説明

圧縮空気工具用のエアプラグ

【課題】エアモータを駆動する圧縮空気工具等へ充分な量の圧縮空気を圧力降下をすることなく供給する
【解決手段】圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を貯留するエアチャンバ8を備えるとともにこのエアチャンバ8の容量が90cc以下に設定された圧縮空気工具を圧縮空気供給源と接続するためのソケットとエアプラグとから構成される流体継ぎ手のエアプラグ15であって、ソケット内に嵌合される前記エアプラグ15のシール部19の外径を7.1mm以下に形成するとともに、ソケット側からエアプラグ15側へ圧縮空気が流入するエアプラグ15側の前記シール部19の中心に形成したエア流路20を、直径3mm以上の穴相当の間の流路断面に形成し、このエア流路20を同一の流路断面で前記シール部19の端面に開口させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気によって駆動される圧縮空気工具と圧縮空気供給源との間を接続するエアホースを圧縮空気工具に接続するためのエアプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ内のピストンを圧縮空気で駆動してこのピストンに連結されたドライバによって釘打ちを行う圧縮空気駆動釘打機や、圧縮空気によってエアモータを駆動してこのエアモータによってドライバビットを回転させてネジ締めを行うようにした圧縮空気駆動ドライバ等の圧縮空気工具では、コンプレッサ等の圧縮空気供給源と圧縮空気工具とをエアホースを介して接続して、圧縮空気供給源から圧縮空気工具内に供給された圧縮空気を前記打撃シリンダ内へ導入させてピストンを駆動させたり、又は圧縮空気工具内に供給された圧縮空気をエアモータに供給してエアモータを回転駆動させるようにしている。
【0003】
これらの圧縮空気工具と圧縮空気供給源を接続するエアホースとの間には、圧縮空気工具とエアホース及びエアホースと圧縮空気供給源とを接続するためのソケットとエアプラグとによって構成されている流体継ぎ手が使用されている。一般的にはコンプレッサ等の圧縮空気供給源及び圧縮空気工具に接続されるエアホースの端部には遮断弁が内蔵されているソケットが形成され、圧縮空気供給源と接続されるエアホースの端部及び前記圧縮空気工具には前記ソケットと接続されるエアプラグが形成されている。前記エアホースの一端側に形成されているエアプラグを圧縮空気供給源のソケットに接続し、エアホースの他端側のソケットを前記圧縮空気工具に形成されているエアプラグと接続することによって、圧縮空気供給源から圧縮空気工具へ圧縮空気を供給するようにしている。
【0004】
シリンダ内へ圧縮空気を供給してピストン駆動して釘打ちを行うエア釘打機においては、従来から使用されている1MPa以下の常圧域の圧縮空気で駆動させるようにした常圧用工具に加えて、従来の常圧域の圧力よりも高い高圧域の圧縮空気で駆動させるようにした高圧専用の圧縮空気工具が、高出力の工具が小型軽量に形成できるという理由で使用されるようになっている。前記高圧用工具を駆動するための圧縮空気は高圧専用の圧縮空気供給源から供給できるようにしており、この高圧専用の圧縮空気供給源に常圧用工具が接続できないように前記高圧用の工具と高圧の圧縮空気供給源との間を接続する流体継ぎ手は、前記常圧用工具用の流体継ぎ手とは異なった独自の形状に形成されている。
【0005】
一般的な流体継ぎ手においては、エアプラグをソケットと接続するにはエアプラグの先端のシール部をソケット内に差し込む操作が必要があり、この際にエアプラグのシール部の端面にソケット側の圧縮空気が作用してエアプラグをソケットから離反させるように作用する差込荷重が発生する。例えば常圧用のエアプラグを1MPa以下の常圧の圧力で使用する場合にはこの差込加重が0.8MPa以下となるようにエアプラグのシール部の外径が設定されている。一方、図7に示すように、例えば2MPaまでの高圧域の圧縮空気工具で使用される流体継ぎ手のエアプラグ40では、ソケット側の凹部内に嵌合されるシール部41の端面に作用する圧縮空気の圧力が高いため装着荷重も大きくなってしまい装着作業性が悪くなるため、差込荷重が従来の常圧用のエアプラグと同じ程度の差込荷重となるようにエアプラグ40の前記シール部41の外径寸法a1を小さく設定している(直径7.1mm)。
【0006】
