説明

在宅介護における被介護者側システム及び支援提供側システム

【課題】ユーザIDやパスワードの入力を行うことなく被介護者の識別が可能で、特殊な装置を用いる必要も無く、情報端末及びネットワークが限定されることのない在宅介護における被介護者側システム及び支援提供側システムを提供することを課題としている。
【解決手段】本発明は、被介護者情報が記憶された記憶部34及び被介護者1の識別を行う被介護者識別手段17を有する支援提供側システム19にネットワーク21を介して接続されて被介護者1が操作する情報端末2を備えた在宅介護における被介護者側システムであって、支援提供側システム19側で被介護者情報をその被介護者1の住む住居情報に関連付けして記憶部39に記憶させるにあたり、前記被介護者識別手段17により識別される被介護者1の住居31を識別するための住居識別情報を付加する住居識別情報付加手段49を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
在宅介護における被介護者側システム及び支援提供側システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来に伴い介護を受ける必要がある被介護者の数が急増し、受入れ施設の不足が深刻化しており、このため、自宅にいながら介護を受けることが可能な在宅介護が注目を集め、これに伴い、急速に発達するIT技術を利用して在宅介護を支援する種々のシステムが開発され、公知になっている。
【0003】
このように在宅介護を支援するシステムにおいては、その被介護者に適した種々のサービスを個別に提供するために被介護者を識別する必要があり、通常は、情報端末を介して入力されるユーザID及びパスワードに基づいてユーザ認証を行うことにより被介護者の識別を行う被介護者識別手段を用いることが考えられるが、被介護者の多くはパソコンやPDA等の情報端末の操作に不慣れな高齢者であり、ユーザIDやパスワードの入力に手間が掛かり、上記ユーザ認証をスムーズに行うことが困難な場合があるという欠点がある。
【0004】
この欠点を改善すべく、被介護者情報が記憶された記憶部及びユーザID及びパスワードの入力を省いて被介護者の識別を行う被介護者識別手段を有する在宅介護における支援提供側システムと、該支援提供側システムにネットワークを介して接続されて被介護者の操作する情報端末が設けられた在宅介護における被介護者側システムと、が公知になっている。(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−252918号公報
【特許文献2】特開平11−164034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、個人認証用ICカードを挿入するスロットを有するセットトップボックスを設けることにより、ユーザID及びパスワードを入力すること無く被介護者を識別できる被介護者識別手段が構成されるため、セットトップボックス及び個人認証用ICカードの分だけコストを低く抑えることが困難になるという課題がある。
【0007】
一方、特許文献2では、情報端末の一種である電話機の電話番号に基づいて被介護者を識別するように被介護者識別手段が構成されるため、情報端末が電話機に限定されるとともにネットワークも電話回線網に限定されるという課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、ユーザIDやパスワードの入力を行うことなく被介護者の識別が可能で、特殊な装置を用いる必要も無く、情報端末及びネットワークが限定されることのない在宅介護における被介護者側システム及び支援提供側システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、第1に、被介護者情報が記憶された記憶部34及び被介護者1の識別を行う被介護者識別手段17を有する支援提供側システム19にネットワーク21を介して接続されて被介護者1が操作する情報端末2を備えた在宅介護における被介護者側システムであって、支援提供側システム19側で被介護者情報をその被介護者1の住む住居情報に関連付けして記憶部39に記憶させるにあたり、前記被介護者識別手段17により識別される被介護者1の住居31を識別するための住居識別情報を付加する住居識別情報付加手段44を設けてなることを特徴としている。
【0009】
第2に、前記住居識別情報付加手段44が、識別される被介護者1が操作する情報端末2のインターネットプロトコルにおけるポート番号を固定するポート番号固定手段よりなることを特徴としている。
