説明

地下空間の空調システム

【課題】 地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、コンコース、連絡通路などの地下空間の換気を制御する空調システムにおいて、列車の走行に伴って地上部から地下空間に流入する新鮮空気を利用して換気装置の過剰運転を抑制し、効率的な空調を可能にする。
【解決手段】 地下空間内の各地点に風向および風速を検出する風向風速計90を設置し、空調演算制御装置100により、風向風速計90の風向および風速データを収集して地上部40からの空気流入量を演算し、必要な新鮮空気量に対する不足分のみを補うように換気装置の換気量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、コンコース、連絡通路などの地下空間の換気を制御する空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の地下鉄駅の空調技術には、トンネル空間によって各地下鉄駅空間が直列に連通する地下鉄駅の空調を、相互に隣接する地下鉄駅空間における気圧を相対的に調整して行うものがあった。各地下鉄駅を、相対的に正圧の地下鉄駅空間とした正圧駅と、正圧駅に隣接する相対的に負圧の地下鉄駅空間からなる負圧駅とから構成し、正圧駅空間に外部から供給された空気を気圧差によってトンネル空間を介して隣接の負圧の地下鉄駅空間に流入させて外部に排気するようにしていた。これにより正圧駅空間側では主として給気を行い、負圧駅空間側では主として排気を行えば良く、各個々の地下鉄駅の給排気設備を低減できるものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、地下道路トンネルで複雑な換気構造を持つ複雑トンネルにおける換気システムに関する従来の技術では、複雑トンネルをトンネル区間の集合として表現し、トンネル区間の接続関係を用いて風速と圧力とに関する連立常微分方程式で表現できる通気回路網方程式を構築し、構築した空気力学モデルを用いれば、複雑な分岐合流構造を持つトンネルに対してもきわめて一般的な風速分布と圧力分布のシミュレーションが行える(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
さらに、地下道路トンネルにおける換気システムに関する従来の技術では、トンネル内を通行する車両から発生する煤煙や一酸化炭素等の汚染物質の量を車両種別と台数から推定し、空気力学モデルに基づいたシミュレーションにより得られたトンネル各地点の風速分布を用い、移流拡散方程式もとにした汚染モデルを解くことで、トンネル各地点の煤煙やCO等の汚染物質濃度を精度良く推定することができる(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3273076号公報
【非特許文献1】「複雑トンネルにおける換気システム設計のための空気力学モデル」、日本機械学界論文集(B編)68巻675号(2002−11)論文N0.01−1305
【非特許文献2】「A new ventilation method for the Kan-etsu road tunnel」,H. Ohashi, A. Mizuno, I. Nakahon, M. Ueki, 4th International Symposium on the AERODYNAMICS and VENTILATION OF VEHICLE TUNNELS York, U.K. March 23-25, 1982 p.31-47
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際の地下鉄駅においては、地下鉄列車の走行によって誘起される交通換気力により、列車が地下鉄駅から離れる時は、地上部からコンコース空間へ、また、コンコース空間から地下鉄駅空間およびトンネル空間へ多量の空気が流れ込んでおり、逆に列車が地下鉄駅に近づく時は、トンネル空間から地下鉄駅空間へ多量の空気が流れ込み、さらに地下鉄駅空間からコンコース空間へ、さらにコンコース空間から地上部へ空気が流れ出している。言わば、このような列車の走行に伴う呼吸作用によって、コンコース空間や地下鉄駅空間には、地上部から新鮮空気が流れ込んでいる現象が見られる。
従来の地下鉄駅の空調は、上述したように、正圧駅空間を負圧駅空間に対して相対的に常に正圧を保持させて正圧駅空間に外部から供給された空気をトンネル空間を介して負圧駅空間に流入させて外部に排気するものであるため、例えば負圧駅から列車が離れるときでも、負圧駅側では地上部から新鮮空気が流れ込もうとする現象に逆らいトンネル空間から負圧駅空間へ空気を流し外部に排気するものであった。このため、列車の走行に伴う呼吸作用による新鮮空気の流入を無駄にし、給排気の効率が悪いという問題点があった。
また、上記従来の通気回路網方程式による空気力学モデルあるいは汚染モデルを用いる技術は、車道における複雑トンネルに係るものであり、地下鉄における地下空間の換気に適用されるものではなかった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、列車の走行に伴う呼吸作用、即ち、列車が地下鉄駅から離れる時に地上部から地下鉄駅空間に空気が流れ込み、逆に列車が地下鉄駅に近づく時に地下鉄駅空間から地上部へ空気が流れ出す現象による地上部からの新鮮空気の流入を利用し、給排気を行う換気装置の過剰運転を抑制して効率的な空調を可能にする地下空間の空調システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る地下空間の空調システムは、地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在する空間からなる地下空間の空調を、外部からの給気および排気(以下、換気と称す)を行う換気装置を備えて行うシステムである。そして、上記地下空間内の1または複数の所定の地点の風向および風速を検出する手段と、該各地点の風向および風速の検出データに基づいて上記地上部から該地下空間への空気流入量を演算する手段と、該演算された空気流入量に基づいて上記換気装置による換気量を制御する手段とを備えるものである。
