには、平面同士、あるいは互いに嵌合し合う断面を一定方向に延した形状、例えば断面が複数の山形を組み合わせた凹凸形状などとすることが好ましい。
また、成形後の強度を良好なものとするためには、複数の木片の長手方向を木質繊維方向とし、木質繊維方向に交差する方向に圧縮されていることが好ましい。
【0008】
なお、3次元形状は、3次元的な凹凸や湾曲を有する金型面形状が転写された形状であり、一方向に沿う断面形状が略同一とならない形状を意味し、例えば、平板形状、平板を2次元的に屈曲あるいは湾曲させた形状、柱形状は除外する。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の圧縮木材加工品において、前記ブランク部材形成工程では、前記ブランク部材を、前記集成材から構成される板部材として形成する方法とする。
この発明によれば、ブランク部材を板部材として形成するので、ブランク部材を形成するための除去加工を廃止または低減することができるので、容易かつ安価に製造することができる。特に、略均一肉厚を有する3次元形状の圧縮木材加工品を容易に製造することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の圧縮木材加工品の製造方法において、前記ブランク部材形成工程では、前記ブランク部材を、前記集成材から切削加工することにより、前記金型の金型面の形状に略沿う3次元形状を有する3次元ブランク部材として形成する方法とする。
この発明によれば、ブランク部材を金型の金型面の形状に略沿う3次元形状を有する3次元ブランク部材として形成するので、圧縮成形する際、圧縮方向以外の変形量が少なくなる。すなわち圧縮方向に交差する方向にブランク部材が引張られることが少なくなるので圧縮負荷を低減することができる。そのため、3次元形状、特に起伏の大きな形状を高精度かつ高品質に成形することができる。
また、集成材から切削加工する際、切削面に種々の木目線が露出することにより、一層変化に富んだ木目模様が現われるので、よりデザイン効果に優れた木目模様を得ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の圧縮木材加工品の製造方法において、前記集成材が、前記ブランク部材の外形よりわずかに大きい3次元形状に形成された方法とする。
この発明によれば、集成材をブランク部材の外形よりわずかに大きい3次元形状に形成するので、ブランク部材形成工程での切削加工する場合に加工量を低減でき、製造効率および集成材の利用効率を向上することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項3または4に記載の圧縮木材加工品の製造方法において、前記ブランク部材形成工程が、前記集成材を圧縮成形して前記ブランク部材の形状の一部を形成した1次圧縮部材を形成する1次圧縮工程と、前記1次圧縮部材を切削加工して前記ブランク部材の他の部分を形成する2次加工工程とからなる方法とする。
この発明によれば、集成材から、1次圧縮工程により、ブランク部材の形状の一部を形成した1次圧縮部材を形成し、2次加工工程によりブランク部材の他の形状を形成するので、ブランク部材の切削加工量を低減することができ、製造効率を向上することができる。
また、ブランク部材を形成するのに、圧縮成形と切削加工とを使い分けることができるので、木目模様の現われ方を加工方法に応じて可変することができる。そのため、木目模様の変化をより付けやすくなる。
また、集成材を1次圧縮すると、1次圧縮の金型の形状にもよるが、一般には1次圧縮部材に相対的な高圧縮部と低圧縮部とが形成される。そのため、2次加工工程において、そのような高圧縮部と低圧縮部との分布に応じて、切削量を可変することにより、圧縮成形工程での場所による圧縮率を可変することができるので、圧縮木材加工品の平均密度分布を容易に制御することが可能となる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮木材加工品の製造方法において、前記複数の木片が間伐材からなる方法とする。
この発明によれば、複数の木片が、利用価値の少ない間伐材からなるので材料コストを低減することができ、環境保全にも貢献することができる。
【0014】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮木材加工品の製造方法において、前記複数の木片が複数の材質の木材からなる方法とする。
この発明によれば、複数の材質の木材を組み合わせることにより、例えば、木目模様、色などの外観に変化を付けやすくなる。
また、材料特性の異なる木材を組み合わせることによりそれぞれの材料特性が複合された多機能の成形品を得ることができる。異なる材料特性としては、例えば抗菌性、防虫性、芳香性、強度、耐摩耗性などを挙げることができる。
【0015】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載の圧縮木材加工品において、前記複数の木片が平均密度の異なる木材を組み合わせてなる構成とする。
この発明によれば、複数の木片が、平均密度の異なる木材を組み合わせてなるので、圧縮時にそれぞれの平均密度に応じて変形量が変化し、例えば、各木片の形状を同一にした集成材であっても圧縮後に各木片の大きさが変化する。そのため、表面の木目模様が変化に富んだものとなる。
【0016】
請求項9に記載の発明では、請求項1〜8のいずれかに記載の圧縮木材加工品の製造方法において、前記集成材を構成する複数の木片にフィンガージョイントが形成された方法とする。
この発明によれば、複数の木片がフィンガージョイントにより接合されるので、圧縮されるときにフィンガージョイント同士が互いに重なり合って圧縮され、一体化されるので接合強度が向上する。
また、圧縮過程ではフィンガージョイントの対向方向において互いに離間する方向に伸張しやすいため、圧縮時の伸び変形を吸収することができる。そのため、圧縮負荷が低減されるとともに、木片に作用する引張負荷を低減することができる。
なお、フィンガージョイントを設ける方向は、木片の木質繊維方向側の端部に設けることが好ましい。この場合、フィンガージョイントの各フィンガー部に木質繊維が連続するため、フィンガージョイントの強度を高めることができる。また、圧縮により伸び変形が発生しにくい木質繊維方向において、滑り変形を起こすことができるので、木片の伸び方向の負荷を低減し、木質繊維の破損、破断を低減することができる。
【0017】
請求項10に記載の発明では、木材を金型により圧縮成形して3次元形状を形成した圧縮木材加工品であって、加工品本体の表面に、高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤層を介して互いに接合された複数の木片が露出してなり、前記加工品本体の表面に露出した前記複数の木片が、少なくとも前記加工品本体の表面に沿う方向における前記各木片の外形の長手方向および短手方向で接合されている構成とする。
