説明

在室確認錠装置

【課題】錠装置のみで完結し、安価に構成することができるとともに、既存の錠装置に対して簡単に後付けできて、在室状態であることを外部から確認可能とし、且つ、解除操作を不要にして不在時の誤報を無くすことを可能とする。
【解決手段】在室確認錠装置11において、扉21に設けられる錠装置23の室内表出部材25に取り付けられ錠装置23の室内側からの施錠操作のみを検出する施錠検出部13と、施錠検出部13の検出に応じ時間の計測を開始し所定時間経過後に時間経過信号を出力する計時手段15と、錠装置23の室外表出部材に設けられる報知手段17と、時間経過信号の入力によって報知手段17を駆動する制御手段19と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在室確認錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
独居老人など、コミュニティから孤立してしまっている状態の人の非常事態を未然に防ぐために、宅内(室内)での状態を、外部に知らせる手段に関しては近年、種々の提案がなされるようになってきている。例えば、特許文献1の生活モニターシステムは、家庭内の日常に使う電気ポットを検知センサとして、その使用頻度等を監視し、未使用時間が長くなった場合に、ネットワークを通じて外部に報知する。
【0003】
また、特許文献2の安否確認システムは、部屋に備え付けの機器、器具、扉などにセンサを取り付け、又は人感知センサを屋内に設け、これらを監視する。この監視により、部屋内(宅内)での状況を、例えば使用回数をカウントすることによって、安否確認(モニタリング)を行い、異常発生などの際には、外部へ電話などで報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−78034号公報
【特許文献2】特開2001−357475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の生活モニターシステムや安否確認システムは、いずれも、通信などネットワークを使用することを前提としており、規模が大きく、簡単に導入できない。また、必要となった際に導入する、など、容易に切り替えられるような簡素な構成ではない。これに加え、上記従来のものでは、不在である場合、システムの検知動作を解除しておかないと、動作し続けてミス検知を行い、誤報を出力してしまう問題がある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、扉に配設される錠装置のみで完結し、安価に構成することができるとともに、簡単に後付けでき、しかも、解除操作を不要にして不在時の誤報を無くすことができる在室確認錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の在室確認錠装置11は、開閉体21に設けられる錠装置23の室内表出部材25に取り付けられ該錠装置23の室内側からの施錠操作を検出する施錠検出部13と、
前記施錠検出部13の検出に応じ時間の計測を開始し所定時間経過後に時間経過信号を出力する計時手段15と、
前記錠装置23の室外表出部材55に設けられる報知手段17と、
前記時間経過信号の入力によって前記報知手段17を駆動する制御手段19と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
この在室確認錠装置11では、主要構成部分となる施錠検出部13が錠装置23の室内表出部材25に取り付けられ、他の取付スペースや、他の大掛かりな装置が不要となる。施錠検出部13が錠装置23の室内側からの施錠操作のみを検出するので、例えば外出時等に、検出動作をキャンセルするための解除操作が不要となる。
【0009】
請求項2記載の在室確認錠装置は、請求項1記載の在室確認錠装置11であって、
前記計時手段15の前記所定時間が可変設定可能であることを特徴とする。
【0010】
この在室確認錠装置11では、計時手段15の所定時間が変更設定されることで、計時手段15が時間の計測を開始してから時間経過信号を出力するまでの時間を、短く、又は長くなど予め設定変更可能となる。
【0011】
請求項3記載の在室確認錠装置は、請求項1又は2記載の在室確認錠装置77であって、
前記施錠検出部79が、室内側操作部材95の操作を検出する操作検出部材81を有することを特徴とする。
【0012】
この在室確認錠装置77では、施錠検出部79が操作検出部材81を備えることで、施錠検出部79が錠装置23に取り付けられると、錠装置23に設けられている室内側操作部材95の施錠操作が、操作検出部材81によって検出される。
