説明

圧縮機

【課題】 加熱手段を設けることなく人力でも高い効率で圧縮作業を行うことができ、更にコンパクトで設置収納スペースを可及的に狭くすることができる圧縮機を提供する。
【解決手段】 基台2の対向する両側に回動可能に取り付けられた支持部材3と、支持部材3の他端側に進退可能に支持された継手部材4と、継手部材4の他端にて挟持された台座部5と、台座部5に垂下してあり、空気圧により延伸する圧縮部53と、圧縮部53の先端に取り付けられた圧縮板58とを備え、前記基台2には前記圧縮部53に空気を供給する給気部12と、該給気部12に連結され、足踏みにより前記給気部12から空気を排出させるペダル10とが設けてあり、支持部材3は基台2に対して平伏した第1姿勢と、基台2に対して起立した第2姿勢とに変更可能になしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭、外食産業又は医療機関で排出されるペットボトル、パッケージ又は脱脂綿等の廃棄物を圧縮する圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲料用のペットボトルは飲み口に連通する収容部内に飲料を収容するようになっており、卵といった被収容物を収容する樹脂又は紙製のパッケージには1又は複数の収容部が設けてあり、脱脂綿は吸液性・衝撃吸収性を高めるため空隙率を高めてあるため、これらが廃棄されて廃棄物になると、それぞれ嵩が大きい。従って、このような廃棄物にあってはそのままの状態で収納器等に廃棄すると一度に廃棄し得る廃棄物の数量が非常に少なく、廃棄効率が低い。
【0003】
そのため、後述する特許文献1には次のような圧縮機が開示されている。
図14は特許文献1に開示された圧縮機の模式的縦断面図であり、図中、200は中空殻状の匡体である。匡体200の天井には円形の開口部を開設してなる固定部210が設けてあり、該固定部210に有底円筒形であり開口部にフランジを設けてなり、内部にペットボトルPが投入される耐熱性の可動容器250が着脱自在に嵌合固定されている。また、匡体200の天井には蓋220が開閉可能に取り付けてあり、該蓋220の中央位置には可動容器250内のペットボトルPを圧縮する圧縮手段230が、蓋220を貫通する様態で上下方向へ摺動可能に配設してある。そして、匡体200の底部であって前述した可動容器250に対向する位置には加熱手段240が設けてある。
【0004】
このような圧縮機にあっては、蓋220を開けて固定部210から取り出した可動容器250内にペットボトルPを投入し、再び可動容器250を固定部210に固定した後、蓋220を閉じて前記圧縮手段230によってペットボトルPに荷重を印加する。この状態で、加熱手段240を作動させて可動容器250及び該可動容器250内のペットボトルPを加熱する。ペットボトルPが軟化するに従い、圧縮手段230より印加された荷重によって当該ペットボトルPは圧縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−273730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の圧縮機にあっては、加熱手段240が必要であるため安全性に問題がある上に、加熱手段240によってペットボトルPが軟化するまでに比較的長い時間を要するため、圧縮作業効率が非常に低い。そのため、加熱手段240を設けることなく、電動又は手動のアクチュエータによってペットボトルPを圧縮する圧縮機が市販されているが、前者のアクチュエータを備える圧縮機にあっては電源の配置によって圧縮機の使用場所が制限されてしまう。また、後者のアクチュエータを備える圧縮機にあってはペットボトルPを1つずつ両手で圧縮しなければならないため、圧縮作業に多大な労力を要し、圧縮作業効率が低い。
【0007】
一方、ペットボトルPを投入する可動容器250は匡体200に内蔵されるように構成してあるので、匡体200の外寸は可動容器250の外寸より大きく、それだけ嵩張る。従って、当該圧縮機の設置スペース及び格納スペースを広く取らなければならず、そのようなスペースを確保できない所には導入することができないという問題もあった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、加熱手段を設けることなく人力でも高い効率で圧縮作業を行うことができ、更にコンパクトで設置収納スペースを可及的に狭くすることができる圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る圧縮機は、廃棄物を収納する収納器を載置するための基台と、該基台の対向する両側にそれぞれその一端が回動可能に取り付けられた棒状の支持部材と、両支持部材の他端側にそれぞれその一端が前記支持部材の長手方向へ進退可能に支持された棒状の継手部材と、両継手部材の他端にて前記基台に対向可能に挟持された台座部と、該台座部に垂下してあり、空気圧により延伸する圧縮部と、該圧縮部の先端に取り付けられ、前記圧縮部の延伸により収納器内の廃棄物に当接してこれを圧縮する圧縮板とを備え、前記基台には前記圧縮部に空気を供給する給気部と、該給気部に連結され、足踏みにより前記給気部から空気を排出させるペダルとが設けてあり、前記支持部材は基台に対して平伏した第1姿勢と、基台に対して起立した第2姿勢とに変更可能になしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明の圧縮機にあっては、廃棄物を収納する収納器、例えばゴミ箱を載置するための基台を備えている。この基台の対向する両側にそれぞれ、角形、円形又は環形等、適宜の断面形状を有する棒状の支持部材の一端が回動可能に取り付けられており、両支持部材の他端側にはそれぞれ棒状の継手部材の一端が支持部材の長手方向へ進退可能に支持されている。これら継手部材の他端によって台座部が前記基台に対向可能に挟持されている。この台座部には空気圧により延伸する圧縮部が垂下してあり、圧縮部の先端には収納器内の廃棄物に当接してこれを圧縮する圧縮板が取り付けてある。
【0011】
前述した基台には前記圧縮部に空気を供給する給気部と、この給気部に連結され、足踏みにより給気部から空気を排出させるペダルとが設けてあり、使用者がペダルを踏むと給気部から圧縮部に空気が供給され、これによって圧縮部が延伸する。この圧縮部の延伸されるにつれて圧縮板が収納器内の廃棄物に当接してこれを圧縮する。
【0012】
一方、前述した支持部材は基台に対して平伏した第1姿勢と、基台に対して起立した第2姿勢とに変更可能になしてある。
【0013】
このように本発明に係る圧縮機にあっては、空気圧により廃棄物を圧縮するため、加熱手段が不要であり、また足踏みにより給気部から空気を供給させるため、人力でも高い効率で圧縮作業を行うことができる。また、両手を用いることなく圧縮操作を行うことができるため、食品産業又は医療機関等、衛生基準が厳しい環境下であっても圧縮作業に伴う手の洗浄を不要にすることができ、作業効率が向上する。一方、前述したように支持部材の一端が基台に回動可能に取り付けてあり、支持部材は基台に対して平伏した第1姿勢と、基台に対して起立した第2姿勢とに変更可能になしてあるため、圧縮機を収納する際には支持部材を第1姿勢になし、圧縮機を使用する際には支持部材を第2姿勢になすことができる。従って、圧縮機の設置収納スペースを可及的に狭くすることができる。また、前述した如く台座部に圧縮部を垂下した構成になしてあるため、圧縮部が継手部材から突出せず、従って圧縮機は全体としてコンパクトな設計となっている。
