説明

圧縮機及び圧縮機の運転方法並びに冷凍サイクル装置

【課題】圧縮機停止時の待機電力を低減する。
【解決手段】圧縮機本体11と、反応作動媒体の吸着時に発熱する吸着剤を有し圧縮機本体を覆う吸着剤充填部材51と、吸着剤充填部材内の吸着剤に反応作動媒体を供給する導入管62と、導入管に設けられ導入管を開閉する導入弁52と、反応作動媒体を排出する排出管63と、排出管に設けられ排出管を開閉する排出弁53とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機及び圧縮機の運転方法並びに冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式空気調和機,冷凍機,給湯機などに使用される圧縮機には、圧縮機ヒータが表面に巻かれており、圧縮機停止時に圧縮機内部に冷媒が溜り込まないよう通電されている。また、圧縮機表面はカバーで断熱され放熱をおさえている。更に、このカバーに蓄熱材を使い圧縮機運転中の発熱エネルギーを蓄熱材に蓄熱させることにより圧縮機停止時の温度低下や冷媒溜り込みを抑制する例が特開2002−61967号公報で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−61967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、圧縮機を長時間停止する場合は蓄熱材に蓄えた圧縮機運転中の発熱エネルギは消失するため、圧縮機ヒータ容量を低減できず、待機電力の低減はできないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、圧縮機停止時の待機電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、圧縮機本体と、反応作動媒体の吸着時に発熱する吸着剤を有し前記圧縮機本体を覆う吸着剤充填部材と、前記吸着剤充填部材内の前記吸着剤に前記反応作動媒体を供給する導入管と、前記導入管に設けられ前記導入管を開閉する導入弁と、前記反応作動媒体を排出する排出管と、前記排出管に設けられ前記排出管を開閉する排出弁とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧縮機停止時の待機電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1の形態による吸着剤充填部材設置図である。
【図2】本発明の実施例1の形態による吸着剤充填部材図である。
【図3】本発明の実施例2の形態による吸着剤充填部材図である。(吸着水導入管2本)
【図4】本発明の実施例3の形態による吸着剤充填部材図である。(吸着水導入管多数)
【図5】本発明の実施例4の形態による吸着剤充填部材図である。(大気中の水分導入)
【図6】本発明の実施例1の形態による吸着剤充填部材の構造図である。(密閉式)
【図7】本発明の実施例1の形態による吸着剤充填部材の構造図である。(カバー式)
【図8】吸着剤充填部材を用いた圧縮機を含む冷凍サイクル図例である。
【図9】吸着剤充填部材を用いた圧縮機を含む冷凍サイクル図例である。(ドレン水導入)
【図10】吸着剤充填部材を用いた圧縮機を含む冷凍サイクル図例である。(真空ポンプにて再生)
【図11】吸着剤充填部材を用いた圧縮機を含む冷凍サイクル図例である。(密閉型ケミカルヒートポンプ)
【図12】吸着剤充填部材の吸着,再生状態と弁の動作の図である。
【図13】吸着剤充填部材の吸着,再生の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の圧縮機カバーの実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の実施例1による吸着剤充填部材設置図である。この圧縮機(圧縮機本体)11は空気調和機,冷凍機,給湯機のいずれに使用されてもよい。また、図のように縦に長くても横に長くてもよい。図中の中心の円筒が圧縮機11であり、この表面に吸着剤充填部材51を巻いている。この吸着剤充填部材51の上部には吸着反応させる際に使用する水を導入する吸着水導入管(導入管)62が接続され、吸着水導入管62の途中に設けられた吸着水導入弁(導入弁)52を開くことで水が導入される。圧縮機11の停止中に吸着水導入管62から吸着剤充填部材51に水が導入されると、吸着剤充填部材51の内部に敷き詰められた吸着剤が発熱(吸着反応)する。発生する熱量や反応終了までの時間は吸着材の量や吸着材の種類,水の量等で変化する。反応が終了したり、必要な熱量が得られた時点で吸着水導入弁52を閉じる。
