説明

地中管推進埋設工法における推進不能時の補完方法

【課題】 地中管推進埋設工法における工事中に推進機が推進不能になったときの補完方法において、従来では元押し装置を設置する必要がある立坑は大きいもの(例えば内径が3m程度のもの)が必要であった。
【解決手段】 推進機2が途中で推進不能になったときに、該推進機2が位置する場所に中間立坑13を形成し、推進機2を前半地中管31の先端から取り外し、前半地中管31の先端32を中間立坑13の発進立坑側内面の近傍に開口させておき、元押し装置4の小径部42を前半地中管31の先端開口33内に挿入した状態で、中間立坑13から到達立坑12に向かって後半地中管35を推進させる。これによって中間立坑13を比較的小さい内径(例えば内径が2m程度)のもので対応できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、発進立坑から到達立坑までの間に地中管を埋設するようにした地中管推進埋設工法における推進不能時の補完方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水道管のような地中管は、一般に道路の下に埋設されているが、このような地中管を地下に埋設するには、一般に図12に示すように地中管推進埋設工法によって行われている。即ち、この図12に示す地中管推進埋設工法は、地中管埋設予定部分の始端部に発進立坑11を掘削する一方、その終端部に到達立坑12を掘削し、発進立坑11内から元押し装置1により推進機2を到達立坑12に向けて推進させて、該推進機2に後続する多数の管体30,30・・からなる地中管3を埋設するようにしている。
【0003】
尚、図12において、符号15は発進立坑11の底部に設けたコンクリートベース、16は発進架台、17はその受台、18は押し輪である。又、元押し装置1には油圧ジャッキ41が使用されている。そして、実際に管体30を推進させるには、推進機2に後続させた管体30の後端に押し輪18をあてがい、該押し輪18と油圧ジャッキ41の先端との間にストラット(図示省略)を介在させた状態で、推進機2を作動させるとともに油圧ジャッキ41を伸長させることで行われる。尚、後続させる管体30′(鎖線図示のもの)は発進立坑11内おいて最後尾の管体30の後端に連結されて順次元押し装置1により押し込まれる。
【0004】
この種の地中管推進埋設工法で使用される管体30としては、一般に鋼管やコンクリート管が採用されている。又、下水道管に使用される管体30のサイズは、各種のものがあるが、一般に外径が0.9〜1m、長さが1〜1.2m程度のものが多用されている。他方、元押し装置1は、小型のものでも全長(油圧ジャッキ41の縮小状態)が1.2m程度ある。
【0005】
ところで、この種の地中管推進埋設工法を行うにあたり、発進立坑11と到達立坑12との間が長距離(500m超の場合もある)であったり、カーブ推進であったり、あるいは泥水材・可塑剤・滑剤等が希釈又は逸泥したりすることにより、計画推力よりもはるかに大きい推力を必要とする場合があり、その場合は推進機2及び元押し装置1が正常であっても途中で推進不能になることがある。
【0006】
そして、例えば図12に鎖線図示するように推進機2′が途中まで進んだ位置で推進不能になった場合に、従来では状況に応じて次の各方法で補完工事が行われている。
【0007】
まず、推進機2のトラブルでなく推進能力不足で推進不能になった場合で、該推進機2の位置が到達立坑12に近い場合は、図13に示すように到達立坑12側から向い掘りを行う。尚、図13に示す向い掘り工法の公知例としては、例えば特開2005−155147号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0008】
図13の向い掘り工法の場合は、まず、到達立坑12の底部に発進架台16を組立てて別の元押し装置1′を設置し、到達立坑12側から既設地中管3(推進機2)の外径より大きい内径の開放型推進機2′及び大径管体30′を順次連続して推進させていき(さや管3′が形成される)、そのさや管3′の先端(開放型推進機2′)を推進不能となった推進機2の外側に被せるようにする(鎖線図示状態)。この状態では、既設地中管3側の推進機2に推進抵抗がほとんどかからなくなる。そして、発進立坑11側から順次管体30を連結しながら推進機2をさや管3′内を通して推進させていく(既設地中管3を到達立坑12に達するまで推進させる)。