【0010】
第3に、被介護者1のバイタル情報を取得するバイタル情報取得手段16を設けたことを特徴としている。
【0011】
第4に、上記被介護者側システム18がネットワーク21を介して接続される在宅介護における支援提供側システムであって、前記住居識別情報付加手段44により付加された住居識別情報に基づいて被介護者1のいる住居31を識別する住居識別手段41を設け、識別された住居情報に関連付けされている被介護者情報を記憶部34から読込むことにより被介護者1の識別を行うように被介護者識別手段17を構成してなることを特徴としている。
【0012】
第5に、住居情報がその住居31が存在する建物28に関する建物情報に関連付けされて記憶されるように記憶部34が構成され、被介護者1のいる建物28を識別する建物識別手段42を設け、識別された建物情報に関連付けされている住居情報を記憶部34から読込むことにより被介護者1の住む住居31を識別するように住居識別手段41を構成してなることを特徴としている。
【0013】
第6に、各建物28に少なくとも1つ付されたグローバルIPアドレスに基づいて建物28を識別するように建物識別手段42が構成されたことを特徴としている。
【0014】
第7に、建物情報がその建物が建てられている地域29に関する地域情報に関連付けされて記憶されるように記憶部34が構成され、被介護者1のいる地域29を識別する地域識別手段43を設け、被介護者1の操作する情報端末2にその被介護者1のいる地域に関する情報を提供する情報提供手段38を設けてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成される本発明によれば、前記被介護者識別手段により識別される被介護者の住居を識別するための住居識別情報を付加するソフトウェアにより実現可能な住居識別情報付加手段を設け、この住居識別情報に基づいて被介護者が識別されるため、特殊な装置を設ける必要も、情報端末やネットワークを限定する必要も無く、ユーザIDやパスワードの入力を行わずに被介護者を識別できるという効果がある。
【0016】
また、被介護者のバイタル情報を取得するバイタル情報取得手段を設けることにより、被介護者に異常が発生した場合には、迅速に対応することが可能になるという効果がある。
【0017】
さらに、住居が存在する建物を識別する建物識別手段を設けることにより、建物に複数の住居がある集合住宅にも対応可能になるという効果がある。
【0018】
なお、建物情報がその建物が建てられている地域に関する地域情報に関連付けされて記憶されるように記憶部が構成され、被介護者のいる地域を識別する地域識別手段を設け、被介護者の操作する情報端末にその被介護者のいる地域に関する情報を提供する情報提供手段を設けることにより、被介護者の住む地域の有益な情報を提供可能になるため、サービスの質をより向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した在宅介護支援システムにアクセスした情報端末に表示される画面の一例を示す簡略図である。
【図2】本発明を適用した在宅介護支援システムの概念図である。
【図3】被介護者側システム及び支援提供側システムの主要な構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す被介護者側システム及び支援提供側システムを搭載したネットワークサービスシステムの模式的な概略図である。
【図5】図4に示すネットワークサービスシステムのデータベース部の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した在宅介護支援システムにアクセスした情報端末に表示される画面の一例を示す簡略図である。在宅介護を受ける被介護者1(図2参照)が、PCやPDAやデジタルTVやモバイルフォンやスマートフォン等の情報端末2(図2参照)を介して在宅介護支援システム3(図2参照)にアクセスすると、上記情報端末2のディスプレイには同図に示すような操作画面4が初期画面として表示される。
【0021】
上記操作画面4は、ブラウザ画面であり、緊急コールボタン6と、ヘルパーコールボタン等である安心相談コール7と、バイタルチェックボタン8と、ドクターコールボタン9と、暇つぶしボタン11と、今日の食事ボタン12と、ヘルパーチャンネルボタン13と、がクリックボタンとして表示される。
【0022】