【0011】
吸着剤充填部材51は水が吸着,再生可能な程度に隙間を確保しているとよい。吸着剤については、水を吸着するゼオライト,活性炭,活性アルミナ,シリカゲルなどを使用してもよく、ケミカルヒートポンプとして活用できる物質を使ってもよい。例えば塩化マグネシウム/水,硫酸/水の反応熱を利用してもよい。また、実施例では反応作動媒体は水を想定しているが、水以外にアンモニア,メタノール,水素などでもよく、アンモニア化物/アンモニア,塩化カルシウム/メタノール,金属水素化物/水素の組み合わせでもよい。
【0012】
圧縮機11を温めるために必要な熱をヒータや蓄熱材に替えて上記のような化学反応を用いると、これらと比較して、低電力で必要な時に熱を発生させることができる。従って、圧縮機11の停止中の冷媒寝込みを防止するための待機電力を低減することができる。また更に発熱量を調節すれば、低電力で必要な時に必要な熱量を発生させることができる。従って、圧縮機11の温度を運転直前に高くし暖房運転時の立ち上がりを早くすることができる。
【0013】
吸着材は吸着した水を分離(再生反応)させることで、再度水を吸着させることができる。再生するために吸着材を加熱する必要があり、圧縮機11を起動させて運転中の圧縮機11から発生する熱を用いる。吸着剤充填部材51の下部には再生反応時に発生した水あるいは水蒸気を排出する再生水排出管(排出管)63が接続され、再生水排出管63の途中に設けられた再生水排出弁(排出弁)53を開くことで水が排出される。排出終了後に再生水排出弁53を閉じることで吸着剤充填部材51内は閉空間となり、水分が入りにくいので、次回吸着材を使用するときまで再生したままの状態を維持することができる。
【0014】
圧縮機11の運転開始時には、吸着材が水分を吸収する発熱を利用して冷媒寝込みを防止するための待機電力を低減することができ、圧縮機11の運転中には、圧縮機11の運転による発熱を利用して吸着材の水分を放出し再生することができる。
【0015】
本実施例では吸着剤充填部材51の外側に圧縮機カバー50を巻いている。これによれば、吸着剤充填部材51で生じた熱を逃がし難くすることで圧縮機11の保温効果が高まるため、更に待機電力を低減し、圧縮機11の立ち上がりが早くなり易い。
【0016】
図2は本発明の実施例1の形態による吸着剤充填部材図である。吸着剤充填部材51の形状は、圧縮機11に後から取付けられるように円筒形状となっており、吐出配管が側面に接続される場合には、圧縮機11に巻きつけられるように円筒が平面に展開できるようになっていてもよい。
【0017】
図6は実施例1による吸着剤充填部材の構造図である。吸着剤は吸着剤充填部材単体で密閉された空間内に配置されている。これにより、圧縮機に後付が可能であり、事前に吸着剤充填部材単体で吸着剤を再生できるため、組立作業性が向上する。
【0018】
図7は実施例1による吸着剤充填部材の構造図である。本図では吸着剤を圧縮機11表面に付着させている。この吸着剤と外気を遮断するために吸着剤充填部材カバーを上から取付けている。図6の吸着剤充填部材より圧縮機表面に吸着剤が付着していることにより、吸着剤の発熱エネルギを圧縮機に直接伝達できるため熱効率が高くなり、更に待機電力を低減し、圧縮機11の立ち上がりが早くなり易い。
【0019】
図12は本実施例の吸着剤充填部材の吸着,再生状態と弁の動作の図である。状態として通常状態,吸着状態,再生状態の3つに分かれており、通常状態は吸着水導入弁,再生水排出弁が共に閉止、吸着状態は吸着水導入弁が開、再生水排出弁が閉、再生状態は吸着水導入弁が閉、再生水排出弁が開としている。なお、図11のような閉ループの場合などは、吸着,再生状態の場合、吸着水導入弁,再生水排出弁ともに開としてもよい。図12で示す状態は、以下の実施例においても共通する。
【0020】
図13は本実施例の吸着剤充填部材の吸着,再生の制御フローチャートである。図12に記載した3つの状態をそれぞれ遷移させることにより吸着,再生を実施する。
【0021】