【0013】
請求項4記載の在室確認錠装置は、請求項3記載の在室確認錠装置77であって、
前記室内側操作部材95が、サムターン39であり、
前記操作検出部材81が、前記錠装置23のシリンダー錠97による施錠操作の検出を除外して前記サムターン39による施錠操作のみを検出する選択検出構造部99を備えることを特徴とする。
【0014】
この在室確認錠装置77では、室内側操作部材95がサムターン39であり、錠装置23に施錠検出部79が取り付けられると、操作検出部材81がサムターン39に取り付けられることになる。この際、操作検出部材81に選択検出構造部99が設けられていることによって、シリンダー錠97の施錠操作が検出から除外される。
【0015】
請求項5記載の在室確認錠装置は、請求項4記載の在室確認錠装置77であって、
前記操作検出部材81が、内方で前記サムターン39を可動させる検出排除空間部113を備えることを特徴とする。
【0016】
この在室確認錠装置77では、操作検出部材81がサムターン39に被され、シリンダー錠97が解錠操作されると、回転するサムターン39と操作検出部材81との干渉が検出排除空間部113によって回避される。つまり、シリンダー錠97の施錠操作によっては操作検出部材81は検出動作しなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る請求項1記載の在室確認錠装置によれば、開閉体に設けられる錠装置のみで完結し、安価に構成することができて、室内側からの施錠操作のみを検知できて、すなわち、入室し施錠を行った在室状態を検知することができるとともに、既設の錠装置に対しても簡単に後付けでき、しかも、解除操作無しで不在時の誤報を防止できる。
【0018】
請求項2記載の在室確認錠装置によれば、室内側からの最後の施錠操作が行われてから報知手段が駆動されるまでの時間を、監視対象者の個人差に応じて設定でき、報知が遅れてしまうことを防ぐことができる。
【0019】
請求項3記載の在室確認錠装置によれば、施錠検出部に操作検出部材を設けることで、室内側操作部材の操作のみを検出可能にでき、すなわち、外出時には検知及び計時を行わず、誤報を防ぐことができる。
【0020】
請求項4記載の在室確認錠装置によれば、既設の錠装置として一般的な施錠時の操作部材であるサムターンを検知対象とし、このサムターンによる室内側からの施錠操作のみを検出できる。
【0021】
請求項5記載の在室確認錠装置によれば、室外側からのシリンダー錠の操作による施錠操作を検出から除外でき、不在とする場合には、施錠検出部が動作することによる誤報出力を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る在室確認錠装置の第1実施形態の構成図である。
【図2】図1に示した在室確認錠装置の動作手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に係る在室確認錠装置の第2実施形態の構成図である。
【図4】(a)は図3に示した施錠検出部に用いられる操作検出部材の分解斜視図、(b)はその操作検出部材の拡大斜視図、(c)は操作検出部材の他の例を示す拡大斜視図である。
【図5】図4に示した操作検出部材の正面図である。
【図6】図3に示した在室確認錠装置が左勝手の場合の各動作を(a)(b)(c)(d)で表した動作説明図である。
【図7】図3に示した在室確認錠装置が右勝手の場合の各動作を(a)(b)(c)(d)で表した動作説明図である。
【図8】本発明に係る在室確認錠装置の第3実施形態の斜視図である。
【図9】図8に示した在室確認錠装置の分解斜視図である。
【図10】図8に示した在室確認錠装置の各動作を(a)(b)(c)で表した動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る在室確認錠装置の第1実施形態の構成図である。
[第1実施形態]
本実施形態に係る在室確認錠装置11は、施錠検出部13と、計時手段15と、報知手段17と、制御手段19と、に大別して構成される。施錠検出部13は、開閉体21に設けられた錠装置としての既存錠装置23の室内表出部材25に取り付けられる。開閉体21とは、例えば扉27である。このほか、開閉体21は、引戸であってもよい。既存錠装置23は、例えば錠箱29が扉27の室内面31に表出して取り付けられる露出タイプの施解錠装置等とすることができる。この場合、室内表出部材25は錠箱29となる。錠箱29には、デッドボルト33、ラッチボルト35、室内側操作部材37であるサムターン39、開閉操作部材であるレバーハンドル41などが取り付けられる。室内表出部材25は、錠箱29が扉27に内設される場合には扉27の室内面31に表出する座板部分であってもよく、或いは、室内面31にサムターン39のみ表出するような構成であれば、このサムターン39のカラー部分などとしてもよい。
