説明

地すべり予知システム

【課題】広範囲の地すべり予知を可能としつつも、施工作業の効率化を図る。
【解決手段】地すべり予知システムには、地中に埋設される第1アース部と、第1アース部から水平方向に所定の間隔をあけて地中に埋設される第2アース部とが備えられている。そして、地すべり予知システムには、第1アース部及び第2アース部に電気的に接続されて、第1アース部及び第2アース部間の電気抵抗を検出する抵抗検出部が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地すべり予知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地すべりの被害を極力抑えるために、近年においては地すべりを事前に予知することのできる技術が開発されている。例えば、特許文献1記載の地すべり予知システムでは、岩盤と表土層との間に埋設された反射板に対してマイクロ波を発射し、その反射波を受信することで地すべりを予知するようになっている。具体的には、マイクロ波の送信波強度と反射受信波の強度から土中での吸収係数を求め、あらかじめ記憶している吸収係数と土中の含水量との関係データから土中での含水量を算出し、同含水量の大少により地すべりを事前に予知する。
【特許文献1】特開平11−303093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の地すべり予知システムでは、反射板を埋設した地点のみが地すべり予知の対象となるために、広範囲での地すべり予知をする場合においてはその範囲に対して多数の反射板を埋設する必要があった。これにより、施工作業がどうしても煩雑なものになってしまっていた。
【0004】
本発明の課題は、広範囲の地すべり予知を可能としつつも、施工作業の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る地すべり予知システムは、
地中に埋設される第1アース部と、
前記第1アース部から水平方向に所定の間隔をあけて地中に埋設される第2アース部と、
前記第1アース部及び前記第2アース部に電気的に接続されて、前記第1アース部及び前記第2アース部間の電気抵抗を検出する抵抗検出部とを備えることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の地すべり予知システムにおいて、
前記抵抗検出部の検出結果が所定値を超えている場合に警報を行う警報手段を有することを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の地すべり予知システムにおいて、
前記抵抗検出部における前記第1アース部及び前記第2アース部の少なくとも一方に対する接続位置は、深さ方向に変動自在であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明者らは、地下水位が変動し平衡状態になる前に、2地点間の電気抵抗値が大きく変動し平衡状態に達することを種々の実験により見いだした。この2地点間の電気抵抗値を検出することができれば、その検出結果により飽和地盤となっているか否か、つまり地すべり発生の可能性が高まっているか否かを判断することができる。そして、本発明では、第1アース部と第2アース部間の電気抵抗を抵抗検出部により検出することで、2地点間の電気抵抗値を検出しているので、第1アース部と第2アース部との設置間隔が地すべり予知の対象範囲となる。従来のように、対象範囲全域に多数の反射板を埋設しなくとも、第1アース部と第2アース部だけを対象範囲の両端に設置するだけで広範囲の地すべり予知が可能となり、施工作業の効率化も果たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る地すべり予知システムについて説明する。図1は地すべり予知システムの概略構成を示す説明図である。図1に示すように、この地すべり予知システム10には、地中に埋設される第1アース部11と、第1アース部11から水平方向に所定間隔Hだけあけて地中に埋設される第2アース部12とが備えられている。本実施形態では、第1アース部11が山地や崖などの斜面Sにおける上側に埋設されていて、第2アース部12が斜面Sにおける下側に埋設されている。
【0010】
第1アース部11及び第2アース部12は、それぞれ電気伝導性を有する棒状部材である。第1アース部11及び第2アース部12の基端部(図における上端部)には、電線13を介して抵抗検出部14が電気的に接続されている。
【0011】
