説明

地下水の浄化装置

【課題】アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の地下水を次亜塩素酸イオンの供給量を抑えて浄化する。
【解決手段】地下水の浄化装置1は、地下水を汲上げるための取水経路10と、取水経路10に直結された、地下水を陽イオン交換体により処理して処理水を得るための陽イオン交換装置20と、処理水を送水するための送水経路30と、送水経路30に設けられた、処理水へ次亜塩素酸塩水溶液を供給するための薬剤供給装置50と、送水経路30において薬剤供給装置50の下流側に設けられた、処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定するための測定装置60と、陽イオン交換装置20の陽イオン交換体を再生するための再生装置40と、測定装置60での測定結果が予め設定した基準値未満に低下したときに再生装置40を作動させる制御装置70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の浄化装置、特に、地下水の浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地下水は、アンモニア性窒素(アンモニウムイオン)、微生物などの有機物、鉄およびマンガンを含むことから、飲用水として用いるときにこれらの含有成分を除去するための浄化処理がなされている。なお、地中から汲上げた地下水は、通常、無酸素状態の還元性雰囲気にあることから、それに含まれる鉄およびマンガンは、いずれも2価のイオン(Fe2+およびMn2+)の状態で溶解している。
【0003】
一般的な地下水の浄化処理では、例えば、特許文献1に記載のように、地中から汲上げた地下水に対して次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入することで次亜塩素酸イオンを供給した後、この地下水を除鉄・除マンガン装置で処理する。ここで用いられる一般的な除鉄・除マンガン装置は、アンスラサイトおよびマンガン砂(水和二酸化マンガンを担持した触媒砂)をろ材として用いたろ過装置である。
【0004】
この浄化処理において、地下水は、供給された次亜塩素酸イオンにより有機物が酸化され、殺菌される。また、地下水に含まれるアンモニア性窒素は、供給された次亜塩素酸イオンにより同じく酸化されることで窒素に変換されて揮発し、地下水から除去される。さらに、地下水に含まれる鉄およびマンガンのそれぞれの2価イオンは、供給された次亜塩素酸イオンにより酸化されることで3価のイオンになり、水酸化物として地下水中に析出することから、除鉄・除マンガン装置でのろ過により地下水から除去される。
【0005】
この浄化処理では、次亜塩素酸イオンが殺菌、アンモニア性窒素の酸化並びに鉄およびマンガンの酸化を同時に負担することになるため、汲上げた地下水に対して多量の次亜塩素酸イオンを供給する必要がある。特に、次亜塩素酸イオンは、アンモニア性窒素との反応で消費されやすいことから、殺菌並びに鉄およびマンガンの酸化を円滑に進めるためには、このような事情を考慮して次亜塩素酸イオンの供給量を多く設定する必要がある。ところが、地下水にフミン質などの難分解性有機物が含まれると、次亜塩素酸イオンの供給量が多くなるに従ってトリハロメタン等の有害物を副生するため、このような副生成物を除去するための工程が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−95812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、次亜塩素酸イオンの供給量を抑えて地下水を浄化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地下水の浄化装置に関するものであり、この装置は、アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の地下水を地中から汲上げるための取水経路と、取水経路に直結された、取水経路からの地下水を陽イオン交換体により処理することで処理水を得るための陽イオン交換装置と、陽イオン交換装置からの処理水を送水するための送水経路と、送水経路に設けられた、処理水へ次亜塩素酸イオンを供給するための供給装置と、送水経路において供給装置の下流側に設けられた、処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定するための測定装置と、陽イオン交換体を再生するための再生装置と、測定装置での測定結果が予め設定した基準値未満に低下したときに再生装置を作動させる制御装置とを備えている。
【0009】