【0024】
施錠検出部13は、既存錠装置23の室内側からの施錠操作を検出する。すなわち、施錠検出部13は、室内側操作部材37の操作を検出する操作検出部材43を有する。操作検出部材43は、施錠検出部13が錠箱29に取り付けられた際、サムターン39の操作で作動するリードスイッチ45とすることができる。この他、操作検出部材43は、サムターン39の操作で倒れるような機械的なスイッチ、例えばマイクロスイッチなどであってもよい。また、操作検出部材43は、タッチセンサとし、室内からサムターン39が操作されたときにオンとしてもよい。さらに、操作検出部材43は、サムターン39の表面に設けた表面スイッチ、例えばボタン等とし、サムターン39の操作(摘む)でオンされるようにしてもよい。
【0025】
施錠検出部13が操作検出部材43を備えることで、施錠検出部13が既存錠装置23に取り付けられると、既存錠装置23に設けられているサムターン39の施錠操作が、操作検出部材43によって検出される。施錠検出部13に操作検出部材43を設けることで、サムターン39の操作のみが検出可能となっている。すなわち、室内側からの施錠操作のみを検出してリードスイッチ45がオン/オフされる。
【0026】
施錠検出部13には計時手段15が設けられる。計時手段15は、施錠検出部13の検出に応じ時間の計測を開始する。施錠検出部13の検出は、リードスイッチ45のオン/オフ信号によってなされる。計時手段15は、計測の開始から所定時間経過後に時間経過信号を出力する。この計時手段15は、後述する制御手段19に設けられるタイマー回路とすることができる。
【0027】
室外の建物部分には報知手段17が設けられる。報知手段17は、LED47などの発光表示部49を有した室外ユニット51とすることができる。この他、報知手段17は、音による報知を行うものであってもよい。室外の建物部分とは、扉27の室外面53、既存錠装置23の室外表出部材55(図3参照)であるエスカチオン57(図3参照)とすることができる。室外ユニット51は、導出された電線末端に報知手段側コネクタ59が接続され、この報知手段側コネクタ59が、施錠検出部13から導出された電線末端に取り付けられた施錠検出部側コネクタ63と結合され、施錠検出部13と電気的に接続される。
【0028】
施錠検出部13には、リードスイッチ45や室外ユニット51と接続される制御手段19を内設している。制御手段19は、CPUを搭載した回路基板65、電池等の電源部を備える。なお、施錠検出部13は、電池67の他、商用電源を使用してもよい。回路基板65には上記した計時手段15であるタイマー回路が組み込まれる。回路基板65には、時間経過信号の入力によって報知手段17を駆動する制御回路が組み込まれる。すなわち、所定時間が経過すると、室外ユニット51の発光表示部49が点灯或いは点滅して報知を行う。
【0029】
回路基板65にはタイマー切替スイッチ69が設けられる。タイマー切替スイッチ69は、計時手段15の所定時間を可変設定可能としている。このタイマー切替スイッチ69は、例えば36時間や48時間程度の所定時間を選択的に切替可能とする。計時手段15の所定時間が変更設定されることで、計時手段15が時間の計測を開始してから時間経過信号を出力するまでの時間が短く、又は長く変更可能となる。これにより、室内側からの最後の施錠操作が行われてから報知手段17が駆動されるまでの時間を、監視対象者の個人差に応じて設定できる。
【0030】
また、施錠検出部13には、在室者の確認用となる状態表示用LED71が設けられている。状態表示用LED71は、制御手段19によって制御される例えば赤色LED73、緑色LED75を有する。これらの赤色LED73や緑色LED75の点灯分けによって各種状態を表示することができる。例えば緑LED75の点滅によって電池交換を表示したり、室内施錠確認を表示したりできる。
【0031】
次に、上記構成を有する在室確認錠装置11の作用を説明する。
図2は図1に示した在室確認錠装置11の動作手順を説明するフローチャートである。
在室確認錠装置11では、制御手段19が駆動されると、室内側にて施錠が行われたか否かが制御手段19によって判断される(S1)。リードスイッチ45からのサムターン39の施錠操作信号が検出されると、制御手段19は在室を判定する(S2)。制御手段19は、この施錠操作信号の検出をトリガーとして計時手段15の初期化及びカウントを開始する。つまり、室内側において、サムターン39で施錠すると、在室モードになり、「室内でサムターン39による施錠操作をした」ということを検知して、タイマーがスタートする(S3)。制御手段19は、タイマーのカウントと同時に、リードスイッチ45からの解錠信号を判定している(S4)。すなわち、リードスイッチ45からの解錠信号が検出されなければカウントが続行される。
