地図データベース生成システム
【課題】 地図データベースの生成や更新等のための作業の効率を高めることにより、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】 道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号IDfに関連付けられた各地物の情報であって、位置情報を有する複数のノードN及び2個のノードN間をつなぐリンクLを有する道路ネットワークRとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報F1、各地物の形態を表す形態情報F2、情報としての精度を表す精度情報F3a、及び情報の取得時期を表す取得時期情報F3bを含む地物情報Fを格納する地物データベース2と、地物データベース2に格納された地物情報Fを出力する出力手段8と、出力手段8により出力された地物情報Fに基づいて生成された、地図データベース3を構成する地図情報Mを入力するための入力手段5と、を備える。
【解決手段】 道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号IDfに関連付けられた各地物の情報であって、位置情報を有する複数のノードN及び2個のノードN間をつなぐリンクLを有する道路ネットワークRとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報F1、各地物の形態を表す形態情報F2、情報としての精度を表す精度情報F3a、及び情報の取得時期を表す取得時期情報F3bを含む地物情報Fを格納する地物データベース2と、地物データベース2に格納された地物情報Fを出力する出力手段8と、出力手段8により出力された地物情報Fに基づいて生成された、地図データベース3を構成する地図情報Mを入力するための入力手段5と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナビゲーションシステム等に好適に利用される電子的な地図データベースの生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子的な地図データベースの生成システムとして、例えば、下記の特許文献1には、以下のようなシステムが開示されている。このシステムの構成を図15に示す。このシステムは、汎用コンピュータに所定のプログラムをインストールすることにより構成された地図データ生成装置101を中核とし、線分としてのリンク及びリンクの交点であるノードにより定義される道路データベース102と、航空写真103とに基づいて、道路データベース102のリンクに対して属性情報の設定を行い、新たな地図データベースを生成する。ここで、属性情報は、リンクについて構造や通行規制等の情報である。この属性情報としては、具体的には、歩道、中央分離帯、高架、信号機、橋、トンネル、横断歩道、駐車場、一方通行、進入禁止、通行止、はみ出し禁止、車線数等が例示されている。
【0003】
地図データ生成装置101は、コマンド入力部104、データベース参照部105、ポリゴン生成部106、パターンデータベース107、パターン解析部108、属性設定部109、及び結果出力部110を備えている。コマンド入力部104は、キーボード、マウスなどの操作を通じてオペレータからのコマンドを入力する。データベース参照部105は、入力されたコマンドに基づき、道路データベース102及び航空写真103を参照する。ポリゴン生成部106は、道路データベース102に定義された各リンクから所定面積の閉図形(以下、ポリゴンと称する)を生成する。パターンデータベース107は、航空写真103に含まれる種々の画像パターンとその属性とを対応づけて記憶したデータベースである。このパターンデータベース107には、例えば、駐車場のように車枠を構成する短い線分が一定間隔で配置されたパターンと「駐車場」という属性とを対応付け、或いは、センターラインのような黄色い線分と「はみ出し禁止」という属性情報とをパターンデータベース107で対応付けて記憶している。パターン解析部108は、航空写真103を読み込み、そこに含まれる画像パターンをパターンデータベース107に基づいて解析する。属性設定部109は、パターン解析部108の解析結果に基づいて、道路データベース102のリンクに対して属性情報を設定する。結果出力部110は、属性設定部109による設定結果を受けて、各リンクに属性情報を対応付け、新たな地図データベースを出力する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−195747号公報(第5−6頁、第10−11頁、第3図、第17図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のシステムでは、航空写真103を解析して属性情報を取得し、それを道路データベース102のリンクに対応付けて新たな地図データベースを生成する。ここで、属性情報としては、上記のとおり、歩道、中央分離帯、高架、信号機、橋、トンネル、横断歩道、駐車場、一方通行、進入禁止、通行止、はみ出し禁止、車線数等が含まれている。これらの属性情報のほとんどは、航空写真103に表されている情報に対して一定の解釈を行った結果の情報となっている。例えば、一方通行や進入禁止等の属性情報は、交通標識の内容や配置等を解釈した結果として得られる情報となっている。
【0006】
そのため、地図データベースの更新の作業が非効率的なものにならざるを得ないという問題があった。すなわち、地図データベースの更新は、新たな航空写真103や計測車両による調査結果等による最新の現地情報が取得された場合に、地図データベースに表されている情報に対する経時変化の有無を判断し、変化がある場合にはその内容を地図データベースに反映させることにより行う。この際、航空写真103等の現地情報を地図データベースと比較することにより経時変化の有無を判断するが、そのためには、地図データベースに表されている解釈後の情報である属性情報から過去の航空写真103等の現地情報に表されていた情報を類推し、それと最新の現地情報とを比較する必要がある。したがって、地図データベースの更新の際の作業負荷が大きく非効率的であり、更には、その正確さも作業者の経験や技量に大きく影響を受けるものとなっていた。
【0007】
また、地図データベースの機能や表現方法等の変更のために、地図データベースに必要な情報が増加した場合には、前回の航空写真103や計測車両による調査等による情報収集からあまり日時が経過していない場合であっても、再度、情報収集を行う必要がある。そのため、重複する情報収集のための費用の無駄が多く非効率的であるという問題があった。
【0008】
以上のことから、これまでの地図データベースの生成システムでは、地図データベースの生成や更新等のための作業が非効率的であるために、それらの費用が高くなり、地図データベースを正確性が高く高鮮度なものとすることは困難であった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地図データベースの生成や更新等のための作業の効率を高めることにより、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが可能な地図データベース生成システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る地図データベース生成システムの特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するためのシステムであって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力手段と、前記出力手段により出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報を入力するための入力手段と、を備える点にある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、地図情報に関して「生成」とは、地図情報の新規生成及び更新の双方を含む概念である。
【0011】
この特徴構成によれば、地図データベース生成システムは、道路ネットワークとは独立した、すなわち道路ネットワークを構成するノード及びリンクとは関連付けられていない各地物の空間的配置や形態等により各地物を現実に近い状態で表現した地物情報を有する地物データベースを備え、この地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成することになる。したがって、航空写真、計測車両による調査結果、工事図面等による最新の現地情報が取得された場合に、当該現地情報に対する解釈をほとんど必要とせずに地物情報との比較を行うことができるので、比較的容易に地物情報の変化を抽出し、地図情報に反映させることが可能となる。これにより、地図データベースの更新のための作業の効率及び正確性を高めることができ、高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0012】
また、地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成するので、地図データベースの機能や表現方法等を変更する際にも、追加的に必要となる地図情報が地物データベースに格納されている地物情報から生成可能である場合には、当該追加的に必要となる地図情報を取得するためだけに再度の情報収集を行う必要がない。したがって、地図データベースの機能や表現方法等を変更する作業も効率的に行うことが可能となる。
【0013】
更に、地物データベースに格納された地物情報は、精度情報及び取得時期情報も含んでいるので、重複する地物について精度や取得時期が異なる複数の地物情報を地物データベースに適切に格納することができる。そして、このような重複する複数の地物情報の中から地図情報の生成に要求される精度や取得時期等の条件に応じて適切な地物情報を選択することが可能となるので、地図情報を生成する際の作業の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0014】
また、道路及び道路周辺に存在する地物の情報を、一定のデータ形式をもった地物情報として地物データベースに格納しているので、地図データベースを構成する地図情報を生成する処理の自動化又は半自動化を比較的容易に行うことが可能となる。したがって、地図データベースの生成や更新等のための作業の効率及び正確性を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0015】
ここで、前記出力手段により出力する地物情報として、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備える構成とすると好適である。
【0016】
この構成によれば、地物データベースに格納されている複数の地物情報の中から、各地物情報に含まれる情報に基づいて、地図データベースを構成する地図情報の生成に必要な地物情報を抽出して出力手段に出力することが可能となる。したがって、例えば生成する地図情報の精度に応じた精度の地物情報や地図情報の更新期間に応じた取得時期の地物情報等のみを抽出することができるので、地図情報を生成する際の作業の効率を高めることができ、要求される条件に適合した地図データベースを生成することが容易になる。
【0017】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を、前記出力手段に出力可能に生成する更新手段を更に備える構成とすると好適である。
【0018】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報の変化の内容を表す更新情報を生成し、出力手段に出力することが可能となるので、地図データベースを更新する際の作業の効率を高めることができ、高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0019】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を、前記出力手段により出力する地物情報として選択する精度選択手段を更に備える構成とすると好適である。
【0020】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在する場合に、地図情報の生成に最適な精度の地物情報を選択し、出力手段に出力することが可能となるので、地図データベースの更新のための作業の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0021】
本発明に係る地図データベース生成システムのもう一つの特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するためのシステムであって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する地図情報生成手段と、を備える点にある。
【0022】
この特徴構成によれば、地図データベース生成システムは、道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置や形態等により各地物を現実に近い状態で表現した地物情報を有する地物データベースを備え、この地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成する。したがって、航空写真、計測車両による調査結果、工事図面等による最新の現地情報が取得された場合に、当該現地情報に基づいて地物情報を更新することによって、更新した地物情報に基づいた地図情報の生成を行うことが可能となる。これにより、地図データベースの更新のための作業の効率を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0023】
また、地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成するので、地図データベースの機能や表現方法等を変更する際にも、追加的に必要となる地図情報が地物データベースに格納されている地物情報から生成可能である場合には、当該追加的に必要となる地図情報を取得するためだけに再度の情報収集を行う必要がない。したがって、地図データベースの機能や表現方法等の変更も効率的に行うことができる。
【0024】
更に、地物データベースに格納された地物情報は、精度情報及び取得時期情報も含んでいるので、重複する地物について精度や取得時期が異なる複数の地物情報を地物データベースに適切に格納することができる。そして、このような重複する複数の地物情報の中から地図情報の生成に要求される精度や取得時期の条件に応じて適切な地物情報を選択して地図情報を生成するので、地図データベースの生成の際の処理の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0025】
ここで、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備え、前記地図情報生成手段は、前記抽出手段により抽出された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する構成とすると好適である。
【0026】
この構成によれば、地物データベースに格納されている複数の地物情報の中から、各地物情報に含まれる情報に基づいて、地図データベースを構成する地図情報の生成に必要な地物情報を抽出することが可能となる。したがって、例えば生成する地図情報の精度に応じた精度の地物情報や地図情報の更新期間に応じた取得時期の地物情報等のみを抽出することができるので、地図情報を生成する際の処理の効率を高めることができ、要求される条件に適合した地図データベースを生成することが容易になる。
【0027】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を生成する更新手段を更に備え、前記地図情報生成手段は、前記更新情報に基づいて、前記地図情報を更新する構成とすると好適である。
【0028】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報の変化の内容を表す更新情報を生成し、この更新情報に基づいて地図情報を更新するので、地図データベースを更新する際の処理の効率を高めることができ、高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0029】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を選択する精度選択手段を更に備え、前記地図情報生成手段は、前記精度選択手段により選択された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する構成とすると好適である。
【0030】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在する場合に、地図情報の生成に最適な精度の地物情報を選択し、この選択された地物情報に基づいて地図情報を生成するので、地図データベースの更新や変更のための処理の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0031】
また、前記地物データベースは、同一の地物についての地物情報には、少なくとも一部が共通する識別符号を付した構成とすることができる。
【0032】
これにより、地物情報の識別符号の共通性に基づいて、同一の地物を容易に抽出可能となる。また、取得時期情報が異なる2つ以上の地物情報の間で、少なくとも一部が共通する識別符号が付されているか否かに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を容易に抽出することが可能となる。
【0033】
また、前記地物情報として格納される地物は、道路上に設けられたペイント地物、交通規制を表す交通規制地物、及び道路の領域を画定する道路領域画定地物の何れか一つ以上を含む構成とすることができる。
これにより、地図データベースの内容に応じて地図情報の生成に必要な地物情報を地物データベースに格納しておくことができる。
【0034】
また、前記道路属性情報は、前記道路ネットワーク上の一点に関連付けられた地点型属性情報、前記道路ネットワークに沿った一定の区間に関連付けられた区間型属性情報、及び前記道路ネットワーク上の1のノード及び当該ノードに接続する1又は2以上のリンクに関連付けられた経路型属性情報の何れか一つ以上を備える構成とすることができる。
これにより、道路属性情報を、その情報の性質に応じて道路ネットワークに適切に関連付けた地図データベースを生成することができる。
【0035】
ここで、前記地図データベースは、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースとして好適である。
【0036】
本発明に係る地図データベース生成方法の特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための方法であって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力ステップと、前記出力ステップにより出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、を備える点にある。
【0037】
この特徴構成によれば、上記と同様の理由により、地図データベースの生成、更新、或いは地図データベースの機能や表現方法等の変更等のための作業の効率を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0038】
本発明に係る地図データベース生成方法のもう一つの特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための方法であって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する点にある。
【0039】