【0009】
他方、推進能力不足で推進不能になった場合で、推進機2の位置が到達立坑12から遠い場合には、まず図14に示すように推進機2が位置する場所に中間立坑13を形成し、続いて中間立坑13内で推進機2を外した後(符号2′)、該推進機2′を一旦地上に取り出す。このとき、既設地中管3の先端管体30が中間立坑13における発進立坑側内面13aから中間立坑13内に大きく突出している場合には、該先端管体30の先側を所定長さ切除して管体先端が該発進立坑側内面13aに近接するようにしておく。そして、図15に示すように、中間立坑13内に別の元押し装置1を設置して該中間立坑13から到達立坑12に向けて後半地中管35を推進・埋設する。尚、中間立坑13から到達立坑12まで後半地中管35を推進させた後、後半地中管35を到達立坑12側から逆押しして中間立坑13部分で後半地中管35と前半地中管31とをドッキングさせたり、あるいは中間立坑13部分にマンホールを設置して前半地中管31と後半地中管35とをマンホールで接続させたりして、発進立坑と到達立坑の間に一連の地中管3に連続させる。
【0010】
又、この種の地中管推進埋設工法による作業中に、推進機2のトラブルにより推進不能になることがあるが、この場合には、図14に示すように推進不能となった推進機2が位置する場所に地上から該推進機2に達する深さまで中間立坑13を形成し、その中間立坑13内で推進機2を分解し、該推進機2を地上に回収して修復させた後、その修復済みの(修復できないときには別の)推進機2を既設地中管3の先端部に組付けて、発進立坑11からの元押し装置1と推進機2とで到達立坑12まで再推進させる。
【0011】
ところで、到達立坑12は、通常は元押し装置を設置する必要がないので、到達立坑12の内径D2は1.5〜2.5m程度で十分である(図示例ではD2=約2m)。他方、管体30(又は30′)を押し込む側の立坑(図12〜図15の各発進立坑11、図13の到達立坑12、図15の中間立坑13)には、元押し装置1(又は1′)が設置されるとともに、油圧ジャッキ41の前に管体30(又は30′)を置くためのスペースを確保する必要があることから、管体押し込み側立坑はかなり大きいものが必要となる。即ち、元押し装置1の全長が小型のものでも1.2m程度あり、管体30の長さが1〜1.2m程度あるとともに、管体押し込み用の作業スペースを確保すると、立坑の内径D1として3m程度は必要となる。
【0012】
【特許文献1】特開2005−155147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、発進立坑11と到達立坑12の間で推進不能となった場合の補完工事として、図13に示すように向い掘り工法で行う場合は、上記のように到達立坑12内に元押し装置1′を設置して、該到達立坑12からさや管3′となる各管体30′を推進させる必要がある。従って、図13のように向い掘り工法を行う場合には、到達立坑12として内径の大きいもの(例えば内径D1が3m程度のもの)を形成する必要があり、到達立坑12の形成場所の選定が難しいという問題があるほか、土壌掘削量が多くなる。又、向い掘り工法では、さや管3′を埋め殺しにするので余分な材料が必要となって、コストアップになるという問題もある。
【0014】
又、図14及び図15に示すように、推進不能となった推進機2が位置する場所に中間立坑13を形成し、その中間立坑13内に元押し装置1を設置して該中間立坑13から到達立坑12に向けて後半地中管35を推進・埋設するものでは、該中間立坑13として内径の大きいもの(例えば内径D1が3m程度のもの)を形成する必要がある。特に、推進中において推進機2が推進不能になる位置は不特定であり、場所(道路上であることが多い)によっては大きな内径の中間立坑を形成するのが無理な場合が多々ある。従って、この工法による補完工事が行えない場合がある。
【0015】
