説明

地下室の側壁構造及びその建設方法

【課題】コンクリート壁に対するコンクリートパネルの接合強度を十分な接合強度にすることを可能にする地下室の側壁構造を提供する。
【解決手段】各コンクリート柱14を形成する際に、鋼鉄製棒材40をコンクリート柱14に部分的に埋め込み、鋼鉄製棒材40を露出させる(図3(A))。各鋼鉄製棒材40は上端が同一高さになるように各コンクリート柱14に埋め込まれる。L字型断面を有するアングル部材50を各鋼鉄製棒材40の上端に固定する(図3(B))。その後、表面に鉄板61が埋め込まれているコンクリートパネル60を、鉄板61をアングル部材50に対して溶接することにより、鋼鉄製棒材40ひいてはコンクリート壁30に対して固定する(図3(D))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下室の側壁構造及びその建設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下室の側壁構造を建設する方法の一例が特開平6−257169号公報に記載されている。
【0003】
図1は上記公報に記載されている地下室の側壁構造の建設方法を示す概略的な断面図である。以下、図1を参照して、上記公報に記載されている地下室の側壁構造の建設方法を説明する。
【0004】
先ず、図1(A)に示すように、掘削機10を地盤11の所定の位置にセットする。
【0005】
次いで、図1(B)に示すように、地盤11を掘削するとともに、掘削により形成された穴12の内部に掘削機10の先端からセメントスラリーを圧送する。このセメントスラリーは掘削により生じる土塊(ソイル)と攪拌混合され、ソイルセメントとなる。
【0006】
掘削機10による地盤11の掘削は、図1(C)に示すように、所定の深さ、例えば、支持地盤13に到達する深さまで行われる。
【0007】
支持地盤13までの掘削が完了したら、図1(D)に示すように、掘削機10を引き上げる。
【0008】
これにより、一つのコンクリート柱14が形成される。
【0009】
次いで、図1(E)に示すように、地下室を形成する区画の境界線に沿って、図1(A)乃至図1(D)に示す工程を繰り返し、複数のコンクリート柱14を連続して形成することにより、地下室を形成する区画の境界線に沿ってコンクリート壁を形成する。
【0010】
図1に示した工法は、いわゆるソイルセメント工法により連続杭を形成し、地中連続壁を形成する工法である。
【特許文献1】特開平6−257169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
通常、図1に示した工法によりコンクリート壁を形成した後、地下室の内壁をなすコンクリートパネルが嵌め込まれる。
【0012】
コンクリートパネルの嵌め込みは、例えば、コンクリートパネル内に予めフックを埋め込んでおき、このフックを介してコンクリートパネルをコンクリート壁に係合させることにより行われる。
【0013】
しかしながら、この方法によれば、コンクリート壁に対するコンクリートパネルの接合強度が十分ではなく、長年の使用により、コンクリートパネルがずれたり、あるいは、外れたりするという問題点があった。
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンクリート壁に対するコンクリートパネルの接合強度を十分な接合強度にすることを可能にする地下室の側壁構造及びその建設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は、地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁と、複数の鋼鉄製棒材と、L字型の縦断面を有し、前記地下室の形成区画の一辺に等しい長さを有するアングル部材と、板状のコンクリートパネルと、からなる地下室の側壁構造であって、前記複数の鋼鉄製棒材の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するように相互に間隔を開けて前記コンクリート壁に部分的に埋め込まれ、前記複数の鋼鉄製棒材の各々はそれらの上端が同一高さになるように前記コンクリート壁に埋め込まれており、前記アングル部材は、一方の面が前記複数の鋼鉄製棒材の各々の前記上端上に載置され、他方の面が前記穴の内側に向くように、前記複数の鋼鉄製棒材の各々に固定されており、前記コンクリートパネルには、前記コンクリートパネルの表面に露出するように、鉄板が埋め込まれており、前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記アングル部材の前記他方の面とが相互に固定されている地下室の側壁構造を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁と、複数の鋼鉄製棒材と、板状のコンクリートパネルと、からなる地下室の側壁構造であって、前記複数の鋼鉄製棒材の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するように相互に間隔を開けて前記コンクリート壁に部分的に埋め込まれ、前記コンクリートパネルには、前記コンクリートパネルの表面に露出するように、前記コンクリートパネルの幅方向における全幅にわたって延びる鉄板が埋め込まれており、前記鉄板の長さは、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔と等しいか、あるいは、前記間隔よりも長くなるように設定されており、前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とが相互に固定されている地下室の側壁構造を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁と、複数の鋼鉄製棒材と、板状のコンクリートパネルと、からなる地下室の側壁構造であって、前記複数の鋼鉄製棒材の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するように相互に間隔を開けて前記コンクリート壁に部分的に埋め込まれ、前記コンクリートパネルには、前記コンクリートパネルの表面に露出するように、鉄板が埋め込まれており、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔は前記コンクリートパネルの幅に等しく設定されており、前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とが相互に固定されている地下室の側壁構造を提供する。