他の観点に係る本発明は、地下水の浄化方法に関するものであり、この方法は、地中から汲上げた、アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の地下水を陽イオン交換体により処理することで処理水を得る工程と、処理水へ次亜塩素酸イオンを供給する工程と、次亜塩素酸イオンが供給された処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定する工程と、次亜塩素酸イオン濃度が予め設定した基準値未満に低下したときに陽イオン交換体を再生する工程とを含む。
【0010】
さらに他の観点に係る本発明は、アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の水を陽イオン交換体により処理することで処理水を得、得られた処理水に次亜塩素酸イオンを供給することで浄化水を調製する場合において、陽イオン交換体の破過を検知するための方法に関するものであり、この検知方法は、次亜塩素酸イオンが供給された処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定する工程と、次亜塩素酸イオン濃度が予め設定した基準値未満に低下したか否かを判定する工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る地下水の浄化装置および浄化方法は、還元性雰囲気の地下水を陽イオン交換体により処理した後に次亜塩素酸イオンを供給しているため、次亜塩素酸イオンの供給量を抑えることができ、結果的にトリハロメタン等の有害物の生成を抑えながら地下水を浄化することができる。
【0012】
本発明に係る陽イオン交換体の破過検知方法は、陽イオン交換体での処理により得られた処理水の次亜塩素酸イオン濃度に着目しているため、陽イオン交換体の破過を容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の一形態に係る浄化装置の概略図。
【図2】前記浄化装置の動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る地下水の浄化装置を説明する。この浄化装置により浄化される地下水は、アンモニア性窒素(アンモニウムイオン)、微生物などの有機物、鉄およびマンガンを含むもの、特に、無酸素状態の還元性雰囲気にあることで鉄およびマンガンをそれぞれ2価の鉄イオンおよび2価のマンガンイオンとして含むものである。
【0015】
図1において、浄化装置1は、取水経路10、陽イオン交換装置20、送水経路30、再生装置40、薬剤供給装置50、測定装置60および制御装置70を主に備えている。
【0016】
取水経路10は、地下水を汲上げるためのポンプ11を有しており、一端が井戸や地中の帯水層などの水源に延びている。
【0017】
陽イオン交換装置20は、それぞれ陽イオン交換体を充填した第1ユニット21および第2ユニット22の2つのユニットを有している。取水経路10は、陽イオン交換装置20内において、第1切換弁23を通じて第1経路10aおよび第2経路10bの2つの経路に分岐している。第1経路10aは第1ユニット21に対して直結している。また、第2経路10bは、第2ユニット22に対して直結している。第1切換弁23の詳細については後記する。
【0018】
上述のように、取水経路10は、第1経路10aおよび第2経路10bを通じてそれぞれ第1ユニット21および第2ユニット22に対して直結しているため、取水経路10により汲上げられた地下水は、第1ユニット21および第2ユニット22へ供給されるまで無酸素状態の還元性雰囲気に維持され得る。
【0019】
第1ユニット21および第2ユニット22のそれぞれに充填された陽イオン交換体は、Na型、K型若しくはH型の強酸性陽イオン交換体またはNa型、K型若しくはH型の弱酸性陽イオン交換体であり、通常は粒状や繊維状の樹脂製である。ここで、地下水に含まれる硬度成分(カルシウムイオンおよびマグネシウムイオン)を浄化時に併せて除去するときは、強酸性陽イオン交換体、特に、Na型またはK型の強酸性陽イオン交換体を用いるのが好ましい。
【0020】
送水経路30は、陽イオン交換装置20からの処理水を送水するためのものであり、処理水を一時的に貯留するための貯水槽(図示省略)や水道経路(図示省略)などに末端が連絡している主経路31を有し、この主経路31は、陽イオン交換装置20内において第1送水路32と第2送水路33の2つの経路に分岐している。第1送水路32は、第1ユニット21の出口側に連絡しており、第2切換弁32aを有している。第2切換弁32aは、第1ドレン経路34が連絡しており、第1ユニット21からの処理水の流路を主経路31および第1ドレン経路34のいずれか一方に切替えるためのものである。第2送水路33は、第2ユニット22の出口側に連絡しており、第3切換弁33aを有している。第3切換弁33aは、第2ドレン経路35が連絡しており、第2ユニット22からの処理水の流路を主経路31および第2ドレン経路35のいずれか一方に切替えるためのものである。なお、第1ドレン経路34と第2ドレン経路35とは合流し、単一の廃棄経路36を形成している。
