地図要素配置装置および地図要素配置方法
【課題】広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる地図要素配置装置を提供する。
【解決手段】デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定部13と、地理座標設定部で地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置部14を備えている。
【解決手段】デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定部13と、地理座標設定部で地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置部14を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図の構成要素である地図要素を配置する地図要素配置装置および地図要素配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図が有する詳細な情報の中から必要な情報を抽出し、地図要素の形状を簡略化したり、道路等の表示角度を特定の方向(例えば、水平、垂直または斜め45度方向等)に限定したりして見やすくした地図は、「デフォルメ地図」と呼ばれている。なお、道路等の表示角度を特定の方向に限定することなく、地図要素の形状の簡略化のみを行って見やすくした地図は、略地図、簡略化地図または要約地図等と呼ばれるが、以下では、特に断らない限り、これらも含めて「デフォルメ地図」と総称する。
【0003】
従来、或る地点に対応するデフォルメ地図上の位置を特定する技術が知られている。例えば、特許文献1は、GPS(Global Positioning System)で取得された現在地をデフォルメ地図上に表示するために、現在地のデフォルメ地図上の位置を特定する技術を開示している。この技術では、道路の始点からの距離と終点からの距離との割合が実際の位置に近い道路上に現在位置が表示される。また、GPSの精度または誤差を考慮し、デフォルメ地図の道路上となるように現在位置が補正される。
【0004】
また、特許文献2は、デフォルメ地図上に基準点を設定し、ポリゴンによる補間計算からデフォルメ地図上の位置を特定する技術を開示している。さらに、特許文献3は、道路形状を簡略化すると、道路とランドマークとの位置関係が変化してしまうため、道路形状の簡略化に合わせてランドマークの位置を補正する技術を開示している。この技術では、道路形状を簡略化した地図上においてランドマークが丸印等のシンボルで表記される。そして、このランドマークが、形状簡略化前の道路に対して端からどのくらいの比率のところにあるか、道路のどちら側にあるか、道路から何メートル離れたところにあるかが求められ、形状簡略化後の道路に対してこれらのパラメータを用いてシンボルの配置位置が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−121406号公報
【特許文献2】特開2008−191075号公報
【特許文献3】特開2007−206297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した先行技術では、現在地またはシンボル等といった、或る地点に対するデフォルメ地図上の位置を特定することはできるが、道路等のポリラインまたは緑地等のポリゴンのように、広がりまたは大きさを持ち、連続する地図要素を、広がりまたは大きさを考慮してデフォルメ地図に配置することは困難であり、以下のような問題がある。
【0007】
道路等のポリラインを構成する個々の地点の位置を特定して該ポリラインを表す地図要素をデフォルメ地図上に配置する技術では、追加したい地図要素の端(例えば、道路の端)がデフォルメ地図上の道路の端に一致するとは限らず、デフォルメ地図上の道路に正しく接続できない場合が発生するという問題がある。
【0008】
また、緑地等のポリゴンをデフォルメ地図に追加する場合、ポリゴンを構成する個々の地点に対して位置を特定して該ポリゴンを表す地図要素をデフォルメ地図上に配置する技術では、ポリゴンのデフォルメ地図上の位置が個別に算出されるため、ポリゴンの元の形状を保持することが困難であり、公園や緑地等の特徴的な形状が損なわれるという問題がある。
【0009】
さらに、ポリゴンにおいて、例えば重心等といった1つの点を基準にしてデフォルメ地図上の位置を特定して配置を行う場合、デフォルメ地図のスケールが元の地図から変更されているため、デフォルメ地図のスケールに合わせて地図要素を配置できないという問題がある。また、デフォルメ地図に追加する地図要素が、他の地図要素と交差する場合が発生するという問題もある。
【0010】
この発明は、上述した諸問題を解消するためになされたものであり、広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる地図要素配置装置および地図要素配置方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る地図要素配置装置は、上記課題を解決するために、デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定部と、地理座標設定部で地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る地図要素配置装置によれば、広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる地図要素配置装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置で取り扱われる市販地図およびデフォルメ地図の例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置で取り扱われる市販地図およびデフォルメ地図における補間点の例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置で取り扱われる市販地図の交差状況を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において、道路を構成する各ノードがデフォルメ地図上に配置されて位置がずれた例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において、デフォルメ地図上で位置が調整された例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において、位置調整の対象外となる例を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において行われるノード位置の修正の例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で取り扱われるポリゴンを有する市販地図の例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置でポリゴンが追加される前のデフォルメ地図の例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で追加されるポリゴンをデフォルメ地図の座標に変換した例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で追加されるポリゴンをデフォルメ地図の大きさに合わせた例を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で追加されるポリゴンをデフォルメ地図の大きさに合わせた他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。この地図要素配置装置は、記憶部11、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14および交差判定部15を備えている。なお、この発明に係る地図要素配置装置を地図要素配置方法として把握する場合は、地図要素配置装置の「〜部」で示される構成要素を、「〜部」の機能を実現するための処理を実行するステップに置き換えることができ、後述する実施の形態2についても同様である。
【0015】
記憶部11は、地理座標(経度、緯度)を有する地図データ、形状を簡略化する等して見やすくしたデフォルメ地図のデータおよびデフォルメ地図に追加したい地図要素のデータの他に、詳細な説明は省略するが、定義データおよび中間データ等を記憶している。地図データとしては、例えば、市販の電子地図(以下、単に「市販地図」という)のデータ等を用いることができる。また、デフォルメ地図のデータは、例えば、座標または地点同士の接続情報等から構成されている。デフォルメ地図に追加したい地図要素のデータは、デフォルメ地図のデータと同様に、地図要素を構成する地点の座標または地点同士の接続情報等から構成されている。この記憶部11は、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14および交差判定部15からアクセスされる。
【0016】
なお、記憶部11に格納するデータとして市販地図のデータ等を利用できるが、道路を構成するノードの地理座標を列記したファイルをユーザが作成し、記憶部11に格納して使用するように構成することもできる。
【0017】
表示部12は、記憶部11から読み出された地理座標を有する地図またはデフォルメ地図を表示したり、ユーザによって入力された情報、例えば、点をデフォルメ地図上に表示したり、あるいは、地理座標設定部13、地図要素配置部14または交差判定部15から送られてくる種々の情報(詳細は省略する)を表示したりする。
【0018】
地理座標設定部13は、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に、経度と緯度により規定される地理座標を設定する。この地理座標設定部13において地理座標が設定されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納されるとともに、地図要素配置部14に送られる。