【0009】
また、第2の発明に係る地下空間の空調システムは、地下鉄の運行を制御、管理する列車運行管理装置から上記地下鉄駅周辺の列車の位置および速度の情報を入手する手段と、該得られた列車情報に基づいて、該列車の走行によって上記地下空間内の1または複数の所定の地点に誘起される風向および風速を推定演算する手段と、該各地点の風向および風速の推定演算値に基づいて上記地上部から該地下空間への空気流入量を演算する手段と、該演算された空気流入量に基づいて上記換気装置による換気量を制御する手段とを備えたものである。
【0010】
また、第3の発明に係る地下空間の空調システムは、地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在するコンコース、連絡通路などの空間からなる地下空間の空調を、外部からの換気を行う換気装置を備えて行うシステムである。そして、上記地下空間内の1または複数の所定の検出地点の風向および風速を検出する手段と、該地下鉄列車の運行を制御、管理する列車運行管理装置から上記地下鉄駅周辺の列車の位置および速度の情報を入手する手段と、該得られた列車情報に基づいて、該列車の走行によって上記地下空間内の1または複数の所定の地点に誘起される風向および風速を推定演算する手段と、該各地点の風向、風速の推定演算値および上記各検出地点の風向、風速の検出データに基づいて上記地上部から該地下空間への空気流入量を演算する手段と、該演算された空気流入量に基づいて上記換気装置による換気量を制御する手段とを備えるものである。
【0011】
また、第4の発明に係る地下空間の空調システムは、地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在する空間からなる地下空間の空調を、外部からの換気を行う換気装置を備えて行うシステムである。そして、上記地下鉄駅空間内を含む所定の位置にて利用客の混雑度を検出する手段、あるいは該地下鉄駅空間内を含む所定の位置にて二酸化炭素濃度を検出する手段の一方あるいは双方を備え、該検出データに基づいて上記地上部から該地下空間への必要な空気流入量を決定して上記換気装置による換気量を制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によると、地下空間内の各地点の風向および風速の検出データに基づいて地上部から地下空間への空気流入量を演算し、該空気流入量に基づいて換気装置による換気量を制御するため、地上部から流入される新鮮空気を利用して、換気装置の過剰運転が抑制でき効率的な空調制御が実現できる。
【0013】
また、第2の発明によると、列車運行管理装置から列車情報を入手して地下空間内の各地点の風向および風速を推定演算して地上部から地下空間への空気流入量を演算し、該空気流入量に基づいて換気装置による換気量を制御するため、列車走行に伴って地上部から流入する新鮮空気を利用して、換気装置の過剰運転が抑制できると共に、上記新鮮空気の流入量を検出器を設けることなく得ることができ、簡略な装置構成で効率的な空調制御が実現できる。
【0014】
また、第3の発明によると、列車運行管理装置から列車情報を入手して地下空間内の各地点の風向および風速を推定演算し、該演算データと、地下空間内の各地点の風向および風速の検出データとに基づいて地上部から地下空間への空気流入量を演算し、該空気流入量に基づいて換気装置による換気量を制御する。このため、風向、風速の検出器の設置点数を削減でき、少数の検出器で地上部から流入される新鮮空気の量を精度良く演算し、該新鮮空気を利用して換気装置の過剰運転が抑制でき効率的な空調制御が実現できる。
【0015】
また、第4の発明によると、利用客の混雑度を検出する手段、あるいは二酸化炭素濃度を検出する手段の一方あるいは双方を備え、該検出データに基づいて地上部から該地下空間への必要な空気流入量を決定して上記換気装置による換気量を制御する。このため、混雑度や二酸化炭素濃度に応じた効率的な空調制御が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図であり、地下空間とは、地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在するコンコース空間、連絡通路などの空間からなる地下空間とする。
図1に示すように、地下鉄駅のプラットホーム11を取り囲むように地下鉄駅空間としてのプラットホーム空間10が位置する。そしてこのプラットホーム空間10の両側にそれぞれ左右のトンネル空間20、30が接続されている。プラットホーム空間10の上方には、コンコース空間30が位置し、連絡通路50を介してプラットホーム空間10とコンコース空間30が接続されている。コンコース空間30のさらに上方には、地上部40があり、連絡通路51を介してコンコース空間30と地上部40が接続されている。
【0017】
