説明

地下道路アクセスシステム

【課題】地上道路と地下道路との間のアクセスを円滑に行うことができるようにすること。
【解決手段】地下道路アクセスシステム1は、地上道路Xと地下道路Yとをつなぐ2つの竪坑11,12と、大深度地下部B側で竪坑11,12同士をつなぐ横坑13とを備える。竪坑11,12、横坑13および屋根部14の下側空間には、矩形周状に形成された2本のガイドレール32を上下、左右の方向にずらし、2つの箇所S,Tで互いに交差する一対のレール部材30と、一対のレール部材30により両側面が支持され、一対のレール部材30に沿って周状に移動する複数の搬送キャビン24と、搬送キャビン24を移動させる駆動部26とを備えている。駆動部26により搬送キャビン24が周回するため、搬送キャビン24は、第1の竪坑11では車両Mを地下側から地上側へ搬送し、第2の竪坑12では車両Mを地上側から地下側へ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上道路と地下道路との間のアクセスを円滑に行うことができる地下道路アクセスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大都市の道路地下には、鉄道や、電気、ガス、通信、上下水道等のトンネルや管路が多数埋設されている。このため、新たに建設される地下鉄等では、既に建設された管路を避けて建設しなければならず、年々その深度を大きくする必要がある。また、約40m以深の大深度地下は通常利用されないため、この部分を有効活用することが望まれている。このため、平成13年には、一定の場合を除き、土地所有者への補償を行うことなく、大深度地下の使用権を設定できる法律(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)が施行され、大深度地下部に経済的に管路が建設できるようになっている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】“ようこそ大深度地下利用ホームページへ!”、[online]、国土交通省、[平成16年8月16日検索]、インターネット<URL :http://www.mlit.go.jp/crd/daisindo/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような法律が施行されたことにより、例えば、大深度地下部に道路を建設して、地上の渋滞を緩和しようとしても、地上部と大深度地下部との距離が大きすぎるため、その建設は現実的ではない。例えば、地上部と大深度地下部との間に直線状の傾斜路を形成する場合には、傾斜勾配が最大でも約5%以下となるようにしなければならない。このため、直線状の傾斜路を少なくとも800m程度確保する必要があり、結局、用地使用のための補償金が莫大になってしまう。また、螺旋状の傾斜路を形成することも考えられるが、この場合には、車両の運転手に過大な負担が掛かり、安全上の問題がある。いずれにしても、大深度地下部に管路を形成して、この管路に車両等を運行させたとしても、地上部とのアクセスの円滑化を図ることができない。
【0004】
本発明の目的は、地上道路と地下道路との間のアクセスを円滑に行うことができる地下道路アクセスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、地上道路と地下道路との間で車両のアクセスを行うための地下道路アクセスシステムであって、前記地上道路と前記地下道路とをつなぐ、第1及び第2の竪坑を含む少なくとも2つの竪坑と、前記竪坑への前記地上側の出入口と前記地上道路とを接続する地上側アプローチ部と、前記竪坑への前記地下側の出入口と前記地下道路とを接続する地下側アプローチ部と、前記竪坑内に設けられ、車両が搭載される搬送部と、前記搬送部を、前記第1の竪坑では車両を前記地下側の出入口から前記地上側の出入口へ向けて搬送するように駆動し、前記第2の竪坑では車両を前記地上側の出入口から前記地下側の出入口へ向けて搬送するように駆動する駆動部と、を備えることを特徴とする。なお、地上道路と地下道路との間で車両のアクセスとは、例えば、地上道路から地下道路へと車両が進入するように、地上道路と地下道路との間で車両が移動することを言う。
【0006】
本発明によれば、地下道路と地下道路とをつなぐ竪坑を少なくとも2つ設け、第1の竪坑では、駆動部が搬送部を地下側の出入口から地下側の出入口へ向かう方向にのみ移動させ、また、第2の竪坑では、駆動部が搬送部を地上側の出入口から地下側の出入口へ向かう方向にのみ移動させる構成としたので、例えば、1つの竪坑内で、搬送部を地上道路と地下道路との間で双方向に移動させる場合に比べて、アプローチ部で待機する車両を減少させることができ、地上道路と地下道路との間の車両のアクセスを円滑に行うことができる。また、例えば、地下道路を大深度地下部に設けることにより、地下道路を設ける用地使用に必要な補償金を大きく減らすことができる。
