説明

圧縮試験時に試験片の横変形を測定するためのカラー

本発明は一軸または三軸圧縮試験時に試験片の横変形を測定するためのカラー1に関する。本発明によれば、カラー1は試験片を留めることができる開放形の金属リング2または複合材料から作られるリングを含み、リングの自由端3は距離Δを空けて離される。本発明のカラーは、またリング2の自由端3間の距離Δを直接的または間接的に測定するための手段Vを含み、前記手段は少なくとも1つの歪みゲージ6を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮試験、特に一軸または三軸圧縮試験時に試験片の横変形を測定するためのカラーに関する。
【背景技術】
【0002】
これは、標本採取現場における、実験室試験条件下での、岩石、土壌、セメント状材料または加工材料の、地質標本に関する多機能三軸試験の試験装置に特にその用途が見つけられる。
【0003】
試験片とも呼ばれる円柱形のサンプルは、様々な圧力、荷重、温度及び排水条件をかけられる。これらのパラメータは、圧力、温度、内部または外部変位センサを用いて制御することができる。
【0004】
その圧力を標本の軸方向及び/または側面に向けることができる。
【0005】
明細書FR2,566,531は、スプリング式装置により保持される標本を締め付ける、ヒンジ留めされた複数の平行ロールから成るカラー形式の横変位センサを開示している。この種のカラーは最後の両方のロールの間隔を測定しながら標本の横変形を測定することができる。
【0006】
明細書FR2,663,121は、地質標本用多機能三軸試験装置を開示している。この種の装置は、その中に円柱形の試験片が置かれる圧力室を含む。圧力室は、試験片に対して軸方向に一軸推力を加える少なくとも1つの圧力ジャッキを含む。
【0007】
前記の円柱形の試験片の側面に流体圧力を加えながら、側圧、さらに特定して言うと半径方向の側圧が試験片に加えられる。液圧補正システムは、さらに縦荷重と半径方向荷重のバランスをとれるようにする。
【0008】
また、標本は、オイルなどの流体に浸漬されており、弾性ダイアフラムで形成されるスリーブ状の鞘体により前記流体から保護される。標本の横変形を測定するために、ロール形式の既知のカラーは、鞘体を抱きながら鞘体の周りに配置される。
【0009】
しかし、ロールはダイアフラムの弾性の壁に押し付けられ、それによってスリーブの周縁を回転することによりその変位を妨害する傾向があるので、この種のカラーはあまり満足すべきものでないことが判っている。
【0010】
さらに、ダイアフラムの壁の弾性は測定を歪めることが判った。カラーは標本の横変形を測定するが、ダイアフラムの横変形も測定してしまう。
【0011】
さらに、ロールで形成される上述の既知のカラーは比較的扱いにくく、試験装置は十分に大きい(特に幅の大きい)圧力室を設置できるものでなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は上記の欠点を改善し、それにより測定の精度を上げるようにする、試験片の横変形を測定するためのカラーを提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの目的は単純な設計でかつ低コストの測定カラーを提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、本発明に係るカラーに使用する特定試験片用の保護鞘体を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は、限定的ではなく例としてのみ示されている以下の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、まず、圧縮試験特に一軸または三軸圧縮試験時に試験片の横変形を測定するためのカラーに関するものであり、カラーが、前記試験片を締め付ける開放形の金属リングまたは複合材料のリングで形成され、その自由端が距離Δを空けて離され、前記カラーが、さらに、少なくとも1つの応力ゲージにより形成された手段であって、リングの前記自由端の距離Δを直接的または間接的に測定するための手段を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明は、また、特に鉱物、岩石及び(または)土壌、コンクリートの試験片を保護するために試験装置に使用される鞘体に関するものであり、前記鞘体は弾性スリーブにより形成され、特に本発明に係る測定用カラーと協働することができる。
