説明

地図テキスト出力装置、方法及びシステム

【課題】ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる装置、方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る地図テキスト出力装置10は、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて地図テキスト出力装置10の位置を特定し、所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出し、特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータを抽出して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図テキスト出力装置、方法及びシステムに関する。特に、GPS(Global Positioning System)システムを利用した地図テキスト出力装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等の普及に伴い、個人がメッセージを発信する機会が増加している。そのメッセージを作成するためにデジタルデータを提供する様々なツールが存在する。その中でもデジタルカメラは、写真として撮影した静止画をデジタルデータとして記録することができ、ユーザは記録した画像をパソコンに転送し、パソコン上で加工したり、インターネット等を介して配布することが可能である。
【0003】
更に、ユーザの要望により、画像を記録するだけではなく、画像に関する付加的情報をも記録するデジタルカメラが出現するようになった。例えば、写真の撮影時に付加的情報を撮影と同時に記録する発明として、特許文献1に記載された発明が知られている。
【0004】
特許文献1には、カメラに備えられた記憶装置に依存することなく撮影ができて、撮影時の付加的情報が撮影と同時に記録される撮影端末装置の発明が記載されている。この撮影端末装置は、撮影対象を撮影して画像データを生成し、生成した画像データをリアルタイムに遠隔のサーバに送信する。更に、この撮影端末装置は、撮影場所の位置データを受信するためのGPSアンテナを備え、GPSアンテナより受信した信号を基に位置データを算出し、算出された位置データを画像データと関係付けてサーバに送信する。そして、画像の閲覧時に、保存した位置データを基に、撮影場所周辺の地図を地図DBから読み出して地図を作成し、その地図上に撮影場所を示す。
【特許文献1】特開2002−101369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、撮影した位置を地図上に示すことができるが、撮影した画像の地理情報を直接示すことはできない。すなわち、撮影した画像の具体的な地名等の地理情報を得るには、保存した位置データに基づいて改めて地理情報を求める必要がある。しかし、位置データに基づいてその位置から見えた山や川の名称等を求めることは必ずしも容易ではない。また、撮影した画像から求めることは画像識別等の技術が必要になり更に容易ではない。
【0006】
一方、ユーザは、インターネット等を介してメッセージを発信するために、容易にメッセージを作成できることを望んでいる。例えば、屋外でユーザが見た風景や建物等について、その風景の具体的な地理情報や名称等を簡単に取得できるのであれば、ユーザは、取得した地理情報や名称等を利用して、メールやブログ等を容易に作成することができる。
【0007】
そこで、ユーザが屋外等で出会った風景や建物等についての地図テキストデータを、出会った現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる装置が求められている。
【0008】
本発明は、ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる装置、方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1) 地図情報に含まれるテキストデータである地図テキストデータをユーザの操作に基づいて出力する地図テキスト出力装置であって、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて前記地図テキスト出力装置の位置を特定するGPS位置特定手段と、前記GPS位置特定手段が所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出する向き情報算出手段と、前記特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する前記地図テキストデータを抽出して出力する地図テキスト出力手段と、を備えることを特徴とする地図テキスト出力装置。
【0011】
(1)の構成によれば、本発明に係る地図テキスト出力装置は、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて地図テキスト出力装置の位置を特定し、所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出し、特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータを抽出して出力する。
【0012】