この発明によれば、加工品本体が複数の木片が表面に露出してなるので、単一の木材を圧縮成形する場合に比べて、表面に変化に富んだ木目模様が形成される。そのため、デザイン効果の高い外観を有する木目模様を容易に得ることができる。
また、加工品本体の表面に露出した複数の木片が、少なくとも加工品本体の表面に沿う方向における各木片の外形の長手方向および短手方向において高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤層を介して接合されているので、相対的に短尺な複数の木片をそのような接着剤層を介して接合した相対的に長尺な集成材を用いて製造できる。そのため、例えば間伐材などを利用した短尺の木片を有効利用して製作することができるものとなる。
本発明の圧縮木材加工品は、請求項1に記載の圧縮木材加工品の製造方法により製造されるものとなっている。
【0018】
なお、本明細書において、3次元ブランク部材の3次元形状と、3次元ブランク部材を圧縮成形する金型の対応する金型面の3次元形状すなわち圧縮木材成形品の3次元形状とが、一方に対して略沿うとは、完全に形状が一致する場合と、対応する3次元形状の凹凸関係が略一致する場合とを含むものとする。後者の場合、圧縮代の範囲内の高さの凹凸の違いは最終的に金型面の形状を転写することができるため無視するものとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の圧縮木材加工品によれば、高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤層を介して、複数の木片がその長手方向および短手方向に接合されているので、小型であっても変化に富んだ木目模様を表面に形成することができるとともに、相対的に短尺な木片を有効利用して多機能かつ安価なものとすることができるという効果を奏する。
また本発明の圧縮木材加工品の製造方法によれば、ブランク部材の変形に要する負荷が軽減され3次元形状に容易に圧縮成形することができるとともに、複数の木片がその長手方向および短手方向に接合されるので、変化に富んだ木目模様を容易に得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0021】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品の概略構成について説明するための斜視説明図である。図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
【0022】
本実施形態の圧縮木材加工品は、複数の木片からなる木材を金型により圧縮成形して3次元形状を形成した部材であって、表面に露出する各木片が、その加工品本体の表面に沿う方向における木片の外形の長手方向および短手方向において、高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤層を介して接合されたものであり、表面に木片相互の接合面や木片の年輪などによる複雑な木目模様が形成されたものである。3次元形状は、例えば、函状、シェル状などの種々の3次元形状とされ、均一または不均一な肉厚を有し、例えば、函、収容容器、外装体などに好適な部材となっている。以下では、一例として、底部とその周辺に側部が形成され、一方に開口し、略均一な肉厚を有する函状の部材の例で説明する。
【0023】
本実施形態の圧縮木材加工品1は、金型で圧縮成形されることにより3次元形状が形成されたもので、図1(a)、(b)に示すように、平面視略矩形状で、底部1aの周囲に緩やかに湾曲して立設された側部1b、1b、1c、1cが設けられ、一方に開口した開口部1dを形成している函状の部材である。開口部1dの端部には、切削加工により開口端部1eが形成されている。
開口部1dの大きさは、短辺W×長辺L、開口端部1eから底部1aの外側まで高さはHである例で説明する。
肉厚は変化があってもよいが、本実施形態では、略均一な肉厚tを有するものとして説明する。
圧縮木材加工品1は、例えば、容器、外装体などとして利用可能となっている。
【0024】
圧縮木材加工品1は、圧縮前は長手方向が木質繊維方向に略一致した短尺のブロック状とされた木片2が、その長手方向および短手方向に接着剤層Pを介して組み立てて構成され、圧縮されることによりそれぞれの木片2が圧縮変形された状態で接合されたものである。そして、表面に露出された木片2は、その外形およびその外形に沿う接着剤層Pにより、境界線Qが表面に見えるようになっている。木片2の外形が圧縮により変形されることにより、境界線Qも不規則に波打っている。
ここで、木片2は、圧縮木材加工品1の長手および短手の幅寸法L、Wに比べて短尺とされている。そのため、いずれの幅方向にも複数の木片2が接合されている寄せ木細工状の接合状態とされている。そして、境界線Qは網目状に形成されている。
また、図1(a)の一部に模式的に図示したように、木片2…の表面には、木材の年輪などが切断された木目線が圧縮により歪んだ状態で露出している。このような木目線からなる木目模様Mが境界線Qに仕切られて組み合わされた模様を形成しており、圧縮木材加工品1の表面にはムク材の木目模様とは異なる変化に富んだ木目模様が形成されている。
【0025】
木片2の材質としては、圧縮可能な木材であれば、木材の種類は特に限定されない。例えば檜(ヒノキ)、檜葉(ヒバ)、桐、チーク、マホガニー、杉、松、桜、竹などを好適に採用することができる。
これらは1種類の材質に統一してもよいが、本実施形態は複数の材質が混合されている。例えば、木片2aとして杉の間伐材、木片2bとして檜の間伐材が混合した構成を採用することができる。杉、檜の母材の平均密度は、それぞれ、約0.38g/cm、0.41g/cmと異なっているが、一緒にそれぞれの平均密度に応じて変形するため、圧縮木材加工品1としては、略同一の平均密度となっている。そして、密度に反比例して圧縮率が増大するので、圧縮前に同じ形状であっても、隣接する木片2との相対密度などにより異なる形状に圧縮され、境界線Qが歪んだ形状となる。
また、材質を統一した場合でも、母材からの採取位置(例えば、心材と辺材)や採取する母材を変えることにより、色、強度、平均密度などの特性が異なる木片2を採取することができる。
【0026】
このように異なる材料特性を有する木片2が複合されることにより、圧縮木材加工品1は、変化に富んだ外観を有するとともに、それぞれの材料特性に応じた機能を備える多機能の部材とすることができる。
例えば、摩耗の起こりやすい部位に耐摩耗性の高い木片2、例えばチークなどを配置することにより、効率よく寿命を延すことができるものである。
【0027】