緊急コールボタン6をクリックすると、コールセンタ14(図2参照)に緊急時の通報がされる。安心相談コール7をクリックすると、コールセンタ14に在宅介護を受けるため等のコールがされる。バイタルチェックボタン8をクリックすると、生体センサ(バイタル情報取得手段)16(図2参照)を介して、その被介護者1の心拍数や血圧や体温等のバイタル情報が取得され、このバイタル情報が情報端末2のディスプレイに表示される他、各部へ送信される。ドクターコールボタン9をクリックすると、コールセンタ14を介して、医療行為を受けるためのコールが行われる。今日の食事ボタン12をクリックすると、その被介護者1のその日の食事のメニューが情報端末2のディスプレイに表題される。
【0023】
暇つぶしボタンをクリック11すると、商品通販の情報や、買い物によって溜まった所持ポイントの情報や、オークションの情報や、提携サービスの情報等が表示される。ちなみに、提携サービスの情報の一例としては暇つぶしコンテンツがあり、この暇つぶしコンテンツには、時代劇の動画配信や健康商品や健康グッズや介護グッズに関する情報等が掲載される。
【0024】
ヘルパーチャンネルボタン13は、在宅介護のために訪れたヘルパーや介護福祉士等の介護人のためのボタンであり、これをクリックすることにより、その被介護者1の情報端末2上でのレセプトの作成や、在宅介護時間の算出等を行うための画面に移行する。この際、後述する被介護者識別手段17(図3参照)によって、その被介護者1の識別が行われているため、その被介護者1に関する情報は予め入力された状態にできるため、作業を簡略化できる。
【0025】
図2は、本発明を提供した在宅介護支援システムの概念図である。図示する在宅介護支援システム3は、被介護者1の操作する情報端末2が配置された被介護者側システム18と、被介護者1に対して在宅介護支援のための各種サービスを提供する支援提供側システム19と、被介護者側システム18と支援提供側システム19とを通信可能に接続するインターネット等のWANからなるネットワーク21と、医療機関22や指定訪問介護ステーション23等へのコールを行う前述のコールセンタ14とを備えている。
【0026】
上記被介護者側システム18は、被介護者1に装着される上述の生体センサ16と、生体センサ16の情報を受信するとともに被介護者1が操作する情報端末2とを有している。この生体センサ16はBlueTooth(登録商標)等の無線通信プロトコルによって情報端末2に接続され、上述のバイタルチェックボタン8がクリックされると、その生体センサ16を装着した被介護者1の生体情報がネットワーク21を介して支援提供側システム19側に送信され、蓄積される。この蓄積された生体情報は、対応する各被介護者1への予防医療情報の提供等に利用される。
【0027】
上記支援提供側システム19は、情報端末2を介して支援提供側システム19にアクセスしてくる被介護者1の認証(識別)を行う認証サーバ24と、上述の操作画面4の表示等、認証サーバ24によって識別された各被介護者1に対して、その被介護者1に適した各種情報の提供を行うウェブサーバ26とを有しており、上述した暇つぶしボタン11、今日の食事ボタン12及びヘルパーチャンネル13等をクリックした際に表示される情報が、各被介護者1毎に記憶されている。
【0028】
このウェッブサーバ26等によって、TV電話システム27が構築されており、このTV電話システム27を介して、他の情報端末2及びコールセンタ14との連絡を行うことが可能なように構成されている。
【0029】
上記コールセンタ14は、TV電話システム27等のTCP/IP網によって支援提供側システム19と情報通信可能に接続されている他、支援提供側システム19が支障をきたしている場合でも情報通信可能なように、電話回線や専用回線等を通じて被介護者側システム18とも接続されている。
【0030】
そして、上述の緊急コールボタン6がクリックされると、被介護者側システム18側から、支援提供側システム24を介して又は支援提供側システム24を介さず直接的に、直接コールセンタ14に緊急時の通報(緊急報知)が行われ、コールセンタ14は、その被介護者1に対して救急治療を行うように医療機関22への依頼を行う他、救急車等の手配が行われる。ちなみに、緊急コールボタン6がクリックされなくても、生体センサ16により、被介護者1に対して緊急治療を行う必要があると判断される場合には、コールセンタ14への緊急報知が実行され、上述の場合と同様の処理が行われる。
【0031】