【0019】
地図要素配置部14は、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素のデフォルメ地図上の座標を算出し、この算出した座標に基づいて、追加する地図要素をデフォルメ地図に合わせて配置する。ここで、地図要素配置部14の詳細を説明する。地図要素配置部14は、交差状況設定部21、位置特定部22および位置調整部23を備えている。
【0020】
交差状況設定部21は、デフォルメ地図に追加する地図要素の地理座標を取得し、市販地図(地理座標による地図)を用いて、追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを調べ、「交差」または「非交差」といった交差状況を端点に関連付けて設定する。この交差状況設定部21において設定された交差状況は、記憶部11に送られて格納されるとともに、位置調整部23に送られる。
【0021】
位置特定部22は、追加したい地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出する。この位置特定部22で算出された位置は、位置調整部23に送られる。
【0022】
位置調整部23は、詳細は後に説明するが、追加したい地図要素の位置を、交差状況設定部21から送られてきた交差状況および位置特定部22から送られてきた位置に基づき調整する。この位置調整部23で位置が調整されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られ、既に格納されているデフォルメ地図と置き換えられる。
【0023】
ここで、位置調整部23の詳細を説明する。位置調整部23は、接続調整部31および地点間調整部32を備えている。
【0024】
接続調整部31は、交差状況設定部21によって「交差」と設定された端点について、追加したい地図要素以外のデフォルメ地図上の地図要素の中で最も近い距離に存在する地図要素を取得し、この取得した地図要素との距離が所定の閾値以下の場合には、取得した地図要素上に端点が乗るように、つまり一致して接続されるように、追加する地図要素の配置位置を調整する。
【0025】
地点間調整部32は、デフォルメ地図に追加する地図要素を構成するノード間の相対的位置関係が地理座標による地図と異なる部分を抽出し、地理座標による地図と同じ位置関係になるようにノード位置を修正する。これら接続調整部31による調整および地点間調整部32による修正が行われたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納される。
【0026】
交差判定部15は、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないか否かを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を調整して交差しないように座標を変更する。この交差判定部15における処理結果は、記憶部11に送られて格納される。
【0027】
次に、上記のように構成される実施の形態1に係る地図要素配置装置の動作を説明する。以下では、一例として、道路のデフォルメ地図に、新たな道路を追加する場合について説明する。
【0028】
まず、デフォルメ地図に地理座標(経度、緯度)が設定される。すなわち、地理座標設定部13は、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に、経度と緯度により規定される地理座標を設定する。より詳しくは、まず、デフォルメ地図と地理座標による地図とが表示部12に表示される。この表示された地図上で、ユーザが、図示しない入力装置を用いて、デフォルメ地図と地理座標による地図とが対応する地点(対応点)を指定すると、地理座標設定部13は、デフォルメ地図上の指定された点に地理座標を設定する。
【0029】
以下、具体的な例を挙げて説明する。道路のデフォルメ地図の場合、図2に示すように、道路の交差点または端点等が対応点として指定される。図2(a)は市販地図(地理座標による地図)を示しており、図2(b)はデフォルメ地図を示している。図2(a)および図2(b)におけるA〜Lは、対応点を示している。
【0030】
表示部12に表示された地図上で対応点が指定された後、地理座標による地図から対応点の間に存在する補間点が取得され、デフォルメ地図の対応点の間に補間点が自動的に配置される。この配置された補間点には、地理座標が関連付けられる。図3は、補間点が配置された例を示しており、図3(a)は、市販地図、図3(b)はデフォルメ地図である。図3(a)および図3(b)において、点aおよびbは対応点EとFの間に存在する補間点であり、図3(b)に示すデフォルメ地図上の点aおよびbは、図3(a)に示す点aおよびbの地理座標を保持して自動配置された補間点である。
【0031】
地理座標設定部13は、以上のようにして、地理座標と関連付けたデフォルメ地図を記憶部11に送って格納するとともに、地図要素配置部14に送る。なお、デフォルメ地図に設定される地理座標としては、経度および緯度によって規定される値に限らず、経度および緯度に所定の変換を施した値を用いることもできる。
【0032】
次いで、地図要素配置部14は、デフォルメ地図に追加する地図要素のデータおよび地理座標が設定されたデフォルメ地図を記憶部11から取得し、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素のデフォルメ地図上の座標を算出し、この算出した座標に基づいて、地図要素をデフォルメ地図に合わせて配置する。
【0033】
より詳しくは、地図要素配置部14の交差状況設定部21は、デフォルメ地図に追加する地図要素の地理座標を取得し、地理座標の市販地図を用いて、追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを調べ、「交差」または「非交差」といった交差状況を端点と関連付けて設定する。この交差状況設定部21において設定された交差状況は、記憶部11に送られて格納されるとともに、位置調整部23に送られる。
【0034】
図4は、交差状況を説明するための市販地図の例を示す図であり、線分PQおよびSTはデフォルメ地図に追加したい道路である。以下では、線分PQおよびSTを、それぞれ道路PQおよびSTという。また、点r、uおよびvは補間点である。この場合、追加したい道路の端P、Q、SおよびTに対して以下に示す交差状況が設定される。
P:交差
Q:非交差
S:交差
T:交差
【0035】
また、地図要素配置部14の位置特定部22は、地理座標設定部13から地理座標と関連付けられたデフォルメ地図を受け取ると、記憶部11から、市販地図およびデフォルメ地図に追加したい地図要素のデータを取得し、追加したい地図要素を構成するノード(以下、「処理対象ノード」という)のデフォルメ地図上の位置を算出する。
【0036】
デフォルメ地図上の位置を算出する手順は、以下の通りである。まず、位置特定部22は、デフォルメ地図のノードのうち、処理対象ノードに最も近い距離に存在するノード(以下、「最近傍ノード」という)を地理座標に基づき取得する。デフォルメ地図には、地理座標設定部13によって地理座標が設定されているため、この地理座標を用いて最近傍ノードが取得される。
【0037】
次いで、位置特定部22は、取得した最近傍ノードまでの距離および方向を、地理座標を用いて算出する。最後に、位置特定部22は、最近傍ノードに対応するデフォルメ地図上のノードが上述した距離および方向となるように、処理対象ノードの座標を算出する。この位置特定部22で算出された座標によって示される位置は、位置調整部23に送られる。
【0038】
このようにして、図4の市販地図に示す道路PQおよびSTを構成するノードのデフォルメ地図上の位置が算出される。図5は、道路PQおよびSTを構成するノードをデフォルメ地図上に配置した例を示すが、道路の端がデフォルメ地図の道路上に乗らずにずれる場合が生じる。位置調整部23は、このずれを調整する。なお、上述したずれは微小である場合が多いが、図5では、ずれている状態を分かりやすくするために強調して描かれている。
【0039】
このようにして、デフォルメ地図に追加したい地図要素が加えられたデフォルメ地図は、記憶部11に送られ、既に格納されているデフォルメ地図が置き換えられて更新されるとともに、位置調整部23に送られる。
【0040】
次いで、地図要素配置部14の位置調整部23は、追加したい地図要素の位置を、交差状況設定部21から送られてきた交差状況および位置特定部22から送られてきた位置に基づき調整する。
【0041】
より詳しくは、位置調整部23の接続調整部31は、交差状況設定部21から交差状況を受け取ると、追加したい地図要素を含むデフォルメ地図を記憶部11から読み出し、交差状況設定部21によって「交差」と設定されている端点について、追加した地図要素以外のデフォルメ地図上の地図要素の中で最も近い地図要素を取得し、取得した地図要素との距離が所定の閾値以下の場合は、取得した地図要素(最も近い地図要素)上に端点が乗るように、追加する地図要素の配置位置を調整する。
【0042】
図5に示す例では、交差状況設定部21において「交差」と設定されたノードP、SおよびTに対して、デフォルメ地図上の地図要素(追加した地図要素を除く)で最も近い地図要素が取得され、位置が調整される。例えば、ノードPの場合、最も近いノードとしてノードEが取得され、ノードEを含む地図要素である道路EF、EB、EDまたはEIのうち、ノードPとの距離が最小となる道路EIが最も近い地図要素として確定される。図5に示す例において、ノードPと道路EIとの距離をデフォルメ地図上の座標で算出すると閾値以下となるため、ノードPは道路EIに接続するノードであるとみなされ、ノードPが道路EI上となるように位置が調整されて、図6に示すノードP’となる。
【0043】
ノードSおよびノードTについても同様にして、最も近い地図要素として、道路DEおよび道路HIがそれぞれ取得され、ノードSと道路DEとの距離およびノードTと道路HIとの距離をデフォルメ地図の座標で算出すると、どちらも閾値以下となるため、ノードPの場合と同様にして、ノードSおよびノードTが道路DEおよび道路HI上になるように位置がそれぞれ調整されて、図6に示すノードS’およびT’となる。