また例えば、ヒノキの精油成分には、例えばカンフェン、αーピネンなどのモノテルペン、また例えばカジノール、ヒノキオールなどのセスキテルペンなどを含んでおり、これらテルペン類の相乗作用により抗菌作用を有する。そのため、細菌の繁殖や、カビ、ダニなどの発生を抑えることができ、シロアリを寄せ付けないことでも知られている。また、ヒバの精油成分は、ツヨプセン、セスキテルペン、ヒノキチオール、βドラブリンなどを含んでおり、このうちヒノキチオールとβドラブリンとにより強力な抗菌性がもたらされている。またシロアリ、蚊などを寄せ付けない防虫作用も有する。
これらの木材は比較的高価であるが、圧縮木材加工品1では、木片2…の一部に混合して用いることにより、比較的安価に抗菌作用や防虫作用を備えることができる。
【0028】
本実施形態の圧縮木材加工品1の製造方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品を製造するためのブランク部材を兼ねる集成材について説明するための斜視説明図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いる集成材を構成する木片の1例について説明するための斜視説明図である。図4(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品の圧縮成形工程について説明するための図1(a)のA−A線に沿う断面の工程説明図である。
【0029】
本実施形態に係る圧縮成形木材1の製造方法は、少なくともブランク部材形成工程と圧縮成形工程とからなる。
ブランク部材形成工程は、相対的に短尺の複数の木片を配列し高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤により接合して相対的に長尺に形成された集成材を用いて、3次元形状を形成する圧縮成形を行うためのブランク部材を形成する工程である。
本実施形態では、ブランク部材として、図2に示すような厚さ方向に板面3a、3bを有する平面視矩形状の平板状のブランク部材3を用いる。
ブランク部材3は、短辺×長辺×高さが、W×L×t(ただし、W>W、L>L、t>t)の平面視矩形状の平板であり、複数の木片2がその長手方向の端部で接着剤層Pにより順次接合されたものがブランク部材3の長辺方向を指向し、さらに長手方向と直交する短手方向にそれぞれ隣接して配列された状態で接着剤層Pにより接合されて、厚さ方向には1層をなしたものである。
【0030】
木片2の圧縮前の形状は、図3に示すように、木質繊維方向に略一致して延された側面2C、2D、2E、2Fにより囲まれた矩形断面を備える四角柱の長手方向の端部に継手部2A、2Bを形成したブロック状とされている。対向する側面2C、2Eの距離は、厚さtに一致している。
各側面に露出される木目模様Mは、木片2を切り出す場合の母材の年輪に対する切り出し位置や切り出し方向などにより変化する。
そのため、これら母材からの切り出し位置や切り出し方向を変えることで、種々形状の木目線からなる木目模様Mを露出させることができる。
例えば、図1、2に示すように、略平行線状、U字状、同心楕円状などの木目模様Mが得られる。
【0031】
継手部2A(2B)は、フィンガージョイントを採用することができる。本実施形態では、鋸歯状断面が、側面2Cから対向する側面2Eに向かう厚さ方向に延され、複数の傾斜面が組み合わされて山部、谷部が形成されたフィンガージョイントからなる。
そして、継手部2A(2B)は、他の木片2(図3の二点鎖線参照)の継手部2B(2A)と嵌合し、その状態で、各木片2の側面2C、2D、2E、2Fがそれぞれ整列した四角柱を形成できるようになっている。
ここで、図2、3は模式図のため、谷部、山部が鋭角の三角形として単純化されているが、先端部の欠け防止などのために、それぞれ適宜の丸みを設けておいてもよいことは言うまでもない。
【0032】
このような継手部2A、2Bによれば、嵌合したとき、側面2Dから側面2Fに向かう木片2の短手方向において鋸歯状部分が互い違いに重なり合っている。鋸歯状部分の重なり量、重なり枚数は、圧縮成形条件に応じて適宜設定する。
また、各木片2は、図3に片矢印で示すように、嵌合状態を保ったまま、木片2の厚さ方向に自由に移動できるようになっている。そのため、ブランク部材3が形成された状態でも接着剤層Pが軟化すれば、板厚方向に移動できるようになっている。
また、継手部2A、2Bが嵌合したときに形成される鋸歯状の境界線は、ブランク部材3の板面3a、3bに露出して境界線Qの一部を形成するものである。
【0033】
ブランク部材3は、このような木片2…を、継手部2A、2Bに接着剤層Pを設けた状態で長手方向に組み立てて長尺の四角柱を形成し、それぞれの四角柱の1つの短手方向の側面2D(2F)を他の四角柱の側面2F(2D)に隣接させて接着剤層Pを設けて接着し、固化させることにより形成される。そして、各木片2の側面2C、2Eがそれぞれ一平面に整列することにより、板面3a、3bを有する厚さtの平板となっている。
このとき、特に、木材の種類や特性の異なる木片2の配置場所を指定する必要がある場合には、特定の木片2を特定の位置に配置しておく。また、木目模様Mや色などが異なる場合には、所望の外観デザインを考慮して配列する。
そして、必要に応じて、外形を切削または切断するなどして、短辺、長辺の大きさを上記の大きさに整形する。
【0034】
接着剤層Pに用いる接着剤は、常温において安定固化するとともに、後述する圧縮成形工程における高温水蒸気雰囲気において軟化する特性を有する木材用の接着剤を用いる。すなわち、120℃以上200℃以下の高温雰囲気、またはその温度の水蒸気により、接着剤層Pを介して固定される木片2とともに相対移動できる程度の粘度に軟化する接着剤を採用する。
例えば、高温で軟化する接着剤として、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤を好適に採用することができる。ただし、酢酸ビニル樹脂そのものは熱可塑性樹脂であり、この接着剤も40℃付近で接着強度が低下するので、常温付近の使用で支障を来さないためにイソシアネートや金属塩の添加によって耐熱性を若干高めるのが好ましい。また、この他にも、水分の放出によって硬化する特性を有する合成ゴム系接着剤等も好適に採用することができる。
【0035】
ブランク部材形成工程では、上記の木片2の製作も含めて各過程をすべて行うことによりブランク部材3を形成してもよいが、必要に応じて過程を省略してもよい。例えば、上記の材質や配列条件などが合う集成材が入手できれば、その外形を整形したり切断したりすることによりブランク部材3を形成してもよい。また例えば、断面が図2の平面視形状と同様で、厚さがtよりも厚い集成材から、厚さtにスライスして、ブランク部材3を形成してもよい。このようにすれば、製造効率をより向上することができる。
【0036】
最後の例では、ブランク部材3を形成する集成材を構成する木片2は、図3の平面視形状が厚さ方向に延された部材となり、継手部2A、2Bの端部間の距離よりも、厚さ方向の側面2C、2E間の距離の方が長くなるものである。ただし、ブランク部材3において金型が押圧される面となる板面3a、3bに露出する木片2の外形に関しては、継手部2A、2Bの端部間の距離が、側面2C、2E間の距離に比べて長くなっており、本明細書では、長手方向、短手方向という言葉は、上述したようなブランク部材3における木片2の外形に対する意味で用いている。