【0021】
再生装置40は、陽イオン交換装置20の第1ユニット21または第2ユニット22に充填された陽イオン交換体のイオン交換能を再生するためのものであり、供給部41と、供給経路42とを有している。供給部41は、陽イオン交換体を再生するための再生剤溶液を供給経路42を通じて第1ユニット21または第2ユニット22へ供給するためのものである。ここで用いられる再生剤溶液は、陽イオン交換体の種類に応じて選択されるものである。Na型陽イオン交換体を用いる場合は、例えば塩化ナトリウム水溶液が用いられる。また、K型陽イオン交換体を用いる場合は、例えば塩化カリウム水溶液が用いられる。さらに、H型陽イオン交換体を用いる場合は、例えば塩酸水溶液が用いられる。
【0022】
供給経路42は、第1切換弁23に連絡している。第1切換弁23は、4方弁であり、次の2形態のいずれかに流路を設定することができる。
<第1形態>
取水経路10と第1経路10aとを連絡し、かつ、供給経路42と第2経路10bとを連絡する。
<第2形態>
取水経路10と第2経路10bとを連絡し、かつ、供給経路42と第1経路10aとを連絡する。
【0023】
薬剤供給装置50は、陽イオン交換装置20からの処理水に対して次亜塩素酸イオンを供給するためのものであり、より具体的には、処理水に対して次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸塩または次亜塩素酸の水溶液(以下、「薬剤水溶液」という場合がある)を供給するためのものである。この薬剤供給装置50は、送水経路30に連絡しており、処理水に対する薬剤水溶液の供給量を制御できるよう設定されている。
【0024】
測定装置60は、送水経路30において、薬剤供給装置50の下流側に配置されており、薬剤供給装置50から薬剤水溶液が供給された処理水における次亜塩素酸イオン濃度を測定するためのものである。より具体的には、測定装置60は、送水経路30から処理水の一部を採取し、処理水における次亜塩素酸イオン濃度を塩素濃度として測定するためのものであり、採取した処理水に呈色試薬を添加して反応させ、この反応による処理水の発色強度を測定することで処理水の塩素濃度、すなわち次亜塩素酸イオン濃度を測定するものである。このような測定装置は、例えば、特開2007−93398号公報等に記載されたものであり、既に知られたものである。
【0025】
制御装置70は、浄化装置1の動作プログラムを記憶した電子情報処理組織であり、情報の入出力部を備えている。入出力部の入力側は、浄化装置1の動作に必要な情報を入力するためのものであり、動作指令等を入力するための入力盤や測定装置50の測定情報出力部が連絡している。また、入出力部の出力側は、ポンプ11、第1切換弁23、第2切換弁32a、第3切換弁33a、再生装置40、薬剤供給装置50および測定装置60等へ所要の動作指令を出力するためのものである。
【0026】
次に、図2の動作フローチャートに基づいて浄化装置1の動作を説明する。
操作者が浄化装置1の電源スイッチをONにすると、動作プログラムは、ステップS1において初期動作を実行する。この初期動作では、第1切換弁23を第1形態に設定し、第2切換弁32aを第1送水路32と主経路31とが連絡するよう設定し、また、第3切換弁33aを第2送水路33と第2ドレン経路35とが連絡するよう設定する。
【0027】
ステップS1の完了後、動作プログラムはステップS2へ移行し、操作者が入力盤から作動スイッチをONにしたか否かを判断する。操作者が作動スイッチをONにすると、動作プログラムはステップS3へ移行し、地下水の浄化動作を開始する。ここでは、ポンプ11を作動し、取水経路10により地下水の汲上げを開始する。汲上げられた地下水は、第1経路10aを通じて第1ユニット21へ供給され、陽イオン交換体により処理される。ここで、取水経路10は、第1経路10aを通じて第1ユニット21に直結しているため、汲上げられた地下水は、還元性雰囲気を維持した状態で第1ユニット21へ供給されることになり、そこに含まれるアンモニア性窒素(アンモニウムイオン)並びに2価の鉄イオンおよび2価のマンガンイオンの各イオンが陽イオン交換体とのイオン交換により除去される。また、陽イオン交換体として強酸性陽イオン交換体を用いている場合、地下水に含まれる硬度成分は、陽イオン交換体とのイオン交換により併せて除去される。
