説明

地中埋設型電線案内ブロック装置及びそれに使用されるブロック

【課題】送電用の電線を地中に埋設するための地中埋設型電線案内ブロック装置において、設置作業の時間を短縮し、曲線経路を容易に構成できるようにすることにある。
【解決手段】送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔105を有して地中へ埋設されるブロック100を複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置において、各ブロック100は、軸方向の両端に位置する端部102と端部103と、端部102に固定され環状部材104とを備え、該ブロックの環状部材104の環状突出部104aに、隣接する他の端部103を嵌合させて、該ブロック及び他のブロックを連結したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔を有して地中へ埋設されるブロックを複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置、及び、それに使用されるブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所で発電された電力は、超高圧変電所、一次変電所、中間変電所、配電用変電所、柱上変圧器又は地上設置変圧器塔で段階的に電圧が降下されつつ送電され、引込線又は地中埋設型の配電用の電線を介して各家庭や小規模工場へと配電される。また、配電用変電所からはビルや中工場に、中間変電所からは大工場に、一次変電所からは、大工場及び鉄道変電所に電力が配電される。このように、超高圧変電所から配電用変電所までの電力の伝送を「送電」と呼び、発電所、変電所または送電線路から他の発電所または変電所を経ないで需給地点に至る電線又は引き込み線による電力の伝送を「配電」と呼んでいる。
従来、100V〜200Vの電圧による配電、例えば、各家庭や小規模工場への電力の配電に使用される電線を地中埋設するための多孔管は、様々なメーカが製品化しており、プラスチック製、陶器製、コンクリート製などがある。しかし、これらの多孔管をそのまま送電用で使用しようとすると以下の問題点がある。
【0003】
上述のような低圧の配電用の多孔管は、その上端が地下30cm程度になる深さ、即ち、地下水位よりも上方に埋設する場合が殆どであるのに対して、一方、送電用の多孔管は、その上端が地下水位よりも下方の深い位置に埋設される場合が殆どである。従って、送電用の多孔管は、雨水の侵入に加えて地下水の浸入を防止する必要があり、上記配電用の多孔管よりもかなり高い耐水性が要求されるので、上記配電用の多孔管をそのまま送電用に使用することには問題がある。
【0004】
また、配電用の電線の直径は通常10〜20mm程度であるが、送電用の電線の直径は120mm以上と非常に大きい。また、それにより、送電用の電線は、配電用の電線に比較して重量がかなり大きくなる。このように、送電用の電線は、配電の電線に比較して径が非常に大きく、重量も大きいので、通線作業に大きな労力を要する。また、重量が大きい分、摩擦抵抗が大きく通線作業中に電線を傷つける可能性がある。
【0005】
従って、送電用の電線を埋設する場合には、従来、以下のような手順で現場打ちのコンクリートで施工するのが主であった。まず、矢板(土止め)を打ち込み、電線を埋設する周囲を養生し、所定の深さ(1.2m〜3m程度)までバックホウにより掘削する。その後、送電用の電線を配置し、その周囲を型枠で組み、コンクリートを打設する。コンクリートを所定の強度になるまで養生し、土砂を埋め戻して、矢板を抜き取って復旧する。このような手順で現場打ちのコンクリートで施工する場合、作業工程が1〜2週間もかかるため費用が増大する。また、道路を横断するような埋設形態であれば、すぐに復旧しなければならない場合が殆どであるので、現場打ちのコンクリートによる施工は適していない。
【0006】
なお、送電用の電線を埋設する場合に、図1に示すように、電線を通すための貫通孔15を有するコンクリート製のプレハブブロック10に軸方向に貫通するボルト孔20を形成し、2つのブロック10のボルト孔20に夫々長手の通しボルト21を共通に挿入して、これらのブロック10を現場で接続する方法も用いられている。この方法では、長手の通しボルト21で複数のブロックの管路全体を締め付ける構造のため、ブロック設置後に微調整が必要である。よって、ブロック10を長くすると重量が大きくなり微調整が困難となるため、従来、ブロックの長さは1mを標準としている。そのため、ブロック10の接続箇所が多く、現場での接続作業に時間を要する問題がある。また、ブロック10の端面11同士を当接させるので、曲線経路を構成することができない問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、送電用の電線を地中に埋設するための地中埋設型電線案内ブロック装置において、設置作業の時間を短縮することにある。
【0008】
また本発明は、送電用の電線を地中に埋設するための地中埋設型電線案内ブロック装置において、曲線経路を容易に構成できるようにすることにある。
【0009】