更に、シリンダ内に供給された圧縮空気によってピストン駆動して釘打ちを行う圧縮空気駆動の釘打機では、釘打機のシリンダと隣接して大容量(140〜200cc)のエアチャンバを形成しており、圧縮空気源から供給された圧縮空気をこのエアチャンバ内に貯留するようにしている。そしてこのエアチャンバ内の大量の圧縮空気をシリンダ内へ瞬時に供給してシリンダ内のピストンを衝撃的に駆動させるようにしている。このように圧縮空気駆動工具内に大きな容量のエアチャンバが形成されていると、工具から圧縮空気供給源に接続しているエアホースを外したときに、エアチャンバに溜められていた多量の圧縮空気がエアプラグから噴き出して騒音を発生したり又は圧縮空気の噴出しの反動による機械のふられが発生する。このため、高圧域の圧力の圧縮空気で駆動するようにした釘打機に装着されている従来のエアプラグでは、図7に示すように、エアプラグ40のシール部41の中心に形成されているエア流路42の直径c1を3mm程度に設定するとともに、このエア流路42の端部に直径b1が2mm程度の小穴43を形成することによって、エアプラグ40から噴出される圧縮空気による騒音と反動力を従来の常圧工具とほぼ同じとなるようにしている。
【特許文献1】特公第3137229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧縮空気によって駆動されるエアモータを内蔵し、このエアモータに圧縮空気を供給してエアモータに連結されたドライバビットを回転させて、このドライバビットを介してネジ締めを行うようにしたインパクトドライバのような圧縮空気工具においても、常圧用工具はあるが、高圧域の圧力の圧縮空気で駆動駆動させるようにした高圧用工具がなかった。このようなエアモータを駆動させるために大量の圧縮空気を連続してエアモータへ供給するようにした工具では、先端に小径の穴43を形成した前述の高圧用のエアプラグ40を介して高圧の圧縮空気供給源と接続した場合に、先端の小穴43が絞り作用となってエアモータへ充分な圧縮空気が供給できず、エアモータへ供給される圧縮空気の圧力が低下してしまいエアモータの出力が低下して、ネジ締めの作業性を低下させてしまうという問題が発生してしまう。
【0008】
本発明は、上記従来技術における問題点を解決して、エアモータを駆動する圧縮空気工具等へ充分な量の圧縮空気を圧力降下をすることなく供給することができる圧縮空気工具用のエアプラグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明の圧縮空気工具用のエアプラグは、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を貯留するエアチャンバを備えるとともにこのエアチャンバの容量が90cc以下に設定された圧縮空気工具を圧縮空気供給源と接続するためのソケットとエアプラグとから構成される流体継ぎ手のエアプラグであって、ソケット内に嵌合される前記エアプラグのシール部の外径を7.1mm以下に形成するとともに、圧縮空気がソケット側からエアプラグ側へ流入するエアプラグ側の前記シール部の中心に形成したエア流路を直径3mm以上の穴相当の間の流路断面に形成し、このエア流路を同一流路断面で前記シール部の端面に開口させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の圧縮空気工具用のエアプラグによれば、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を貯留するエアチャンバを備えるとともにこのエアチャンバの容量が90cc以下に設定された圧縮空気工具を圧縮空気供給源と接続するためのソケットとエアプラグとから構成される流体継ぎ手のエアプラグであって、ソケット内に嵌合される前記エアプラグのシール部の外径を7.1mm以下に形成するとともに、圧縮空気がソケット側からエアプラグ側へ流入するエアプラグ側の前記シール部の中心に形成したエア流路を直径3mm以上の穴相当の間の流路断面に形成し、このエア流路を同一流路断面で前記シール部の端面に開口させているので、インパクトドライバ等のチャンバ容量が90cc以下の圧縮空気工具において、エアプラグの流路径を大きく形成してもエアプラグからソケットを外した時にエアプラグの先端から噴き出す圧縮空気の量が少ないため、発生音と反力は小さく常圧の圧縮空気工具とほぼ同等の操作性を発揮させることができる。また、エアプラグの最小の流路断面を直径3mmの穴相当以上に大きくすることで流量特性の向上が図れ、エアモータへ充分な圧縮空気が供給できてエアモータ直前での圧力降下を小さくできエアモータを高出力で駆動することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、エアモータを駆動する圧縮空気工具等へ充分な量の圧縮空気を圧力降下をすることなく供給するという目的を、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を貯留するエアチャンバを備えるとともにこのエアチャンバの容量が90cc以下に設定された圧縮空気工具を圧縮空気供給源と接続するためのソケットとエアプラグとから構成される流体継ぎ手のエアプラグであって、ソケット内に嵌合される前記エアプラグのシール部の外径を7.1mm以下に形成するとともに、圧縮空気がソケット側からエアプラグ側へ流入するエアプラグ側の前記シール部の中心に形成したエア流路を直径3mm以上の穴相当の間の流路断面に形成し、このエア流路を同一流路断面で前記シール部の端面に開口させることによって実現したものであり、更に具体的な実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の高圧用のエアプラグを装着した高圧域の圧力の圧縮空気で作動するようにした圧縮空気工具の一例としてのインパクトドライバを示す側面図であり、その一部を断面にして示しているものである。