説明

地域特定装置および地域特定方法

【課題】GPSを実装しなくても、カメラのような情報機器に搭載可能な機器を用いて地域を特定することのできる地域特定装置および地域特定方法を提供する。
【解決手段】カメラ10から撮影場所の日時情報、気温データ、標高データを受信する通信部4と、日時によって変化する気温データを地域ごとに記録した地域別気温変化データベース3を有する。カメラ10から受信した撮影場所の気温データおよびデータベース3に記憶された気温データを同一の標高における気温データに規格化し、規格化されたカメラ10から受信した撮影場所の気温データと略一致する規格化されたデータベース3に記憶した地域ごとの気温データを検索し、この検索した気温データに対応する地域を撮影場所の地域として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域特定装置および地域特定方法に関し、詳しくは、気温データおよび標高データ等に基づいて地域を特定する地域特定装置および地域特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
登山等の野外活動に出かけた際に、植物、野鳥、動物、鉱石等に興味を持つことがあるが、これらの植物等の名称が分からないことが多い。図鑑等を携帯すれば、その場で調べることも可能であるが、図鑑等は嵩張り、また携帯したとしても、検索するのが容易ではなく、気楽にもっていけるものではない。
【0003】
動植物等の検索にあたって、野外活動を行っている場所の地域情報があれば、ある程度、動植物等の名称を絞り込むことができる。例えば、特許文献1には、GPS情報と画像データを用いて花を同定する検索システムが開示されている。
【特許文献1】特開2007−179129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の検索システムは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)のような消費電流や体積が大きい機器を実装する必要がある。このため、カメラのような携帯情報機器ではGPSを搭載することは困難である。また、検索にあたって、GPS捕捉時間も、実装した場合には問題となる。
【0005】
本願発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、GPSを実装しなくても、カメラのような情報機器に搭載可能な機器を用いて地域を特定することのできる地域特定装置および地域特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる地域特定装置は、外部から地域の日時情報、気温データ、標高データを受信する受信部と、日時によって変化する気温データを地域ごとに記録したデータベースと、上記外部から受信した地域の気温データおよび上記データベースに記憶された気温データを同一の標高における気温データに規格化する規格化部と、上記規格化された上記外部から受信した地域の気温データと略一致する上記規格化された上記データベースに記憶した地域ごとの気温データを検索し、この検索した気温データに対応する上記地域を特定する地域特定部を備える。
【0007】
第2の発明に係わる地域特定装置は、上記第1の発明において、上記受信部はさらに植物画像データを受信するものであり、上記データベースはさらに地域ごとの植物データをさらに記録したものである。
また、第3の発明に係わる地域特定装置は、上記第1の発明において、上記地域特定部により特定された地域の植物データを外部に送信する送信部をさらに備える。
【0008】
さらに、第4の発明に係わる地域特定装置は、上記第2の発明において、上記受信部で受信した植物データに対応する地域を、上記データベースをもとに検索する画像検索部をさらに備える。
さらに、第5の発明に係わる地域特定装置は、上記第1の発明において、上記画像検索部により検索した植物データまたは上記地域特定部により特定した地域の植物データを外部に送信する送信部をさらに備える。
【0009】
上記目的を達成するため第6の発明に係わる情報機器は、上記請求項2または上記請求項5に記載の地域特定装置に対して上記地域の日時情報、気温データ、標高データを送信する送信部と、上記地域特定装置によって送信された地域の植物情報を受信する受信部と、該受信部によって受信した植物情報を表示する表示部を備える。
【0010】