すなわち、本発明に係る地図テキスト出力装置は、特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータを抽出して出力する。したがって、本発明に係る地図テキスト出力装置は、ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる。そして、ユーザは、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【0013】
(2) 前記地図テキスト出力装置から出力すべき地図テキストデータまでの距離の指定操作をユーザから受け付ける距離指定操作受付手段を更に備え、前記地図テキスト出力手段は、前記指定操作を受け付けた距離に対応する地図テキストデータを抽出して出力することを特徴とする(1)に記載の地図テキスト出力装置。
【0014】
(2)の構成によれば、本発明に係る地図テキスト出力装置は、地図テキスト出力装置から出力すべき地図テキストデータまでの距離の指定操作をユーザから受け付け、受け付けた距離に対応する地図テキストデータを抽出して出力する。したがって、本発明に係る地図テキスト出力装置は、ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、距離を指定して現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる。そして、ユーザは、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【0015】
(3) 地図情報を管理する地図サーバと通信するサーバ通信手段を更に備え、前記サーバ通信手段は前記地図サーバから、前記特定した位置及び算出した向きに対応する前記地図テキストデータを逐次受信することを特徴とする(1)又は(2)に記載の地図テキスト出力装置。
【0016】
(3)の構成によれば、本発明に係る地図テキスト出力装置は、地図情報を管理する地図サーバから、特定した位置及び算出した向きに対応する地図テキストデータを逐次受信し、出力する。したがって、本発明に係る地図テキスト出力装置は、ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、地図サーバから現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる。そして、ユーザは、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【0017】
(4)地図情報に含まれるテキストデータである地図テキストデータをユーザの操作に基づいて出力する方法であって、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて位置を特定するステップと、所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出するステップと、前記特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する前記地図テキストデータを抽出して出力するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【0018】
(4)の構成によれば、本発明に係る方法は、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて位置を特定し、所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出し、特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータを抽出して出力する。したがって、本発明に係る方法は、ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる。そして、ユーザは、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【0019】
(5) 地図情報を管理する地図サーバと、地図情報に含まれるテキストデータである地図テキストデータをユーザの操作に基づいて出力する地図テキスト出力装置と、を備える地図テキスト出力システムであって、地図テキスト出力装置は、前記地図サーバと通信するサーバ通信手段と、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて前記地図テキスト出力装置の位置を特定するGPS位置特定手段と、前記GPS位置特定手段が所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出する向き情報算出手段と、前記サーバ通信手段を介して前記地図サーバから、前記特定した位置及び算出した向きに対応する前記地図テキストデータを逐次受信し、出力する地図テキスト出力手段と、を備え、前記地図サーバは、前記地図テキスト出力装置から、前記特定した位置及び算出した向きのデータを逐次受信し、受信したデータに対応する前記地図テキストデータを逐次送信する地図テキストデータ送信手段、を備える、ことを特徴とする地図テキスト出力システム。
【0020】
(5)の構成によれば、本発明に係る地図テキスト出力システムにおいて、地図テキスト出力装置は、全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて地図テキスト出力装置の位置を特定し、所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出し、地図情報を管理する地図サーバから、特定した位置及び算出した向きに対応する地図テキストデータを逐次受信し、出力する。したがって、本発明に係る地図テキスト出力システムは、ユーザが出会った自然物又は人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる。そして、ユーザは、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザに見えている風景や建物等についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できる装置、方法及びシステムを提供することができる。