【0007】
このような地下道路アクセスシステムにおいて、前記地下道路近傍の高さ位置には、前記少なくとも2つの竪坑同士をつなぐ横坑が形成され、前記搬送部は、2つの竪坑、前記横坑、および前記道路の上方空間の間を周回するように環状に形成されたレール部と、このレール部に沿って移動する搬送キャビンとを備えていてもよい。
【0008】
前記地下道路アクセスシステムにおいて、前記搬送キャビン内に存在するか否かを検出する搬出物検出センサと、前記搬出物検出センサによって前記搬送キャビン内に前記車両が存在しないと検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の地上側の出入口および前記第2の竪坑の地下側の出入口の位置で停止させず、前記搬出物検出センサによって前記搬送キャビン内に前記車両が存在すると検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の前記地上側の出入口および前記第2の竪坑の地下側の出入口の位置で停止させるように前記駆動部を制御する制御部と、を備えてもよい。
【0009】
また、前記地下道路アクセスシステムにおいて、前記第1の竪坑の前記地下側の出入口および前記第2の竪坑の地上側の出入口から前記搬送キャビン内へと搬入する前記車両が存在するか否かを検出する搬入物検出センサと、前記搬入物検出センサによって前記車両が存在しないと検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の前記地下側の出入口および前記第2の竪坑の地上側の出入口の位置で停止させず、前記搬入物検出センサによって前記被搬送物が存在すると検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の前記地下側の出入口および前記第2の竪坑の地上側の出入口の位置で停止させるように前記駆動部を制御する制御部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の地下道路アクセスシステムによれば、地上道路と地下道路との間のアクセスを円滑に行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る地下道路アクセスシステムについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る地下道路アクセスシステム1を模式的に示す斜視図である。図2は、地下道路アクセスシステム1を模式的に示す縦断面図である。図3は、図2のIII−III断面図である。図1〜図3に示すように、地下道路アクセスシステム1は、地上部Aに設けられた地上道路Xと、地下約40m以深の大深度地下部Bにトンネル状に形成された地下道路Yとを接続するように設けられている。
【0012】
図2に示すように、地下道路アクセスシステム1は、地上道路Xと地下道路Yとの間のアクセスを可能とするものであり、地盤に形成された掘削坑10と、掘削坑10に設けられた搬送機構20とを備えている。掘削坑10は、地上部Aと大深度地下部Bとの間をつなぐ2つの竪坑11,12と、大深度地下部B側で竪坑11,12同士をつなぐ横坑13とを備えている。なお、竪坑11が請求項の第1の竪坑に対応し、竪坑12が請求項の第2の竪坑に対応している。
【0013】
竪坑11,12は、地上道路Xや地下道路Yの延びる方向と同方向に離間した状態で形成されている。図2に示すように、大深度地下部Bの高さ位置において、図中右側の竪坑11には、地下道路Yとつながる地下入口11Aが形成され、図中左側の竪坑12には、地下道路Yとつながる地下出口12Bが形成されている。
また、竪坑11,12は、地上道路X上にそれぞれ開口部11X,12Xが形成されている。地上道路Xには、これらの開口部11X,12X間を覆うような屋根部14が取り付けられている。屋根部14内には、後述する搬送キャビン24が移動するための移動空間が設けられている。
図3に示すように、地上道路Xでは、竪坑11の左側が地上出口11Bとなり、竪坑12の右側が地上入口12Aとなっている。横坑13は、地下入口11Aや地下出口12Bよりも下側の位置に形成され、後述する搬送キャビン24が移動する移動空間として機能する。
【0014】