【0044】
なお、デフォルメ地図は、市販地図の全道路を含むとは限らないため、追加したい道路が市販地図上で他の道路と接続されていたとしてもデフォルメ地図上でその道路とは接続されていないケースも存在する。この場合は、デフォルメ地図上の最も近い地図要素との距離は閾値以上となり、位置調整の対象外となる。例えば、図7に示すような、図5に示す道路GHIJが存在しないデフォルメ地図に道路PQおよび道路STを追加する場合、ノードTは交差状況設定部21において「交差」と設定され、ノードTに最も近い地図要素として道路ELが取得される。しかしながら、道路ELとノードTとの距離は閾値以上となるため、ノードTは道路ELに接続される道路の端とはみなされず、位置調整は実施されない。
【0045】
このようにして、追加する地図要素の端の位置が調整され、記憶部11に格納されているデフォルメ地図の座標が更新される。
【0046】
また、位置調整部23の地点間調整部32は、デフォルメ地図に追加する地図要素を構成するノード間の相対的位置関係が市販地図とは異なる部分を抽出し、市販地図と同じ位置関係になるようにノード位置を修正する。図8は、ノード位置の修正の例を示す図である。図8(a)は、デフォルメ地図上に追加したい地図要素(例えば、道路)の例を示している。位置特定部22および位置調整部23の接続調整部31で処理された後の状態が、図8(b)に示す状態であったとする。この場合、地点間調整部32では、追加する地図要素を構成するノード1〜4のうち、市販地図の相対的位置関係と異なる部分としてノード2からノード3に接続する部分を抽出し、市販地図の相対的位置関係と同じになるように、つまりノード3がノード2に比べて図中右下となるようノード3の座標を修正し、図8(c)に示す3’の位置とする。座標を修正する際は、追加する地図要素を構成するノードのうち、市販地図と相対的位置が一致する付近のノード(図8(b)でノード3の位置を修正する場合はノード2とノード4)に対する位置関係が市販地図と同じになるように、距離および方向に基づいて座標が算出される。
【0047】
このようにして、デフォルメ地図に追加する地図要素を構成するノード間の相対的位置関係が市販地図と同じになるように座標が調整され、この調整された座標を有するデフォルメ地図が、記憶部11に送られて既に格納されているデフォルメ地図に置き換えられ更新されるとともに、交差判定部15に送られる。
【0048】
最後に、交差判定部15は、位置調整部23からデフォルメ地図を受け取ると、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないか否かを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を、これらが交差しないように変更する。
【0049】
具体的には、交差判定部15は、追加した地図要素を構成する各線分について、付近に存在する他の地図要素の線分を取得し、それらの線分と交差するかどうかを調べ、交差する線分が見つかった場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を調整して、交差しない座標を算出する。追加した地図要素と交差相手の地図要素のどちらのノードを修正するかは任意であり、重要性に応じて、どちらを調整するかを予め定めておくように構成できる。
【0050】
以上説明したように、実施の形態1に係る地図要素配置装置によれば、地図要素をデフォルメ地図に追加する際に、デフォルメ地図の地図要素に接続される、追加する地図要素の接続位置を調整することができる。その結果、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる。また、追加する地図要素を、デフォルメ地図の他の地図要素と交差しないように配置することができる。
【0051】
なお、上述した例では、道路のデフォルメ地図に新たな道路を追加する場合を示したが、デフォルメ地図の地図要素および追加する地図要素は道路に限らず、河川または鉄道等であってもよい。
【0052】
また、上述した例では、追加する地図要素を構成するノードについて、相対的な位置関係を保持した状態でデフォルメ地図に追加するように構成したが、相対的な位置関係を保持することを考慮する必要がない場合は、位置調整部23における地点間調整部32を除いて地図要素配置装置を構成することができる。
【0053】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置は、地図要素をデフォルメ地図のスケールに合わせて配置するようにしたものである。
【0054】
図9は、実施の形態2に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。この地図要素配置装置は、記憶部11、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14aおよび交差判定部15を備えている。なお、以下においては、図1に示した実施の形態1に係る地図要素配置装置の構成要素と同一または相当する部分には、図1で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0055】
記憶部11は、実施の形態1と同様に、地理座標を有する地図データ、形状を簡略化する等して見やすくしたデフォルメ地図のデータ、デフォルメ地図に追加したい地図要素のデータの他に、定義データおよび中間データ等を記憶している。各データの内容は、実施の形態1と同じである。この記憶部11は、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14aおよび交差判定部15からアクセスされる。
【0056】
表示部12は、実施の形態1と同様に、記憶部11から読み出された地理座標を有する地図またはデフォルメ地図を表示したり、ユーザによって入力された情報、例えば、点をデフォルメ地図上に表示したり、あるいは、地理座標設定部13、地図要素配置部14aまたは交差判定部15から送られてくる情報を表示したりする。
【0057】
地理座標設定部13は、実施の形態1と同様に、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に地理座標を設定する。この地理座標が設定されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納されるとともに、地図要素配置部14aに送られる。
【0058】
地図要素配置部14aは、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素のデフォルメ地図上の座標を算出し、この算出した座標に基づいて、追加する地図要素をデフォルメ地図に合わせて配置する。ここで、地図要素配置部14aの詳細を説明する。地図要素配置部14aは、座標変換部24およびスケール調整部25を備えている。
【0059】
座標変換部24は、追加したい地図要素をデフォルメ地図に追加する際に基準とする基準点を定め、この基準点のデフォルメ地図上の座標を算出し、基準点に基づき、追加したい地図要素の座標を、その形状を元の状態に保持したままデフォルメ地図上の座標に変換する。
【0060】
スケール調整部25は、地図要素全体をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小する比率を算出し、この算出した比率に基づいて、デフォルメ地図の他の地図要素のスケールに合わせて、追加したい地図要素を構成するノードの座標を変換する。
【0061】
交差判定部15は、実施の形態1と同様に、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないか否かを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を調整して交差しないように座標を変更する。この交差判定部15における処理結果は、記憶部11に送られて格納される。
【0062】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係る地図要素配置装置の動作を説明する。以下では、一例として、道路のデフォルメ地図に、緑地のようなポリゴンを追加する場合について説明する。
【0063】
まず、デフォルメ地図に地理座標(経度、緯度)が設定される。すなわち、地理座標設定部13は、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に地理座標を設定する。より詳しくは、まず、デフォルメ地図と地理座標による地図とが表示部12に表示される。この表示された地図上で、ユーザが、図示しない入力装置を用いて、デフォルメ地図と地理座標による地図とが対応する地点(対応点)を指定すると、地理座標設定部13は、デフォルメ地図上の指定された点に地理座標を設定する。この地理座標が設定されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納されるとともに、地図要素配置部14aに送られる。
【0064】
地図要素配置部14aにおいては、座標変換部24は、追加したい地図要素をデフォルメ地図に追加する際に基準とする基準点を定め、この定めた基準点のデフォルメ地図上の座標を算出し、基準点に基づき、追加したい地図要素の座標を、その形状を元の状態に保持したままデフォルメ地図上の座標に変換する。
【0065】
基準点としては、追加したい地図要素の重心座標、追加したい地図要素を包含する外接矩形の任意の1頂点(例えば、外接矩形の左下の点)、または、地図要素のノードのうちの任意の1つを用いることができる。基準点に対するデフォルメ地図上の座標は、実施の形態1に係る地図要素配置装置の位置特定部22で行われる方法と同様の方法で算出できる。すなわち、基準点に最も近いノードを地理座標に基づき取得し、取得した最近傍ノードのデフォルメ地図上の座標を用いて、基準点と最近傍ノードとの距離および方向が地理座標を有する市販地図と同じになるようにデフォルメ地図上の座標を算出する。
【0066】