上記目的を達成するため第7の発明に係わる地域特定方法は、外部から地域の日時情報、気温データ、標高データを受信するステップと、データベースに記憶された日時によって変化する地域ごとの気温データと、上記外部から受信した地域の気温データを同一の標高における気温データに規格化するステップと、上記規格化された上記外部から受信した地域の気温データと略一致する上記規格化された上記データベースに記憶された地域ごとの気温データを検索し、この検索された気温データに対応する上記地域を特定するステップとを備える。
【0011】
上記目的を達成するため第8の発明に係わる地域特定用プログラムは、被写体像を光電変換した画像データと、この画像データを取得したときの日時情報、標高情報、および周囲の気温情報を取得し、データベースに記憶された日時によって変化する地域ごとの気温情報と、上記取得した気温情報を、同一の標高における気温データに規格化し、上記規格化された上記取得した気温情報と略一致する上記規格化された上記データベースに記憶した地域ごとの気温情報を検索し、この略一致した気温情報に対応する上記地域を特定する。
【0012】
上記目的を達成するため第9の発明に係わるカメラは、被写体像を光電変換し、画像データを取得する撮影部と、日時情報を出力する時計部と、標高情報を出力する標高測定部と、周囲の気温情報を出力する気温測定部と、上記画像データ、日時情報、標高情報、気温情報を送信する送信部を有する。
【0013】
第10の発明に係わるカメラは、上記第9の発明において、上記画像データ、日時情報、標高情報、気温情報に基づいて、上記画像データに係わる被写体像の種別の検索結果を受信する受信部と、この受信部で受信した上記検索結果を表示する表示部を更に有する。
第11の発明に係わるカメラは、上記第9の発明において、上記時計部、標高測定部および気温測定部は、周期的に上記日時情報、標高情報、および気温情報を取得し、上記画像データの送信にあたっては、上記周期的に取得した情報と共に送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、GPSを実装しなくても、カメラのような情報機器に搭載可能な機器を用いて地域を特定することのできる地域特定装置および地域特定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を適用した地域特定装置を用いて好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係わる地域特定装置の構成を示すブロック図である。カメラ10はデジタルカメラであり、撮影部10a、時計部10b、標高検出部10c、気温測定部10d、送受信部10e、表示部10fを有する。
【0016】
撮影部10aは、レリーズ釦の全押し操作(撮影時)に応答して、被写体像の光電変換信号に基づく画像データを記録媒体に記録する。時計部10bは、時計機能により日時情報を出力し、撮影時の日時情報は画像データと共に、記録媒体に記録される。
【0017】
標高測定部10cは、カメラ10の存在する標高を測定する測定部であって、標高情報を出力する。ピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサ等によって構成される。気温測定部10dは、カメラ10の環境温度を測定する測定部であって、気温情報を出力する。ダイオードの順方向電流の温度依存性等を利用した半導体温度検出回路等によって構成される。
【0018】
送受信部10eは、送信部と受信部とから構成され、日時情報、標高情報、および気温情報と共に画像データを、インターネット網15等の通信網を介してサーバー20に送信し、また、サーバー20による検索結果等を受信することができる。表示部10eは、撮影部10aによって撮影された画像データを表示し、また撮影に先立ってライブビュー表示を行う。さらに、サーバー20から送信されてきた撮影画像の検索結果の表示も行う。
【0019】
サーバー20は、インターネット網15に接続可能であり、受信した写真等の画像データを記録可能であり、ユーザーのPC(パーソナルコンピュータ)の操作指示に従って、記録された画像を読み出し、ユーザーのPCの表示部に表示を行うことができる。サーバー20内には、制御部1、画像記録部2、地域別気温変化DB(データベース)3、通信部4、表示制御部5、操作判定部6、および植物DB(データベース)7が設けられている。
【0020】
制御部1は、サーバー20内の各部と接続され、ユーザーから画像を受信し、この画像の保管や、画像の送信を行い、またユーザーから送信されてきた高山植物等の画像データと添付された情報に基づいて、高山植物等の種別を検索し、検索結果を示すデータの送信等、各部を制御する。画像記録部2はユーザーから送信されてくる画像を記録する。
