説明

地熱利用装置

【課題】動力も特別な作動液も使用せずに簡易な構造で地熱を利用する装置を提供する。
【解決手段】地熱利用部1から地中に、二重になっており、途中で内側の管と外側の管2が交替し、下部において内側の管と外側の管2との開口部6がある管を埋める構成とした。これにより、外気温が下がってくると地表面に近い場所の地中温度も低下し、管壁を隔てて地中に接している低温経路部8の空気又は水の温度が下がり収縮して比重が大きくなる。低温経路部8の空気又は水が収縮した分だけ低温経路部入口12から低温経路部8に空気又は水が入り込む。このため、下部開口部6において低温経路部8の気圧又は水圧が高温経路部9より高くなるため空気又は水が低温経路部8から高温経路部9に入る。それに伴い、上部開口部7において高温経路部9から地熱利用部1へ空気又は水が排出され、装置内の空気又は水が効率よく循環し地熱を汲み上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地熱利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地熱利用装置には熱媒体をポンプで循環させるものやヒートパイプがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱媒体をポンプで循環させて地熱を利用する装置は、ポンプを動かすために電力が必要である。
【0004】
ヒートパイプにおいては、ポンプは使用しないので電力は不要であるが、特別な作動液を使用するため、作動液の漏出による環境への影響や撤去時の処理のコストの問題がある。
【0005】
本発明は、動力も特別な作動液も使用せずに簡易な構造で地熱を利用する装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)の地熱利用装置は、地熱利用部から地中に管を埋め、その中央にもう1本の管を設置し、内側の管の下部に開口部を設ける構成とした。
【0007】
本発明(請求項2)の地熱利用装置は、地熱利用部から地中に、二重になっており、途中で内側と外側が交替し、下部において内側の管と外側の管との開口部がある管を埋める構成とした。
【0008】
本発明(請求項3)の地熱利用装置は、地熱利用部から地中に管を埋め、その中に発泡スチロール等の断熱性の高い材料で作った仕切り部材を連結して請求項2に記載の構造を作る構成とした。
【0009】
本発明(請求項4)の地熱利用の融雪装置は、請求項1から3までに記載した管構造を地表付近で水平に折り曲げて、融雪対象場所の地中に設置する構成とした。
【発明の効果】
【0010】
地中温度は、地下の浅い部分においてはほぼ外気温に等しく、地下5メートル以深においては1年を通してほぼ一定であり、その地域の年平均気温にほぼ等しくなっている。したがって、冬季においては、地下5メートル以深の地中温度が地表付近より高くなっており、その間で空気又は水を効果的に循環させれば地熱を利用することができる。
【0011】
管を二重構造にして、低温の空気又は水が下降する経路と暖められた空気又は水が上昇する経路を分離することにより効果的に空気又は水が循環する。
【0012】
管の二重構造の外側と内側を途中で交替させることにより、さらに効率よく循環する。
【0013】
単位時間当たりの熱伝導効率はヒートパイプより劣ると考えられるが、地中の熱伝導率が低い場合、単位時間当たりの利用可能熱量は限られており、両者に大きな差は生じないと考えられる。
【0014】
本発明は空気又は水の比重差による循環により地熱を利用するもので、動力を必要とせず、また、特別な作動液も使用しないので環境面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明(請求項1)の地熱利用装置の実施例を示す側面断面図
【図2】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の実施例を示す側面断面図
【図3】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図4】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図5】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図6】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図7】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図8】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図9】 本発明(請求項2)の地熱利用装置の管の平面断面図
【図10】 本発明(請求項3)の地熱利用装置の管の仕切り部材の平面断面図
【図11】 本発明(請求項3)の地熱利用装置の管の仕切り部材の側面断面図
【図12】 本発明(請求項4)の地熱利用の融雪装置の実施例を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の地熱利用装置及び地熱利用の融雪装置の実施の形態を実施例により説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明(請求項1)の地熱利用装置の実施例を示す側面断面図である。
【0018】
外気温が下がってくると地表面に近い場所の地中温度も低下し、管壁を隔てて地中に接している外側経路部4の空気又は水の温度が下がり収縮して比重が大きくなる。外側経路部の空気又は水が収縮した分だけ外側経路部入口11から外側経路部4に空気又は水が入り込む。このため、下部開口部6において外側経路部4の気圧又は水圧が内側経路部6より高くなるため空気又は水が外側経路部4から内側経路部5に入る。それに伴い、上部開口部7において内側経路部5から地熱利用部1へ空気又は水が排出される。地表面に近いところの地中温度がこの装置の下部の地中温度より低い間、以上の過程が繰り返され地熱利用部1に熱が供給される。
【実施例2】
【0019】
図2は、本発明(請求項2)の地熱利用装置の実施例を示す側面断面図である。
【0020】
外気温が下がってくると地表面に近い場所の地中温度も低下し、管壁を隔てて地中に接している低温経路部8の空気又は水の温度が下がり収縮して比重が大きくなる。低温経路部8の空気又は水が収縮した分だけ低温経路部入口12から低温経路部8に空気又は水が入り込む。このため、下部開口部6において低温経路部8の気圧又は水圧が高温経路部9より高くなるため空気又は水が低温経路部8から高温経路部9に入る。それに伴い、上部開口部7において高温経路部9から地熱利用部1へ空気又は水が排出される。地表面に近いところの地中温度がこの装置の下部の地中温度より低い間、以上の過程が繰り返され地熱利用部1に熱が供給される。
【0021】
低温経路部8は、地表面に近いところでは外側にあり、途中で内側に交替するので、下部開口部6に達するまでに温められにくくなっており、下部開口部6での気圧又は水圧の差は請求項1の場合よりも大きくなり、効率よく空気又は水が循環する。
【0022】
低温経路部8と高温経路部9が交替する部分の断面は、図3から図9へと順次推移し、この間に内外が交替する。
【実施例3】
【0023】
図10及び図11は、本発明(請求項3)の地熱利用装置の管の仕切り部材の1例の平面断面図及び側面断面図である。内外交替部用の仕切り部材も連結して、図2と同様な構造を形成する。
【0024】
仕切り部材の連結部にロック機構を組み込むと、施工時の作業効率が向上する。
【実施例4】
【0025】
図12は、本発明(請求項4)の地熱利用の融雪装置の実施例を示す側面断面図である。
【0026】
地熱利用の仕組みは、実施例2と同じである。
【符号の説明】
【0027】
1 地熱利用部
2 外管
3 内管
4 外側経路部
5 内側経路部
6 下部開口部
7 上部開口部
8 低温経路部
9 高温経路部
10 仕切り部材
11 外側経路部入口
12 低温経路部入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱利用部から地中に管を埋め、その中央にもう1本の管を設置し、内側の管の下部に開口部を設けた地熱利用装置。
【請求項2】
地熱利用部から地中に、二重になっており、途中で内側と外側が交替し、下部において内側の管と外側の管との開口部がある管を埋める地熱利用装置。
【請求項3】
地熱利用部から地中に管を埋め、その中に発泡スチロール等の断熱性の高い材料で作った仕切り部材を連結して請求項2に記載の構造を作る地熱利用装置。
【請求項4】
請求項1から3までに記載した管構造を地表付近で水平に折り曲げて、融雪対象場所の地中に設置する地熱利用の融雪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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