【0018】
本発明に係る地下室の側壁構造においては、前記コンクリート壁には相互に間隔を開けて第二の鋼鉄製棒材が上下方向に延びるように埋め込まれていることが好ましい。
【0019】
本発明に係る地下室の側壁構造においては、前記鋼鉄製棒材の前記上端は前記コンクリート壁の上端よりも低い位置に揃えられており、前記コンクリート壁と前記コンクリートパネルとの間であって、前記鋼鉄製棒材の上方に形成された空間の少なくとも一部には断熱材が配置されていることが好ましい。
【0020】
本発明に係る地下室の側壁構造においては、前記コンクリートパネルは、板状の第一部分と、前記第一部分と連続しており、前記第一部分よりも厚みが大きい板状の第二部分と、からなり、前記鉄板は前記第一部分と前記第二部分との境界に接して前記第一部分に配置されていることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、地下室の側壁構造の建設方法であって、掘削機で地盤を掘削するとともに、掘削により形成された穴の内部に前記掘削機の先端からセメントスラリーを圧送しつつ、所定の深さまで前記地盤を掘削する第一の工程と、前記掘削機を引き上げる第二の工程と、鋼鉄製棒材を、上下方向に延びるように、かつ、前記セメントスラリーが固化してコンクリート壁になったときに外周面の一部が前記コンクリート壁から露出するように、さらに、前記鋼鉄製棒材の各々の上端が同一高さになるように、前記セメントスラリーに部分的に埋め込む第三の工程と、地下室を形成する区画の境界線に沿って前記第一の工程、前記第二の工程及び前記第三の工程を繰り返し、前記境界線に沿ってコンクリート壁を形成する第四の過程と、前記コンクリート壁が露出するように地盤を掘削する第五の過程と、一方の面と、前記一方の面と直交する他方の面とからなり、前記地下室の形成区画の一辺に等しい長さを有するアングル部材を、前記一方の面が前記鋼鉄製棒材の各々の前記上端上に載置され、前記他方の面が前記地下室の内側に向くように、前記鋼鉄製棒材の各々に固定する第六の工程と、表面に露出するように鉄板が埋め込まれているコンクリートパネルの前記鉄板と前記アングル部材の前記他方の面とを相互に固定する第七の工程と、からなる地下室の側壁構造の建設方法を提供する。
【0022】
本発明は、さらに、地下室の側壁構造の建設方法であって、掘削機で地盤を掘削するとともに、掘削により形成された穴の内部に前記掘削機の先端からセメントスラリーを圧送しつつ、所定の深さまで前記地盤を掘削する第一の工程と、前記掘削機を引き上げる第二の工程と、鋼鉄製棒材を、上下方向に延びるように、かつ、前記セメントスラリーが固化してコンクリート壁になったときに外周面の一部が前記コンクリート壁から露出するように、さらに、前記鋼鉄製棒材の各々の上端が同一高さになるように、前記セメントスラリーに部分的に埋め込む第三の工程と、地下室を形成する区画の境界線に沿って前記第一の工程、前記第二の工程及び前記第三の工程を繰り返し、前記境界線に沿ってコンクリート壁を形成する第四の過程と、前記コンクリート壁が露出するように地盤を掘削する第五の過程と、コンクリートパネルの表面に露出するように、かつ、前記コンクリートパネルの幅方向における全幅にわたって延びる鉄板が埋め込まれている前記コンクリートパネルであって、前記鉄板の長さは、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔と等しいか、あるいは、前記間隔よりも長くなるように設定されている前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とを相互に固定する第六の工程と、からなる地下室の側壁構造の建設方法を提供する。
【0023】
さらに、本発明は、地下室の側壁構造の建設方法であって、掘削機で地盤を掘削するとともに、掘削により形成された穴の内部に前記掘削機の先端からセメントスラリーを圧送しつつ、所定の深さまで前記地盤を掘削する第一の工程と、前記掘削機を引き上げる第二の工程と、鋼鉄製棒材を、上下方向に延びるように、かつ、前記セメントスラリーが固化してコンクリート壁になったときに外周面の一部が前記コンクリート壁から露出するように、さらに、前記鋼鉄製棒材の各々の上端が同一高さになるように、前記セメントスラリーに部分的に埋め込む第三の工程と、地下室を形成する区画の境界線に沿って前記第一の工程、前記第二の工程及び前記第三の工程を繰り返し、前記境界線に沿ってコンクリート壁を形成する第四の過程と、前記コンクリート壁が露出するように地盤を掘削する第五の過程と、コンクリートパネルの表面に露出するように鉄板が埋め込まれている前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とを相互に固定する第六の工程と、からなり、前記第三の工程において、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔は前記コンクリートパネルの幅に等しく設定されている地下室の側壁構造の建設方法を提供する。