図3に示すように、地上道路Xには、車両Mが地上入口12Aへスムーズに進入するための地上側アプローチ部X1と、地上出口11Bからスムーズに地上道路Xに入るための地上側アプローチ部X2とが形成されている。また、図示を省略するが、地下道路Yには、車両Mが地下入口11Aへスムーズに進入するための地下側アプローチ部と、地下出口12Bからスムーズに地下道路Yに入るための地下側アプローチ部とが形成されている。
【0015】
図2に示すように、搬送機構20は、掘削坑10および屋根部14の下側の空間に設置されるレール部22と、レール部22に沿って移動可能な複数の搬送キャビン24と、搬送キャビン24を移動させる後述する駆動部26(図4)とを備えている。レール部22は、矩形周状に形成された2本のガイドレール32を上下方向および左右方向にずらし、2つの箇所S,Tで互いに交差するように形成された一対のレール部材30により構成されている。これらのレール部材30は、図2中の紙面手前側と奥側とにそれぞれ配置され、搬送キャビン24の両側部を支持している。なお、レール部22と搬送キャビン24とが、請求項の搬送部に対応している。
【0016】
図4は、車両Mが積載された搬送キャビン24を拡大して示す正面図であり、図5は、その側面図、図6は、その平面図である。図5,図6に示すように、ガイドレール32の外周側には、ピンラック32Aが設けられている。また、図6に示すように、搬送キャビン24は直方体状に形成されており、車両入口となる図6中の右側には第1扉24Rが、車両出口となる図6中の左側には第2扉24Lが取り付けられている。これらの扉24L,24Rを開閉することにより、搬送キャビン24に対して車両Mが出入りできる。車両入口に対応する第1扉24Rには、車両Mが搬送キャビン24内に収容されたか否かを検出する第1確認センサ25Rが取り付けられている。また、車両出口に対応する第2扉24Lには、車両Mが搬送キャビン24から出たか否かを検出する第2確認センサ25Lが取り付けられている。センサ25R,25Lにより、車両Mが扉に挟まるのを防止できる。
【0017】
また、搬送機構20は、搬出する車両Mが搬送キャビン24内に存在するか否かを検出する搬出物検出センサ27と、搬送キャビン24内に搬入する車両Mが存在するか否かを検出する搬入物検出センサ28とを備えている。なお、これらのセンサ27,28の機能については後述する。
【0018】
図5に示すように、各搬送キャビン24には、搬送キャビン24同士の衝突を防止するための衝突防止センサ24Aが取り付けられている。衝突防止センサ24Aは、例えば、隣接する搬送キャビン24間の距離を光学式等により測定するものであり、その結果を後述するサーボモータ40に送信することにより、搬送キャビン24同士が衝突しないようになっている。
【0019】
また、図4〜図6に示すように、各搬送キャビン24の前側下部(図5中左下部)、および、後側上部(図5中右上部)の左右両側には、それぞれ駆動部26が設けられている。
【0020】
図4に示すように、各駆動部26は、駆動部本体34と、駆動部本体34を回動自在に支持する軸部材36とを備えている。図5に示すように、駆動部本体34は、ピンラック32Aに噛み合うピニオン38と、ピニオン38が取り付けられたサーボモータ40とを備えている。本実施形態において、駆動部本体34は、2つのピニオン38と、2つのサーボモータ40とを備えている。各サーボモータ40は、回転軸42Aを回転させるサーボモータ本体42と、入力された信号に基づいて、回転軸42Aの回転角度(速度)を制御する制御部44とを備えている。
【0021】
このような駆動部26によれば、サーボモータ40が駆動して、ピンラック32Aに噛合するピニオン38が所定の回転動作を行うと、搬送キャビン24は、速度が制御された状態でガイドレール32に沿って移動する。また、駆動部本体34は、軸部材36によって回動自在に支持されているため、その姿勢を適宜変化させることにより、矩形周状に形成されたガイドレール32に沿って確実に追従移動できる。
【0022】
本実施形態のサーボモータ40において、制御部44は、搬送キャビン24に取り付けられたセンサ(図示略)により、各入口11A,12A、各出口11B,12Bの位置で回転軸42Aの回転を停止し、それ以外の場所では回転軸42Aを回転するように制御している。つまり、出入口11A,11B,12A,12Bでは搬送キャビン24が停止し、それ以外の場所では搬送キャビン24が移動するように、矩形周状に形成されたガイドレール32に沿って間欠的な移動を繰り返している。
【0023】
