説明

在庫管理装置

【課題】製品の安全在庫の対策を有効に支援する。
【解決手段】 製品の安全在庫の在庫状況を表示する表示部を備え、製品の安全在庫の意思決定を支援する在庫管理装置において、着目する製品について、製品の在庫実績量の履歴、製品の生産実績量の履歴、および製品の販売実績量の履歴に基づいて、理想的な安全在庫量および現実の安全在庫量を算出するための算出手法をコンボボックス1404,1405、テキストボックス1406から指定し、当該製品の理想的な安全在庫量および現実の安全在庫量を算出し、表示部に、製品の在庫実績量の履歴(棒グラフで示される在庫実績金額1401)とともに、算出した当該製品の理想的な安全在庫量(横直線で示される理想的な安全在庫金額1403)および当該製品の現実の安全在庫量(横直線で示される現実の安全在庫金額1402)を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の在庫管理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製造、物流、小売業では、種々の製品の在庫管理が行われる。在庫管理では、長期滞留在庫の発生、欠品の発生など在庫の異常を早期に発見し、安全在庫の対策をすることが重要である。特に、市場動向や生産計画の変化、供給先や次工程における何らかのトラブルなどにより、需要量や供給量が変動する場合には、前記異常が発生する可能性が高まるので尚更である。ここで、「安全在庫」とは、将来の製品の需要が予測よりも大きくなり在庫が欠品状態になることを防ぐために予め生産しておくべき在庫をいう。とはいえ、安全在庫の在庫量は、多ければ良いというものではなく、また、基本的には一時的であっても欠品状態になってはいけないので、安全在庫としては最低限の必要量を常に維持しておくことが好ましい。
なお、特許文献1には、前記変動の場合に応じて的確な補充生産を行う在庫管理について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−271865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、在庫の異常を早期に発見し、生産部門の者や管理部門の者などといった立場の違う者同士の間であっても適切な安全在庫の意思決定をするために、製品の在庫推移をわかりやすく表示することは大変有効である。しかし、特許文献1の技術をはじめとして、従来の在庫管理の技術では、基本的には、前記在庫推移を数字の羅列で表示したり、在庫の異常を発見するためにいくつもの画面を参照し、多くの操作を必要としたりしていた。このため、在庫の異常の発見効率が悪いばかりでなく、立場の違う者同士の間で、在庫の異常に対する認識が相違し(例:物流担当者はいつ欠品してもおかしくないスレスレの在庫量であると認識しているのに対し、営業担当者は過去の運用上の観点から問題なしと認識している)、具体的な意思決定を示すことが大変である。
そこで、このような事情を鑑みて、本発明では、製品の安全在庫の対策を有効に支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明では、着目する製品(部品でもよい)について表示手段が表示するグラフに、在庫量の時間推移と、所定の計算で求めた理想的な安全在庫量と、所定の判断で求めた現実の安全在庫量を併せて表示する。これにより、誰が見ても、理想的な安全在庫量と現実の安全在庫量との乖離を一目で判断できるので、在庫の異常の迅速な発見および適切な安全在庫の意思決定をすることができる。なお、安全在庫量は、安全在庫の対象となる製品の数量または金額で示される。
詳細は、後記する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、製品の安全在庫の対策を有効に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の在庫管理装置のソフトウェア構成図である。
【図2】履歴DB001のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】履歴データ101のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】製品グラフ表示部10の詳細を示す機能構成図である。
【図5】在庫実績グラフ生成手段103による処理内容を示すフローチャートである。
【図6】理想的な安全在庫量算出手段104による処理内容を示すフローチャートである。
【図7】現実の安全在庫量算出手段105による処理内容を示すフローチャートである。
【図8】理想的な安全在庫量算出手法Aに関する処理内容を示すフローチャートである。
【図9】理想的な安全在庫量算出手法Bに関する処理内容を示すフローチャートである。
【図10】現実の安全在庫量算出手法Cに関する処理内容を示すフローチャートである。
【図11】現実の安全在庫量算出手法Dに関する処理内容を示すフローチャートである。
【図12】現実の安全在庫量算出手法Eに関する処理内容を示すフローチャートである。
【図13】現実の安全在庫量算出手法Fに関する処理内容を示すフローチャートである。
【図14】在庫管理装置の表示部に表示される画面の表示例である。
【図15】製品ごとのサムネイル表示に要する処理内容を示すフローチャートである。
【図16】製品ごとのサムネイル表示に要する処理を実行したことにより、在庫管理装置の表示部に表示される画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0009】
≪構成≫
図1は、本実施形態の在庫管理装置のソフトウェア構成図である。この在庫管理装置は、履歴DB(Data Base)001、製品選択手段002、特定製品履歴データ抽出手段003、製品グラフ表示部10といったソフトウェア構成を備えている。