【0024】
本発明に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、前記第三の工程は、前記第一の工程により形成される複数のコンクリート柱のうちの少なくとも一つについて実施されることが好ましい。
【0025】
本発明に係る地下室の側壁構造の建設方法は、前記第一の工程により形成される複数のコンクリート柱のうちの少なくとも一つに対して第二の鋼鉄製棒材を上下方向に延びるように埋め込む工程をさらに備えることが好ましい。
【0026】
本発明に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、前記第三の工程において、前記鋼鉄製棒材の前記上端を前記コンクリート壁の上端よりも低い位置に揃え、前記コンクリート壁と前記コンクリートパネルとの間であって、前記鋼鉄製棒材の上方に形成された空間にセメントスラリーを流し込む工程をさらに実施することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
各鋼鉄製棒材を相互に間隔を開けて配置する場合、仮に、鋼鉄製棒材の各々に対してコンクリートパネルの鉄板を直接的に溶接すると、鋼鉄製棒材と鉄板とが位置的に合わず、ずれてしまうことが想定される。そのような場合には、鋼鉄製棒材と鉄板とを相互に溶接することは不可能になる。
【0028】
これに対して、本発明に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、各鋼鉄製棒材にはアングル部材が取り付けられており、このアングル部材は地下室の形成区画の一辺にわたって延びている。このため、アングル部材に対してコンクリートパネルの鉄板を常に位置的に合わせることが可能であり、コンクリートパネルを確実にアングル部材ひいてはコンクリート壁に対して固定することが可能である。
【0029】
このように、本発明に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、コンクリート壁に対するコンクリートパネルの接合強度を十分な接合強度にすることが可能である。
【0030】
また、コンクリートパネルに埋め込まれる鉄板の長さを、隣接する鋼鉄製棒材間の間隔と等しいか、あるいは、その間隔よりも長くなるように設定することにより、上記のアングル部材を用いる必要がなくなり、建設方法の単純化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第一の実施形態)
図1及び図3は本発明の第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法の各工程を示す概略的な断面図であり、図2は地下室を形成する正方形状の区画の境界線と本実施形態に従って形成される地下室の側壁構造との位置関係を示す平面図である。
【0032】
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法の各工程を説明する。
【0033】
先ず、図1(A)に示すように、掘削機10を地盤11の所定の位置にセットする。すなわち、図2に示す地下室を形成する区画の境界線20上の任意の位置に掘削機10をセットする。
【0034】
次いで、図1(B)に示すように、地盤11を掘削するとともに、掘削により形成された穴12の内部に掘削機10の先端からセメントスラリーを圧送する。このセメントスラリーは掘削により生じる土塊(ソイル)と攪拌混合され、ソイルセメントとなる。
【0035】
掘削機10による地盤11の掘削は、図1(C)に示すように、所定の深さ、例えば、支持地盤13に到達する深さまで行われる。
【0036】
支持地盤13までの掘削が完了したら、図1(D)に示すように、掘削機10を引き上げる。
【0037】
これにより、一つのコンクリート柱14が形成される。
【0038】
次いで、図1(E)に示すように、地下室を形成する区画の境界線20(図2参照)に沿って、図1(A)乃至図1(D)に示す工程を繰り返し、複数のコンクリート柱14を連続して形成する。複数のコンクリート柱14は、隣接するコンクリート柱14が相互に接するように、あるいは、部分的に重なり合うように形成される。
【0039】
これにより、地下室を形成する区画の境界線20に沿ってコンクリート壁30(図2参照)が形成される。
【0040】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、複数のコンクリート柱14を形成する際、鉄鋼製棒材40をセメントスラリーに部分的に埋め込む。すなわち、セメントスラリーが固化してコンクリート柱14になる前の段階において、図3(A)に示すように、鉄鋼製棒材40をセメントスラリーに部分的に埋め込む。
【0041】
図3(A)に示すように、鉄鋼製棒材40は、上下方向に延びるように、かつ、セメントスラリーが固化してコンクリート柱14になったときに鉄鋼製棒材40の外周面の一部がコンクリート橋14から露出するように、セメントスラリーに埋め込まれる。
【0042】
さらに、図2に示すように、鉄鋼製棒材40は、境界線20の一つの辺について、その辺の両端に位置するコンクリート柱14には必ず埋め込まれるとともに、その辺の両端に位置するコンクリート柱14の間に形成されている複数のコンクリート柱14に関しては、一つおきに埋め込まれる。
【0043】
さらに、鋼鉄製棒材40が各コンクリート柱14に埋め込まれる際には、図3(A)に示すように、各鋼鉄製棒材40は、それらの上端が同一高さになるように、さらに、各鋼鉄製棒材40の上端が各コンクリート柱14の上端よりも低い位置にあるように、各コンクリート柱14に埋め込まれる。
【0044】