また、安心相談コール7がクリックされると、コールセンタ14へのヘルパーコールが実行され、その後、コールセンタ14から指定訪問介護ステーション23に訪問介護の依頼が行われる。これによって、介護報酬が発生し、ヘルパーコールを行った被介護者1への介護人による訪問介護が行われる。
【0032】
さらに、ドクターコールボタン9がクリックされると、コールセンタ14へのドクターコールが実行され、その後、コールセンタ14から医療機関への在宅治療等の依頼が行われる。ちなみに、ドクターコールによって、被介護者1と医師とが、テレビ電話等によって直接会話を行えるようにしてもよい。
【0033】
なお、図示する例では、コールセンタ14を支援提供側システム19の外のネットワークに配置しているが、支援提供側システム19内にコールセンタ14を設置してもよく、これによって、コールセンタ14と情報のやり取りを行うための通信網をネットワーク21のみに限定することができる。
【0034】
次に、図3乃至5に基づき、被介護者側システム18及び支援提供側システム19の構成について詳述する。
図3は、被介護者側システム及び支援提供側システムの主要な構成を示すブロック図である。図示する被介護者側システム18は複数の各建物28内に1つづつ構成され、ネットワーク21を介して支援提供側システム19に接続されている。この際、被介護者側システム18と支援提供側システム19との通信経路は暗号化され、所定以上のセキュリティが確保されている。上記建物28は行政区画等により定められた複数の地域29の何れかに建設され、建物28内には一又は複数の住居31が設置されている。
【0035】
被介護者側システム18では、各住居31に住んでいる被介護者1は1人であり、被介護者1は住居31に設置された一又は複数の情報端末2を操作し、上記ネットワーク21を介して、支援提供側システム19へのアクセスを行う。情報端末2は、LANカードや無線LANカード等のTCP/IPに対応して192.168.1.2等のプライベートIPアドレスが固定的に付されるネットワークインターフェイス(図示しない)を有している。
【0036】
1つの建物9内には、複数の上記情報端末2が上記ネットワークインターフェイスを介して接続されるローカルエリアネットワーク(LAN)である内部ネットワーク32が構築されており、この内部ネットワーク32は、ルータ33を介して、ネットワーク21に接続されている。
【0037】
このルータ33は、一般的なルータと同様に、インターネットよりなるネットワーク21側に設けられてグローバルIPアドレスが割り当てられる前述のものと同一構成のネットワークインターフェイス(図示しない)と、内部ネットワーク32側に設けられてその内部ネットワーク32のプライベートIPアドレスが割り当てられるネットワークインターフェイス(図示しない)とを有しており、内部ネットワーク32内の情報端末2のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスにIPマスカレードして、情報端末2のグローバルエリアネットワークたるインターネット21への接続されることを可能にしている。ちなみに、1つの建物28内では、プライベートIPアドレスが重複しないように、情報端末2及びルータ33にプライベートIPが付されている。
【0038】
上記支援提供側システム19は、記憶装置(記憶部)34と、被介護者1が情報端末2を介してアクセスした際にその被介護者1の識別を行う識別部36と、識別部36によって識別された被介護者1の操作する情報端末2に対して、その被介護者1に適した介護に関する各種情報の選択を行うケアサービス部37と、ケアサービス部37によって選択された情報や上述の図1の示す情報等をその被介護者1の操作する情報端末2に表示して提供する情報提供手段38とを備えている。
【0039】
記憶装置34は、被介護者1に関する被介護者情報と、被介護者1が住む住居31に関する住居情報と、住居31が設置された建物28に関する建物情報と、建物28が建てられている地域に関する地域情報等とが相互に関連付けされた状態で記憶されたデータベース部39を有している。
【0040】
そして、この記憶装置34はハードディスクやRAMメモリ等によって構成されており、インターネット21のサイト情報等を記憶している他、生体センサ16によって取得された被介護者1のバイタル情報がネットワーク21を介して送信されてきた際に該バイタル情報を、その被介護者1と関連付けさせた状態で、記憶している。
【0041】
ちなみに、建物情報と住居情報を上述のように各別に扱うことにより、1つの建物28に1つの住居31がある一戸建て住宅と、1つの建物28に複数の住居31がある集合住宅との両方に対応可能なシステムを構築できる。
【0042】
識別部36は、ネットワーク21を介して支援提供側システム19にアクセスしてくる情報端末2を操作する被介護者1の識別を行う上述の被介護者識別手段17と、その被介護者1のいる住居31を識別する住居識別手段41と、その住居31が設置された建物28を識別する建物識別手段42と、その建物28が建てられている地域29を識別する地域識別手段43と、を備えている。ちなみに、これらの識別には、前述のデータベース部39及び後述する住居識別情報付加手段44による付加された住居識別情報が用いられる。
【0043】
ケアサービス部37は、認証された被介護者1に対してその被介護者1に適したケアサービス情報を記憶装置34に記憶されたデータ及びインターネット21等から選択するケアサービス情報選択手段46と、認証された被介護者1の介護報酬に関する請求情報を選択して取得する請求情報選択手段47と、を有している。ちなみに、ケアサービス情報には、今日の食事ボタン12をクリックすることにより情報端末2に表示されるその被介護者1のその日の食事のメニューや、その被介護者1に対して行うケア内容に関する情報の他、暇つぶしボタン11をクリックした際の上述の各種情報等が含まれる。
【0044】
情報提供手段38は、例えば図2ではWEBサーバ24から構成され、ケアサービス部37によって選択された情報と、その被介護者1の住んでいる地域29に関するお店情報や施設情報や天気情報等とを、被介護者1の操作する情報端末2側に提供するように構成されている。
【0045】
図4は、図3に示す被介護者側システム及び支援提供側システムを搭載したネットワークサービスシステムの模式的な概略図であり、図5は、図4に示すネットワークサービスシステムのデータベース部の構成を示す概念図である。
【0046】
本ネットワークサービスシステムの被介護者側システム18について説明すると、集合住宅28であるマンションには、各階にハブ(HUB)48が設置され、各ハブ48の1つの接続ポートには予め定められたそのマンション28内の1つの住居31が割り当てられている。そして、ハブ31の各接続ポートは、ルータ33に搭載された住戸識別情報付加手段であるポート番号固定手段44(図3参照)によって、ポート番号が固定されている。
【0047】
ポート番号とは、TCP/IP通信で用いられる16ビット(0〜65535)の番号で、通信時における送信側のポート番号であるソースポート番号と、受信側のポート番号であるディスティネーションポート番号との2種類があり、上記ポート番号固定手段44によって固定されるポート番号はソースポート番号である。
【0048】
上記構成から、各マンション28の複数の住居31毎に固有のソースポート番号が付けられており、マンション28の住居31内の被介護者1が、情報端末2を用い、インターネット21を介して支援提供側システム19にアクセスした場合、建物識別手段42はそのマンション28に設置されたルータ33に付けられたグローバルIPアドレスを検出することにより、被介護者1のいる建物28を識別し、続いて、住居識別手段41は固定されたソースポート番号を検出することにより、その被介護者1が上記建物28のどこの住居31に住んでいるのかを識別し、続いて、被介護者識別手段17は住居識別手段41により識別された住居情報を基づき、その住居31に住んでいる被介護者1を識別する。この他、建物識別手段42による識別された建物情報に基づいて、その建物28の建設されている地域29が地域識別手段により識別され、その地域29の情報は、情報提供手段38(図3参照)によって被介護者1に提供される。
【0049】
すなわち、ポート番号は、被介護者1の住居31を識別する住居識別情報になり、建物28→住居31の順に識別し、その住居31に住んでいる被介護者1を、データベース39(図3参照)から検索することにより、被介護者識別手段17が被介護者1の識別を行うとともに、その建物28の建設されている地域29を、データベース39(図3参照)から検索することにより、地域識別手段43がその被介護者1のいる地域29の識別を行う。
【0050】
なお、被介護者1の操作する情報端末1は、その情報端末1が設置された集合住宅28内で固有のプライベートIPアドレスが付されているため、集合住宅28毎に情報端末1とその情報端末1に付されるプライベートIPアドレスを記憶装置34等に記憶しておけば、建物識別手段42によってその情報端末1の設置されている建物28が識別された後、その情報端末1に付されたIPアドレスを検出することにより、その情報端末1を識別することも可能である。すなわち、該手段により構成される情報端末識別手段(図示しない)を識別部36に設けてもよい。