抵抗検出部14は、第1アース部11部及び第2アース部12間の電気抵抗、つまり両アース部11,12に挟まれた地盤G内の電気抵抗を検出するものであり、例えばテスターなどが挙げられる。抵抗検出部14には、音声や光などで警報を行う警報手段15が電気的に接続されていて、抵抗検出部14の検出結果が警報手段15に出力されるようになっている。
【0012】
警報手段15は、抵抗検出部14の検出結果が所定値を超えている場合に、音声や光などを発して警報を行うようになっている。所定値は、地すべりが発生するか否かを判断するための閾値である。このため、対象地域の傾斜や土壌性質、降雨量など様々な条件を考慮して、種々の実験やシミュレーションなどを行うことにより最適な値が設定されることになる。
【0013】
ここで、地下水の変動と、電気抵抗値との関係について説明する。
まず、地盤内に擬似的な地下水の変動を発生させるため、下記の実験装置を地中内に埋設した。図2は実験装置100の概略構成を示す断面図である。図2に示すように実験装置100は、2つの地盤改良装置1A,1Bと、抵抗検出部14とを備えている。
【0014】
図3は、地盤改良装置1A,1Bの概略構成を示す説明図である。図3に示すように、地盤改良装置1A,1Bには、地盤Gに埋設されるストレーナ管2と、ストレーナ管2の周囲に配置されたフィルター部3と、ストレーナ管2の上部に連結される基台4とが設けられている。
【0015】
ストレーナ管2は、例えば鋼管等の非透水性のものからなり、その先端部(図3における下端部)には外周に複数の穴21をあけて水が通るようにしたストレーナ部22が設けられている。ストレーナ管2の内部には、当該ストレーナ管2内に流入した地下水を排水するための排水管5と、排水管5の先端部に取り付けられ、複数の穴21よりも上方に配置される排水ポンプ6とが設けられている。排水ポンプ6が駆動することにより、ストレーナ管2内の地下水は排水管5を介して排水されることになる。
【0016】
排水管5は、ストレーナ管2の長さ方向に延在していて、その上部に逆止弁(図示省略)が設けられている。逆止弁は、排水管5内の地下水が基端側(図3における上方)に向かう方向に流れるときに開き、先端側(図3における下方)に逆流するときに閉じるようになっている。
【0017】
フィルター部3は、ストレーナ部22の穴21を覆うようにストレーナ管2の周囲に埋設されており、透水性を有する。フィルター部3としては砂利や巻線等を用いることができる。周囲の地盤Gからフィルター部3内に浸透した地下水は、ストレーナ部22の穴21を介してストレーナ管2内に流入することになる。
【0018】
基台4は、ストレーナ管2と同径の非透水性の管状部材である。基台4の先端部にはストレーナ管2が連結されている。他方、基台4の基端部(図3における上端部)には、蓋板41が取り付けられていて、この蓋板41により遮蔽されている。蓋板41には、ストレーナ管2内部と真空ポンプ7とを連通可能にするための真空ポンプ接続部42と、外部の受水槽8と排水管5とを連通可能にするための受水槽接続部43とが設けられている。また、基台4の周面には、ストレーナ管2内部とコンプレッサー9とを連通可能にするためのコンプレッサー接続部44が設けられている。これら各接続部42,43,44には、それぞれ開閉状態を切り替えるコック42a,43a,44aが設けられている。
【0019】
真空ポンプ7には、吸引物を気体と水とに分離するための気液分離装置18が連結されている。気液分離装置18には受水槽8と活性炭吸着装置19とが連通されている。そして、気液分離装置18により分離された水は受水槽8に送られ、気体は活性炭吸着装置19を通過して大気に放出されるようになっている。
【0020】
次に、地盤改良装置1A,1Bの作用について説明する。この地盤改良装置1A,1Bでは、地盤G内の地下水を重力により集めて排水する重力排水処理と、真空ポンプ7により地盤G内の地下水を集める真空排水処理と、地盤G内に圧縮空気を圧送する空気圧送処理とが行えるようになっている。
【0021】
重力排水処理時における地盤改良装置1A,1Bの作用について説明する。
まず、作業者は、受水槽8と受水槽接続部43とを配管15bを介してする。その後、作業者は、受水槽接続部43のコック43aを開状態、真空ポンプ接続部42のコック42aと、コンプレッサー接続部44のコック44aとを閉状態にしてから、排水ポンプ6を駆動する。
【0022】
地盤G内の地下水は、自重によってフィルター部3を通過しストレーナ部22の穴21を介してストレーナ管2内に流入している。このストレーナ管2内に流入している地下水を排水ポンプ6が吸引するため、受水槽8には地下水が貯留されることになる。