また本発明は、送電用の電線を地中に埋設するための地中埋設型電線案内ブロック装置において、耐水性を向上させることにある。
また本発明は、送電用の電線を地中に埋設するための地中埋設型電線案内ブロック装置において、通線作業の労力を低減し、通線時に電線が傷つけられるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置は、送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置に関する。各ブロック(100)は、軸方向の両端に位置する第1の端部(102)と第2の端部(103)と、第1の端部(102)に固定された環状部材(104)と、を備えている。そして、該ブロック(100)の環状部材(104)の突出部(104a)に、隣接する他の第2のブロック(100)の第2の端部(103)を嵌合させて、該ブロック(100)及び他のブロック(100)を連結したことを特徴とする。
この地中埋設型電線案内ブロック装置によれば、隣接するブロック(100)の一方の端部に固定された環状部材(104)に、隣接するブロック(100)の他方の端部(103)を嵌合させて連結する構成であるため、ブロック同士の位置合わせが容易であり、1つのブロック(100)を長尺化することが可能である。これにより、施工時においてブロック(100)の接続箇所を低減し、施工速度を向上させ、以って設置作業の時間を短縮することができる。
また、ブロック(100)の連結時に、ブロック(100)の端面同士を当接させる必要がないので、ブロック同士を、互いに軸方向線を所定角度ずつ交差させつつ連結可能である。これにより、複数のブロック(100)の接続により曲線経路(C)を構成することができる。
【0011】
本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置において、環状部材(104)は、第2の端部(103)に遊嵌しており、隣接するブロック(100)同士が互いに軸方向線を所定角度ずつ交差させつつ連結可能であることが好ましい。環状部材(104)に嵌合する第2の端部(103)が遊嵌することにより、一方のブロック(100)を他方のブロック(100)に連結した際に、両ブロック(100)の軸方向線が角度を持たせることが容易になる。この結果、ブロック(100)の連結により、容易に曲線経路(C)を形成することができる。
【0012】
本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置において、隣接するブロック(100)同士が互いに軸方向線を所定角度ずつ交差させつつ連結して構成される曲線経路(C)におけるブロック(100)は、直線経路(L)におけるブロック(100)よりも軸方向の長さが短いことが好ましい。
曲線経路(C)においてブロック(100)の長さを短くすることにより、ブロック(100)の環状部材(104)に隣接するブロック(100)の端部(103)を挿入した後、ブロック(100)を傾ける作業が容易になる。
【0013】
本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置において、第2の端部(103)の外側面と環状部材(104)の内側面との間を密封するシール部材(109)が設けられることが好ましい。
隣接するブロックの端部(103)の外側と環状部材(104)の内側との間をシール部材(109)により密封するので、高い耐水性を提供することができる。
【0014】
本発明において、シール部材(109)は、軸方向に並ぶ複数の凹凸部(111,112)を含むことが好ましい。複数の凹部の1つ1つが外部からの浸水を防ぐことにより、隣接するブロック(100)間を多重的に密封することができ、これにより耐水性を向上させることができる。
【0015】
本発明において、各ブロック(100)は、軸方向貫通孔(105)の内側面に配置される樹脂製管(106)を更に備えることが好ましい。コンクリートよりも摩擦係数が小さい樹脂製管(106)を配置すれば、通線時において電線が受ける摩擦を低減することが可能である。これにより、径及び重量が大きい送電用の電線を通線作業が容易になり、通線作業の労力を低減することができる。
樹脂製管(106)としては、PFP管を用いることができる。
【0016】
本発明において、隣接するブロック(100)同士を連結材(114)により更に補強連結することが好ましい。隣接するブロック同士を連結材(114)で更に補強連結することにより、隣接するブロック(100)の連結部分の強度を向上させることが可能である。連結材(114)として板状部材又は棒状部材を用いれば、簡易な構成でブロック間の連結を補強することが可能である。
【0017】
本発明において、環状部材(104)は、コンクリート製のブロック(100)との連結を確実にするためのアンカー部(108)を有することが好ましい。
本発明において、軸方向貫通孔(105)を複数形成して、地中埋設型電線案内ブロック装置に収容できる電線の本数を増加させることが可能である。
【0018】