【0014】
(2)本発明に係る圧縮機は、前記支持部材の一端は前記基台の幅方向へ進退可能に取り付けられており、前記基台には両支持部材に応じてそれぞれ、当該支持部材の一端を当該基台の内側へ付勢する弾性部材が設けてあり、前記基台の両側であって、前記支持部材の一端近傍の周囲の部分には、支持部材を前記第1姿勢に保持するための第1保持部と、支持部材を前記第2姿勢に保持するための第2保持部とが設けてあることを特徴とする。
【0015】
本発明の圧縮機にあっては、支持部材の一端は基台の幅方向へ進退可能に取り付けられており、また、基台には両支持部材に応じてそれぞれ、当該支持部材の一端を当該基台の内側へ付勢するバネといった弾性部材が設けてある。
【0016】
また、台の両側であって、前記支持部材の一端近傍の周囲の部分には、支持部材を前記第1姿勢に保持するための第1保持部と、支持部材を前記第2姿勢に保持するための第2保持部とが設けてある。これら第1保持部及び第2保持部は支持部材を挟持する一対の凸部、又は支持部材を嵌合させる溝にて構成することができる。
【0017】
両支持部材にそれぞれ基台の幅方向であって基台から離隔する方向へ力を印加することによって、第1保持部又は第2保持部から支持部材を解放して回動自在とし、その状態で支持部材を第2保持部又は第1保持部へ回動した後、前記力を除く。前述したように支持部材は前記弾性部材によって基台の内側へ付勢されているので、支持部材は第2保持部又は第1保持部に強く係合され、第2姿勢又は第1姿勢が保持される。
【0018】
このように比較的簡単な構成で支持部材を第1姿勢と第2姿勢との間で変更可能になすことができるため、製造コストを低減することができる。一方、支持部材は第1保持部又は第2保持部及び弾性部材によって、第1姿勢又は第2姿勢に確実に保持することができ、安全性が高い。
【0019】
(3)本発明に係る圧縮機は、前記基台は幅方向へ伸縮可能に構成してあり、前記台座部は、前記圧縮部を支持する本体の外周面に、前記両継手部材の他端と各別に連結する一対の連結部を前記本体の周方向へ互いに位置を異ならせて設けてなり、両連結部は対応する継手部材によって連結部の長手方向へ進退可能に支持されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の圧縮機にあっては、基台は例えば二重管構造にすることによって、幅方向へ伸縮可能に構成してある。また、前述した台座部は、圧縮部を支持する本体の外周面に、両継手部材の他端と各別に連結する一対の連結部を本体の周方向へ互いに位置を異ならせて設けて構成してあり、これら連結部は対応する継手部材によって連結部の長手方向へ進退可能に支持されている。
【0021】
このような構成の圧縮機にあっては、基台の幅を調整するのにともなって、台座部の本体の外周面に設けた連結部が対応する継手部材との間で連結部の長手方向へ進退し、圧縮機の幅寸法を容易に変更することができる。従って、比較的大きい収納器であっても、基台の幅を拡大することによって容易に対応することができる一方、圧縮機を収納する場合は、基台の幅を縮小させることができため、更にコンパクトで設置収納スペースを可及的に狭くすることができる。
【0022】
(4)本発明に係る圧縮機は、少なくとも一方の支持部材及び該支持部材に支持された継手部材、並びに該継手部材に連結された連結部は管状になしてあり、前記支持部材と該支持部材に支持された継手部材との間、前記継手部材と該継手部材に連結された連結部との間は気密状態が保持されており、前記本体内には連結部から圧縮部に連通する通気路が設けてあり、前記給気部から前記支持部材内に導入された空気が、前記継手部材及び連結部内を通って前記通気路から圧縮部内に導入されるようになしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明の圧縮機にあっては、少なくとも一方の支持部材と、この支持部材に支持された継手部材と、この継手部材に連結された連結部とは管状になしてある。また、前記支持部材とこの支持部材に支持された継手部材との間、及び、前記継手部材とこの継手部材に連結された連結部との間は気密状態が保持されている。更に、台座部の本体内には管状になした連結部から圧縮部に連通する通気路が設けてある。そして、前記給気部から前記支持部材内に導入された空気が、前記継手部材及び連結部内を通って前記通気路から圧縮部内に導入されるようになしてある。
【0024】
このように、支持部材と、この支持部材に支持された継手部材と、この継手部材に連結された連結部とを管状になし、給気部から支持部材内に導入された空気が、継手部材及び連結部内を通って台座部の本体内の通気路から台座部に垂下された圧縮部内に導入されるようになすことによって、圧縮部への給気経路を圧縮機の機体内に構成することができ、圧縮機を更にコンパクトにすることができる。
【0025】
(5)本発明に係る圧縮機は、両継手部材は管材で構成してあり、前記両連結部は対応する継手部材の他端側に、連結部の中心軸周りに回動可能に挿入してあり、前記本体の圧縮部とは反対側に取手部が着脱可能に取り付けてあり、前記基台の裏面側には複数の車輪が取り付けてあることを特徴とする。
【0026】
本発明の圧縮機にあっては、前述した両継手部材は管材で構成してある。そして、台座部の本体に設けた両連結部は対応する継手部材の他端側に、連結部の中心軸周りに回動可能に挿入してあり、また、本体の圧縮部とは反対側に取手部が着脱可能に取り付けてある。これによって、使用者は取手部を連結部の中心軸周りに回動させて適宜の姿勢になすことができる。
【0027】
一方、基台の裏面側には複数の車輪が取り付けてあり、使用者は取手部を持って、基台を移動させることができる。このとき、前述したように取手部を適宜の姿勢になすことができるため、使用者はより容易な姿勢で圧縮機を移動させることができる。
【0028】
(6)本発明に係る圧縮機は、前記両連結部の端部近傍の周面には、挿入された継手部材との間で気密状態を保持するためのOリング、及び該Oリングに給油する給油用リングが外嵌してあることを特徴とする。
【0029】
本発明の圧縮機にあっては、両連結部の端部近傍の周面には、挿入された継手部材との間で気密状態を保持するためのOリング、及び該Oリングに給油する給油用リングが外嵌してある。この給油用リングは不織布、紙等適宜の材料で構成することができ、給油用リングからOリングに給油することによって、Oリングの摩耗を抑制することができる。これによって、比較的耐久性が低い廉価なOリングも使用することができ、製造コストをより低減することができる。
【0030】
(7)本発明に係る圧縮機は、前記基台の両側には、前記支持部材を前記第1姿勢と第2姿勢との中途である第3姿勢に保持するための第3保持部が設けてあることを特徴とする。
【0031】
本発明の圧縮機にあっては、前述した基台の両側には、支持部材を第1姿勢と第2姿勢との中途である第3姿勢に保持するための第3保持部が更に設けてある。この第3保持部も、前同様、一対の凸部、又は支持部材を嵌合させる溝にて構成することができる。
