説明

圧縮機構造体

【課題】アキュームレータの傾きを防止して、アキュームレータの固有値をより安定させると共にアキュームレータの振動を抑制できる圧縮機構造体を提供する。
【解決手段】アキュームレータ2は、支持台3の二つの突起部32,32に接触して支持されている。このため、アキュームレータ2の固有値が安定する。また、支持台3の支持部31の一面31aとアキュームレータ2の胴部20との間に、防振部材5を設けている。このため、突起部32を中心としたアキュームレータ2の傾きを、防振部材5が抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮機とアキュームレータとを有する圧縮機構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機構造体としては、圧縮機と、アキュームレータと、上記圧縮機に固定されると共に上記アキュームレータを支持する支持台とを備えたものがある(特開2009−162222号公報:特許文献1参照)。
【0003】
上記支持台は、二つの突起部を有し、上記アキュームレータは、この二つの突起部に接触して支持されている。
【0004】
しかしながら、上記従来の圧縮機構造体では、上記アキュームレータは、上記支持台の二つの突起部に接触して支持されていたので、アキュームレータが突起部を中心として傾くおそれがあり、このアキュームレータの傾きにより、アキュームレータの固有値が安定せず、アキュームレータが振動する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−162222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、アキュームレータの傾きを防止して、アキュームレータの固有値をより安定させると共にアキュームレータの振動を抑制できる圧縮機構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の圧縮機構造体は、
密閉容器を有する圧縮機と、
上記密閉容器の外周面に沿って配置されるアキュームレータと、
上記密閉容器の外周面に固定されると共に上記アキュームレータを支持する支持台と、
上記アキュームレータの胴部に巻回されると共に上記支持台に取り付けられるバンド部材と
を備え、
上記支持台は、
上記密閉容器の外周面の周方向に沿って固定されるベース部と、
上記ベース部における上記密閉容器の周方向の両端からそれぞれ上記密閉容器の周方向の外方に向かって延びると共に、上記アキュームレータの上記胴部を支持する支持部と、
上記支持部の上記胴部との接触部にそれぞれ設けられる突起部と
を有し、
上記支持部における上記胴部に対向すると共に上記突起部を設けている一面と、上記胴部との間に、防振部材を設けていることを特徴としている。
【0008】
この発明の圧縮機構造体によれば、上記支持台は、上記ベース部と上記支持部と上記突起部とを有するので、アキュームレータは、二つの突起部に接触して支持され、アキュームレータの固有値が安定する。また、上記支持部の上記一面と上記胴部との間に、防振部材を設けているので、突起部を中心としたアキュームレータの傾きを、防振部材が抑制する。
【0009】
したがって、上記アキュームレータの上記支持台への組み付け状態での傾きを防止して、アキュームレータの固有値をより安定させると共にアキュームレータの振動を抑制できる。
【0010】
また、一実施形態の圧縮機構造体では、上記防振部材は、上記支持部の上記一面と上記胴部との間に隙間なく、介在している。
【0011】
この実施形態の圧縮機構造体によれば、上記防振部材は、上記支持部の上記一面と上記胴部との間に隙間なく、介在しているので、アキュームレータの傾きを一層確実に防止できる。
【0012】
また、一実施形態の圧縮機構造体では、
上記防振部材は、上記突起部を上記胴部に接触させるための孔を有し、
この孔は、上記アキュームレータの上記支持台への組み付け時に上記突起部が上記防振部材を突き破ることによって、形成されている。
【0013】
この実施形態の圧縮機構造体によれば、上記アキュームレータを上記支持台に組み付けたときに、上記突起部が上記防振部材を突き破って、上記防振部材の上記孔を形成するため、防振部材に予め孔を形成する必要がなくて加工の手間を省けると共に、アキュームレータを支持台に組み付けるときに、突起部を孔に合わせる手間がなくて、組み付け作業が容易になる。
【0014】
また、一実施形態の圧縮機構造体では、
上記防振部材は、上記突起部を上記胴部に接触させるための孔を有し、
この孔は、予め、上記突起部に対応する位置に形成されている。
【0015】
この実施形態の圧縮機構造体によれば、上記防振部材の上記孔は、予め、突起部に対応する位置に形成されているので、アキュームレータを支持台に組み付けたときに、突起部をアキュームレータに確実に接触させることができる。
【0016】
また、一実施形態の圧縮機構造体では、上記防振部材は、上記支持部の上記一面と上記胴部との間のみに、介在している。
【0017】
この実施形態の圧縮機構造体によれば、上記防振部材は、上記支持部の上記一面と上記胴部との間のみに、介在しているので、防振部材の材料費を低減できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の圧縮機構造体によれば、上記支持台は、上記ベース部と上記支持部と上記突起部とを有し、上記支持部の上記一面と上記胴部との間に、防振部材を設けているので、アキュームレータの傾きを防止して、アキュームレータの固有値をより安定させると共にアキュームレータの振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の圧縮機構造体の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の圧縮機構造体の平面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】本発明の圧縮機構造体の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の圧縮機構造体の第3実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の圧縮機構造体の第1実施形態である正面図を示している。図2は、この圧縮機構造体の平面図を示している。図1と図2に示すように、圧縮機構造体は、圧縮機1と、上記圧縮機1に取り付けられるアキュームレータ2とを有する。