本発明に係るブロック(100)は、送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置に用いられるブロック(100)に関する。このブロック(100)は、軸方向の両端に位置する第1の端部(102)と第2の端部(103)と、第1の端部(102)に固定された環状部材(104)と、を備えている。そして、該ブロック(100)の環状部材(104)の突出部(104a)に、隣接する他のブロック(100)の第2の端部(103)を嵌合させて、該ブロック(100)及び他のブロック(100)を連結可能であることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置の製造方法は、送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を軸方向に接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置の製造方法に関する。この製造方法は、環状部材(104)を型内の所定位置に配設する工程と、該型内に、コンクリートを流し込んで、軸方向の両端の第1の端部(102)と第2の端部(103)と、少なくとも1つの軸方向貫通穴(105)を有するブロック(100)を、該第1の端部(102)の外周に環状部材(104)が嵌合する状態でブロック(100)を形成する工程と、第1のブロック(100)の環状部材(104)の突出部(104a)に、隣接する第2のブロック(100)の第2の端部(103)を嵌合させて、第1のブロック(100)及び第2のブロック(100)を連結して2つの複数のブロック(100)を軸方向に連結する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係るブロック(100)の製造方法は、送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を軸方向に接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置に用いられるブロック(100)の製造方法に関する。この製造方法は、環状部材(104)を型内の所定位置に配設する工程と、該型内に、コンクリートを流し込んで、軸方向の両端の第1の端部(102)と第2の端部(103)と、少なくとも1つの軸方向貫通穴(105)を有するブロック(100)を、該第1の端部(102)の外周に前記環状部材(104)が嵌合する状態でブロック(100)を形成する工程を備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(地中埋設型電線案内ブロック装置の構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る地中埋設型電線案内ブロック装置1の斜視図である。図3は、地中埋設型電線案内ブロック装置1を構成するブロック100の連結方法を説明するブロックの分解斜視図である。図4Aは図4B中4A−4A線に沿った矢視図であり、図4Bは図4A中4B−4B線に沿った断面矢視図、図4Cは図4B中4C−4C線に沿った矢視図である。図5は、本実施形態に係るブロック100の端部102の近傍の一部切り欠き側面図である。図6は、隣接するブロック100の端部102及び端部103の近傍の一部切り欠き側面図であり、隣接するブロック100の端部102及び端部103の連結状態を説明する説明図である。図7は、隣接するブロック100の端部102及び端部103近傍の拡大断面図であり、シール部材109による密封状態を説明する説明図である。
【0021】
地中埋設型電線案内ブロック装置1は、図2及び図3に示すように、送電用の電線を通すための例えば4つの軸方向貫通孔105を有するブロック100を複数個順次軸方向に接続して構成されている。各ブロック100は、図3及び図4Bに示すように、コンクリート製のブロック本体101を備えており、ブロック本体101は、この場合、軸方向の図中右方ブロック端部102及び左方ブロック端部103を有している。以下、右方ブロック端部102及び左方ブロック端部103をそれぞれ右方端部102及び左方端部103と称す。
また、各ブロック100は、図3に示すように、右方端部102に嵌合固定されたさや部104と、左方端部103に嵌合固定されたシール部材109とを更に備えている。また、各ブロック本体101は、各軸方向貫通孔105の内周に樹脂製管106を挿通固定される。さや部104は、図3及び図5中、右方端部102に嵌合固定されたとき図中右方へ突出した突出さや部104a(図4B参照)を有する。
【0022】
この地中埋設型電線案内ブロック装置1は、図5及び図6に示すように、ブロック100の右方端部102に固定されたさや部104の突出さや部104a内周にシール部材109(図6参照)を介して、隣接するブロック100の左方端部103が嵌合されることにより、隣接するブロック100が順次連結されて構成される。また、図2、図3及び図6に示すように、ブロック100外側に配した連結バー114により、隣接ブロック100どうしの連結を補強的に連結する。
以下、各ブロック100の詳細な構成を説明する。
【0023】