【0032】
このように、支持部材を基台に対して平伏した第1姿勢と起立した第2姿勢との中途である第3姿勢に保持するため、使用者は圧縮機の移動をより楽な姿勢で行うことができる。
【0033】
(8)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮部内から排気させるための開閉弁と、該開閉弁を開閉させるスイッチとを更に備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮部内から排気させるための開閉弁と、該開閉弁を開閉させるスイッチとを更に備える。例えば、取手部内に台座部の本体内に設けた通気路に連通して空気を外へ排出するための排気路が開設しておき、該通気路を通じて圧縮部内に供給された空気は、前記通気路及び取手部内の排気路を通って排出し得るようになしておく。この排気路の排気口に開閉弁を取り付けておき、取手部に開閉弁を開閉するスイッチを設ける。そして、使用者がこのスイッチを開にすると、開閉弁が開になり、圧縮部内の空気が排気路の排気口から外へ排気されるようにする。また、基台のフレーム部材の適宜位置、例えばペダルの近傍の位置に、開閉スイッチを設けるとともに、給気部に開閉弁を設けておき、開閉スイッチと開閉弁との間を連動連結する構成になしてもよい。
【0035】
このように使用者は、スイッチを操作することによってワンタッチで圧縮部内の空気を排気することができる。更に、後者の構成にあっては、使用者は足でスイッチを操作することができ、廃棄物を収容したゴミ袋を両手で処理する場合であっても、足で排気操作を実行することによって、両手でゴミ袋の処理を続行することができる。このように、両手を用いることなく排気操作を行うことができるため、衛生基準が厳しい環境下においても効率的に廃棄作業を行うことができる。
【0036】
(9)本発明に係る圧縮機は、前記基台上の略全面を覆う平板部と、該平板部の周縁に垂設した袴部とを設けてなるカバー部材を更に備え、該カバー部材を基台に、前記平板部が基台を覆うように載置したとき、前記袴部の下縁が床又は地面等に当接するようになしてあることを特徴とする。
【0037】
本発明の圧縮機にあっては、基台上の略全面を覆う平板部と、該平板部の周縁に垂設した袴部とを設けてなるカバー部材を更に備えている。かかるカバー部材は、幅寸法を調整できる基台に応じて、複数の幅寸法になしたものを予め準備しておくとよい。これによって、収納器のサイズに応じて所要のカバー部材を選択することができる。
【0038】
前述した袴部の高さ寸法は、カバー部材を基台に、平板部が基台を覆うように載置したとき、袴部の下縁が床又は地面等に当接するようになしてある。これによって、車輪にストッパを設けてなくても、圧縮作業中に基台が移動することを禁止して、圧縮作業を確実に、また安全に実施することができる。また、圧縮作業中に基台に印加される荷重の一部をカバー部材が担うため、その分、基台への荷重を低減することができる。
【0039】
(10)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮部は、内径を漸次小さくなした複数の管材を同心円上に、相互に気密状態を保って嵌入させてなり、前記給気部から供給された空気によって各管材は前記台座部から離隔する方向へ延伸するようになしてあることを特徴とする。
【0040】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮部は、内径を漸次小さくなした複数の管材を同心円上に嵌入させてなり、各管材は、例えば内嵌する管材の端部にOリングを外嵌させることによって相互に気密状態を保ってある。そして、各管材は、給気部から供給された空気によって台座部から離隔する方向へ延伸するようになしてあり、これによって圧縮板が排気物に当接して、当該廃棄物を圧縮する。
【0041】
このように、複数の管材を嵌入させて圧縮部を構成してあるため、構造強度が高く、耐久性、耐圧性に優れている。
【0042】
(11)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮部は、内径を漸次小さくなした複数の管材を同心円上に嵌入させてなり、これら管材の中心軸上にベローズが気密状態を保持して配してあり、前記給気部から供給された空気によってベローズが前記台座部から離隔する方向へ延伸するのにともなって、前記各管材も前記台座部から離隔する方向へ延出するようになしてあることを特徴とする。
【0043】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮部は、内径を漸次小さくなした複数の管材を同心円上に嵌入させてなり、これら管材の中心軸上にベローズが気密状態を保持して配してある。そして、給気部から供給された空気によってベローズが台座部から離隔する方向へ延伸するのにともなって、各管材も台座部から離隔する方向へ延出するようになしてあり、これによって圧縮板が排気物に当接して、当該廃棄物を圧縮する。
【0044】
このように、ベローズに空気を供給する場合、各管材に空気を供給する場合に比べて空気の供給量を少なくすることができる。従って、使用者がペダルを踏む回数を低減することができ、使用者はより短時間で圧縮作業を実施することができる。
【0045】
一方、かかる構成になした場合、各管材は相互に気密状態を保持する必要がなくなるため、各管材の構造を単純化することができ、管材の製造に要するコストを低減することができる。一方、圧縮部の構造強度は管材によって担保されるため、比較的廉価なベローズを用いることができる。
【0046】
(12)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮部は、気密状態を保つように設けたベローズにて構成してあり、前記給気部から供給された空気によってベローズは前記台座部から離隔する方向へ延伸するようになしてあることを特徴とする。
【0047】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮部は、気密状態を保つように設けたベローズにて構成してある。この給気部から供給された空気によってベローズは台座部から離隔する方向へ延伸するようになしてあり、これによって圧縮板が排気物に当接して、当該廃棄物を圧縮する。かかるベローズは非常にコンパクトであるので、収納時における圧縮機を更にコンパクトにすることができる。
【0048】
また、ベローズに空気を供給する場合、各管材に空気を供給する場合に比べて空気の供給量を少なくすることができる。従って、使用者がペダルを踏む回数を低減することができ、使用者はより短時間で圧縮作業を実施することができる。
【0049】
(13)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮部は、延伸状態から元の状態へ復帰するための弾性部材を具備していることを特徴とする。