【0028】
第1ユニット21において各イオンの除去処理がされた地下水、すなわち処理水は、第1送水路32から主経路31へ流れ、薬剤供給装置50から薬剤水溶液が連続的に供給される。これにより、処理水は、次亜塩素酸イオン濃度が高まり、残留している有機物が酸化されることで殺菌される。この際、処理水は、陽イオン交換装置20においてアンモニア性窒素並びに鉄イオンおよびマグネシウムイオンが除去されているため、有機物の酸化または殺菌のために必要な量の薬剤水溶液を添加すれば足りるため、トリハロメタン等の有害物が生成しにくい。したがって、薬剤水溶液の供給により殺菌された処理水は、安全な浄化水として、主経路31を通じて送水されることになる。
【0029】
ここで、薬剤水溶液の供給量は、処理水における次亜塩素酸イオン濃度が処理水の殺菌処理のために必要な濃度を十分に上回り、かつ、飲料水での規制値を下回る範囲での一定の濃度(以下、「目標濃度」という場合がある。)になるよう、処理水の単位流量に対して一定流量になるよう設定する。そして、この濃度は、測定装置60により測定される。
【0030】
このような浄化動作中、動作プログラムは、ステップS4において操作者が作動スイッチをOFFにしたか否かを判断する。操作者が作動スイッチをOFFにしたとき、動作プログラムは、ステップS5へ移行し、ポンプ11、薬剤供給装置50および測定装置60を停止する等の停止動作を実行した後に終了する。
【0031】
一方、操作者が作動スイッチをOFFに操作しない限り、動作プログラムは、浄化動作を継続し、ステップS6において、測定装置60により測定される処理水の次亜塩素酸イオン濃度が基準値未満に低下したか否かを判断する。ここで、基準値は、目標濃度よりも低い濃度範囲において任意に設定した濃度であり、通常、処理水における次亜塩素酸イオン濃度が処理水の殺菌処理のために必要な最低濃度の前後の狭い濃度帯の範囲で任意に設定するのが好ましい。
【0032】
第1ユニット21は、地下水を連続的に処理することで陽イオン交換体のイオン交換能が低下し、除去すべきイオンが第1ユニット21で捕捉されずに通過する破過が生じる。ここで、陽イオン交換体のイオン交換能の低下により最初に破過するイオン種は、アンモニア性窒素であり、このアンモニア性窒素は処理水に漏出すると薬剤供給装置50から供給される薬剤水溶液による次亜塩素酸イオンと反応することで窒素に変換される。この際、アンモニア性窒素は、多量の次亜塩素酸イオンを消費する(通常、1mgNH−N/Lのアンモニア性窒素に対し、7mgCl/L相当の次亜塩素酸イオンが消費される)ため、アンモニア性窒素の破過が生じると処理水における次亜塩素酸イオン濃度が目標濃度から速やかに低下し始める。
【0033】
そこで、動作プログラムは、ステップS6において次亜塩素酸イオン濃度が基準値未満に低下したと判断したときは、ステップS7へ移行し、第1ユニット21の陽イオン交換体の再生動作を実行する。ここでは、先ず、第1切換弁23を第2形態に切換え、また、第3切換弁33aを第2送水路33と主経路31とが連絡するよう切換えるとともに、第2切換弁32aを第1送水路32と第1ドレン経路34とが連絡するよう切換える。これにより、取水経路10からの地下水は、第2経路10bを通じて第2ユニット22へ供給され、その陽イオン交換体によるイオン交換により含有しているイオンが除去されて主経路31へ流れる。このため、浄化装置1においては、第1ユニット21の陽イオン交換体の再生動作中においても、地下水の浄化を継続することができる。
【0034】
また、再生動作においては、再生装置40を作動し、供給部41から供給経路42を通じて第1ユニット21へ再生剤溶液を供給する。供給された再生剤溶液は、第1ユニット21の陽イオン交換体に捕捉されたイオンを除去することで陽イオン交換体を再生し、除去したイオンを含む廃液として第1ドレン経路34から廃棄経路36に流れて廃棄される。なお、再生装置40は、タイマー制御や流量制御により規定量の再生剤溶液を供給した後に、陽イオン交換体のリンスなどを経てから自動停止するよう設定するのが好ましい。
【0035】
動作プログラムは、ステップS7において再生動作の実行後、ステップS4に戻り、操作者が作動スイッチをOFFにしたか否かを判断する。そして、操作者が作動スイッチをOFFに操作しない限り、動作プログラムは、第2ユニット22を用いた浄化動作を継続し、ステップS6以下を繰り返す。この場合、ステップS7の再生動作においては、第1切換弁23、第2切換弁32aおよび第3切換弁33aを所要の形態に切換え、再生された第1ユニット21により地下水の浄化を継続するとともに、第2ユニット22の陽イオン交換体を再生する。