この特徴構成によれば、上記と同様の理由により、地図データベースの生成、更新、或いは地図データベースの機能や表現方法等の変更等のための処理の効率を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図である。この地図データベース生成システムは、作業者による地図データベース3の生成を支援する支援システムとなっている。そして、図1に示すように、この地図データベース生成システムは、地物データベース2と、地図データベース3と、これらに対してアクセス可能に接続された汎用のコンピュータ4に後述する各手段の機能を実現するためのプログラムをインストールすることにより構成されたシステム本体1と、を有している。ここでは、システム本体1は、入力手段5、地物情報抽出手段6、出力情報生成手段7、出力手段8、及び地図情報生成作業領域9を備えている。
【0041】
1.地物データベース2
地物データベース2は、道路及び道路周辺に存在する地物についての情報を、各地物に固有の識別符号IDfに関連付けられた地物情報Fとして格納しているデータベースである。図2は、地物データベース2の内容の一部を表す概念図である。図1及び図2に示すように、地物データベース2は、基本的には、道路及び道路周辺に存在する地物の情報を、出典情報に基づいて現地の状況を忠実にデータ化したデータベースであり、各地物情報Fは、後述するようにノードN及びリンクLにより構成される道路ネットワークRとは独立して定義されている。そして、各地物情報Fは、配置情報F1、形態情報F2、及び出典情報F3を含んで構成されている。地物情報Fとして地物データベース2に格納される地物としては、図2に示すように、例えば、レーン境界ペイント11、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15、記号ペイント等の道路上に設けられたペイント地物、標識10(図2では、進入禁止標識10a及び速度規制標識10bを示す)、信号機、遮断機、停止線12、方向矢印ペイント14等の交通規制を表す交通規制地物、及びレーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物等が含まれている。また、これらの他にも、地物としては、例えば、マンホール、非常電話、横断歩道13、トンネル、橋梁、線路、歩道橋等が含まれる。また、現実に存在する物ではないが、道路の各地点の勾配、標高、カント等も地物情報Fに含めることができる。なお、レーン境界ペイント11は、ペイント地物と道路領域画定地物の両方に該当し、方向矢印ペイント14は、ペイント地物と交通規制地物の両方に該当する。図2にはこれらの地物の内のごく一部のみが表されており、この図2に表れている地物には符号を付している。ここで、一つの地物の単位は、任意に設定可能であるが、各地物の機能を考慮した最小単位とすると好適である。
【0042】
識別符号IDfは、各地物に付される固有の符号である。この際、異なる出典元情報D(図4参照)に基づく同一の地物についての地物情報Fには共通する識別符号IDfを付する。共通する識別符号IDfとしては、例えば、下数桁のみ異なる符号等とすると好適である。図1に示す識別符号IDは一例であり、ここでは識別符号IDfの「A0001」等の上5桁の符号が共通し、「−」符号以下の「003」等の下3桁の符号のみが異なる場合に同一地物とする。したがって、既に地物情報Fが整備されている絶対座標上の領域に関して新たな出典元情報Dが取得された場合に、過去の地物情報Fに表された地物の状態に対して変化がない地物についての地物情報Fには共通する識別符号IDfが付与される。一方、新たに追加された地物についての地物情報Fには、新たな識別符号IDfが付与される。撤去された地物についての地物情報Fの識別符号IDfは無効にされる。また、地物の配置や形態等の内容について変更があった地物については、過去の地物が撤去されて新たな地物が追加されたのと同様に考えることができる。したがって、変更後の新たな地物情報Fには変更前の地物情報Fとは異なる新たな識別符号IDfが付与され、変更前の地物情報Fの識別符号IDfは無効にされる。以下では、追加、撤去、又は変更(追加及び撤去)のあった地物を全て含めて「過去の地物の状態に対して変化があった地物」とし、このような地物の追加、撤去、又は変更(追加及び撤去)を含めて「地物の状態の変化」という。ここで、地物の状態の変化の有無の判断は、新たな出典元情報Dが取得された絶対座標上の領域と同じ領域についての地物データベース2に格納されている過去の地物情報Fとの比較により行う。また、過去の地物情報Fであるか否かは出典情報F3の中の取得時期情報F3bに基づいて決定される。なお、出典元情報Dとは、後述するように、航空写真、計測車両情報、各種図面等の現地の状況を表す情報である。
【0043】
配置情報F1は、道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置として、緯度及び経度で表される絶対座標上の点、線、面等の配置を表す情報である。この配置情報F1は、例えば、標識10、信号機、マンホール、非常電話、遮断機等の地物であればその位置を代表する点(ポイント)の配置、レーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、停止線12、横断歩道13、トンネル、線路等の地物であればその中心形状を表す線(ポリライン)の配置、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15、記号ペイント、歩道橋、建物、水域等の地物であればその領域を表す面(ポリゴン)の配置を表す情報となる。
【0044】
形態情報F2は、各地物の種別、形状、色彩、大きさ等の形態を表す情報である。この形態情報F2は、例えば、地物が標識10の場合には、当該標識10の内容を表す種別、向き、道路面からの高さ、標識サイズ等の情報を含む。地物がレーン境界ペイント11の場合には、線種別、面(ポリゴン)形状、色、幅、表面突起の有無等の情報を含む。地物が停止線12の場合には、面(ポリゴン)形状、幅等の情報を含む。地物が横断歩道13の場合には、面(ポリゴン)形状、線幅等の情報を含む。地物が方向矢印ペイント14の場合には、進行方向の指示内容を表す種別、方向矢印が配置される領域の面(ポリゴン)形状、基準点、色、線幅等の情報を含む。地物が文字・数字ペイント15の場合には、文字・数字の内容、文字・数字が配置される領域の面(ポリゴン)形状、基準点、色、線幅等の情報を含む。
【0045】
出典情報F3は、地物情報Fが生成された際の元となった情報の出典に関する情報であり、地物情報Fの情報としての精度を表す精度情報F3a、及び地物情報Fの取得時期を表す取得時期情報F3bを含んで構成されている。図3は、出典情報F3の内容を示す図である。この図に示すように、この出典情報F3は、情報項目として、出典識別符号16、出典種類17、出典縮尺18、位置精度19、形態精度20、出典年月日時分21、及び地物情報生成年月日22を有している。
【0046】
ここで、出典識別符号16は、出典元情報D(図4参照)のそれぞれに固有の符号であり、例えば航空写真や図面等であれば1枚毎、計測車両や現地調査による動画像であれば1ファイル毎に異なる符号が割り当てられている。出典種類17は、その地物情報Fが生成された出典元情報Dの種類であり、ここでは、1:航空写真、2:計測車両、3:工事図面、4:現地調査、5:衛星写真、6:都市計画図、7:国土基本図、8:住宅地図等がある。出典縮尺18は、出典元情報Dである図面等の縮尺である。なお、縮尺の概念が存在しない動画等が出典元情報Dである場合には出典縮尺18は存在しない。位置精度19は、地物情報Fの絶対座標上の配置に関する位置精度の情報である。ここでは、位置精度19は、出典種類17や出典縮尺18等に基づいて算出され、単位は〔cm〕で表されている。形態精度20は、地物情報Fの形態情報F2を構成する各情報の中の形状や大きさ等に関するものの精度の情報である。ここでは、形態精度20は、出典種類17や出典縮尺18等に基づいて設定されるレベルを表す整数値で表れている。出典年月日時分21は、出典元情報Dが取得された年月日及び時分の情報である。この出典年月日時分21としては、例えば、航空写真や計測車両による動画像等であればそれが撮影された年月日時分が用いられ、図面等であればそれが作成された年月日時分が用いられる。地物情報生成年月日22は、出典元情報Dに基づいて地物情報Fが生成された年月日の情報である。
本実施形態においては、出典種類17、出典縮尺18、位置精度19、及び形態精度20が精度情報F3aを構成し、出典年月日時分21及び地物情報生成年月日22が取得時期情報F3bを構成する。
【0047】
2.地物データベース生成システム23
図4は、以上のような地物データベース2を生成するための地物データベース生成システム23の概略構成を示す説明図である。この地物データベース生成システム23は、作業者による地物データベース2の生成及び更新を支援する支援システムとなっている。そして、図4に示すように、この地物データベース生成システム23は、地物データベース2に対してアクセス可能に接続された汎用のコンピュータ24に、後述する各手段の機能を実現するためのプログラムをインストールすることにより構成されている。ここでは、地物データベース生成システム23は、出典元情報取得手段25、地物情報生成補助手段26、出力手段27、入力手段28、及び地物情報生成作業領域29を備えている。
【0048】
出典元情報取得手段25は、航空写真、計測車両情報、各種図面等の出典元情報Dを取得するための手段である。この出典元情報取得手段25は、例えば、コンピュータ24にデータを読み込ませるための記録メディアのドライブや通信ポート等により構成される。
【0049】
入力手段28は、地物データベース生成システム23を構成するコンピュータ24に対して、作業者が命令や情報等の入力を行う手段である。ここでは、入力手段28は、コンピュータ24のキーボード24bや図示しないマウス等により構成される。作業者は、後述するように、出力手段27に出力される出典元情報Dの内容や地物情報生成補助手段26により生成された作業補助情報の内容等に基づいて、入力手段28を用いて、新規生成及び更新を含む地物情報Fの生成のための命令や情報の入力を行う。この入力手段28による作業者からの入力に従って、地物情報生成作業領域29内に新たな又は変更された地物情報Fが生成される。
【0050】
地物情報生成補助手段26は、取得された出典元情報Dに基づく作業者による地物情報Fの生成作業を補助するための手段であり、地物情報Fの生成作業を補助するための作業補助情報を生成して出力手段27に出力するとともに、地物情報Fの生成のための各種処理の結果を地物情報生成作業領域29に出力する。この地物情報生成補助手段26により生成される作業補助情報としては、出典元情報Dに基づく地物情報Fの生成作業を行う際の命令項目(コマンド)のグラフィカル・ユーザ・インタフェースや編集用画像等が含まれる。ここで、地物情報生成補助手段26は、作業者による地物情報Fの生成作業を補助するために、ペイント地物を抽出するための二値化処理等の画像処理や分析処理等を出典元情報Dに対して行い、その処理結果を、地物情報生成作業領域29に出力するとともに出力手段に出力して編集用画面として表示する。また、地物情報生成補助手段26により生成する編集用画像には、取得された出典元情報Dの一部又は全部の内容と当該出典元情報Dに含まれているのと同じ絶対座標上の領域の過去の地物情報Fとを対比可能に表示する画像を含むと好適である。これにより、作業者は、取得された出典元情報Dと過去の地物情報Fとの間での地物の状態の変化の有無の判断を行うことができる。したがって、新たに生成した地物情報Fの過去の地物情報Fに対する状態の変化の有無に応じて共通の識別符号IDf又は新たな識別符号IDfを付与する作業や、変更前又は撤去された地物についての地物情報Fの識別符号IDfを無効にする作業等を容易に行うことができる。
【0051】
出力手段27は、取得された出典元情報Dの内容や地物情報生成補助手段26により生成された作業補助情報の内容等を出力する手段である。ここでは、出力手段27はコンピュータ24のモニタ24aにより構成されており、各種情報を表示出力する。なお、図示しないがプリンタ等の他の出力装置を用いて出力手段27を構成してもよい。
【0052】
地物情報生成作業領域29は、地物情報Fの生成(新規生成及び更新を含む)のための作業用のメモリ領域であり、作業途中の地物情報Fや、作業補助情報の内容等が一時的に格納される。この地物情報生成作業領域29内に生成された地物情報Fは、入力手段28からの命令に従って地物データベース2に入力される。
【0053】
3.地図データベース3
地図データベース3は、地図情報Mとして、ノードN及びリンクLを有する道路ネットワークRと、この道路ネットワークRに関連付けられた道路属性情報Aとを有するデータベースである。各地図情報M(各ノードN、各リンクL、各道路属性情報A)は、それぞれに固有の識別符号IDmに関連付けられて地図データベース3に格納されている。ここでは、地図データベース3は、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースである。図5及び図6は、図2に示された地物データベース2に対応する部分の地図データベース3の内容を表す概念図である。これらの図に示すように、道路ネットワークRは、緯度及び経度で表される絶対座標上の位置情報を有する多数のノードNと、2個のノードN間をつなぐ多数のリンクLを有して構成されている。ここで、図5(a)及び図6(a)に示すように、ノードNは、交差点の中心に配置される。また、リンクLは、道路形状に従って道路の幅方向中央付近に配置される。道路ネットワークRは、レーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物についての地物情報Fに基づいて生成される。
【0054】
ここで、道路属性情報Aには、大きく分けて地点型属性情報A1、区間型属性情報A2、及び経路型属性情報A3の3種類がある。地点型属性情報A1は、道路ネットワークR上の一点に関連付けられた道路属性情報Aである。図5は、地点型属性情報A1の具体例を示している。すなわち、この図には、具体例として、標識10、停止線12、横断歩道13、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15についての情報が地点型属性情報A1として示されている。これらの地点型属性情報A1は、道路ネットワークR上に設定される基準点Pの位置情報である基準点情報、この基準点Pに対するオフセット距離、方位、面や線の配置等により実際の位置を表す配置情報を有している。また、地点型属性情報A1は、一定の進行方向に対してのみ必要な情報については、リンクLに沿った方向を規定する方向情報Wも有している。
【0055】
具体的には、標識10についての道路属性情報Aは、図5(b)に示すように、実際の位置に最も近い道路ネットワークR上の位置に設定された基準点Pの位置情報である基準点情報、この基準点Pに対するオフセット距離及び方位で実際の位置を表す配置情報、当該標識が対象とする進行方向を規定する方向情報W、「進入禁止」や「30km/hの最高速度制限」等の標識の種別を表す種別情報、標識の大きさを表す標識サイズ情報、道路面からの高さ情報等が含まれる。停止線12についての道路属性情報Aは、図5(c)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する停止線12の中心線の配置を表す配置情報、当該停止線が対象とする進行方向を規定する方向情報W、線幅の情報及び線色の情報等が含まれる。横断歩道13についての道路属性情報Aは、図5(d)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する横断歩道13が設けられている面領域の配置を表す配置情報、線の本数の情報、線幅の情報、線色の情報、外枠の有無の情報等が含まれる。方向矢印ペイント14についての道路属性情報Aは、図5(e)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する各矢印ペイントの矢印基点に設定される補助基準点Qの位置情報である補助基準点情報、各補助基準点Qを基点とする矢印ペイントの種別情報、線幅の情報、線色の情報等が含まれる。文字・数字ペイント15についての道路属性情報Aは、図5(f)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する文字・数字ペイント15が設けられている面領域の配置を表す配置情報、文字・数字の内容情報、線幅の情報、線色の情報等が含まれる。これらの地点型属性情報A1は、それぞれ標識10、停止線12、横断歩道13、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15についての地物情報Fに基づいて生成される。
【0056】
区間型属性情報A2は、道路ネットワークRに沿った一定の区間に関連付けられた道路属性情報Aである。経路型属性情報A3は、道路ネットワークR上の1のノードN(交差点)及び当該ノードNに接続する1又は2以上のリンクLに関連付けられた道路属性情報Aである。図6は、区間型属性情報A2及び経路型属性情報A3の具体例を示している。すなわち、この図には、区間型属性情報A2の具体例として速度規制区間の情報が示され、経路型属性情報A3の具体例として1つのノードN(交差点)に集まる複数のリンクL間での進行可能方向の情報が示されている。
【0057】
区間型属性情報A2は、1つのリンクL内、又は複数のリンクLに跨って設定される区間情報、当該区間内での進行方向に関するリンクLに沿った方向を規定する方向情報、及び当該区間の種別や内容を表す主題情報等を有している。具体的には、例えば図6(b)に示す速度規制区間についての区間型属性情報A2は、1つのリンクLの全域に区間が設定された区間情報と、両方向(方向なし)に設定された方向情報と、30km/hの最高速度制限という規制種別を表す主題情報を有している。この速度規制区間についての区間型属性情報A2は、当該リンクLの両端部付近に設けられた「30km/hの最高速度制限」を表す速度規制標識10bの地物情報Fに基づいて生成される。このような区間型属性情報A2としては、この他にも、車線数、駐停車禁止区間等の前記速度規制と同様に特定の区間の交通規制を表す情報、トンネルや橋梁等の特定の道路構造を有する区間の情報、各区間での道路の勾配、標高、カント等の情報等が含まれる。
【0058】
経路型属性情報A3は、道路ネットワークR上の1のノードN(交差点)及び当該ノードNに接続する1又は2以上のリンクLに関連付けられた方向性を有する経路情報、及び当該経路の種別や内容を表す主題情報等を有している。具体的には、例えば図6(c)に示す進行可能方向についての経路型属性情報A3は、1つのノードN(交差点)に集まる4本のリンクL間での進行可能な経路を表す経路情報と、進入禁止という規制原因を表す主題情報とを有している。この進行可能方向についての経路型属性情報A3は、ノードNに接続する1つのリンクLの当該接続部付近に設けられた進入禁止標識10aの地物情報Fに基づいて生成される。このような経路型属性情報A3としては、この他にも、時期的な通行規制の情報、階段等の物理的要因による規制の情報等が含まれる。
【0059】
また、上記の他に、各地図情報Mは、それぞれがその生成元となった1又は2以上の地物情報Fの識別符号IDfの情報を有している。ここでは、図7に示すように、地図データベース3は、各地図情報Mの識別符号IDmに関連付けて、各地図情報Mの生成元の地物情報Fの識別符号IDfの情報を格納するテーブルを有している。これにより、後述するように、地物情報Fの変化の結果を地図データベース3に格納されている地図情報Mに反映させる作業を容易に行うことができるようになる。
【0060】
4.入力手段5
入力手段5は、システム本体1を構成するコンピュータ4に対して、作業者が命令や情報等の入力を行う手段である。ここでは、入力手段5は、コンピュータ4のキーボード4bや図示しないマウス等により構成される。作業者は、この入力手段5を用いて、地物情報Fに基づいて地図情報Mを生成するための地物情報抽出手段6及び出力情報生成手段7による補助的処理の実行命令を入力し、また、当該補助的処理の結果として出力手段8により出力された地物情報Fに基づいて地図情報Mを生成するための情報を地図情報生成作業領域9に入力する。
【0061】
5.地物情報抽出手段6