【0050】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮部は、延伸状態から元の状態へ復帰するためのバネ、ゴム等の弾性部材を具備しており、圧縮部からそこに供給された空気が排出されると、この弾性部材の作用により圧縮部は元の状態に復帰する。従って、圧縮機を収納する際、圧縮部が邪魔になり難く、コンパクトに収納することができる。なお、この弾性部材は単独で配設してもよいし、圧縮部と一体的に設けてもよい。
【0051】
(14)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮板は前記圧縮部に着脱可能に取り付けてあることを特徴とする。
【0052】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮板と圧縮部とを係合させ、圧縮板を圧縮部の先端に螺合させ、又は圧縮部の先端に圧縮板を着脱自在に保持するチャック等を設けることによって、圧縮板は前記圧縮部に着脱可能に取り付けてある。これによって、圧縮操作にともなって圧縮板を圧縮部から取り外して破棄することができるため、危険な廃棄物を圧縮する場合でも安全に圧縮操作を実施することができる。
【0053】
(15)本発明に係る圧縮機は、前記圧縮板には1又は複数の開口が設けてあることを特徴とする。
【0054】
本発明の圧縮機にあっては、圧縮板には1又は複数の開口が設けてあり、使用者はこの開口に指を引掛けて、圧縮板を圧縮部から取り外す。これによって、例えばゴミ袋の外からでも指が滑ることなく、圧縮板を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る圧縮機を示す模式的正面図である。
【図2】本発明に係る圧縮機を示す模式的側面図である。
【図3】本発明に係る圧縮機を示す模式的平面図である。
【図4】図3に示した基台の一部破断拡大図である。
【図5】図1に示した台座部、圧縮部及び圧縮板の模式的縦断面図である。
【図6】図1に示した取手部の模式的縦断面図である。
【図7】図1に示した圧縮板の平面図である。
【図8】圧縮機を収納した状態を示す模式的側面図である。
【図9】圧縮機を移動させている状態を示す模式図的側面図である。
【図10】圧縮機によって廃棄物を圧縮して当該廃棄物を減容する様態を説明する説明図である。
【図11】他の圧縮部の構成を説明する説明図である。
【図12】他の圧縮部の構成を説明する説明図である。
【図13】実施の形態3に係る圧縮機の構成を示す模式的側面図である。
【図14】従来の圧縮機の模式的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
(実施の形態1)
図1〜図3は本発明に係る圧縮機を示す模式的正面図、模式的側面図及び模式的平面図であり、図中、2はゴミ箱といった収納器を載置するための基台である。また、図4は、図3に示した基台2の一部破断拡大図である。
【0057】
図3及び図4に示した如く、基台2は縦桟21,21,…及び横桟22,22,…を備えるフレーム部材20,20を連結させて構成してある。フレーム部材20,20の横桟22,22,…は二重管構造になしてあり、基台2は横方向へ伸縮可能になっている。これによって、基台2の幅寸法を調整することができる。
【0058】
図1〜図4に示した如く、フレーム部材20の外枠であって基台2の正面側の適宜位置には開口27が形成してあり、該開口27内にはペダル10が上下方向へ揺動可能に配設してある。このペダル10は鞴又はシリンジ等を内蔵する給気部12に連結してあり、使用者が足でペダル10を踏むことによって給気部12に予め設けてある排気部から空気が排出されるようになっている。
【0059】
基台2の両側にはL字管状の支持部材3,3の一端側が、気密を保った状態で回動可能及び基台2の幅方向へ進退可能に基台2の両側を貫通する様態で連結してあり、両支持部材3,3の他端にはそれぞれ、倒立L字管状の継手部材4,4の一端部が気密を保った状態で支持部材3,3の長手方向へ進退可能に挿入してある。この支持部材3,3の他端部には継手部材4,4を固定する筒状の固定具31,31が回動可能に外嵌してあり、該固定具31,31を一方向へ回動させることによって継手部材4,4を固定し、また固定具31,31を他方向へ回動させることによって継手部材4,4を解放して支持部材3,3の長手方向へ摺動させ得るようになっている。これによって、後述する圧縮部53の高さ位置を調整することができる。
【0060】
また、両継手部材4,4の他端には後述する台座部5に互いに180度位置を異ならせて設けられた管状の連結部52,52が、気密を保った状態で当該連結部52,52の長手方向へ進退可能に挿入してある。この継手部材4,4の他端にも前同様の固定具41,41が回動可能に外嵌してあり、該固定具41,41を一方向へ回動させることによって連結部52,52を固定し、また固定具41,41を他方向へ回動させることによって連結部52,52を解放して当該連結部52,52の長手方向へ摺動させ得るようになっている。これによって、対向する継手部材4,4の間の寸法、及び対向する支持部材3,3の間の寸法を調整することができるとともに、台座部5を両連結部52,52の中心軸周りに回動させ得るようになっている。
【0061】
前述した連結部52,52を支持する本体51には、ペットボトル、パッケージ、又は脱脂綿若しくは包帯といった医療廃棄物等、嵩が大きく圧縮可能な廃棄物を圧縮するための圧縮部53が垂設してあり、該圧縮部53の下端には圧縮板58が着脱可能に取り付けてある。一方、本体51の圧縮部53とは反対側には、棒状の取手部6の先端が気密性を保った状態で螺合してある。
【0062】
基台2の裏面の適宜位置には、搬送時に使用する複数の車輪16,16,16,16が取り付けてあり、所定の車輪16,16には当該車輪16を固定するためのストッパ(図示せず)が設けてある。一方、基台2の両側部であって前述した支持部材3,3にそれぞれ対向する部分の周囲には、支持部材3,3を基台2に対して平伏した第1姿勢に保持するための第1凸部80,80と、支持部材3,3を基台2に対して起立した第2姿勢に保持するための第2凸部81,81と、支持部材3,3を基台2の正面側である前記ペダル10とは反対側であって基台2に対して斜めとなる第3姿勢又は前記第2姿勢に保持するための第3凸部82,82と、第1凸部80,80と第3凸部82,82との間の位置に配設され、支持部材3,3を前記第1姿勢又は第3姿勢に保持するための第4凸部83,83とがそれぞれ設けてある。
【0063】
このように、第1凸部80及び第4凸部83によって支持部材3を第1姿勢に保持する第1保持部が形成されており、第2凸部81及び第3凸部82によって支持部材3を第2姿勢に保持する第2保持部が形成されており、第3凸部82及び第4凸部83によって支持部材3を第3姿勢に保持する第3保持部が形成されている。
【0064】
なお、本実施の形態では第1凸部80〜第4凸部83によって第1保持部〜第3保持部を形成した場合を示しているが、本発明はこれに限らず、基台2の両側面に溝状の凹部を設けることによって第1保持部〜第3保持部を構成してもよい。
【0065】
一方、本実施の形態では基台2の四隅に車輪16,16,16,16が取り付けてあるが、本発明はこれに限らず、4個以上の車輪を基台2の適宜の位置に取り付けてもよいことは言うまでもない。
【0066】