インパクトドライバ1は、作業時にインパクトドライバ1を把持するためのグリップ部3が一体に形成されたハウジング2を備えており、このハウジング2内にはインパクトドライバ1内へ供給される高圧域の圧縮空気によって回転駆動されるエアモータ4が収容されている。更にハウジング2内には前記エアモータ4によって駆動されるインパクト機構が収容配置されており、このインパクト機構によって回転駆動される駆動シャフト5が前記ハウジング2の先端から突出させて配置されており、この駆動シャフト5の先端部にはドライバビット7を着脱自在に装着させるチャック部6が形成されている。
【0013】
ハウジング2と一体に形成されている前記グリップ部3は中空状に形成されておりこのグリップ部3の中空内部には、圧縮空気を前記エアモータ4へ供給するための供給流路8と、前記エアモータ4を駆動した後にエアモータ4から排気される排気空気を大気へ排出させるための排気流路9が並列して形成されている。前記グリップ部3の基部には、供給流路8に供給されている圧縮空気をエアモータ4へ供給させるためのスロットルバルブ10が形成されており、グリップ部3の基部に回動可能に支持されているスロットルレバー11をグリップ部3を把持している手の指によって操作することによって、前記スロットルバルブ10を介して前記供給流路8に供給されている圧縮空気をエアモータ4へ供給してエアモータ4を回転駆動させるようにしている。
【0014】
エアモータ4へ供給されてエアモータ4を駆動した圧縮空気は、エアモータから排気されて前記排気流路9へ導入され、この排気流路9の後端部に形成されている排気部12から大気へ排出される。この排気部12にはエアモータ4から排気される排気空気の流速を減少させて排気空気が埃や木屑を吹き上げてしまうことを防ぐとともに排気音を小さくさせるための排気フィルタ13が形成されており、エアモータ4から排気される排気空気が前記排気流路9によって誘導されて前記排気フィルタ13を通過して排気部12に形成された排気口14から大気中へ排出されるようにされている。
【0015】
前記供給流路8の端部はグリップ部3の後端に向けた開口部が形成されており、この開口部には一端側が圧縮空気供給源に接続されたエアホースを着脱自在に接続するためのエアプラグ15が取り付けられ、このエアプラグ15に接続されるエアホースを介して圧縮空気供給源から圧縮空気がグリップ部3内に形成されている前記供給流路8内へ供給されている。尚、この実施例のインパクトドライバ1は、1MPa以下の常圧域の圧力よりも高い高圧域の圧縮空気によって作動させるように設定しており、従って前記エアプラグ15は高圧域の圧縮空気供給システムにのみ接続できる高圧システム専用の形状に形成されている。上記エアプラグ15の下流側から前記スロットルバルブ10までの間の供給流路8内は容積が14cc程度の小さい容量のエアチャンバを形成しており、前記エアプラグ15を介して供給される圧縮空気がこの供給流路8によって形成されているエアチャンバ内に溜められている。
【0016】
図2に示すように、この実施例にかかるエアプラグ15は、インパクトドライバ1等の工具にエアプラグ15を取り付けるための取付部16と、このエアプラグ15にエアホースの一端に取り付けたソケットを接続する接続部17と、これらの間に配置されて互いに傾斜した2つの平面に沿って前記取付部16と接続部17をそれぞれ回動可能に接続させている中間部18によって構成されており、各々の回動接続部を独自に回転させることによってエアプラグ15の接続部17を取付部16に対して任意の方向に自在に向けることができるようにしたものである。前記取付部16にはインパクトドライバ1のグリップ部の端部にエアプラグ15を取り付けるための雄ネジ22が形成されるとともにこの雄ネジ22を螺合操作するための工具を係合させる係合部23が形成されている。
【0017】