【0023】
真空排水処理時における地盤改良装置1A,1Bの作用について説明する。
作業者は、真空ポンプ7と真空ポンプ接続部42とを配管15aを介して接続する。同様に、受水槽8と受水槽接続部43も配管15bを介して接続する。
【0024】
その後、作業者は、真空ポンプ接続部42のコック42aと、受水槽接続部43のコック43aとを開状態、コンプレッサー接続部44のコック44aを閉状態にしてから、真空ポンプ7及び排水ポンプ6を駆動する。
【0025】
ここで、図3においては、ストレーナ管2の右半分部分では、真空ポンプ7及び排水ポンプ6の駆動時(吸引時)における地下水及び空気の動きを示し、左半分部分では、コンプレッサー9の駆動時(圧送時)における空気の動きを示している。
【0026】
真空ポンプ7の駆動によって、ストレーナ管2内が減圧されて排気されると、地盤G内の地下水はフィルター部3を透過してストレーナ部22の穴21からストレーナ管2内に流入することになる(矢印W1参照)。ストレーナ管2に流入した地下水は排水ポンプ6により排水管5から受水槽8まで排水される(矢印W2参照)。
【0027】
さらに、真空ポンプ7の駆動を継続すると、ストレーナ管2の周囲の地盤Gから土壌ガスも吸引されて(矢印A1参照)、当該地盤G内に負圧が伝播することになる。地盤G内が大気圧よりも負圧になると、水の沸点も下がるために地盤G内の地下水は水蒸気となってストレーナ管2内に吸引される。これにより、ストレーナ管2周囲の地盤Gでは擬似的な真空状態が発生する。
【0028】
真空ポンプ7により吸引された水蒸気及び土壌ガスは、ストレーナ管2を通過して、気液分離装置18に送られる(矢印A2参照)。気液分離装置18では、水蒸気及び土壌ガスが水と気体に分離され、水は受水槽8に送られ、気体は活性炭吸着装置19に送られる。活性炭吸着装置19では、気体が浄化されて大気に放出される。
【0029】
空気圧送処理時における地盤改良装置1A,1Bの作用について説明する。
作業者は、コンプレッサー9とコンプレッサー接続部44とを配管15cを介して接続する。その後、真空ポンプ接続部42のコック42aと、受水槽接続部43のコック43aとを閉状態、コンプレッサー接続部44のコック44aを開状態にしてから、コンプレッサー9を駆動する。
【0030】
コンプレッサー9が駆動すると、ストレーナ管2内に圧縮空気が供給されることになり(矢印A3参照)、ストレーナ部22の穴21からフィルター部3を介して地盤G内に圧縮空気が注入されることになる(矢印A4参照)。
【0031】
そして、実験時においては、図2に示すように、地面がほぼ水平な地盤Gに、2つの地盤改良装置1A,1Bを水平方向に所定間隔あけて埋設する。このとき、抵抗検出部14は、電線13を介して各地盤改良装置1A,1Bのストレーナ管2に電気的に接続されている。ストレーナ管2は電気伝導性を有しているため、地盤改良装置1A,1B間の電気抵抗が抵抗検出部14によって検出されることになる。
【0032】
[実験1]
まず、地盤改良装置1Aと地盤改良装置1Bとを水平方向の間隔が30mとなるように地盤Gに埋設する。そして、地盤改良装置1Aでは待機状態としてストレーナ管2内の水位を計測している。一方、地盤改良装置1Bでは真空排水処理を実行した。真空排水処理の開始から、地盤改良装置1Aの地下水位と、地盤改良装置1B近傍の地下水位、抵抗検出部14の検出結果を計測し、その結果を時系列に表したのが図4のグラフである。
【0033】
図4に示すように地盤改良装置1Aの地下水位は常に一定である。一方、地盤改良装置1B近傍の地下水位は真空排水処理の実行開始後1分程度から徐々に低下し、16分以降ではおよそ地下60m付近で平衡状態となっている。ここで、抵抗検出部14の検出結果は真空排水処理の実行開始後1分程度から急速に電気抵抗値が上昇し、7〜8分以降ではおよそ1.8Ω付近でほぼ平衡状態となっている。
つまり、地下水位が変動し平衡状態になる前に、地盤改良装置1Aと地盤改良装置1Bとの間の電気抵抗値は大きく変動し平衡状態に達していることがわかった。
【0034】
[実験2]
実験1で埋設した地盤改良装置1A,1Bを用いる。地盤改良装置1Aでは重力排水処理を実行し、地盤改良装置1Bでは真空排水処理を実行した。重力排水処理及び真空排水処理の開始から、地盤改良装置1B近傍の地下水位、抵抗検出部14の検出結果を計測し、その結果を時系列に表したのが図5のグラフである。
【0035】