このようにして追加したい地図要素の基準点をデフォルメ地図上に配置し、地図要素の形状およびスケールを保持したまま、地図要素を構成する各ノードの座標を変換する。以下、具体的な例を、図10〜図12を参照しながら説明する。図10は市販地図であり、A〜Lは道路上のノードである。今、緑地mのポリゴンを、図11に示すデフォルメ地図に追加する場合を考える。図12は、座標変換部24において緑地mをデフォルメ地図の座標に変換した例を示す。図10に示す緑地mと図12に示す緑地m’は同じ形状およびスケールであり、座標系のみが異なっている。
【0067】
座標変換部24は、追加したい地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出し、記憶部11に送って格納するとともに、スケール調整部25に送る。
【0068】
地図要素配置部14aのスケール調整部25は、地図要素の全体をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小する比率を算出し、デフォルメ地図の他の地図要素のスケールに合わせて、追加したい地図要素を構成するノードの座標を変換する。
【0069】
具体的には、スケール調整部25は、追加したい地図要素の付近に存在する地図要素を記憶部11に格納されている市販地図(地理座標による地図)から抽出し、対応するデフォルメ地図上の長さと比較して拡大または縮小する比率を算出する。図10の市販地図に示す緑地mを図11に示すデフォルメ地図に追加したい場合、スケール調整部25は、緑地mの付近の地図要素として、道路DEおよびEIを取得する。次いで、道路DEおよびEIの市販地図上の長さに対するデフォルメ地図上の長さの比を算出する。図11は、図10に比べて、道路DEおよびEIの長さが大きくなったデフォルメ地図であるため、「拡大率」となる。図11とは反対に、道路DEおよびEIの長さが小さくなったデフォルメ地図の場合は「縮小率」となる。
【0070】
スケール調整部25は、このようにして算出した比率に基づき、座標変換部24で算出された、追加したい地図要素を構成する各ノードの座標を修正し、図13または図14に示すようにデフォルメ地図に合わせた大きさにする。その後、スケール調整部25は、修正した座標を記憶部11に格納するとともに、交差判定部15に送る。
【0071】
最後に、交差判定部15は、地図要素配置部14aのスケール調整部25からデフォルメ地図を受け取ると、実施の形態1と同様に、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないかを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を、これらが交差しないように修正する。
【0072】
以上説明したように、実施の形態2に係る地図要素配置装置によれば、地理座標を有する地図(市販地図)からスケールが変更されたデフォルメ地図に地図要素を追加する場合も、デフォルメ地図のスケールに合わせて地図要素を配置することができる。また、元の形状(市販地図の形状)を保持したまま追加することができるため、緑地または公園等のように形状が複雑な地図要素の場合も、追加した地図要素が何であるかを容易に認識することができる。また、追加する地図要素を、他の地図要素と交差しないように配置することができる。
【0073】
なお、上述した例では、緑地のポリゴンをデフォルメ地図上に追加する場合を示したが、追加する地図要素は緑地に限らず、任意の地図要素であってもよい。
【0074】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2は、デフォルメ地図に手動で地理座標(経度、緯度)を設定するように構成したが、地理座標を有するデフォルメ地図を別途に生成して記憶部11に格納しておき、この記憶部11の内容を直接利用するように構成することもできる。この場合、図1および図9における地理座標設定部13および表示部12は除去することができる。
【0075】
また、実施の形態1および実施の形態2では、図2(b)または図3(b)等に示すように、道路の方向が水平と垂直に限定されたデフォルメ地図を示しているが、デフォルメ地図としては、地図要素の方向が水平、垂直または斜め方向に限定されていなくてもよい。また、形状を簡略化した地図または手書きの道案内図等であってもよい。
【0076】
また、実施の形態1および実施の形態2では、追加する地図要素を含み、地理座標を有する地図として市販地図を使用する例を示したが、地理座標(経度、緯度)を有するデータであれば、市販地図に限らない。
【0077】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 記憶部、12 表示部、13 地理座標設定部、14,14a 地図要素配置部、15 交差判定部、21 交差状況設定部、22 位置特定部、23 位置調整部、24 座標変換部、25 スケール調整部、31 接続調整部、32 地点間調整部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図の構成要素である地図要素を配置する地図要素配置装置および地図要素配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図が有する詳細な情報の中から必要な情報を抽出し、地図要素の形状を簡略化したり、道路等の表示角度を特定の方向(例えば、水平、垂直または斜め45度方向等)に限定したりして見やすくした地図は、「デフォルメ地図」と呼ばれている。なお、道路等の表示角度を特定の方向に限定することなく、地図要素の形状の簡略化のみを行って見やすくした地図は、略地図、簡略化地図または要約地図等と呼ばれるが、以下では、特に断らない限り、これらも含めて「デフォルメ地図」と総称する。
【0003】
従来、或る地点に対応するデフォルメ地図上の位置を特定する技術が知られている。例えば、特許文献1は、GPS(Global Positioning System)で取得された現在地をデフォルメ地図上に表示するために、現在地のデフォルメ地図上の位置を特定する技術を開示している。この技術では、道路の始点からの距離と終点からの距離との割合が実際の位置に近い道路上に現在位置が表示される。また、GPSの精度または誤差を考慮し、デフォルメ地図の道路上となるように現在位置が補正される。
【0004】
また、特許文献2は、デフォルメ地図上に基準点を設定し、ポリゴンによる補間計算からデフォルメ地図上の位置を特定する技術を開示している。さらに、特許文献3は、道路形状を簡略化すると、道路とランドマークとの位置関係が変化してしまうため、道路形状の簡略化に合わせてランドマークの位置を補正する技術を開示している。この技術では、道路形状を簡略化した地図上においてランドマークが丸印等のシンボルで表記される。そして、このランドマークが、形状簡略化前の道路に対して端からどのくらいの比率のところにあるか、道路のどちら側にあるか、道路から何メートル離れたところにあるかが求められ、形状簡略化後の道路に対してこれらのパラメータを用いてシンボルの配置位置が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−121406号公報
【特許文献2】特開2008−191075号公報
【特許文献3】特開2007−206297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した先行技術では、現在地またはシンボル等といった、或る地点に対するデフォルメ地図上の位置を特定することはできるが、道路等のポリラインまたは緑地等のポリゴンのように、広がりまたは大きさを持ち、連続する地図要素を、広がりまたは大きさを考慮してデフォルメ地図に配置することは困難であり、以下のような問題がある。
【0007】
道路等のポリラインを構成する個々の地点の位置を特定して該ポリラインを表す地図要素をデフォルメ地図上に配置する技術では、追加したい地図要素の端(例えば、道路の端)がデフォルメ地図上の道路の端に一致するとは限らず、デフォルメ地図上の道路に正しく接続できない場合が発生するという問題がある。
【0008】
また、緑地等のポリゴンをデフォルメ地図に追加する場合、ポリゴンを構成する個々の地点に対して位置を特定して該ポリゴンを表す地図要素をデフォルメ地図上に配置する技術では、ポリゴンのデフォルメ地図上の位置が個別に算出されるため、ポリゴンの元の形状を保持することが困難であり、公園や緑地等の特徴的な形状が損なわれるという問題がある。
【0009】
さらに、ポリゴンにおいて、例えば重心等といった1つの点を基準にしてデフォルメ地図上の位置を特定して配置を行う場合、デフォルメ地図のスケールが元の地図から変更されているため、デフォルメ地図のスケールに合わせて地図要素を配置できないという問題がある。また、デフォルメ地図に追加する地図要素が、他の地図要素と交差する場合が発生するという問題もある。
【0010】