そこで、本願発明は、発進立坑と到達立坑との間で推進不能になった場合に、比較的小内径の中間立坑で補完工事を行えるようにした地中管推進埋設工法における推進不能時の補完方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、発進立坑から到達立坑に向かって元押し装置により推進機を推進させて該推進機に後続する多数の管体からなる地中管を発進立坑と到達立坑間に埋設するようにした地中管推進埋設工法において、推進機が発進立坑と到達立坑との間で推進不能になったときの補完方法を対象にしている。
【0017】
本願発明の推進不能時の補完方法は、推進機が発進立坑と到達立坑との間で推進不能になったときに、まず推進不能になった推進機が位置する場所に地上から推進機に達する深さの中間立坑を形成し、次に中間立坑内にある推進機を既設の前半地中管の先端から取外して、前半地中管の先端を中間立坑の発進立坑側内面の近傍に開口させておく。このとき、前半地中管の先端管体が中間立坑における発進立坑側内面から中間立坑内に大きく突出している場合には、該先端管体の先側を所定長さ切除して管体先端が中間立坑の発進立坑側内面に近接するようにしておく。
【0018】
他方、本願発明では、中間立坑内で使用される元押し装置として、該元押し装置の後部側大部分の長さ範囲を前半地中管の先端部内径より小さい外形の小径部とし且つ該元押し装置の前端部を前半地中管の先端部内径より大きい大径部としたものを使用する。
【0019】
そして、中間立坑用の元押し装置を、該元押し装置の小径部を中間立坑内から前半地中管の先端開口内に挿入し且つ該元押し装置の大径部を前半地中管の先端に係止させた状態で設置する。
【0020】
次に、中間立坑から到達立坑に向かって中間立坑用の元押し装置により推進機を推進させて推進機に後続する多数の管体からなる後半地中管を中間立坑と到達立坑間に埋設する(後半地中管の埋設が完了する)。
【0021】
尚、後半地中管の埋設が完了すると、該後半地中管を到達立坑側から逆押しして中間立坑部分で後半地中管と前半地中管とをドッキングさせたり、あるいは中間立坑部分にマンホールを設置して前半地中管と後半地中管とをマンホールで接続させたりして、発進立坑と到達立坑との間に一連の地中管を連続させる。
【0022】
本願発明の推進不能時の補完方法によれば、中間立坑内で使用される元押し装置を、その後部側大部分の長さ範囲を既設側である前半地中管の先端開口内に挿入した状態で設置するので、中間立坑内における元押し装置の占有スペースが極めて小さくなる。従って、中間立坑内に元押し装置を設置して到達立坑側に向けて地中管を推進させるようにしたものであっても、元押し装置の占有スペースが小さくなる分、中間立坑の内径を小さくすることが可能となる(例えば、通常は3m程度の内径の中間立坑が必要であったものが、2m程度の内径の中間立坑でよくなる)。
【発明の効果】
【0023】
本願発明の地中管推進埋設工法における推進不能時の補完方法は、上記のように推進機が発進立坑と到達立坑との間で推進不能になったときに、推進不能になった推進機が位置する場所に中間立坑を形成し、その中間立坑から到達立坑に向かって後半地中管を埋設するようにしたものであるが、その際、中間立坑用の元押し装置を、その後部側大部分の長さ範囲の小径部を中間立坑内から前半地中管の先端開口内に挿入し且つ前端部の大径部を前半地中管の先端に係止させた状態で設置して、後半地中管を推進・埋設するようにしている。
【0024】
従って、本願発明の推進不能時の補完方法によれば、中間立坑内に元押し装置を設置して到達立坑側に向けて地中管を推進させるようにしたものにおいて、中間立坑内における元押し装置の占有スペースが極めて小さくなるので、その分、中間立坑の内径を小さくできるという効果がある。
【0025】
尚、このように中間立坑の内径を小さくできると、例えば道路上に中間立坑を形成する場合に、内径を小さくできる分、邪魔になりにくくなるとともに、土壌掘削量が少なくなってコストダウンを図ることができる。
【実施例】
【0026】
以下、図1〜図11を参照して本願実施例の地中管推進埋設工法における推進不能時の補完方法を説明する。
【0027】
この実施例の地中管推進埋設工法は、図4に示すように発進立坑11から到達立坑12に向かって元押し装置1により推進機2を推進させて該推進機2に後続する各管体30,30・・からなる地中管3を地中に埋設するようにしたものである。
