説明

地理情報管理装置、地理情報管理方法、コンピュータ・プログラム、および、データ構造

【課題】質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストを抑えながら更新コストも抑えることができる地理情報管理装置を提供すること。
【解決手段】段階的な詳細度を有して階層化された複数階層の道路ネットワーク情報を記憶する道路ネットワーク情報記憶部101と、コンテキストID、その位置情報、およびコンテキストから所定の関連範囲の領域にある道路の道路IDを対応付けて記憶するコンテキスト情報記憶部102と、詳細度が低い階層ほどコンテキストからより遠い領域を含むよう階層別に設定された関連範囲を記憶する階層別関連範囲記憶部103と、コンテキストIDおよび位置情報が取得されると、階層別の関連範囲に基づきコンテキスト情報記憶部102を更新するコンテキスト情報更新部105と、質問経路および質問範囲が取得されると、各階層において質問経路を構成する各道路の道路IDに対応付けられたコンテキストIDのうち質問範囲の領域内のものを検索するコンテキスト情報検索部107とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を管理する地理情報管理装置に関し、特に、コンテキストの位置情報を含む地図情報を管理する地理情報管理装置、地理情報管理方法、コンピュータ・プログラム、および、データ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報の記憶、更新、および検索等を行う地理情報管理装置が知られている。
【0003】
このような地理情報管理装置としては、地図情報に含まれる建造物、施設、道路等の対象物の位置情報と、対象物に関連する情報とを関連づけたデータベースを用いるものが多い。
【0004】
例えば、特許文献1には、情報提供者の位置情報と、情報提供者の広告情報と、情報提供者によって設定される探索可能領域とをデータベースに記憶することにより、情報提供者に関連する情報を含む地図情報を管理する技術が記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載された地理情報管理装置は、探索条件として指定される位置および範囲に基づいて、情報提供者に関連する情報を探索する探索領域を決定する。そして、この地理情報管理装置は、所定の閾値を超える数の探索結果を得られるまで、情報提供者によって設定された探索可能領域に基づいて探索領域を拡張する。
【0006】
また、例えば、特許文献2には、出発地から目的地までの経路探索を行うため、階層化された道路ネットワークを用いた地図情報を管理する技術が記載されている。
【0007】
この特許文献2に記載された地理情報管理装置は、道路種別や道路幅員の段階に応じて道路ネットワークを階層化し、出発地および目的地からの距離に応じて、経路探索に使用する道路ネットワークの階層を切り替える。
【0008】
これらの地理情報管理装置は、レストランやガスステーションのような静的な対象物の位置情報を含む地図情報を管理する用途に適している。一方、地理情報管理装置としては、コンテキストの位置情報を含む地図情報を管理するものがある。
【0009】
ここで、コンテキストとは、携帯電話や車等のような状況が変化しうる対象物とその状況、あるいは事故やイベント等のようにある地点に一時的に発生する事象とその状況を示す情報である。また、状況とは、例えば、対象物の位置情報、移動方向または移動速度などをいう。
【0010】
コンテキストの位置情報を含む地図情報を管理する地理情報管理装置は、リアルタイム性が要求されるサービスの提供に用いられる。このような地理情報管理装置は、携帯電話や車載器等のコンテキストから一定間隔ごとに送信される位置情報に基づいてサービスの提供を行う。
【0011】
例えば、リアルタイム性が要求されるサービスとしては、移動中のユーザに周囲の状況を表す情報を提供するサービス、車で通過予定の経路周辺の状況に基づき迂回路や寄り道を案内するサービス、災害時に帰宅経路沿いの状況を表す情報を提供するサービス等が挙げられる。
【0012】
このようなサービスの提供に用いられる地理情報管理装置では、与えられた経路(以下、質問経路と呼ぶ)沿いの指定された範囲(以下、質問範囲と呼ぶ)の領域に含まれるコンテキストを検索することが要求される。
【0013】
そこで、特許文献1に記載されたようなデータベースを用いた地理情報管理装置が、質問経路沿いの質問範囲の領域に含まれるコンテキストを検索することを考える。
【0014】
このようなデータベースを用いた地理情報管理装置は、矩形領域検索や近傍検索を用いて対象物を検索する。矩形領域検索は、与えられた矩形領域(軸平行な長方形領域)内に含まれる対象物を取得する処理である。また、近傍検索は、与えられた位置から最も近い、もしくは近いものから順に所定数の対象物を取得する処理である。
【0015】
このようなデータベースを用いた地理情報管理装置が、質問経路沿いの質問範囲の領域に含まれるコンテキストを検索するには、矩形領域検索を利用することにより次の2通りの動作が考えられる。(1)質問範囲の領域を微小な矩形に分割することにより複数回の矩形領域検索を実行する。(2)質問経路を包含する矩形を用いて矩形領域検索を実行し、得られた各コンテキストが質問範囲の領域に含まれるか否かの判定を行う。
【0016】
また、特許文献2に記載されたような道路ネットワークを用いた地理情報管理装置が、質問経路沿いの質問範囲の領域に含まれるコンテキストを検索することを考える。
【0017】
このような道路ネットワークを用いた地理情報管理装置は、コンテキストの位置に応じて、コンテキストと道路とを関連付けて記憶する。
【0018】
そして、このような道路ネットワークを用いた地理情報管理装置は、質問経路を構成する各道路に関連付けられたコンテキストを特定し、特定したコンテキストのうち与えられた質問範囲の領域に含まれるものを検索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−204471号公報
【特許文献2】特開2002−122438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、特許文献1に記載されたような、データベースを用いた地理情報管理装置では、質問経路沿いのコンテキストを検索しようとすると、検索処理に要する計算コスト(以下、検索コストという)が高くなるという課題がある。
【0021】