プラットホーム空間10とコンコース空間30とは、二酸化炭素濃度を抑えるように換気されている。この換気を行っているのが、電気室70、71、72の中に設置された送風機80、82、83、85と排風機81、84とから成る換気装置である。送風機82には送気ダクト12が接続され、排風機81には、排気ダクト13が接続されてプラットホーム空間10の換気が行われている。同様に、コンコース空間30は、送風機85に接続された送気ダクト32と排風機84に接続された排気ダクト33を通じて換気が行われている。
また、連絡通路50、51、コンコース空間30、プラットホーム空間10およびトンネル空間20、21内の所定位置に風向および風速を検出する風向風速計90が設置され、空調演算制御装置100は、各地点の風向風速計90の検出信号を収集すると共に、換気装置の各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令を与える。なお、各送風機、排風機80〜85が可変風量の場合は、風量増減指令を与える。
【0018】
次に動作の詳細について説明する。空調演算制御装置100では、連絡通路50、51、コンコース空間30、プラットホーム空間10およびトンネル空間20、21内の所定位置に設置された風向風速計90にて検出された風向および風速データを収集し、該データに基づいて、地上部40からコンコース空間30やプラットホーム空間10に流れ込む新鮮空気の量(以下、空気流入量と称す)を演算する。
ところで、プラットホーム空間10やコンコース空間30の二酸化炭素濃度を基準値以下に保つために必要な新鮮空気量は予め設計風量として設定されている。空調演算制御装置100では、上記設計風量である必要新鮮空気量から上記演算された空気流入量を差し引き、その不足分だけを補うように換気装置の各送風機、排風機80〜85の換気量を求め、各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令あるいは、風量増減指令を与える。
【0019】
この実施の形態では、空調演算制御装置100により、地下空間内の各地点の風向および風速データを収集して地上部40からの空気流入量を演算し、不足分のみを補うように換気装置の換気量を制御するようにしたため、換気装置を不要に運転させることなく、換気設備(装置)における過剰運転の抑制および過剰設備の削減ができ、効率的な空調制御が可能になる。
【0020】
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、コンコース空間30やプラットホーム10に必要な新鮮空気量は設計風量としたが、この実施の形態では、コンコース空間30やプラットホーム空間10に存在する利用客の数、即ち混雑度により必要な新鮮空気量の設定を変える。
図2は、この発明の実施の形態2による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図であり、上記実施の形態1の図1で示したシステムにおけるコンコース空間30およびプラットホーム空間10の所定の位置に利用客の混雑度を検出する混雑度センサ91を設置している。
【0021】
混雑度センサ91では、コンコース空間30やプラットホーム空間10に存在する利用客の数を計測するなどして混雑度を検出し、空調演算制御装置100では、各地点の混雑度を収集し、該混雑度に基づいて必要な新鮮空気量を演算する。なお、予め混雑度のレベルに応じて必要な新鮮空気量を設定したテーブルを保持し、検出された混雑度に応じて必要な新鮮空気量を決定しても良い。
空調演算制御装置100では、上記実施の形態1と同様に、風向風速計90にて検出された風向および風速データも収集しており、該データに基づいて、地上部40からコンコース空間30やプラットホーム空間10への空気流入量を演算する。そして、上記混雑度に応じて決定された必要新鮮空気量から上記演算された空気流入量を差し引き、その不足分だけを補うように換気装置の各送風機、排風機80〜85の換気量を求め、各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令あるいは、風量増減指令を与える。
【0022】
この実施の形態では、コンコース空間30およびプラットホーム空間10における利用客の混雑度を検出して、混雑度に応じて必要新鮮空気量を決定した。実際に利用客が多く混雑している場合の方が多くの新鮮空気量が必要であり、混雑度に応じて得られた必要新鮮空気量に基づいて不足分を補うように換気装置を制御するため、さらに効率的で高精度な空調制御が可能になる。また、混雑度センサ91は、地下空間を監視する監視カメラの画像を処理して混雑度を得るものでも良く、その場合、少数の設置点数で広範囲の混雑度を求めることができ、安価に高精度なシステムを構築することが可能になる。
【0023】
なお、この実施の形態では、上記実施の形態1で示したシステムに混雑度センサ91を設置したものを示したが、風向および風速データを収集して地上部40からの空気流入量を演算するシステムに限らず、混雑度に応じて決定された必要新鮮空気量に基づいて換気装置の各送風機、排風機80〜85の換気量を求め、各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令あるいは、風量増減指令を与えても良く、混雑度に応じた効率的な空調制御が可能になる。
【0024】