地物情報抽出手段6は、新規生成及び更新を含む地図情報Mの生成に要求される条件に適合する地物情報Fを、地物データベース2の中から抽出する処理を行う手段である。ここでは、地物情報抽出手段6は、主として地図情報Mの新規生成のための地物情報Fの抽出処理を行う条件適合地物抽出手段31、同一地物検出手段32、及び選択手段33と、主として地図情報Mの更新のための地物情報Fの抽出処理を行う変化地物抽出手段34、及び更新情報生成手段35とを有している。この地物情報抽出手段6により地物データベース2から抽出された地物情報F、又は後述する地物情報Fを含む更新情報は、出力情報生成手段7へ出力される。
本実施形態においては、この地物情報抽出手段6が、本発明における「抽出手段」を構成する。
【0062】
条件適合地物抽出手段31は、各地物情報Fに含まれる配置情報F1、形態情報F2、及び出典情報F3の何れか一つ以上に基づいて、地図情報Mの生成に要求される条件(以下「地図情報生成条件」という。)に適合する地物情報Fを抽出するための手段である。ここで、地図情報生成条件は、作業者により入力手段5から入力される。この際、作業者は、後述する出力情報生成手段7により生成された地図生成補助情報に従って必要な地図情報生成条件を入力手段5により入力する。地図情報生成条件としては、例えば、地図情報Mを生成する絶対座標上の領域を規定する生成領域条件、生成しようとする地図情報Mの内容としての道路ネットワークRや道路属性情報Aの種別等の内容を規定する内容条件、地図情報Mの生成のために要求される精度を規定する精度条件、地図情報Mの生成のために要求される鮮度(地物情報Fの取得時期の新しさ)を規定する鮮度条件等が含まれる。ここで、地図情報生成条件として精度条件や鮮度条件を含めることにより、一定のレベルより精度の低い地物情報Fや鮮度が悪い(取得時期が古い)地物情報Fを地図情報Mの生成に用いる地物情報Fから除外することが可能となる。そして、条件適合地物抽出手段31は、前記生成領域条件に適合する地物情報Fは配置情報F1に基づいて、前記内容条件に適合する地物情報Fは形態情報F2に基づいて、前記精度条件に適合する地物情報Fは出典情報F3に含まれる精度情報F3aに基づいて、前記鮮度条件に適合する地物情報Fは出典情報F3に含まれる取得時期情報F3bに基づいて、それぞれ地物データベース2から抽出する処理を行う。
【0063】
同一地物検出手段32は、条件適合地物抽出手段31により抽出された地物情報Fの中から同一地物についての複数の地物情報Fの有無を検出するための手段である。本実施形態においては、同一地物であるか否かの判断は、抽出された各地物情報Fの識別符号IDfに基づいて行う。すなわち、本実施形態においては、条件適合地物抽出手段31により抽出された中に、共通する識別符号IDfが付された地物情報Fがある場合には同一の地物と判断する。なお、同一の地物について複数の地物情報Fが存在する場合としては、例えば、同じ絶対座標上の領域について異なる出典種類17(図3参照)の情報が重複して存在する場合や、同じ出典種類17であっても出典年月日時分21(図3参照)が異なる情報が重複して存在する場合等がある。
【0064】
選択手段33は、同一地物検出手段32により検出された同一地物についての複数の地物情報Fの中から適切な地物情報Fを選択するための手段である。この際、選択手段33は、出典情報F3の中の精度情報F3aに基づいて、適切な精度の地物情報を選択する処理を行う。具体的には、選択手段33は、例えば、同一地物についての複数の地物情報Fの中から最も精度が高い地物情報Fを選択する処理を行うことができる。上記のとおり、本実施形態においては、精度情報F3aは、出典種類17、出典縮尺18、位置精度19、及び形態精度20により構成されている。そこで、地物情報Fの精度の高さは、例えば、これらの精度情報F3aを構成する各情報の内容に応じて精度レベルを規定するテーブルを用いること等により判断することができる。この場合、本実施形態における同一地物検出手段32及び選択手段33は、本発明における「精度選択手段」を構成する。また、選択手段33は、出典情報F3の中の取得時期情報F3bに基づいて、適切な地物情報Fを選択する処理を行う構成とすることも可能である。具体的には、選択手段33は、例えば、同一地物についての複数の地物情報Fの中から取得時期が最も新しい地物情報Fを選択する処理を行うことができる。上記のとおり、本実施形態においては、取得時期情報F3bは、出典年月日時分21及び地物情報生成年月日22により構成されている。そこで、地物情報Fの取得時期の新しさは、例えば、これらの取得時期情報F3bを構成する各情報の内容に応じて鮮度レベルを規定するテーブルを用いること等により判断することができる。また、選択手段33は、出典情報F3中の精度情報F3a及び取得時期情報F3bの双方に基づいて、精度と鮮度のバランスが良い適切な地物情報Fを選択する処理を行う構成とすることも可能である。
【0065】
変化地物抽出手段34は、各地物情報Fの識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ以上と、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出するための手段である。上記のとおり、過去の地物の状態に対して変化があった地物には、過去の地物の状態に対して追加、撤去、又は変更(追加及び撤去)のあった地物が全て含まれる。本実施形態においては、変化地物抽出手段34は、新たな出典元情報Dが取得されたことによる地物データベース2内の地物情報Fの追加、削除、又は変更等を、各地物情報Fの識別符号IDf及び取得時期情報F3bに基づいて検出し、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fとして抽出する処理を行う。上記のとおり、追加された地物についての地物情報Fには新たな識別符号IDfが付与され、撤去された地物についての地物情報Fの識別符号IDfは無効にされ、変更された地物についての地物情報Fには新たな識別符号IDfが付与されるとともに変更前の地物情報Fの識別符号IDfは無効にされる。したがって、具体的には、変化地物抽出手段34は、過去の地物情報Fの識別符号IDとは異なる新たな識別符号IDfが付与された地物情報F、又は識別符号IDが無効とされた過去の地物情報Fを地物データベース2から抽出する。この際、過去の地物情報Fであるか否かは出典情報F3の中の取得時期情報F3bに基づいて決定される。
【0066】
更新情報生成手段35は、変化地物抽出手段34により変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成するための手段である。ここでは、更新情報は、変化地物抽出手段34により変化が検出された地物情報Fについて、変化の前後の状態を対比可能に出力手段8に出力するために必要な情報とする。具体的には、更新情報は、地物が新たに追加された場合には、対応する過去の地物情報Fが存在しないこと、及び新たに追加された地物についての地物情報Fを含む情報となる。また、更新情報は、地物が撤去された場合には、対応する新たな地物情報Fが存在しないこと、及び過去の地物情報Fを含む情報となる。更新情報は、地物が変更された場合には、変更前の過去の地物情報Fと変更後の新たな地物情報Fとを含む情報となる。そして、更新情報生成手段35により生成された更新情報は、出力情報生成手段7へ送られ、出力手段8に出力可能な情報とされて出力手段8により出力される。
本実施形態においては、変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35が、本発明における「更新手段37」を構成する。
【0067】
6.出力情報生成手段7
出力情報生成手段7は、地図情報Mの生成作業の補助のための地図生成補助情報Sを、出力手段8に出力可能に生成するための手段である。ここでは、出力情報生成手段7は、道路ネットワークRの生成作業の補助ための出力情報を生成する道路ネットワーク生成補助手段38と、道路属性情報Aの生成作業の補助ための出力情報を生成する道路属性情報生成補助手段39とを有している。図8は、道路ネットワーク生成補助手段38により生成される道路ネットワーク生成補助情報S1の一例を示す図である。図9は、道路属性情報生成補助手段39により生成される道路属性情報生成補助情報S2の一例を示す図である。
【0068】
図8に示すように、道路ネットワーク生成補助手段38は、道路ネットワークRを生成するために必要な地物情報F、具体的にはレーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物についての地物情報Fを抽出し、出力手段8に出力可能な地物画像情報S1aとして生成する。また、道路ネットワーク生成補助手段38は、地物画像情報S1aに基づいて、作業者が道路ネットワークRの生成作業を行う際の命令項目(コマンド)のグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1bも生成する。道路ネットワーク生成補助情報S1は、地物画像情報S1aが表示された画面枠に隣接してグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1bが配置されて構成されている。そして、作業者は、出力手段8に出力されたグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1bに含まれる命令項目(コマンド)を選択し、地物画像情報S1aが表示された画面枠上でノードNやリンクLの入力及び編集を行うことにより、道路ネットワークRの生成を行う。この道路ネットワークRの生成作業中の情報は、一時的に地図情報生成作業領域9に格納される。
【0069】
図9に示すように、道路属性情報生成補助手段39は、道路属性情報Aを生成するために必要な各種の地物情報Fを抽出し、道路ネットワークRと合成して、出力手段8に出力可能な地物画像情報S2aとして生成する。このような道路属性情報Aを生成するために必要な地物情報Fには、地物データベース2に格納されているほぼ全ての地物情報Fが該当する。また、道路属性情報生成補助手段39は、地物画像情報S2aに基づいて、作業者が道路属性情報Aの生成作業を行う際の命令項目(コマンド)のグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S2bも生成する。道路属性情報生成補助情報S2は、地物画像情報S2aが表示された画面枠に隣接してグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S2bが配置されて構成されている。そして、作業者は、出力手段8に出力されたグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S2bに含まれる命令項目(コマンド)を選択し、地物画像情報S2aが表示された画面枠上で道路ネットワークRに関連付けて各種の道路属性情報Aの入力及び編集を行うことにより、道路属性情報Aの生成を行う。この道路属性情報Aの生成作業中の情報は、一時的に地図情報生成作業領域9に格納される。
【0070】
また、上記のとおり、出力情報生成手段7は、更新情報生成手段35により生成された更新情報を、出力手段8に出力可能に生成する。この更新情報は、それに含まれる地物情報Fについての地物画像情報S1a又はS2aとして、上記の道路ネットワーク生成補助情報S1又は路属性情報生成補助情報S2と組み合わされて出力手段8に出力される。作業者は、更新情報に含まれる地物情報Fに基づいて、道路ネットワーク生成補助情報S1又は道路属性情報生成補助情報S2を用いて、道路ネットワークR又は道路属性情報Aの更新を行う。
【0071】
7.出力手段8
出力手段8は、出力情報生成手段7により生成された、地物情報Fを含む道路ネットワーク生成補助情報S1、道路属性情報生成補助情報S2、及び更新情報等を出力する手段である。ここでは、出力手段8はコンピュータ4のモニタ4aにより構成されており、上記の各情報を表示出力する。なお、図示しないがプリンタ等の他の出力装置を用いて出力手段8を構成してもよい。
【0072】
8.地図情報生成作業領域9
地図情報生成作業領域9は、道路ネットワークR及び道路属性情報Aを含む地図情報Mの生成(新規生成及び更新を含む)のための作業用のメモリ領域であり、作業途中の地図情報Mや、地図生成補助情報Sの内容等が一時的に格納される。この地物情報生成作業領域9内に生成された地図情報Mは、入力手段5からの命令に従って地図データベース3に入力される。これにより地図データベース3の生成や更新が行われる。
【0073】
9.地図情報Mの生成処理方法
次に、本実施形態に係る地図データベース生成システムによる、地図情報Mを生成するための処理方法について、図10に示すフローチャートに従って説明する。図10は、本実施形態に係る地図情報Mの生成処理方法を示すフローチャートである。
【0074】
図10に示すように、入力手段5により地図情報Mの新規生成処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#01:YES)、地図情報Mの新規生成処理を行う。そのため、地物情報抽出手段6の条件適合地物抽出手段31により、地図情報生成条件に適合する地物情報Fを抽出する処理を行う(ステップ#02)。なお、地図情報Mの新規生成処理の実行命令には、地図情報生成条件が含まれる。そして、同一地物検出手段32及び選択手段33により、同一地物の検出及び検出された同一地物の中からの適切な地物情報Fの選択を行う(ステップ#03)。そして、出力情報生成手段7により、図8に示す道路ネットワーク生成補助情報S1や図9に示す道路属性情報生成補助情報S2等の地図生成補助情報Sを生成する(ステップ#04)。次に、生成した地図生成補助情報Sを出力手段8に出力する(ステップ#05)。そして、作業者による地図情報Mの入力を受け付ける(ステップ#06)。作業者は、地図生成補助情報Sに含まれるグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1b又はS2bを用いて地図情報Mの入力を行う。地図情報Mの生成が完了するまでは(ステップ#07:NO)地図情報Mの入力を受け付ける。その後、地図情報Mの生成が完了した場合には(ステップ#07:YES)、生成された地図情報Mを地図データベース3に格納する(ステップ#08)。
【0075】
一方、地図情報Mの新規生成処理の実行命令ではなく(ステップ#01:NO)、入力手段5により地図情報Mの更新処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#09:YES)、地図情報Mの更新処理を行う。そのため、地物情報抽出手段6の変化地物抽出手段34により、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する(ステップ#10)。そして、更新情報生成手段35により、ステップ#10で変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成する(ステップ#11)。次に、更新情報に含まれる地物情報Fに関して、出力情報生成手段7により、地図生成補助情報Sを生成する(ステップ#04)。以降のステップ#05〜#08の処理は上記のとおりである。
【0076】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について図面に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図である。この地図データベース生成システムのシステム本体1は、上記第一の実施形態における出力情報生成手段7に代えて、地図情報Mを自動生成するための地図情報生成手段41、及び変化があった地物に関連して更新が必要な地図情報Mを抽出するための更新地図情報抽出手段44を備えている。そして、この地図データベース生成システムは、上記第一の実施形態において作業者が行っていた地図情報Mの生成(新規生成及び更新を含む)の処理をシステムが自動的に行う点において上記第一の実施形態と異なる。地物データベース2及び地図データベース3の内容については、上記と同様である。以下、本実施形態に係るシステム本体1の各部の構成について説明する。
【0077】
1.入力手段5
入力手段5は、システム本体1を構成するコンピュータ4に対して、作業者が命令や情報等の入力を行う手段である。ここでは、入力手段5は、コンピュータ4のキーボード4bや図示しないマウス等により構成される。作業者は、この入力手段5を用いて、地物情報Fに基づいて新規生成及び更新を含む地図情報Mの生成処理の実行命令や、それらの処理の実行の際の条件となる地図情報生成条件等の情報を入力する。この入力手段5から入力された命令や条件等に従って、地物情報抽出手段6及び地図情報生成手段41は処理を実行する。この際、地物情報抽出手段6は、入力手段5により入力された処理の実行命令や地図情報生成条件に従って適合する地物情報Fを地物データベース2から抽出し、地図情報生成手段41は、抽出された地物情報Fに基づいて地図情報Mを生成する処理を行う。
【0078】
2.地物情報抽出手段6
地物情報抽出手段6は、新規生成及び更新を含む地図情報Mの生成に要求される条件に適合する地物情報Fを、地物データベース2の中から抽出する処理を行う手段である。ここでは、地物情報抽出手段6は、主として地図情報Mの新規生成のための地物情報Fの抽出処理を行う条件適合地物抽出手段31、同一地物検出手段32、及び選択手段33と、主として地図情報Mの更新のための地物情報Fの抽出処理を行う変化地物抽出手段34、及び更新情報生成手段35とを有している。そして、入力手段5により地図情報Mの新規生成処理の実行命令が入力された場合には、条件適合地物抽出手段31、同一地物検出手段32、及び選択手段33による地物情報Fの抽出処理が行われ、入力手段5により地図情報Mの更新処理の実行命令が入力された場合には、変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35により地物情報Fの抽出処理が行われる。この地物情報抽出手段6により地物データベース2から抽出された地物情報F、又は後述する地物情報Fを含む更新情報は、地図情報生成手段41へ出力される。
本実施形態においては、この地物情報抽出手段6が、本発明における「抽出手段」を構成する。
【0079】
条件適合地物抽出手段31は、各地物情報Fに含まれる配置情報F1、形態情報F2、及び出典情報F3の何れか一つ以上に基づいて、地図情報Mの生成に要求される地図情報生成条件に適合する地物情報Fを抽出するための手段である。ここで、地図情報生成条件は、入力手段5から入力された地図情報Mの新規生成や更新等の処理条件や、地図情報生成手段41において生成する地図情報Mの内容等に応じて設定される。地図情報生成条件の内容については、上記第一の実施形態と同様とすることができる。
【0080】
同一地物検出手段32及び選択手段33の構成は、上記第一の実施形態と同様とすることができる。その場合、同一地物検出手段32及び選択手段33は、本発明における「精度選択手段」を構成する。
【0081】
変化地物抽出手段34は、各地物情報Fの識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ以上と、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出するための手段である。また、更新情報生成手段35は、変化地物抽出手段34により変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成するための手段である。これら変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35の構成は、上記第一の実施形態と同様とすることができる。その場合、変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35が、本発明における「更新手段37」を構成する。
【0082】
3.更新地図情報抽出手段44
更新地図情報抽出手段44は、更新情報生成手段35により生成された更新情報に含まれる、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての過去の地物情報Fに基づいて、更新が必要な地図情報Mを抽出するための手段である。具体的には、更新地図情報抽出手段44は、地図データベース3に格納された図7に示すテーブルを用いることにより、地図情報Mの抽出を行う。すなわち、地図データベース3は、各地図情報Mの識別符号IDmに関連付けて、各地図情報Mの生成元の地図情報Mの識別符号IDfの情報を格納するテーブルを有している。そこで、更新地図情報抽出手段44は、図7に示すテーブルに基づいて、更新情報に含まれる過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mを抽出する。