【0022】
そして、ユーザは、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の特徴を示すブロック図である。
【0025】
地図テキスト出力装置10は、GPS位置特定手段としてGPS位置特定部11と、向き情報算出手段として向き情報算出部12と、地図テキスト出力手段として地図テキスト出力部13と、を備えている。
【0026】
GPS位置特定部11は、全地球測位システムであるGPS(Global Positioning System)の衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて位置を特定する。GPSシステムを利用して位置を特定する方法は、搬送波に載せられたコードの伝搬時間の測定による距離の測定が一般的である。この方法によると精度が数mオーダの位置を特定することができる。更に、搬送波の位相を測定するRTK−GPS (Real Time Kinematic GPS )により距離を測定する方法によると、精度が数cmオーダの位置を特定することができる。
【0027】
ここで、GPSシステムの概略を説明する。搬送波に載せられたコードによる測定方法では、GPS受信機は、GPS衛星が予め決められたタイミングで送信する信号を受信し、受信した信号に含まれる時刻情報とGPS受信機の時刻とを比較し時間差を算出する。算出した時間差に電波の伝播速度(光速C)を乗ずることによって、GPS受信機とGPS衛星との距離を測定する。
【0028】
搬送波の位相を測定するRTK−GPS方法では、GPS受信機は、同時に各GPS衛星からの搬送波を連続的に観測し,搬送波位相積算値を計測する。そして、位置が正確に分かっている基準局から送信された値を基に二重位相差を求めることにより、搬送波の波長ごとの不確定性(アンビギュイティ)を決定し、距離を測定する。
【0029】
このような方法により、GPS受信機は、3つの衛星との距離を測定し、測定した距離に基づいて交点を求め、位置を特定する。そして、GPS受信機は、4つ以上のGPS衛星を利用することにより、GPS受信機とGPS衛星との時刻誤差を補正すると共に、GPS衛星の幾何学的配置による誤差を補正している。
【0030】
更に、GPS受信機は、基準局を利用してディファレンシャル補正を行うことができる。基準局は、位置が正確に分かっている基準局自身の位置と、GPS衛星から受信した信号に基づいて求めた位置と、の測距誤差を求め、補正値として送信する。GPSシステムの誤差要因は空間的な相関があるので、離れた地点間でも測距誤差は同様である。そこで、GPS受信機は、測定した距離に基準局から受信した補正値を適用し、GPS受信機の位置を特定する。
【0031】
GPS位置特定部11は、上述したようにGPSシステムを利用して、地図テキスト出力装置10の位置を特定する。
【0032】
向き情報算出部12は、GPS位置特定部11が所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出する。例えば、ユーザが、ある山の地図テキストデータを得ようとして地図テキスト出力装置10をその山に振るとすると、向き情報算出部12は、地図テキスト出力装置10をその山に振る前と、その山に振った後との異なる位置に基づいて向きを算出することができる。そこで、向き情報算出部12は、一定の時間間隔でGPS位置特定部11が算出した位置を連続的に監視し、所定の時間(例えば、3秒)内に所定の距離(例えば、15cm)以上の差がある複数の位置を検出し、検出した複数の位置に基づいて向きを算出する。
【0033】
検出した異なる複数の位置は、例えば、地図テキスト出力装置10を持つユーザの腕を対象物に対して体の後方に振った状態の第1の位置と、その後に、地図テキスト出力装置10を持つユーザの腕を前方に振り、風景や建物等に向けた状態の第2の位置と、である。このように、地図テキスト出力装置10を所定の方向に振ることで、向きを特定することができる。地図上の向きは、特定した第1の位置の位置データ(緯度、経度)と、特定した第2の位置の位置データ(緯度、経度)とから、算出される。例えば、第1の位置をx1、y1とし、第2の位置をx2、y2とし、Δx=x2−x1、Δy=y2−y1とすると、Δy/Δx(ただし、Δxは0でない)が地図上の向きになる。
【0034】
あるいは、異なる複数の位置は、地図テキスト出力装置10の操作部2013(後述の図3参照)から、第1の位置であることが指定され、同様に第2の位置が指定されるとしてもよい。例えば、ユーザは、第1の位置であることを操作部2013から指定した後に、対象の風景や建物等へ数m移動した後に第2の位置であることを操作部2013から指定する。向き情報算出部12は、指定された第1の位置を基点とし、第2の位置を終点とした向きを算出することができる。GPS衛星に基づいて特定した位置の精度が得られない場合であっても、数mの移動で向きを算出することができる。
【0035】
向きの算出は、地磁気の大きさや方向を計測する地磁気センサ等との組合せで算出するとしてもよい。向き情報算出部12は、方向を検知する地磁気センサを用い、真北(地図上の北)との偏差を計算に入れることにより、より精度の良い地図上の向きを算出することができる。
【0036】