まず、通常状態について説明する。通常状態には判定が2つあり、1つは吸着状態への遷移判定、もうひとつは再生状態への遷移判定である。吸着状態遷移条件として、吸着剤の再生が終了し吸着可能であること、圧縮機起動直前であること(圧縮機OFF⇒ON)、吸着熱が必要であること(Tcomp<T_kyu等)を条件としてもよい。吸着可能の判定に再生終了のフラグを使用してもよく、電源リセット時や製品初回などは再生終了フラグを立ててもよい。図のようにFlg=0を再生終了フラグとしてもよい。これらの条件を満たす場合は吸着状態へ遷移し、満たさない場合は再生状態への遷移判定式へ移行する。再生状態遷移条件としては、吸着剤の再生が必要であること、圧縮機温度が再生可能な温度に達していること(Tcomp>T_sai等)を条件としてもよい。吸着剤の再生要否判定に吸着終了のフラグを使用してもよく、図のようにFlg=1を吸着終了フラグとしてもよい。これらの条件を満たす場合、再生状態へ遷移し、満たさない場合は通常状態へ留まり、適切な時間間隔で再度吸着状態への遷移判定式へ移行する。
【0022】
次に吸着状態について説明する。吸着状態には吸着状態終了の判定がある。ここで、吸着状態の終了条件として、圧縮機温度(吸着剤温度),外気温度,吸着反応の時間,室外機の運転状態を総合して判断してもよい。圧縮機温度に関しては必要温度確保できれば吸着反応を終了してもよく、必要温度の判断に外気温度などを含めて判断してもよい。また、吸着剤温度が上昇すると吸着反応自体も遅くなり吸着できる水分量も減少するため、圧縮機温度と吸着反応の時間を含めて吸着反応を終了してもよい。また、室外機が吸着状態で停止した場合は吸着状態を終了し通常状態に移行してもよい。吸着状態終了条件を満たさない場合は吸着状態を継続し、吸着状態終了条件を満たした場合は、吸着剤の状態フラグに吸着終了を立てた後、通常状態に移行する。また、吸着量が僅かで再生せず再び吸着反応可能な場合は、吸着剤の状態フラグを吸着可能のままにして吸着状態を終了してもよい。この場合、通常状態から再生状態は移行せず次の圧縮機起動時に再び吸着状態に移行する。
【0023】
次に再生状態について説明する。再生状態には再生状態終了の判定がある。ここで、再生状態の終了条件として、圧縮機温度(吸着剤温度),外気温度,吸着反応の時間,室外機の運転状態を総合して判断してもよい。吸着剤温度に関しては再生できない温度まで低下した場合は再生反応を終了してもよく、再生可否の判断には外気温度などを含めて判断してもよい。また、吸着剤温度が低下すると再生反応自体も遅くなり発生する水分量も減少するため、圧縮機温度と再生反応の時間を含めて再生反応を終了させてもよい。また、室外機が再生状態で停止した場合でも、圧縮機に余熱があれば再生状態を継続してもよく、再生状態を終了して通常状態に移行してもよい。なお、室外機および圧縮機が停止した通常状態でも、圧縮機ヒータ加熱で熱が確保できれば再生状態に移行できる。再生状態終了条件を満たさない場合は再生状態を継続し、再生状態終了条件を満たした場合は、吸着剤の状態フラグに再生終了を立てた後、通常状態に移行する。また、再生量が僅かで再び再生が必要な場合は、吸着剤の状態フラグを吸着終了のままにして吸着状態を終了してもよい。図13で示すフローチャートは、以下の実施例においても共通する。
【実施例2】
【0024】
図3は本発明の実施例2による吸着剤充填部材図である。吸着剤充填部材51に吸着させる水が均等に行き渡らせるように吸着水導入管62が2本となっている。また、再生時に発生した水が吸着剤充填部材51下部に溜らないように円筒の下面に勾配を設け、最も低くなる箇所に再生水排出管63を取り付けてもよい。これによれば、ほとんどの水を排出できるので、水に浸かり再生できない吸着材を減らすことができ、毎回十分な吸着反応を生じさせることができる。
【実施例3】
【0025】
図4は本発明の実施例3による吸着剤充填部材図である。吸着剤充填部材51に吸着させる水を更に均等に行き渡らせるように吸着水導入管62を円周方向に9本に増やしている。これより多数にしてもよく、少なくてもよい。これにより吸着反応を短時間で発生させることができるので、暖房運転時の立ち上がりを更に早くすることができる。
【実施例4】
【0026】
図5は本発明の実施例4による吸着剤充填部材図である。図1〜図4では吸着時に水を導入する場合を説明してきたが、本吸着剤充填部材では大気中の水蒸気を導入することにより吸着反応を発生させる。大気中の水蒸気導入方法としては、図1〜図4のように導入管を使用してもよいが、吸着反応を短時間で発生させるために2重円で囲まれた上部平面を持ち上げる機構で大気中の水蒸気を導入してもよい。持ち上げ方としては左図のように一端のみを持ち上げる方法や、右図のように円周方向に複数箇所で均等に持ち上げても良い。この方式では、水蒸気導入のバルブは省略できる。また、再生時に発生する水蒸気を排出する方法として、上部平面を持ち上げてもよい。同様に再生時に図1〜図4の導入管を開いて水蒸気を排出してもよい。