この発明は、上述した諸問題を解消するためになされたものであり、広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる地図要素配置装置および地図要素配置方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る地図要素配置装置は、上記課題を解決するために、デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定部と、地理座標設定部で地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る地図要素配置装置によれば、広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる地図要素配置装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置で取り扱われる市販地図およびデフォルメ地図の例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置で取り扱われる市販地図およびデフォルメ地図における補間点の例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置で取り扱われる市販地図の交差状況を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において、道路を構成する各ノードがデフォルメ地図上に配置されて位置がずれた例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において、デフォルメ地図上で位置が調整された例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において、位置調整の対象外となる例を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置において行われるノード位置の修正の例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で取り扱われるポリゴンを有する市販地図の例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置でポリゴンが追加される前のデフォルメ地図の例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で追加されるポリゴンをデフォルメ地図の座標に変換した例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で追加されるポリゴンをデフォルメ地図の大きさに合わせた例を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置で追加されるポリゴンをデフォルメ地図の大きさに合わせた他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。この地図要素配置装置は、記憶部11、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14および交差判定部15を備えている。なお、この発明に係る地図要素配置装置を地図要素配置方法として把握する場合は、地図要素配置装置の「〜部」で示される構成要素を、「〜部」の機能を実現するための処理を実行するステップに置き換えることができ、後述する実施の形態2についても同様である。
【0015】
記憶部11は、地理座標(経度、緯度)を有する地図データ、形状を簡略化する等して見やすくしたデフォルメ地図のデータおよびデフォルメ地図に追加したい地図要素のデータの他に、詳細な説明は省略するが、定義データおよび中間データ等を記憶している。地図データとしては、例えば、市販の電子地図(以下、単に「市販地図」という)のデータ等を用いることができる。また、デフォルメ地図のデータは、例えば、座標または地点同士の接続情報等から構成されている。デフォルメ地図に追加したい地図要素のデータは、デフォルメ地図のデータと同様に、地図要素を構成する地点の座標または地点同士の接続情報等から構成されている。この記憶部11は、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14および交差判定部15からアクセスされる。
【0016】
なお、記憶部11に格納するデータとして市販地図のデータ等を利用できるが、道路を構成するノードの地理座標を列記したファイルをユーザが作成し、記憶部11に格納して使用するように構成することもできる。
【0017】
表示部12は、記憶部11から読み出された地理座標を有する地図またはデフォルメ地図を表示したり、ユーザによって入力された情報、例えば、点をデフォルメ地図上に表示したり、あるいは、地理座標設定部13、地図要素配置部14または交差判定部15から送られてくる種々の情報(詳細は省略する)を表示したりする。
【0018】
地理座標設定部13は、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に、経度と緯度により規定される地理座標を設定する。この地理座標設定部13において地理座標が設定されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納されるとともに、地図要素配置部14に送られる。
【0019】
地図要素配置部14は、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素のデフォルメ地図上の座標を算出し、この算出した座標に基づいて、追加する地図要素をデフォルメ地図に合わせて配置する。ここで、地図要素配置部14の詳細を説明する。地図要素配置部14は、交差状況設定部21、位置特定部22および位置調整部23を備えている。
【0020】
交差状況設定部21は、デフォルメ地図に追加する地図要素の地理座標を取得し、市販地図(地理座標による地図)を用いて、追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを調べ、「交差」または「非交差」といった交差状況を端点に関連付けて設定する。この交差状況設定部21において設定された交差状況は、記憶部11に送られて格納されるとともに、位置調整部23に送られる。
【0021】
位置特定部22は、追加したい地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出する。この位置特定部22で算出された位置は、位置調整部23に送られる。
【0022】
位置調整部23は、詳細は後に説明するが、追加したい地図要素の位置を、交差状況設定部21から送られてきた交差状況および位置特定部22から送られてきた位置に基づき調整する。この位置調整部23で位置が調整されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られ、既に格納されているデフォルメ地図と置き換えられる。
【0023】
ここで、位置調整部23の詳細を説明する。位置調整部23は、接続調整部31および地点間調整部32を備えている。
【0024】
接続調整部31は、交差状況設定部21によって「交差」と設定された端点について、追加したい地図要素以外のデフォルメ地図上の地図要素の中で最も近い距離に存在する地図要素を取得し、この取得した地図要素との距離が所定の閾値以下の場合には、取得した地図要素上に端点が乗るように、つまり一致して接続されるように、追加する地図要素の配置位置を調整する。
【0025】
地点間調整部32は、デフォルメ地図に追加する地図要素を構成するノード間の相対的位置関係が地理座標による地図と異なる部分を抽出し、地理座標による地図と同じ位置関係になるようにノード位置を修正する。これら接続調整部31による調整および地点間調整部32による修正が行われたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納される。
【0026】
交差判定部15は、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないか否かを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を調整して交差しないように座標を変更する。この交差判定部15における処理結果は、記憶部11に送られて格納される。
【0027】
次に、上記のように構成される実施の形態1に係る地図要素配置装置の動作を説明する。以下では、一例として、道路のデフォルメ地図に、新たな道路を追加する場合について説明する。
【0028】
まず、デフォルメ地図に地理座標(経度、緯度)が設定される。すなわち、地理座標設定部13は、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に、経度と緯度により規定される地理座標を設定する。より詳しくは、まず、デフォルメ地図と地理座標による地図とが表示部12に表示される。この表示された地図上で、ユーザが、図示しない入力装置を用いて、デフォルメ地図と地理座標による地図とが対応する地点(対応点)を指定すると、地理座標設定部13は、デフォルメ地図上の指定された点に地理座標を設定する。
【0029】
以下、具体的な例を挙げて説明する。道路のデフォルメ地図の場合、図2に示すように、道路の交差点または端点等が対応点として指定される。図2(a)は市販地図(地理座標による地図)を示しており、図2(b)はデフォルメ地図を示している。図2(a)および図2(b)におけるA〜Lは、対応点を示している。
【0030】
表示部12に表示された地図上で対応点が指定された後、地理座標による地図から対応点の間に存在する補間点が取得され、デフォルメ地図の対応点の間に補間点が自動的に配置される。この配置された補間点には、地理座標が関連付けられる。図3は、補間点が配置された例を示しており、図3(a)は、市販地図、図3(b)はデフォルメ地図である。図3(a)および図3(b)において、点aおよびbは対応点EとFの間に存在する補間点であり、図3(b)に示すデフォルメ地図上の点aおよびbは、図3(a)に示す点aおよびbの地理座標を保持して自動配置された補間点である。
【0031】
地理座標設定部13は、以上のようにして、地理座標と関連付けたデフォルメ地図を記憶部11に送って格納するとともに、地図要素配置部14に送る。なお、デフォルメ地図に設定される地理座標としては、経度および緯度によって規定される値に限らず、経度および緯度に所定の変換を施した値を用いることもできる。
【0032】
次いで、地図要素配置部14は、デフォルメ地図に追加する地図要素のデータおよび地理座標が設定されたデフォルメ地図を記憶部11から取得し、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素のデフォルメ地図上の座標を算出し、この算出した座標に基づいて、地図要素をデフォルメ地図に合わせて配置する。
【0033】
より詳しくは、地図要素配置部14の交差状況設定部21は、デフォルメ地図に追加する地図要素の地理座標を取得し、地理座標の市販地図を用いて、追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを調べ、「交差」または「非交差」といった交差状況を端点と関連付けて設定する。この交差状況設定部21において設定された交差状況は、記憶部11に送られて格納されるとともに、位置調整部23に送られる。
【0034】