【0083】
4.地図情報生成手段41
地図情報生成手段41は、地物情報抽出手段6により抽出された地物情報F又は地物情報Fを含む更新情報に基づいて、地図データベース3を構成する地図情報Mを生成する処理を行う手段である。ここでは、地図情報生成手段41は、道路ネットワークRを生成する道路ネットワーク生成手段42と、道路属性情報Aを生成する道路属性情報生成手段43と、これら道路ネットワーク生成手段42及び道路属性情報生成手段43による地図情報Mの生成(新規生成及び更新を含む)の処理のための作業用のメモリ領域となる地図情報生成作業領域9と、を有している。
【0084】
道路ネットワーク生成手段42は、道路ネットワークRを生成するために必要な地物情報F、具体的にはレーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物についての地物情報Fを用いて、道路ネットワークRを構成するノードN及びリンクLを生成する処理を行う。具体的には、まず、道路領域画定地物についての地物情報Fの中から、道路の幅方向両端の位置を決定する。そして、決定された道路の幅方向両側の位置に基づいて、道路の幅方向中央位置を決定する。この処理を対象となる領域内の全ての道路領域画定地物の地物情報Fについて行う。そして、決定された道路の幅方向中央位置をつないだ線の交点をノードNとして設定する。次に、道路の長さ方向に存在する隣接する2個のノードN間をつなぐ線をリンクLとして設定する。以上の処理により、道路ネットワークRを生成する。
【0085】
道路属性情報生成手段43は、道路属性情報Aを生成するために必要な各種の地物情報Fを用いて、道路ネットワークRに関連付けられた各種の道路属性情報Aを生成する処理を行う。具体的には、まず、地物情報Fに含まれる配置情報F1に基づいて、当該地物情報Fに示される地物の位置から最も近い道路ネットワークR上の位置に基準点Pを設定する。そして、この基準点Pに対するオフセット距離、方位、面や線の配置等により地物の位置を表す配置情報を生成する。その後、地物情報Fに含まれる形態情報F2に基づいて、方向情報W、種別情報、主題情報等の上述した道路属性情報Aを構成する各種情報を、道路属性情報Aの内容に応じて設定する。以上の処理により、道路属性情報Aを生成する。
【0086】
なお、地図情報生成手段41は、地物情報Fを含む更新情報に基づいて、地図データベース3を構成する地図情報Mを生成する処理を行う場合には、更新地図情報抽出手段44による抽出結果を用いる。すなわち、地図情報生成手段41は、更新地図情報抽出手段44により抽出された地図情報Mのみを地図データベース3から取り出し、更新情報に含まれる地物情報Fに基づいて地図情報Mの更新を行う。このようにすることで、地図情報生成手段41での処理の負荷を少なくすることができる。
【0087】
5.出力手段8
出力手段8は、入力手段5により入力可能な命令や条件等の情報を出力するとともに、地図情報生成手段41による地図情報Mの生成結果や生成処理中の状態等を出力する手段である。ここでは、出力手段8はコンピュータ4のモニタ4aにより構成されており、上記の各情報を表示出力する。なお、図示しないがプリンタ等の他の出力装置を用いて出力手段8を構成してもよい。
【0088】
6.地図情報Mの生成処理方法
次に、本実施形態に係る地図データベース生成システムによる、地図情報Mを生成するための処理方法について、図12〜14に示すフローチャートに従って詳細に説明する。図12は、本実施形態に係る地図情報Mの生成処理方法の全体を示すフローチャートである。図13は、図12に示すフローチャートのステップ#23の「地図情報Mの新規生成」処理の詳細を示すフローチャートである。図14は、図12に示すフローチャートのステップ#24の「地図情報Mの更新」処理の詳細を示すフローチャートである。
【0089】
図12に示すように、入力手段5により地図情報Mの新規生成処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#21:YES)、地図情報Mの新規生成処理を行う(ステップ#23)。なお、地図情報Mの新規生成処理(ステップ#23)の実行命令には、地図情報生成条件として、少なくとも地図情報Mを生成する絶対座標上の領域を規定する生成領域条件が含まれる。一方、地図情報Mの新規生成処理の実行命令ではなく(ステップ#21:NO)、入力手段5により地図情報Mの更新処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#22:YES)、地図情報Mの更新処理を行う(ステップ#24)。そして、地図情報Mの新規生成処理又は更新処理により生成された地図情報Mは、地図データベース3に格納される(ステップ#25)。これにより、地図情報Mの生成処理は終了する。
【0090】
図13に示すように、地図情報Mの新規生成処理(ステップ#23)では、まず、地図データベース3を検索して、地図情報生成条件としての生成領域条件に規定される絶対座標上の領域内に、既に道路ネットワークRが生成されているか否かについて判断する(ステップ#31)。道路ネットワークRが未だ生成されていない場合には(ステップ#31:NO)、まず、道路ネットワークRの生成を行う。そのため、地物情報抽出手段6の条件適合地物抽出手段31により、地図情報生成条件に適合する道路領域画定地物についての地物情報Fを抽出する処理を行う(ステップ#32)。そして、同一地物検出手段32及び選択手段33により、同一地物の検出及び検出された同一地物の中からの適切な地物情報Fの選択を行う(ステップ#33)。そして、地図情報生成手段41の道路ネットワーク生成手段42により、道路ネットワークRの生成処理を行う(ステップ#34)。この道路ネットワークRの生成処理(ステップ#34)は、ステップ#32において抽出された、生成領域条件に規定される絶対座標上の領域内に含まれる道路領域画定地物についての地物情報Fの全てに関して終了するまで行われる(ステップ#35)。
【0091】
一方、道路ネットワークRが既に生成されている場合には(ステップ#31:YES)、道路ネットワークRの生成処理は行わず、道路属性情報Aの生成処理のみを行う。そのため、地物情報抽出手段6の条件適合地物抽出手段31により、地図情報生成条件に適合する地物情報Fを抽出する処理を行う(ステップ#36)。そして、同一地物検出手段32及び選択手段33により、同一地物の検出及び検出された同一地物の中からの適切な地物情報Fの選択を行う(ステップ#37)。そして、地図情報生成手段41の道路属性情報生成手段43により、道路属性情報Aの生成処理を行う(ステップ#38)。この道路属性情報Aの生成処理(ステップ#38)は、ステップ#36において抽出された、生成領域条件に規定される絶対座標上の領域内に含まれる地物についての地物情報Fの全てに関して終了するまで行われる(ステップ#39)。そして、以上により地図情報Mの新規生成処理(ステップ#23)は終了する。
【0092】
図14に示すように、地図情報Mの更新処理(ステップ#24)では、まず、地物情報抽出手段6の変化地物抽出手段34により、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する(ステップ#41)。そして、更新情報生成手段35により、ステップ#41で変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成する(ステップ#42)。次に、更新地図情報抽出手段44により、ステップ#42で生成された更新情報に示される過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mを抽出する(ステップ#43)。更新情報に示される過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mが抽出された場合には(ステップ#44:YES)、変化した地物の状態に合わせるために、当該抽出された地図情報Mの更新を行う。すなわち、抽出された地図情報Mの中に道路ネットワークRを構成する地図情報Mがある場合には(ステップ#45:YES)、まず、当該抽出された道路ネットワークRの更新処理を行う(ステップ#46)。抽出された地図情報Mの中に道路ネットワークRを構成する地図情報Mがない場合には(ステップ#45:NO)、ステップ#46の処理は行わない。次に、抽出された地図情報Mの中に道路属性情報Aを構成する地図情報Mがある場合には(ステップ#47:YES)、当該抽出された道路属性情報Aの更新処理を行う(ステップ#48)。抽出された地図情報Mの中に道路属性情報Aを構成する地図情報Mがない場合には(ステップ#47:NO)、ステップ#48の処理は行わない。
【0093】
一方、更新情報に示される過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mが抽出されない場合には(ステップ#44:NO)、更新情報に道路領域画定地物についての地物情報Fが含まれるか否かについて判断する(ステップ#50)。そして、更新情報に道路領域画定地物についての地物情報Fが含まれる場合には(ステップ#50:YES)、当該道路領域画定地物についての地物情報Fに基づいて、地図情報生成手段41の道路ネットワーク生成手段42により、道路ネットワークRの生成処理を行う(ステップ#51)。更新情報に道路領域画定地物についての地物情報Fが含まれない場合には(ステップ#50:NO)、当該地物情報Fに基づいて、地図情報生成手段41の道路属性情報生成手段43により、道路属性情報Aの生成処理を行う(ステップ#52)。以上のステップ#43〜#52の処理は、更新情報に含まれる地物情報Fの全てに関して終了するまで行われる(ステップ#49)。そして、以上により地図情報Mの更新処理(ステップ#24)は終了する。
【0094】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態においては、変化地物抽出手段34が、各地物情報Fの識別符号IDf及び取得時期情報F3bに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fとして抽出する具体例について説明した。しかし、更新手段37を構成する変化地物抽出手段34が、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fとして抽出する方法はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、配置情報F1及び形態情報F2と、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する構成とすることも好適な実施形態の一つである。この場合、識別符号IDfの付与の方法とは無関係に、配置情報F1及び形態情報F2に基づいて直接的に地物情報Fの変化を抽出することができる。また、この他にも、変化地物抽出手段34は、識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ、又はこれらの任意の組み合わせと、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する構成とすることができる。
【0095】
(2)上記の各実施形態においては、同一地物検出手段32が、条件適合地物抽出手段31により抽出された地物情報Fの中から同一地物についての複数の地物情報Fの有無を検出する際の判断を、抽出された各地物情報Fの識別符号IDfに基づいて行う具体例について説明した。しかし、同一地物であるか否かの判断方法はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、配置情報F1及び形態情報F2に基づいて行うことも好適な実施形態の一つである。その場合の判断基準は、例えば、配置情報F1に示される地物の空間的配置がほぼ同一であり、なおかつ、形態情報F2に示される地物の形態に関して一致する項目が一つ以上ある場合等に、同一の地物と判断すること等が可能である。また、この他にも、同一地物検出手段32は、識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ、又はこれらの任意の組み合わせに基づいて、同一地物についての複数の地物情報Fの有無を検出する構成とすることができる。
【0096】
(3)上記第一の実施形態においては、地図データベース生成システムは、作業者による地図データベース3の生成を支援する支援システムとなっており、上記第二の実施形態においては、地図データベース3の生成を自動的に行う地図データベース自動生成システムとなっている。本発明は、これらを組み合わせ、一部の地図情報Mについてはシステムが自動的に生成し、残りの地図情報Mについては作業者による生成を支援するシステムとすることも好適な実施形態の一つである。
【0097】
(4)上記の各実施形態においては、地図データベース3が、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースである場合を例として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。したがって、例えば、持ち運び可能な携帯機器に実装される歩行者や自転車等のための地図データベースや、航空機や船舶等で使用するための地図データベース等、様々な地図データベースの生成システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図
【図2】地物データベースの内容の一部を表す概念図
【図3】地物情報に含まれる出典情報の内容を示す図
【図4】地物データベース生成システムの概略構成を示す説明図
【図5】地図データベースの内容(地点型属性情報の具体例)を表す概念図
【図6】地図データベースの内容(区間型属性情報及び経路型属性情報の具体例)を表す概念図
【図7】各地図情報の生成元の地物情報の識別符号の情報を格納するテーブル
【図8】道路ネットワーク生成補助情報の一例を示す図
【図9】道路属性情報生成補助情報の一例を示す図
【図10】本発明の第一の実施形態に係る地図データベース生成システムによる地図情報の生成処理方法を示すフローチャート
【図11】本発明の第二の実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図
【図12】本発明の第二の実施形態に係る地図データベース生成システムによる地図情報の生成処理方法の全体を示すフローチャート
【図13】図12に示すフローチャートのステップ#23の「地図情報Mの新規生成」処理の詳細を示すフローチャート
【図14】図12に示すフローチャートのステップ#24の「地図情報Mの更新」処理の詳細を示すフローチャート
【図15】背景技術に係る地図データベースの生成システムの概略構成を示す説明図
【符号の説明】
【0099】
1:システム本体
2:地物データベース
3:地図データベース
5:入力手段
6:地物情報抽出手段(抽出手段)
8:出力手段
36:精度選択手段
37:更新手段
41:地図情報生成手段
M:地図情報
R:道路ネットワーク
N:ノード
L:リンク
A:道路属性情報
A1:地点型属性情報
A2:区間型属性情報
A3:経路型属性情報
F:地物情報
F1:配置情報
F2:形態情報
F3:出典情報
F3a:精度情報
F3b:取得時期情報
IDf:識別符号
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナビゲーションシステム等に好適に利用される電子的な地図データベースの生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子的な地図データベースの生成システムとして、例えば、下記の特許文献1には、以下のようなシステムが開示されている。このシステムの構成を図15に示す。このシステムは、汎用コンピュータに所定のプログラムをインストールすることにより構成された地図データ生成装置101を中核とし、線分としてのリンク及びリンクの交点であるノードにより定義される道路データベース102と、航空写真103とに基づいて、道路データベース102のリンクに対して属性情報の設定を行い、新たな地図データベースを生成する。ここで、属性情報は、リンクについて構造や通行規制等の情報である。この属性情報としては、具体的には、歩道、中央分離帯、高架、信号機、橋、トンネル、横断歩道、駐車場、一方通行、進入禁止、通行止、はみ出し禁止、車線数等が例示されている。
【0003】
地図データ生成装置101は、コマンド入力部104、データベース参照部105、ポリゴン生成部106、パターンデータベース107、パターン解析部108、属性設定部109、及び結果出力部110を備えている。コマンド入力部104は、キーボード、マウスなどの操作を通じてオペレータからのコマンドを入力する。データベース参照部105は、入力されたコマンドに基づき、道路データベース102及び航空写真103を参照する。ポリゴン生成部106は、道路データベース102に定義された各リンクから所定面積の閉図形(以下、ポリゴンと称する)を生成する。パターンデータベース107は、航空写真103に含まれる種々の画像パターンとその属性とを対応づけて記憶したデータベースである。このパターンデータベース107には、例えば、駐車場のように車枠を構成する短い線分が一定間隔で配置されたパターンと「駐車場」という属性とを対応付け、或いは、センターラインのような黄色い線分と「はみ出し禁止」という属性情報とをパターンデータベース107で対応付けて記憶している。パターン解析部108は、航空写真103を読み込み、そこに含まれる画像パターンをパターンデータベース107に基づいて解析する。属性設定部109は、パターン解析部108の解析結果に基づいて、道路データベース102のリンクに対して属性情報を設定する。結果出力部110は、属性設定部109による設定結果を受けて、各リンクに属性情報を対応付け、新たな地図データベースを出力する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−195747号公報(第5−6頁、第10−11頁、第3図、第17図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のシステムでは、航空写真103を解析して属性情報を取得し、それを道路データベース102のリンクに対応付けて新たな地図データベースを生成する。ここで、属性情報としては、上記のとおり、歩道、中央分離帯、高架、信号機、橋、トンネル、横断歩道、駐車場、一方通行、進入禁止、通行止、はみ出し禁止、車線数等が含まれている。これらの属性情報のほとんどは、航空写真103に表されている情報に対して一定の解釈を行った結果の情報となっている。例えば、一方通行や進入禁止等の属性情報は、交通標識の内容や配置等を解釈した結果として得られる情報となっている。
【0006】
そのため、地図データベースの更新の作業が非効率的なものにならざるを得ないという問題があった。すなわち、地図データベースの更新は、新たな航空写真103や計測車両による調査結果等による最新の現地情報が取得された場合に、地図データベースに表されている情報に対する経時変化の有無を判断し、変化がある場合にはその内容を地図データベースに反映させることにより行う。この際、航空写真103等の現地情報を地図データベースと比較することにより経時変化の有無を判断するが、そのためには、地図データベースに表されている解釈後の情報である属性情報から過去の航空写真103等の現地情報に表されていた情報を類推し、それと最新の現地情報とを比較する必要がある。したがって、地図データベースの更新の際の作業負荷が大きく非効率的であり、更には、その正確さも作業者の経験や技量に大きく影響を受けるものとなっていた。
【0007】
また、地図データベースの機能や表現方法等の変更のために、地図データベースに必要な情報が増加した場合には、前回の航空写真103や計測車両による調査等による情報収集からあまり日時が経過していない場合であっても、再度、情報収集を行う必要がある。そのため、重複する情報収集のための費用の無駄が多く非効率的であるという問題があった。
【0008】