【0037】
次に、本実施形態の圧縮成形工程について説明する。
圧縮成形工程は、図4(a)に示すように、ブランク部材3を上金型5A(金型)、下金型5B(金型)を用いて圧縮成形することにより金型面の3次元形状をブランク部材3に転写し圧縮木材加工品1を形成する工程である。
上金型5Aは、圧縮木材加工品1の内面を形成するコア金型であり、底部1a、側部1bの内面側形状に対応した底部金型面5a、側部金型面5bとからなる。また図示しないが、側部1cの内面側形状に対応した側部金型面も当然に備えるものである。
下金型5Bは、圧縮木材加工品1の外面を形成するキャビティ金型であり、底部1a、側部1bの外面側形状に対応した底部金型面5c、側部金型面5dとからなる。また図示しないが、側部1cの外面側形状に対応した側部金型面も当然に備えている。
【0038】
まず、図4(a)に示すように、ブランク部材3を上金型5A、下金型5Bの間にセットする。
そして、上金型5A、下金型5Bを図示上下方向に相対的にスライドし、ブランク部材3を上下方向に圧縮する。
このとき、ブランク部材3を軟化させるために、高温高圧水蒸気を噴射するなどして、ブランク部材3を高温水蒸気雰囲気下においた状態で圧縮を行う。例えば、120℃〜200℃、好ましくは180℃〜200℃程度の高温高圧水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。
このような高温水蒸気雰囲気下において、木片2の木質繊維が軟化するとともに、接着剤層Pの接着剤が軟化する。
【0039】
そのため、圧縮が開始されると、木片2が軟化しているため、金型面にならって変形する。加えて、接着剤層Pも軟化し、場合によっては流動状態となっているため、互いに隣接する木片2の間での結合力が低下し、種々の方向への相対移動が可能となる。その結果、ブランク部材3の剛性が同材質の1枚の板部材に比べて著しく低下し、3次元形状を有する金型面に押圧されて隙間なく密着した状態で、比較的容易に圧縮変形される。
そして、板厚がtからtになるまで上金型5A、下金型5Bを相対的にスライドさせてからスライド移動を停止する。
【0040】
この工程において、上金型5A、下金型5Bも同等の温度に加温することが好ましい。また、上金型5A、下金型5Bを高圧容器内に設置して行うと、より効率的に圧縮を行うことができて好ましい。
【0041】
本実施形態では、木片2の長手方向の端部に継手部2A、2Bが設けられ、隣接する木片2のそれぞれの端部同士で相互に嵌合した状態を保って厚さ方向に容易に移動できる。また、長手方向に離間する方向にある程度移動しても短手方向には、それぞれの山部と谷部が重なり合うようになっている。そのため、隣接する木片2同士が厚さ方向、長手方向に離間する方向にある程度相対移動しても、継手部2A、2Bでは、接着剤層Pを介して重なり合う状態が保たれ、その状態で圧縮されてゆく。すなわち、軟化された接着剤層Pを介した継手部2A、2Bにより、木片2に負荷をかけることなく、伸び変形、回転変形、厚さ方向への剪断変形が可能となっている。
【0042】
また、軟化した接着剤層Pが変形することにより、隣接する木片2同士が相対移動したり、応力を緩和したりするので、木片2に作用する剪断力や引張力が低減される。その結果、木片2の割れや破損の発生を防止して、円滑な圧縮成形を行うことができる。
木質繊維は、繊維方向に引張力を受けてもほとんど伸びず、許容限度以上の引張力を受けると木質繊維が破断してしまうが、本実施形態のように、木質繊維方向に一致した端部側に継手部2A、2Bが設けておくと、許容範囲以上の引張力を受けると嵌合し合う継手部2A、2Bが軟化した接着剤層Pを介して互いに滑り、長手方向に移動して、伸び量を吸収する。そのため、木質繊維が引張力を受けることなく伸び量を吸収できるので、木質繊維の破断を防止することができる。
【0043】
なお、隣接する継手部2A、2Bが引張力により長手方向に離間する方向に移動する場合、この引張力は圧縮に伴って生じるものなので、継手部2A、2Bの重なり量を超えて変形しない限り、圧縮木材加工品1に孔があくことはない。例えば、継手部2A、2Bが離間する際、山部、谷部の間に隙間が発生しようとしても、他の方向からの圧縮力により、隙間がつぶされる。万一、圧縮方向の関係で、隙間がつぶされない場合でも、軟化している接着剤層Pの接着剤が移動して空隙に充填される。
【0044】
金型のスライド移動終了後は、金型面の形状が転写され、固定されるまで、型締めを保持する(図4(b)参照)。このまま所定時間、型締めを保持し、水分を乾燥させてから脱型する。
脱型後、例えば側部の端部などに当たる除去部6などを必要に応じて除去加工することにより開口端部1eの形状を仕上げる(図4(c)の二点鎖線部)。このようにして圧縮木材加工品1を製造することができる。
【0045】
このような圧縮木材加工品1によれば、それぞれ異なる木目模様が表面に露出された複数の木片2が接合されているので、小型であっても変化に富んだ木目模様を備えることができる。
また、木片2がその長手方向および短手方向において高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤層Pにより接合された集成材によりブランク部材3を形成し、ブランク部材3を上金型5A、下金型5Bにより3次元形状に成形するので、木片2と接着剤層Pとがそれぞれ軟化することによりブランク部材3の剛性が低下し、伸びが生じても木片2間の離間が起こりにくいことと相俟って成形性が良好となる。そのため、1枚の板部材から3次元形状に成形する場合に比べて、各木片2にかかる負荷が低減されるので、割れたり引き裂かれたりすることなく境界線や木目線20による模様が良好な状態で成形されるという利点がある。
【0046】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いることができる集成材の変形例について説明するための斜視部分断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いることができる木片の継手部の他の変形例について説明するための模式説明図である。
【0047】
本実施形態の集成材の変形例は、上記実施形態のブランク部材3に代えて、集成材60を用いるものである。
集成材60は、図5に示すように、継手部2A、2Bにより長手方向に接合された四角柱同士を、側面2C、2Eとの間で密着接合することにより、板面60a、60bが、それぞれ各木片2の側面2D、2Fが整列して形成された集成材からなる。
そのため、各木片2は、嵌合状態を保ったまま、側面2C、2Eの対向方向に移動しやすくなっている。