図4は、交差状況を説明するための市販地図の例を示す図であり、線分PQおよびSTはデフォルメ地図に追加したい道路である。以下では、線分PQおよびSTを、それぞれ道路PQおよびSTという。また、点r、uおよびvは補間点である。この場合、追加したい道路の端P、Q、SおよびTに対して以下に示す交差状況が設定される。
P:交差
Q:非交差
S:交差
T:交差
【0035】
また、地図要素配置部14の位置特定部22は、地理座標設定部13から地理座標と関連付けられたデフォルメ地図を受け取ると、記憶部11から、市販地図およびデフォルメ地図に追加したい地図要素のデータを取得し、追加したい地図要素を構成するノード(以下、「処理対象ノード」という)のデフォルメ地図上の位置を算出する。
【0036】
デフォルメ地図上の位置を算出する手順は、以下の通りである。まず、位置特定部22は、デフォルメ地図のノードのうち、処理対象ノードに最も近い距離に存在するノード(以下、「最近傍ノード」という)を地理座標に基づき取得する。デフォルメ地図には、地理座標設定部13によって地理座標が設定されているため、この地理座標を用いて最近傍ノードが取得される。
【0037】
次いで、位置特定部22は、取得した最近傍ノードまでの距離および方向を、地理座標を用いて算出する。最後に、位置特定部22は、最近傍ノードに対応するデフォルメ地図上のノードが上述した距離および方向となるように、処理対象ノードの座標を算出する。この位置特定部22で算出された座標によって示される位置は、位置調整部23に送られる。
【0038】
このようにして、図4の市販地図に示す道路PQおよびSTを構成するノードのデフォルメ地図上の位置が算出される。図5は、道路PQおよびSTを構成するノードをデフォルメ地図上に配置した例を示すが、道路の端がデフォルメ地図の道路上に乗らずにずれる場合が生じる。位置調整部23は、このずれを調整する。なお、上述したずれは微小である場合が多いが、図5では、ずれている状態を分かりやすくするために強調して描かれている。
【0039】
このようにして、デフォルメ地図に追加したい地図要素が加えられたデフォルメ地図は、記憶部11に送られ、既に格納されているデフォルメ地図が置き換えられて更新されるとともに、位置調整部23に送られる。
【0040】
次いで、地図要素配置部14の位置調整部23は、追加したい地図要素の位置を、交差状況設定部21から送られてきた交差状況および位置特定部22から送られてきた位置に基づき調整する。
【0041】
より詳しくは、位置調整部23の接続調整部31は、交差状況設定部21から交差状況を受け取ると、追加したい地図要素を含むデフォルメ地図を記憶部11から読み出し、交差状況設定部21によって「交差」と設定されている端点について、追加した地図要素以外のデフォルメ地図上の地図要素の中で最も近い地図要素を取得し、取得した地図要素との距離が所定の閾値以下の場合は、取得した地図要素(最も近い地図要素)上に端点が乗るように、追加する地図要素の配置位置を調整する。
【0042】
図5に示す例では、交差状況設定部21において「交差」と設定されたノードP、SおよびTに対して、デフォルメ地図上の地図要素(追加した地図要素を除く)で最も近い地図要素が取得され、位置が調整される。例えば、ノードPの場合、最も近いノードとしてノードEが取得され、ノードEを含む地図要素である道路EF、EB、EDまたはEIのうち、ノードPとの距離が最小となる道路EIが最も近い地図要素として確定される。図5に示す例において、ノードPと道路EIとの距離をデフォルメ地図上の座標で算出すると閾値以下となるため、ノードPは道路EIに接続するノードであるとみなされ、ノードPが道路EI上となるように位置が調整されて、図6に示すノードP’となる。
【0043】
ノードSおよびノードTについても同様にして、最も近い地図要素として、道路DEおよび道路HIがそれぞれ取得され、ノードSと道路DEとの距離およびノードTと道路HIとの距離をデフォルメ地図の座標で算出すると、どちらも閾値以下となるため、ノードPの場合と同様にして、ノードSおよびノードTが道路DEおよび道路HI上になるように位置がそれぞれ調整されて、図6に示すノードS’およびT’となる。
【0044】
なお、デフォルメ地図は、市販地図の全道路を含むとは限らないため、追加したい道路が市販地図上で他の道路と接続されていたとしてもデフォルメ地図上でその道路とは接続されていないケースも存在する。この場合は、デフォルメ地図上の最も近い地図要素との距離は閾値以上となり、位置調整の対象外となる。例えば、図7に示すような、図5に示す道路GHIJが存在しないデフォルメ地図に道路PQおよび道路STを追加する場合、ノードTは交差状況設定部21において「交差」と設定され、ノードTに最も近い地図要素として道路ELが取得される。しかしながら、道路ELとノードTとの距離は閾値以上となるため、ノードTは道路ELに接続される道路の端とはみなされず、位置調整は実施されない。
【0045】
このようにして、追加する地図要素の端の位置が調整され、記憶部11に格納されているデフォルメ地図の座標が更新される。
【0046】
また、位置調整部23の地点間調整部32は、デフォルメ地図に追加する地図要素を構成するノード間の相対的位置関係が市販地図とは異なる部分を抽出し、市販地図と同じ位置関係になるようにノード位置を修正する。図8は、ノード位置の修正の例を示す図である。図8(a)は、デフォルメ地図上に追加したい地図要素(例えば、道路)の例を示している。位置特定部22および位置調整部23の接続調整部31で処理された後の状態が、図8(b)に示す状態であったとする。この場合、地点間調整部32では、追加する地図要素を構成するノード1〜4のうち、市販地図の相対的位置関係と異なる部分としてノード2からノード3に接続する部分を抽出し、市販地図の相対的位置関係と同じになるように、つまりノード3がノード2に比べて図中右下となるようノード3の座標を修正し、図8(c)に示す3’の位置とする。座標を修正する際は、追加する地図要素を構成するノードのうち、市販地図と相対的位置が一致する付近のノード(図8(b)でノード3の位置を修正する場合はノード2とノード4)に対する位置関係が市販地図と同じになるように、距離および方向に基づいて座標が算出される。
【0047】
このようにして、デフォルメ地図に追加する地図要素を構成するノード間の相対的位置関係が市販地図と同じになるように座標が調整され、この調整された座標を有するデフォルメ地図が、記憶部11に送られて既に格納されているデフォルメ地図に置き換えられ更新されるとともに、交差判定部15に送られる。
【0048】
最後に、交差判定部15は、位置調整部23からデフォルメ地図を受け取ると、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないか否かを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を、これらが交差しないように変更する。
【0049】
具体的には、交差判定部15は、追加した地図要素を構成する各線分について、付近に存在する他の地図要素の線分を取得し、それらの線分と交差するかどうかを調べ、交差する線分が見つかった場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を調整して、交差しない座標を算出する。追加した地図要素と交差相手の地図要素のどちらのノードを修正するかは任意であり、重要性に応じて、どちらを調整するかを予め定めておくように構成できる。
【0050】
以上説明したように、実施の形態1に係る地図要素配置装置によれば、地図要素をデフォルメ地図に追加する際に、デフォルメ地図の地図要素に接続される、追加する地図要素の接続位置を調整することができる。その結果、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素をデフォルメ地図に合わせて追加することができる。また、追加する地図要素を、デフォルメ地図の他の地図要素と交差しないように配置することができる。
【0051】
なお、上述した例では、道路のデフォルメ地図に新たな道路を追加する場合を示したが、デフォルメ地図の地図要素および追加する地図要素は道路に限らず、河川または鉄道等であってもよい。
【0052】
また、上述した例では、追加する地図要素を構成するノードについて、相対的な位置関係を保持した状態でデフォルメ地図に追加するように構成したが、相対的な位置関係を保持することを考慮する必要がない場合は、位置調整部23における地点間調整部32を除いて地図要素配置装置を構成することができる。
【0053】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る地図要素配置装置は、地図要素をデフォルメ地図のスケールに合わせて配置するようにしたものである。
【0054】
図9は、実施の形態2に係る地図要素配置装置の構成を示すブロック図である。この地図要素配置装置は、記憶部11、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14aおよび交差判定部15を備えている。なお、以下においては、図1に示した実施の形態1に係る地図要素配置装置の構成要素と同一または相当する部分には、図1で使用した符号と同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0055】
記憶部11は、実施の形態1と同様に、地理座標を有する地図データ、形状を簡略化する等して見やすくしたデフォルメ地図のデータ、デフォルメ地図に追加したい地図要素のデータの他に、定義データおよび中間データ等を記憶している。各データの内容は、実施の形態1と同じである。この記憶部11は、表示部12、地理座標設定部13、地図要素配置部14aおよび交差判定部15からアクセスされる。
【0056】
表示部12は、実施の形態1と同様に、記憶部11から読み出された地理座標を有する地図またはデフォルメ地図を表示したり、ユーザによって入力された情報、例えば、点をデフォルメ地図上に表示したり、あるいは、地理座標設定部13、地図要素配置部14aまたは交差判定部15から送られてくる情報を表示したりする。
【0057】