また、上記実施の形態において、混雑度に応じて必要新鮮空気量を演算する際、例えば混雑度に基づいて二酸化炭素濃度を演算して該二酸化炭素濃度に応じた必要新鮮空気量を演算する。このため、混雑度センサ91の替わりに二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素測定装置96を設置しても良い。即ち、空調演算制御装置100にて各地点の二酸化炭素濃度を収集して該二酸化炭素濃度に基づいて必要な新鮮空気量を演算して換気装置を制御するため、さらに効率的で高精度な空調制御が可能になる。
【0025】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。上記実施の形態1では、連絡通路50、51、コンコース空間30、プラットホーム空間10およびトンネル空間20、21内の所定位置に風向および風速を検出する風向風速計90を設置したが、この実施の形態では、図3に示すように、風向風速計90の設置点を削減し、例えば、連絡通路50、51のみに設置する。空調演算制御装置110は、各地点の風向風速計90の検出信号を収集すると共に、地下鉄列車の運行を制御、管理する列車運行管理装置120から、地下鉄駅(プラットホーム11)周辺の各地下鉄列車60の位置情報および速度情報を収集し、換気装置の各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令を与える。なお、各送風機、排風機80〜85が可変風量の場合は、風量増減指令を与える。
【0026】
ところで、車道における複雑トンネルにおいて、トンネル内を走行する車両と各種換気機により引き起こされるトンネル内各地点の風速は、従来から、風速に関する連立常微分方程式で表現できる通気回路網方程式を数値演算を利用して求めることができる。
また、上述したように地下鉄駅においては、地下鉄列車の走行によって誘起される交通換気力により、列車が地下鉄駅から離れる時は、地上部からコンコース空間へ、また、コンコース空間から地下鉄駅空間およびトンネル空間へ多量の空気が流れ込んでおり、逆に列車が地下鉄駅に近づく時は、トンネル空間から地下鉄駅空間へ多量の空気が流れ込み、さらに地下鉄駅空間からコンコース空間へ、さらにコンコース空間から地上部へ空気が流れ出している。言わば、このような列車の走行に伴う呼吸作用によって、コンコース空間や地下鉄駅空間には、地上部から新鮮空気が流れ込んでいる現象が見られる。
【0027】
このため、地下鉄における地下空間での地上部40からの新鮮空気の流入、排出は主に、地下鉄列車60の運行に伴う呼吸作用にあることに着目して、この地下空間を構成するコンコース空間30、プラットホーム空間10、連絡通路50、51およびトンネル空間20、21は、車道における複雑トンネルと同様に、一つの連結した通気回路網を形成すると捉えることができる。
この実施の形態では、地下鉄における地下空間が構成する通気回路網を想定し、地下鉄列車60の運行に伴う地下空間内の各地点の風速に関する通気回路網方程式を、地下鉄列車60を車道トンネル内を走行する車両に読み替えて、上記車道における複雑トンネルに関する公知の方法を用い、数値演算する。ここでは、空調演算制御装置110が、列車運行管理装置120から地下鉄駅周辺の各地下鉄列車60の位置情報および速度情報を収集し、該情報に基づいて、コンコース空間30、プラットホーム空間10、連絡通路50、51およびトンネル空間20、21における所定の地点での風向、および風速を、通気回路網方程式を用いた演算により推定演算する。
【0028】
空調演算制御装置110では、同時に、風向風速計90にて検出された風向および風速データを収集し、この検出データと、上記推定演算された各地点の風向および風速データとに基づいて、地上部40からコンコース空間30やプラットホーム空間10に流れ込む新鮮空気の量(空気流入量)を演算する。そして、上記実施の形態1と同様に、空調演算制御装置110では、設計風量である必要新鮮空気量から上記演算された空気流入量を差し引き、その不足分だけを補うように換気装置の各送風機、排風機80〜85の換気量を求め、各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令あるいは、風量増減指令を与える。
【0029】
この実施の形態では、空調演算制御装置110により、地下空間内の各地点の風向および風速データを収集して地上部40からの空気流入量を演算し、不足分のみを補うように換気装置の換気量を制御するようにしたため、換気装置を不要に運転させることなく、換気設備(装置)における過剰運転の抑制および過剰設備の削減ができ、効率的な空調制御が可能になる。
また、地下空間内の各地点の風向および風速データを、列車運行管理装置120からの列車情報に基づいた推定演算により得たため、地下空間の各地点で風向、風速を検出する風向風速計90の設置点数を削減できる。この場合、連絡通路50、51に設置された風向風速計90の設置点数が十分であれば、連絡通路50、51における風向および風速データは推定演算しなくても良い。
【0030】
なお、風向風速器90を設置せずに、地下空間内の各地点の風向および風速データを、列車運行管理装置120からの列車情報に基づいた推定演算により全て求めても良い。
また、列車運行管理装置120からの列車情報に基づいた推定演算では、通気回路網方程式に列車の等価抵抗面積など様々な演算パラメータが用いられるものであるが、例えば連絡通路50、51に設置された風向風速計90の検出データと、この設置地点において、列車情報から推定演算された風向および風速データとを比較し、検出データを用いて上記通気回路網方程式で用いる演算パラメータを調整して推定演算を補正することにより、空調制御の信頼性が向上する。
【0031】
実施の形態4.