【0010】
この在庫管理装置は、入力部(例:ポインティングデバイス、タッチパネル)、表示部(例:ディスプレイ、タッチパネル)、制御部(例:CPU(Central Processing Unit))および記憶部(例:メモリ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive))をハードウェア構成として備えるコンピュータである。この在庫管理装置は、記憶部にソフトウェア構成としての製品グラフ表示部10などを実現する在庫管理用のプログラムを記憶する。制御部がこのプログラムを実行することにより、在庫管理に要する処理が実行される。
【0011】
履歴DB001は、在庫管理の対象となる製品の在庫実績を記憶するデータベースである。
図2は、履歴DB001のデータ構造の一例を示す図である。履歴DB001は、「製品コード」、「日付」、「生産実績金額」、「販売実績金額」、「在庫実績金額」といったフィールドを備えている。
【0012】
「製品コード」は、在庫管理の対象となる製品の識別番号である。
「日付」は、製品の在庫実績を決定する日であり、製品の在庫推移を日単位で追跡することができる。製品の種類などに応じて週、月、年を決定するようにし、週単位、月単位、年単位などで追跡してもよい。説明の便宜上、履歴DB001は日単位の製品に関するレコードを備えているものとする。
【0013】
「生産実績金額」は、該当する製品をその日において、工場などで生産したときの実際の生産量を金額として示したものである。説明の便宜上、金額として示すが、基本的には、製品の単価は決定されているので、製品の数量として示してもよい。
【0014】
「販売実績金額」は、該当する製品がその日において、市場で販売されたときの実際の販売量を金額として示したものである。
「在庫実績金額」は、該当する製品がその日において、所定のスペースで在庫されたときの実際の在庫量を金額として示したものである。
【0015】
図2の履歴DB001において、例えば、1行目のレコードに着目すると、製品コード100001の製品は、2009年2月1日において、¥77,000,000分生産され、販売されることなく在庫中であることが示されている。
【0016】
製品選択手段002は、入力部からの入力により、ユーザが着目したい製品を選択する機能を備え、例えば、GUI(Graphic User Interface)画面による操作により実現する。
【0017】
特定製品履歴データ抽出手段003は、製品選択手段002により選択された製品に関するレコードを履歴DB001から抽出する機能を備え、例えば、SQL(Structured Query Language)などのデータベースに対する製品に関する情報の検索装置により実現する。
【0018】
製品グラフ表示部10は、製品の在庫推移などをグラフで表示する機能を有し、履歴データ101、画面生成手段100、サムネイル表示制御手段102を含んで構成される。
履歴データ101は、特定製品履歴データ抽出手段003により履歴DB001から抽出され、記憶部の記憶領域に展開されたデータである。
【0019】
図3は、履歴データ101のデータ構造の一例を示す図である。履歴データ101は、「製品コード」、「日付」、「生産実績金額」、「販売実績金額」、「在庫実績金額」といったフィールドを備えている。図3に示す履歴データ101は、特定製品履歴データ抽出手段003により製品コード100001の製品が指定され、その製品に関するレコードが履歴DB001から抽出されたものに等しい。
【0020】
画面生成手段100は、履歴データ101に基づいて、着目する製品に関する在庫推移などのグラフを描写した画面を生成する。画面生成手段100についての詳細は後記する。
サムネイル表示制御手段102は、着目する複数の製品について画面生成手段100が生成した画面をサムネイルとして表示するように制御する。サムネイル表示制御手段102についての説明は後記する。
【0021】
図4は、製品グラフ表示部10の詳細を示す機能構成図である。図4には、すでに説明した履歴データ101、画面生成手段100、サムネイル表示制御手段102が示されている。画面生成手段100は、在庫実績グラフ生成手段103、理想的な安全在庫量算出手段104、理想的な安全在庫量算出手法テーブル1041、理想的な安全在庫量算出手法選択手段1042、パラメータ入力手段1043、現実の安全在庫量算出手段105、現実の安全在庫量算出手法テーブル1051、現実の安全在庫量算出手法選択手段1052、理想的な安全在庫直線生成手段106、現実の安全在庫直線生成手段107を含んで構成される。
【0022】
在庫実績グラフ生成手段103は、履歴データ101に基づいて、着目する製品の在庫量を、例えば棒グラフとして描写する。
理想的な安全在庫量算出手段104は、履歴データ101に基づいて、着目する製品の理想的な安全在庫量を算出する。理想的な安全在庫量は、理想的な安全在庫量算出手法テーブル1041に登録された理想的な安全在庫量算出手法A(以下、単に、「手法A」と称する場合がある。第1の算出手法)または理想的な安全在庫量算出手法B(以下、単に、「手法B」と称する場合がある。第1の算出手法)を用いて求められる。
【0023】
理想的な安全在庫量算出手法選択手段1042は、入力部からの入力により、ユーザが指定した理想的な安全在庫量算出手法を、理想的な安全在庫量算出手法テーブル1041から選択する。選択された理想的な安全在庫量算出手法は、メモリ上に展開される。理想的な安全在庫量算出手法選択手段1042は、表示部の画面上のGUI操作による指定、または外部ファイルによる指定によって実現される。なお、理想的な安全在庫量算出手段104は、選択された理想的な安全在庫量算出手法を用いて、着目する製品の理想的な安全在庫量を算出する。