地理座標設定部13は、実施の形態1と同様に、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に地理座標を設定する。この地理座標が設定されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納されるとともに、地図要素配置部14aに送られる。
【0058】
地図要素配置部14aは、道路または緑地等のように広がりまたは大きさを有する地図要素のデフォルメ地図上の座標を算出し、この算出した座標に基づいて、追加する地図要素をデフォルメ地図に合わせて配置する。ここで、地図要素配置部14aの詳細を説明する。地図要素配置部14aは、座標変換部24およびスケール調整部25を備えている。
【0059】
座標変換部24は、追加したい地図要素をデフォルメ地図に追加する際に基準とする基準点を定め、この基準点のデフォルメ地図上の座標を算出し、基準点に基づき、追加したい地図要素の座標を、その形状を元の状態に保持したままデフォルメ地図上の座標に変換する。
【0060】
スケール調整部25は、地図要素全体をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小する比率を算出し、この算出した比率に基づいて、デフォルメ地図の他の地図要素のスケールに合わせて、追加したい地図要素を構成するノードの座標を変換する。
【0061】
交差判定部15は、実施の形態1と同様に、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないか否かを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を調整して交差しないように座標を変更する。この交差判定部15における処理結果は、記憶部11に送られて格納される。
【0062】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係る地図要素配置装置の動作を説明する。以下では、一例として、道路のデフォルメ地図に、緑地のようなポリゴンを追加する場合について説明する。
【0063】
まず、デフォルメ地図に地理座標(経度、緯度)が設定される。すなわち、地理座標設定部13は、記憶部11から読み出したデフォルメ地図に地理座標を設定する。より詳しくは、まず、デフォルメ地図と地理座標による地図とが表示部12に表示される。この表示された地図上で、ユーザが、図示しない入力装置を用いて、デフォルメ地図と地理座標による地図とが対応する地点(対応点)を指定すると、地理座標設定部13は、デフォルメ地図上の指定された点に地理座標を設定する。この地理座標が設定されたデフォルメ地図は、記憶部11に送られて格納されるとともに、地図要素配置部14aに送られる。
【0064】
地図要素配置部14aにおいては、座標変換部24は、追加したい地図要素をデフォルメ地図に追加する際に基準とする基準点を定め、この定めた基準点のデフォルメ地図上の座標を算出し、基準点に基づき、追加したい地図要素の座標を、その形状を元の状態に保持したままデフォルメ地図上の座標に変換する。
【0065】
基準点としては、追加したい地図要素の重心座標、追加したい地図要素を包含する外接矩形の任意の1頂点(例えば、外接矩形の左下の点)、または、地図要素のノードのうちの任意の1つを用いることができる。基準点に対するデフォルメ地図上の座標は、実施の形態1に係る地図要素配置装置の位置特定部22で行われる方法と同様の方法で算出できる。すなわち、基準点に最も近いノードを地理座標に基づき取得し、取得した最近傍ノードのデフォルメ地図上の座標を用いて、基準点と最近傍ノードとの距離および方向が地理座標を有する市販地図と同じになるようにデフォルメ地図上の座標を算出する。
【0066】
このようにして追加したい地図要素の基準点をデフォルメ地図上に配置し、地図要素の形状およびスケールを保持したまま、地図要素を構成する各ノードの座標を変換する。以下、具体的な例を、図10〜図12を参照しながら説明する。図10は市販地図であり、A〜Lは道路上のノードである。今、緑地mのポリゴンを、図11に示すデフォルメ地図に追加する場合を考える。図12は、座標変換部24において緑地mをデフォルメ地図の座標に変換した例を示す。図10に示す緑地mと図12に示す緑地m’は同じ形状およびスケールであり、座標系のみが異なっている。
【0067】
座標変換部24は、追加したい地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出し、記憶部11に送って格納するとともに、スケール調整部25に送る。
【0068】
地図要素配置部14aのスケール調整部25は、地図要素の全体をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小する比率を算出し、デフォルメ地図の他の地図要素のスケールに合わせて、追加したい地図要素を構成するノードの座標を変換する。
【0069】
具体的には、スケール調整部25は、追加したい地図要素の付近に存在する地図要素を記憶部11に格納されている市販地図(地理座標による地図)から抽出し、対応するデフォルメ地図上の長さと比較して拡大または縮小する比率を算出する。図10の市販地図に示す緑地mを図11に示すデフォルメ地図に追加したい場合、スケール調整部25は、緑地mの付近の地図要素として、道路DEおよびEIを取得する。次いで、道路DEおよびEIの市販地図上の長さに対するデフォルメ地図上の長さの比を算出する。図11は、図10に比べて、道路DEおよびEIの長さが大きくなったデフォルメ地図であるため、「拡大率」となる。図11とは反対に、道路DEおよびEIの長さが小さくなったデフォルメ地図の場合は「縮小率」となる。
【0070】
スケール調整部25は、このようにして算出した比率に基づき、座標変換部24で算出された、追加したい地図要素を構成する各ノードの座標を修正し、図13または図14に示すようにデフォルメ地図に合わせた大きさにする。その後、スケール調整部25は、修正した座標を記憶部11に格納するとともに、交差判定部15に送る。
【0071】
最後に、交差判定部15は、地図要素配置部14aのスケール調整部25からデフォルメ地図を受け取ると、実施の形態1と同様に、追加した地図要素がデフォルメ地図の他の地図要素と交差していないかを調べ、交差している場合は、追加した地図要素または交差相手の地図要素のノードの座標を、これらが交差しないように修正する。
【0072】
以上説明したように、実施の形態2に係る地図要素配置装置によれば、地理座標を有する地図(市販地図)からスケールが変更されたデフォルメ地図に地図要素を追加する場合も、デフォルメ地図のスケールに合わせて地図要素を配置することができる。また、元の形状(市販地図の形状)を保持したまま追加することができるため、緑地または公園等のように形状が複雑な地図要素の場合も、追加した地図要素が何であるかを容易に認識することができる。また、追加する地図要素を、他の地図要素と交差しないように配置することができる。
【0073】
なお、上述した例では、緑地のポリゴンをデフォルメ地図上に追加する場合を示したが、追加する地図要素は緑地に限らず、任意の地図要素であってもよい。
【0074】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2は、デフォルメ地図に手動で地理座標(経度、緯度)を設定するように構成したが、地理座標を有するデフォルメ地図を別途に生成して記憶部11に格納しておき、この記憶部11の内容を直接利用するように構成することもできる。この場合、図1および図9における地理座標設定部13および表示部12は除去することができる。
【0075】
また、実施の形態1および実施の形態2では、図2(b)または図3(b)等に示すように、道路の方向が水平と垂直に限定されたデフォルメ地図を示しているが、デフォルメ地図としては、地図要素の方向が水平、垂直または斜め方向に限定されていなくてもよい。また、形状を簡略化した地図または手書きの道案内図等であってもよい。
【0076】
また、実施の形態1および実施の形態2では、追加する地図要素を含み、地理座標を有する地図として市販地図を使用する例を示したが、地理座標(経度、緯度)を有するデータであれば、市販地図に限らない。
【0077】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 記憶部、12 表示部、13 地理座標設定部、14,14a 地図要素配置部、15 交差判定部、21 交差状況設定部、22 位置特定部、23 位置調整部、24 座標変換部、25 スケール調整部、31 接続調整部、32 地点間調整部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定部と、
前記地理座標設定部で地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置部
とを備えた地図要素配置装置。
【請求項2】
地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を格納する記憶部と、
前記記憶部から取得した地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を表示する表示部とを備え、
地理座標設定部は、前記表示部に表示された地理座標を有する地図とデフォルメ地図との対応点の指定に基づき該デフォルメ地図に地理座標を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の地図要素配置装置。
【請求項3】
地図要素配置部によってデフォルメ地図に追加された地図要素が、該デフォルメ地図の他の地図要素と交差しないように地図要素の座標を調整する交差判定部
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図要素配置装置。
【請求項4】
地図要素配置部は、
追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを示す交差状況を、該端点に関連付けて設定する交差状況設定部と、
追加する地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出する位置特定部と、