【0051】
続いて、本ネットワークサービスシステムの支援提供側システム19について説明すると、該支援提供側システム19は、ルータ52と、上述の識別部36の機能を実現するためのソフトがインストールされた認証サーバ24を介してインターネット21に接続されている。
【0052】
この支援提供側システム19は、DNSサーバ53と、上述のWebサーバ27と、STMPサーバやPOPサーバやIMAPサーバ等からなり被介護者1が情報端末2を介して利用可能なメールサーバ54と、FTPサーバ56と、前述した記憶装置34を備えたユーザ管理サーバ57と、被介護者1の情報端末2に有益な情報を提供してコンシェルジュサービス等を行うコンシェルジュWEBサーバ58と、被介護者1が情報端末2により上記コンシェルジュサービスを利用等して買い物をした際等の課金を管理する課金管理サーバ59と、上述したケアサービス部37の機能を実現するソフトウェアがインストールされたケアサービス提供サーバ61及び請求情報サーバ62と、支援提供側システム19にネットワーク21を介して接続された各情報端末2上で実行されているジョブを管理するジョブ管理サーバ63と、複数の情報端末2の中で余った処理能力をジョブ管理サーバ63を介して利用することによりグリッドコンピューティングを行って大学や企業等の研究機関が実行する高負荷の演算処理を代行する処理代行サーバ64と、を備えている。
【0053】
上記ユーザ管理サーバ57のデータベース部39は、SQLやOracle等のリレーショナブルデータベースであり、被介護者情報を格納記憶する被介護者テーブル66と、住戸情報を格納記憶する住居テーブル67と、建物情報を格納記憶する建物テーブル68と、地域情報を格納記憶する地域テーブル69とを有している。
【0054】
地域テーブル69は、フィールドとして、「地域ID」と、「地域名」と、を有している。「地域名」は、県名又は市町村名或いはさらに詳細な地域名称になる。
【0055】
建物テーブル68は、フィールドとして、「建物ID」と、「建物名」と、前述の地域テーブル69を参照するための「地域ID」と、その建物28に設置されたルータ33に付されたグローバルIPアドレスを示す「IPアドレス」とを有している。すなわち、データベース部39は、地域テーブル69から建物テーブル68に、1対多のリレーションシップを行うようにを構成され、このリレーションシップはその建物28がどの地域29に建てられているのかを示している。
【0056】
住居テーブル67は、フィールドとして、「住居ID」と、「部屋番号」と、建物テーブル68を参照するための「建物ID」と、その住居31に割り当てられた住戸識別情報であるポート番号を示す「ポート」と、を有している。建物テーブル68から住居テーブル67に、1対多のリレーションシップを行うことにより、その住居31がどの建物28にあるのかを知ることが可能になる。
【0057】
被介護者テーブル66は、フィールドとして、「被介護者ID」と、住居テーブル67を参照するための「住居ID」と、被介護者1の名前を示す「名前」と、被介護者1の年齢を示す「年齢」と、被介護者1の性別を示す「性別」と、を有している。住居テーブル67から被介護者テーブル66に、リレーションシップを行うことにより、その住居31にどの被介護者1が住んでいるのかを知ることが可能になる。
【0058】
なお、上述した情報端末識別手段を設ける場合には、データベース部39に、情報端末2に付されるプライベートIPアドレス等の情報が情報端末情報として格納記憶された情報端末テーブル71を設ける。
【0059】
情報端末テーブル71は、フィールドとして、「情報端末ID」と、建物「部屋番号」と、建物テーブル68を参照するための「建物ID」と、その情報端末1に付されるプライベートIPアドレスを示す「IPアドレス」と、を有する。また、被介護者テーブル66のフィールドには、情報端末テーブル71を参照するための「情報端末ID」を加える。
【0060】
この建物情報→情報端末情報の一体多のリレーションシップ及びIPアドレスの情報によって情報端末2の識別が可能になり、情報端末→被介護者情報の一対多のリレーションシップによって、その情報端末2を使用している被介護者1の識別を行う。
【0061】
以上のように構成される在宅介護支援システム3によれば、ユーザIDやパスワード入力を行うユーザ認証作業を行うことなく、被介護者1の識別が行われるため、セキュリティの低下させることなく、被介護者1の負担が軽減される。