ただし、制御部44は、図6に示す搬出物検出センサ27によって搬送キャビン24内に車両Mが存在しないと検出された場合には、当該搬送キャビン24を出口11B,12Bの位置で停止させず、搬出物検出センサ27によって搬送キャビン24内に車両Mが存在すると検出された場合にのみ、当該搬送キャビン24を前記出口11B,12Bの位置で停止させるようにサーボモータ本体42の駆動を制御している。
【0024】
また、制御部44は、図6に示す搬入物検出センサ28によって入口11A,12Aに車両Mが存在しないと検出された場合には、当該搬送キャビン24を入口11A,12Aの位置で停止させず、搬入物検出センサ28によって入口11A,12Aに車両Mが存在すると検出された場合にのみ、当該搬送キャビン24を入口11A,12Aにで停止させるようにサーボモータ本体42を制御している。
【0025】
これらの搬出物検出センサ27や搬入物検出センサ28によって、サーボモータ本体42の駆動を制御することにより、搬送キャビン24が出て行く車両Mがないのに出口1B,12Bで停止したり、搬送キャビン24へ入ってくる車両Mがないのに入口11A,12Aで停止するといった、搬送キャビン24の無駄な停止動作を防止して、搬送キャビン24を効率的に搬送させることができる。
【0026】
図7は、レール部材30を構成する2つのガイドレール32の交差部分Sを拡大して示す図であり、(a)はレールが横方向に接続された状態を示し、(b)はレールが縦方向に接続された状態を示している。図7に示すように、レール部22は、2つのガイドレール32の交差部分Sに設けられたレール切替装置50を備えている。レール切替装置50は、半球状に形成されたテーブル部52と、テーブル部52の上面に設けられたレール54と、図7(a),(b)に示すようにテーブル部52の向きを約90°回転させる回転部56と、回転部56の駆動、すなわちレール54の切り替え動作のタイミングを制御する回転部制御装置58とを備えている。
【0027】
ここで、図2中の左上側の交差部分Sの箇所を搬送キャビン24が通過する場合を例としてレール切替装置50の動作を説明する。図2に示すように、搬送キャビン24がガイドレール32に沿って図2中の左方向へ水平に移動してくると、まず最初に、搬送キャビン24の前方側(図5中の左下側)の駆動部26がガイドレール32の交差部分Sを通過する。この場合には、テーブル部52は、初期位置である図7(a)の状態となっている。このため、前方側の駆動部26は、ガイドレール32の交差部分Sを水平に通過する。その後、回転部制御装置58が動作して、テーブル部52が90°向きを変えるように回転し、図7(b)に示す状態に切り替えられる。これにより、搬送キャビン24の後部側(図5中の右上側)の駆動部26は、ガイドレール32の交差部分Sを上下方向に通過する。搬送キャビン24の後部側の駆動部26が交差部分Sを通過すると、回転部制御装置58が動作して、図7(a)に示す初期状態に戻る。なお、このような動作は、図2中の右下側の交差部分Tや、紙面の都合上図示していない紙面奥側に配置されたガイドレール32の2つの交差部分についても同様に動作する。
【0028】
以上のような地下道路アクセスシステム1において、車両Mが地下道路Yから地上道路Xへアクセスする場合と、車両Mが地上道路Xから地下道路Yへアクセスする場合とについて説明する。図2に示すように、地下入口11Aに車両Mが待機すると、搬入物検出センサ28により、循環して移動している搬送キャビン24が地下入口11Aのところで停止する。なお、地下入口11Aに車両Mが待機していない場合には、搬入物検出センサ28により搬送キャビン24が地下入口11Aを通過する。
【0029】
搬送キャビン24が地下入口11Aのところで停止すると、搬送キャビン24に取り付けられた第1確認センサ25Rが作動して第1扉24Rが開放され、搬送キャビン24内に車両Mが進入できるようになる。車両Mが搬送キャビン24内に収容されると第1確認センサ25Rが作動して第1扉24Rが閉止され、サーボモータ40が駆動し、ピンラック32Aとピニオン38との噛み合いにより、搬送キャビン24がガイドレール32に沿って竪坑11内を上方へ移動する。
【0030】
搬送キャビン24が地上出口11Bの近傍に来ると、搬出物検出センサ27によって搬送キャビン24内に車両Mが存在すると検出されるため、搬送キャビン24は地上出口11Bで停止する。なお、搬送キャビン24内に車両Mが存在しない場合には、搬出物検出センサ27により、搬送キャビン24が地上出口11Bを通過する。地上出口11Bで搬送キャビン24が停止すると、第2確認センサ25Lが作動して出口側の第2扉24Lが開放され、車両Mは搬送キャビン24から退出できる。車両Mが搬送キャビン24から退出すると、第2確認センサ25Lが作動して出口側の第2扉24Lが閉止され、空となった搬送キャビン24は、屋根部14の下側の移動空間を通り図2中の左側へ移動する。