【0036】
以上のように、浄化装置1は、地下水に含まれるアンモニア性窒素等のイオンを陽イオン交換体でのイオン交換により除去しているため、殺菌のために地下水へ供給する次亜塩素酸イオン量、すなわち、薬剤水溶液量を抑えることができ、経済的に運転することができる。また、地下水の処理のために用いる第1ユニット21または第2ユニットにおける陽イオン交換体の破過を殺菌のために供給した次亜塩素酸イオンの濃度に基づいて速やかに検知することができ、また、破過を検知したときは使用していたユニットを別のユニットに変更するとともに使用していたユニットの陽イオン交換体を再生するため、地下水を連続的かつ安定的に浄化することができる。
【0037】
なお、浄化装置1により得られる処理水(浄化水)は、必要によりpH調整をすることができる。例えば、H型の陽イオン交換体を用いた場合、得られる処理水(浄化水)は弱酸性になるため、処理水(浄化水)の用途により必要な場合はpH調整するのが好ましい。
【0038】
この実施の形態では、陽イオン交換装置20において第1ユニット21および第2ユニット22の2つのユニットを設け、これらのユニットを交互に再生しながら地下水を連続的に浄化しているが、陽イオン交換装置20において単一のユニットを設け、当該ユニットの再生中は地下水の浄化を一時的に中断するように変更することもできる。
【0039】
また、この実施の形態において、次亜塩素酸イオンが供給された処理水は、貯水槽や水道経路へ供給される前に、膜分離装置や沈降装置等により処理することで残留する不純物をさらに除去することもできる。
【0040】
さらに、この実施の形態における陽イオン交換体の破過検知の工程は、アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の水であって地下水以外のものを陽イオン交換体により処理し、その処理水へ次亜塩素酸イオンを供給することで浄化水を調製する場合においても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 浄化装置
10 取水経路
20 陽イオン交換装置
30 送水経路
40 再生装置
50 薬剤供給装置
60 測定装置
70 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の地下水を地中から汲上げるための取水経路と、
前記取水経路に直結された、前記取水経路からの前記地下水を陽イオン交換体により処理することで処理水を得るための陽イオン交換装置と、
前記陽イオン交換装置からの前記処理水を送水するための送水経路と、
前記送水経路に設けられた、前記処理水へ次亜塩素酸イオンを供給するための供給装置と、
前記送水経路において前記供給装置の下流側に設けられた、前記処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定するための測定装置と、
前記陽イオン交換体を再生するための再生装置と、
前記測定装置での測定結果が予め設定した基準値未満に低下したときに前記再生装置を作動させる制御装置と、
を備えた地下水の浄化装置。
【請求項2】
地中から汲上げた、アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の地下水を陽イオン交換体により処理することで処理水を得る工程と、
前記処理水へ次亜塩素酸イオンを供給する工程と、
次亜塩素酸イオンが供給された前記処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定する工程と、
前記次亜塩素酸イオン濃度が予め設定した基準値未満に低下したときに前記陽イオン交換体を再生する工程と、
を含む地下水の浄化方法。
【請求項3】
アンモニア性窒素、鉄イオンおよびマンガンイオンを含む還元性雰囲気の水を陽イオン交換体により処理することで処理水を得、得られた処理水に次亜塩素酸イオンを供給することで浄化水を調製する場合において、陽イオン交換体の破過を検知するための方法であって、
次亜塩素酸イオンが供給された前記処理水の次亜塩素酸イオン濃度を測定する工程と、
前記次亜塩素酸イオン濃度が予め設定した基準値未満に低下したか否かを判定する工程と、
を含む陽イオン交換体の破過検知方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−254427(P2012−254427A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129965(P2011−129965)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】