【0024】
パラメータ入力手段1043は、入力部からの入力により、後記する手法Aに用いる安全在庫計数αをパラメータとして設定する。設定した安全在庫計数αは、メモリ上に展開される。パラメータ入力手段1043は、表示部の画面上のGUI操作による指定、または外部ファイルによる指定によって実現される。
【0025】
現実の安全在庫量算出手段105は、履歴データ101に基づいて、着目する製品の現実の安全在庫量を算出する。現実の安全在庫量は、現実の安全在庫量算出手法テーブル1051に登録された現実の安全在庫量算出手法C(以下、単に、「手法C」と称する場合がある。第2の算出手法)、現実の安全在庫量算出手法D(以下、単に、「手法D」と称する場合がある。第2の算出手法)、現実の安全在庫量算出手法E(以下、単に、「手法E」と称する場合がある。第2の算出手法)、または現実の安全在庫量算出手法F(以下、単に、「手法F」と称する場合がある。第2の算出手法)を用いて求められる。
【0026】
現実の安全在庫量算出手法選択手段1052は、入力部からの入力により、ユーザが指定した現実の安全在庫量算出手法を、現実の安全在庫量算出手法テーブル1051から選択する。選択された現実の安全在庫量算出手法は、メモリ上に展開される。現実の安全在庫量算出手法選択手段1052は、表示部の画面上のGUI操作による指定、または外部ファイルによる指定によって実現される。現実の安全在庫量算出手段105は、選択された現実の安全在庫量算出手法を用いて、着目する製品の現実の安全在庫量を算出する。
【0027】
理想的な安全在庫直線生成手段106は、理想的な安全在庫量算出手段104が算出した理想的な安全在庫量を、例えば横直線で描写する。
現実の安全在庫直線生成手段107は、現実の安全在庫量算出手段105が算出した現実の安全在庫量を、例えば横直線で描写する。
【0028】
≪処理≫
次に、本実施形態の在庫管理装置の処理内容について詳細に説明する。以下に説明する処理の主体は、在庫管理装置の制御部である。
【0029】
図5は、在庫実績グラフ生成手段103による処理内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、履歴データ101から(例えば、先頭から順に)レコードを1件抽出して読み込む。抽出した後、ステップS502に進む。
【0030】
ステップS502において、抽出したレコードに含まれる日付を変数dに保持する。保持した後、ステップS503に進む。
ステップS503において、抽出したレコードに含まれる在庫実績金額を変数vに保持する。保持した後、ステップS504に進む。
【0031】
ステップS504において、日付をX座標とし、在庫実績金額をY座標とするグラフエリアにおいて、Xの値をd、Yの値をvとした棒グラフを描画する。描画した後、ステップS505に進む。
【0032】
ステップS505において、履歴データ101において、前記描画が未処理であるレコードが存在するか否かを判定する。存在するのであれば(ステップS505でYes)、ステップS501に戻り、未処理のレコードについてステップS501〜ステップS504を行う。存在しないのであれば(ステップS505でNo)、棒グラフの描画が完了したことを意味し、処理全体を終了する。
なお、描画された棒グラフのグラフィックデータはメモリ上に記憶され、表示部に表示される。
【0033】
図6は、理想的な安全在庫量算出手段104による処理内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS601において、ユーザにより選択された理想的な安全在庫量算出手法を参照する。参照した後、ステップS602に進む。
【0034】
ステップS602において、選択された理想的な安全在庫量算出手法が手法Aであるか否かを判定する。手法Aであれば(ステップS602でYes)、ステップS603に進む。手法Aでなければ(ステップS602でNo)、手法Bが選択されたことを意味し、ステップS604に進む。
【0035】
ステップS603において、パラメータ入力手段1043により、手法Aに用いられ、予めメモリ上に展開された安全在庫計数αを参照する。参照した後、ステップS604に進む。
ステップS604において、選択された理想的な安全在庫量算出手法を実行する。実行した後、ステップS605に進む。
【0036】
ステップS605において、理想的な安全在庫量算出手法を実行したときの実行結果である理想的な安全在庫量を出力する。出力することで、処理全体を終了する。
なお、出力された理想的な安全在庫量を示す直線は、グラフィックデータとしてメモリ上に記憶され、表示部に表示される。
【0037】
図7は、現実の安全在庫量算出手段105による処理内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS701において、ユーザにより選択された現実の安全在庫量算出手法(手法C〜Fのいずれか)を参照する。参照した後、ステップS702に進む。
【0038】
ステップS702において、選択された現実の安全在庫量算出手法を実行する。実行した後、ステップS702に進む。
ステップS703において、現実の安全在庫量算出手法を実行したときの実行結果である現実の安全在庫量を出力する。出力することで、処理全体を終了する。
なお、出力された現実の安全在庫量を示す直線は、グラフィックデータとしてメモリ上に記憶され、表示部に表示される。
【0039】
図8は、理想的な安全在庫量算出手法Aに関する処理内容を示すフローチャートである。この処理は、ステップS604に含まれる。
まず、ステップS801において、履歴データ101の「生産実績金額」に登録される値である生産実績データから調達リードタイムLTを算出する。調達リードタイムとは、製品の注文を受けてから、その製品の入荷(販売)が完了するまでの期間を意味し、調達リードタイムLTは、下記式で表される。