ところで、図4に示したように、支持部材3,3の他端部には、筒状のバネといった弾性部材14,14が外嵌してあり、該弾性部材14,14によって各支持部材3,3に基台2に対して内向きの力が付勢されている。支持部材3,3に外向きの力を付勢することによって、支持部材3,3は前述した第2凸部81,81又は第3凸部82,82を乗り越えることができるようになっており、これによって支持部材3,3を第2凸部81,81と第3凸部82,82との間の位置、第3凸部82,82と第4凸部83,83との間の位置、又は第4凸部83,83と第1凸部80,80との間の位置に回動させて、第2姿勢、第3姿勢又は第1姿勢になし、次いで前記外向きの力を解除することによって弾性部材14,14により支持部材3,3に内向きの力を付勢させ、第2姿勢、第3姿勢又は第1姿勢を保持させることができる。
【0067】
また、一方の支持部材3の一端には内部に気体を導入するための導気管18を貫通させてなる第1塞止部材17が嵌合してあり、前記導気管18と前記給気部12に設けられた排気部との間は連結部15によって連通してある。他方の支持部材3の一端には前記した如き導気管18を設けていない第2塞止部材19が嵌合してあり、当該支持部材3の一端から気体が漏出しないようになっている。
【0068】
使用者がペダル10を踏むと、給気部12によって圧縮された空気が導気管18及び連結部15を通って一方の支持部材3内へ導入され、この支持部材3に支持された継手部材4から台座部5の連結部52内へ流入される。
【0069】
図5は図1に示した台座部5、圧縮部53及び圧縮板58の模式的縦断面図である。
図5に示したように、台座部5は圧縮部53を支持する短寸柱状の本体51を備えている。この本体51の外周面に前述した連結部52,52が、本体51の周方向へ互いに180度位置を異ならせて設けてある。本体51の中心部分には空間領域511が設けてあり、該空間領域511と両連結部52,52とは連通させてある。また、本体51の底部に圧縮部53が気密状態を保持して固着してあり、本体51の底部には該底部を貫通する貫通孔512が前記空間領域511に連通するように開設してある。これら、空間領域511及び貫通孔512によって連結部52,52から圧縮部53に連通する通気路が構成されている。
【0070】
圧縮部53は、内径が漸次小さくなしてある複数の管材54,54,…を内径が最も大きい管材54の中に同心円上に、互いに気密状態を保った状態で進退可能に挿入してなり、各管材54,54,…の対応する端部にそれぞれ設けたストッパ(図示せず)によって、各管材54,54,…は互いに抜出することを防止してある。また、内径が最も小さい管材54の先端部は気密状態に塞止して塞止部55になしてあり、該塞止部55には倒立こけし形状の係合部56が垂設してある。この係合部56に圧縮板58が着脱可能に係合させてある。そして、空間領域511に導入された空気が貫通孔512を通って管材54,54,…内へ供給され、これによって各管材54,54,…が基台2(図1参照)の方向へ延伸するようになっている。
【0071】
一方、管材54,54,…の中心軸上にはバネといった弾性部材57が配設してある。この弾性部材57の一端は前記本体51の底部であって、貫通孔512の周囲の部分に固定してあり、弾性部材57の他端は前記塞止部55に固定してある。弾性部材57は前述した如く管材54,54,…内に空気が供給されて各管材54,54,…が延伸するのにともなって伸長し、後述する如く各管材54,54,…内の空気が排出されると収縮するため、弾性部材57の収縮にともなって延伸した管材54,54,…も元の状態まで収縮する。
【0072】
また、前述した連結部52,52の周面であって端部近傍の位置には、連結部52,52の長手方向へ互いに適宜の距離を隔てて設けた3つの環状の溝が、連結部52,52の軸周りに設けてある。それぞれ両端の溝にはOリング91,91、91,91が嵌合してあり、前述した継手部材4,4(図1参照)内に連結部52,52が挿入された場合に、Oリング91,91、91,91によって気密状態が保持されるようになっている。
【0073】
一方、それぞれ中央の溝には紙、布又は不織布といった吸油性の材料を用いて構成してあり、適宜の潤滑油を含有させてなる給油用リング92,92がそれぞれ嵌合してあり、該給油用リング92,92からOリング91,91、91,91に潤滑油を供給して、Oリング91,91、91,91の摩耗を可及的に抑制するようになっている。
【0074】
なお、このような連結部52の周面に設けた各溝、各溝に嵌合させたOリング91,91及び給油用リング92を備える気密構造は、前述した継手部材4,4の支持部材3,3の他端部内に挿入された端部にも設けてある。
【0075】
なお、本実施の形態にあっては、気密を保持するためのOリング91,91と、該Oリング91,91に潤滑油を供給するための給油用リング92とを備える構成になしてあるが、本発明はこれに限らず、Oリングのみを備える構成であってもよい。但し、Oリング91,91と給油用リング92とを備える構成になした場合、比較的廉価なOリング91,91を用いることができる。
【0076】
ところで、前述した圧縮板58は、例えば図7に示した如く、樹脂・段ボール紙・金属等適宜の材料を板状に成形してなる板部581の中央位置にドーム型のキャップ部582を設けてなり、キャップ部582には前記圧縮部53に設けられた係合部56(共に図5参照)を係合させる係合窓583が開設してある。なお、板部581の材料は廃棄物の種類に応じて適宜選択すればよい。係合窓583は、例えばキャップ部582の頂部に開設した円形の部分と、この円形の部分に連通する台形状の部分とを備えており、台形状の部分の下底近傍の幅寸法は、円形の部分の直径より所要寸法だけ大きくなしてある。
【0077】
前述した係合部56(図5参照)の頭部の直径は係合窓583の円形の部分の直径より適宜寸法だけ大きくしてあり、係合部56の頭部を係合窓583の台形状の部分からキャップ部582内へ挿入させて係合窓583の円形の部分に位置させることによって、着脱可能に係合させる。なお、係合部56の頭部近傍に溝を形成しておき、該溝に前記キャップ部582の係合窓583の円形の部分の縁部を嵌合させるようにするとよい。
【0078】
一方、板部581には、円弧状の複数の開口585,585,…が設けてあり、いずれかの開口585に指を引掛けて圧縮板58を係合部56から容易に取り外すことができるようになっている。なお、開口585は1つであってもよい。
【0079】
一方、図5に示した如く、前記本体51の天井には取手部6(図1参照)を螺合連結させるための連結用凹部513が設けてあり、連結用凹部513の内周面には雌ネジが形成してある。また、連結用凹部513の底部には連結用凹部513の内径より小さい内径になしてあり前記空間領域511に連通する連通孔が開設してある。
【0080】
図6は図1に示した取手部6の模式的縦断面図である。
図6に示したように、取手部6は、断面視が略楕円形のヘッド61に柱状の脚部62を垂設してなり、脚部62の周面であって先端近傍の部分には環状の溝及び雄ネジが脚部62の中心軸周りに形成してある。この溝にはOリング65が嵌合してあり、脚部62の先端部を図5に示した連結用凹部513に螺合させた場合、前記Oリング65によって脚部62と連結用凹部513との間が気密状態に保たれるようになっている。