各ブロック100のブロック本体101は、断面略矩形のコンクリート製の多孔管であり、図2及び図3に示すように、送電用の電線を通すための4つの軸方向管通孔105が形成されている。本実施形態では、図2及び図3に示すように軸方向貫通孔105が2行2列で形成されている場合を例に挙げて説明するが、軸方向貫通孔105を1行4列に形成してブロック装置1の高さを低減する構成としても良い。また、軸方向貫通孔105の数は、4個に限らず、3個以下(1個も含む)あるいは5個以上としても良い。
【0024】
各軸方向貫通孔105の内周には、例えば摩擦抵抗の小さい強化プラスチック複合管(PFP管:Polycon Fiber Reinforced Plastic Pipe)からなる樹脂製管106が挿通固定されている。樹脂製管106は、ブロック本体101のコンクリートの打設時にブロック本体101の内部を挿通する状態で固められ、ブロック本体101と一体に形成される。樹脂製管106は、摩擦抵抗が小さい材料であれば、他の樹脂で形成してもよく、樹脂以外の他の材料で形成しても良い。
【0025】
PFP管は、内外FRP(Fiber Reinforced Plastic)層の間に樹脂モルタル層を配し、一体構造に成形した管である。PFP管は、摩擦抵抗が小さいため電線の通線時の引込張力が小さく、摩擦力により電線を傷つけることを防止できるとともに、電線の通線作業の労力を低減することができる。
【0026】
また、図3、図5及び図6に示すように、ブロック本体101の右方端部102及び左方端部103近傍の外壁には、後述する連結バー114(図8参照)を固定するために、ボルト117が挿入されるボルト孔116が形成されている。
【0027】
ブロック本体101の左方端部103断面は、略矩形状であり、図4A及び図4Bに示すように、ブロック本体101の中央部から2段階に径小となる中径部103a、小径部103bが形成されており、この中径部103a及び小径部103bが隣接するブロック100のさや部104の突出さや部104a内周に嵌合する(図6,7参照)。左方端部103の端面の矩形の各隅部には、図4Aに示すように、所定の曲率の湾曲部103a−1、103b−1が形成されている。図7に示すように、左方端部103の中径部103aの径は、突出さや部104aの径よりも間隔lだけ小さく形成されており、突出さや部104aがシール部材9を介して左方端部103に遊管可能である。
【0028】
また、図6及び図7に示す如く、ブロック本体101の左方端部103の小径部103bの外周にシール部材109が嵌合固定されている。図8(a),(b)は、シール部材109の前面及び断面を示す。シール部材109は、図8(a)に示すように、左方端部103の外形に対応する略矩形形状の環状部材である。シール部材109は、ゴム製のパッキンであり、小径部103bに嵌合した後、接着剤により固定される。
【0029】
シール部材109は、図8(b)に示すように、軸方向に凸部111及び凹部112を順次設けた複数の凹凸部を有する。本実施形態では、凹凸部は、凸部111の外側端が尖った形状になるように山切りカットにより形成されている。図6及び図7に示すように、これらの凸部111は、左方端部103がさや部104に挿入された際に、弾性的に圧縮され、左方端部103の外側面とさや部104の突出さや部104a内側面との間をシール遮蔽する。本実施形態のように、軸方向に配置した複数の凸部111によって左方端部103とさや部104の間をシール遮蔽すると、複数の凸部111が多段的に防水機能を果たすので、高い耐水性を実現することができる。また、図8(b)に示す如く、シール部材109の外側面の軸方向末端側は、軸方向末端側に向かって径小となるテーパ109aが形成されている。このテーパ109aにより、シール部材109のさや部104の内側への挿入が容易になる。また、シール部材109のさや部104の内側面への所定長さの軸方向密着距離を確実に確保できて、シール遮蔽機能を保証する(図7参照)。更に、シール部材109は、図7及び図8中左端に小径突出部113が形成されている。この小径突出部113は、左方端部103の端部に引っ掛かって、左方端部103の端面と右方端部102の端面の間の接触に対する緩衝材として機能する(図7参照)。なお、シール部材109は必ずしもブロックの左方端部103に接着される必要はなく、さや部104の突出さや部104a内周に接着固定しておき、これに左方端部103の小径部103bが嵌合するようにしてもよい。
【0030】
ブロック本体101の右方端部102の小径部102aには、コンクリート打設時にさや部104が嵌合固定される(図4〜図7参照)。ブロック本体101の右方端部102の断面も、左方端部103の断面同様に略矩形状であり、図4Cに示すように矩形部の各隅部には所定の曲率の湾曲部102a−1が形成されている。
【0031】
図9(a),(b)は夫々、さや部104の正面図及び断面図を示す。さや部104は、図9(a)に示すように、金属製の環状矩形状のさや部本体107と、さや部本体107の各辺の中央部から半径方向内方に向かって延びる2本×4組=合計8本のアンカー部108とを備えている。さや部本体107の各隅部には、所定の曲率半径を有する湾曲部107aが形成されている。さや部104は、ブロック本体101をコンクリートで打設する際に、図5及び図6に示すように、各軸方向2本の4組のアンカー部108がブロック本体101の右方端部102の小径部102a内に食い込んだ状態で該ブロック本体101と一体に組付いた状態になるよう形成される。