LT = (期間の長さ) ÷ (生産回数)

ここで、「期間の長さ」とは、履歴データ101に含まれているデータの期間の長さを意味し、例えば、図3に示した履歴データ101によれば、2009/2/1から2009/2/6の6日間を意味する(ただし、2009/2/7には製品の生産が行われるとした場合)。また、「生産回数」とは、期間中に製品の生産が行われた回数を意味し、図3に示した履歴データ101によれば、「生産実績金額」が0より大きい値を示すレコードの数であり、生産回数=1である。ただし、「生産実績金額」が0より大きい日が2日以上連続しているときは、連続している日のレコードをまとめて1つとして数える。調達リードタイムLTを算出した後、ステップS802に進む。
【0040】
ステップS802において、履歴データ101の「販売実績金額」に登録される値である販売実績データから標準偏差σを算出する。この標準偏差σは、製品の販売実績金額(つまり、需要)のばらつきを意味し、履歴データ101の「販売実績金額」に登録される個々の値とこれらの値の平均値との差の2乗和の平均の平方根で示される。標準偏差σを算出した後、ステップS803に進む。
【0041】
ステップS803において、メモリ上に展開されている安全在庫計数αと、調達リードタイムLTと、標準偏差σを用いて、α×σ×√LTなる値を求め、その値を変数xに保持する。保持した後、ステップS804に進む。
【0042】
ステップS804において、変数xに保持された値(つまり、α×σ×√LT)を理想的な安全在庫量と設定する。設定することで、処理全体を終了する。
なお、σは、1日間の標準偏差を意味し、σ×√LTは、LT日間の標準偏差を意味する。安全在庫計数αは、ユーザが例えば入力部から任意に設定する値であるが、例えば、ある日において、在庫の欠品状態を防止することができる確率を95%に定めたいときには、αを0.95と設定する。このとき、α×σ×√LTという値は、調達リードタイムLTの期間中、在庫の欠品状態を防止することができる確率が95%以上となる標準偏差であり、その期間中の欠品発生確率を5%以内に収める程度の在庫量を理想とみなすことを意味する。
【0043】
図9は、理想的な安全在庫量算出手法Bに関する処理内容を示すフローチャートである。この処理は、ステップS604に含まれる。手法Bは、調達リードタイム中の販売実績金額合計の最大偏差を理想的な安全在庫量とするものである。
【0044】
まず、ステップS901において、履歴データ101の「生産実績金額」に登録される値である生産実績データから調達リードタイムLTを算出する。調達リードタイムLTを算出した後、ステップS902に進む。
【0045】
ステップS902において、履歴データ101からレコードを1件(例えば、先頭から1件)抽出し、「販売実績金額」に登録される値である販売実績データを変数vに設定する。設定した後、ステップS903に進む。
【0046】
ステップS903において、vが0より大きいか否か、つまり、製品の販売がなされたか否かを判定する。vが0より大きければ(ステップS903でYes)、ステップS904に進み、そうでなければ(ステップS903でNo)、ステップS902に戻り、次のレコードを1件抽出する。ステップS902およびステップS903の処理により、販売実績が0より大きくなる(実際に販売された)最初の日を特定する。
【0047】
ステップS904において、変数iを設定し、変数iに0を代入する。代入した後、ステップS905に進む。なお、変数iは、履歴データ101の日付を意味し、i=0は調達リードタイムLTの開始日を意味する。
【0048】
ステップS905において、履歴データ101からレコードを1件(例えば、変数iを設定した後、販売実績金額が0よりも大きな値を示すレコードから1件)抽出し、販売実績データを変数vに設定する。設定した後、ステップS906に進む。
【0049】
ステップS906において、変数iにi+1を代入する(日付を1日分繰り下げる)。代入した後、ステップS907に進む。
ステップS907において、i<LTという関係式を満たすか否かを判定する。前記関係式を満たしていれば(ステップS907でYes)、着目する日付が調達リードタイムLTの終了日に到達してないことを意味し、ステップS908に進む。前記関係式を満たしていなければ(ステップS907でNo)、着目する日付が調達リードタイムLTの終了日に到達したことを意味し、ステップS909に進む。
【0050】
ステップS908において、設定された変数iに対応する変数vの値、つまり、着目する日付における製品の販売実績金額を配列aに格納する。格納した後、ステップS910に進む。
【0051】
ステップS909において、配列aの合計値、つまり、配列aに格納された、調達リードタイムLTの期間中の製品の販売実績金額の合計金額を配列bに格納する。格納した後、ステップS910に進む。
【0052】
ステップS910において、LT<(履歴データのレコード数)という関係式を満たすか否かを判定する。前記関係式を満たしていれば(ステップS910でYes)、履歴データ101のレコードのうちまだ本処理にて参照されていないものが存在することを意味し、すべてのレコードを参照すべく、ステップS911に進む。一方、前記関係式を満たしていなければ(ステップS910でNo)、履歴データ101のレコードのすべてが参照されたことを意味し、ステップS913に進む。
【0053】