【0021】
地域別気温変化DB3は、気象庁や登山関係者等が、常時、公開している地域ごとの気温を記憶するデータベースである。気温情報は10分または1時間等の周期で更新されて、日々の気温変化を、場所ごとに定点観測したものである。外部からデータを取り込んで内部データベース化してもよいが、通信部4を介して、直接、外部のデータベースにアクセスするようにしてもよい。
【0022】
通信部4は、外部のPCやカメラ10等と、インターネット網15を介して、送受信を行う。表示制御部5は、外部のPCやカメラ10等に、サーバー20内に記録された画像や、生成された高山植物の種別検索結果を表示させるための制御部である。操作判定部6は、外部のPCやカメラ10等について、ユーザーによるキーボード等の操作状態を判定する。この操作判定部6による判定に基づいて、制御部1は制御を行う。植物DB7は、地域ごとの植物データベースであり、植物の画像とその説明文から構成されている。サーバー20に内蔵してもよいが、地域別気温変化DB3と同様に、サーバー20の外部のデータベースを、サーバー20が利用できるように連携してもよい。
【0023】
次に、このように構成された地域特定装置の動作を説明する。この地域特定装置は、画像データと共に送信されてきた気温情報等の情報から地域を特定する。さらに、この地域特定装置は、画像データとして高山植物の写真が送信され、高山植物検索の要求がされた場合、この高山植物の種類を検索し、その検索結果を送信する。
【0024】
まず、撮影者がカメラ10を用いて高山植物11などを被写体として撮影すると、この画像データと、撮影時の日時情報、標高情報、および気温情報は、インターネット網15を通じて、ネット上のサーバー20に送信される。サーバー20は、これらの情報を画像記録部2に記録し、ユーザーから高山植物検索の要求があると、地域別気温変化部DB3、植物DB7等を制御して高山植物の検索を行う。
【0025】
高山植物11の検索にあたっては、まず、日時情報、気温情報および標高情報を用いて、撮影した地域の特定を行う。地域の特定は以下のようにして行う。地域別の気温変化データは、所定の場所のデータしかないが、その場所の近くの山の気温は、1000mの標高ごとに5℃下がる関係があるので、撮影場所の標高情報を用いて気温情報を規格化することにより、撮影した地域を類推することは可能である。
【0026】
したがって、写真撮影場所の気温と標高と、撮影日時が分かれば、各地の気温変化データベースに基づいて、図2に示すように、撮影場所近くの山の所定標高の気温変化を知ることが出来る。すなわち、図2に示す気温の変化のグラフの中から、カメラ撮影時(○月△日×時)の気温が□℃の山を探せば、それが、そのユーザーの行った場所(図中B山)だと推定できる。なお、こうした山の気温データは多数、得られるが、ここでは分かりやすくするために、2つの山のみを図示している。
【0027】
このように地域が特定される(ここでは、ユーザーの行った山)と、標高は標高情報に基づいて特定され、季節は撮影の日時情報から特定されるので、これらの情報を基にして、植物DB7から、撮影された画像データを検索し、高山植物の情報(花情報)を取得できる。
【0028】
得られた花情報を、サーバー20は通信部4およびインターネット網15を介して、カメラ10に送信する。カメラ10は送受信部10eで受信した花情報を、表示部10fに表示する。花情報の表示方法としては、種々あるが、例えば、図1に示すように、撮影結果の画像10gと並べて、検索結果の画像10hや説明文10iを表示するようにしてもよい。
【0029】
以上のようにして、カメラ10は、ネットワークと連携して、撮影画像の内容を確認できる機能を有することができる。GPS機能を搭載し、このGPS情報に基づいて撮影場所を特定し、その植生から植物の種類を同定するものよりも、簡単な構成、また、特に余計な操作なしにて、同等の効果を奏することが可能である。
【0030】
人工衛星からの電波を利用した位置検出のGPS機能は普及傾向にあるが、電波の捕捉に時間がかかり、また電波の増幅用の電源のエネルギー消費や、アンテナを含む機器の容積、さらには、地図データベースの容量の確保など、課題が数多く、本実施形態のように単純な構成にすることができない。
【0031】