また、各木片2は、四角柱が伸びる方向に移動しやすくなっており、そのように移動する際、継手部2A、2Bの鋸歯状部分が集成材60の板厚方向に互いに重なり合っている。
また、板面60a、60bには、継手部2A、2Bが嵌合して形成される直線状の境界線が露出されている。
なお、この変形例では、木片2の対向する側面2D、2Fの距離が集成材60の厚さtに一致している。
【0048】
本変形例によれば、集成材60が厚さ方向に圧縮される際、継手部2A、2Bが互いに重なり合う方向に圧縮されるから、圧縮後の各木片2の接合強度が高められる。
また、圧縮に伴って、金型面に沿う引張力を受けても、継手部2A、2Bが形成された範囲で、各木片2が長手方向に移動して伸び量を吸収できるので、木質繊維の破断が起こりにくい。そして、板面60a、60bには、鋸歯状部の木目模様が露出しないので、圧縮後も木片2の本来有している木目線が生かされた木目模様が得られる。
【0049】
また本実施形態の他の変形例としては、継手部として、継手部2A、2Bに代えて鋸歯状断面以外のフィンガージョイント、あるいはフィンガージョイント以外の継手部を採用することもできる。
以下に、それらの他の変形例について簡単に説明する。これらは、継手部の接合強度、加工性、板面に露出する場合の境界線が形成する模様などを考慮して適宜選択することができる。
【0050】
図6(a)に示すのは、フィンガージョイントとして、鋸歯状断面に代えて、木片2の端部に正弦波状またはU字状断面を有する継手部20A、20Bを設けたものである。この場合、鋸歯状断面に比べて先端部の強度を向上することができる。
図6(b)に示すのは、フィンガージョイントとして、鋸歯状断面に代えて、木片2の端部に矩形波状断面を有する継手部21A、21Bを設けたものである。この場合、鋸歯状断面に比べて加工が容易となる。
【0051】
また、継手部は、フィンガージョイント以外の凹凸形状により形成されていてもよい。例えば、フィンガージョイント2A、2B、20A、20B、21A、21B等の凸部、凹部の一対の組合せはすべて好適に採用できる。その他、以下のような例を挙げることができる。
図6(c)に示すのは、略V字をなす階段状断面を有する凹形状の継手部22Aと、それに嵌合する凸形状の継手部22Bとを設けたものである。
図6(d)に示すのは、V字状の凹断面を有する継手部23Aとそれに嵌合する凸断面の継手部23Bとを設けたものである。
図6(e)に示すのは、略半円状の嵌合部を備えた凹形状の継手部24Aと、それに嵌合する凸形状の継手部24Bとを設けたものである。
【0052】
また、木片2の端部に傾斜面を形成し、長手方向に沿って互いに重なり合うような継手部を形成してもよい。
例えば、図6(f)に示すように、長手方向の端部にそれぞれ反対方向に同角度で傾斜した傾斜面からなる継手部25A、25Bを採用することができる。
また、図6(g)に示すように、長手方向に直交する方向に延された段差を有する2つの突き当て平面を設け、その間に傾斜面を設けた断面形状の継手部26A、26Bを採用することができる。
【0053】
また、圧縮率、圧縮方向、金型面の形状などにより、引張力が小さく接着剤層Pによって接合状態を維持できる場合には、図6(h)に示すように、隣接する木片2のそれぞれの長手方向の端部を長手方向に直交する平面からなる継手部27A、27Bとしてもよい。この場合、木片2は直方体ブロックとなるので、製作が容易となるという利点がある。
【0054】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品について説明する。
図7(a)は、本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品の概略構成について説明するための斜視説明図である。図7(b)は、図7(a)のC−C断面図である。
【0055】
本実施形態の圧縮木材加工品10は、第1の実施形態の圧縮木材加工品1と同様に木片2…(木片2a、2bを含む)を寄せ木細工状に組み合わせて配置し、高さをhとした略同形状の函状部材である。すなわち、図7(a)、(b)に示すように、圧縮木材加工品1の底部1a、側部1b、1b、側部1c、1c、開口部1d、開口端部1eに代えて、底部10a、側部10b、10b、側部10c、10c、開口部10d、開口端部10eを備える。ここで、側部10bは、側部1bとは異なり、外面側、内面側とも木片2が長手方向に交差する面で切断され、例えば同心円状の年輪が径方向に不規則に圧縮された同心閉曲線状の木目線20などにより、木目模様Mとは異なるパターンを有する木目模様Nが表面に露出している。
【0056】
本実施形態の圧縮木材加工品10の製造方法について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品を製造するためのブランク部材を形成するための集成材について説明するための斜視説明図である。図9(a)、(b)、(c)は、本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品の各製造工程について説明するための図7(a)のC−C線に沿う断面の工程説明図である。
【0057】
本実施形態に係る圧縮木材加工品10の製造方法は、第1の実施形態と異なるブランク部材形成工程と第1の実施形態と略同様の圧縮成形工程とからなる。
本実施形態のブランク部材形成工程は、相対的に短尺の複数の木片を配列し高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤により接合して相対的に長尺に形成された集成材を用いて、3次元形状を形成する圧縮成形を行うためのブランク部材を形成する工程である。ただし、第1の実施形態と異なり、本実施形態では、ブランク部材として、圧縮木材加工品10の外形に略沿った形状で、圧縮代を設けるため圧縮木材加工品10よりも厚肉とした3次元形状を有するものを形成する。
【0058】
そのために、図8に示すように、圧縮木材加工品10の形状よりも大きい集成材7、例えば、短辺×長辺×高さが、W×L×t(ただし、W>W、L>L、t>h)の直方体状のブロック部材を用いる。このような集成材は、ブランク部材3の厚さtをt(>t)に代えた一層の集成材を用いてもよいが、本実施形態では、図8に示すように、ブランク部材3と同様な集成材を多層(例えば3層)に重ねて接着剤層Pを介して密着接合した集成材7の例で説明する。
集成材7の板面7a、7bは、ブランク部材3の板面3a、3bと同様に、それぞれ木片2の側面2C、2Eが整列した平面である。
【0059】
集成材7の製造方法は、第1の実施形態と同様にして行うことができる。すなわち、木片2から製作してもよいし、木片2の組合せなどが所望の条件に合う集成材の板材やブロック材があれば、それを切断したり接着したりして、上記寸法のものを形成してもよい。
【0060】
ブランク部材としては、集成材7を切削加工して、図9(a)に示すような3次元ブランク部材30を形成する。