地図テキスト出力部13は、特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータを抽出して出力する。ここで、地図テキストデータは、地図情報に含まれるテキストデータであって、例えば、山や川等の自然物の名称等、建造物等の人工物の名称等、及びそれらに関する説明等を含むテキストデータであり、地図上の位置(緯度及び経度)と対応付けられている。そして、地図テキスト出力装置10は、コンピュータネットワーク等を介して地図情報を管理する地図サーバ31(後述する図2参照)等から地図テキストデータをダウンロードして記憶している。なお、地図テキスト出力装置10は、地図データを記憶している磁気ディスク等の記憶媒体から地図テキストデータをロードして記憶するとしてもよい。
【0037】
地図テキストデータの抽出は、記憶した地図テキストデータの中から、特定した位置及び算出した向きに基づいて行われる。すなわち、地図テキスト出力部13は、向き情報算出部12が算出した向き(地図テキスト出力装置10を振った向き)が、地図テキストデータの位置と、特定された地図テキスト出力装置10の位置とから算出される向きに一致する場合に、一致する地図テキストデータを抽出する。例えば、記憶している地図テキストデータを示す位置が(X1、Y1)とすると、地図テキスト出力装置10の位置(x1、y1)からの向きは、(Y1−y1)/(X1−x1)である。よって、地図テキスト出力部13は、この値と、向き情報算出部12が算出した向きΔy/Δxとの差が一定の範囲内であれば、同じ向きとして(X1、Y1)の地図テキストデータを抽出する。
【0038】
そして、地図テキスト出力部13は、抽出した地図テキストデータを出力する。すなわち、地図テキスト出力部13は、地図テキスト出力装置10の補助記憶部2015(後述する図3)に出力する。出力する際には、ユーザがブログの作成や、記録の作成等をする際に容易に利用することができるように、時間キー等をファイル名に含めてファイルを作成する。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の機能を示す機能ブロック図である。
【0040】
地図テキスト出力装置10は、図1の特徴に加え、距離指定操作受付手段として距離指定操作受付部14と、サーバ通信手段としてサーバ通信部15とを更に備えている。
【0041】
距離指定操作受付部14は、出力すべき地図テキストデータまでの距離の指定操作をユーザから受け付ける。そして、地図テキスト出力部13は、距離指定操作受付部14が指定操作を受け付けた距離に対応する地図テキストデータを抽出する。すなわち、地図テキスト出力部13は、特定した位置及び算出した向きに対応する抽出した地図テキストデータの中から、距離指定操作受付部14が受け付けた距離との差が一定の範囲内である位置の地図テキストデータを抽出する。
【0042】
サーバ通信部15は、地図情報を管理する地図サーバ31と通信する。すなわち、サーバ通信部15は地図サーバ31から、特定した位置及び算出した向きに対応する地図テキストデータを逐次受信する。そして、地図テキスト出力部13は、逐次受信した地図テキストデータの中から、向き情報算出部12が算出した向きとの差、及び距離指定操作受付部14が受け付けた距離との差、が一定範囲内の地図テキストデータを抽出して出力する。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、地図テキスト出力装置10は、CPU(Central Processing Unit)2011、メモリ2012、操作部2013、表示部2014、補助記憶部2015、ネットワーク通信I/F2040、GPS受信部2500、及び時計部2900がバスラインBUSにより接続されて構成されている。
【0045】
CPU2011は、地図テキスト出力装置10を統括的に制御する部分であり、メモリ2012に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0046】
操作部2013は、各種設定や入力操作を行う操作ボタン群、決定操作ボタン等を備えており、操作部2013による入力情報はCPU2011の制御下で処理される。すなわち、ユーザは、操作部2013を介して、向きを算出するための第1の位置及び第2の位置を指定する操作や、距離を入力する操作等が可能である。表示部2014は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electoro Luminescence)によって構成され、各種情報を表示する。すなわち、表示部2014は、地図テキストデータ等を表示する。
【0047】
補助記憶部2015は、フラッシュメモリ等により構成され、地図テキスト出力装置10が機能するための各種プログラム及び本発明の機能を実行するプログラムを記憶しており、更に、出力した地図テキストデータ等の各種データベースを構成可能である。
【0048】
ネットワーク通信I/F2040は、地図テキスト出力装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して地図データベースを保有するサーバ等と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。例えば、ネットワーク通信I/F2040を介して、地図サーバ31からの地図テキストデータの受信や、基準局からの測距誤差の受信をすることができる。
【0049】
GPS受信部2500は、GPS衛星から電波を受信する。GPS受信部2500は、無線通信に必要なアンテナ及びアンテナ信号処理回路等を含んで構成される。GPS受信部2500は、受信した電波に基づいて処理を行い、位置データを算出する。