その理由は、このような地理情報管理装置は、質問範囲の領域を微小な矩形に分割して検索を行う際には、複数回の矩形領域検索を実行する必要があるからである。つまり、このような地理情報管理装置は、1回の矩形領域検索ごとに、記憶されたコンテキストの数に比例する検索コストを要するからである。また、質問経路を包含する矩形領域には、検索条件を満たさない多数のコンテキストが含まれる可能性が高い。したがって、このような地理情報管理装置が、質問経路を包含する矩形領域に含まれる全てのコンテキストについて質問範囲の領域に含まれるか否かの判定処理を行うことは効率的ではないからである。
【0022】
また、特許文献2に記載されたような、道路ネットワークを用いた地理情報管理装置では、質問経路沿いのコンテキストを検索しようとすると、コンテキストの位置情報の更新に伴う処理に要する計算コスト(以下、更新コストという)と、検索コストとの間にトレードオフが発生するという課題がある。
【0023】
その理由について説明する。道路ネットワークを用いた地理情報管理装置は、道路ネットワークを構成する道路と、その道路から所定の関連範囲の領域に含まれるコンテキストとを関連づけた情報を記憶している。
【0024】
ここで、このような地理情報管理装置が、検索条件として与えられる任意の質問範囲より充分大きな関連範囲を設定して、コンテキストと道路とを関連付けることを想定する。この場合、質問経路を構成する各道路に、検索条件を満たすコンテキストが全て関連付けられているので、検索コストが抑えられる。その反面、1つのコンテキストに関連付けて記憶される道路の個数が増えるため、更新コストが高くなる。
【0025】
一方、このような地理情報管理装置が、コンテキストの位置から最も近い道路にのみ、そのコンテキストを関連付けることを想定する。この場合、1つのコンテキストに関連付けて記憶される道路の個数が1つなので、更新コストは小さくなる。その反面、質問範囲の領域に含まれる質問経路以外の道路についても関連付けられたコンテキストを検索する処理が必要となり、検索コストが高くなる。
【0026】
したがって、道路ネットワークを用いた地理情報管理装置では、質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストと更新コストとの間にトレードオフが発生するという課題があった。
【0027】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストを抑えながらも更新コストも抑えることができる地理情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の地理情報管理装置は、グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を記憶する道路ネットワーク情報記憶部と、対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報を記憶するコンテキスト情報記憶部と、前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を記憶する階層別関連範囲記憶部と、前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、前記位置情報取得部によって取得された前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新するコンテキスト情報更新部と、前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する検索条件取得部と、前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索するコンテキスト情報検索部と、を備える。
【0029】
また、本発明の地理情報管理方法は、地理情報管理装置が、グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を道路ネットワーク情報記憶部に記憶し、対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報をコンテキスト情報記憶部に記憶し、前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を階層別関連範囲記憶部に記憶し、前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得し、取得した前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、取得した前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新し、前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得し、前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索する。
【0030】
また、本発明のコンピュータ・プログラムは、グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を道路ネットワーク情報記憶部に記憶させる道路ネットワーク情報記憶ステップと、対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報をコンテキスト情報記憶部に記憶させるコンテキスト情報記憶ステップと、前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を階層別関連範囲記憶部に記憶させる階層別関連範囲記憶ステップと、前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、前記位置情報取得ステップで取得された前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新するコンテキスト情報更新ステップと、前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する検索条件取得ステップと、前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索するコンテキスト情報検索ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0031】