一方、本実施形態における標高測定部10cは、ピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサを搭載すれば、これで水圧による水深や、気圧による標高を判定でき、GPSなどより廉価、単純な構成で実施可能である。なお、半導体圧力センサは、シリコン単結晶基板の表面にIC製造と同じプロセスでピエゾ抵抗を形成し、裏面からのケミカルエッチングによりSi基板自体を薄くし、ダイヤフラムと呼ばれる感圧部を形成することにより得られる。
【0032】
また、時計部10や気温測定部10dは、従来からカメラが有している機能部である。送受信部10eは、ワイヤレスLANやホットスポットの普及によって、容易に外部と通信を行うことができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、GPSを用いずに撮影場所の地域を特定することができる。また、日時情報や標高情報を利用することにより、季節や標高に依存して生育する高山植物などをより簡単な構成で、検索することが可能となる。ユーザーは、自分が見た珍しい動植物の名前を知ることができ、興味を覚えて、また、山に出かけたり、撮影を楽しんだりすることができる。
【0034】
本発明を用いて特定した地域の利用として高山植物の検索には限られないが、ここで、高山植物の検索を例にあげて説明したのは、高山になれば、動植物の種類が限られる上、自然が残っているケースが多く、普段、見ることのない対象物が多いため、多数のユーザーの興味を引き効果が大きいためである。
【0035】
なお、本実施形態においては、カメラ10で撮影した画像と撮影時の各情報をカメラ10からサーバー20に送信するようにしていたが、これ以外にも、例えば、カメラ10から画像データと各情報を一旦、PCなどに移し、PCからサーバー20に送信するようにしてもよい。サーバー20は、検索結果をPCに送信し、ユーザーは撮影した高山植物とその検索結果を楽しむことができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について、図3乃至図5を用いて説明する。第1実施形態においては、気温情報を標高情報で規格化し、この規格化された気温情報と日時情報から、一致する気温の観測場所を撮影場所と推定していた。第2実施形態では、気温の「経時変化」も考慮して、さらに詳しい地域絞込みを行うようにしている。
【0037】
図3に、中部地方(立科)と、東北(十和田)と九州(阿蘇)における一日の気温変化の例を示す。地域と日時が決まると気温変化のグラフが特定される。図3から分かるように、朝、気温が上がっていく様子を見ると、東に位置する地域の方が、日の出時刻が早いため気温上昇が早く始まることが分かる。一方、山登りの行動パターンとしては、通常、朝から登山を開始するのが一般的で、高山植物を見る場所まで行って帰るには、数時間の移動を行う。
【0038】
そこで、この間の時間と気温、標高の変化を、カメラ10がモニタしておけば、ちょうど、図3のように気温が上がっていく様子や、気温が下がっていく様子を検出できる。その変化のパターンマッチングによって、どの地域の山に登っているかを、より正確に判定することが可能となる。
【0039】
第2実施形態の構成は、第1実施形態における図1に示した全体構成のブロックは同様であるので、詳しい説明は省略する。第2実施形態の動作について、図4および図5に示すフローチャートを用いて説明する。図4は、カメラの動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、時間や標高への気温変化のパターンマッチングを利用した部分を、所定時刻のポイントにおける標高補正の、気温から所定地域を推測するようにすれば、第1実施形態でも利用できるものとなる。
【0040】
まず、カメラ10の動作が開始すると、撮影動作か否かの判定を行う(S101)。撮影動作か否かは、カメラのレリーズ釦等が操作されたか否かにより判定する。判定の結果、撮影動作の指示があった場合には、撮影を行う(S102)。この撮影では、カメラ10内の撮像素子によって被写体像に基づく画像データを取得する。
【0041】
続いて、撮影時の日時情報を時計部10aより取得する(S103)。このあと、温度情報を気温測定部10dから取得し(S104)、標高情報を標高測定部10cから取得する(S105)。これらの情報を取得すると、続いて、これらの情報と共に、画像データを記録媒体に記録する(S106)。記録が終了すると、リターンし、最初に戻る。
【0042】
ステップS101における判定の結果、撮影ではなかった場合には、次に、再生か否かの判定を行う(S111)。再生モードは、カメラ10に記録されている画像データを表示部10fに再生表示を行うモードであり、このステップでは、カメラ10に設けられた再生釦の操作指示がなされたか否かの判定を行う。