【0028】
発進立坑11は、その底部に元押し装置1が設置されるとともに、元押し装置1の前に管体30′を置くスペースや、管体押し込みのための作業スペースが必要なことから、かなり大きな内径のものが必要である。即ち、元押し装置1は小型のものでも全長が1.2m程度あり、管体30はこの実施例では全長が1.2mのものを使用しているとともに、管体押し込みのための作業スペースを確保する必要があることから、発進立坑11の内径D1として3m程度は必要である。
【0029】
他方、到達立坑12は、通常は元押し装置1を設置する必要がないので、内径D2として1.5〜2.5m程度で十分である。尚、図示例では、到達立坑12の内径D2を約2mに設定している。
【0030】
尚、図4において、符号15は発進立坑11の底部に設けたコンクリートベース、16は発進架台、17はその受台、18は押し輪である。又、元押し装置1には油圧ジャッキ41が使用されている。そして、実際に管体30を推進させるには、推進機2に後続させた管体30の後端に押し輪18をあてがい、該押し輪18と油圧ジャッキ41の先端との間にストラット(図示省略)を介在させた状態で、推進機2を作動させるとともに油圧ジャッキ41を伸長させることで行われる。尚、後続させる管体30′(鎖線図示のもの)は発進立坑11内おいて最後尾の管体30の後端に連結されて順次元押し装置1により押し込まれる。
【0031】
尚、この実施例で使用される管体30は、図1に示すように、外径A1が960mm、内径A2が800mm、全長A3が1200mmのものを使用している。
【0032】
ところで、この種の地中管推進埋設工法による工事中に、例えば推進機2にトラブル(故障)が発生したり推進能力を超える抵抗が発生すると、推進機2が発進立坑1と到達立坑12との間で推進不能になる。そして、本願実施例では、図4に鎖線図示するように推進機2′が途中まで進んだ位置で推進不能になった場合に、以下に説明する方法で補完工事を行う。
【0033】
図1〜図3には、本願実施例の補完方法で使用される中間立坑用の元押し装置4を示している。この元押し装置4は、左右2基の油圧ジャッキ41,41を横向き円筒形の保護筒42内に固定状態で取付けているとともに、保護筒42の前端部外周に外向きに突出するフランジ43を設けて構成されている。又、この実施例で使用される元押し装置4では、保護筒42内に排泥管9を挿通させ得るようになっている。
【0034】
保護筒42の全長は約1.2mであり、油圧ジャッキ41の全縮小状態では該油圧ジャッキ41が保護筒42の長さ範囲内に収まるようになっている。従って、油圧ジャッキ41の全縮小状態では、保護筒42の長さが元押し装置4の全長となる。
【0035】
保護筒42の外径B1は、管体30の内径A2(800mm)よりやや小さい780mm程度である。フランジ43の外径B2は、管体30の内径A2(800mm)よりやや大きい930mm程度である。又、フランジ43の厚さは120mm程度であり、保護筒42におけるフランジ43の厚さを除いた残りの長さB3が1080mmとなっている。尚、この実施例では、保護筒42におけるフランジ厚さを除く長さ範囲B3(1080mm)が特許請求範囲中の小径部となり、フランジ43部分が特許請求範囲中の大径部となるものである。
【0036】
そして、この元押し装置4は、後述する(図6〜図8)ように、保護筒42部分(外径B1)を管体30の内面(内径A2)に長さB3(1080mm)だけ挿入できるとともに、この挿入状態でフランジ43を管体30の端面に係止させ得るようになっている。
【0037】
この実施例の補完方法は、図1〜図3に示す元押し装置4を使用して、図4〜図11に示すようにして行われる。
【0038】
この地中管推進埋設工法における工事中に、図4に鎖線図示する状態で推進不能になったときには、発進立坑11から推進機2′が位置する範囲に前半地中管31が連続している。そして、まず推進不能になった推進機2′が位置する場所を正確に計測し、その場所に地上から推進機2′に達する深さの中間立坑13(図4に鎖線図示)を掘削する。その場合、中間立坑13の掘削位置は、地中にある推進機2′が掘削される中間立坑13の発進立坑側内面13aの近傍に位置するように位置決めする。又、このときの中間立坑13の大きさは、内径D3が約2m程度のものでよい。尚、内径D3が2mの中間立坑13であれば、内径が3mの立坑に比して排土量は半分以下になる。そして、中間立坑13を掘削すると、図5に示すように中間立坑13内に前半地中管31の先端にある推進機2が露出する。