【0018】
本発明によれば、スリーブは、スリーブの円周に規則的に分散され前記カラーの休止ポイントを形成する少なくとも2つの硬質箇所をその壁に含む。
【0019】
本発明は、添付図面と一緒に以下の説明を読めばさらによく理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、まず第1に、圧縮試験特に一軸または三軸圧縮試験時に試験片の横変形を測定するためのカラーに関する。
【0021】
横変形とは、円柱形試験片の縦軸に対して直角を成す平面における試験片の変形を意味する。
【0022】
本発明によれば、カラー1は、前記試験片を締め付ける金属リングまたは複合材料で作られたリングで形成される。リング2は開放している。リングの2つの自由端3は距離Δを空けて離される。前記カラー1は、さらに、リング2の2つの前記自由端3の間隔Δを直接的または間接的に測定するための手段を含み、この手段は少なくとも1つの応力ゲージ6により形成される。
【0023】
伸縮ゲージとも呼ばれる応力ゲージは、導電体の抵抗変化により応力を受ける材料の変形を追跡するデバイスである。
【0024】
金属リングまたは複合材料で作られるリングを、単体で、または例えば溶接により接合された特に剛性または半剛性の2つの部分で形成することができる。リングは、試験片を抱くことにより試験片を締め付ける。
【0025】
1つの実施態様において、リングの前記自由端間の間隔を測定するための手段5は4つの応力ゲージにより形成される。
【0026】
図1または2に示される特定の実施態様において、測定手段5は、一方で前記少なくとも1つの応力ゲージ6を装着した弾性ブレード7により形成され、前記弾性ブレード7は予応力が与えられ、リング2の自由端3の1つに取り付けられ、他方で、リングの他の端に取り付けられ、カラーの変形時に弾性ブレードを撓曲させる接触フィンガ8を備える。
【0027】
リングの自由端3は、各々実質的に相互に平行な材料突起により間隔が空けられる。
【0028】
図1または2に示すように、前記弾性ブレード7は、カラー1の端3に配置され、カラーの一方の端によりカラーの平面に対して実質的に直角を成すように保持される。
【0029】
応力ゲージは、既知の方法に従って、ゲージの抵抗変化を測定する電気測定装置が接続される。この種の装置は較正後に試験片の変形を検出する。
【0030】
有利には、弾性ブレードは予応力を与えられる。すなわちカラーが休止状態でも応力が与えられる。その結果、電気測定装置により測定される値が信頼でき連続的になる。
【0031】
応力ゲージを接着により弾性ブレードに取り付けることができる。
【0032】
1つの実施態様において、接触フィンガ8は実質的に弾性ブレードに対して直角に配置され、カラーはさらに前記弾性ブレードに対して接触フィンガの相対的位置を調整するための第一の手段を含む。
【0033】
図1及び2に示すように、接触フィンガ8はネジ切りされ、特にネジスクリューの形をとり、リング2の自由端3の1つに設けられる穴の雌ネジと協働することができる。
【0034】
次に、接触フィンガ8はねじ込まれて、この自由端3を形成する突起から上向きに伸びる側面15の貫通部品として取り付けられる。
【0035】
1つの実施態様において、リング2の自由端3の1つは、前記弾性ブレードを保持する締付けあご9を含む。
【0036】
図1に示すように、このような自由端3を形成するこの種の材料突起は、肩部を持ち、この肩部に対して頬16がその下端で、特にロックスクリュ17により弾性ブレード7を締め付ける。
【0037】
弾性ブレード7を保護するためにカバー(図示せず)を設置することができる。カバーは取外し可能として、特に締付けあご9の頬16に取り付けることができる。
【0038】
カバーはブレード7の高さ全体を越えて上向きに伸び、カラーの変形時にブレード7を内部で締付け可能な内部体積を持つ。
【0039】
1つの実施態様において、リング2の自由端3は、引き伸ばされた弾性手段10により接続される。弾性手段10は、弾性ブレードに予応力を与えることができ、有利である。カラーはさらに弾性手段10の引き戻し力を調整するための手段を含む。