【0031】
図2の左側へ移動してきた搬送キャビン24は、前述したように、前方側の駆動部26がガイドレール32の交差部分Sを水平に通過した後、レール切替装置50のテーブル部52が90°回転して、後部側の駆動部26がガイドレール32の交差部分Sを上から下へと通過する。その後、搬送キャビン24は、搬入物検出センサ28が作動して地上入口12Aのところで停止し、第1確認センサ25Rが作動して入口側の第1扉24Rが開放される。地上道路Xを走行してきた車両Mは、地上入口12Aから搬送キャビン24内に進入し、車両入口側の第1扉24Rが閉じた後、搬送キャビン24は、竪坑12内を下方へと移動する。搬出物検出センサ27が作動して搬送キャビン24が地下出口12Bのところで停止すると、第2確認センサ25Lが作動して車両出口側の第2扉24Lが開放され、車両Mは搬送キャビン24から退出できる。車両Mが搬送キャビン24から退出し、出口側の第2扉24Lが閉じた後、空の搬送キャビン24は、横坑13を通って図2中の右側へ移動する。
【0032】
以上のように、搬送キャビン24は、出入口11A,11B,12A,12Bで停止、発進を行いながら、竪坑11では上方向に移動し、竪坑12では下方向に移動して、ガイドレール32に沿って周状に循環走行する。
【0033】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)竪坑11において搬送キャビン24を上方へのみ移動させて、地下道路Yから地上道路Xへのアクセスのみを可能とし、また、竪坑12において搬送キャビン24を下方へのみ移動させて、地上道路Xから地下道路Yへのアクセスのみを可能としたので、1つの竪坑で搬送キャビン24を上下に移動させる場合に比べて、大深度地下部に形成された地下道路Yと、地上部に形成された地上道路Xとの間のアクセスを円滑に行うことができる。つまり、地上道路Xと地下道路Yとの間で車両Mを効率良く搬送できる。
【0034】
(2)地下道路Yを市街地等に設ける場合であっても、地下道路アクセスシステム1により、地下道路Yを大深度地下に設けることが可能となるので、地下道路Yを設ける用地の使用に必要な補償金を大きく減らすことができる。
【0035】
(3)搬送キャビン24に衝突防止センサ24Aを取り付けたので、搬送キャビン24同士の衝突を起こすことなく、各搬送キャビン24の間欠的な駆動を確実に行わせることができる。このため、できるだけ効率よく搬送キャビン24を配置することができ、車両Mの搬送効率を向上できる。
【0036】
(4)搬出物検出センサ27および搬入物検出センサ28によって、搬入出する車両Mの有無により、搬送キャビン24を適宜、停止や通過させるようにしたので、より一層効率的に車両Mを搬送することができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る地下道路アクセスシステムについて説明する。図8は、地下道路アクセスシステム2を模式的に示す斜視図である。図9は、地下道路アクセスシステム2を模式的に示す縦断面図である。図10は、図9のX−X断面図である。図11は、図9のXI−XI断面図である。本実施形態の地下道路アクセスシステム2は、地上道路Xや地下道路Yに対する2つの竪坑11,12の相対位置が、前記第1実施形態と相違している。以下、この相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成品には同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0038】
図8に示すように、地下道路アクセスシステム2は、地上部Aに設けられた地上道路Xと、大深度地下部Bにトンネル状に形成された地下道路Yとを接続するように設けられている。地下道路アクセスシステム2が設けられる竪坑11,12は、地上道路Xや地下道路Yの幅方向に、離間した状態でそれぞれ形成されている。
【0039】
図10に示すように、地下道路アクセスシステム2においても、前記第1実施形態の場合と同様に、搬送キャビン24は、地下入口11Aのところで停止して車両Mを収容した後、サーボモータ(図示略)の駆動により、搬送キャビン24がガイドレール32に沿って竪坑11内を上方へ移動する。この搬送キャビン24は、地上出口11Bのところで停止し、車両Mは搬送キャビン24から退出できる。車両Mが退出した後の空の搬送キャビン24は、屋根部14の下側の移動空間を通って図10の左側へ移動する。