【0050】
時計部2900は、時刻を計測する。計測した時刻のデータは、GPS受信部2500での位置データの算出に用いられる。
【0051】
なお、地図テキスト出力装置10は、いわゆるGPS受信機能付携帯端末であり、例えば、方位計を含むGPS携帯端末として実現してもよい。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係る算出位置テーブルを示す図である。
【0053】
算出位置テーブルは、GPS位置特定部11が特定した位置と時刻とを対応付けて記憶している。向き情報算出部12は、算出位置テーブルに記憶した位置及び時刻と、現在時刻及びGPS位置特定部11が算出した位置と、に基づいて所定の時間(例えば、3秒)内に所定の距離(例えば、15cm)以上の差がある複数の位置を検出する。例えば、図4の算出位置テーブルに記憶された位置及び時刻では、時刻13時1分13.02秒に特定した現在の位置が緯度35°43′15.023″、経度139°55′38.786″であり、2秒前の時刻13時1分11.02秒に特定した位置が緯度35°43′15.013″、経度139°55′38.768″であるので、2秒間に約60cm(緯度35度における緯度差0.01秒、経度差0.02秒に相当)の異なる位置を検出していることを示している。向き情報算出部12は、このような場合に向きを算出する。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態に係る地図テキストデータテーブルを示す図である。
【0055】
地図テキストデータテーブルは、地名等のテキストデータである地名と、地図上の位置と、を対応付けて記憶する。すなわち、地図テキストデータテーブルは、地図テキスト出力装置10が、コンピュータネットワーク等や磁気ディスク等の記憶媒体を介してロードした地図テキストデータを記憶している。地図テキスト出力部13は、GPS位置特定部11が特定した位置及び向き情報算出部12が算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータテーブルを検索し、検索した地図テキストデータの中から、一定範囲内の地図テキストデータを抽出して出力する。
【0056】
図6は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の処理内容を示すフローチャートである。なお、本処理は、例えば、プログラム開始指令を受け付けて開始し、プログラム終了指令を受け付けて終了する。
【0057】
ステップS101において、CPU2011は、現在位置を特定する。より具体的には、GPS受信部2500がGPS衛星からデータを受信し、距離を測定する。そして、4つ以上のGPS衛星及び基準局を利用して誤差を補正し、位置を特定する。そして、CPU2011は、GPS受信部2500が特定した位置及び現在時刻を算出位置テーブルに記憶する。その後、CPU2011は、処理をステップS102に移す。
【0058】
ステップS102において、CPU2011は、向き算出処理(後述する図7)を行い、向きを特定する。その後、CPU2011は、処理をステップS103に移す。
【0059】
ステップS103において、CPU2011は、向き算出処理が向きを特定したか否かを判断する。すなわち、CPU2011は、今回特定した位置及び記憶している過去の位置に基づいて、向き算出処理が向きを特定したか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS104に移し、NOの場合は処理をステップS101に移す。
【0060】
ステップS104において、CPU2011は、地図テキストデータを抽出する。より具体的には、CPU2011は、向き算出処理が特定した向きと、地図テキストデータテーブルに記憶している位置と現在位置との向きと、を比較し、一定の範囲内にある地図テキストデータを抽出する。そして、操作部2013が距離の指定を受け付けている場合には、受け付けた距離に基づき更に抽出する。CPU2011は、地図テキストデータテーブルが存在しない場合は、ネットワーク通信I/F部2040を介して地図サーバ31から、特定した位置及び算出した向きに対応する地図テキストデータを逐次受信し、受信した地図テキストデータの中から、抽出する。その後、CPU2011は、処理をステップS105に移す。
【0061】
ステップS105において、CPU2011は、地図テキストデータを出力する。すなわち、CPU2011は、抽出した地図テキストデータを補助記憶部2015に出力する。その後、CPU2011は、処理をステップS101に移す。
【0062】
図7は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の向き算出処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS201において、CPU2011は、過去の位置を取得する。より具体的には、CPU2011は、算出位置テーブルに記憶した前回の位置データを取得する。その後、CPU2011は、処理をステップS202に移す。
【0064】
ステップS202において、CPU2011は、所定の時間内か否かを判断する。すなわち、CPU2011は、取得した前回の位置を特定した時刻と、現在時刻と、の時刻差を算出し、算出した時刻差が所定の時間(例えば、3秒)内か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS203に移し、NOの場合は所定の時間内に特定した位置は存在しないので処理を終了し本処理に移る処理の次の処理へ戻る。