【0039】
次に、図5に示すように、作業員が中間立坑13内に入って、前半地中管31の先端に連続している推進機2を鎖線図示(符号2′)するように前半地中管31の先端から取外し、一旦地上に取り出しておく。尚、推進機2が故障している場合には、地上において補修しておき、補修できない状態では別の正常な推進機を用意しておく。
【0040】
推進機2を前半地中管31の先端から取外した状態では、図6に示すように前半地中管31の先端32が中間立坑13の発進立坑側内面13aから僅かな長さL(L=100mm程度)だけ突出している。尚、中間立坑13を掘削したときに、前半地中管31の先端32が中間立坑13の中心側に大きく突出する位置にある場合には、前半地中管31の中間立坑内突出部分を所定長さだけ切除して、前半地中管先端32が中間立坑13の発進立坑側内面13aの近傍(長さLだけ離間)に位置するようにする。
【0041】
次に、図6に示すように、中間立坑13の底部にコンクリートベース15を形成し、その上に受台17,17及び発進架台16を組付ける。又、これらの工事と前後して、中間立坑用の元押し装置4を中間立坑13内に吊り降ろし、鎖線図示するように元押し装置4′の保護筒42′部分を前半地中管31の先端開口33内に挿入する。このとき、元押し装置4′のフランジ43′が前半地中管31の先端面32に衝合した状態で、該元押し装置4′を固定する(図7、図8の状態となる)。
【0042】
この状態では、図7に示すように、中間立坑13が比較的小内径D3(D3=約2m)のものであっても、元押し装置4の前方に大きなスペース(例えば1.8m程度のスペース)ができており、該中間立坑13からの地中管推進作業は十分可能となる。又、この状態では、元押し装置4による推進力の反力が元押し装置4のフランジ43を介して前半地中管31に加わるため、発進立坑11側において前半地中管31の後端を発進立坑側の元押し装置1でバックアップしておくとよい。
【0043】
続いて、図8に示すように、中間立坑13内に推進機2及び管体30を吊り降ろし、それらを発進架台16上で合体させ、管体30の後部に押し輪18及びストラット19を配置した状態で、元押し装置4の油圧ジャッキ41を伸長させる。このとき、油圧ジャッキ41による押圧力の反力が保護筒42に加わるが、その反力はフランジ43を介して前半地中管31の先端面32で受けられている(前半地中管31は発進立坑11側の元押し装置1でバックアップされている)ので、該保護筒42が後退することはない。尚、推進機2及び管体30の進入度合いに応じて、図9に示すように押し輪18と油圧ジャッキ41の伸縮ヘッド間に複数個のストラット19,19・・を介在させながら管体30をを地中に進入させていく。
【0044】
そして、図10に示すように、推進機2が到達立坑12に達するまで、順次所定個数の管体30,30・・を後続させて、中間立坑13と到達立坑12との間に後半地中管35を埋設する。
【0045】
その後、到達立坑12に達した推進機2を取り外し、中間立坑13内の元押し装置4を前半地中管31から抜き外すとともに発進架台16を解体して地上に運び出し、発進立坑11側においても同様に元押し装置1及び発進架台16を地上に運び出す。
【0046】
そして、前半地中管31と後半地中管35とは、図11に示すように中間立坑13内にマンホール14を建て込んで該マンホール14を介して連続させたり、あるいは到達立坑12側から後半地中管35を押し込んで中間立坑13内で前半地中管31と後半地中管35とをドッキングさせたりすることで連続させる。尚、発進立坑11及び到達立坑12にも、それぞれマンホール14,14を建て込んで各前半地中管31,35の端部をそれぞれマンホール14,14に連続させると、この地中管推進埋設工法の全工程が終了する。
【0047】