【0040】
弾性手段10は、特に引き伸ばされたばねまたはOリングの形を取ることができる。
【0041】
リング2の両方の自由端3は2つのキャッチ点11、12で弾性手段10により接続され、カラーはさらにここにリング2の自由端3の1つに対してキャッチ点12の相対的位置を調整するための第二の手段13、14を含む。
【0042】
前記第二の設定手段は、例えば図1及び2に示されている。より簡単に示すために、前記の第二の設定手段は図1においてはカラーの自由端3の下方に示されており、図2においては前記自由端3の延長部に示される。
【0043】
また、キャッチ点12は、リングの前記自由端3に弾性手段の縦方向に沿ってスライド可能に取り付けられる要素13により形成されると、有利である。この種の要素は雌ネジ切りされ、自由端3の一方の面を押圧する位置決めネジ14により横へ動かされる。
【0044】
図示しない実施態様において、リングの両方の自由端3は、特に前記自由端3を貫通する穴に設けられた案内棒により横へ動かされる。
【0045】
少なくともこの自由端3にスライド可能に取り付けられるこの案内棒は、カラーが、特にいかなるねじれも無く、前記自由端3が相互にほぼ対向するように保持された状態で変形するようにする。
【0046】
本発明は、特に鉱物、岩石及び(または)土壌、コンクリートの試験片21を保護するために例えば明細書FR2,663,121に説明されるような試験装置に使用される鞘体20に関するものでもあり、前記鞘体20は、弾性スリーブ22により形成され、特に本発明に係る測定カラーと協働することができる。
【0047】
本発明によれば、スリーブ22は、その壁に、スリーブの円周に規則的に分散し、前記カラー用の休止ポイントを形成する少なくとも2つの硬質箇所( hard spots )24を含む。弾性ダイアフラム特にエラストマーからスリーブを作ることができる。
【0048】
図4に示される通り、1つの実施態様によれば、スリーブは、スリーブの円周に規則的に90度で分散する4つのポイントを含む。
【0049】
この種の硬質箇所は、その変形が試験片の変形に比べて無視できる程度であるように、ダイアフラムより大きい剛性及び標本より大きい剛性を持つ材料により形成されると有利であろう。この種の硬質箇所は、特に金属材料で形成することができる。
【0050】
1つの実施態様によれば、各硬質箇所24は、スリーブの壁の厚みと実質的に等しい厚みを持ちかつ前記壁の両側と同一表面上にある挿入物で形成される。挿入物は、さらに、前記挿入物をスリーブに保持するためのインターロック手段25、26を含む。
【0051】
スリーブに液密性を与える調節板を形成するように、図4に示すように前記壁に配置されるほぞ穴26内部でスリーブの壁に沿って伸びる側方耳部25によりインターロック手段を形成することができる。
【0052】
図3に点線で示される通り、側方耳部は挿入物の周縁上に連続的であると有利である。
【0053】
図5に示すように、ダイアフラムの変形時に、耳部25は、ダイアフラムに配置されるほぞ穴26内でスライドすることができ、変形時でも液密機能を与える。
【0054】
スリーブの壁の曲率半径に実質的に等しい曲率半径により挿入物を円弧形にできると、有利である。
【0055】
側方耳部は同様の円弧形を有していると有利である。
【0056】
特にシリコンでスリーブを作ることができる。スリーブは予め挿入物が配置されている金型内で複合材料を充填されて成形すると有利である。
【0057】
例えば、成形作業は、異物混入、特に気泡の発生を防止するために真空で行われる。
【0058】
当然、当業者は、理解可能な他の実施態様を、本発明の範囲から逸脱することなく想定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る測定カラーの斜視図である。
【図2】図1に示される測定カラーの上面図である。
【図3】本発明に係る保護鞘体の斜視図である。
【図4】図3に示される線IV−IVの水平断面図である。
【図5】枠V−Vの詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮試験特に一軸または三軸圧縮試験時に試験片の横変形を測定するためのカラー(1)であって、