以上のことから、これまでの地図データベースの生成システムでは、地図データベースの生成や更新等のための作業が非効率的であるために、それらの費用が高くなり、地図データベースを正確性が高く高鮮度なものとすることは困難であった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地図データベースの生成や更新等のための作業の効率を高めることにより、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが可能な地図データベース生成システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る地図データベース生成システムの特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するためのシステムであって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力手段と、前記出力手段により出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報を入力するための入力手段と、を備える点にある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、地図情報に関して「生成」とは、地図情報の新規生成及び更新の双方を含む概念である。
【0011】
この特徴構成によれば、地図データベース生成システムは、道路ネットワークとは独立した、すなわち道路ネットワークを構成するノード及びリンクとは関連付けられていない各地物の空間的配置や形態等により各地物を現実に近い状態で表現した地物情報を有する地物データベースを備え、この地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成することになる。したがって、航空写真、計測車両による調査結果、工事図面等による最新の現地情報が取得された場合に、当該現地情報に対する解釈をほとんど必要とせずに地物情報との比較を行うことができるので、比較的容易に地物情報の変化を抽出し、地図情報に反映させることが可能となる。これにより、地図データベースの更新のための作業の効率及び正確性を高めることができ、高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0012】
また、地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成するので、地図データベースの機能や表現方法等を変更する際にも、追加的に必要となる地図情報が地物データベースに格納されている地物情報から生成可能である場合には、当該追加的に必要となる地図情報を取得するためだけに再度の情報収集を行う必要がない。したがって、地図データベースの機能や表現方法等を変更する作業も効率的に行うことが可能となる。
【0013】
更に、地物データベースに格納された地物情報は、精度情報及び取得時期情報も含んでいるので、重複する地物について精度や取得時期が異なる複数の地物情報を地物データベースに適切に格納することができる。そして、このような重複する複数の地物情報の中から地図情報の生成に要求される精度や取得時期等の条件に応じて適切な地物情報を選択することが可能となるので、地図情報を生成する際の作業の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0014】
また、道路及び道路周辺に存在する地物の情報を、一定のデータ形式をもった地物情報として地物データベースに格納しているので、地図データベースを構成する地図情報を生成する処理の自動化又は半自動化を比較的容易に行うことが可能となる。したがって、地図データベースの生成や更新等のための作業の効率及び正確性を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0015】
ここで、前記出力手段により出力する地物情報として、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備える構成とすると好適である。
【0016】
この構成によれば、地物データベースに格納されている複数の地物情報の中から、各地物情報に含まれる情報に基づいて、地図データベースを構成する地図情報の生成に必要な地物情報を抽出して出力手段に出力することが可能となる。したがって、例えば生成する地図情報の精度に応じた精度の地物情報や地図情報の更新期間に応じた取得時期の地物情報等のみを抽出することができるので、地図情報を生成する際の作業の効率を高めることができ、要求される条件に適合した地図データベースを生成することが容易になる。
【0017】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を、前記出力手段に出力可能に生成する更新手段を更に備える構成とすると好適である。
【0018】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報の変化の内容を表す更新情報を生成し、出力手段に出力することが可能となるので、地図データベースを更新する際の作業の効率を高めることができ、高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0019】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を、前記出力手段により出力する地物情報として選択する精度選択手段を更に備える構成とすると好適である。
【0020】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在する場合に、地図情報の生成に最適な精度の地物情報を選択し、出力手段に出力することが可能となるので、地図データベースの更新のための作業の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0021】
本発明に係る地図データベース生成システムのもう一つの特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するためのシステムであって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する地図情報生成手段と、を備える点にある。
【0022】
この特徴構成によれば、地図データベース生成システムは、道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置や形態等により各地物を現実に近い状態で表現した地物情報を有する地物データベースを備え、この地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成する。したがって、航空写真、計測車両による調査結果、工事図面等による最新の現地情報が取得された場合に、当該現地情報に基づいて地物情報を更新することによって、更新した地物情報に基づいた地図情報の生成を行うことが可能となる。これにより、地図データベースの更新のための作業の効率を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0023】
また、地物データベースに格納された地物情報に基づいて地図データベースを構成する地図情報を生成するので、地図データベースの機能や表現方法等を変更する際にも、追加的に必要となる地図情報が地物データベースに格納されている地物情報から生成可能である場合には、当該追加的に必要となる地図情報を取得するためだけに再度の情報収集を行う必要がない。したがって、地図データベースの機能や表現方法等の変更も効率的に行うことができる。
【0024】
更に、地物データベースに格納された地物情報は、精度情報及び取得時期情報も含んでいるので、重複する地物について精度や取得時期が異なる複数の地物情報を地物データベースに適切に格納することができる。そして、このような重複する複数の地物情報の中から地図情報の生成に要求される精度や取得時期の条件に応じて適切な地物情報を選択して地図情報を生成するので、地図データベースの生成の際の処理の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0025】
ここで、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備え、前記地図情報生成手段は、前記抽出手段により抽出された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する構成とすると好適である。
【0026】
この構成によれば、地物データベースに格納されている複数の地物情報の中から、各地物情報に含まれる情報に基づいて、地図データベースを構成する地図情報の生成に必要な地物情報を抽出することが可能となる。したがって、例えば生成する地図情報の精度に応じた精度の地物情報や地図情報の更新期間に応じた取得時期の地物情報等のみを抽出することができるので、地図情報を生成する際の処理の効率を高めることができ、要求される条件に適合した地図データベースを生成することが容易になる。
【0027】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を生成する更新手段を更に備え、前記地図情報生成手段は、前記更新情報に基づいて、前記地図情報を更新する構成とすると好適である。
【0028】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報の変化の内容を表す更新情報を生成し、この更新情報に基づいて地図情報を更新するので、地図データベースを更新する際の処理の効率を高めることができ、高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0029】
また、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を選択する精度選択手段を更に備え、前記地図情報生成手段は、前記精度選択手段により選択された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する構成とすると好適である。
【0030】
この構成によれば、各地物情報に含まれる情報に基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在する場合に、地図情報の生成に最適な精度の地物情報を選択し、この選択された地物情報に基づいて地図情報を生成するので、地図データベースの更新や変更のための処理の効率を高めることができ、適切な精度で高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0031】
また、前記地物データベースは、同一の地物についての地物情報には、少なくとも一部が共通する識別符号を付した構成とすることができる。
【0032】
これにより、地物情報の識別符号の共通性に基づいて、同一の地物を容易に抽出可能となる。また、取得時期情報が異なる2つ以上の地物情報の間で、少なくとも一部が共通する識別符号が付されているか否かに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を容易に抽出することが可能となる。
【0033】
また、前記地物情報として格納される地物は、道路上に設けられたペイント地物、交通規制を表す交通規制地物、及び道路の領域を画定する道路領域画定地物の何れか一つ以上を含む構成とすることができる。
これにより、地図データベースの内容に応じて地図情報の生成に必要な地物情報を地物データベースに格納しておくことができる。
【0034】
また、前記道路属性情報は、前記道路ネットワーク上の一点に関連付けられた地点型属性情報、前記道路ネットワークに沿った一定の区間に関連付けられた区間型属性情報、及び前記道路ネットワーク上の1のノード及び当該ノードに接続する1又は2以上のリンクに関連付けられた経路型属性情報の何れか一つ以上を備える構成とすることができる。
これにより、道路属性情報を、その情報の性質に応じて道路ネットワークに適切に関連付けた地図データベースを生成することができる。
【0035】
ここで、前記地図データベースは、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースとして好適である。
【0036】
本発明に係る地図データベース生成方法の特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための方法であって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力ステップと、前記出力ステップにより出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、を備える点にある。
【0037】
この特徴構成によれば、上記と同様の理由により、地図データベースの生成、更新、或いは地図データベースの機能や表現方法等の変更等のための作業の効率を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【0038】
本発明に係る地図データベース生成方法のもう一つの特徴構成は、位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための方法であって、道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する点にある。
【0039】
この特徴構成によれば、上記と同様の理由により、地図データベースの生成、更新、或いは地図データベースの機能や表現方法等の変更等のための処理の効率を高めることができ、正確性が高く高鮮度な地図データベースを生成することが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図である。この地図データベース生成システムは、作業者による地図データベース3の生成を支援する支援システムとなっている。そして、図1に示すように、この地図データベース生成システムは、地物データベース2と、地図データベース3と、これらに対してアクセス可能に接続された汎用のコンピュータ4に後述する各手段の機能を実現するためのプログラムをインストールすることにより構成されたシステム本体1と、を有している。ここでは、システム本体1は、入力手段5、地物情報抽出手段6、出力情報生成手段7、出力手段8、及び地図情報生成作業領域9を備えている。
【0041】
1.地物データベース2
地物データベース2は、道路及び道路周辺に存在する地物についての情報を、各地物に固有の識別符号IDfに関連付けられた地物情報Fとして格納しているデータベースである。図2は、地物データベース2の内容の一部を表す概念図である。図1及び図2に示すように、地物データベース2は、基本的には、道路及び道路周辺に存在する地物の情報を、出典情報に基づいて現地の状況を忠実にデータ化したデータベースであり、各地物情報Fは、後述するようにノードN及びリンクLにより構成される道路ネットワークRとは独立して定義されている。そして、各地物情報Fは、配置情報F1、形態情報F2、及び出典情報F3を含んで構成されている。地物情報Fとして地物データベース2に格納される地物としては、図2に示すように、例えば、レーン境界ペイント11、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15、記号ペイント等の道路上に設けられたペイント地物、標識10(図2では、進入禁止標識10a及び速度規制標識10bを示す)、信号機、遮断機、停止線12、方向矢印ペイント14等の交通規制を表す交通規制地物、及びレーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物等が含まれている。また、これらの他にも、地物としては、例えば、マンホール、非常電話、横断歩道13、トンネル、橋梁、線路、歩道橋等が含まれる。また、現実に存在する物ではないが、道路の各地点の勾配、標高、カント等も地物情報Fに含めることができる。なお、レーン境界ペイント11は、ペイント地物と道路領域画定地物の両方に該当し、方向矢印ペイント14は、ペイント地物と交通規制地物の両方に該当する。図2にはこれらの地物の内のごく一部のみが表されており、この図2に表れている地物には符号を付している。ここで、一つの地物の単位は、任意に設定可能であるが、各地物の機能を考慮した最小単位とすると好適である。
【0042】
識別符号IDfは、各地物に付される固有の符号である。この際、異なる出典元情報D(図4参照)に基づく同一の地物についての地物情報Fには共通する識別符号IDfを付する。共通する識別符号IDfとしては、例えば、下数桁のみ異なる符号等とすると好適である。図1に示す識別符号IDは一例であり、ここでは識別符号IDfの「A0001」等の上5桁の符号が共通し、「−」符号以下の「003」等の下3桁の符号のみが異なる場合に同一地物とする。したがって、既に地物情報Fが整備されている絶対座標上の領域に関して新たな出典元情報Dが取得された場合に、過去の地物情報Fに表された地物の状態に対して変化がない地物についての地物情報Fには共通する識別符号IDfが付与される。一方、新たに追加された地物についての地物情報Fには、新たな識別符号IDfが付与される。撤去された地物についての地物情報Fの識別符号IDfは無効にされる。また、地物の配置や形態等の内容について変更があった地物については、過去の地物が撤去されて新たな地物が追加されたのと同様に考えることができる。したがって、変更後の新たな地物情報Fには変更前の地物情報Fとは異なる新たな識別符号IDfが付与され、変更前の地物情報Fの識別符号IDfは無効にされる。以下では、追加、撤去、又は変更(追加及び撤去)のあった地物を全て含めて「過去の地物の状態に対して変化があった地物」とし、このような地物の追加、撤去、又は変更(追加及び撤去)を含めて「地物の状態の変化」という。ここで、地物の状態の変化の有無の判断は、新たな出典元情報Dが取得された絶対座標上の領域と同じ領域についての地物データベース2に格納されている過去の地物情報Fとの比較により行う。また、過去の地物情報Fであるか否かは出典情報F3の中の取得時期情報F3bに基づいて決定される。なお、出典元情報Dとは、後述するように、航空写真、計測車両情報、各種図面等の現地の状況を表す情報である。
【0043】
配置情報F1は、道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置として、緯度及び経度で表される絶対座標上の点、線、面等の配置を表す情報である。この配置情報F1は、例えば、標識10、信号機、マンホール、非常電話、遮断機等の地物であればその位置を代表する点(ポイント)の配置、レーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、停止線12、横断歩道13、トンネル、線路等の地物であればその中心形状を表す線(ポリライン)の配置、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15、記号ペイント、歩道橋、建物、水域等の地物であればその領域を表す面(ポリゴン)の配置を表す情報となる。
【0044】
形態情報F2は、各地物の種別、形状、色彩、大きさ等の形態を表す情報である。この形態情報F2は、例えば、地物が標識10の場合には、当該標識10の内容を表す種別、向き、道路面からの高さ、標識サイズ等の情報を含む。地物がレーン境界ペイント11の場合には、線種別、面(ポリゴン)形状、色、幅、表面突起の有無等の情報を含む。地物が停止線12の場合には、面(ポリゴン)形状、幅等の情報を含む。地物が横断歩道13の場合には、面(ポリゴン)形状、線幅等の情報を含む。地物が方向矢印ペイント14の場合には、進行方向の指示内容を表す種別、方向矢印が配置される領域の面(ポリゴン)形状、基準点、色、線幅等の情報を含む。地物が文字・数字ペイント15の場合には、文字・数字の内容、文字・数字が配置される領域の面(ポリゴン)形状、基準点、色、線幅等の情報を含む。
【0045】
出典情報F3は、地物情報Fが生成された際の元となった情報の出典に関する情報であり、地物情報Fの情報としての精度を表す精度情報F3a、及び地物情報Fの取得時期を表す取得時期情報F3bを含んで構成されている。図3は、出典情報F3の内容を示す図である。この図に示すように、この出典情報F3は、情報項目として、出典識別符号16、出典種類17、出典縮尺18、位置精度19、形態精度20、出典年月日時分21、及び地物情報生成年月日22を有している。
【0046】