図4は、この発明の実施の形態4による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。この実施の形態では、連絡通路50、51、コンコース空間30、プラットホーム空間10およびトンネル空間20、21内の所定位置に風向および風速を検出する風向風速計90を設置しているが、上記実施の形態3と同様に、空調制御装置110では、地下空間内の各地点の風向および風速データを、列車運行管理装置120からの列車情報に基づいた推定演算により行うため、風速風向計90の設置点数は少数とする。また、上記実施の形態2と同様に、コンコース空間30やプラットホーム空間10に存在する利用客の混雑度を検出する混雑度センサ91を設け、利用客の混雑度に応じて必要新鮮空気量を決定する。このため、上記実施の形態3と同様の効果が得られると共に、混雑度に応じて得られた必要新鮮空気量に基づいて不足分を補うように換気装置を制御するため、さらに効率的で高精度な空調制御が可能になる。
【0032】
実施の形態5.
上記の実施の形態1〜4では、送風機80、82、83、85と排風機81、84とから成る換気装置のみを制御して換気を行なっていたが、この実施の形態では、上記換気装置の他に、地上部と地下空間とを連結するダクトを備えてその流路を遮断/流通制御する。
図5は、この発明の実施の形態5による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図であり、上記実施の形態1の図1で示したシステムにおけるコンコース空間30およびプラットホーム空間10を地上部と連通させるダクト87とそのダクト87の流路を遮断あるいは流通させるダクトダンパ88が設置されている。
【0033】
プラットホーム空間10とコンコース空間30とは、二酸化炭素濃度を抑えるように換気されている。この換気を行っているのが、電気室70、71、72の中に設置された送風機80、82、83、85と排風機81、84とから成る換気装置と、ダクトダンパ88を備えたダクト87である。送風機82には送気ダクト12が接続され、排風機81には、排気ダクト13が接続されてプラットホーム空間10の換気が行われている。同様に、コンコース空間30は、送風機85に接続された送気ダクト32と排風機84に接続された排気ダクト33を通じて換気が行われている。さらに、プラットホーム空間10およびコンコース空間30は、ダクト87により地上部と連通し、ダクト87を通じて換気が行われる。
【0034】
連絡通路50、51、コンコース空間30、プラットホーム空間10およびトンネル空間20、21内の所定位置に風向および風速を検出する風向風速計90が設置される。また、地下空間内のダクト87の設置位置から所定の距離範囲内での所定地点に、該地点の圧力(気圧)を検出する圧力計95が設置される。
空調演算制御装置100は、各地点の風向風速計90にて検出された風向および風速データおよび圧力計95にて検出された圧力データを収集する。そして、空調演算制御装置100では、該風向、風速データに基づいて、地上部40からコンコース空間30やプラットホーム空間10に流れ込む新鮮空気の量である空気流入量を演算し、設計風量である必要新鮮空気量から上記演算された空気流入量を差し引き、その不足分だけを補うように換気装置の各送風機、排風機80〜85の換気量を求め、各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令あるいは、風量増減指令を与える。同時に、上記圧力データに基づいて、ダクトダンパ88に対して開/閉指令を与え、ダクト88の流路の開放/遮断を制御する。なお、ダクトダンパ88が任意に開度設定できる場合は、ダクトダンパ88に対して開度指令を与える。
【0035】
この実施の形態では、空調演算制御装置100により、地下空間内の各地点の風向および風速データを収集して地上部40からの空気流入量を演算し、不足分のみを補うように換気装置の換気量を制御するようにした。さらに、地下空間内の所定の地点の圧力を検出したデータを収集し、ダクトダンパ88の開閉制御を行う。このような圧力の検出データの収集により、地上部と地下空間内の所定の地点との気圧差が判断でき、該気圧差を利用しダクト87を介した換気が可能かどうかが判断できる。空調演算制御装置100では、圧力の検出データに基づいて、換気可能と判断される場合は、ダクトダンパ88を開放させ、ダクト87を介した自然換気を行う。
このように、ダクト87を介した自然換気が可能な場合は、ダクトダンパ88を開放させて自然換気させるようにしたため、換気設備(装置)における過剰運転の抑制および過剰設備の削減が一層促進でき、さらに効率的な空調制御が可能になる。
【0036】
なお、この実施の形態においても、上記実施の形態2で示した混雑度センサ91を設け、空調演算制御装置100にて各地点の混雑度を収集して該混雑度に基づいて必要な新鮮空気量を演算しても良い。これにより、混雑度に応じて決定された必要新鮮空気量に基づいて不足分を補うように換気装置を制御し、効率的で高精度な空調制御が可能になる。