【0032】
図9(b)中左側略半分がブロック本体101の右方端部102に一体に固定される基端側部分であり、右側略半分がブロック本体101の左方端部103に嵌合される突出さや部104aとなる末端側部分である。
【0033】
(地中埋設型電線案内ブロック装置の製造方法)
次に、本実施形態に係るブロック100の製造手順について説明する。
最初に、型枠(図示せず)に対して、樹脂製管109及びさや部104を所定位置に位置決めした後、所定量のコンクリートを打設し、乾燥させることにより、ブロック本体101を樹脂製管109及びさや部104と一体に形成して図4A〜C及び図5の構成を得る。その後、ブロック本体101の左方端部103の小径部103bにシール部材109を嵌合し接着剤にて固定して、各ブロック100を完成する。次いで、図5及び図6に示すように、隣接するブロック100どうしで、左方ブロックのさや部104の突出さや部104aを右方ブロック100のシール部材109及び中径部103aに嵌合して、隣接するブロック100どうしを軸方向に接続し、同様に順次ブロック100を軸方向に接続する。
ここで、隣接するブロック100の軸方向線を互いに交差させれば、図2に示すように、複数のブロック100全体として曲線状となる曲線経路Cを構成することができる。
【0034】
次に、図10に示す連結バー114を使用して、図2、図3及び図6に示すように、隣接ブロック100どうしの連結を補強的に連結する。連結バー114は、金属製の板状部材に長穴115が形成されている。図3に示すように、連結バー114の一対の長穴115に挿通したボルト117(図3参照)を隣接するブロック100のボルト孔116に螺入する。長穴115により、隣接ブロック間のボルト孔116間の距離が変動してもこれを調節的に吸収することが可能である。本実施形態では、連結材として板状の連結バー114を用いたが、棒状の連結バーを用いても良い。
【0035】
なお、本実施形態では、さや部104はブロック本体101に対して該コンクリートを打設する際に一体形成されるが、必ずしもこれに限らず、樹脂製管109と一体にブロック本体101を形成した後、別部材のさや部104をボルト等を用いてブロック本体101の右方端部102に固定する方法を採用しても良い。この場合、ブロック本体101とさや部104との間の防水性を十分に確保できるように適宜シール部材を使用することが好ましい。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、図6及び図7に示すように、隣接するブロックどうしを環状部材(さや部)104により順次連結する構造であるため、ブロック100同士の位置合わせが容易であり、ブロック100を長尺化することができる。従来のブロック同士を長手の通しボルトにより複数のブロックを締め付ける方法では、設置位置の微調整が必要なため、ブロック全体長さが1m程度に制限されていたが、本実施形態によるブロック100によれば、ブロック全体長を2m以上にすることが可能である。これにより、施工時においてブロックの接続箇所を低減し、施工速度を向上させ、以って設置作業の時間を短縮することができる。
【0037】
また、本実施形態では、図6及び図7に示すように、左方端部103をさや部104に嵌合させ、また、シール部材109により端部102及び端部103の端面同士が直接当接しないように構成できるので、隣接するブロック100同士を、互いに軸方向線を所定角度ずつ交差させつつ連結することが可能である。すなわち、一方のブロック100の軸方向線を他方のブロック100の軸方向線に傾けて、隣接するブロック100同士を連結することができる。このように隣接ブロック間を連結することより、図2に示すような曲線経路Cを容易に形成することができる。
【0038】
本実施形態では、図2に示すように、曲線経路Cに使用するブロック100の軸方向の長さd2は、直線経路Lに使用するブロック100の軸方向の長さd1よりも短く形成されている。これは、曲線経路Cにおいて大きな曲率を得るためである。なお、曲線経路Cにおけるブロック100と、直線経路Lにおけるブロック100とは、右方端部102及び左方端部103の部分は形状及び寸法が同一でその他の部分の軸方向長さが異なるのみである。従って、曲線経路C及び直線経路Lにおけるブロック100は、単に右方端部102及び左方端部103以外の部分の軸方向長さを変更するのみで、同様の製造方法により作成することができる。従って、曲線経路において特別な、例えば湾曲した形状のブロックを別途形成することなく、長さのみが異なる複数種のブロック100を用いて容易に曲線経路Cを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の地中埋設型電線案内ブロック装置におけるブロックの連結例を示す斜視図。
【図2】本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置の斜視図。