【0040】
左側へ移動した搬送キャビン24は、前述したように、前方側の駆動部(図示略)がガイドレール32の交差部分Sを水平に通過した後、前記テーブル部が90°回転して、後部側の駆動部がガイドレール32の交差部分Sを上下方向に通過する。その後、搬送キャビン24は、地上入口12Aのところで停止して、地上道路Xからの車両Mを収容した後、搬送キャビン24が竪坑12内を下方へ移動する。この搬送キャビン24は、地下出口12Bのところで停止し、車両Mは搬送キャビン24から退出できる。車両Mが退出した空の搬送キャビン24は、横坑13を通って図10中の右側へ移動する。
【0041】
以上のように、搬送キャビン24は、出入口11A,11B,12A,12Bでは停止、発進を行いながら、竪坑11では上方向に移動し、竪坑12では下方向に移動して、ガイドレール32に沿って循環走行している。本実施形態においても、前記第1実施形態の(1)〜(4)と略同様の効果を奏することができる。
【0042】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されない。例えば、前記地下道路アクセスシステム1,2は、一般道と高速道とを接続するインターチェンジや、高速道同士を接続するジャンクション、一般道同士を接続する通常の交差点等に設けることができる。前記各実施形態では、4本のガイドレール32を用いて搬送キャビン24を支持したが、少なくとも搬送キャビン24のいずれかの側を支持する2本のガイドレール32を備えていれば、そのガイドレール32の設置本数は特に限定されない。
【0043】
前記各実施形態において、竪坑11,12をつなぐ横坑13を形成して、横坑13に搬送キャビン24を通過させて、搬送キャビン24が循環走行することにより、竪坑11では地下側から地上側へと搬送キャビン24を移動させるとともに、竪坑12では地上側から地下側へと搬送キャビン24を移動させたが、例えば、横坑13を形成せずに、各竪坑11,12内で搬送キャビン24を循環させ、例えば、竪坑11では地下側から地上側へ向かう搬送キャビン24のみを使用可能とし、竪坑12では、竪坑11とは逆に、地上側から地下側へ向かう搬送キャビン24のみを使用可能とすることにより、本発明を実現してもよい。
【0044】
また、例えば、地上道路Xや地下道路Yの邪魔にならない位置に、竪坑11,12につながる予備坑を形成し、この予備坑に、矩形周状に形成されたガイドレール32につながるレールを敷いて、このレールが形成された予備坑を搬送キャビン24の車庫として利用できるようにしてもよい。この場合には、状況に応じて、搬送キャビン24の駆動数を増減させることができるため、車両Mのアクセス性をより一層向上できる。
【0045】
前記各実施形態では、搬送キャビン24を上方向に移動させるための竪坑11と、搬送キャビン24を下方向に移動させるための竪坑12との2つの竪坑を用いたが、これに限らず、例えば、必要に応じて竪坑の数を3以上としてもよい。このように竪坑の数を3つ以上とした場合には、追加した竪坑については、例えば、地下道路アクセスシステム1,2に進入してくる交通量に応じて、搬送キャビン24を移動させる方向を、上方向または下方向を選択して、車両Mの搬送量の最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る地下道路アクセスシステムを模式的に示す斜視図である。
【図2】前記地下道路アクセスシステムを模式的に示す縦断面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】車両が積載された搬送キャビンを拡大して示す正面図である。
【図5】車両が積載された搬送キャビンを拡大して示す側面図である。
【図6】車両が積載された搬送キャビンを拡大して示す平面図である。
【図7】2つのガイドレールの交差部分を拡大して示す図であり、(a)はレールが横方向に接続された状態を示し、(b)はレールが縦方向に接続された状態を示している。
【図8】第2実施形態に係る地下道路アクセスシステムを模式的に示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る地下道路アクセスシステム2を模式的に示す縦断面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】図9のXI−XI断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1,2 地下道路アクセスシステム 10 掘削坑
11 竪坑(第1の竪坑) 12 竪坑(第2の竪坑)
11A 地下入口 11B 地上出口