ステップS911において、i<LTという関係式を満たすか否かを判定する。前記関係式を満たしていれば(ステップS911でYes)、着目する日付が調達リードタイムLTの終了日に到達してないことを意味し、ステップS905に戻る。これにより、配列aに格納される、次の日付における販売実績金額を探すとともに、その次の日付を開始日とする調達リードタイムLTの期間中の製品の販売実績金額の別の合計金額を求め、配列bに格納していく。一方、前記関係式を満たしていなければ(ステップS911でNo)、着目する日付が調達リードタイムLTの終了日に到達し、ステップS909にて配列aの合計値が求められていることを意味し、ステップS912に進む。
【0054】
ステップS912において、配列aの合計値が求められ、配列bに格納され(ステップS909参照)、一区切りついたので、配列aをクリアする。配列aをクリアした後、ステップS904に戻る。これにより、配列bに格納する配列aの合計値を求める処理を繰り返す。
【0055】
最後に、ステップS913において、配列bに格納される値の最大値を特定するとともに、配列bに格納される値の平均値を求め、最大値と平均値との差、つまり、配列bにおける最大偏差を算出し、算出した最大偏差を理想的な安全在庫量とする。理想的な安全在庫量を決定することで、処理全体を終了する。
手法Bにより決定した理想的な安全在庫量は、手法Aにより決定したものと比べ、より製品の在庫実績の現状に即して、つまり、在庫履歴をより色濃く反映して定められているといえる。
【0056】
図10は、現実の安全在庫量算出手法Cに関する処理内容を示すフローチャートである。この処理は、ステップS702に含まれる。手法Cは、最も新しい製造日(製品の生産日)の前日の在庫実績金額を現実の安全在庫量とするものである。
【0057】
まず、ステップS1001において、履歴データ101の最後尾(日付は最新)からレコードを1件抽出し、その日付を変数dに設定するとともに、その日付の生産実績金額を変数vに設定する。設定した後、ステップS1002に進む。
【0058】
ステップS1002において、vが0より大きいか否か、つまり、製品の生産がなされたか否かを判定する。vが0より大きければ(ステップS1002でYes)、ステップS1003に進み、そうでなければ(ステップS1002でNo)、ステップS1004に進む。
【0059】
ステップS1003において、変数dが示す日付の前日の在庫実績金額を履歴データ101から求め、その在庫実績金額を現実の安全在庫量とする。現実の安全在庫量を決定することで、処理全体が終了する。
【0060】
ステップS1004において、履歴データ101に未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理のレコードがあれば(ステップS1004でYes)、ステップS1001に戻り、そのレコードについて本処理を繰り返す。未処理のレコードがなければ(ステップS1004でNo)、ステップS1005に進む。
【0061】
ステップS1005において、履歴データ101には製品の生産を示すレコード(生産日)が存在しないため、現実の安全在庫量を0とする。現実の安全在庫量を決定することで、処理全体が終了する。
手法Cにより決定した現実の安全在庫量は、最新の生産日の前日の在庫実績金額を探すだけであるので、簡易に求められる利点がある。
【0062】
図11は、現実の安全在庫量算出手法Dに関する処理内容を示すフローチャートである。この処理は、ステップS702に含まれる。手法Dは、製造日の前日の在庫実績金額の平均値を現実の安全在庫量とするものである。
【0063】
まず、ステップS1101において、履歴データ101の最後尾からレコードを1件抽出し、その日付を変数dに設定するとともに、その日付の生産実績金額を変数vに設定する。設定した後、ステップS1102に進む。
【0064】
ステップS1102において、vが0より大きいか否か、つまり、製品の生産がなされたか否かを判定する。vが0より大きければ(ステップS1102でYes)、ステップS1103に進み、そうでなければ(ステップS1102でNo)、ステップS1104に進む。
【0065】
ステップS1103において、変数dが示す日付の前日の在庫実績金額を履歴データ101から求め、その在庫実績金額を配列aに格納する。格納した後、ステップS1104に進む。
【0066】
ステップS1104において、履歴データ101に未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理のレコードがあれば(ステップS1104でYes)、ステップS1101に戻り、そのレコードについて本処理を繰り返す。未処理のレコードがなければ(ステップS1104でNo)、配列aに格納される生産日前日の在庫実績金額をすべて特定したことを意味し、ステップS1105に進む。
【0067】
ステップS1105において、配列aに格納された在庫実績金額の平均値を算出し、その平均値を現実の安全在庫量とする。現実の安全在庫量を決定することで、処理全体が終了する。
手法Dにより決定した現実の安全在庫量は、手法Cにより決定したものに比べ、より製品の在庫実績の現状に即して、つまり、在庫履歴をより色濃く反映して定められているといえる。
【0068】
図12は、現実の安全在庫量算出手法Eに関する処理内容を示すフローチャートである。この処理は、ステップS702に含まれる。手法Eは、最も新しい在庫の谷の在庫実績金額(前後の日より在庫が少ない日の在庫量)を現実の安全在庫量とするものである。
【0069】
まず、ステップS1201において、履歴データ101の最後尾からレコードを1件抽出し、その日付を変数dに設定するとともに、その日付の在庫実績金額を変数vに設定する。設定した後、ステップS1202に進む。
【0070】
ステップS1202において、変数dが示す日付の前日の在庫実績金額が、変数vが示す在庫実績金額よりも大きいか否かを判定する。大きければ(ステップS1202でYes)、ステップS1203に進み、そうでなければ(ステップS1202でNo)、ステップS1205に進む。
【0071】