図5に示すように地盤改良装置1B近傍の地下水位は重力排水処理及び真空排水処理の実行開始後20〜22分程度から徐々に低下し、72分以降ではおよそ地下60m付近で平衡状態となっている。ここで、抵抗検出部14の検出結果は重力排水処理及び真空排水処理の実行開始後2分程度から急速に電気抵抗値が上昇し、5〜6分以降ではおよそ−0.5〜−1.5Ω付近でほぼ平衡状態となっている。
この実験2においても、実験1と同様に、地下水位が変動し平衡状態になる前に、地盤改良装置1Aと地盤改良装置1Bとの間の電気抵抗値は大きく変動し平衡状態に達していることがわかった。
【0036】
[実験3]
実験1で埋設した地盤改良装置1A,1Bを用いる。地盤改良装置1Aでは重力排水処理を実行し、地盤改良装置1Bでは空気圧送処理を実行した。その後、所定時間経過後には空気圧送処理を停止した。空気圧送処理の停止時においては、空気が圧送された地盤G内に地下水が浸透するため、その空気圧が徐々に低下することになる。この地盤G内の空気圧変動と、抵抗検出部14の検出結果を計測し、その結果を時系列に表したのが図6のグラフである。なお、計測期間中においては、地盤改良装置1Aは重力排水処理を継続している。
【0037】
図6に示すように、重力排水処理及び空気圧送処理の実行開始後15分程度では、空気が地盤G内に圧送されているために、空気圧の計測は行っていない。空気圧処理が停止されると、空気圧は0.5MPaから急激に低下し、64分以降から0.1MPa付近で平衡状態となる。ここで、抵抗検出部14の検出結果は、空気圧送処理の直後には上昇し、空気圧送処理の停止5分後〜46分後間(重力排水処理及び空気圧送処理の実行開始20分後〜61程度)ではおよそ−0.5Ω付近でほぼ平衡状態となっている。
上述したように、地盤G内の空気圧変動は、地下水の浸透に密接に関連しているために、空気圧変動の平衡状態は、地下水の浸透に変動がないこと、すなわち地下水位が平衡状態であることを示している。つまり、実験3においても、実験1,2と同様に、地下水位が変動し平衡状態になる前に、地盤改良装置1Aと地盤改良装置1Bとの間の電気抵抗値は大きく変動し平衡状態に達していることがわかった。
【0038】
このように、いずれの実験1,2,3でも、地下水位が変動し平衡状態になる前に、2地点間の電気抵抗値が大きく変動し平衡状態に達していることがわかった。換言すると、電気抵抗値が変動し平衡状態になれば、その間においては地下水位が変動している可能性が高い。地下水の変動量によっては、その後に地すべりが発生する可能性も高まることになる。2地点間の電気抵抗を監視することができれば、その2地点間における地すべりを事前に予知することが可能となる。
【0039】
つまり、上記した地すべり予知システム10を、地すべり予知の対象範囲に設置しておくと、当該対象範囲の地すべりを事前に予知することが可能となる。具体的に、地すべり予知システム10の作用について説明する。
【0040】
まず、作業者は、地すべり予知の対象範囲の両端に、第1アース部11と、第2アース部12とを埋設する。そして、作業者は、第1アース部11と第2アース部12のそれぞれの基端部に電線13を介して抵抗検出部14を接続する。これにより、抵抗検出部14は、第1アース部11と第2アース部12間の電気抵抗を検出することになる。また、抵抗検出部14は警報手段15に検出結果を出力している。警報手段15は、抵抗検出部14の検出結果が所定値を超えると、地すべりの警報を行う。
【0041】
以上のように、本実施形態の地すべり予知システム10によれば、抵抗検出部14により2地点間の電気抵抗値を検出することで、その検出結果により飽和地盤となっているか否か、つまり地すべり発生の可能性が高まっているか否かを判断することができる。
そして、従来のように対象範囲全域に多数の反射板を埋設しなくとも、第1アース部11と第2アース部12だけを対象範囲の両端に設置するだけで広範囲の地すべり予知が可能となり、施工作業の効率化も果たせることができる。
また、抵抗検出部14の検出結果が所定値を超えると、警報手段15によって警報が行われるので、地すべりの可能性が高まっていることを事前に報知することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、第1アース部11及び第2アース部12のそれぞれが、電気伝導性を有する棒状部材である場合を例示して説明したが、実験装置100のように第1アース部11及び第2アース部12の少なくとも一方を、地盤改良装置1A,1Bを適用することも可能である。この場合、地すべりの可能性が高まっていることが、抵抗検出部14の検出結果により予知されると、地盤改良装置1A,1Bのいずれか一方で、重力排水処理若しくは真空排水処理を実行すれば、当該地盤Gから地下水を排出でき、地盤Gを引き締めることが可能となる。