前記交差状況設定部で設定された交差状況および前記位置特定部で算出された位置に基づき、追加する地図要素のノードの座標を調整する位置調整部
とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図要素配置装置。
【請求項5】
位置調整部は、
追加する地図要素の端点がデフォルメ地図の地図要素に一致して接続されるように該地図要素の配置位置を調整する接続調整部と、
追加する地図要素を構成するノード間の相対的な位置関係が地理座標による地図と同じ位置関係になるように調整する地点間調整部
とを備えたことを特徴とする請求項4記載の地図要素配置装置。
【請求項6】
地図要素配置部は、
追加する地図要素をデフォルメ地図上に配置する基準点を定め、該基準点に基づき、追加する地図要素を元の形状を保持したままデフォルメ地図上に配置する座標変換部と、
追加する地図要素をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小して配置するスケール調整部
とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図要素配置装置。
【請求項7】
デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定ステップと、
前記地理座標設定ステップで地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置ステップ
とを備えた地図要素配置方法。
【請求項8】
地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を格納する格納ステップと、
前記格納ステップで格納された地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を表示する表示ステップとを備え、
地図要素配置ステップにおいては、前記表示ステップで表示された地理座標を有する地図とデフォルメ地図との対応点の指定に基づき該デフォルメ地図に地理座標を設定する
ことを特徴とする請求項7記載の地図要素配置方法。
【請求項9】
地図要素配置ステップにおいてデフォルメ地図に追加された地図要素が、該デフォルメ地図の他の地図要素と交差しないように地図要素の座標を調整する交差判定ステップ
を備えたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の地図要素配置方法。
【請求項10】
地図要素配置ステップは、
追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを示す交差状況を、該端点に関連付けて設定する交差状況設定ステップと、
追加する地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出する位置特定ステップと、
前記交差状況設定ステップにおいて設定された交差状況および前記位置特定ステップにおいて算出された位置に基づき、追加する地図要素のノードの座標を調整する位置調整ステップ
とを備えたことを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の地図要素配置方法。
【請求項11】
位置調整ステップは
追加する地図要素の端点がデフォルメ地図の地図要素に一致して接続されるように該地図要素の配置位置を調整する接続調整ステップと、
追加する地図要素を構成するノード間の相対的な位置関係が地理座標による地図と同じ位置関係になるように調整する地点間調整ステップ
とを備えたことを特徴とする請求項10記載の地図要素配置方法。
【請求項12】
地図要素配置ステップは、
追加する地図要素をデフォルメ地図上に配置する基準点を定め、該基準点に基づき、追加する地図要素を元の形状を保持したままデフォルメ地図上に配置する座標変換ステップと、
追加する地図要素をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小して配置するスケール調整ステップ
とを備えたことを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の地図要素配置方法。
【請求項1】
デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定部と、
前記地理座標設定部で地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置部
とを備えた地図要素配置装置。
【請求項2】
地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を格納する記憶部と、
前記記憶部から取得した地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を表示する表示部とを備え、
地理座標設定部は、前記表示部に表示された地理座標を有する地図とデフォルメ地図との対応点の指定に基づき該デフォルメ地図に地理座標を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の地図要素配置装置。
【請求項3】
地図要素配置部によってデフォルメ地図に追加された地図要素が、該デフォルメ地図の他の地図要素と交差しないように地図要素の座標を調整する交差判定部
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図要素配置装置。
【請求項4】
地図要素配置部は、
追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを示す交差状況を、該端点に関連付けて設定する交差状況設定部と、
追加する地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出する位置特定部と、
前記交差状況設定部で設定された交差状況および前記位置特定部で算出された位置に基づき、追加する地図要素のノードの座標を調整する位置調整部
とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図要素配置装置。
【請求項5】
位置調整部は、
追加する地図要素の端点がデフォルメ地図の地図要素に一致して接続されるように該地図要素の配置位置を調整する接続調整部と、
追加する地図要素を構成するノード間の相対的な位置関係が地理座標による地図と同じ位置関係になるように調整する地点間調整部
とを備えたことを特徴とする請求項4記載の地図要素配置装置。
【請求項6】
地図要素配置部は、
追加する地図要素をデフォルメ地図上に配置する基準点を定め、該基準点に基づき、追加する地図要素を元の形状を保持したままデフォルメ地図上に配置する座標変換部と、
追加する地図要素をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小して配置するスケール調整部
とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図要素配置装置。
【請求項7】
デフォルメ地図に地理座標を設定する地理座標設定ステップと、
前記地理座標設定ステップで地理座標が設定されたデフォルメ地図に、広がりまたは大きさを有する地図要素を追加し、該デフォルメ地図に合わせて配置する地図要素配置ステップ
とを備えた地図要素配置方法。
【請求項8】
地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を格納する格納ステップと、
前記格納ステップで格納された地理座標を有する地図およびデフォルメ地図を表示する表示ステップとを備え、
地図要素配置ステップにおいては、前記表示ステップで表示された地理座標を有する地図とデフォルメ地図との対応点の指定に基づき該デフォルメ地図に地理座標を設定する
ことを特徴とする請求項7記載の地図要素配置方法。
【請求項9】
地図要素配置ステップにおいてデフォルメ地図に追加された地図要素が、該デフォルメ地図の他の地図要素と交差しないように地図要素の座標を調整する交差判定ステップ
を備えたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の地図要素配置方法。
【請求項10】
地図要素配置ステップは、
追加する地図要素の端点が他の地図要素と交差するかどうかを示す交差状況を、該端点に関連付けて設定する交差状況設定ステップと、
追加する地図要素を構成する各ノードのデフォルメ地図上の位置を算出する位置特定ステップと、
前記交差状況設定ステップにおいて設定された交差状況および前記位置特定ステップにおいて算出された位置に基づき、追加する地図要素のノードの座標を調整する位置調整ステップ
とを備えたことを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の地図要素配置方法。
【請求項11】
位置調整ステップは
追加する地図要素の端点がデフォルメ地図の地図要素に一致して接続されるように該地図要素の配置位置を調整する接続調整ステップと、
追加する地図要素を構成するノード間の相対的な位置関係が地理座標による地図と同じ位置関係になるように調整する地点間調整ステップ
とを備えたことを特徴とする請求項10記載の地図要素配置方法。
【請求項12】
地図要素配置ステップは、
追加する地図要素をデフォルメ地図上に配置する基準点を定め、該基準点に基づき、追加する地図要素を元の形状を保持したままデフォルメ地図上に配置する座標変換ステップと、
追加する地図要素をデフォルメ地図のスケールに合わせて拡大または縮小して配置するスケール調整ステップ
とを備えたことを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の地図要素配置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−198310(P2012−198310A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61060(P2011−61060)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]