11X,12X 開口部
12A 地上入口 12B 地下出口
13 横坑 14 屋根部
20 搬送機構 22 レール部
24 搬送キャビン 24A 衝突防止センサ
24L 第2扉 24R 第1扉
25L 第2確認センサ 25R 第1確認センサ
26 駆動部 27 搬出物検出センサ
28 搬入物検出センサ 30 レール部材
32 ガイドレール 32A ピンラック
34 駆動部本体 36 軸部材
38 ピニオン 40 サーボモータ
42 サーボモータ本体 42A 回転軸
44 制御部 50 レール切替装置
52 テーブル部 54 レール
56 回転部 58 回転部制御装置
A 地上部
B 大深度地下部
M 車両
S,T 交差部分
X 地上道路
X1 地上側アプローチ部
X2 地上側アプローチ部
Y 地下道路
Y1 地下側アプローチ部
Y2 地下側アプローチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上道路と地下道路との間で車両のアクセスを行うための地下道路アクセスシステムであって、
前記地上道路と前記地下道路とをつなぐ、第1及び第2の竪坑を含む少なくとも2つの竪坑と、
前記竪坑への前記地上側の出入口と前記地上道路とを接続する地上側アプローチ部と、 前記竪坑への前記地下側の出入口と前記地下道路とを接続する地下側アプローチ部と、 前記竪坑内に設けられ、車両が搭載される搬送部と、
前記搬送部を、前記第1の竪坑では車両を前記地下側の出入口から前記地上側の出入口へ向けて搬送するように駆動し、前記第2の竪坑では車両を前記地上側の出入口から前記地下側の出入口へ向けて搬送するように駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする地下道路アクセスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の地下道路アクセスシステムにおいて、
前記地下道路近傍の高さ位置には、前記少なくとも2つの竪坑同士をつなぐ横坑が形成され、
前記搬送部は、2つの竪坑、前記横坑、および前記道路の上方空間の間を周回するように環状に形成されたレール部と、このレール部に沿って移動する搬送キャビンとを備えることを特徴とする地下道路アクセスシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の地下道路アクセスシステムにおいて、
前記搬送キャビン内に存在するか否かを検出する搬出物検出センサと、
前記搬出物検出センサによって前記搬送キャビン内に前記車両が存在しないと検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の地上側の出入口および前記第2の竪坑の地下側の出入口の位置で停止させず、前記搬出物検出センサによって前記搬送キャビン内に前記車両が存在すると検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の前記地上側の出入口および前記第2の竪坑の地下側の出入口の位置で停止させるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする地下道路アクセスシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の地下道路アクセスシステムにおいて、
前記第1の竪坑の前記地下側の出入口および前記第2の竪坑の地上側の出入口から前記搬送キャビン内へと搬入する前記車両が存在するか否かを検出する搬入物検出センサと、 前記搬入物検出センサによって前記車両が存在しないと検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の前記地下側の出入口および前記第2の竪坑の地上側の出入口の位置で停止させず、前記搬入物検出センサによって前記被搬送物が存在すると検出された場合には、当該搬送キャビンを、前記第1の竪坑の前記地下側の出入口および前記第2の竪坑の地上側の出入口の位置で停止させるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする地下道路アクセスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−62820(P2006−62820A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247337(P2004−247337)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】