【0032】
制御手段19は、所定時間の経過を判定し(S5)、タイマーのカウントが所定時間となったとき、異常発生と判断し(S6)、室外ユニット51の発光表示部49を発光駆動する(S7)。
なお、制御手段19は、この異常発生を信号として外部へ出力する異常出力部(端子)を有していてもよい。これにより、集合住宅等に設けられた管理室の監視装置等へ報知することも可能となる(S8)。
【0033】
このように、在室確認錠装置11では、主要構成部分となる施錠検出部13が既存錠装置23の室内表出部材25に取り付けられ、他の取付スペースや、他の大掛かりな装置が不要となる。また、施錠検出部13が既存錠装置23の室内側からの施錠操作のみを検出するので、例えば外出時等に、検出動作をキャンセルするための解除操作が不要となる。
【0034】
この第1実施形態に係る在室確認錠装置11によれば、錠装置のみで完結し、安価に構成することができるとともに、簡単に後付けでき、在室状態であることを確認する装置として手軽に導入でき、しかも、解除操作無しで不在時の誤報を防止できる。
【0035】
また、在室確認錠装置11は、既存錠装置23のオプションとして構成可能となる。すなわち、扉に既設の錠装置に簡単に後付けで構築可能であり、通常の生活を過ごしている状態から必要になった際に適宜組み付ければよい。
このような在室確認上層地11によれば、入室時に必ず操作される施錠操作で監視が始まるので、閉じ込め状態での異変を継続させてしまうことがなく、早期発見に繋がる。
また、在室確認が可能となり、且つ外出時の施錠操作では検知しないので、在室状態ではない、外出中であるという確認も室外から可能となり、不必要な監視をなくすものである。
そして、設定される所定時間の経過の後、速やかに外部へ報知となるので、手遅れになるようなことが減少する。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態の在室確認錠装置77について説明する。
図3は本発明に係る在室確認錠装置77の第2実施形態の構成図、図4(a)は図3に示した施錠検出部79に用いられる操作検出部材81の分解斜視図、(b)はその操作検出部材81の拡大斜視図、(c)は操作検出部材の他の例を示す拡大斜視図、図5は図4に示した操作検出部材81の正面図である。なお、図1に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
図3に示すように、この在室確認錠装置77は、扉21に既設の錠装置である既存錠装置23に施錠検出部79が取り付けられる。施錠検出部79はセンサユニット83を有する。センサユニット83は、電池蓋85を着脱自在に装着したカバーケース87に覆われる。カバーケース87には操作検出部材81であるサムターンカバー89が表出して取り付けられている。サムターン39の操作は、このサムターンカバー89を操作して行う。既存のサムターン39は実際には見えなくなる。
【0037】
一方、扉27の室外面53には、報知手段91である発光板93が設けられている。発光板93は、既存錠装置23の室外表出部材55であるエスカチオン57と室外面53との間に挟まれて取り付けられている。発光板93は、全体が発光するもの、LED47を設けたもののいずれであってもよい。
【0038】
この実施形態においても室内側操作部材95はサムターン39である。サムターン39は、実際にはサムターンカバー89が被さることによって見えなくなる。操作検出部材81であるサムターンカバー89は、既存錠装置23のシリンダー錠97による施錠操作の検出を除外して、サムターン39による施錠操作のみを検出する。サムターンカバー89は、このための選択検出構造部99を備える。
【0039】
図4に示すように、この選択検出構造部99は、サムターン39の外周に装着されるマグネットリング101と、サムターン39に被せられる上記のサムターンカバー89と、からなる。マグネットリング101には、円周方向の一部分にリードスイッチ45によって検出されるマグネット103が固定されている。マグネットリング101は、マグネット103が真上に来たときにリードスイッチ45が反応する。これにより、室内側からの施錠の検知が可能となる。
【0040】