【実施例5】
【0027】
図8は本発明の吸着剤充填部材を用いた圧縮機を含む冷凍サイクル図の例である。図では室内機をつけて空気調和機としているが、室内機の代わりにプレート熱交換器をつけて室外熱源機として使用してもよく、2重管を使い水と熱交換して給湯機として使用してもよい。
【0028】
まず、室外機10及び圧縮機11が停止している場合の冷媒の挙動、及び吸着剤の吸着反応について説明する。冷房運転時期は、外気が高く室外機10および圧縮機11の温度は高い。更に室内温度よりも外気が高い場合には、冷媒が室外機10側より室内機40側に多く溜るため、停止中の圧縮機11へ冷媒が溜りにくい。一方、暖房運転時期の方は外気が低く圧縮機11の温度も低くなりやすい。また、一般に室内温度よりも外気が低く冷媒が室内機40側より室外機10側に冷媒が溜るため、停止中の圧縮機11へ冷媒が溜りやすい傾向にある。停止中の圧縮機11へ冷媒が溜ると、圧縮機11内部で保有している油の粘度が低下し、運転開始時の圧縮機機構部の潤滑不良を起こす。これを防ぐために圧縮機11には圧縮機ヒータ54を巻き通電する。また、圧縮機停止時の通電量(待機電力)を低減するために圧縮機カバー50も巻き効率よく圧縮機温度を上昇させると同時に、圧縮機サーミスタ55で圧縮機温度を計測し、冷媒が溜らない程度の温度を確保できた場合は圧縮機ヒータ54の通電を切ることを実施している。本実施例では更に圧縮機起動直前に吸着水導入弁52を開いて吸着剤に吸着反応を起こし発熱させ、圧縮機温度を上げることができる。この熱を見込んで圧縮機停止時の温度を低めにし、圧縮機停止時の待機電力を低減することが可能である。また、圧縮機停止時の待機電力は同等にし、起動直前の圧縮機温度を高くすることにより、暖房運転時の立ち上がりを早くすることも可能である。ここで、吸着剤の吸着反応が終了した時点、或いは起動時の熱エネルギが不要となった時点で吸着水導入弁52を閉じて再生反応に備え待機する。
【0029】
次に室外機10の暖房運転時の冷媒の流れ、及び吸着剤の再生反応を説明する。圧縮機11で圧縮された高圧ガス冷媒が、四方弁13にてガス管30,室内機40へ送られ、室内熱交換器41で室内空気と熱交換し凝縮して高圧液冷媒となる。そして液主管34へ送られ室外膨張弁15で減圧し室外熱交換器14で室外空気と熱交換し蒸発して低圧ガス冷媒となり、四方弁13にて圧縮機11へ送られ再び圧縮される。ここで暖房起動時に圧縮機11の温度が低いと、高圧チャンバ方式の場合吐出した高圧ガスの熱の一部が圧縮機11の温度上昇に使われるため暖房の立ち上がりに時間がかかる。また低圧チャンバ方式でも、暖房起動時に圧縮機温度が低いと、吸入冷媒に与える熱量が少なく吐出冷媒の熱量も少なくなるため、暖房の立ち上がりに時間がかかる。このため、起動直前の圧縮機温度を高くすることは暖房の立ち上がりを早めるのに効果がある。ここで、暖房が立ち上がった後、圧縮機11の温度が上昇した時点で、再生水排出弁53を開き吸着剤に吸着した水を外部に排出する。再生反応が終了した時点、或いは不要な水や水蒸気を排出した時点で再生水排出弁53を閉じ次の吸着反応に備える。吸着水導入弁52と再生水排出弁53の制御は制御回路61で実施される。
【実施例6】
【0030】
図9は図8の冷凍サイクル図の例に対し、吸着水導入弁52の元になる水供給源を室外機10のドレン水とした例である。暖房運転時期には室外機10は蒸発器となり、外気中の水分が室外熱交換器14で結露し下部に溜る。或いは着霜した場合、除霜制御に入り水が下部に溜る。この水を室外熱交換器14の下部に設置したドレンパン57で回収し、吸着反応時に利用することにより、外部供給水が不要となる。
【実施例7】
【0031】
図10は図8の冷凍サイクル図の例に対し、再生水排出弁53の先に真空ポンプ58を取付けた例である。吸着剤の再生反応時に吸着剤充填部材51を真空に引くことにより吸着剤に吸着された水分や水蒸気を効果的に排出することが可能である。
【実施例8】
【0032】
図11は図8の冷凍サイクル図の例に対し、吸着水導入弁52と再生水排出弁53の先にフィンチューブ熱交換器59を取り付け、水あるいは反応作動媒体を密閉し吸着再生反応を行う例である。まず吸着反応時は、フィンチューブ熱交換器59に反応作動媒体をおき、吸着水導入弁52や再生水排出弁53を開き反応させる。このときフィンチューブ熱交換器59の反応作動媒体は蒸発し温度が下がるため室外ファン19を回して外気と熱交換しながら吸着反応を起こしてもよい。反応が終了すると吸着水導入弁52や再生水排出弁53を閉じて再生反応に備える。
