説明

地下構造物用防護板

【課題】 簡単な構成で、設置も容易に行え、しかも、道路補修工事の際に、地下構造物内に収容されているケーブル等の埋設物の損傷を確実に防止することができる。
【解決手段】 地中に埋設される地下構造物の上に敷かれる防護板において、複数枚の矩形状鋳鉄製板材1からなり、各板材1は、四辺に端部リブ2が形成され、一辺の端部リブ2Aは、フックの作用をし、前記フックと対向する他辺の端部リブ2Bには、受け部3が形成され、板材1の前記フックを隣接する板材1の受け部3に嵌め込むことによって、互いに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下構造物用防護板、特に、C.C.ボックス等の地下構造物内に収容されているケーブル等の埋設物が道路補修工事の際に誤ってコンクリートカッタや掘削機により損傷することを未然に防止することができる地下構造物用防護板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設される地下構造物、例えば、コンクリート製コンパクトケーブルボックス(以下、C.C.ボックスという。)は、地中に電力線や通信配線を敷設する際の中継箇所に構築されるものである。
【0003】
通常、上記C.C.ボックスは、歩道の地下に構築され、地表の鉄蓋により塞がれるが、橋のたもとや、交差点等の場所では、地表面から比較的浅い深さに埋設されることがある。
【0004】
このように、C.C.ボックスが浅い地中に埋設されていると、道路工事等においてコンクリートカッタや掘削機等によってC.C.ボックス内のケーブルが誤って切断される恐れがあった。
【0005】
そこで、この問題点を解決するための地下構造物用防護板が特許第3418858号公報に開示されている。以下、これを従来地下構造物用防護板という。
【0006】
従来地下構造物用防護板を、図面を参照しながら説明する。
【0007】
図9は、C.C.ボックス上に設置された従来地下構造物用防護板を示す概略斜視図である。
【0008】
図9に示すように、従来地下構造物用防護板Aは、C.C.ボックス6上に敷き並べられた、比較的軟質なベース鋼板7と、ベース鋼板7上に配設される、ベース鋼板7と同質の複数枚の短冊状鋼板8と、短冊状鋼板8の周囲に配された枠状鋼板9とから構成されている。
【0009】
C.C.ボックス6上に上記従来地下構造物用防護板Aが乗せられた状態で、道路工事の際に、例えば、コンクリートカッタが突き当たると、防護板Aが低強度かつ展延性を有することから、防護板Aがカッタブレードにまとわり付き、切断が行えず、この結果、C.C.ボックス6内のケーブルの切断が回避される。
【0010】
【特許文献1】特許第3418858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した従来地下構造物用防護板によれば、カッタが防護板Aの真上から降りて来た場合には、ベース鋼板7上の短冊状鋼板8にカッタブレードが食い込むことによってケーブルの切断が阻止され、カッタが防護板Aの側方から来た場合には、枠状鋼板9にカッタブレードが食い込むことによってケーブルの切断が阻止される。
【0012】
しかしながら、従来地下構造物用防護板Aは、複数枚のベース鋼板7、複数枚の短冊状鋼板8および枠状鋼板9から構成されているので、その構成要素が多く、運搬や設置に手間と時間を要し、結果としてコストアップにつながっていた。
【0013】
従って、この発明の目的は、簡単な構成で、設置も容易に行え、しかも、道路補修工事の際に、地下構造物内に収容されているケーブル等の埋設物の損傷を確実に防止することができる地下構造物用防護板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0015】
請求項1記載の発明は、地中に埋設される地下構造物の上に敷かれる防護板において、複数枚の矩形状鋳鉄製板材からなり、前記各板材は、四辺に端部リブが形成され、一辺の端部リブは、フックの作用をし、前記フックと対向する他辺の端部リブには、受け部が形成され、前記板材の前記フックを隣接する前記板材の前記受け部に嵌め込むことによって、互いに連結されることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、板材の中央上面には、十字状に中央リブが形成されていることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、端部リブの上面には、板材の連結方向を示すマークが表示されていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、簡単な構成で、設置も容易に行え、しかも、道路補修工事の際に、地下構造物内に収容されているケーブル等の埋設物の損傷を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、この発明の地下構造物用防護板の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、この発明の地下構造物用防護板を示す平面図、図2は、この発明の地下構造物用防護板を示す底面図、図3は、この発明の地下構造物用防護板を示す右側面図、図4は、この発明の地下構造物用防護板を示す左側面図、図5は、この発明の地下構造物用防護板を示す正面図、図6は、この発明の地下構造物用防護板を示す背面図、図7は、図1のA−A線断面図、図8は、連結されたこの発明の地下構造物用防護板を示す断面図である。
【0021】
図1から図7に示すように、この発明の地下構造物用防護板は、複数枚の矩形状鋳鉄製板材1からなっている。各板材1は、ほぼ正方形状に形成されていて、四辺に端部リブ2が形成され、一辺の端部リブ2Aは、フックの作用をし、このフックと対向する他辺の端部リブ2Bには、フックの受け部3が形成されている。また、板材1の中央上面には、十字状に中央リブ4が形成されている。
【0022】
このように構成されている、この発明の地下構造物用防護板によれば、図8に示すように、例えば、C.C.ボックス6上に順次連結して設置する。すなわち、一方の板材1の受け部3に、これと隣接する他方の板材1のフックを嵌め込む。なお、板材1がほぼ正方形状に形成されている場合には、フックを受け部に嵌め込まなくても板材1を並べて設置することができてしまう。この場合には、板材1同士が連結されないので、間隔があくなどの問題が生じる恐れがある。従って、このような問題が起こらないように、図1に示すように、端部リブ2A,2Bの上面に、板材1の連結方向を示す矢印等のマーク5を表示すると良い。
【0023】
この発明の地下構造物用防護板が設置されたC.C.ボックス等の地下構造物上に、道路工事等において、コンクリートカッタが進行してくると、カッタと鋳鉄製板材とにより激しい金属音が発せられるので、作業者は、異物の切断に早期に気が付き、切断作業を中止する。この結果、C.C.ボックス内のコンクリートカッタによるケーブル切断事故を未然に防ぐことができる。なお、掘削機等が鋳鉄製板材に当たった場合であっても、異物の衝突に早期に気が付くので、掘削機等によるケーブル切断事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の地下構造物用防護板を示す平面図である。
【図2】この発明の地下構造物用防護板を示す底面図である。
【図3】この発明の地下構造物用防護板を示す右側面図である。
【図4】この発明の地下構造物用防護板を示す左側面図である。
【図5】この発明の地下構造物用防護板を示す正面図である。
【図6】この発明の地下構造物用防護板を示す背面図である。
【図7】図1のA−A線断面図である。
【図8】連結されたこの発明の地下構造物用防護板を示す断面図である。
【図9】C.C.ボックス上に設置された従来地下構造物用防護板を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1:板材
2:端部リブ
2A:フック作用を有する端部リブ
2B:受け部を有する端部リブ
3:受け部
4:中央リブ
5:マーク
6:C.C.ボックス
7:ベース鋼板
8:短冊状鋼板
9:枠状鋼板
A:従来地下構造物用防護板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される地下構造物の上に敷かれる防護板において、複数枚の矩形状鋳鉄製板材からなり、前記各板材は、四辺に端部リブが形成され、一辺の端部リブは、フックの作用をし、前記フックと対向する他辺の端部リブには、受け部が形成され、前記板材の前記フックを隣接する前記板材の前記受け部に嵌め込むことによって、互いに連結されることを特徴とする地下構造物用防護板。
【請求項2】
前記板材の中央上面には、十字状に中央リブが形成されていることを特徴とする、請求項1記載の地下構造物用防護板。
【請求項3】
前記端部リブの上面には、前記板材の連結方向を示すマークが表示されていることを特徴とする、請求項1または2記載の地下構造物用防護板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−105254(P2006−105254A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292071(P2004−292071)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000231877)日本鋳鉄管株式会社 (48)
【Fターム(参考)】