前記接続部17には、エアホースの一端側に取り付けられているソケットに形成されている凹部内へ挿入される中空筒状のシール部19が形成されており、このシール部19をソケットの凹部に装着する際にソケット側の圧縮空気がシール部19の端面に作用して差込荷重が発生するが、圧縮空気による差込荷重が所定値以上にならないようにシール部19の外径寸法a2は従来技術のエアプラグと同様に7.1mmに形成されている。このシール部19の外径寸法a2は、既存の高圧専用の圧縮空気供給システムとして使用されているエアプラグに共通の寸法であって、既存の高圧の圧縮空気供給システムから圧縮空気の供給を受ける場合にはこの寸法は変更することはできない。
【0018】
前記エアプラグ15の接続部17の中心にはエアホースに取り付けられているソケット側から流入する圧縮空気を取付部16を経てグリップ部3内の供給流路8内へ誘導するエア流路20が形成されている。このエア流路20は前記シール部19の中心軸に沿って前記接続部17のシール部19の端面に開口21して形成されている。更に、前記シール部19の先端部に近接した外周面には放射方向に向けた複数の開口24が円周方向に等間隔に形成されており、この開口24を経てソケット側の圧縮空気が前記エア流路20内へ流通するようにしている。
【0019】
前記シール部19の外径寸法は前述したように7.1mmに規定されているので、このシール部19の中心に形成されている前記エア流路20の穴径を大きくすることは接続部17の先端部の強度を低下させてしまうことになる。図3に示すグラフは接続部17の先端に斜め45度の方向からインパクトドライバ1の重量と同じ荷重を作用させたときの前記シール部19に発生する応力をエア流路20の穴径に対応して示すもので、このグラフからエア流路20の穴径が2.0乃至4.1mmまでは応力が大きく変化することがなく、例えば工具を落下させた場合でもシール部19を損傷してしまうことがないことが解った。従って強度的にはシール部19に形成するエア流路20の穴径を直径4.1mmまで大きくすることが可能である。
【0020】
また、上記シール部19のエア流路20の径を大きく形成することは、圧縮空気供給源に接続されているエアホースをエアプラグ15から外したときときに、エアプラグ15から噴出する圧縮空気による噴出音が大きくなることが想定できる。図4に示すグラフは、エア流路20の穴径を4.1mmに設定したエアプラグ15と、先端に直径2.0mmの穴を形成した従来の高圧用のエアプラグの各々を、所定容量のエアチャンバに接続して該エアチャンバ内の圧縮空気をそれぞれのエアプラグから噴出させたときの発生音の大きさをチャンバ容量と対応させて示すものであり、このグラフから、エア流路20の穴径を4.1と大きくしたエアプラグ15でもエアチャンバの容量が90cc以下であれば、発生音は既存の高圧用のエアプラグを装着した工具の発生音とほぼ同等であって実用上間題無い範囲であることが計測できた。特に本実施例のインパクトドライバ1等のエアモータを駆動する工具のように、エアチャンバ容量が14ccとごく小さい揚合には全く作業性を損なうことがないことが理解できる。
【0021】
更に、上記シール部19のエア流路20の径を大きく形成することによって、エアプラグ15から噴出する圧縮空気による反力が大きくなることが想定できる。図5に示すグラフは、エア流路20の穴径を4.1mmに設定したエアプラグ15と、先端に直径2.0mmの穴を形成した従来の高圧用のエアプラグの各々を、所定容量のエアチャンバに接続して該エアチャンバ内の圧縮空気をそれぞれのエアプラグから噴出させたときの反力の大きさをチャンバ容量と対応させて示すものであり、このグラフから、エア流路20の穴径を4.1と大きくしたエアプラグでもエアチャンバの容量が110cc以下であれば、反力は既存の高圧用のエアプラグを装着した工具の反力と同等以下になっており、実用上間題無いと考えられる。特に、インパクトドライバ等のエアモータを駆動する工具のように、エアチャンバ容積が14cc以下とごく小さい揚合には全く作業性を損なうことがない程度である。
【0022】
上記のように、チャンバの容積が90ccより小さい例えば14cc程の容積のチャンバを形成したインパクトドライバ等の圧縮空気工具において、エアプラグ15のエア流路20の穴径を直径4.1mmまで大きく形成しても、エアプラグ15から圧縮空気供給源に接続されているエアホースを外したときに、エアプラグ15から噴出す圧縮空気量が少ない為、その発生音と反力を既存のエアプラグを使用している大きな容量のチャンバを備えた圧縮空気工具と同等以下に以下にすることができ、高圧域の圧縮空気で駆動する圧縮空気工具を使用しての作業性が改善される。
【0023】
更に、図6に示すグラフは、エア流路20の穴径を4.1mmに設定したエアプラグ15と、先端に直径2.0mmの穴を形成した従来の高圧用のエアプラグの各々による高圧の圧縮空気の流量特性を示すもので、このグラフから、先端に直径2.0mmの穴を形成した従来の高圧用のエアプラグでは、流量の増加とともにエアプラグより下流側である二次圧力の低下が大きく、1000l/min時には二次圧が1.5Mpa(低下率17%)と大きく低下してしまうが、一方エア流路20の穴径を4.1mmに設定したエアプラグ15では二次圧の低下が少なく、1000l/min時でも二次圧が1.7Mpa(低下率6%)と高い圧力が維持されることが解った。このように、エアプラグでの流量特性の改善が図れることによって、エアモータを高圧域の圧縮空気の圧力を高く維持させて高出力で駆動させることができる。