ステップS1203において、変数dが示す日付の後日(翌日)の在庫実績金額が、変数vが示す在庫実績金額よりも大きいか否かを判定する。大きければ(ステップS1203でYes)、変数vが示す在庫実績金額は、「在庫の谷」を示すことを意味し、ステップS1204に進み、そうでなければ(ステップS1203でNo)、ステップS1205に進む。
【0072】
ステップS1204において、変数vが示す在庫実績金額を現実の安全在庫量とする。現実の安全在庫量を決定することで、処理全体が終了する。
【0073】
ステップS1205において、履歴データ101に未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理のレコードがあれば(ステップS1205でYes)、ステップS1201に戻り、そのレコードについて本処理を繰り返す。未処理のレコードがなければ(ステップS1205でNo)、ステップS1206に進む。
【0074】
ステップS1206において、履歴データ101には「在庫の谷」を示すレコードが存在しないため、現実の安全在庫量を0とする。現実の安全在庫量を決定することで、処理全体が終了する。
手法Eにより決定した現実の安全在庫量は、手法Cや手法Dで求めたものに比べて、現実の安全在庫量の信頼性が高い。通常、履歴DB001の更新のタイミングは、製品の生産現場の現状とずれて(データ上では)実行されるため、生産していないのに在庫実績金額が増えてしまったり、生産したのにまだ「在庫の谷」が発生していなかったり、という事態が起こりえる。このような事態に対し、手法Eでは、「在庫の谷」を履歴データ101にて特定しているため、更新のタイミングのずれの影響を受けない。
【0075】
図13は、現実の安全在庫量算出手法Fに関する処理内容を示すフローチャートである。この処理は、ステップS702に含まれる。手法Fは、在庫の谷の在庫金額の平均値を現実の安全在庫量とするものである。
【0076】
まず、ステップS1301において、履歴データ101の最後尾からレコードを1件抽出し、その日付を変数dに設定するとともに、その日付の在庫実績金額を変数vに設定する。設定した後、ステップS1302に進む。
【0077】
ステップS1302において、変数dが示す日付の前日の在庫実績金額が、変数vが示す在庫実績金額よりも大きいか否かを判定する。大きければ(ステップS1302でYes)、ステップS1303に進み、そうでなければ(ステップS1302でNo)、ステップS1305に進む。
【0078】
ステップS1303において、変数dが示す日付の後日(翌日)の在庫実績金額が、変数vが示す在庫実績金額よりも大きいか否かを判定する。大きければ(ステップS1303でYes)、変数vが示す在庫実績金額は、「在庫の谷」を示すことを意味し、ステップS1304に進み、そうでなければ(ステップS1303でNo)、ステップS1305に進む。
【0079】
ステップS1304において、変数vが示す在庫実績金額を配列aに格納する。格納した後、ステップS1305に進む。
【0080】
ステップS1305において、履歴データ101に未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理のレコードがあれば(ステップS1305でYes)、ステップS1301に戻り、そのレコードについて本処理を繰り返す。未処理のレコードがなければ(ステップS1305でNo)、配列aに格納される「在庫の谷」の在庫実績金額をすべて特定したことを意味し、ステップS1306に進む。
【0081】
ステップS1306において、配列aに格納された在庫実績金額の平均値を算出し、その平均値を現実の安全在庫量とする。現実の安全在庫量を決定することで、処理全体が終了する。
手法Fにより決定した現実の安全在庫量は、手法Eにより決定したものに比べ、より製品の在庫実績の現状に即して、つまり、在庫履歴をより色濃く反映して定められているといえる。
【0082】
図14は、在庫管理装置の表示部に表示される画面の表示例である。コンボボックス1404では、理想的な安全在庫量算出手法(A、B)を選択する。コンボボックス1405では、現実の安全在庫量算出手法(C〜F)を選択する。また、テキストボックス1406には、理想的な安全在庫量算出手法Aで使用する在庫安全係数αの値(図14では0.97)を入力する。
【0083】
以上のような入力が終了した後に再描画ボタン1407を押下すると、グラフ表示エリア1408に、在庫実績グラフ生成手段103により在庫実績金額のグラフ1401が表示される(図14の網掛け表示)。それとともに、理想的な安全在庫直線生成手段106および現実の安全在庫直線生成手段107により、理想的な安全在庫量(金額)1403と現実の安全在庫量(金額)1402が直線で表示される。理想的な安全在庫直線生成手段106および現実の安全在庫直線生成手段107は、それぞれ理想的な安全在庫量1403、現実の安全在庫量1402をY軸(縦軸)の値として、X軸(横軸)に平行な直線を描画する。ただしY軸の値が0の時は描画しない。
【0084】
図14のような表示をすれば、その表示を目の当たりにした関係者(例:生産部門の者や管理部門の者)は、容易に安全在庫の良し悪しを把握することができる。例えば、図14では、現実の安全在庫金額は理想的な安全在庫金額を相当量上回っているので、長期滞留在庫の発生を確認することができる。安全在庫量を半分程度に減らしても、97%の確率で欠品状態にならないことがわかる。
【0085】
もし、理想的な安全在庫金額が現実の安全在庫金額を上回っている場合には、現状では欠品の心配はないと思い込んで採用し続けていた現実の安全在庫金額は、実のところ欠品状態に陥る危険性が高かった、ということを意味し、図14に示したような表示を行えばそのような異常を容易に確認できる。
【0086】
〔サムネイル表示〕