該カラー(1)が、前記試験片を締め付け可能な開放形の金属リング(2)または複合材料から作られるリングにより形成され、前記リングの2つの自由端(3)が距離Δを空けて離され、
前記カラーが、少なくとも1つの応力ゲージ(6)により形成された手段であって、前記リング(2)の2つの前記自由端(3)の前記距離Δを直接的または間接的に測定するための手段(5)を含むことを特徴とする、カラー。
【請求項2】
前記測定手段(5)が、一方で、前記少なくとも1つの応力ゲージ(6)を装着した弾性ブレード(7)から成り、該弾性ブレード(7)が予応力を与えられかつ前記リング(2)の前記自由端(3)の1つに取り付けられ、他方で、前記リングの他方の端に取り付けられかつ前記カラーを変形させるとき前記弾性ブレード(7)を撓曲させる接触フィンガ(8)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のカラー(1)。
【請求項3】
前記接触フィンガ(8)が前記弾性ブレードに対して実質的に直角を成すように配置され、前記カラーがさらに前記弾性ブレードに対して前記接触フィンガの相対的な位置を調整するための第一の手段を含むことを特徴とする、請求項2に記載のカラー(1)。
【請求項4】
前記接触フィンガ(8)がネジ切りされ、前記リング(2)の前記自由端(3)の1つに設けられる雌ネジと協働することを特徴とする、請求項3に記載のカラー。
【請求項5】
前記リング(2)の前記自由端(3)の1つが前記弾性ブレード(7)を保持する締付けあご(9)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のカラー。
【請求項6】
前記リング(2)の前記自由端(3)が引き伸ばされた弾性手段(10)により接続されることを特徴とする、請求項2に記載のカラー。
【請求項7】
さらに前記弾性手段の引き戻し力を調整するための手段を含むことを特徴とする、請求項6に記載のカラー。
【請求項8】
前記リング(2)の両方の前記自由端(3)が2つのキャッチ点(11、12)において前記弾性手段(10)により接続され、前記カラーがさらに前記リング(2)の前記自由端(3)の1つに対して前記キャッチ点(12)の相対的な位置を調整するための第二の手段(13、14)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のカラー。
【請求項9】
試験片、特に鉱物、岩石及び/または土で作られる試験片を保護するために試験装置に使用される鞘体(20)であって、該鞘体が弾性スリーブ(22)で形成され、請求項1に記載の測定用カラー(1)と協働することができ、前記スリーブ(22)がその壁に、前記スリーブ(22)の円周に規則的に分散しかつ前記カラーの休止ポイントを形成する少なくとも2つの硬質箇所(24)を備えることを特徴とする、鞘体(20)。
【請求項10】
前記各硬質箇所(24)が前記スリーブ(22)の壁の厚みと実質的に等しい厚みを持ちかつ前記壁の両面と同一平面上にある挿入物により形成され、該挿入物がさらに該挿入物を前記スリーブ(22)に保持するためのインターロック手段(25、26)を含むことを特徴とする、請求項9に記載の鞘体(20)。
【請求項11】
前記インターロック手段が、前記スリーブに液密性を与える調節板を形成するために前記壁に配置されるほぞ穴(26)内部で前記スリーブの壁に沿って伸びる側方耳部(25)から成ることを特徴とする、請求項10に記載の鞘体。
【請求項12】
前記挿入物が、前記スリーブ(22)の前記壁の曲率半径に実質的に等しい曲率半径を持つ円弧形を有していることを特徴とする、請求項9に記載の鞘体(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−542699(P2008−542699A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512872(P2008−512872)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001164
【国際公開番号】WO2006/125903
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507383895)ユニベルシテ デ シアンス エ テクノロジー ドゥ リール (1)
【Fターム(参考)】