【0037】
また、混雑度センサ91の替わりに、図6に示すように、二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素測定装置96を設けても良い。この場合、空調演算制御装置100にて各地点の二酸化炭素濃度を収集して該二酸化炭素濃度に基づいて必要な新鮮空気量を演算する。これにより、二酸化炭素濃度に応じて決定された必要新鮮空気量に基づいて不足分を補うように換気装置を制御し、効率的で高精度な空調制御が可能になる。なお、予め二酸化炭素濃度のレベルに応じて必要な新鮮空気量を設定したテーブルを保持し、検出された二酸化炭素濃度に応じて必要な新鮮空気量を決定しても良い。
さらに、混雑度センサ91と二酸化炭素測定装置96との双方を設けて必要な新鮮空気量を演算させても良い。
【0038】
実施の形態6.
図7は、この発明の実施の形態6による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。上記実施の形態5では、連絡通路50、51、コンコース空間30、プラットホーム空間10およびトンネル空間20、21内の所定位置に風向および風速を検出する風向風速計90と圧力計95とを設置したが、この実施の形態では、図7に示すように、圧力計95は設置せず、風向風速計90については設置点を削減し、例えば、連絡通路50、51のみに設置する。空調演算制御装置110aは、各地点の風向風速計90の検出信号を収集すると共に、地下鉄列車の運行を制御、管理する列車運行管理装置120から、地下鉄駅(プラットホーム11)周辺の各地下鉄列車60の位置情報および速度情報を収集し、換気装置の各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令を与えると共に、ダクトダンパ88に対して開/閉指令を与える。
なお、各送風機、排風機80〜85が可変風量の場合は、風量増減指令を与え、ダクトダンパ88が任意に開度設定できる場合は、開度指令を与える。
【0039】
上述したように、車道における複雑トンネルにおいて、トンネル内を走行する車両と各種換気機により引き起こされるトンネル内各地点の風速および圧力の分布は、従来から、風速と圧力とに関する連立常微分方程式で表現できる通気回路網方程式を数値演算を利用して求めることができる。
また、地下鉄駅においては、地下鉄列車の走行によって誘起される交通換気力により、コンコース空間や地下鉄駅空間には、地上部から新鮮空気が流れ込んでいる。
このため、地下鉄における地下空間での地上部40からの新鮮空気の流入、排出は主に、地下鉄列車60の運行に伴う呼吸作用にあることに着目して、この地下空間を構成するコンコース空間30、プラットホーム空間10、連絡通路50、51およびトンネル空間20、21は、車道における複雑トンネルと同様に、一つの連結した通気回路網を形成すると捉えることができる。
【0040】
この実施の形態では、地下鉄における地下空間が構成する通気回路網を想定し、地下鉄列車60の運行に伴う地下空間内の各地点の風速と圧力とに関する通気回路網方程式を、地下鉄列車60を車道トンネル内を走行する車両に読み替えて、上記車道における複雑トンネルに関する公知の方法を用い、数値演算する。ここでは、空調演算制御装置110aが、列車運行管理装置120から地下鉄駅周辺の各地下鉄列車60の位置情報および速度情報を収集し、該情報に基づいて、コンコース空間30、プラットホーム空間10、連絡通路50、51およびトンネル空間20、21における所定の地点での風向、風速、および圧力を、通気回路網方程式を用いた演算により推定演算する。
【0041】
空調演算制御装置110aでは、同時に、風向風速計90にて検出された風向および風速データを収集し、この検出データと、上記推定演算された各地点の風向および風速データとに基づいて、地上部40からコンコース空間30やプラットホーム空間10に流れ込む新鮮空気の量(空気流入量)を演算する。そして、設計風量である必要新鮮空気量から上記演算された空気流入量を差し引き、その不足分だけを補うように換気装置の各送風機、排風機80〜85の換気量を求め、各送風機、排風機80〜85に対して運転/停止指令あるいは、風量増減指令を与える。同時に、空調演算制御装置110aでは、上記推定演算された各地点の圧力データに基づいて、ダクトダンパ88に対して開/閉指令、あるいは開度指令を与え、ダクト88の流路の開放/遮断を制御する。
【0042】
この実施の形態では、空調演算制御装置100aにより、地下空間内の各地点の風向および風速データを演算および検出により収集して地上部40からの空気流入量を演算し、不足分のみを補うように換気装置の換気量を制御するようにした。さらに、地下空間内の所定の地点の圧力データを演算して収集し、ダクトダンパ88の開閉制御を行う。このような圧力データの収集により、地上部と地下空間内の所定の地点との気圧差が判断でき、該気圧差を利用しダクト87を介した換気が可能かどうかが判断できる。空調演算制御装置100aでは、圧力データに基づいて、換気可能と判断される場合は、ダクトダンパ88を開放させ、ダクト87を介した自然換気を行う。