次に、理想的な安全在庫量および現実の安全在庫量の表示を、製品ごとにサムネイルで表示する技術に関して説明する。このサムネイルの表示制御は、サムネイル表示制御手段102により実現される。
【0087】
図15は、製品ごとのサムネイル表示に要する処理内容を示すフローチャートである。処理の主体は、在庫管理装置の制御部であり、画面生成手段100およびサムネイル表示制御手段102により実現される。
【0088】
まず、ステップS1501において、履歴データ101からある製品pのレコードを、製品pの製品コードを検索キーにすることで抽出する。抽出した後、ステップS1502に進む。
【0089】
ステップS1502において、在庫実績グラフ生成手段103により、製品pの在庫量を棒グラフとして描写する在庫履歴グラフを生成する。生成した後、ステップS1503に進む。
【0090】
ステップS1503において、理想的な安全在庫直線生成手段106により、製品pの理想的な安全在庫量を示す直線を生成する。生成した後、ステップS1504に進む。
ステップS1504において、現実の安全在庫直線生成手段107により、製品pの現実の安全在庫量を示す直線を生成する。生成した後、ステップS1505に進む。
【0091】
ステップS1505において、生成した在庫履歴グラフ、理想的な安全在庫量を示す直線、現実の安全在庫量を示す直線を合成し、製品pのグラフのサムネイルを生成し、サムネイル一覧に追加する。追加した後、ステップS1506に進む。
【0092】
ステップS1505において、履歴データ101に未処理のレコードがあるか否かを判定する。未処理のレコードがあれば(ステップS1506でYes)、ステップS1501に戻り、そのレコードについて本処理を繰り返す。未処理のレコードがなければ(ステップS1506でNo)、すべての製品についてサムネイルを生成したことを意味し、処理全体を終了する。
【0093】
図16は、製品ごとのサムネイル表示に要する処理を実行したことにより、在庫管理装置の表示部に表示される画面の表示例である。コンボボックス1602では、理想的な安全在庫量算出手法(A、B)を選択する。コンボボックス1603では、現実の安全在庫量算出手法(C〜F)を選択する。また、テキストボックス1604には、理想的な安全在庫量算出手法Aで使用する在庫安全係数αの値(図16では0.97)を入力する。
【0094】
以上のような入力が終了した後に再描画ボタン1605を押下すると、サムネイル一覧表示エリア1601に、サムネイル表示制御手段102による、グラフのサムネイルが製品ごとに表示される。サムネイル個々の表示は図14に示したものと基本的には同様であるのでその説明は省略する。
【0095】
図16のサムネイル表示を行えば、その在庫に異常のある製品を瞬時に見分けることができる。つまり、理想的な安全在庫量を示す直線と、現実の安全在庫量を示す直線とが大きく乖離している製品は、相対的に、欠品状態または長期滞留状態にあることがわかる。
【0096】
≪まとめ≫
本実施形態により、以下の効果を奏する。すなわち、安全在庫の在庫推移を示すグラフに、理想的な安全在庫量および現実の安全在庫量を併せて表示するので、その表示を見た者はどのような立場の者であっても理想的な安全在庫量と現実の安全在庫量の乖離を確認し、安全在庫の健全性を確認することができる。よって、対策が必要な製品について、安全在庫の意思決定を容易に行うことができる。
また、製品ごとのサムネイル表示を行えば、理想的な安全在庫量と現実の安全在庫量の乖離の大きな異常のある製品を瞬時に見分けることができる。
また、手法Eや手法Fを用いて現実の安全在庫量を算出すれば、「在庫の谷」を履歴データ101にて特定しているため、履歴DB001の更新のタイミング(在庫管理装置として機能するコンピュータへのデータ(各種の実績金額)の入力のタイミング)などによる誤差の影響を受けずに済む。
【0097】
≪その他≫
なお、前記した実施形態は、本発明を実施するための好適なものであるが、その実施形式はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形することが可能である。
【0098】
例えば、本実施形態では、履歴DB001または履歴データ101が示す日付に休日が含まれている場合には、その休日を除外した在庫推移を表示することができる。よって、生産日の前日や、「在庫の谷」を決定するときなどに参照した販売実績金額が0より大きな日の前日または後日とは、前営業日または翌営業日を意味するものとして取り扱うことができる。
【0099】
また、本実施形態では、理想的な安全在庫量が示す(横)直線および現実の安全在庫量が示す(横)直線は、その線種、太さ、色などを適当に変えて強調表示してもよい。理想的な安全在庫量と現実の安全在庫量の乖離が大きな製品の在庫推移グラフについては、表示画面全体の色などを変えて警告表示してもよい。
【0100】
また、本実施形態のサムネイル表示は、そのサムネイルの縦幅、横幅を変えたり、横一列に並べる数、縦一列に並べる数を変えたりしてもよいし(グリッド形式)、ユーザからの整列命令により、理想的な安全在庫量と現実の安全在庫量の乖離が大きな(または小さな)製品ほど、先頭から順に表示するように並べ替えてもよい。
【0101】
また、本実施形態のリードタイムとしては、製品の特性や、製造側の都合などを考慮して、調達リードタイムの他にも、開発リードタイム、生産リードタイム、配達リードタイムまたはこれらの組み合わせを用いるようにしてもよい。
【0102】
なお、在庫推移グラフの表示において、在庫金額の数値や安全在庫の様子を記述したコメントなど、グラフの明りょう性に配慮しつつこれらの付加情報を併せて表記してもよいのは勿論である。
【0103】
その他ハードウェア、ソフトウェア、フローチャート、データベース等の具体的な構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