【0065】
ステップS203において、CPU2011は、所定の距離以上か否かを判断する。すなわち、CPU2011は、取得した前回の位置と、現在の位置と、の距離差を算出し、算出した距離差が所定の距離(例えば、15cm)以上であるか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をステップS204に移し、NOの場合は次の位置データを取得するために処理をステップS201に移す。
【0066】
ステップS204において、CPU2011は、現在の位置と取得した位置とに基づいて向きを特定する。より具体的には、CPU2011は、現在の位置(緯度及び経度)と、取得した位置(緯度及び経度)から向きを算出し、算出した向きを記憶し、向きを特定したことを記憶する。その後、CPU2011は、処理を終了し本処理に移る処理の次の処理へ戻る。
【0067】
図8は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の表示例を示す図である。図8の例は、地図テキスト出力装置10が特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する地図テキストデータを抽出して出力し、表示していることを示す例である。
【0068】
図8では、地図テキスト出力装置10が第1の位置501を特定し、同様に特定した第2の位置502が、例えば、3秒内に、15cm以上の差がある場合に、向き503を算出し、特定したことを示している。そして、図8は、第1の位置501を基点として、算出した向き503に基づいて対応する地図テキストデータを地図テキストデータテーブルから抽出し、抽出した地図テキストデータを補助記憶部2015に出力した後に、地図テキスト出力装置10の表示部2014に表示していることを示している。表示部2014に表示している内容は、第1の位置501を基点として、ユーザに見える川901及び城902等に対応する地図テキストデータとして、○○○城及び1km、○○○川及び1.5kmを表示していることを示し、その他に、第1の位置501を基点として、算出した向き503に存在するが、ユーザには見えない×××山及び3km、○○○町及び5km等を、地図テキストデータテーブルから抽出し、表示していることを示している。距離は、地図テキストデータに対応付けられた位置と、地図テキスト出力装置10との位置から算出することができる。ユーザは、第1の位置501を基点として、算出した向き503に存在する自然物及び人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できるので、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。なお、表示部2014に表示している内容の中から、ユーザが選択して出力し、記録するとしてもよい。必要な情報を現場で選択し、容易に記録することができるので、選択したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【0069】
また、向きを算出するための第1の位置501及び第2の位置502の特定は、例えば、操作部2013の位置特定ボタンを押し、押した時の位置とすることにより特定するとしてもよい。操作部2013の位置特定ボタンを用いることにより、移動しながら第1の位置501及び第2の位置502を特定することができる。GPS衛星に基づいて特定した位置の精度が得られない場合であっても、数mの移動で向きを算出することができる。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の別の表示例を示す図である。図9の例は、地図テキスト出力装置10が距離の指定操作を受け付け、受け付けた距離に対応する地図テキストデータを抽出して出力し、表示していることを示す例である。
【0071】
図9では、地図テキスト出力装置10が第1の位置501を基点として、算出した向き503に基づいて対応する地図テキストデータを地図テキストデータテーブルから検索し、検索した地図テキストデータの中から、受け付けた距離に基づいて抽出した地図テキストデータを補助記憶部2015に出力した後に、地図テキスト出力装置10の表示部2014に表示していることを示している。表示部2014に表示している内容は、距離入力欄103にユーザが指定した距離(例えば、1km)を表示し、地図テキストデータ表示欄102に現在位置と指定した距離(例えば、1km)との差が一定の範囲(例えば、500m)内であることを条件に抽出した地図テキストデータを表示していることを示している。また、風景表示欄101に表示している内容は、地図テキスト出力装置10が撮影装置を具備している場合には、第1の位置501から向き503を撮影した画像を表示していることを示している。ユーザは、第1の位置501を基点として、算出した向き503のうち指定した距離に存在する自然物及び人工物についての地図テキストデータを、現場で容易に取得し、出力し、又は記録できるので、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。なお、風景表示欄101に表示している画像と、地図テキストデータとを対応付けて出力し、記録するとしてもよい。必要な情報を現場で容易に記録することができるので、記録したデータをブログの作成や、記録の作成等をする際に利用することができる。
【0072】