このように、ダクト87を介した自然換気が可能な場合は、ダクトダンパ88を開放させて自然換気させるようにしたため、換気設備(装置)における過剰運転の抑制および過剰設備の削減が一層促進できる。
【0043】
また、地下空間内の各地点の風向、風速および圧力データを、列車運行管理装置120からの列車情報に基づいた推定演算により得たため、地下空間の各地点で風向、風速を検出する風向風速計90や圧力計95の設置点数を削減できる。
なお、この場合、圧力計95の設置点数は0としたが、少数の圧力計95を設置して、圧力の検出データと列車情報に基づいて推定演算された圧力データとの双方を収集してダクトダンパ88の開閉制御を行うようにしても良い。
また、連絡通路50、51に設置された風向風速計90の設置点数が十分であれば、連絡通路50、51における風向および風速データは推定演算しなくても良い。
また、風向風速器90を設置せずに、地下空間内の各地点の風向および風速データを、列車運行管理装置120からの列車情報に基づいた推定演算により全て求めても良い。
【0044】
なお、この実施の形態においても、上記実施の形態5と同様に、二酸化炭素測定装置96あるいは混雑度センサ91を設け、空調演算制御装置100aにて各地点の混雑度あるいは二酸化炭素濃度を収集して必要な新鮮空気量を演算しても良い。これにより、二酸化炭素濃度あるいは混雑度に応じて決定された必要新鮮空気量に基づいて不足分を補うように換気装置を制御し、効率的で高精度な空調制御が可能になる。二酸化炭素測定装置96を設けた場合を図8に、混雑度センサ91を設けた場合を図9に示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施の形態1による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】この発明の実施の形態2による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図3】この発明の実施の形態3による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図4】この発明の実施の形態4による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図5】この発明の実施の形態5による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図6】この発明の実施の形態5の別例による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図7】この発明の実施の形態6による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図8】この発明の実施の形態6の別例による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図9】この発明の実施の形態6の別例による地下空間の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10 地下鉄駅空間としてのプラットホーム空間、20,21 トンネル空間、
30 コンコース空間、40 地上部、50,51 連絡通路、60 列車、
80,82,83,85 換気装置としての送風機、
81,84 換気装置としての排風機、87 ダクト、88 ダクトダンパ、
90 風向風速計、91 混雑度センサ、95 圧力計、96 二酸化炭素測定装置、
100,110,110a 空調演算制御装置、120 列車運行管理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在する空間からなる地下空間の空調を、外部からの給気および排気(以下、換気と称す)を行う換気装置を備えて行う地下空間の空調システムにおいて、上記地下空間内の1または複数の所定の地点の風向および風速を検出する手段と、該各地点の風向および風速の検出データに基づいて上記地上部から該地下空間への空気流入量を演算する手段と、該演算された空気流入量に基づいて上記換気装置による換気量を制御する手段とを備えたことを特徴とする地下空間の空調システム。
【請求項2】
地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在する空間からなる地下空間の空調を、外部からの給気および排気(以下、換気と称す)を行う換気装置を備えて行う地下空間の空調システムにおいて、該地下鉄列車の運行を制御、管理する列車運行管理装置から上記地下鉄駅周辺の列車の位置および速度の情報を入手する手段と、該得られた列車情報に基づいて、該列車の走行によって上記地下空間内の1または複数の所定の地点に誘起される風向および風速を推定演算する手段と、該各地点の風向および風速の推定演算値に基づいて上記地上部から該地下空間への空気流入量を演算する手段と、該演算された空気流入量に基づいて上記換気装置による換気量を制御する手段とを備えたことを特徴とする地下空間の空調システム。