ここで、出典識別符号16は、出典元情報D(図4参照)のそれぞれに固有の符号であり、例えば航空写真や図面等であれば1枚毎、計測車両や現地調査による動画像であれば1ファイル毎に異なる符号が割り当てられている。出典種類17は、その地物情報Fが生成された出典元情報Dの種類であり、ここでは、1:航空写真、2:計測車両、3:工事図面、4:現地調査、5:衛星写真、6:都市計画図、7:国土基本図、8:住宅地図等がある。出典縮尺18は、出典元情報Dである図面等の縮尺である。なお、縮尺の概念が存在しない動画等が出典元情報Dである場合には出典縮尺18は存在しない。位置精度19は、地物情報Fの絶対座標上の配置に関する位置精度の情報である。ここでは、位置精度19は、出典種類17や出典縮尺18等に基づいて算出され、単位は〔cm〕で表されている。形態精度20は、地物情報Fの形態情報F2を構成する各情報の中の形状や大きさ等に関するものの精度の情報である。ここでは、形態精度20は、出典種類17や出典縮尺18等に基づいて設定されるレベルを表す整数値で表れている。出典年月日時分21は、出典元情報Dが取得された年月日及び時分の情報である。この出典年月日時分21としては、例えば、航空写真や計測車両による動画像等であればそれが撮影された年月日時分が用いられ、図面等であればそれが作成された年月日時分が用いられる。地物情報生成年月日22は、出典元情報Dに基づいて地物情報Fが生成された年月日の情報である。
本実施形態においては、出典種類17、出典縮尺18、位置精度19、及び形態精度20が精度情報F3aを構成し、出典年月日時分21及び地物情報生成年月日22が取得時期情報F3bを構成する。
【0047】
2.地物データベース生成システム23
図4は、以上のような地物データベース2を生成するための地物データベース生成システム23の概略構成を示す説明図である。この地物データベース生成システム23は、作業者による地物データベース2の生成及び更新を支援する支援システムとなっている。そして、図4に示すように、この地物データベース生成システム23は、地物データベース2に対してアクセス可能に接続された汎用のコンピュータ24に、後述する各手段の機能を実現するためのプログラムをインストールすることにより構成されている。ここでは、地物データベース生成システム23は、出典元情報取得手段25、地物情報生成補助手段26、出力手段27、入力手段28、及び地物情報生成作業領域29を備えている。
【0048】
出典元情報取得手段25は、航空写真、計測車両情報、各種図面等の出典元情報Dを取得するための手段である。この出典元情報取得手段25は、例えば、コンピュータ24にデータを読み込ませるための記録メディアのドライブや通信ポート等により構成される。
【0049】
入力手段28は、地物データベース生成システム23を構成するコンピュータ24に対して、作業者が命令や情報等の入力を行う手段である。ここでは、入力手段28は、コンピュータ24のキーボード24bや図示しないマウス等により構成される。作業者は、後述するように、出力手段27に出力される出典元情報Dの内容や地物情報生成補助手段26により生成された作業補助情報の内容等に基づいて、入力手段28を用いて、新規生成及び更新を含む地物情報Fの生成のための命令や情報の入力を行う。この入力手段28による作業者からの入力に従って、地物情報生成作業領域29内に新たな又は変更された地物情報Fが生成される。
【0050】
地物情報生成補助手段26は、取得された出典元情報Dに基づく作業者による地物情報Fの生成作業を補助するための手段であり、地物情報Fの生成作業を補助するための作業補助情報を生成して出力手段27に出力するとともに、地物情報Fの生成のための各種処理の結果を地物情報生成作業領域29に出力する。この地物情報生成補助手段26により生成される作業補助情報としては、出典元情報Dに基づく地物情報Fの生成作業を行う際の命令項目(コマンド)のグラフィカル・ユーザ・インタフェースや編集用画像等が含まれる。ここで、地物情報生成補助手段26は、作業者による地物情報Fの生成作業を補助するために、ペイント地物を抽出するための二値化処理等の画像処理や分析処理等を出典元情報Dに対して行い、その処理結果を、地物情報生成作業領域29に出力するとともに出力手段に出力して編集用画面として表示する。また、地物情報生成補助手段26により生成する編集用画像には、取得された出典元情報Dの一部又は全部の内容と当該出典元情報Dに含まれているのと同じ絶対座標上の領域の過去の地物情報Fとを対比可能に表示する画像を含むと好適である。これにより、作業者は、取得された出典元情報Dと過去の地物情報Fとの間での地物の状態の変化の有無の判断を行うことができる。したがって、新たに生成した地物情報Fの過去の地物情報Fに対する状態の変化の有無に応じて共通の識別符号IDf又は新たな識別符号IDfを付与する作業や、変更前又は撤去された地物についての地物情報Fの識別符号IDfを無効にする作業等を容易に行うことができる。
【0051】
出力手段27は、取得された出典元情報Dの内容や地物情報生成補助手段26により生成された作業補助情報の内容等を出力する手段である。ここでは、出力手段27はコンピュータ24のモニタ24aにより構成されており、各種情報を表示出力する。なお、図示しないがプリンタ等の他の出力装置を用いて出力手段27を構成してもよい。
【0052】
地物情報生成作業領域29は、地物情報Fの生成(新規生成及び更新を含む)のための作業用のメモリ領域であり、作業途中の地物情報Fや、作業補助情報の内容等が一時的に格納される。この地物情報生成作業領域29内に生成された地物情報Fは、入力手段28からの命令に従って地物データベース2に入力される。
【0053】
3.地図データベース3
地図データベース3は、地図情報Mとして、ノードN及びリンクLを有する道路ネットワークRと、この道路ネットワークRに関連付けられた道路属性情報Aとを有するデータベースである。各地図情報M(各ノードN、各リンクL、各道路属性情報A)は、それぞれに固有の識別符号IDmに関連付けられて地図データベース3に格納されている。ここでは、地図データベース3は、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースである。図5及び図6は、図2に示された地物データベース2に対応する部分の地図データベース3の内容を表す概念図である。これらの図に示すように、道路ネットワークRは、緯度及び経度で表される絶対座標上の位置情報を有する多数のノードNと、2個のノードN間をつなぐ多数のリンクLを有して構成されている。ここで、図5(a)及び図6(a)に示すように、ノードNは、交差点の中心に配置される。また、リンクLは、道路形状に従って道路の幅方向中央付近に配置される。道路ネットワークRは、レーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物についての地物情報Fに基づいて生成される。
【0054】
ここで、道路属性情報Aには、大きく分けて地点型属性情報A1、区間型属性情報A2、及び経路型属性情報A3の3種類がある。地点型属性情報A1は、道路ネットワークR上の一点に関連付けられた道路属性情報Aである。図5は、地点型属性情報A1の具体例を示している。すなわち、この図には、具体例として、標識10、停止線12、横断歩道13、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15についての情報が地点型属性情報A1として示されている。これらの地点型属性情報A1は、道路ネットワークR上に設定される基準点Pの位置情報である基準点情報、この基準点Pに対するオフセット距離、方位、面や線の配置等により実際の位置を表す配置情報を有している。また、地点型属性情報A1は、一定の進行方向に対してのみ必要な情報については、リンクLに沿った方向を規定する方向情報Wも有している。
【0055】
具体的には、標識10についての道路属性情報Aは、図5(b)に示すように、実際の位置に最も近い道路ネットワークR上の位置に設定された基準点Pの位置情報である基準点情報、この基準点Pに対するオフセット距離及び方位で実際の位置を表す配置情報、当該標識が対象とする進行方向を規定する方向情報W、「進入禁止」や「30km/hの最高速度制限」等の標識の種別を表す種別情報、標識の大きさを表す標識サイズ情報、道路面からの高さ情報等が含まれる。停止線12についての道路属性情報Aは、図5(c)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する停止線12の中心線の配置を表す配置情報、当該停止線が対象とする進行方向を規定する方向情報W、線幅の情報及び線色の情報等が含まれる。横断歩道13についての道路属性情報Aは、図5(d)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する横断歩道13が設けられている面領域の配置を表す配置情報、線の本数の情報、線幅の情報、線色の情報、外枠の有無の情報等が含まれる。方向矢印ペイント14についての道路属性情報Aは、図5(e)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する各矢印ペイントの矢印基点に設定される補助基準点Qの位置情報である補助基準点情報、各補助基準点Qを基点とする矢印ペイントの種別情報、線幅の情報、線色の情報等が含まれる。文字・数字ペイント15についての道路属性情報Aは、図5(f)に示すように、標識10と同様の基準点Pの基準点情報、基準点Pに対する文字・数字ペイント15が設けられている面領域の配置を表す配置情報、文字・数字の内容情報、線幅の情報、線色の情報等が含まれる。これらの地点型属性情報A1は、それぞれ標識10、停止線12、横断歩道13、方向矢印ペイント14、文字・数字ペイント15についての地物情報Fに基づいて生成される。
【0056】
区間型属性情報A2は、道路ネットワークRに沿った一定の区間に関連付けられた道路属性情報Aである。経路型属性情報A3は、道路ネットワークR上の1のノードN(交差点)及び当該ノードNに接続する1又は2以上のリンクLに関連付けられた道路属性情報Aである。図6は、区間型属性情報A2及び経路型属性情報A3の具体例を示している。すなわち、この図には、区間型属性情報A2の具体例として速度規制区間の情報が示され、経路型属性情報A3の具体例として1つのノードN(交差点)に集まる複数のリンクL間での進行可能方向の情報が示されている。
【0057】
区間型属性情報A2は、1つのリンクL内、又は複数のリンクLに跨って設定される区間情報、当該区間内での進行方向に関するリンクLに沿った方向を規定する方向情報、及び当該区間の種別や内容を表す主題情報等を有している。具体的には、例えば図6(b)に示す速度規制区間についての区間型属性情報A2は、1つのリンクLの全域に区間が設定された区間情報と、両方向(方向なし)に設定された方向情報と、30km/hの最高速度制限という規制種別を表す主題情報を有している。この速度規制区間についての区間型属性情報A2は、当該リンクLの両端部付近に設けられた「30km/hの最高速度制限」を表す速度規制標識10bの地物情報Fに基づいて生成される。このような区間型属性情報A2としては、この他にも、車線数、駐停車禁止区間等の前記速度規制と同様に特定の区間の交通規制を表す情報、トンネルや橋梁等の特定の道路構造を有する区間の情報、各区間での道路の勾配、標高、カント等の情報等が含まれる。
【0058】
経路型属性情報A3は、道路ネットワークR上の1のノードN(交差点)及び当該ノードNに接続する1又は2以上のリンクLに関連付けられた方向性を有する経路情報、及び当該経路の種別や内容を表す主題情報等を有している。具体的には、例えば図6(c)に示す進行可能方向についての経路型属性情報A3は、1つのノードN(交差点)に集まる4本のリンクL間での進行可能な経路を表す経路情報と、進入禁止という規制原因を表す主題情報とを有している。この進行可能方向についての経路型属性情報A3は、ノードNに接続する1つのリンクLの当該接続部付近に設けられた進入禁止標識10aの地物情報Fに基づいて生成される。このような経路型属性情報A3としては、この他にも、時期的な通行規制の情報、階段等の物理的要因による規制の情報等が含まれる。
【0059】
また、上記の他に、各地図情報Mは、それぞれがその生成元となった1又は2以上の地物情報Fの識別符号IDfの情報を有している。ここでは、図7に示すように、地図データベース3は、各地図情報Mの識別符号IDmに関連付けて、各地図情報Mの生成元の地物情報Fの識別符号IDfの情報を格納するテーブルを有している。これにより、後述するように、地物情報Fの変化の結果を地図データベース3に格納されている地図情報Mに反映させる作業を容易に行うことができるようになる。
【0060】
4.入力手段5
入力手段5は、システム本体1を構成するコンピュータ4に対して、作業者が命令や情報等の入力を行う手段である。ここでは、入力手段5は、コンピュータ4のキーボード4bや図示しないマウス等により構成される。作業者は、この入力手段5を用いて、地物情報Fに基づいて地図情報Mを生成するための地物情報抽出手段6及び出力情報生成手段7による補助的処理の実行命令を入力し、また、当該補助的処理の結果として出力手段8により出力された地物情報Fに基づいて地図情報Mを生成するための情報を地図情報生成作業領域9に入力する。
【0061】
5.地物情報抽出手段6
地物情報抽出手段6は、新規生成及び更新を含む地図情報Mの生成に要求される条件に適合する地物情報Fを、地物データベース2の中から抽出する処理を行う手段である。ここでは、地物情報抽出手段6は、主として地図情報Mの新規生成のための地物情報Fの抽出処理を行う条件適合地物抽出手段31、同一地物検出手段32、及び選択手段33と、主として地図情報Mの更新のための地物情報Fの抽出処理を行う変化地物抽出手段34、及び更新情報生成手段35とを有している。この地物情報抽出手段6により地物データベース2から抽出された地物情報F、又は後述する地物情報Fを含む更新情報は、出力情報生成手段7へ出力される。
本実施形態においては、この地物情報抽出手段6が、本発明における「抽出手段」を構成する。
【0062】
条件適合地物抽出手段31は、各地物情報Fに含まれる配置情報F1、形態情報F2、及び出典情報F3の何れか一つ以上に基づいて、地図情報Mの生成に要求される条件(以下「地図情報生成条件」という。)に適合する地物情報Fを抽出するための手段である。ここで、地図情報生成条件は、作業者により入力手段5から入力される。この際、作業者は、後述する出力情報生成手段7により生成された地図生成補助情報に従って必要な地図情報生成条件を入力手段5により入力する。地図情報生成条件としては、例えば、地図情報Mを生成する絶対座標上の領域を規定する生成領域条件、生成しようとする地図情報Mの内容としての道路ネットワークRや道路属性情報Aの種別等の内容を規定する内容条件、地図情報Mの生成のために要求される精度を規定する精度条件、地図情報Mの生成のために要求される鮮度(地物情報Fの取得時期の新しさ)を規定する鮮度条件等が含まれる。ここで、地図情報生成条件として精度条件や鮮度条件を含めることにより、一定のレベルより精度の低い地物情報Fや鮮度が悪い(取得時期が古い)地物情報Fを地図情報Mの生成に用いる地物情報Fから除外することが可能となる。そして、条件適合地物抽出手段31は、前記生成領域条件に適合する地物情報Fは配置情報F1に基づいて、前記内容条件に適合する地物情報Fは形態情報F2に基づいて、前記精度条件に適合する地物情報Fは出典情報F3に含まれる精度情報F3aに基づいて、前記鮮度条件に適合する地物情報Fは出典情報F3に含まれる取得時期情報F3bに基づいて、それぞれ地物データベース2から抽出する処理を行う。
【0063】
同一地物検出手段32は、条件適合地物抽出手段31により抽出された地物情報Fの中から同一地物についての複数の地物情報Fの有無を検出するための手段である。本実施形態においては、同一地物であるか否かの判断は、抽出された各地物情報Fの識別符号IDfに基づいて行う。すなわち、本実施形態においては、条件適合地物抽出手段31により抽出された中に、共通する識別符号IDfが付された地物情報Fがある場合には同一の地物と判断する。なお、同一の地物について複数の地物情報Fが存在する場合としては、例えば、同じ絶対座標上の領域について異なる出典種類17(図3参照)の情報が重複して存在する場合や、同じ出典種類17であっても出典年月日時分21(図3参照)が異なる情報が重複して存在する場合等がある。
【0064】
選択手段33は、同一地物検出手段32により検出された同一地物についての複数の地物情報Fの中から適切な地物情報Fを選択するための手段である。この際、選択手段33は、出典情報F3の中の精度情報F3aに基づいて、適切な精度の地物情報を選択する処理を行う。具体的には、選択手段33は、例えば、同一地物についての複数の地物情報Fの中から最も精度が高い地物情報Fを選択する処理を行うことができる。上記のとおり、本実施形態においては、精度情報F3aは、出典種類17、出典縮尺18、位置精度19、及び形態精度20により構成されている。そこで、地物情報Fの精度の高さは、例えば、これらの精度情報F3aを構成する各情報の内容に応じて精度レベルを規定するテーブルを用いること等により判断することができる。この場合、本実施形態における同一地物検出手段32及び選択手段33は、本発明における「精度選択手段」を構成する。また、選択手段33は、出典情報F3の中の取得時期情報F3bに基づいて、適切な地物情報Fを選択する処理を行う構成とすることも可能である。具体的には、選択手段33は、例えば、同一地物についての複数の地物情報Fの中から取得時期が最も新しい地物情報Fを選択する処理を行うことができる。上記のとおり、本実施形態においては、取得時期情報F3bは、出典年月日時分21及び地物情報生成年月日22により構成されている。そこで、地物情報Fの取得時期の新しさは、例えば、これらの取得時期情報F3bを構成する各情報の内容に応じて鮮度レベルを規定するテーブルを用いること等により判断することができる。また、選択手段33は、出典情報F3中の精度情報F3a及び取得時期情報F3bの双方に基づいて、精度と鮮度のバランスが良い適切な地物情報Fを選択する処理を行う構成とすることも可能である。
【0065】
変化地物抽出手段34は、各地物情報Fの識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ以上と、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出するための手段である。上記のとおり、過去の地物の状態に対して変化があった地物には、過去の地物の状態に対して追加、撤去、又は変更(追加及び撤去)のあった地物が全て含まれる。本実施形態においては、変化地物抽出手段34は、新たな出典元情報Dが取得されたことによる地物データベース2内の地物情報Fの追加、削除、又は変更等を、各地物情報Fの識別符号IDf及び取得時期情報F3bに基づいて検出し、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fとして抽出する処理を行う。上記のとおり、追加された地物についての地物情報Fには新たな識別符号IDfが付与され、撤去された地物についての地物情報Fの識別符号IDfは無効にされ、変更された地物についての地物情報Fには新たな識別符号IDfが付与されるとともに変更前の地物情報Fの識別符号IDfは無効にされる。したがって、具体的には、変化地物抽出手段34は、過去の地物情報Fの識別符号IDとは異なる新たな識別符号IDfが付与された地物情報F、又は識別符号IDが無効とされた過去の地物情報Fを地物データベース2から抽出する。この際、過去の地物情報Fであるか否かは出典情報F3の中の取得時期情報F3bに基づいて決定される。
【0066】
更新情報生成手段35は、変化地物抽出手段34により変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成するための手段である。ここでは、更新情報は、変化地物抽出手段34により変化が検出された地物情報Fについて、変化の前後の状態を対比可能に出力手段8に出力するために必要な情報とする。具体的には、更新情報は、地物が新たに追加された場合には、対応する過去の地物情報Fが存在しないこと、及び新たに追加された地物についての地物情報Fを含む情報となる。また、更新情報は、地物が撤去された場合には、対応する新たな地物情報Fが存在しないこと、及び過去の地物情報Fを含む情報となる。更新情報は、地物が変更された場合には、変更前の過去の地物情報Fと変更後の新たな地物情報Fとを含む情報となる。そして、更新情報生成手段35により生成された更新情報は、出力情報生成手段7へ送られ、出力手段8に出力可能な情報とされて出力手段8により出力される。