発進立坑11からの地中管推進埋設作業中に推進機2が推進不能になったときに、推進機2が位置する場所に中間立坑13を形成して行う補完工事において、本願実施例のように中間立坑用の元押し装置4を、その後側大部分の長さ範囲B3(1080mm)を既設の前半地中管31の先端開口33(中間立坑13における発進立坑側内面の近傍にある)内に挿入させた状態で設置すると、元押し装置4が中間立坑13内で占有するスペースが極めて小さくなる。従って、中間立坑13の大きさとして、元押し装置4の前に管体30(1.2m長さ)を置くスペースと若干長さの作業スペースを確保できる程度(内径が2m程度)のものでよくなり、中間立坑13の築造が簡単となるとともにコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本願実施例の地中管推進埋設工法における推進不能時の補完方法で使用する元押し装置の側面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】本願実施例の補完方法における初期段階の説明図である。
【図5】図4からの状態変化を示す一部拡大図である。
【図6】図5からの状態変化図である。
【図7】図6からの変化図で元押し装置を前半地中管の先端開口に装着した状態の全体図である。
【図8】図7の一部拡大断面図である。
【図9】図8からの状態変化図である。
【図10】図9からの変化図で推進機が到達立坑まで到達した状態の全体図である。
【図11】図10からの状態変化図である。
【図12】従来の地中管推進埋設工法の説明図である。
【図13】従来から行われている推進不能時における第1の補完方法の説明図である。
【図14】従来から行われている推進不能時における第2の補完方法の説明図である。
【図15】図14からの状態変化図である。
【符号の説明】
【0049】
1は発進立坑側の元押し装置、2は推進機,3は地中管、4は中間立坑側の元押し装置、11は発進立坑、12は到達立坑、13は中間立坑、30は管体、31は前半地中管、32は先端、33は先端開口、35は後半地中管、41は油圧ジャッキ、42は保護筒(小径部)、43はフランジ(大径部)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発進立坑(11)から到達立坑(12)に向かって元押し装置(1)により推進機(2)を推進させて該推進機(2)に後続する多数の管体(30)からなる地中管(3)を発進立坑(11)と到達立坑(12)間に埋設するようにした地中管推進埋設工法において、前記推進機(2)が発進立坑(11)と到達立坑(12)との間で推進不能になったときの補完方法であって、
推進不能になった推進機(2)が位置する場所に地上から該推進機(2)に達する深さの中間立坑(13)を形成し、
該中間立坑(13)内にある推進機(2)を既設の前半地中管(31)の先端から取外して、前記前半地中管(31)の先端(32)を中間立坑(13)の発進立坑側内面の近傍に開口させておく一方、
中間立坑(13)内で使用する元押し装置(4)として、該元押し装置(4)の後部側大部分の長さ範囲を前記前半地中管(31)の先端部内径より小さい小径部(42)とし且つ該元押し装置(4)の前端部を前記前半地中管(31)の先端部内径より大きい大径部(43)としたものを使用し、
中間立坑用の元押し装置(4)を、前記小径部(42)を中間立坑(3)内から前半地中管(31)の先端開口(33)内に挿入し且つ前記大径部(43)を前半地中管の先端(32)に係止させた状態で設置し、
中間立坑(13)から到達立坑(12)に向かって中間立坑用の元押し装置(4)により推進機(2)を推進させて該推進機(2)に後続する多数の管体(30)からなる後半地中管(35)を中間立坑(13)と到達立坑(12)間に埋設するようにした、
ことを特徴とする地中管推進埋設工法における推進不能の補完方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−162225(P2007−162225A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356075(P2005−356075)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(505457455)有限会社 大正建設 (1)
【Fターム(参考)】