境界線20を構成する4つの辺の各々について、上記のように、鋼鉄製棒材40が間欠的に埋め込まれているコンクリート柱14を連続的に形成することにより、地下室を形成する区画の境界線20に沿ってコンクリート壁30(図2参照)を形成する。
【0045】
この後、コンクリート壁30の全体が露出するまで地盤11を掘削する。すなわち、地下室用の穴を掘削する。
【0046】
図4は本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるアングル部材50の斜視図である。
【0047】
アングル部材50は、板状の第一の面51と、第一の面51と直交する板状の第二の面52とからなり、L字型断面を有する鋼材である。
【0048】
アングル部材50は地下室の形成区画の一辺と同じ長さを有している。
【0049】
各鋼鉄製棒材40を各コンクリート柱14に埋め込んで配置した後、アングル部材50を各鋼鉄製棒材40に対して配置する。
【0050】
具体的には、図3(B)に示すように、アングル部材50の第一の面51が各鋼鉄製棒材40の上端上に載置され、第二の面52が地下室の内側に向くように、アングル部材50を各鋼鉄製棒材40に固定する。
【0051】
アングル部材50の各鋼鉄製棒材40への固定は、例えば、アングル部材50を各鋼鉄製棒材40に対して溶接することにより行われる。アングル部材50は地下室の形成区画の4辺において各鋼鉄製棒材40に固定される。
【0052】
アングル部材50を各鋼鉄製棒材40に対して固定した後、図3(C)に示すように、地下室の床45を形成する。床45の形成方法は任意である。
【0053】
なお、地下室の床45の形成とアングル部材50の各鋼鉄製棒材40への固定との実施順序は任意である。
【0054】
図5は本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるコンクリートパネル60の斜視図である。
【0055】
コンクリートパネル60は板状をなしており、一方の表面には、鉄板61が露出するように埋め込まれている。コンクリートパネル60の表面に露出している限りにおいて、鉄板61の大きさは任意である。
【0056】
アングル部材50を各鋼鉄製棒材40に対して固定し、さらに、地下室の床45を形成した後、図3(D)に示すように、コンクリートパネル60をアングル部材50に対して固定する。
【0057】
具体的には、コンクリートパネル60に埋め込まれている鉄板61をアングル部材50に対して溶接することにより、コンクリートパネル60をアングル部材50に対して固定する。
【0058】
図3(D)に示すように、各鋼鉄製棒材40の上端は各コンクリート柱14の上端よりも低い位置に揃えられているため、各コンクリート柱14とコンクリートパネル60との間であって、各区鋼鉄製棒材40の上方には、空間70が形成される。
【0059】
必要があれば、この空間70にセメントスラリーを流し込み、空間70を失くすことも可能である。
【0060】
以上の各工程により、地下室の側壁構造が形成される。
【0061】
この後、任意の工法により、地下室の天井(すなわち、一階の床部分)が形成される。
【0062】
本実施形態に係る建設方法により建設された地下室の側壁構造は、地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁30と、複数の鋼鉄製棒材40と、L字型の縦断面を有するアングル部材50と、板状のコンクリートパネル60と、から構成されている。
【0063】
複数の鋼鉄製棒材40の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するようにコンクリート壁30に部分的に埋め込まれている。
【0064】
さらに、複数の鋼鉄製棒材40の各々は相互に間隔を開けて配置されている。例えば、鋼鉄製棒材40は、相互に隣接するように連続して形成されるコンクリート柱14の一本おきに形成される。
【0065】
鋼鉄製棒材40の各々はそれらの上端が同一高さになるようにコンクリート壁30に埋め込まれている。
【0066】
アングル部材50は、第一の面51が複数の鋼鉄製棒材40の各々の上端上に載置され、第二の面52が地下室の内側に向くように、各鋼鉄製棒材40に対して固定されている。例えば、アングル部材50は各鋼鉄製棒材40に対して溶接される。
【0067】
コンクリートパネル60には、コンクリートパネル60の表面に露出するように、鉄板61が埋め込まれており、コンクリートパネル60の鉄板61とアングル部材50の第二の面52とが溶接されることにより、相互に固定されている。
【0068】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法は以下に述べる効果を奏する。
【0069】
各鋼鉄製棒材40は相互に間隔を開けて配置されている。このため、仮に、鋼鉄製棒材40の各々に対してコンクリートパネル60の鉄板61を直接的に溶接することとした場合、鋼鉄製棒材40と鉄板61とが位置的に合わず、ずれてしまうことが想定される。そのような場合には、鋼鉄製棒材40と鉄板61とを相互に溶接することは不可能になる。
【0070】
これに対して、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、各鋼鉄製棒材40にはアングル部材50が取り付けられており、このアングル部材50は地下室の形成区画の一辺にわたって延びている。
【0071】
このため、アングル部材50に対してコンクリートパネル60の鉄板61を常に位置的に合わせることが可能であり、コンクリートパネル60を確実にアングル部材50ひいてはコンクリート壁30に対して固定することが可能である。
【0072】
このように、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、コンクリート壁30に対するコンクリートパネル60の接合強度を十分な接合強度にすることが可能である。