実施例によれば、本発明に係る地図テキスト出力装置10は、GPS衛星からGPS受信部2500がデータを受信し、受信したデータに基づいて地図テキスト出力装置10の位置を特定し、記憶する。そして、地図テキスト出力装置10は、一定の時間間隔でGPS受信部2500が算出した位置を連続的に監視し、記憶した位置と取得した現在の位置とから、所定時間内に異なる複数の位置を検出し、検出した位置に基づいて向きを算出する。そして、特定した位置及び算出した向きに基づいて、地図テキストデータテーブルから対応する地図テキストデータを抽出して出力する。
【0073】
更に、本発明に係る地図テキスト出力装置10は、距離の指定操作をユーザから受け付け、受け付けた距離に対応する地図テキストデータを抽出して出力する。また、地図テキストデータテーブルが存在しない場合は、ネットワーク通信I/F部2040を介して地図サーバ31から、特定した位置及び算出した向きに対応する地図テキストデータを逐次受信し、受信した地図テキストデータの中から、抽出して出力する。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の特徴を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る算出位置テーブルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る地図テキストデータテーブルを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の向き算出処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の表示例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る地図テキスト出力装置10の別の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 地図テキスト出力装置
11 GPS位置特定部
12 向き情報算出部
13 地図テキスト出力部
14 距離指定操作受付部
15 サーバ通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報に含まれるテキストデータである地図テキストデータをユーザの操作に基づいて出力する地図テキスト出力装置であって、
全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて前記地図テキスト出力装置の位置を特定するGPS位置特定手段と、
前記GPS位置特定手段が所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出する向き情報算出手段と、
前記特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する前記地図テキストデータを抽出して出力する地図テキスト出力手段と、
を備えることを特徴とする地図テキスト出力装置。
【請求項2】
前記地図テキスト出力装置から出力すべき地図テキストデータまでの距離の指定操作をユーザから受け付ける距離指定操作受付手段を更に備え、
前記地図テキスト出力手段は、前記指定操作を受け付けた距離に対応する地図テキストデータを抽出して出力することを特徴とする請求項1に記載の地図テキスト出力装置。
【請求項3】
地図情報を管理する地図サーバと通信するサーバ通信手段を更に備え、
前記サーバ通信手段は前記地図サーバから、前記特定した位置及び算出した向きに対応する前記地図テキストデータを逐次受信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図テキスト出力装置。
【請求項4】
地図情報に含まれるテキストデータである地図テキストデータをユーザの操作に基づいて出力する方法であって、
全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて位置を特定するステップと、
所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出するステップと、
前記特定した位置及び算出した向きに基づいて対応する前記地図テキストデータを抽出して出力するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項5】
地図情報を管理する地図サーバと、地図情報に含まれるテキストデータである地図テキストデータをユーザの操作に基づいて出力する地図テキスト出力装置と、を備える地図テキスト出力システムであって、
地図テキスト出力装置は、
前記地図サーバと通信するサーバ通信手段と、
全地球測位システムであるGPSの衛星からデータを受信し、受信したデータに基づいて前記地図テキスト出力装置の位置を特定するGPS位置特定手段と、
前記GPS位置特定手段が所定時間内に連続して特定した異なる複数の位置に基づいて向きを算出する向き情報算出手段と、
前記サーバ通信手段を介して前記地図サーバから、前記特定した位置及び算出した向きに対応する前記地図テキストデータを逐次受信し、出力する地図テキスト出力手段と、を備え、
前記地図サーバは、
前記地図テキスト出力装置から、前記特定した位置及び算出した向きのデータを逐次受信し、受信したデータに対応する前記地図テキストデータを逐次送信する地図テキストデータ送信手段、を備える、
ことを特徴とする地図テキスト出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−66357(P2010−66357A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230638(P2008−230638)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】