【図3】本発明に係る地中埋設型電線案内ブロック装置のブロックの連結方法を説明するブロックの分解斜視図。
【図4A】地中埋設型電線案内ブロック装置に使用される各ブロックの図であって、図4B中4A−4A線に沿った矢視図。
【図4B】図4A中4B−4Bに沿った断面矢視図。
【図4C】図4B中4C−4Cに沿った矢視図。
【図5】ブロックのさや部の近傍における一部切り欠き側面図。
【図6】隣接ブロックの連結される両端部の近傍における一部切り欠き側面図。
【図7】シール部材による密封を説明する説明図。
【図8】図8(a)はシール部材の前面図、図8(b)は図8(a)中8b−8b線に沿った断面図。
【図9】図9(a)はさや部の前面図、図9(b)は図9(a)中9b−9b線に沿った断面図。
【図10】連結バーの斜視図。
【符号の説明】
【0040】
1 地中埋設型電線案内ブロック装置
100 ブロック
101 ブロック本体
102,103 ブロック端部
104 さや部
105 軸方向貫通孔
106 樹脂製管
107 さや部本体
108 アンカー
109 シール部材
109a テーパ
111 凸部
112 凹部
113 シール部材の小径突出部
114 連結バー
115 長穴
116 ボルト孔
C 曲線経路 L 直線経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置において、
各ブロック(100)は、
軸方向の両端に位置する第1の端部(102)と第2の端部(103)と、
前記第1の端部(102)に固定された環状部材(104)と、を備え、
該ブロック(100)の環状部材(104)の突出部(104a)に、隣接する他のブロック(100)の第2の端部(103)を嵌合させて、該ブロック(100)及び他のブロック(100)を連結したことを特徴とする、
地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
前記環状部材(104)は、前記第2の端部(103)に遊嵌しており、
隣接するブロック(100)同士が互いに軸方向線を所定角度ずつ交差させつつ連結可能であることを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
隣接するブロック(100)同士が互いに軸方向線を所定角度ずつ交差させつつ連結して構成される曲線経路(C)における前記ブロック(100)は、直線経路(L)における前記ブロック(100)よりも軸方向の長さが短いことを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
前記第2の端部(103)の外側面と前記環状部材(104)の内側面との間を密封するシール部材(109)が設けられたことを特徴とする、
地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
前記シール部材(109)は、軸方向に並ぶ複数の凹凸部(111,112)を含むことを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
各ブロック(100)は、前記軸方向貫通孔(105)の内側面に配置される樹脂製管(106)を更に備えることを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項7】
請求項6に記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
前記樹脂製管(106)は、PFP管であることを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
隣接するブロック(100)同士を連結材(114)により更に補強連結することを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
前記環状部材(104)は、コンクリートのブロック(100)との連結を確実にするためのアンカー部(108)を有することを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の地中埋設型電線案内ブロック装置において、
前記軸方向貫通孔(105)は複数形成されていることを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置。
【請求項11】
送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置に用いられるブロック(100)であって、
軸方向の両端に位置する第1の端部(102)と第2の端部(103)と、
前記第1の端部(102)に固定された環状部材(104)と、を備え、
該ブロック(100)の環状部材(104)の突出部(104a)に、隣接する他のブロック(100)の第2の端部(103)を嵌合させて、該ブロック(100)及び他のブロック(100)を連結可能であることを特徴とする、ブロック。
【請求項12】
請求項11に記載のブロック(100)において、
前記第2の端部(103)の外側面と前記環状部材(104)の内側面との間を密封するシール部材(109)が設けられたことを特徴とする、ブロック。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のブロック(100)において、