【0081】
一方、前記ヘッド61の中央部には適宜の大きさの凹部が形成してあり、該凹部内には開閉スイッチ66が揺動可能に配設してある。また、ヘッド61部及び脚部62内には排気路63が長手方向と平行に開設してあり、該排気路63の一端は前記凹部に、排気路63の他端は脚部62の先端面に貫通してある。これによって、脚部62の先端部を図5に示した台座部5の連結用凹部513に螺合させた場合、当該台座部5内の空間領域511と取手部6内の排気路63とが連通する。
【0082】
図6に示したように、排気路63の一端近傍内には開閉弁67が気密状態を保持して開閉可能に配設してあり、前記開閉スイッチ66が開になされた場合、開閉弁67は開閉スイッチ66によって押されて後退して開になり、開閉スイッチ66が閉になされた場合、排気路63の内圧によって前進して閉になるようになしてある。そして、開閉スイッチ66を開側に揺動させた場合、開閉弁67が開くため前記台座部5の空間領域511及び圧縮部53(共に図5参照)内の空気は排気路63を通って取手部6の外へ排気され、開閉スイッチ66を閉側に揺動させた場合、開閉弁67が閉じるため排気路63並びに前記台座部5の空間領域511及び圧縮部53内は気密状態を保持するようになっている。
【0083】
次に、このような圧縮機の使用方法について説明する。
図8は圧縮機を収納した状態を示す模式的側面図である。
前述したように、支持部材3,3に外向きの力を付勢しつつ裏面側へ回動させることによって、支持部材3,3を第4凸部83,83と第1凸部80,80との間に位置させて第1姿勢になし、次いで前記外向きの力を解除することによって弾性部材14,14(図4参照)により支持部材3,3に内向きの力を付勢させて、第1姿勢を保持させてある。また、固定具31,31を操作して、継手部材4,4を支持部材3,3内へ挿入させてある。なお、前述した圧縮板58は取り外してある。また、基台2はフレーム部材20,20,…をスライドさせて幅寸法を可及的に小さくしておく。
【0084】
このように、本発明に係る圧縮機は、支持部材3,3、継手部材4,4、台座部5及び取手部6を折り畳んだ状態になすことができるため、収納スペースを可及的に狭くすることができる。また、基台2もフレーム部材20,20,…をスライドさせて幅寸法を可及的に小さくすることができるので、より収納スペースを狭くすることができる。
【0085】
このとき圧縮部53は基台2に当接させるが、これによって基台2から圧縮部53が突出しないため、圧縮機を折り畳んだ状態になした場合でも圧縮部53が邪魔にならない。また、前述したように取手部6は台座部5から取り外すことができるため、取手部6を取り外すことによって更に収納スペースを狭くすることができる。
【0086】
なお、基台2のフレーム部材20,20,…の構成を適宜に変更することによって、支持部材3,3を第1姿勢になしたときに、圧縮部53が基台2内に格納されるようになすことができる。これによって、圧縮機をよりコンパクトに収納することができる。
【0087】
図9は、圧縮機を移動させている状態を示す模式図的側面図である。
前述したように、支持部材3,3に外向きの力を付勢しつつ基台2の上方へ回動させることによって、支持部材3,3を第3凸部82,82と第4凸部83,83との間に位置させて第3姿勢になし、次いで前記外向きの力を解除することによって弾性部材14,14(図4参照)により支持部材3,3に内向きの力を付勢させて、第3姿勢を保持させてある。このとき、継手部材4(,4)の固定具41(,41)を操作して、台座部5を回動させることによって、取手部6が地面と略平行をなすように角度を調整してある。
【0088】
一方、基台2はフレーム部材20,20,…(図4参照)をスライドさせてゴミ箱といった収納器Gの幅寸法に応じた幅寸法に調整してあり、この基台2上に収納器Gが載置してある。また、固定具31,31を操作して、継手部材4,4を支持部材3,3から適宜寸法だけ延出させてある。
【0089】
前述したように基台2の裏面には車輪16,16,…が配設してあり、使用者は取手部6を把持してこれを押す又は引くことによって、圧縮機を容易に移動させる。
【0090】
このように、本発明に係る圧縮機は、フレーム部材20,20,…(図4参照)をスライドさせて収納器Gの幅寸法に応じた幅寸法に基台2の幅を調整することができるため、種々のサイズの収納器に対応することができる。また、支持部材3,3を第3姿勢に保持させ、台座部5を回動させて取手部6が地面と略平行をなすように角度を調整することができるため、使用者は自身に負担がかからない姿勢で容易に圧縮機の移動を実施することができる。一方、支持部材3,3は第3凸部82,82と第4凸部83,83とに挟持されることによって第3姿勢に保持されるため、圧縮機を移動させる際に支持部材3,3に力が印加されても、支持部材3,3は回動せず、圧縮機及び該圧縮機上に載置した収納器Gを安全に移動させることができる。
【0091】
なお、図9に示した例では、基台2上に収納器Gを載置した状態で圧縮機を移動させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基台2上に収納器Gを載置することなく圧縮機を移動させるようになしてもよいことは言うまでもない。この場合、予めフレーム部材20,20,…(図4参照)をスライドさせて収納器Gの幅寸法に応じた幅寸法に基台2の幅を調整することなく、圧縮機を移動させることができる。
【0092】
図10は、圧縮機によって廃棄物を圧縮して当該廃棄物を減容する様態を説明する説明図である。圧縮する廃棄物としては、ペットボトル、パッケージ、脱脂綿又は包帯といった医療廃棄物等、嵩が大きく圧縮可能なものであれば対象となる。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0093】
圧縮機を適宜の場所に移動して車輪16,16にストッパを施す。また、前述した如く基台2の幅、及び支持部材3,3から延出する継手部材4,4の長さ寸法、即ち圧縮部53の高さ位置を調整して、基台2上に収納器Gを載置する。この収納器G内には図示しない廃棄物が投入してある。
【0094】
使用者が足でペダル10を踏むと、給気部12(図3参照)から支持部材3内へ空気が供給される。この空気は図中白抜き矢印で示したように、継手部材4、台座部5の連結部52及び本体51内の空間領域を経て、圧縮部53を構成する管材内に供給される。このとき、取手部6に設けてある開閉スイッチは閉にしておく。
【0095】
支持部材3,3、継手部材4,4、台座部5及び圧縮部53の管材はそれぞれ気密状態に保たれているので、使用者がペダル10を複数回踏むに従ってそれらの内圧が上昇し、これによって圧縮部53の管材が相互に延伸するため圧縮板58が降下して廃棄物に当接する。このとき、前述したように管材の内部に配設された弾性部材57(図5参照)も管材の延出に伴って伸長される。
【0096】
そして、更に使用者がペダル10を踏むと、圧縮板58も更に降下しようとするため廃棄物に荷重が印加され、これによって当該廃棄物が圧縮される。
【0097】