3次元ブランク部材30は、例えば、図7のC−C線に沿う断面では、側部10b、底部10a、側部10bに対応して、その内面形状に略沿う形状のブランク側部内面30d、ブランク底部内面30a、ブランク側部内面30dが切削加工され、またその外面形状に略沿う形状のブランク側部外面30e、ブランク底部外面30b、ブランク側部外面30eが切削加工され、3次元ブランク部材30の側部、底部が板厚tよりも厚い形状とされている。
例えば、底部の厚さは、厚さT(ただし、t>T>t)とされている。側部の厚さは、先端部に向けてTから、Tよりも小さくtよりもやや大きな厚さに徐変されている。また、図示しない側部10cに対応する3次元ブランク部材30の側部も同様である。
【0061】
このように切削加工することにより、側部10bに対応するブランク側部内面30dとブランク側部外面30eは、木片2が長手方向に交差して切削され、例えば同心状の年輪の閉曲線群が木目線20として露出される。
【0062】
次に、本実施形態の圧縮成形工程について説明する。
本実施形態に係る圧縮成形工程は、第1の実施形態の圧縮成形工程において、ブランク部材3を3次元ブランク部材30に代えたものである。ただし、上金型5A、下金型5Bの金型面である底部金型面5a、側部金型面5b、底部金型面5c、側部金型面5dなどは、圧縮木材加工品10の底部10a、側部10bなどの内面および外面の形状に応じた3次元形状とされる。
【0063】
まず、図9(a)に示すように、3次元ブランク部材30を上金型5A、下金型5Bの間にセットする。
そして、上金型5A、下金型5Bを図示上下方向にスライドし、第1の実施形態と同様にして3次元ブランク部材30を上下方向に圧縮し、金型面の形状が転写され、固定されるまで、型締めを保持し(図9(b)参照)、このまま所定時間、型締めを保持し、水分を乾燥させてから脱型する(図9(c)参照)。
脱型後、必要に応じて側部の端部を除去加工して、開口端部10eの形状を仕上げる。
このようにして圧縮木材加工品10を製造することができる。
【0064】
このような製造方法によれば、金型面に略沿った形状に加工された3次元ブランク部材30を用いるので、凹凸の差が激しい複雑な3次元形状であっても3次元ブランク部材30が金型により過大に引っ張られることがない。そのため、高精度かつ容易な圧縮成形を行うことができる。
また、圧縮成形時に、接着剤層Pが軟化して、各木片2が相対移動しやすくなることにより、ムク材から切削した3次元ブランク部材に比べて、さらに成形性を向上することができる。
【0065】
また、集成材7は、種々の木片2が多層に接着接合されているため、そり特性や強度などの機械的特性が、平均化された材料となるので、そり特性や強度などに偏りがあるムク材に比べて、3次元ブランク部材30を切削加工する場合の加工精度を向上することができる。
また、集成材7を切削加工して3次元ブランク部材30を形成するので、切削形状に応じて木片2が切断され、きわめて変化に富んだ木目模様Nが形成される。そのため優れた外観を有する圧縮木材加工品10を製造することができる。
また、集成材7のうち切削される領域の木片2は、安価な木材や切削容易な木材を用いると、製造コストを削減することができるという利点がある。
【0066】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る圧縮木材加工品について説明する。
図10(a)は、本発明の第3の実施形態に係る圧縮木材加工品の概略構成について説明するための斜視説明図である。図10(b)は、図10(a)のD−D断面図である。
【0067】
本実施形態の圧縮木材加工品11は、第1の実施形態の圧縮木材加工品1と同様に木片2…(木片2a、2bを含む)を寄せ木細工状に組み合わせて配置し、高さをHとした略同形状の函状部材であり、第2の実施形態の圧縮木材加工品の製造方法を変形した製造方法により製造されたものである。
すなわち、圧縮木材加工品11の形状は、図10(a)、(b)に示すように、圧縮木材加工品1の底部1a、側部1b、1b、側部1c、1c、開口部1d、開口端部1eに代えて、底部11a、側部11b、11b、側部11c、11c、開口部11d、開口端部11eを備える。
そして、圧縮木材加工品11の外面側と側部11bの内面側とでは、異なったタイプの木目模様が形成されている。すなわち、圧縮木材加工品11の外面側は、圧縮木材加工品1と同様の構成の木目模様Mが露出されている。一方、内面側の木目模様は木片2を長手方向に交差して切断した木目線20による木目模様Nが露出されている。
例えば、図10(a)に示すように、側部11bには、外面側は側部1bと同様に集成材7の板面7aに対応して、木片2の側面2Cが露出された成形面、本実施形態では木質繊維が略連続した成形面を形成している。一方、内面側は木質繊維が切断され、木目線20に示すような年輪が現われている。
【0068】
本実施形態の圧縮木材加工品11の製造方法について、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図11(a)、(b)、図12(c)、(d)は、本発明の第3の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いる3次元ブランク部材の各製造工程について説明するための図10(a)のD−D線に沿う断面の工程説明図である。
本実施形態の製造方法は、第2の実施形態と同様にブロック状の集成材7から3次元ブランク部材を形成するが、第2の実施形態の製造方法とは異なり、ブランク部材形成工程が、1次圧縮工程と2次加工工程とからなる。
【0069】
1次圧縮工程は、圧縮成形されてブロック状に成形された集成材7をブランク部材の形状の一部を形成する金型により圧縮成形して、1次圧縮部材を形成する工程である。
本工程に用いる金型は、例えば図11(a)に示すように、上金型15A、下金型15Bを用いることができる。
上金型15Aは、平面からなる押圧面15aを有するものである。
下金型15Bは、圧縮木材加工品11の外面側の形状に略沿う3次元形状を形成する底部金型面15c、側部金型面15d、15dなどを備えている。側部金型面15dは、底部金型面15cから突出して設けられている。なお、図示しない紙面奥行き方向には、側部11cの形状に略沿う3次元形状を形成する側部金型面が当然に設けられている。
そして、上金型15Aと下金型15Bとは、図示上下方向に相対的にスライド移動可能とされている。
【0070】
1次圧縮工程では、図11(a)に示すように、集成材7を上金型15A、下金型15Bの間にセットする。そして、上金型15A、下金型15Bを図示上下方向にスライドし、厚さtの集成材7を上下方向に厚さt(ただし、t>H)となるまで圧縮する。
ここで、高温高圧水蒸気により集成材7を軟化しつつ圧縮することは第1、2の実施形態と同様である。
【0071】
このとき、集成材7は、底部金型面15cから突出した側部金型面15dにより圧縮されるので、側部金型面15d、15dが集成材7の内部に食い込む状態で3次元形状が形成され、近傍の圧縮率が高くなっている。一方、押圧面15a側に当接した集成材7は、一様に圧縮される。