【0033】
次に再生反応時は、吸着水導入弁52や再生水排出弁53を開き、室外ファン19を回し反応させる。吸着剤充填部材51の温度が高くフィンチューブ熱交換器59の温度が低い状態のため、反応作動媒体は吸着剤を出てフィンチューブ熱交換器59内に凝縮する。反応が終了すると吸着水導入弁52や再生水排出弁53を閉じて吸着反応に備える。このような熱サイクルを閉ループで実施することにより、水などの供給が不要なほか、アンモニア,メタノールや水素などの反応作動媒体でも実現可能となる。また、水ならば圧力を大気圧力より低くし、フィンチューブ側での凝縮や蒸発,吸着剤の吸着,再生反応が適正に行える圧力に調整することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 室外機
11 圧縮機(圧縮機本体)
13 四方弁
14 室外熱交換器
15 室外膨張弁
19 室外ファン
30 ガス管
34 液主管
40 室内機
41 室内熱交換器
42 室内膨張弁
50 圧縮機カバー
51 吸着剤充填部材
52 吸着水導入弁(導入弁)
53 再生水排出弁(排出弁)
54 圧縮機ヒータ
55 圧縮機サーミスタ
57 ドレンパン
58 真空ポンプ
59 フィンチューブ熱交換器
61 制御回路
62 吸着水導入管(導入管)
63 再生水排出管(排出管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体と、反応作動媒体の吸着時に発熱する吸着剤を有し前記圧縮機本体を覆う吸着剤充填部材と、前記吸着剤充填部材内の前記吸着剤に前記反応作動媒体を供給する導入管と、前記導入管に設けられ前記導入管を開閉する導入弁と、前記反応作動媒体を排出する排出管と、前記排出管に設けられ前記排出管を開閉する排出弁とを備えることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮機本体の停止時に前記導入弁を開けて前記吸着剤充填部材内の前記吸着剤に前記反応作動媒体を供給することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記導入管は前記吸着剤充填部材の上部に接続され、前記排出管は前記吸着剤充填部材の下部に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記導入管を複数備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の圧縮機。
【請求項5】
前記吸着剤充填部材は前記圧縮機の側面を覆う円筒形状であり、前記吸着剤充填部材の下面に勾配を設けることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の圧縮機。
【請求項6】
前記排出管に真空ポンプを備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の圧縮機。
【請求項7】
前記吸着剤充填部材にゼオライトを用い、前記反応作動媒体に水又は水蒸気を用いることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の圧縮機。
【請求項8】
前記導入弁を開けて前記吸着剤充填部材内の前記吸着剤に前記反応作動媒体を供給するステップと、前記導入弁を閉めるステップと、前記圧縮機本体を起動させて前記吸着剤に吸着した前記反応作動媒体を分離するステップと、前記排出弁を開けて分離した前記反応作動媒体を排出するステップとを備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の運転方法。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかの圧縮機と、室内熱交換器と、室外膨張弁と、室外熱交換器とが配管接続された冷凍サイクル装置において、前記導入管と一端が接続され前記排出管と他端が接続されて前記反応作動媒体が循環するフィンチューブ熱交換器とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−229877(P2012−229877A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98910(P2011−98910)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】