【0043】
判定の結果、再生ではなかった場合には、所定時間が経過したか否か判定し(S131)、所定時間経過していない場合には、ステップS101に戻る。一方、所定時間が経過していた場合には、時計部10bの出力に基づいて時間情報を、標高測定部10cの出力に基づいて標高情報を、気温測定部10dの出力に基づいて気温情報を、カメラ10内のメモリに記録し(S132)、ステップS101に戻る。
【0044】
すなわち、このカメラ10は、気温の変化や山歩き時の標高の変化をモニタできるように、所定時間間隔で、標高と気温の経時変化を記録している。この経時変化の記録は、撮影していない状態でも、それらを記録できるようにしている。これによって、標高で補正した気温変化パターンを取得することが可能となる。
【0045】
ステップS111における判定の結果、再生であった場合には、ユーザーが選択した画像の再生表示を行う(S112)。次に、高山植物検索を行うか否かの判定を行う(S113)。この高山植物検索自体はサーバー20で行い、カメラ10は高山植物検索に必要な情報をサーバー20に送信する。ユーザーが高山植物検索を行う場合には、カメラ10のメニューモードでこの検索を指示するので、このステップでは、高山植物検索が指示されたか否かの判定を行う。
【0046】
ステップS113における判定の結果、高山植物検索モードではなかった場合には、ステップS101に戻り、前述のステップを実行する。一方、判定の結果、高山植物検索モードであった場合には、カメラ10をインターネット網15に接続する(S114)。そして、接続結果を表示する(S115)。ネット網15への接続方法としては、ワイヤレスLANや、携帯電話網等、種々の接続方式を採用できる。
【0047】
続いて、正しくネット接続が行われたか否かを判定する(S116)。判定の結果、ネット接続が行われなかった場合、すなわち、OKではなかった場合には、高山植物検索モードを終了するか否かの判定を行う(S117)。ユーザーが高山植物検索モードを終了することを選択した場合には、終了操作するので、このステップでは終了操作がなされたか否かを判定する。
【0048】
ステップS117における判定の結果、終了でなかった場合には、ステップS116に戻り前述のステップを実行し、一方、判定の結果、終了であった場合には、リターンし最初のステップに戻る。
【0049】
ステップS116における判定の結果、OKであった場合には、選択画像および気温と標高の経時変化情報を、インターネット網15を介してサーバー20に送信する(S118)。サーバー20は選択画像と気温と標高の経時変化情報に基づいて、高山植物の種名を検索し、その植物DB7に記憶されているその高山植物の画像と説明をカメラ10に返信する。このサーバー20の動作については、図5を用いて後述する。
【0050】
カメラ10は、選択画像と気温と標高の経時変化情報を送信すると、サーバー20からの応答を待ち(S121)、応答がない場合には、ステップS117と同様に終了するか否かの判定を行う(S122)。判定の結果、終了でない場合には、ステップS121に戻り、一方、終了の場合には、リターンし、最初のステップに戻る。
【0051】
ステップS121において、サーバー20から応答がくると、すなわち、検索結果を受信すると、受信結果を表示する(S123)。すなわち、サーバー20から、検索結果を送信してくるので、これを表示部10fに表示する。表示としては、高山植物の名称であったり、特徴を示したものであったり、図鑑の画像であったりする。なお、図1の表示部10fには、一種類しか図示していないが、複数候補がある場合は、それらを画面上に並べて表示したり、画像だけを並べ、ユーザーが見比べたい場合、撮影画像と並べて表示できるようにしてもよい。
【0052】
次に、変更指示がなされたか否かの判定を行う(S124)。すなわち、サーバー20における高山植物の検索が常に正しいとは限らないことから、ユーザーはサーバー20に対して、検索結果の次候補を送信するように要求することができる。判定の結果、変更指示がなされていない場合には、ステップS122に進み終了か否かの判定を行う。一方、変更指示が出されていた場合には、変更指示をサーバー20に送信し(S125)、ステップS121にジャンプし、前述の動作を繰り返す。
【0053】
このように本実施形態におけるカメラ10は、気温および標高の経時変化情報付きの画像データを送る機能、サーバー20から送られてきた結果を受信する機能等を有している。この機能を利用して、撮影場所の地域を特定し、特定された地域で見られる動植物等の検索結果を受信し、表示部10fに表示することができる。