そのため、図11(b)に示すように、側部金型面15dの近傍に相対的な高圧縮部31Aが形成され、その他の部分が、集成材7よりも平均密度が大きく高圧縮部31Aよりは平均密度が小さい相対的な低圧縮部31Bに形成される。そして、下金型15Bの底部金型面15c、側部金型面15dなどの金型面の3次元形状が転写されたブランク下面31b、ブランク側面31eが形成される。
また、集成材7の上面側では、側部金型面15dの影響により押圧面15aに沿う方向に木材が変形しにくくなるので、ブランク上面31aは、押圧面15aとの当接面が内部側に窪んだりしわが寄ったりした形状に変形される。
ここで、厚さtを適宜に設定すれば、高圧縮部31Aと低圧縮部31Bとの領域分布や平均密度の大きさを制御することができる。
【0072】
そして、下金型15Bの金型面の形状が転写され、固定されるまで、型締めを保持し(図11(b)参照)、このまま所定時間、型締めを保持し、水分を乾燥させてから脱型し、1次圧縮ブランク31(1次圧縮部材)を取り出す(図12(c)参照)。
以上で1次圧縮工程が終了する。
【0073】
2次加工工程は、1次圧縮ブランク31を切削加工して3次元ブランク部材32(図12(d)参照)を形成する工程である。
本工程では、ブランク下面31b、ブランク側面31eなどを残し、ブランク上面31a側から切削加工して、底部金型面5a、側部金型面5bの3次元形状に略沿った3次元形状を有する切削面32a、32dを形成する。集成材7における木片2の配置方向から、本実施形態では、切削面32aは、木質繊維方向に略沿った面となり、切削面32dは、主として木質繊維方向に交差した面となる。そのため、切削面32aと切削面32dとでは、異なったタイプの木目模様が露出するものである。
【0074】
このように、本実施形態の製造方法では、3次元ブランク部材32の表面が、圧縮成形による面と、切削加工による面とで構成されるので、それぞれに応じた木目模様が形成される。
そして、3次元ブランク部材32を用いて、第2の実施形態と同様に圧縮成形工程を行うことにより、圧縮木材加工品11を製造することができる。
【0075】
また本実施形態の製造方法によれば、2次加工工程における切削面32a、32dなどの形状を可変することにより、圧縮成形工程における圧縮代を可変することができるから、圧縮木材加工品11の平均密度を容易に制御することができる。
例えば、高圧縮部31Aの近傍では、残存する肉厚を薄くし、低圧縮部31Bでは残存する肉厚を厚くすることにより、3次元形状の圧縮成形であっても平均密度を均等化することが可能である。また、特定の部位の平均密度が大きくなる形状に切削加工することにより、特定の部位に大きな外力が加わる場合でも耐久性を高めることができる。
【0076】
なお、上記の説明では、圧縮木材加工品として、平面視矩形状で一方に開口した函状部材を例にとって説明したが、3次元形状に圧縮成形する形状であれば、本発明は、このような函状部材に限定されない。例えば、種々の平面視形状や複雑な凹凸を有する湾曲面、開口部などを有する部材であってもよい。
そして、ブランク部材として3次元ブランク部材を用いる場合には、3次元ブランク部材の形状も圧縮木材加工品の形状に合わせて、必要な圧縮代を設けた適宜の3次元形状を採用することができる。
【0077】
また、上記の説明では、ブランク部材を形成する集成材として、板部材の場合と、板部材を多層に接着したブロック部材の場合との例で説明したが、集成材を構成する複数の木片の形状や配列を適宜設定することにより、凹凸を有する3次元形状の集成材を用いてもよい。
特に、第2の実施形態のように3次元ブランク部材を形成する場合には、3次元ブランク部材の外形よりわずかに大きい3次元形状に形成することが好ましい。
図13は、第2の実施形態に採用することができる3次元形状を有する集成材の一例について説明するための斜視説明図である。
【0078】
図13に示す集成材8は、寸法が長辺L×短辺W×厚さTに形成されブランク部材3と同様の構成を有する底面部8aと、その外周上に、複数の木片2を密着接合した厚さTの側面部8c、8c、8b、8bを立設し、接着剤層Pを介してそれぞれ密着接合した図示上方に開口した函状部材である。
このような集成材8によれば、第2の実施形態の3次元ブランク部材30を、第2の実施形態よりも、少ない切削量で形成することができる。
そのため、集成材7から3次元ブランク部材30を加工する場合に比べて、加工を迅速に行うことができ、材料損失も低減できるという利点がある。
また、可能であれば、集成材8を3次元ブランク部材として、圧縮成形工程を行ってもよい。
【0079】
また、上記の第3の実施形態の説明では、圧縮木材加工品の外面側に木片2の側部または木質繊維に沿って成形された表面が露出し、側部の内面側に木質繊維に交差する破断面が露出する例で説明したが、上金型5Aと下金型5Bとの形状を変えれば、それぞれを逆側の面に露出させることは容易である。
【0080】
また、上記の第2の実施形態の説明では、3次元ブランク部材のブランク底部が集成材の木質繊維方向に沿う方向に延された場合を例にとって説明したが、3次元ブランク部材は、集成材から任意の方向に切り出すことができる。それにより、3次元ブランク部材上で、木質繊維方向に対する切断角度が可変され、より変化に富んだ木目模様を形成することができる。
【0081】
また、上記の第3の実施形態の説明では、3次元ブランク部材に残す成形面が一方の金型のみで形成される場合で説明したが、1次圧縮部材を2次加工する側の成形面の一部を切削することなく残存させ、3次元ブランク部材を構成する表面として利用してよい。
この場合、2次加工工程の切削量が低減できるので、効率的に製造できるという利点がある。
【0082】
また、上記の説明では、木片の長手方向が木質繊維方向と略一致する場合の例で説明した。このようにすれば、間伐材などからの加工が容易になるとともに棒状木片の全長にわたって木質繊維が連続するので強度を向上することができるという利点があるが、十分な強度が得られる場合は、棒状木片の長手方向が木質繊維方向と交差し、木片内で全長にわたって木質繊維が連続しないものを用いてもよい。
この場合、木片の表面に現われる木目模様がより変化に富んだものとなるので、より変化に富んだ木目模様を露出させることができるという利点がある。
【0083】
また、上記の説明では、複数の木片として長手方向の端部に継手部を形成して集成材を形成する例で説明したが、継手部を設ける位置は長手方向の端部に限定されず、短手方向の側面に設けてもよい。
【0084】
また、上記の説明では、複数の木片として、それぞれが同一形状の部材の例で説明したが、寄せ木細工状に密着接合できれば、複数種類の形状の木片を組み合わせてもよい。例えば、長さが異なるもの、断面が異なるもの、継手部の形状が異なるものを自由に組み合わせることができる。