001 履歴DB(製品の在庫実績量の履歴を示すデータ、製品の生産実績量の履歴を示すデータ、製品の販売実績量の履歴を示すデータ)
10 製品グラフ表示部
101 履歴データ(製品の在庫実績量の履歴を示すデータ、製品の生産実績量の履歴を示すデータ、製品の販売実績量の履歴を示すデータ)
100 画面生成手段
102 サムネイル表示制御手段
103 在庫実績グラフ生成手段
104 理想的な安全在庫量算出手段
105 現実の安全在庫量算出手段
106 理想的な安全在庫直線生成手段
107 現実の安全在庫直線生成手段
1041 理想的な安全在庫量算出手法テーブル(第1の算出手法を記憶)
1051 現実の安全在庫量算出手法テーブル(第2の算出手法を記憶)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の安全在庫の在庫状況を表示する表示部を備え、製品の安全在庫の意思決定を支援する在庫管理装置において、
前記在庫管理装置の記憶部は、
製品の在庫実績量の履歴を示すデータと、製品の生産実績量の履歴を示すデータと、製品の販売実績量の履歴を示すデータとを、製品ごとに記憶するとともに、
製品の理想的な安全在庫量を算出するための第1の算出手法および製品の現実の安全在庫量を算出するための第2の算出手法を記憶し、
前記在庫管理装置の制御部は、
入力部から指定された製品について、当該製品の生産実績量の履歴および当該製品の販売実績量の履歴に基づいて、前記第1の算出手法を用いて当該製品の理想的な安全在庫量を算出する制御と、
前記製品について、当該製品の在庫実績量の履歴および必要に応じて当該製品の生産実績量の履歴に基づいて、前記第2の算出手法を用いて当該製品の現実の安全在庫量を算出する制御と、
前記表示部に、前記製品の在庫実績量の履歴とともに、前記算出した当該製品の理想的な安全在庫量および当該製品の現実の安全在庫量を表示する制御と、を実行する
ことを特徴とする在庫管理装置。
【請求項2】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記表示部に、横軸に時間をとり、縦軸に製品の在庫実績量、理想的な安全在庫量および現実の安全在庫量をとるグラフにおいて、前記製品の在庫実績量の履歴を棒グラフで表示するとともに、前記算出した当該製品の理想的な安全在庫量および当該製品の現実の安全在庫量を横直線で表示する制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記表示に係るサムネイルを製品ごとに生成し、前記表示部に、前記サムネイルを製品ごとに所定の形式で表示する制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記入力部から入力された安全在庫計数α、前記製品の販売実績量の履歴から算出される製品の販売実績量の標準偏差σおよび製品の生産実績量の履歴から算出される製品の調達リードタイムLTを用いて、前記製品の理想的な安全在庫量を、α×σ×√LTとする制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の在庫管理装置。
【請求項5】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記製品の生産実績量の履歴から算出される製品の調達リードタイムが示す期間内の前記製品の販売実績量の合計値を算出し、前記製品の理想的な安全在庫量を、前記合計値の最大偏差とする制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の在庫管理装置。
【請求項6】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記製品の現実の安全在庫量を、当該製品の最新生産日の前日における在庫実績量とする制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の在庫管理装置。
【請求項7】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記製品の現実の安全在庫量を、所定期間に含まれる当該製品の生産日の前日の在庫実績量の平均値とする制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の在庫管理装置。
【請求項8】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記製品の現実の安全在庫量を、当該製品の、前後の日における在庫実績量よりも少なくなる最新日における在庫実績量とする制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の在庫管理装置。
【請求項9】
前記在庫管理装置の制御部は、
前記製品の現実の安全在庫量を、所定期間に含まれる当該製品の、前後の日における在庫実績量よりも少なくなる日における在庫実績量の平均値とする制御、を実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の在庫管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−180676(P2011−180676A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42162(P2010−42162)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000233538)株式会社 日立東日本ソリューションズ (53)
【出願人】(390008866)STARLECS株式会社 (8)
【Fターム(参考)】