【0054】
次に、図5に示すフローチャートを用いて、サーバー20の動作を説明する。このサーバー20は、カメラ10から送信されてきた気温および標高の経時変化情報から、その場所の地域を特定し、さらに特定された地域で見られる高山植物の種名を特定するための検索を行う。まず、サーバー20の動作が開始すると、カメラとの通信か否かの判定を行う(S201)。
【0055】
ステップS201における判定の結果、カメラ10との通信の場合には、次に、通信内容に基づいて、高山植物の検索か否かを判定する(S202)。判定の結果、高山植物の検索であった場合には、カメラ10から画像データと気温および標高の経時変化情報等の各情報を受信する(S203)。
【0056】
続いて、画像受信等が適切に行うことができたか、すなわちOKかを判定する(S204)。判定の結果、OKでなかった場合には、高山植物検索を終了するか否かを判定し(S205)、終了ではない場合、すなわち、続行する場合には、ステップS203に戻り、一方、終了する場合には、リターンし、最初に戻る。
【0057】
ステップS201における判定の結果、カメラ通信でなかった場合には、その他のサービス、例えば、PC操作に応じて画像を受信し保管し、また保管された画像を閲覧表示するように表示制御を行うなど、サーバー20として一般的なサービスを行う(S211)。また、ステップS202における判定の結果、高山植物検索でなかった場合には、カメラ10から送信されてきた画像の保管等を行う(S212)。ステップS211、S212の処理が終わると、リターンし最初に戻る。
【0058】
ステップS204において、各情報受信がOKであった場合には、受信画像の画像としての特徴を判定する(S221)。この画像受信判定の結果に基づいて、名称を特定できるか否かの判定を行う(S222)。例えば、ニッコウキスゲの場合のように、画像の構図や色合いがシンプルで適切である場合、それだけで、類似の植物の画像が検索可能であるので、そこから高山植物の名称を特定することが可能である。
【0059】
ステップS222における判定の結果、名称特定可能であれば、名称情報による検索を行う(S223)。この検索結果に基づいて、関連情報を特定し(S224)、植物DB7に記憶されている画像を特定する(S225)。これらの関連情報および画像をカメラ10に送信する(S226)。すなわち、ステップS224において、名称情報で検索すると、その植物に関する特徴が、いろいろとテキストが画像で紹介されて出てくるので、この中から、種や科、学名、別名、花期などの情報を選択して表示するようにする。情報提供を受けた情報元なども、htm情報などで抜き出してカメラ表示できる形にして送信できるようにしている。
【0060】
ステップS222における判定の結果、画像だけでは名称の特定ができない場合には、ステップS131、S132においてカメラ10が取得し、ステップS203において受信した撮影前後の気温変化に基づいて地域を特定する。まず、気温の変化情報を取得し(S231)、標高の変化情報を取得する(S232)。
【0061】
続いて、地域別気温変化DB3から山の気温変化情報を多数ある情報の中から優先順位順に読み出す。内部データベース以外にも、全国のいくつかの地域で持っているデータベースを利用してもよい。ここで取得した各地の山の気温変化情報は、それぞれの標高での気温であり、ユーザーが歩いた登山路の標高とは異なっている。そこで、ステップS231で得た山の気温変化情報をステップS232で得た標高変化情報を用いて、規格化し、標高補正する。このとき日時情報も用いて正しく補正する(S235)。
【0062】
この標高補正された気温変化と、ステップS233で得た各地の山の気温変化情報を比較する(S236)。判定の結果、一致していなかった場合には、その他の山の気温変化情報が残っているかを判定する(S241)。判定の結果、次の山の気温情報がある場合には、ステップS233に戻り、次の山の気温変化情報を読み出し、前述したように標高補正して、ステップS236において比較を行う。ステップS241における判定の結果、その他の山の気温変化情報がない場合には、警告情報を送信し(S242)、ステップS251にジャンプする。
【0063】
ステップS236における比較が一致すれば、比較対象となった山が地域として特定される。続いて、対応植物送信を行う(S237)。対応植物送信にあたっては、まず、撮影日時から、撮影場所の標高を判定し、特定された地域で、かつその標高に生息している高山植物の中から、送信されてきた高山植物の画像と一致する画像を検索する。マッチング度の高い順に、候補を決定し、第1順位の高山植物に関する情報を、カメラ10に送信する。