【0022】
上記圧縮機1は、図示しない四路切換弁、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器と共に、冷媒回路を構成している。
【0023】
上記圧縮機1は、円筒形の密閉容器10と、密閉容器10内に配置されるモータ11と、密閉容器10内に配置されると共にモータ11にシャフト12を介して接続される圧縮要素13とを有する。
【0024】
上記圧縮要素13は、モータ11の駆動により、圧縮要素13内の冷媒を圧縮する。圧縮要素13は、例えば、ロータリ機構、スクロール機構またはスイング機構を有する。なお、圧縮要素13は、複数あってもよい。
【0025】
上記密閉容器10は、高圧ドーム型または低圧ドーム型の何れのタイプであってもよい。上記モータ11は、例えば、ロータとステータとを有し、ロータにシャフト12が固定される。
【0026】
上記アキュームレータ2は、円筒形の胴部20を有し、支持台3およびバンド部材4を介して、圧縮機1の密閉容器10に取り付けられている。胴部20の底面から、圧縮要素13に、配管6が接続されている。胴部20は、胴部20の軸が密閉容器10の軸に平行になるように、密閉容器10の外周面に沿って配置されている。
【0027】
上記支持台3は、密閉容器10の外周面に固定され、アキュームレータ2を支持する。支持台3は、ベース部30と一対の支持部31,31と一対の突起部32,32とを有する。
【0028】
上記ベース部30は、密閉容器10の外周面に沿った形状であり、密閉容器10の外周面の周方向に沿って固定される。
【0029】
上記一対の支持部31,31は、上記ベース部30における密閉容器10の周方向の両端からそれぞれ密閉容器10の周方向の外方に向かって延びている。一対の支持部31,31は、アキュームレータ2の胴部20を支持する。
【0030】
上記一対の突起部32,32は、例えば平面視円形であり、上記一対の支持部31,31の胴部20との接触部に設けられている。つまり、アキュームレータ2の胴部20は、二つの突起部32,32に接触して支持されており、アキュームレータ2の固有値が安定する。
【0031】
上記バンド部材4は、アキュームレータ2の胴部20に巻回され、上記支持台3に取り付けられている。バンド部材4の一端は、支持台3の一方の支持部31に係止され、バンド部材4の他端は、支持台3の他方の支持部31にボルト等の締結部材7を介して締結されている。つまり、アキュームレータ2の胴部20は、バンド部材4により、締め付けられている。
【0032】
上記支持台3の上記支持部31は、胴部20に対向すると共に突起部32を設けている一面31aを有する。支持部31の一面31aと胴部20との間に、防振部材5を設けている。防振部材5は、例えば、ゴムやエラストマー樹脂等から構成される。防振部材5は、胴部20の全周にわたって巻回されている。
【0033】
上記防振部材5の幅寸法は、上記支持台3の幅寸法よりも小さく、上記バンド部材4の幅寸法よりも大きい。ここで、上記幅寸法とは、胴部20の軸方向の寸法をいう。例えば、防振部材5の幅寸法は、25mmであり、支持台3の幅寸法は、30mmであり、バンド部材4の幅寸法は、18mmである。また、防振部材5の厚み寸法は、上記突起部32の高さ寸法と略同じであり、例えば、1mmである。
【0034】
図3は、図2のA−A’断面図を示し、図3に示すように、上記防振部材5は、上記支持部31の上記一面31aと上記胴部20との間に隙間なく、介在している。つまり、防振部材5は、支持部31の一面31aと胴部20の外周面とに接触する。
【0035】
上記防振部材5は、上記突起部32を上記胴部20に接触させるための孔50を有する。この孔50は、アキュームレータ2の支持台3への組み付け時に突起部32が防振部材5を突き破ることによって、形成されている。つまり、アキュームレータ2をバンド部材4により締め付けてアキュームレータ2を支持台3に組み付けたときに、突起部32が防振部材5を突き破って、防振部材5の孔50を形成する。
【0036】
上記孔50の内面は、上記突起部32の外面の形状と一致する。孔50は、凹部の最も深い部分がちぎれた状態で貫通することによって、形成されている。
【0037】
上記アキュームレータ2の組み付け時に、バンド部材4のアキュームレータ2への締付力により、突起部32が防振部材5に孔50を開けるため、防振部材5の硬度は、Hs70以下にすることが好ましい。
【0038】
上記構成の圧縮機構造体によれば、上記支持部31の上記一面31aと上記胴部20との間に、上記防振部材5を設けているので、突起部32を中心としたアキュームレータ2の傾きを、防振部材5が抑制する。つまり、防振部材5は、胴部20の径方向および周方向への倒れを防止する。
【0039】
したがって、アキュームレータ2の支持台3への組み付け状態での傾きを防止して、アキュームレータ2の固有値をより安定させると共にアキュームレータ2の振動を抑制できる。
【0040】
また、上記防振部材5は、上記支持部31の上記一面31aと上記胴部20との間に隙間なく、介在しているので、アキュームレータ2の傾きを一層確実に防止できる。
【0041】
また、上記アキュームレータ2を上記支持台3に組み付けたときに、上記突起部32が上記防振部材5を突き破って、上記防振部材5の上記孔50を形成するため、防振部材5に予め孔50を形成する必要がなくて加工の手間を省けると共に、アキュームレータ2を支持台3に組み付けるときに、突起部32を孔50に合わせる手間がなくて、組み付け作業が容易になる。