【0073】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法は上記の構成に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0074】
例えば、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、鋼鉄製棒材40は一つおきのコンクリート柱14に埋め込まれているが、鋼鉄製棒材40は全てのコンクリート柱14に埋め込むことも可能である。
【0075】
あるいは、鋼鉄製棒材40はN個おき(Nは2以上の正の整数)のコンクリート柱14に埋め込むことも可能である。
【0076】
さらには、鋼鉄製棒材40は規則的な間隔を開けて埋め込む必要は必ずしもなく、不規則な間隔を開けてコンクリート柱14に埋め込むことも可能である。
【0077】
すなわち、鋼鉄製棒材40は複数個のコンクリート柱14のうちの少なくとも一つに埋め込むようにすれば足りる。
【0078】
また、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、鋼鉄製棒材40として中実または中空の円管を用いているが、円管に代えて、H型鋼材またはI型鋼材を用いることも可能である。
【0079】
(第二の実施形態)
図6は、本発明の第二の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法により建設された地下室の側壁構造の縦断面図である。
【0080】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、コンクリート柱14を形成する際に、穴12に注入されたセメントスラリーが固化する前に、セメントスラリーの内部に第二の鋼鉄製棒材80を上下方向に挿入する。
【0081】
第二の鋼鉄製棒材80の長さは任意である。図6に示すように、コンクリート柱14の内部に収納されるような長さでもよく、あるいは、コンクリート柱14の全長に等しい長さでもよい。
【0082】
第二の鋼鉄製棒材80はコンクリート柱14のほぼ中心に挿入される。第二の鋼鉄製棒材80をコンクリート柱14の中心に正確に挿入することは必ずしも必要ではなく、コンクリート柱14のほぼ中心に挿入されればよい。
【0083】
図7は、地下室を形成する正方形状の区画の境界線と本実施形態に従って形成される地下室の側壁構造との位置関係を示す、図2と同様の平面図である。
【0084】
図7に示すように、第二の鋼鉄製棒材80は一つおきのコンクリート柱14に挿入される。
【0085】
ただし、第二の鋼鉄製棒材80を一つおきのコンクリート柱14に挿入することは必ずしも必要ではなく、例えば、第二の鋼鉄製棒材80は全てのコンクリート柱14に埋め込むことも可能である。
【0086】
あるいは、第二の鋼鉄製棒材80はN個おき(Nは2以上の正の整数)のコンクリート柱14に埋め込むことも可能である。
【0087】
さらには、第二の鋼鉄製棒材80は規則的な間隔を開けて埋め込む必要は必ずしもなく、不規則な間隔を開けてコンクリート柱14に埋め込むことも可能である。
【0088】
すなわち、第二の鋼鉄製棒材80は複数個のコンクリート柱14のうちの少なくとも一つに埋め込むようにすれば足りる。
【0089】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法による効果に加えて、コンクリート柱14に第二の鋼鉄製棒材80を埋め込むことにより、複数のコンクリート柱14を連続的に形成することにより完成するコンクリート壁30の強度を向上させることができる。
【0090】
(第三の実施形態)
図8は、本発明の第三の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法により建設された地下室の側壁構造の縦断面図である。
【0091】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、各コンクリート柱14とコンクリートパネル60との間であって、各区鋼鉄製棒材40の上方に形成されている空間70(図3(D)参照)に断熱材90を配置する。
【0092】
断熱材90は、その全体が空間70の内部に収納されてもよく、あるいは、図8に示すように、その一部のみが空間70の内部に収納されるようにしてもよい。
【0093】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法による効果に加えて、断熱材90を配置することにより、外界に対する地下室の断熱効果を向上させることができる。
【0094】
なお、第二の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においても、上記の断熱材90を用いることが可能である。
【0095】
(第四の実施形態)
図9は、本発明の第四の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるコンクリートパネル100の斜視図である。
【0096】
本実施形態において用いるコンクリートパネル100は、板状の第一部分101と、第一部分101と連続しており、第一部分101よりも厚みが大きい板状の第二部分102と、からなる。
【0097】
第一部分101の表面には鉄板61が埋め込まれている。鉄板61は第一部分101と第二部分102との境界に接するように配置されている。
【0098】
図10は、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法により建設された地下室の側壁構造の縦断面図である。
【0099】