【請求項3】
地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在するコンコース、連絡通路などの空間からなる地下空間の空調を、外部からの給気および排気(以下、換気と称す)を行う換気装置を備えて行う地下空間の空調システムにおいて、上記地下空間内の1または複数の所定の検出地点の風向および風速を検出する手段と、該地下鉄列車の運行を制御、管理する列車運行管理装置から上記地下鉄駅周辺の列車の位置および速度の情報を入手する手段と、該得られた列車情報に基づいて、該列車の走行によって上記地下空間内の1または複数の所定の地点に誘起される風向および風速を推定演算する手段と、該各地点の風向、風速の推定演算値および上記各検出地点の風向、風速の検出データに基づいて上記地上部から該地下空間への空気流入量を演算する手段と、該演算された空気流入量に基づいて上記換気装置による換気量を制御する手段とを備えたことを特徴とする地下空間の空調システム。
【請求項4】
風向および風速を検出する上記所定の検出地点と風向および風速を推定演算する上記所定の地点とは、異なる位置の地点であることを特徴とする請求項3記載の地下空間の空調システム。
【請求項5】
風向および風速を検出する上記所定の検出地点と風向および風速を推定演算する上記所定の地点とを同じ地点とし、上記検出データに基づいて、上記推定演算を補正する手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の地下空間の空調システム。
【請求項6】
上記風向および風速を推定演算する手段は、上記得られた列車情報に基づいて、上記地下空間が構成する通気回路網を想定し、該通気回路網を演算するものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の地下空間の空調システム。
【請求項7】
上記地上部と地下空間とを連結するダクトおよびその流路を遮断/開放するダンパと、上記地下空間の所定の地点の圧力を検出する手段と、該各地点の圧力の検出データに基づいて上記ダンパを開閉制御する手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の地下空間空調システム。
【請求項8】
上記風向および風速を推定演算する手段は、上記通気回路網の演算により上記地下空間内の所定の地点に誘起される風向、風速と共に圧力を推定演算し、
上記地上部と地下空間とを連結するダクトおよびその流路を遮断/開放するダンパと、上記推定演算された圧力のデータに基づいて上記ダンパを開閉制御する手段とを備えたことを特徴とする請求項6記載の地下空間空調システム。
【請求項9】
上記地下空間の所定の地点の圧力を検出する手段を備え、上記ダンパの開閉制御する手段は、上記推定演算された圧力のデータと共に上記圧力の検出データに基づいて上記ダンパの開閉制御を行うことを特徴とする請求項8記載の地下空間空調システム。
【請求項10】
上記地下鉄駅空間内を含む所定の位置に利用客の混雑度を検出する手段と、該混雑度に応じて上記地上部から該地下空間への必要な空気流入量を決定する手段とを備え、上記換気装置による換気量を制御する手段は、上記演算された空気流入量と共に上記必要な空気流入量に基づいて換気量を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の地下空間の空調システム。
【請求項11】
上記地下鉄駅空間内を含む所定の位置に二酸化炭素濃度を検出する手段と、該二酸化炭素濃度に応じて上記地上部から該地下空間への必要な空気流入量を決定する手段とを備え、上記換気装置による換気量を制御する手段は、上記演算された空気流入量と共に上記必要な空気流入量に基づいて換気量を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の地下空間の空調システム。
【請求項12】
地下鉄トンネル空間、地下鉄駅空間、および地下鉄駅と地上部との間に在する空間からなる地下空間の空調を、外部からの給気および排気(以下、換気と称す)を行う換気装置を備えて行う地下空間の空調システムにおいて、上記地下鉄駅空間内を含む所定の位置にて利用客の混雑度を検出する手段、あるいは該地下鉄駅空間内を含む所定の位置にて二酸化炭素濃度を検出する手段の一方あるいは双方を備え、該検出データに基づいて上記地上部から該地下空間への必要な空気流入量を決定して上記換気装置による換気量を制御することを特徴とする地下空間の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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