【0024】
なお、上記実施例では、取付部16と接続部17をそれぞれ回動可能に接続させている中間部18によって構成され、接続部16を取付部に対して任意の方向に自由に向けることができる用にしたエアプラグ15に基づいて説明したが、本発明はこのようなものに限定されるものではなく、一端側にインパクトドライバ1にエアプラグを取り付けるための雄ネジが形成されるとともにこの雄ネジを螺合操作するための工具を係合させる係合部が形成され、更に、他端側にエアホースに取り付けられているソケットに形成されている凹部内へ挿入される中空筒状のシール部が一体に形成されたエアプラグにおいても同様に実施することが可能である。また、エア流路20の形状は、穴形状には限らない。同軸でない穴に類似の形状でもよく、また四角穴等の多角形状でもよい。
【0025】
上記実施例のエアプラグ15によれば、圧縮空気の供給源から供給される圧縮空気を貯留するエアチャンバの容量が90cc以下に設定された高圧域の圧縮空気で作動する圧縮空気工具を圧縮空気供給源と接続するソケットとエアプラグとから構成される流体継ぎ手のエアプラグ15であって、ソケットに形成されている凹部内に嵌合されるエアプラグ15のシール部19の外径を既存のエアプラグと同一の7.1mmに形成するとともに、ソケット側からエアプラグ15側へ流入する圧縮空気を流通させるエアプラグ15のシール部19の中心に形成したエア流路20を、直径3mm以上の穴相当の流路断面に形成するとともに、このエア流路20を同一の流路断面でシール部19の端面に開口させているので、エアプラグ15からエアホースを外した時にエアチャンバから噴出す圧縮空気の量が少ないため発生音と反力は常圧の圧縮空気工具とほぼ同等の操作性を発揮させることができる。
【0026】
また、前記エア流路20を直径3mm以上の穴相当の流路断面に形成するとともに、このエア流路20を同一の流路断面でシール部19の端面に開口させているので、従来のエアプラグより流量特性の向上が図れ、エアモータへ充分な量の圧縮空気を供給できるとともに、エアモータ直前での圧力降下を小さくできエアモータを高出力で駆動することが可能となる。例えば、エア流路20の有効断面積を直径3.8mmの穴相当にしたインパクトドライバを、1.8Mpaの圧力の圧縮空気で作動させたときに、エアモータの出力が約11%向上し、ネジ1本あたりの締込時間が15%短縮され、ネジ締め作業の作業効率の改善が図れた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のエアプラグを装着した圧縮空気工具の一例としてのインパクトドライバを示す一部を断面で示す側面図
【図2】図1のエアプラグの縦断側面図
【図3】本発明のエアプラグによるエア流路の穴径と応力の関係を示すグラフ図
【図4】本発明のエアプラグによるチャンバ容量と排気音の対応関係を示すグラフ図
【図5】本発明のエアプラグによるチャンバ容量と反力の対応関係を示すグラフ図
【図6】本発明のエアプラグと従来のエアプラグとの流量特性を示すグラフ図
【図7】従来の高圧用のエアプラグを示す縦断側面図
【符号の説明】
【0028】
1 インパクトドライバ(圧縮空気工具)
8 供給流路(エアチャンバ)
15 エアプラグ
16 取付部
17 接続部
18 中間部
19 シール部
20 エア流路
21 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を貯留するエアチャンバを備えるとともにこのエアチャンバの容量が90cc以下に設定された圧縮空気工具を圧縮空気供給源と接続するためのソケットとエアプラグとから構成される流体継ぎ手のエアプラグであって、ソケット内に嵌合される前記エアプラグのシール部の外径を7.1mm以下に形成するとともに、圧縮空気がソケット側からエアプラグ側へ流入するエアプラグ側の前記シール部の中心に形成したエア流路を直径3mm以上の流路断面に形成し、このエア流路を同一流路断面で前記シール部の端面に開口させたことを特徴とする圧縮空気工具用のエアプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−263877(P2006−263877A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86964(P2005−86964)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】