サムターンカバー89は、鍔部105と、筒部107と、からなる。鍔部105にはマグネットリング101のマグネット103が可動自在となる切欠部109が円周方向に所定長で形成されている。また、筒部107は、サムターン39を挿通するダルマ穴111を有している。ダルマ穴111は、扇形空間を点対称で接続した形状となる。なお、サムターンカバー89の形状としては、図4(b)に示すように、ダルマ穴111を有蓋形状としてダルマ形状のサムターンを構成してもよく、或いは図4(c)に示すように、平板形状の摘み構造のサムターンと同様の摘み部分88を備えたサムターンカバー89をダルマ形状部分に被せる構成などとしてもよい。既存錠装置23のサムターン39にマグネットリング101が装着され、サムターンカバー89がサムターン39に被せられることで、マグネットリング101とサムターンカバー89とは、マグネット103が切欠部109で可動する範囲で相対回転可能となる。
【0041】
図5に示すように、操作検出部材81であるサムターンカバー89は、内方でサムターン39を可動させる検出排除空間部113を備える。つまり、遊びの範囲θ1を有している。この遊びの範囲θ1は、例えば30°程度とすることが好ましい。また、切欠部109の範囲、すなわち、センサ範囲θ2は、45°程度とすることが好ましい。マグネット103の取付範囲θ3は、15°程度とすることが好ましい。
【0042】
次に、この在室確認錠装置77の作用を説明する。
図6は図3に示した在室確認錠装置77が左勝手の場合の各動作を(a)(b)(c)(d)で表した動作説明図、図7は図3に示した在室確認錠装置77が右勝手の場合の各動作を(a)(b)(c)(d)で表した動作説明図である。
デッドボルト33が左側にて進退する左勝手の場合、図6(a)に示すように、室内側からの操作で施錠すると、サムターンカバー89が30°空回りし、30°以上はサムターン39を回す。その結果、切欠部109によって移動されたマグネット103が検出位置となって、マグネット103がリードスイッチ45により検出される。なお、この状態で、室外側からのシリンダー錠97を使用した解錠では、図6(d)に示すように、サムターンカバー89はサムターン39とともに回る。
【0043】
図6(b)に示すように、室外側からシリンダー錠97を使用して施錠されると、合鍵の操作によって連れ回るサムターン39の回転より検出排除空間部113の分だけ離れてマグネット103が後方で回転し、施錠完了状態においてもマグネット103がリードスイッチ45の検出位置に到達しない。その結果、マグネット103はリードスイッチ45によって検出されない。なお、この状態で、室外側からのシリンダー錠97を使用した解錠では、図6(d)に示すように、サムターン39が30°までサムターンカバー89に当たらずに回り、30°以降はサムターンカバー89を回す。
【0044】
図6(c)に示すように、室内側からサムターンカバー89を使用して解錠されると、切欠部109がマグネット103を略90°の角度でリードスイッチ45から移動させ、マグネット103はリードスイッチ45によって検出されない。この状態で室内側からの施錠では、サムターンカバー89が30°空回りし、30°以降はサムターン39を回す。すなわちサムターン39は、サムターンカバー89に対し遅れて連れ回ることとなる。また、室外側からの施錠の場合は、図6(b)に示すように、サムターンカバー89はサムターン39とともに回る。
【0045】
図6(d)に示すように、室外側からシリンダー錠97を使用して解錠されると、切欠部109がマグネット103を略60°の角度でリードスイッチ45から移動させ、マグネット103はリードスイッチ45によって検出されない。この状態で室内側からの施錠では、図6(a)に示すように、サムターンカバー89がサムターン39とともに回る。また、室外側からの施錠の場合は、図6(b)に示すように、サムターン39が30°まではサムターンカバー89に当たらずに回り、30°以降はサムターンカバー89を回す。
【0046】
右勝手の場合は、サムターン39、サムターンカバー89の回転方向が図6と逆方向となる以外は図6の場合と同様な作動となる。従って、右勝手の場合はその要点のみを説明する。
図7(a)に示すように、室内側からの操作で施錠すると、サムターンカバー89が30°空回りし、30°以上はサムターン39を回す。その結果、切欠部109によって移動されたマグネット103が検出位置となって、マグネット103がリードスイッチ45により検出される。
【0047】
図7(b)に示すように、室外側からシリンダー錠97を使用して施錠されると、サムターン39の回転より検出排除空間部113の分だけ離れてマグネット103が後方で回転し、施錠完了状態においてもマグネット103がリードスイッチ45の検出位置に到達しない。その結果、マグネット103はリードスイッチ45によって検出されない。