また、木片の断面は、矩形状とは限らず、例えば三角形状や六角形状などの他の多角形形状を採用することができる。
【0085】
また、上記の説明では、ブロック状の集成材として、板状の集成材が多層に接着された場合の例で説明したが、例えば、四角柱を適宜組み合わせて凹凸嵌合を繰り返すことにより、板状の集成材に分割できない構成のブロック状の集成材としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品の概略構成について説明するための斜視説明図およびそのA−A断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品を製造するためのブランク部材を兼ねる集成材について説明するための斜視説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いる集成材を構成する木片の1例について説明するための斜視説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品の圧縮成形工程について説明するための図1(a)のA−A線に沿う断面の工程説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いることができる集成材の変形例について説明するための斜視部分断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いることができる木片の継手部の他の変形例について説明するための模式説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品の概略構成について説明するための斜視説明図およびそのC−C断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品を製造するためのブランク部材を形成するための集成材について説明するための斜視説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る圧縮木材加工品の各製造工程について説明するための図7(a)のC−C線に沿う断面の工程説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る圧縮木材加工品の概略構成について説明するための斜視説明図およびそのD−D断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る圧縮木材加工品に用いる3次元ブランク部材の各製造工程について説明するための図10(a)のD−D線に沿う断面の工程説明図である。
【図12】同じく図11に続く各製造工程について説明する工程説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に採用することができる3次元形状を有する集成材の一例について説明するための斜視説明図である。
【符号の説明】
【0087】
1、10、11 圧縮木材加工品
2、2a、2b 木片
3、60 ブランク部材(集成材)
5A 上金型(金型)
5B 下金型(金型)
7、8 集成材
15A 上金型
15B 下金型
20 木目線
30、32 3次元ブランク部材
31 1次圧縮ブランク(1次圧縮部材)
31A 高圧縮部
31B 低圧縮部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材を金型により圧縮成形して3次元形状を形成する圧縮木材加工品の製造方法であって、
前記木材として、相対的に短尺の複数の木片を配列し高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤により接合して相対的に長尺に形成された集成材を用いて、圧縮成形のためのブランク部材を形成するブランク部材形成工程と、
前記ブランク部材を前記金型により高温水蒸気雰囲気で圧縮成形する圧縮成形工程とを備えることを特徴とする圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項2】
前記ブランク部材形成工程では、前記ブランク部材を、前記集成材から構成される板部材として形成することを特徴とする請求項1に記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項3】
前記ブランク部材形成工程では、前記ブランク部材を、前記集成材から切削加工することにより、前記金型の金型面の形状に略沿う3次元形状を有する3次元ブランク部材として形成することを特徴とする請求項1に記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項4】
前記集成材が、前記ブランク部材の外形よりわずかに大きい3次元形状に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項5】
前記ブランク部材形成工程が、
前記集成材を圧縮成形して前記ブランク部材の形状の一部を形成した1次圧縮部材を形成する1次圧縮工程と、
前記1次圧縮部材を切削加工して前記ブランク部材の他の部分を形成する2次加工工程とからなることを特徴とする請求項3または4に記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項6】
前記複数の木片が間伐材からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項7】
前記複数の木片が複数の材質の木材からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項8】
前記複数の木片が平均密度の異なる木材を組み合わせてなることを特徴とする請求項1〜7に記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項9】
前記集成材を構成する複数の木片にフィンガージョイントが形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の圧縮木材加工品の製造方法。
【請求項10】
木材を金型により圧縮成形して3次元形状を形成した圧縮木材加工品であって、
加工品本体の表面に、高温水蒸気雰囲気で軟化する接着剤層を介して互いに接合された複数の木片が露出してなり、
前記加工品本体の表面に露出した前記複数の木片が、前記加工品本体の表面に沿う方向における前記各木片の外形の長手方向および短手方向で接合されていることを特徴とする圧縮木材加工品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−327137(P2006−327137A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157051(P2005−157051)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】