本実施形態においては、変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35が、本発明における「更新手段37」を構成する。
【0067】
6.出力情報生成手段7
出力情報生成手段7は、地図情報Mの生成作業の補助のための地図生成補助情報Sを、出力手段8に出力可能に生成するための手段である。ここでは、出力情報生成手段7は、道路ネットワークRの生成作業の補助ための出力情報を生成する道路ネットワーク生成補助手段38と、道路属性情報Aの生成作業の補助ための出力情報を生成する道路属性情報生成補助手段39とを有している。図8は、道路ネットワーク生成補助手段38により生成される道路ネットワーク生成補助情報S1の一例を示す図である。図9は、道路属性情報生成補助手段39により生成される道路属性情報生成補助情報S2の一例を示す図である。
【0068】
図8に示すように、道路ネットワーク生成補助手段38は、道路ネットワークRを生成するために必要な地物情報F、具体的にはレーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物についての地物情報Fを抽出し、出力手段8に出力可能な地物画像情報S1aとして生成する。また、道路ネットワーク生成補助手段38は、地物画像情報S1aに基づいて、作業者が道路ネットワークRの生成作業を行う際の命令項目(コマンド)のグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1bも生成する。道路ネットワーク生成補助情報S1は、地物画像情報S1aが表示された画面枠に隣接してグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1bが配置されて構成されている。そして、作業者は、出力手段8に出力されたグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1bに含まれる命令項目(コマンド)を選択し、地物画像情報S1aが表示された画面枠上でノードNやリンクLの入力及び編集を行うことにより、道路ネットワークRの生成を行う。この道路ネットワークRの生成作業中の情報は、一時的に地図情報生成作業領域9に格納される。
【0069】
図9に示すように、道路属性情報生成補助手段39は、道路属性情報Aを生成するために必要な各種の地物情報Fを抽出し、道路ネットワークRと合成して、出力手段8に出力可能な地物画像情報S2aとして生成する。このような道路属性情報Aを生成するために必要な地物情報Fには、地物データベース2に格納されているほぼ全ての地物情報Fが該当する。また、道路属性情報生成補助手段39は、地物画像情報S2aに基づいて、作業者が道路属性情報Aの生成作業を行う際の命令項目(コマンド)のグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S2bも生成する。道路属性情報生成補助情報S2は、地物画像情報S2aが表示された画面枠に隣接してグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S2bが配置されて構成されている。そして、作業者は、出力手段8に出力されたグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S2bに含まれる命令項目(コマンド)を選択し、地物画像情報S2aが表示された画面枠上で道路ネットワークRに関連付けて各種の道路属性情報Aの入力及び編集を行うことにより、道路属性情報Aの生成を行う。この道路属性情報Aの生成作業中の情報は、一時的に地図情報生成作業領域9に格納される。
【0070】
また、上記のとおり、出力情報生成手段7は、更新情報生成手段35により生成された更新情報を、出力手段8に出力可能に生成する。この更新情報は、それに含まれる地物情報Fについての地物画像情報S1a又はS2aとして、上記の道路ネットワーク生成補助情報S1又は路属性情報生成補助情報S2と組み合わされて出力手段8に出力される。作業者は、更新情報に含まれる地物情報Fに基づいて、道路ネットワーク生成補助情報S1又は道路属性情報生成補助情報S2を用いて、道路ネットワークR又は道路属性情報Aの更新を行う。
【0071】
7.出力手段8
出力手段8は、出力情報生成手段7により生成された、地物情報Fを含む道路ネットワーク生成補助情報S1、道路属性情報生成補助情報S2、及び更新情報等を出力する手段である。ここでは、出力手段8はコンピュータ4のモニタ4aにより構成されており、上記の各情報を表示出力する。なお、図示しないがプリンタ等の他の出力装置を用いて出力手段8を構成してもよい。
【0072】
8.地図情報生成作業領域9
地図情報生成作業領域9は、道路ネットワークR及び道路属性情報Aを含む地図情報Mの生成(新規生成及び更新を含む)のための作業用のメモリ領域であり、作業途中の地図情報Mや、地図生成補助情報Sの内容等が一時的に格納される。この地物情報生成作業領域9内に生成された地図情報Mは、入力手段5からの命令に従って地図データベース3に入力される。これにより地図データベース3の生成や更新が行われる。
【0073】
9.地図情報Mの生成処理方法
次に、本実施形態に係る地図データベース生成システムによる、地図情報Mを生成するための処理方法について、図10に示すフローチャートに従って説明する。図10は、本実施形態に係る地図情報Mの生成処理方法を示すフローチャートである。
【0074】
図10に示すように、入力手段5により地図情報Mの新規生成処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#01:YES)、地図情報Mの新規生成処理を行う。そのため、地物情報抽出手段6の条件適合地物抽出手段31により、地図情報生成条件に適合する地物情報Fを抽出する処理を行う(ステップ#02)。なお、地図情報Mの新規生成処理の実行命令には、地図情報生成条件が含まれる。そして、同一地物検出手段32及び選択手段33により、同一地物の検出及び検出された同一地物の中からの適切な地物情報Fの選択を行う(ステップ#03)。そして、出力情報生成手段7により、図8に示す道路ネットワーク生成補助情報S1や図9に示す道路属性情報生成補助情報S2等の地図生成補助情報Sを生成する(ステップ#04)。次に、生成した地図生成補助情報Sを出力手段8に出力する(ステップ#05)。そして、作業者による地図情報Mの入力を受け付ける(ステップ#06)。作業者は、地図生成補助情報Sに含まれるグラフィカル・ユーザ・インタフェース情報S1b又はS2bを用いて地図情報Mの入力を行う。地図情報Mの生成が完了するまでは(ステップ#07:NO)地図情報Mの入力を受け付ける。その後、地図情報Mの生成が完了した場合には(ステップ#07:YES)、生成された地図情報Mを地図データベース3に格納する(ステップ#08)。
【0075】
一方、地図情報Mの新規生成処理の実行命令ではなく(ステップ#01:NO)、入力手段5により地図情報Mの更新処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#09:YES)、地図情報Mの更新処理を行う。そのため、地物情報抽出手段6の変化地物抽出手段34により、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する(ステップ#10)。そして、更新情報生成手段35により、ステップ#10で変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成する(ステップ#11)。次に、更新情報に含まれる地物情報Fに関して、出力情報生成手段7により、地図生成補助情報Sを生成する(ステップ#04)。以降のステップ#05〜#08の処理は上記のとおりである。
【0076】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について図面に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図である。この地図データベース生成システムのシステム本体1は、上記第一の実施形態における出力情報生成手段7に代えて、地図情報Mを自動生成するための地図情報生成手段41、及び変化があった地物に関連して更新が必要な地図情報Mを抽出するための更新地図情報抽出手段44を備えている。そして、この地図データベース生成システムは、上記第一の実施形態において作業者が行っていた地図情報Mの生成(新規生成及び更新を含む)の処理をシステムが自動的に行う点において上記第一の実施形態と異なる。地物データベース2及び地図データベース3の内容については、上記と同様である。以下、本実施形態に係るシステム本体1の各部の構成について説明する。
【0077】
1.入力手段5
入力手段5は、システム本体1を構成するコンピュータ4に対して、作業者が命令や情報等の入力を行う手段である。ここでは、入力手段5は、コンピュータ4のキーボード4bや図示しないマウス等により構成される。作業者は、この入力手段5を用いて、地物情報Fに基づいて新規生成及び更新を含む地図情報Mの生成処理の実行命令や、それらの処理の実行の際の条件となる地図情報生成条件等の情報を入力する。この入力手段5から入力された命令や条件等に従って、地物情報抽出手段6及び地図情報生成手段41は処理を実行する。この際、地物情報抽出手段6は、入力手段5により入力された処理の実行命令や地図情報生成条件に従って適合する地物情報Fを地物データベース2から抽出し、地図情報生成手段41は、抽出された地物情報Fに基づいて地図情報Mを生成する処理を行う。
【0078】
2.地物情報抽出手段6
地物情報抽出手段6は、新規生成及び更新を含む地図情報Mの生成に要求される条件に適合する地物情報Fを、地物データベース2の中から抽出する処理を行う手段である。ここでは、地物情報抽出手段6は、主として地図情報Mの新規生成のための地物情報Fの抽出処理を行う条件適合地物抽出手段31、同一地物検出手段32、及び選択手段33と、主として地図情報Mの更新のための地物情報Fの抽出処理を行う変化地物抽出手段34、及び更新情報生成手段35とを有している。そして、入力手段5により地図情報Mの新規生成処理の実行命令が入力された場合には、条件適合地物抽出手段31、同一地物検出手段32、及び選択手段33による地物情報Fの抽出処理が行われ、入力手段5により地図情報Mの更新処理の実行命令が入力された場合には、変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35により地物情報Fの抽出処理が行われる。この地物情報抽出手段6により地物データベース2から抽出された地物情報F、又は後述する地物情報Fを含む更新情報は、地図情報生成手段41へ出力される。
本実施形態においては、この地物情報抽出手段6が、本発明における「抽出手段」を構成する。
【0079】
条件適合地物抽出手段31は、各地物情報Fに含まれる配置情報F1、形態情報F2、及び出典情報F3の何れか一つ以上に基づいて、地図情報Mの生成に要求される地図情報生成条件に適合する地物情報Fを抽出するための手段である。ここで、地図情報生成条件は、入力手段5から入力された地図情報Mの新規生成や更新等の処理条件や、地図情報生成手段41において生成する地図情報Mの内容等に応じて設定される。地図情報生成条件の内容については、上記第一の実施形態と同様とすることができる。
【0080】
同一地物検出手段32及び選択手段33の構成は、上記第一の実施形態と同様とすることができる。その場合、同一地物検出手段32及び選択手段33は、本発明における「精度選択手段」を構成する。
【0081】
変化地物抽出手段34は、各地物情報Fの識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ以上と、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出するための手段である。また、更新情報生成手段35は、変化地物抽出手段34により変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成するための手段である。これら変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35の構成は、上記第一の実施形態と同様とすることができる。その場合、変化地物抽出手段34及び更新情報生成手段35が、本発明における「更新手段37」を構成する。
【0082】
3.更新地図情報抽出手段44
更新地図情報抽出手段44は、更新情報生成手段35により生成された更新情報に含まれる、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての過去の地物情報Fに基づいて、更新が必要な地図情報Mを抽出するための手段である。具体的には、更新地図情報抽出手段44は、地図データベース3に格納された図7に示すテーブルを用いることにより、地図情報Mの抽出を行う。すなわち、地図データベース3は、各地図情報Mの識別符号IDmに関連付けて、各地図情報Mの生成元の地図情報Mの識別符号IDfの情報を格納するテーブルを有している。そこで、更新地図情報抽出手段44は、図7に示すテーブルに基づいて、更新情報に含まれる過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mを抽出する。
【0083】
4.地図情報生成手段41
地図情報生成手段41は、地物情報抽出手段6により抽出された地物情報F又は地物情報Fを含む更新情報に基づいて、地図データベース3を構成する地図情報Mを生成する処理を行う手段である。ここでは、地図情報生成手段41は、道路ネットワークRを生成する道路ネットワーク生成手段42と、道路属性情報Aを生成する道路属性情報生成手段43と、これら道路ネットワーク生成手段42及び道路属性情報生成手段43による地図情報Mの生成(新規生成及び更新を含む)の処理のための作業用のメモリ領域となる地図情報生成作業領域9と、を有している。
【0084】
道路ネットワーク生成手段42は、道路ネットワークRを生成するために必要な地物情報F、具体的にはレーン境界ペイント11、中央分離帯、縁石、防護柵、建物、水域等の道路の領域を画定する道路領域画定地物についての地物情報Fを用いて、道路ネットワークRを構成するノードN及びリンクLを生成する処理を行う。具体的には、まず、道路領域画定地物についての地物情報Fの中から、道路の幅方向両端の位置を決定する。そして、決定された道路の幅方向両側の位置に基づいて、道路の幅方向中央位置を決定する。この処理を対象となる領域内の全ての道路領域画定地物の地物情報Fについて行う。そして、決定された道路の幅方向中央位置をつないだ線の交点をノードNとして設定する。次に、道路の長さ方向に存在する隣接する2個のノードN間をつなぐ線をリンクLとして設定する。以上の処理により、道路ネットワークRを生成する。
【0085】
道路属性情報生成手段43は、道路属性情報Aを生成するために必要な各種の地物情報Fを用いて、道路ネットワークRに関連付けられた各種の道路属性情報Aを生成する処理を行う。具体的には、まず、地物情報Fに含まれる配置情報F1に基づいて、当該地物情報Fに示される地物の位置から最も近い道路ネットワークR上の位置に基準点Pを設定する。そして、この基準点Pに対するオフセット距離、方位、面や線の配置等により地物の位置を表す配置情報を生成する。その後、地物情報Fに含まれる形態情報F2に基づいて、方向情報W、種別情報、主題情報等の上述した道路属性情報Aを構成する各種情報を、道路属性情報Aの内容に応じて設定する。以上の処理により、道路属性情報Aを生成する。
【0086】
なお、地図情報生成手段41は、地物情報Fを含む更新情報に基づいて、地図データベース3を構成する地図情報Mを生成する処理を行う場合には、更新地図情報抽出手段44による抽出結果を用いる。すなわち、地図情報生成手段41は、更新地図情報抽出手段44により抽出された地図情報Mのみを地図データベース3から取り出し、更新情報に含まれる地物情報Fに基づいて地図情報Mの更新を行う。このようにすることで、地図情報生成手段41での処理の負荷を少なくすることができる。
【0087】
5.出力手段8
出力手段8は、入力手段5により入力可能な命令や条件等の情報を出力するとともに、地図情報生成手段41による地図情報Mの生成結果や生成処理中の状態等を出力する手段である。ここでは、出力手段8はコンピュータ4のモニタ4aにより構成されており、上記の各情報を表示出力する。なお、図示しないがプリンタ等の他の出力装置を用いて出力手段8を構成してもよい。
【0088】
6.地図情報Mの生成処理方法
次に、本実施形態に係る地図データベース生成システムによる、地図情報Mを生成するための処理方法について、図12〜14に示すフローチャートに従って詳細に説明する。図12は、本実施形態に係る地図情報Mの生成処理方法の全体を示すフローチャートである。図13は、図12に示すフローチャートのステップ#23の「地図情報Mの新規生成」処理の詳細を示すフローチャートである。図14は、図12に示すフローチャートのステップ#24の「地図情報Mの更新」処理の詳細を示すフローチャートである。
【0089】
図12に示すように、入力手段5により地図情報Mの新規生成処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#21:YES)、地図情報Mの新規生成処理を行う(ステップ#23)。なお、地図情報Mの新規生成処理(ステップ#23)の実行命令には、地図情報生成条件として、少なくとも地図情報Mを生成する絶対座標上の領域を規定する生成領域条件が含まれる。一方、地図情報Mの新規生成処理の実行命令ではなく(ステップ#21:NO)、入力手段5により地図情報Mの更新処理の実行命令が入力された場合には(ステップ#22:YES)、地図情報Mの更新処理を行う(ステップ#24)。そして、地図情報Mの新規生成処理又は更新処理により生成された地図情報Mは、地図データベース3に格納される(ステップ#25)。これにより、地図情報Mの生成処理は終了する。
【0090】
図13に示すように、地図情報Mの新規生成処理(ステップ#23)では、まず、地図データベース3を検索して、地図情報生成条件としての生成領域条件に規定される絶対座標上の領域内に、既に道路ネットワークRが生成されているか否かについて判断する(ステップ#31)。道路ネットワークRが未だ生成されていない場合には(ステップ#31:NO)、まず、道路ネットワークRの生成を行う。そのため、地物情報抽出手段6の条件適合地物抽出手段31により、地図情報生成条件に適合する道路領域画定地物についての地物情報Fを抽出する処理を行う(ステップ#32)。そして、同一地物検出手段32及び選択手段33により、同一地物の検出及び検出された同一地物の中からの適切な地物情報Fの選択を行う(ステップ#33)。そして、地図情報生成手段41の道路ネットワーク生成手段42により、道路ネットワークRの生成処理を行う(ステップ#34)。この道路ネットワークRの生成処理(ステップ#34)は、ステップ#32において抽出された、生成領域条件に規定される絶対座標上の領域内に含まれる道路領域画定地物についての地物情報Fの全てに関して終了するまで行われる(ステップ#35)。
【0091】
一方、道路ネットワークRが既に生成されている場合には(ステップ#31:YES)、道路ネットワークRの生成処理は行わず、道路属性情報Aの生成処理のみを行う。そのため、地物情報抽出手段6の条件適合地物抽出手段31により、地図情報生成条件に適合する地物情報Fを抽出する処理を行う(ステップ#36)。そして、同一地物検出手段32及び選択手段33により、同一地物の検出及び検出された同一地物の中からの適切な地物情報Fの選択を行う(ステップ#37)。そして、地図情報生成手段41の道路属性情報生成手段43により、道路属性情報Aの生成処理を行う(ステップ#38)。この道路属性情報Aの生成処理(ステップ#38)は、ステップ#36において抽出された、生成領域条件に規定される絶対座標上の領域内に含まれる地物についての地物情報Fの全てに関して終了するまで行われる(ステップ#39)。そして、以上により地図情報Mの新規生成処理(ステップ#23)は終了する。
【0092】