使用者は、廃棄物の圧縮を視認すると、ペダル10を踏む動作を終了するとともに、開閉スイッチを開にする。開閉スイッチが開にされると、支持部材3,3、継手部材4,4、台座部5及び圧縮部53の管材内の空気は、取手部6内の排気路から外へ排気されるため、それらの内圧が降下し、これに伴って弾性部材57の作用により圧縮部53の各管材が元の状態へ収縮する。
【0098】
このように、本発明に係る圧縮機にあっては、使用者がペダル10を踏むことによって廃棄物を圧縮することができるため、手を使う場合に比べて容易に圧縮作業を実施することができ、子女子でも廃棄物を圧縮することができる。また、本発明に係る圧縮機は電源を必要としないため、場所を選ばずどこでも圧縮作業を実施することができる。
【0099】
一方、医療機関等において患者に使用後の脱脂綿又は包帯等の廃棄物を圧縮する場合、収納器G内に予めゴミ袋を装着しておき、該ゴミ袋内に投入された廃棄物を前述した如く圧縮機によって圧縮する操作を繰り返す。圧縮作業中、収納器G内に圧縮された廃棄物が適宜量溜まったと判断した場合、廃棄物を圧縮している状態でゴミ袋の口を最も外側の管材の周囲に括り付け、ゴミ袋の外側から圧縮板58を保持して当該圧縮板58を圧縮部53の連結部56(図5参照)から取り外す。この際、開閉スイッチを適宜操作して各管材を若干収縮させるとよい。このとき、圧縮板58には前述した如く開口585,585,…(図7参照)が開設してあるため、いずれかの開口585に指を係合させて圧縮板58を取り外す。
【0100】
そして、開閉スイッチを適宜操作して各管材を元の状態へ収縮させた後、圧縮板58をゴミ袋内に残留させた状態で、ゴミ袋の口を最も外側の管材から離脱させる。
【0101】
これによって、廃棄物及び該廃棄物に当接した圧縮板58に一切手を触れることなく、圧縮された廃棄物及び圧縮板58を収容したゴミ袋を処理することができるため、廃棄物に感染菌等の危険な物資が付着している虞がある場合であっても、圧縮した廃棄物を安全性に取り扱うことができる。一方、いずれかの開口585に指を係合させて圧縮板58を取り外すことができるため、ゴミ袋の外からであっても指が滑ることなく、確実に圧縮板58を取り外すことができる。
【0102】
なお、本実施の形態にあっては、支持部材3,3、継手部材4,4及び台座部5に設けられた連結部52,52の内部を通って給気部12から圧縮部53に空気を供給するようになしてあるが、本発明はこれに限らず、給気部12と圧縮部53との間を耐圧チューブ等を用いて連通させるようにしてもよいことはいうまでもない。この場合、少なくとも支持部材3,3、継手部材4,4及び台座部5に設けられた連結部52,52は、中実の棒状部材で構成することができる。
【0103】
また、支持部材3,3、継手部材4,4及び台座部5に設けられた連結部52,52の内、給気部12に接続した支持部材3、該支持部材3に連結した継手部材4、該継手部材4に連結した連結部52を管材で構成し、他の支持部材3、継手部材4及び連結部52は中実の棒状部材で構成してもよい。一方、台座部5に設けられた両連結部52,52の内、給気部12に接続した支持部材3に連結した継手部材4に挿入される連結部52とは異なる連結部52は、中実になしておく又は予め塞止しておいてもよい。
【0104】
一方、本実施の形態にあっては、取手部6に排気路63、開閉弁67及び開閉スイッチ66を設け、取手部6から排気するようになしてあるが、本発明はこれに限らず、基台2のフレーム部材20の適宜位置、例えばペダル10の近傍の位置に、開閉スイッチ66を設けるとともに、給気部12に開閉弁67を設けておき、開閉スイッチ66と開閉弁67との間を連動連結する構成になしてもよい。これによって、使用者は足で開閉スイッチ66を操作することができ、圧縮板58を収容したゴミ袋を両手で処理する場合であっても、足で排気操作を実行することによって、両手で圧縮機に触れることなく、ゴミ袋の処理を続行することができる。
【0105】
(実施の形態2)
図11及び図12は、他の圧縮部の構成を説明する説明図であり、廃棄物を圧縮する際に圧縮部に供給する空気量をより少なくし得るようになしてある。なお、両図中、図5に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0106】
図11に示したように、管材54,54,…の中心軸上には気密性及び耐圧性がともに高いベローズ59が前述した弾性部材57を囲繞する様態で配してあり、該ベローズ59の一端は前記本体51の底面に、またベローズ59の他端は前記塞止部55にそれぞれ気密状態を保って固定してある。
【0107】
一方、図12に示した圧縮部53は、前記ベローズ59及び弾性部材57にて構成してあり、図11に示した管材54,54,…を備えていない。このように管材54,54,…を備えないため、管材54,54,…に要するコストを削減することができる。
【0108】
このような圧縮部53,53にあっては、ベローズ59,59に空気を供給することによって圧縮板58,58を降下させることができるため、図5に示した如く管材54,54,…内に空気を共有する場合に比べて、空気の供給量が少なくて済む。従って、使用者がペダル10(図10参照)を踏む回数を少なくすることができ、圧縮作業に要する使用者への付加を低減することができる。
【0109】
なお、図11及び図12の圧縮部53,53では、ベローズ59,59と弾性部材57,57とを備える構成を示したが、本発明はこれに限らず、弾性部材と一体的に構成されたベローズを用いてもよいことは言うまでもない。
【0110】
(実施の形態3)
図13は、実施の形態3に係る圧縮機の構成を示す模式的側面図であり、基台2の上をカバー部材7で被覆する構成を示している。
【0111】
図13に示した如く、カバー部材7は、基台2上の略全面を覆う平板部71の周縁に平視がコ字状になるように袴部72を垂設して構成してある。この袴部72の高さ寸法は基台2の上面の高さ寸法と略同じになしてあり、平板部71を基台2上に配置した場合、袴部72の下縁が床又は地面等に当接するようになっている。
【0112】
カバー部材7としては、相異なる複数の幅寸法のものが予め作製されており、使用者は自身が使用する収納器Gの幅寸法に応じて当該収納器Gを収容し得る幅寸法のカバー部材7を選択するようになっている。なお、カバー部材7の奥行き寸法は、基台2の奥行き寸法と略同じである。
【0113】
使用者は基台2を前述した如く操作してカバー部材7に応じた適宜の幅寸法に調整し、当該基台2上にカバー部材7の平板部71を当該平板部71で基台2上を被覆するように載置する。このとき、図13に示した如く、袴部72が圧縮機の背面側に位置するように配置する。なお、袴部72はこの状態で、第2姿勢の支持部材3(,3)に接触しないようになしてある。そして、使用者は前記カバー部材7の平板部71上に収納器Gを載置した後、前同様の操作を実施して収納器G内の廃棄物を圧縮する。
【0114】
このとき、袴部72の下縁が床又は地面等に当接しているため、圧縮作業中に圧縮機が移動することが防止される。従って、車輪16(,16,…)にストッパを設ける必要がない。
【0115】