図10に示すように、コンクリートパネル100は、第一部分101を下に、第二部分102を上にした状態で、鉄板61をアングル部材50に溶接することにより、鋼鉄製棒材40に対して固定される。
【0100】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、図10に示すように、コンクリートパネル100の第二部分102が空間70(図3(D)参照)を占めるため、無用な空間が形成されることを防止することができる。例えば、空間70にセメントスラリーを流し込み、空間70を埋めることも不要になる。
【0101】
(第五の実施形態)
図11は、本発明の第五の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるコンクリートパネル110の斜視図である。
【0102】
図11に示すように、コンクリートパネル110には、コンクリートパネル110の表面に露出するように、鉄板111が埋め込まれている。
【0103】
鉄板111はコンクリートパネル110の幅方向Wにおける全幅にわたって延びている。
【0104】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、鋼鉄製棒材40は一定間隔L1(図12参照)ごとに配置されている。
【0105】
さらに、コンクリートパネル110の幅方向Wにおける鉄板111の長さL2は、隣接する鋼鉄製棒材40間の間隔L1と等しいか、あるいは、隣接する鋼鉄製棒材40間の間隔L1よりも長くなるように設定されている。
【0106】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法は以下の点において第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法と異なり、他の点においては同一である。
(1)図5に示すコンクリートパネル60に代えて図11に示すコンクリートパネル110を用いる点
(2)アングル部材50を用いない点
(3)鋼鉄製棒材40は一定間隔L1ごとに配置されている点
図12は、各コンクリート柱14に埋め込まれた鋼鉄製棒材40とコンクリートパネル110の鉄板111との位置関係を示す平面図である。
【0107】
図12に示すように、コンクリートパネル110は、例えば、鉄板111を各鋼鉄製棒材40に溶接することにより、各鋼鉄製棒材40に対して固定される。
【0108】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、アングル部材50を用いないため、第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法と比較して、構造の単純化を図ることが可能である。
【0109】
なお、鉄板111はコンクリートパネル110の全幅にわたって形成することは必ずしも必要ではなく、鉄板111の長さが鋼鉄製棒材40間の間隔L1と等しいか、あるいは、鋼鉄製棒材40間の間隔L1よりも長ければ足りる。
【0110】
なお、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法は上述の第二、第三及び第四の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法に対しても適用することが可能である。
【0111】
(第六の実施形態)
図13は、第六の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法における各コンクリート柱14に埋め込まれた鋼鉄製棒材40とコンクリートパネル60の鉄板61との位置関係を示す平面図である。
【0112】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、図5に示したコンクリートパネル60を用いる。
【0113】
図14に示すように、本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法においては、相互に隣接する二つの鋼鉄製棒材40の間の間隔L1はコンクリートパネル60の幅(図11に示したコンクリートパネル110と同様に幅方向Wにおける長さ)L2に等しくなるように設定されている。
【0114】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法は以上の点を除いて第五の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法と同一である。
【0115】
本実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法によれば、相互に隣接する二つの鋼鉄製棒材40の間の間隔L1はコンクリートパネル60の幅L2に等しく設定されているため、最初の一枚のコンクリートパネル60の鉄板61を鋼鉄製棒材40に合わせて配置すれば、次の二枚目以降のコンクリートパネル60の鉄板61の各々は常に鋼鉄製棒材40と接し合う。このため、コンクリートパネル60の鉄板61を確実に鋼鉄製棒材40に対して溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法の各工程を示す概略的な断面図である。
【図2】地下室を形成する正方形状の区画の境界線と、本発明の第一の実施形態に従って形成される地下室の側壁構造との位置関係を示す平面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法の各工程を示す概略的な断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるアングル部材の斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるコンクリートパネルの斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法により建設された地下室の側壁構造の縦断面図である。