【0064】
ステップS237における対応植物情報送信、またはステップS226における情報送信が終わると、次に、変更指示がなされたか否かの判定を行う(S251)。送信されてきた高山植物の情報が撮影された高山植物と一致していない場合には、ユーザーはステップS124において変更指示を送信しているので、この変更指示がなされたか否かを判定する。
【0065】
判定の結果、変更指示がない場合には、ステップS253にジャンプするが、変更指示があった場合には、情報切換を行う(S252)。ここでの情報切換は、それぞれ高山植物の検索を行った際に検索された高山植物の中で次候補とされた高山植物を送信する。続いて、高山植物検索を終了するか否かを判定し(S253)、判定の結果、終了しない場合には、ステップS251に戻り、前述の処理を実行し、一方、終了の場合には、リターンし、最初に戻る。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、カメラ10は撮影前後の気温情報や標高情報を送信し、サーバー20は、それらの情報に基づいて、気温の経時変化のパターンに基づいて、より正確に地域を特定することができる。また、この特定された地域に基づいて、サーバー20は植生を検索し、候補となる植生情報を送信する。このため、数多い植物から、絞り込まれた植物を表示できる図鑑機能付きカメラを提供することができる。ユーザーは、さらに撮影対象に興味を持って、また、撮影に出かけ、カメラを活用するといった楽しみ方を促進することが可能となる。
【0067】
なお、第2実施形態においては、気温情報を標高情報を用いて規格化するにあたって、ユーザーが得た気温情報を、地域別気温変化DB3の気温情報取得位置に合わせて規格化していたが、逆でもかまわず、また、特定標高(例えば0m)に、地域別気温変化DB3の気温情報と、ユーザーが得た気温情報を規格化して、一致度を見るようにしてもよい。
勿論かまわない。
【0068】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、日時情報、気温情報および標高情報を用いて、その情報を取得した地域を特定することができる。このため、GPSを実装しなくても、カメラのような携帯型の情報機器に搭載可能な機器を用いて地域を特定することができる。
【0069】
また、本発明の各実施形態においては、特定した地域情報を用いて、高山植物等の動植物や鉱物、その他の地域性のあるものの検索を行うようにしている。このため、野外活動等において興味を持ったものについて、簡単に名称を検索することができ、便利である。
【0070】
なお、本発明の実施形態においては、画像データ取得のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、また、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも勿論構わない。
【0071】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる地域特定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる地域特定装置において、所定標高の山の気温変化から地域を特定することを説明する図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係わる地域特定装置において、気温の経時変化から地域を特定することを説明する図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係わる地域特定装置において、カメラの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係わる地域特定装置において、サーバーの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1・・・制御部、2・・・画像記録部、3・・・地域別気温変化データベース(DB)、4・・・通信部、5・・・表示制御部、6・・・操作判定部、7・・・植物データベース(DB)、10・・・カメラ、10a・・・撮影部、10b・・・時計部、10c・・・標高測定部、10d・・・気温測定部、10e・・・送受信部、10f・・・表示部、10g・・・撮影結果の画像、10h・・・検索結果の画像、10i・・・説明文、11・・・高山植物、15・・・インターネット網、20・・・サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から地域の日時情報、気温データ、標高データを受信する受信部と、