【0062】
また、各住居31に1つ割り振られるポート番号である住居識別情報に基づいて、被介護者1の識別を行うため、被介護者1が住居31内で複数の情報端末2を使用しているような場合でも、正確に被介護者1の識別を行うことが可能である。
【0063】
さらに、端末識別手段を設ければ、被介護者1の識別を行うにあたり、その被介護者1の住居31が設けられた建物28内の別の住居31にその被介護者1がいる場合でも、その被介護者1が使用する情報端末2から介護者1の識別を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 被介護者
2 情報端末(PC,デジタルTV,PDA,モバイルフォン,スマートフォン)
16 生体センサ(バイタル情報取得手段)
17 被介護者識別手段
18 被介護者側システム
19 支援提供側システム
21 ネットワーク(WAN,インターネット)
28 建物(一戸建て住宅,集合住宅)
29 地域
31 住居
34 記憶装置(記憶部)
38 情報提供手段
41 住居識別手段
42 建物識別手段
43 地域識別手段
44 住居識別情報付加手段(ポート番号固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者情報が記憶された記憶部(34)及び被介護者(1)の識別を行う被介護者識別手段(17)を有する支援提供側システム(19)にネットワーク(21)を介して接続されて被介護者(1)が操作する情報端末(2)を備えた在宅介護における被介護者側システムであって、支援提供側システム(19)側で被介護者情報をその被介護者(1)の住む住居情報に関連付けして記憶部(39)に記憶させるにあたり、前記被介護者識別手段(17)により識別される被介護者(1)の住居(31)を識別するための住居識別情報を付加する住居識別情報付加手段(44)を設けてなる在宅介護における被介護者側システム。
【請求項2】
前記住居識別情報付加手段(44)が、識別される被介護者(1)が操作する情報端末(2)のインターネットプロトコルにおけるポート番号を固定するポート番号固定手段よりなる請求項1の在宅介護における被介護者側システム。
【請求項3】
被介護者(1)のバイタル情報を取得するバイタル情報取得手段(16)を設けた請求項1又は2の被介護者側システム。
【請求項4】
請求項1,2又は3の被介護者側システム(18)がネットワーク(21)を介して接続される在宅介護における支援提供側システムであって、前記住居識別情報付加手段(44)により付加された住居識別情報に基づいて被介護者(1)のいる住居(31)を識別する住居識別手段(41)を設け、識別された住居情報に関連付けされている被介護者情報を記憶部(34)から読込むことにより被介護者(1)の識別を行うように被介護者識別手段(17)を構成してなる在宅介護における支援提供側システム。
【請求項5】
住居情報がその住居(31)が存在する建物(28)に関する建物情報に関連付けされて記憶されるように記憶部(34)が構成され、被介護者(1)のいる建物(28)を識別する建物識別手段(42)を設け、識別された建物情報に関連付けされている住居情報を記憶部(34)から読込むことにより被介護者(1)の住む住居(31)を識別するように住居識別手段(41)を構成してなる請求項4の在宅介護における支援提供側システム。
【請求項6】
各建物(28)に少なくとも1つ付されたグローバルIPアドレスに基づいて建物(28)を識別するように建物識別手段(42)が構成された請求項5の在宅介護における支援提供側システム。
【請求項7】
建物情報がその建物が建てられている地域(29)に関する地域情報に関連付けされて記憶されるように記憶部(34)が構成され、被介護者(1)のいる地域(29)を識別する地域識別手段(43)を設け、被介護者(1)の操作する情報端末(2)にその被介護者(1)のいる地域に関する情報を提供する情報提供手段(38)を設けてなる請求項5又は6の在宅介護における支援提供側システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−14959(P2011−14959A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154557(P2009−154557)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(508337248)株式会社プロパティ・パートナーズ (2)
【Fターム(参考)】