【図7】地下室を形成する正方形状の区画の境界線と、本発明の第二の実施形態に従って形成される地下室の側壁構造との位置関係を示す、図2と同様の平面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法により建設された地下室の側壁構造の縦断面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるコンクリートパネルの斜視図である。
【図10】本発明の第四の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法により建設された地下室の側壁構造の縦断面図である。
【図11】本発明の第五の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において用いるコンクリートパネルの斜視図である。
【図12】本発明の第五の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において、各コンクリート柱に埋め込まれた鋼鉄製棒材とコンクリートパネルの鉄板との位置関係を示す平面図である。
【図13】本発明の第六の実施形態に係る地下室の側壁構造の建設方法において、各コンクリート柱に埋め込まれた鋼鉄製棒材とコンクリートパネルの鉄板との位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0117】
10 掘削機
11 地盤
12 穴
13 支持地盤
14 コンクリート柱
20 境界線
30 コンクリート壁
40 鋼鉄製棒材
50 アングル部材
51 第一の面
52 第二の面
45 地下室の床
60 コンクリートパネル
61 鉄板
70 空間
80 第二の鋼鉄製棒材
90 断熱材
100 コンクリートパネル
101 第一部分
102 第二部分
110 コンクリートパネル
111 鉄板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁と、
複数の鋼鉄製棒材と、
L字型の縦断面を有し、前記地下室の形成区画の一辺に等しい長さを有するアングル部材と、
板状のコンクリートパネルと、
からなる地下室の側壁構造であって、
前記複数の鋼鉄製棒材の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するように相互に間隔を開けて前記コンクリート壁に部分的に埋め込まれ、
前記複数の鋼鉄製棒材の各々はそれらの上端が同一高さになるように前記コンクリート壁に埋め込まれており、
前記アングル部材は、一方の面が前記複数の鋼鉄製棒材の各々の前記上端上に載置され、他方の面が前記穴の内側に向くように、前記複数の鋼鉄製棒材の各々に固定されており、
前記コンクリートパネルには、前記コンクリートパネルの表面に露出するように、鉄板が埋め込まれており、
前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記アングル部材の前記他方の面とが相互に固定されている地下室の側壁構造。
【請求項2】
地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁と、
複数の鋼鉄製棒材と、
板状のコンクリートパネルと、
からなる地下室の側壁構造であって、
前記複数の鋼鉄製棒材の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するように相互に間隔を開けて前記コンクリート壁に部分的に埋め込まれ、
前記コンクリートパネルには、前記コンクリートパネルの表面に露出するように、前記コンクリートパネルの幅方向における全幅にわたって延びる鉄板が埋め込まれており、
前記鉄板の長さは、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔と等しいか、あるいは、前記間隔よりも長くなるように設定されており、
前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とが相互に固定されている地下室の側壁構造。
【請求項3】
地下室を形成する穴の側壁に沿って形成されたコンクリート壁と、
複数の鋼鉄製棒材と、
板状のコンクリートパネルと、
からなる地下室の側壁構造であって、
前記複数の鋼鉄製棒材の各々は、上下方向に延びるように、かつ、外周面の一部が露出するように相互に間隔を開けて前記コンクリート壁に部分的に埋め込まれ、
前記コンクリートパネルには、前記コンクリートパネルの表面に露出するように、鉄板が埋め込まれており、
隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔は前記コンクリートパネルの幅に等しく設定されており、
前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とが相互に固定されている地下室の側壁構造。
【請求項4】
前記コンクリート壁には相互に間隔を開けて第二の鋼鉄製棒材が上下方向に延びるように埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の地下室の側壁構造。
【請求項5】
前記鋼鉄製棒材の前記上端は前記コンクリート壁の上端よりも低い位置に揃えられており、
前記コンクリート壁と前記コンクリートパネルとの間であって、前記鋼鉄製棒材の上方に形成された空間の少なくとも一部には断熱材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の地下室の側壁構造。
【請求項6】