【0048】
図7(c)に示すように、室内側からサムターンカバー89を使用して解錠されると、切欠部109がマグネット103を略90°の角度でリードスイッチ45から移動させ、マグネット103はリードスイッチ45によって検出されない。
【0049】
図7(d)に示すように、室外側からシリンダー錠97を使用して解錠されると、切欠部109がマグネット103を略60°の角度でリードスイッチ45から移動させ、マグネット103はリードスイッチ45によって検出されない。
【0050】
この在室確認錠装置77では、既存錠装置23に施錠検出部79が取り付けられると、操作検出部材81がサムターン39に取り付けられることになる。この際、操作検出部材81に選択検出構造部99が設けられていることによって、シリンダー錠97の施錠操作が検出から除外される。これにより、室内側からのサムターン39の施錠操作のみを検出できる。
【0051】
また、操作検出部材81がサムターン39に被され、シリンダー錠97が解錠操作されると、回転するサムターン39と操作検出部材81との干渉が検出排除空間部113によって回避される。つまり、シリンダー錠97の施錠操作によっては操作検出部材81は検出動作しなくなる。このように室外側からのシリンダー錠97の操作による施錠操作を検出から除外できるので、不在とする場合、外出時には、施錠検出部79が動作することはなく、誤報出力を防止できる。
【0052】
この第2実施形態に係る在室確認錠装置77によれば、錠装置のみで完結し、安価に構成することができるとともに、簡単に後付けでき、しかも、解除操作無しで不在時の誤報を防止できる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態の在室確認錠装置11について説明する。
図8は本発明に係る在室確認錠装置115の第3実施形態の斜視図、図9は図8に示した在室確認錠装置115の分解斜視図である。なお、図1〜図7に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
図8に示すように、この在室確認錠装置115は、既存錠装置117の室内表出部材119に取り付けられる。この実施形態において、室内表出部材119は、扉27の室内面31に表出する座板部121になっている。
【0054】
在室確認錠装置115は、既存錠装置117に施錠検出部123が取り付けられる。施錠検出部123はセンサユニット125を有する。センサユニット125は、電池蓋127を着脱自在に装着したカバーケース129に覆われる。カバーケース129には操作検出部材131であるサムターンカバー133が表出して取り付けられている。サムターン39の操作は、このサムターンカバー133を操作して行う。既存のサムターン39は実際には見えなくなる。
【0055】
一方、扉27の室外面53には、例えば、図3に示した報知手段91と同様の報知手段91である発光板93が設けられる。発光板93は、既存錠装置117の室外表出部材55であるエスカチオン57と室外面53との間に挟まれて取り付けられている。
【0056】
図9に示すように、センサユニット125は、錠箱29に固定されるベース板135を介して既存錠装置117に取り付けられる。ベース板135には電池67を収容する電池ボックス137が固定される。ベース板135には裏カバー139が固定され、裏カバー139はカバーケース129を保持する。カバーケース129の内部にはサムターンカバー133と、マグネットリング141と、複数のレンズ部143を有したレンズユニット145と、制御手段147と、が設けられる。制御手段147は、CPU、LED47、リードスイッチ45を搭載した回路基板149を有する。在室確認錠装置115は、制御手段147によって状態表示用LED71が駆動されると、状態表示用LED71からの光がレンズ部143を介してカバーケース129の外側に異なる色(例えば赤や緑)で出射され、状態表示がなされる。
【0057】
この実施の形態の在室確認錠装置115では、リードスイッチ45が隣接して2つ設けられている。また、サムターンカバー133には、直径方向両端に、切欠部109が形成される。マグネットリング141には、直径方向両端に、マグネット103が2個ずつ、合計4個設けられている。リードスイッチ45とマグネット103を2つずつ対面させることで、マグネット103の検出範囲、すなわち、サムターン39の操作検出範囲を広げている。これは、既存錠装置117の機構上の特性として施錠回転終了の直前で付勢バネによって施錠回転が付勢されるためである。つまり、この付勢によりサムターン39の回転操作を完了直前で止めてしまっても、機構的には施錠が完了する(回りきる)。この操作回転と施錠完了との誤差を、マグネット103を2つにしてサムターン39の操作検出範囲を広げることで解消している。さらに、図示は省略するが、サムターン39の行き過ぎを検出可能とするマグネット103を、操作回転側にもう一つ追加してもよい。