また、収納器G及び廃棄物の重量、並びに圧縮作業の荷重の一部をカバー部材7の袴部72が担持するため、圧縮機の基台2及び車輪16(,16,…)に印加される荷重を軽減することができる。一方、基台2上はカバー部材7の平坦な平板部71にて被覆されており、該平板部71上に収納器Gが載置されているため、平板部71と収納器Gとの間にガタがほとんど発生せず、圧縮作業を円滑に実施することができる。
【0116】
なお、車輪16(,16,…)のストッパを不要になすためには、例えば圧縮機の背面側に配設した車輪をサスペンション等で支持することによって、基台2上に所定量以上の荷重が負荷されたときに、当該車輪が基台2内へ引っ込み、基台2の裏面側が床又は地面に当接するように構成してもよい。この場合、前述した如きカバー部材7は不要である。
【0117】
一方、基台2を縦方向に貫通するストッパ用の棒材を配設するとともに、該棒材を弾性部材によって地面から適宜寸法だけ離隔した状態に保持しておき、カバー部材7に所定以上の荷重が印加されると、前記棒材が降下してその下端が地面に当接してストッパ機能を奏するようになしてもよい。この場合、非常に簡単な構成で、車輪16(,16,…)のストッパを不要になすことができ、廉価である。
【符号の説明】
【0118】
2 基台
3 支持部材
4 継手部材
5 台座部
6 取手部
10 ペダル
12 給気部
14 弾性部材
20 フレーム部材
31 固定具
41 固定具
51 本体
52 連結部
53 圧縮部
54 管材
58 圧縮板
80 第1凸部
81 第2凸部
82 第3凸部
83 第4凸部
G 収納器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を収納する収納器を載置するための基台と、該基台の対向する両側にそれぞれその一端が回動可能に取り付けられた棒状の支持部材と、両支持部材の他端側にそれぞれその一端が前記支持部材の長手方向へ進退可能に支持された棒状の継手部材と、両継手部材の他端にて前記基台に対向可能に挟持された台座部と、該台座部に垂下してあり、空気圧により延伸する圧縮部と、該圧縮部の先端に取り付けられ、前記圧縮部の延伸により収納器内の廃棄物に当接してこれを圧縮する圧縮板とを備え、
前記基台には前記圧縮部に空気を供給する給気部と、該給気部に連結され、足踏みにより前記給気部から空気を排出させるペダルとが設けてあり、
前記支持部材は基台に対して平伏した第1姿勢と、基台に対して起立した第2姿勢とに変更可能になしてある
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記支持部材の一端は前記基台の幅方向へ進退可能に取り付けられており、
前記基台には両支持部材に応じてそれぞれ、当該支持部材の一端を当該基台の内側へ付勢する弾性部材が設けてあり、
前記基台の両側であって、前記支持部材の一端近傍の周囲の部分には、支持部材を前記第1姿勢に保持するための第1保持部と、支持部材を前記第2姿勢に保持するための第2保持部とが設けてある
請求項1記載の圧縮機。
【請求項3】
前記基台は幅方向へ伸縮可能に構成してあり、
前記台座部は、前記圧縮部を支持する本体の外周面に、前記両継手部材の他端と各別に連結する一対の連結部を前記本体の周方向へ互いに位置を異ならせて設けてなり、
両連結部は対応する継手部材によって連結部の長手方向へ進退可能に支持されている
請求項1又は2記載の圧縮機。
【請求項4】
少なくとも一方の支持部材及び該支持部材に支持された継手部材、並びに該継手部材に連結された連結部は管状になしてあり、
前記支持部材と該支持部材に支持された継手部材との間、前記継手部材と該継手部材に連結された連結部との間は気密状態が保持されており、
前記本体内には連結部から圧縮部に連通する通気路が設けてあり、
前記給気部から前記支持部材内に導入された空気が、前記継手部材及び連結部内を通って前記通気路から圧縮部内に導入されるようになしてある
請求項3記載の圧縮機。
【請求項5】
両継手部材は管材で構成してあり、
前記両連結部は対応する継手部材の他端側に、連結部の中心軸周りに回動可能に挿入してあり、
前記本体の圧縮部とは反対側に取手部が着脱可能に取り付けてあり、
前記基台の裏面側には複数の車輪が取り付けてある
請求項4記載の圧縮機。
【請求項6】
前記両連結部の端部近傍の周面には、挿入された継手部材との間で気密状態を保持するためのOリング、及び該Oリングに給油する給油用リングが外嵌してある請求項5記載の圧縮機。
【請求項7】
前記基台の両側には、前記支持部材を前記第1姿勢と第2姿勢との中途である第3姿勢に保持するための第3保持部が設けてある請求項5又は6記載の圧縮機。
【請求項8】
前記圧縮部内から排気させるための開閉弁と、該開閉弁を開閉させるスイッチとを更に備える請求項5、6又は7記載の圧縮機。
【請求項9】
前記基台上の略全面を覆う平板部と、該平板部の周縁に垂設した袴部とを設けてなるカバー部材を更に備え、該カバー部材を基台に、前記平板部が基台を覆うように載置したとき、前記袴部の下縁が床又は地面等に当接するようになしてある請求項5から8のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項10】
前記圧縮部は、内径を漸次小さくなした複数の管材を同心円上に、相互に気密状態を保って嵌入させてなり、前記給気部から供給された空気によって各管材は前記台座部から離隔する方向へ延伸するようになしてある請求項1から9のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項11】
前記圧縮部は、内径を漸次小さくなした複数の管材を同心円上に嵌入させてなり、これら管材の中心軸上にベローズが気密状態を保持して配してあり、前記給気部から供給された空気によってベローズが前記台座部から離隔する方向へ延伸するのにともなって、前記各管材も前記台座部から離隔する方向へ延出するようになしてある請求項1から9のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項12】
前記圧縮部は、気密状態を保つように設けたベローズにて構成してあり、前記給気部から供給された空気によってベローズは前記台座部から離隔する方向へ延伸するようになしてある請求項1から9のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項13】
前記圧縮部は、延伸状態から元の状態へ復帰するための弾性部材を具備している請求項1から12のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項14】
前記圧縮板は前記圧縮部に着脱可能に取り付けてある請求項1から13のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項15】
前記圧縮板には1又は複数の開口が設けてある請求項1から14のいずれかに記載の圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−793(P2013−793A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137863(P2011−137863)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(598141017)
【Fターム(参考)】