さらに、真空排水処理の実行後に、空気圧送処理を実行すれば、擬似的な真空状態となっている地盤G内に空気を浸透させて、当該地盤Gを不飽和地盤にすることができる。ここで、不飽和地盤は、飽和地盤よりも透水係数が1/10〜1/100に小さくなると言われており、ストレーナ管2の周囲の地盤Gが不飽和地盤になるとそれだけ地下水の浸透を防止することが可能となる。つまり、地盤Gの地すべりを事前に防止することが可能となる。
【0043】
また、上記実施形態では、抵抗検出部14が第1アース部11及び第2アース部12のそれぞれの上端部に固定されている場合を例示しているが、抵抗検出部14における第1アース部11及び第2アース部12の少なくとも一方に対する接続位置が、深さ方向に変動自在であってもよい。以下、具体的に図7を参照に説明する。図7に示す地すべり予知システム10Aでは、第1アース部11として地盤改良装置1Aを適用し、第2アース部12として鋼管20からなる観測用井戸20Aを適用している。そして、第1アース部11側の電線13の先端部13aは、ストレーナ管2の上端部に接続されている。これにより、抵抗検出部14における第1アース部11との接続位置が固定されたままとなる。一方、第2アース部12側の電線13の先端部13bは、周知の移動機構(図示省略)によって鋼管20内面に接触した状態で深さ方向に変動するようになっている。これにより、抵抗検出部14における第2アース部12との接続位置が深さ方向に変動することになる。そして、第2アース部12側の電線13の接続位置を変動させて、抵抗検出部14による抵抗検出を行えば、深さ毎に検出値も異なることになる。この検出値を基にすることで、各深さ毎の地盤中の水分量、密度等を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係る地すべり予知システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】実験装置100の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2の実験装置100に備わる地盤改良装置の概略構成を示す説明図である。
【図4】実験1による地盤改良装置1Aの地下水位と、地盤改良装置1B近傍の地下水位、抵抗検出部14の検出結果を時系列に表したグラフである。
【図5】実験2による地盤改良装置1B近傍の地下水位、抵抗検出部14の検出結果を時系列に表したグラフである。
【図6】実験3による地盤内の空気圧変動と、抵抗検出部14の検出結果を時系列に表したグラフである。
【図7】本実施形態に係る地すべり予知システムの変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 地すべり予知システム
11 第1アース部
12 第2アース部
13 電線
14 抵抗検出部
15 警報手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される第1アース部と、
前記第1アース部から水平方向に所定の間隔をあけて地中に埋設される第2アース部と、
前記第1アース部及び前記第2アース部に電気的に接続されて、前記第1アース部及び前記第2アース部間の電気抵抗を検出する抵抗検出部とを備えることを特徴とする地すべり予知システム。
【請求項2】
請求項1記載の地すべり予知システムにおいて、
前記抵抗検出部の検出結果が所定値を超えている場合に警報を行う警報手段を有することを特徴とする地すべり予知システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の地すべり予知システムにおいて、
前記抵抗検出部における前記第1アース部及び前記第2アース部の少なくとも一方に対する接続位置は、深さ方向に変動自在であることを特徴とする地すべり予知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−293997(P2009−293997A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146040(P2008−146040)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(599090062)有限会社アサヒテクノ (19)
【Fターム(参考)】