【0042】
(第2の実施形態)
図4は、この発明の圧縮機構造体の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、防振部材の孔の形状が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0043】
図4に示すように、防振部材5Aは、突起部32を胴部20に接触させるための孔50Aを有する。この孔50Aは、予め、突起部32に対応する位置に形成されている。つまり、アキュームレータ2の組み付け前に、防振部材5Aには、予め、孔あけ加工により、孔50Aが形成される。
【0044】
したがって、上記防振部材5Aには、予め、上記孔50Aが形成されているので、アキュームレータ2を支持台3に組み付けたときに、突起部32をアキュームレータ2の胴部20に確実に接触させることができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図5は、この発明の圧縮機構造体の第3の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、防振部材の厚みが相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、防振部材5Bと胴部20との間には、隙間が設けられている。つまり、防振部材5Bは、支持部31の一面31aに接触する一方、胴部20の外周面とは離隔している。
【0047】
したがって、上記防振部材5Bの厚みを薄くしているので、防振部材5Bの材料費を低減できる。
【0048】
(第4の実施形態)
この発明の圧縮機構造体の第4の実施形態では、図2を参照して、防振部材5を、支持部31の一面31aと胴部20との間のみに、介在してもよい。なお、その他の構造は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0049】
したがって、防振部材5の大きさを小さくできるので、防振部材5の材料費を低減できる。
【0050】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1から上記第4の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、突起部の形状は、平面視、楕円形や多角形等の形状であってもよい。また、防振部材の少なくとも一部は、支持台の支持部の一面とアキュームレータの胴部との間に、介在していればよく、防振部材の大きさや形状や数量は、設計変更自由である。
【符号の説明】
【0051】
1 圧縮機
10 密閉容器
11 モータ
12 シャフト
13 圧縮要素
2 アキュームレータ
20 胴部
3 支持台
30 ベース部
31 支持部
31a 一面
32 突起部
4 バンド部材
5,5A,5B 防振部材
50,50A,50B 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器(10)を有する圧縮機(1)と、
上記密閉容器(10)の外周面に沿って配置されるアキュームレータ(2)と、
上記密閉容器(10)の外周面に固定されると共に上記アキュームレータ(2)を支持する支持台(3)と、
上記アキュームレータ(2)の胴部(20)に巻回されると共に上記支持台(3)に取り付けられるバンド部材(4)と
を備え、
上記支持台(3)は、
上記密閉容器(10)の外周面の周方向に沿って固定されるベース部(30)と、
上記ベース部(30)における上記密閉容器(10)の周方向の両端からそれぞれ上記密閉容器(10)の周方向の外方に向かって延びると共に、上記アキュームレータ(2)の上記胴部(20)を支持する支持部(31)と、
上記支持部(31)の上記胴部(20)との接触部にそれぞれ設けられる突起部(32)と
を有し、
上記支持部(31)における上記胴部(20)に対向すると共に上記突起部(32)を設けている一面(31a)と、上記胴部(20)との間に、防振部材(5,5A,5B)を設けていることを特徴とする圧縮機構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機構造体において、
上記防振部材(5,5A)は、上記支持部(31)の上記一面(31a)と上記胴部(20)との間に隙間なく、介在していることを特徴とする圧縮機構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧縮機構造体において、
上記防振部材(5,5B)は、上記突起部(32)を上記胴部(20)に接触させるための孔(50,50B)を有し、
この孔(50,50B)は、上記アキュームレータ(2)の上記支持台(3)への組み付け時に上記突起部(32)が上記防振部材(5,5B)を突き破ることによって、形成されていることを特徴とする圧縮機構造体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の圧縮機構造体において、
上記防振部材(5A)は、上記突起部(32)を上記胴部(20)に接触させるための孔(50A)を有し、
この孔(50A)は、予め、上記突起部(32)に対応する位置に形成されていることを特徴とする圧縮機構造体。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載の圧縮機構造体において、
上記防振部材(5,5A,5B)は、上記支持部(31)の上記一面(31a)と上記胴部(20)との間のみに、介在していることを特徴とする圧縮機構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−77958(P2012−77958A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221642(P2010−221642)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】