日時によって変化する気温データを地域ごとに記録したデータベースと、
上記外部から受信した地域の気温データおよび上記データベースに記憶された気温データを同一の標高における気温データに規格化する規格化部と、
上記規格化された上記外部から受信した地域の気温データと略一致する上記規格化された上記データベースに記憶した地域ごとの気温データを検索し、この検索した気温データに対応する上記地域を特定する地域特定部と、
を備えたことを特徴とする地域特定装置。
【請求項2】
上記受信部はさらに植物画像データを受信するものであり、上記データベースはさらに地域ごとの植物データをさらに記録したものであることを特徴とする請求項1に記載の地域特定装置。
【請求項3】
上記地域特定部により特定された地域の植物データを外部に送信する送信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の地域特定装置。
【請求項4】
上記受信部で受信した植物データに対応する地域を、上記データベースをもとに検索する画像検索部をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の地域特定装置。
【請求項5】
上記画像検索部により検索した植物データまたは上記地域特定部により特定した地域の植物データを外部に送信する送信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の地域特定装置。
【請求項6】
上記請求項2または上記請求項5に記載の地域特定装置に対して上記地域の日時情報、気温データ、標高データを送信する送信部と、上記地域特定装置によって送信された地域の植物情報を受信する受信部と、該受信部によって受信した植物情報を表示する表示部を備えたことを特徴とする情報機器。
【請求項7】
外部から地域の日時情報、気温データ、標高データを受信するステップと、
データベースに記憶された日時によって変化する地域ごとの気温データと、上記外部から受信した地域の気温データを同一の標高における気温データに規格化するステップと、
上記規格化された上記外部から受信した地域の気温データと略一致する上記規格化された上記データベースに記憶された地域ごとの気温データを検索し、この検索された気温データに対応する上記地域を特定するステップと、
を備えたことを特徴とする地域特定方法。
【請求項8】
被写体像を光電変換した画像データと、この画像データを取得したときの日時情報、標高情報、および周囲の気温情報を取得し、
データベースに記憶された日時によって変化する地域ごとの気温情報と、上記取得した気温情報を、同一の標高における気温データに規格化し、
上記規格化された上記取得した気温情報と略一致する上記規格化された上記データベースに記憶した地域ごとの気温情報を検索し、この略一致した気温情報に対応する上記地域を特定する、
をことを特徴とする地域特定用プログラム。
【請求項9】
被写体像を光電変換し、画像データを取得する撮影部と、
日時情報を出力する時計部と、
標高情報を出力する標高測定部と、
周囲の気温情報を出力する気温測定部と、
上記画像データ、日時情報、標高情報、気温情報を送信する送信部と、
を有することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
上記画像データ、日時情報、標高情報、気温情報に基づいて、上記画像データに係わる被写体像の種別の検索結果を受信する受信部と、
この受信部で受信した上記検索結果を表示する表示部と、
を更に有することを特徴とする請求項9に記載のカメラ。
【請求項11】
上記時計部、標高測定部および気温測定部は、周期的に上記日時情報、標高情報、および気温情報を取得し、上記画像データの送信にあたっては、上記周期的に取得した情報と共に送信することを特徴とする請求項9に記載のカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−110232(P2009−110232A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281339(P2007−281339)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】