図14に示すように、地図情報Mの更新処理(ステップ#24)では、まず、地物情報抽出手段6の変化地物抽出手段34により、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する(ステップ#41)。そして、更新情報生成手段35により、ステップ#41で変化が検出された地物情報Fについて、当該変化の内容を表す更新情報を生成する(ステップ#42)。次に、更新地図情報抽出手段44により、ステップ#42で生成された更新情報に示される過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mを抽出する(ステップ#43)。更新情報に示される過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mが抽出された場合には(ステップ#44:YES)、変化した地物の状態に合わせるために、当該抽出された地図情報Mの更新を行う。すなわち、抽出された地図情報Mの中に道路ネットワークRを構成する地図情報Mがある場合には(ステップ#45:YES)、まず、当該抽出された道路ネットワークRの更新処理を行う(ステップ#46)。抽出された地図情報Mの中に道路ネットワークRを構成する地図情報Mがない場合には(ステップ#45:NO)、ステップ#46の処理は行わない。次に、抽出された地図情報Mの中に道路属性情報Aを構成する地図情報Mがある場合には(ステップ#47:YES)、当該抽出された道路属性情報Aの更新処理を行う(ステップ#48)。抽出された地図情報Mの中に道路属性情報Aを構成する地図情報Mがない場合には(ステップ#47:NO)、ステップ#48の処理は行わない。
【0093】
一方、更新情報に示される過去の地物情報Fを生成元とする地図情報Mが抽出されない場合には(ステップ#44:NO)、更新情報に道路領域画定地物についての地物情報Fが含まれるか否かについて判断する(ステップ#50)。そして、更新情報に道路領域画定地物についての地物情報Fが含まれる場合には(ステップ#50:YES)、当該道路領域画定地物についての地物情報Fに基づいて、地図情報生成手段41の道路ネットワーク生成手段42により、道路ネットワークRの生成処理を行う(ステップ#51)。更新情報に道路領域画定地物についての地物情報Fが含まれない場合には(ステップ#50:NO)、当該地物情報Fに基づいて、地図情報生成手段41の道路属性情報生成手段43により、道路属性情報Aの生成処理を行う(ステップ#52)。以上のステップ#43〜#52の処理は、更新情報に含まれる地物情報Fの全てに関して終了するまで行われる(ステップ#49)。そして、以上により地図情報Mの更新処理(ステップ#24)は終了する。
【0094】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態においては、変化地物抽出手段34が、各地物情報Fの識別符号IDf及び取得時期情報F3bに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fとして抽出する具体例について説明した。しかし、更新手段37を構成する変化地物抽出手段34が、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fとして抽出する方法はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、配置情報F1及び形態情報F2と、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する構成とすることも好適な実施形態の一つである。この場合、識別符号IDfの付与の方法とは無関係に、配置情報F1及び形態情報F2に基づいて直接的に地物情報Fの変化を抽出することができる。また、この他にも、変化地物抽出手段34は、識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ、又はこれらの任意の組み合わせと、出典情報F3の取得時期情報F3bとに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報Fを抽出する構成とすることができる。
【0095】
(2)上記の各実施形態においては、同一地物検出手段32が、条件適合地物抽出手段31により抽出された地物情報Fの中から同一地物についての複数の地物情報Fの有無を検出する際の判断を、抽出された各地物情報Fの識別符号IDfに基づいて行う具体例について説明した。しかし、同一地物であるか否かの判断方法はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、配置情報F1及び形態情報F2に基づいて行うことも好適な実施形態の一つである。その場合の判断基準は、例えば、配置情報F1に示される地物の空間的配置がほぼ同一であり、なおかつ、形態情報F2に示される地物の形態に関して一致する項目が一つ以上ある場合等に、同一の地物と判断すること等が可能である。また、この他にも、同一地物検出手段32は、識別符号IDf、配置情報F1、及び形態情報F2の何れか一つ、又はこれらの任意の組み合わせに基づいて、同一地物についての複数の地物情報Fの有無を検出する構成とすることができる。
【0096】
(3)上記第一の実施形態においては、地図データベース生成システムは、作業者による地図データベース3の生成を支援する支援システムとなっており、上記第二の実施形態においては、地図データベース3の生成を自動的に行う地図データベース自動生成システムとなっている。本発明は、これらを組み合わせ、一部の地図情報Mについてはシステムが自動的に生成し、残りの地図情報Mについては作業者による生成を支援するシステムとすることも好適な実施形態の一つである。
【0097】
(4)上記の各実施形態においては、地図データベース3が、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースである場合を例として説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されない。したがって、例えば、持ち運び可能な携帯機器に実装される歩行者や自転車等のための地図データベースや、航空機や船舶等で使用するための地図データベース等、様々な地図データベースの生成システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図
【図2】地物データベースの内容の一部を表す概念図
【図3】地物情報に含まれる出典情報の内容を示す図
【図4】地物データベース生成システムの概略構成を示す説明図
【図5】地図データベースの内容(地点型属性情報の具体例)を表す概念図
【図6】地図データベースの内容(区間型属性情報及び経路型属性情報の具体例)を表す概念図
【図7】各地図情報の生成元の地物情報の識別符号の情報を格納するテーブル
【図8】道路ネットワーク生成補助情報の一例を示す図
【図9】道路属性情報生成補助情報の一例を示す図
【図10】本発明の第一の実施形態に係る地図データベース生成システムによる地図情報の生成処理方法を示すフローチャート
【図11】本発明の第二の実施形態に係る地図データベース生成システムの概略構成を示す説明図
【図12】本発明の第二の実施形態に係る地図データベース生成システムによる地図情報の生成処理方法の全体を示すフローチャート
【図13】図12に示すフローチャートのステップ#23の「地図情報Mの新規生成」処理の詳細を示すフローチャート
【図14】図12に示すフローチャートのステップ#24の「地図情報Mの更新」処理の詳細を示すフローチャート
【図15】背景技術に係る地図データベースの生成システムの概略構成を示す説明図
【符号の説明】
【0099】
1:システム本体
2:地物データベース
3:地図データベース
5:入力手段
6:地物情報抽出手段(抽出手段)
8:出力手段
36:精度選択手段
37:更新手段
41:地図情報生成手段
M:地図情報
R:道路ネットワーク
N:ノード
L:リンク
A:道路属性情報
A1:地点型属性情報
A2:区間型属性情報
A3:経路型属性情報
F:地物情報
F1:配置情報
F2:形態情報
F3:出典情報
F3a:精度情報
F3b:取得時期情報
IDf:識別符号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成システムであって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、
前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力手段と、
前記出力手段により出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報を入力するための入力手段と、
を備える地図データベース生成システム。
【請求項2】
前記出力手段により出力する地物情報として、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備える請求項1に記載の地図データベース生成システム。
【請求項3】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を、前記出力手段に出力可能に生成する更新手段を更に備える請求項1又は2に記載の地図データベース生成システム。
【請求項4】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を、前記出力手段により出力する地物情報として選択する精度選択手段を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項5】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成システムであって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、
前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する地図情報生成手段と、
を備える地図データベース生成システム。
【請求項6】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備え、
前記地図情報生成手段は、前記抽出手段により抽出された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する請求項5に記載の地図データベース生成システム。
【請求項7】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を生成する更新手段を更に備え、
前記地図情報生成手段は、前記更新情報に基づいて、前記地図情報を更新する請求項5又は6に記載の地図データベース生成システム。
【請求項8】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を選択する精度選択手段を更に備え、
前記地図情報生成手段は、前記精度選択手段により選択された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する請求項5から7の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項9】
前記地物データベースは、同一の地物についての地物情報には、少なくとも一部が共通する識別符号を付している請求項1から8の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項10】
前記地物情報として格納される地物は、道路上に設けられたペイント地物、交通規制を表す交通規制地物、及び道路の領域を画定する道路領域画定地物の何れか一つ以上を含む請求項1から9の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項11】
前記道路属性情報は、前記道路ネットワーク上の一点に関連付けられた地点型属性情報、前記道路ネットワークに沿った一定の区間に関連付けられた区間型属性情報、及び前記道路ネットワーク上の1のノード及び当該ノードに接続する1又は2以上のリンクに関連付けられた経路型属性情報の何れか一つ以上を備える請求項1から10の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項12】
前記地図データベースは、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースである請求項1から11の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項13】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成方法であって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、
前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力ステップと、
前記出力ステップにより出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、
を備える地図データベース生成方法。
【請求項14】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成方法であって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、
前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する地図データベース生成方法。
【請求項1】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成システムであって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、
前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力手段と、
前記出力手段により出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報を入力するための入力手段と、
を備える地図データベース生成システム。
【請求項2】
前記出力手段により出力する地物情報として、前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備える請求項1に記載の地図データベース生成システム。
【請求項3】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を、前記出力手段に出力可能に生成する更新手段を更に備える請求項1又は2に記載の地図データベース生成システム。
【請求項4】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を、前記出力手段により出力する地物情報として選択する精度選択手段を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項5】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成システムであって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースと、
前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する地図情報生成手段と、
を備える地図データベース生成システム。
【請求項6】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、前記形態情報、前記精度情報及び前記取得時期情報の何れか一つ以上に基づいて、前記地図情報の生成に要求される条件に適合する地物情報を抽出する抽出手段を更に備え、
前記地図情報生成手段は、前記抽出手段により抽出された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する請求項5に記載の地図データベース生成システム。
【請求項7】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記取得時期情報とに基づいて、過去の地物の状態に対して変化があった地物についての地物情報を抽出し、抽出された地物情報について、当該変化の内容を表す更新情報を生成する更新手段を更に備え、
前記地図情報生成手段は、前記更新情報に基づいて、前記地図情報を更新する請求項5又は6に記載の地図データベース生成システム。
【請求項8】
前記地物データベースの中から、各地物情報の前記識別符号、前記配置情報、及び前記形態情報の何れか一つ以上と前記精度情報とに基づいて、同一の地物について異なる精度情報を有する地物情報が複数存在することを検出し、検出された各地物情報に含まれる精度情報に基づいて、前記地図情報の生成に要求される精度の地物情報を選択する精度選択手段を更に備え、
前記地図情報生成手段は、前記精度選択手段により選択された地物情報に基づいて、前記地図情報を生成する請求項5から7の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項9】
前記地物データベースは、同一の地物についての地物情報には、少なくとも一部が共通する識別符号を付している請求項1から8の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項10】
前記地物情報として格納される地物は、道路上に設けられたペイント地物、交通規制を表す交通規制地物、及び道路の領域を画定する道路領域画定地物の何れか一つ以上を含む請求項1から9の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項11】
前記道路属性情報は、前記道路ネットワーク上の一点に関連付けられた地点型属性情報、前記道路ネットワークに沿った一定の区間に関連付けられた区間型属性情報、及び前記道路ネットワーク上の1のノード及び当該ノードに接続する1又は2以上のリンクに関連付けられた経路型属性情報の何れか一つ以上を備える請求項1から10の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項12】
前記地図データベースは、自動車の走行経路案内用に使用される経路案内用地図データベースである請求項1から11の何れか一項に記載の地図データベース生成システム。
【請求項13】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成方法であって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、
前記地物データベースに格納された地物情報を出力する出力ステップと、
前記出力ステップにより出力された地物情報に基づいて生成された、前記地図データベースを構成する地図情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、
を備える地図データベース生成方法。
【請求項14】
位置情報を有する複数のノード及び2個のノード間をつなぐリンクを有する道路ネットワークと、この道路ネットワークに関連付けられた道路属性情報とを有する地図データベースを生成するための地図データベース生成方法であって、
道路及び道路周辺に存在する地物について、各地物に固有の識別符号に関連付けられた各地物の情報であって、前記道路ネットワークとは独立した各地物の空間的配置を表す配置情報、各地物の形態を表す形態情報、情報としての精度を表す精度情報、及び情報の取得時期を表す取得時期情報を含む地物情報を格納する地物データベースを用い、
前記地物データベースに格納された地物情報に基づいて、前記地図データベースを構成する地図情報を生成する地図データベース生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−101580(P2007−101580A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287337(P2005−287337)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】
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