【0058】
なお、マグネットリング141の直径方向両端に二対となって設けられるマグネット103と、サムターンカバー133に形成される一対の切欠部109は、一方の対のマグネット103と切欠部109とが上記したようにリードスイッチ45と対面するもので、他方の対のマグネット103と切欠部109は、マグネットリング141及びサムターンカバー133をサムターン39に対して取り付ける際に、直径方向両端のいずれかがリードスイッチ45に対応可能となるように予備として備えたものであり、すなわち外周360°のうちの半分である180°以内を取付範囲として狭めることを可能とし、取り付け時の容易さを向上させるものである。
【0059】
次に、この在室確認錠装置115の作用を説明する。
図10は図8に示した在室確認錠装置115の各動作を(a)(b)(c)で表した動作説明図である。
この在室確認錠装置115では、室外側から施錠した場合、サムターン39によりサムターンカバー133が回され、すなわちサムターンカバー133はサムターン39の回転に遅れて連れ回る状態となるとともにマグネットリング141が遅れて連れ回ることとなって、図10(a)に示す状態となり、リードスイッチ45は反応せず検知とならない。
【0060】
室内側から施錠した場合、サムターンカバー133の回転操作によりサムターン39が回され、図10(b)に示す状態となると、リードスイッチ45が反応し検知となる。これにより、制御手段147はいずれかのLED47,73を駆動して作動中、すなわち在室中であることを表示する。
【0061】
また、室内側からの施錠において、図10(c)に示すように、サムターン39が70°〜80°程度回転した際に、付勢バネで施錠しても、回転方向先頭側のマグネット103が、近接のリードスイッチ45に到達し、リードスイッチ45が反応する。これにより、施錠が未検出となる誤動作を防止し、検知状態の信頼性を高めている。
【0062】
この第3実施形態に係る在室確認錠装置115によれば、錠装置のみで完結し、安価に構成することができるとともに、簡単に後付けでき、しかも、2つのリードスイッチ45にて信頼性を向上させ、そして、解除操作無しで不在時の誤報を防止できる。
【符号の説明】
【0063】
11…在室確認錠装置
13…施錠検出部
15…計時手段
17…報知手段
19…制御手段
21…開閉体
23…錠装置(既存錠装置)
25…室内表出部材
37…室内側操作部材
39…サムターン
43…操作検出部材
55…室外表出部材
97…シリンダー錠
99…選択検出構造部
113…検出排除空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体に設けられる錠装置の室内表出部材に取り付けられ該錠装置の室内側からの施錠操作を検出する施錠検出部と、
前記施錠検出部の検出に応じ時間の計測を開始し所定時間経過後に時間経過信号を出力する計時手段と、
前記錠装置の室外表出部材に設けられる報知手段と、
前記時間経過信号の入力によって前記報知手段を駆動する制御手段と、
を具備することを特徴とする在室確認錠装置。
【請求項2】
請求項1記載の在室確認錠装置であって、
前記計時手段の前記所定時間が可変設定可能であることを特徴とする在室確認錠装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の在室確認錠装置であって、
前記施錠検出部が、室内側操作部材の操作を検出する操作検出部材を有する在室確認錠装置。
【請求項4】
請求項3記載の在室確認錠装置であって、
前記室内側操作部材が、サムターンであり、
前記操作検出部材が、前記錠装置のシリンダー錠による施錠操作の検出を除外して前記サムターンによる施錠操作のみを検出する選択検出構造部を備えることを特徴とする在室確認錠装置。
【請求項5】
請求項4記載の在室確認錠装置であって、
前記操作検出部材が、内方で前記サムターンを可動させる検出排除空間部を備えることを特徴とする在室確認錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−144950(P2012−144950A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6000(P2011−6000)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】