前記コンクリートパネルは、板状の第一部分と、前記第一部分と連続しており、前記第一部分よりも厚みが大きい板状の第二部分と、からなり、
前記鉄板は前記第一部分と前記第二部分との境界に接して前記第一部分に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の地下室の側壁構造。
【請求項7】
地下室の側壁構造の建設方法であって、
掘削機で地盤を掘削するとともに、掘削により形成された穴の内部に前記掘削機の先端からセメントスラリーを圧送しつつ、所定の深さまで前記地盤を掘削する第一の工程と、
前記掘削機を引き上げる第二の工程と、
鋼鉄製棒材を、上下方向に延びるように、かつ、前記セメントスラリーが固化してコンクリート壁になったときに外周面の一部が前記コンクリート壁から露出するように、さらに、前記鋼鉄製棒材の各々の上端が同一高さになるように、前記セメントスラリーに部分的に埋め込む第三の工程と、
地下室を形成する区画の境界線に沿って前記第一の工程、前記第二の工程及び前記第三の工程を繰り返し、前記境界線に沿ってコンクリート壁を形成する第四の過程と、
前記コンクリート壁が露出するように地盤を掘削する第五の過程と、
一方の面と、前記一方の面と直交する他方の面とからなり、前記地下室の形成区画の一辺に等しい長さを有するアングル部材を、前記一方の面が前記鋼鉄製棒材の各々の前記上端上に載置され、前記他方の面が前記地下室の内側に向くように、前記鋼鉄製棒材の各々に固定する第六の工程と、
表面に露出するように鉄板が埋め込まれているコンクリートパネルの前記鉄板と前記アングル部材の前記他方の面とを相互に固定する第七の工程と、
からなる地下室の側壁構造の建設方法。
【請求項8】
地下室の側壁構造の建設方法であって、
掘削機で地盤を掘削するとともに、掘削により形成された穴の内部に前記掘削機の先端からセメントスラリーを圧送しつつ、所定の深さまで前記地盤を掘削する第一の工程と、
前記掘削機を引き上げる第二の工程と、
鋼鉄製棒材を、上下方向に延びるように、かつ、前記セメントスラリーが固化してコンクリート壁になったときに外周面の一部が前記コンクリート壁から露出するように、さらに、前記鋼鉄製棒材の各々の上端が同一高さになるように、前記セメントスラリーに部分的に埋め込む第三の工程と、
地下室を形成する区画の境界線に沿って前記第一の工程、前記第二の工程及び前記第三の工程を繰り返し、前記境界線に沿ってコンクリート壁を形成する第四の過程と、
前記コンクリート壁が露出するように地盤を掘削する第五の過程と、
コンクリートパネルの表面に露出するように、かつ、前記コンクリートパネルの幅方向における全幅にわたって延びる鉄板が埋め込まれている前記コンクリートパネルであって、前記鉄板の長さは、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔と等しいか、あるいは、前記間隔よりも長くなるように設定されている前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とを相互に固定する第六の工程と、
からなる地下室の側壁構造の建設方法。
【請求項9】
地下室の側壁構造の建設方法であって、
掘削機で地盤を掘削するとともに、掘削により形成された穴の内部に前記掘削機の先端からセメントスラリーを圧送しつつ、所定の深さまで前記地盤を掘削する第一の工程と、
前記掘削機を引き上げる第二の工程と、
鋼鉄製棒材を、上下方向に延びるように、かつ、前記セメントスラリーが固化してコンクリート壁になったときに外周面の一部が前記コンクリート壁から露出するように、さらに、前記鋼鉄製棒材の各々の上端が同一高さになるように、前記セメントスラリーに部分的に埋め込む第三の工程と、
地下室を形成する区画の境界線に沿って前記第一の工程、前記第二の工程及び前記第三の工程を繰り返し、前記境界線に沿ってコンクリート壁を形成する第四の過程と、
前記コンクリート壁が露出するように地盤を掘削する第五の過程と、
コンクリートパネルの表面に露出するように鉄板が埋め込まれている前記コンクリートパネルの前記鉄板と前記鋼鉄製棒材とを相互に固定する第六の工程と、
からなり、
前記第三の工程において、隣接する前記鋼鉄製棒材間の間隔は前記コンクリートパネルの幅に等しく設定されている地下室の側壁構造の建設方法。
【請求項10】
前記第三の工程は、前記第一の工程により形成される複数のコンクリート柱のうちの少なくとも一つについて実施されることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載の地下室の側壁構造の建設方法。
【請求項11】
前記第一の工程により形成される複数のコンクリート柱のうちの少なくとも一つに対して第二の鋼鉄製棒材を上下方向に延びるように埋め込む工程をさらに備えることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一項に記載の地下室の側壁構造の建設方法。
【請求項12】
前記第三の工程において、前記鋼鉄製棒材の前記上端を前記コンクリート壁の上端よりも低い位置に揃え、
前記コンクリート壁と前記コンクリートパネルとの間であって、前記鋼鉄製棒材の上方に形成された空間にセメントスラリーを流し込む工程をさらに備えることを特徴とする請求項7乃至11の何れか一項に記載の地下室の側壁構造の建設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−2057(P2009−2057A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164057(P2007−164057)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(500435470)有限会社丸高重量 (3)
【Fターム(参考)】