前記ブロック(100)は、前記軸方向貫通孔(105)の内側面に配置される樹脂製管(106)を更に備えることを特徴とする、ブロック。
【請求項14】
請求項13に記載のブロック(100)において、
前記樹脂製管(106)は、PFP管であることを特徴とする、ブロック。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れかに記載のブロック(100)において、
前記環状部材(104)は、コンクリートのブロック(100)との連結を確実にするためのアンカー部(108)を有することを特徴とする、ブロック。
【請求項16】
請求項11乃至15の何れかに記載のブロック(100)において、前記軸方向貫通孔(105)は複数形成されていることを特徴とする、ブロック。
【請求項17】
送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を軸方向に接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置の製造方法において、
環状部材(104)を型内の所定位置に配設する工程と、
該型内に、コンクリートを流し込んで、軸方向の両端の第1の端部(102)と第2の端部(103)と、少なくとも1つの軸方向貫通穴(105)を有するブロック(100)を、該第1の端部(102)の外周に前記環状部材(104)が嵌合する状態でブロック(100)を形成する工程と、
第1のブロック(100)の環状部材(104)の突出部(104a)に、隣接する第2のブロック(100)の第2の端部(103)を嵌合させて、第1のブロック(100)及び第2のブロック(100)を連結して2つの複数のブロック(100)を軸方向に連結する工程と、
を備えたことを特徴とする、地中埋設型電線案内ブロック装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載のブロック装置の製造方法において、
前記ブロックは3個以上あって、これらのブロック(100)が順次軸方向に連結材(114)により連結されることを特徴とする、ブロック装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載のブロック装置の製造方法において、
前記環状部材(104)は、コンクリートのブロック(100)との連結を確実にするためのアンカー部(108)を有することを特徴とする、ブロック装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17乃至19の何れかに記載のブロック装置の製造方法において、
前記ブロック(100)の第2の端部(103)に、前記第2の端部(103)の外側面と前記環状部材(104)の内側面との間を密封するシール部材(109)を嵌合させる工程を更に含む、ブロック装置の製造方法。
【請求項21】
請求項17乃至20の何れかに記載のブロック装置の製造方法において、
前記型枠内において前記軸方向貫通孔(105)となる場所に樹脂製管(106)を配設する工程を更に含み、
前記軸方向貫通孔(105)の内周に樹脂製管(106)を固定した状態で前記ブロック(100)を形成することを特徴とする、ブロック装置の製造方法。
【請求項22】
送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔(105)を有して地中へ埋設されるブロック(100)を軸方向に接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置に用いられるブロック(100)の製造方法において、
環状部材(104)を型内の所定位置に配設する工程と、
該型内に、コンクリートを流し込んで、軸方向の両端の第1の端部(102)と第2の端部(103)と、少なくとも1つの軸方向貫通穴(105)を有するブロック(100)を、該第1の端部(102)の外周に前記環状部材(104)が嵌合する状態でブロック(100)を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする、ブロックの製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載のブロックの製造方法において、前記環状部材(104)はコンクリートのブロック(100)との連結を確実にするためのアンカー部(108)を有することを特徴とする、ブロック(100)の製造方法。
【請求項24】
請求項22又は23に記載のブロックの製造方法において、
前記型枠内において前記軸方向貫通孔(105)となる場所に樹脂製管(106)を配設する工程を更に含み、
前記ブロック(100)の前記軸方向貫通孔(105)の内周に樹脂製管(106)を固定した状態で前記ブロック(100)を形成することを特徴とする、ブロックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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