また、本発明のデータ構造は、グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報と、対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報と、前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を表す情報と、を含む。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストを抑えながらも更新コストも抑えることができる地理情報管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置のハードウェア構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における道路ネットワーク情報の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における道路ネットワーク情報を格納したテーブルを説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における階層別の関連範囲を格納したテーブルを説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるコンテキスト情報を格納したテーブルを説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置の更新動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置の検索動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置の機能ブロック構成図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における道路ネットワーク情報を格納したテーブルを説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における上位道路を説明する模式図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における階層別の関連範囲を格納したテーブルを説明する図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置の検索動作を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置の更新動作の一例を説明する模式図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置の検索動作の一例を説明する模式図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態の効果を説明する模式図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態としての地理情報管理装置の機能ブロック構成図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態としての地理情報管理装置の更新動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置10のハードウェア構成を図1に示す。図1において、地理情報管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)1001と、RAM(Random Access Memory)1002と、ROM(Read Only Memory)1003と、ハードディスク等の記憶装置1004と、キーボード等の入力装置1005と、ディスプレイ等の出力装置1006と、ネットワークインタフェース1007とを備えた汎用的なコンピュータ装置によって構成されている。
【0036】
ROM1003および記憶装置1004には、コンピュータ装置を地理情報管理装置10として機能させるためのコンピュータ・プログラムが記憶されている。すなわち、CPU1001がRAM1002を作業領域としてROM1003および記憶装置1004に記憶されたコンピュータ・プログラムを実行することにより、コンピュータ装置は、地理情報管理装置10として機能する。
【0037】
次に、地理情報管理装置10の機能ブロック構成について、図2を参照して説明する。図2において、地理情報管理装置10は、道路ネットワーク情報記憶部101と、コンテキスト情報記憶部102と、階層別関連範囲記憶部103と、位置情報取得部104と、コンテキスト情報更新部105と、検索条件取得部106と、コンテキスト情報検索部107とを備えている。
【0038】
ここで、道路ネットワーク情報記憶部101と、コンテキスト情報記憶部102と、階層別関連範囲記憶部103とは、記憶装置1004によって構成されている。また、位置情報取得部104は、ネットワークインタフェース1007、および、コンピュータ・プログラムを実行するCPU1001によって構成される。また、コンテキスト情報更新部105は、コンピュータ・プログラムを実行するCPU1001によって構成される。また、検索条件取得部106は、入力装置1005、および、コンピュータ・プログラムを実行するCPU1001によって構成される。また、コンテキスト情報検索部107は、出力装置1006、および、コンピュータ・プログラムを実行するCPU1001によって構成される。
【0039】
道路ネットワーク情報記憶部101は、図3(a)に示すような道路ネットワーク情報を階層化することにより、図3(b)〜(d)に示すような複数の階層の道路ネットワーク情報を記憶している。
【0040】
ここで、道路ネットワーク情報とは、たとえば、道路の交差点を頂点とし、道路を頂点間の辺としたグラフ構造で表された情報である。なお、図3(a)〜(d)の左図は実際の道路の形状や接続位置の座標によって表した道路ネットワークを示したものである。また、図3(a)〜(d)の右図は、上記のグラフ構造としてモデル化された道路ネットワーク情報を模式的に示したものである。図3(a)〜(d)の右図の各○印は、道路の交差点に対応する頂点を示している。
【0041】
なお、実際には、モデル化された道路ネットワーク情報は、T字路や三叉路等の十字路以外の交差点、行き止まり、および、道路の形状や長さが反映されるため、図3(a)〜(d)の右図に示したような格子状のグラフ構造になるとは限らない。図3を含め以下の説明において参照する図面では、階層化された道路ネットワークの説明のため、モデル化された道路ネットワークを格子状のグラフ構造として表しているが、格子状にならないグラフ構造の道路ネットワークであっても、本発明の各実施の形態は同様に説明される。
【0042】
すなわち、このような道路ネットワーク情報は、道路の形状や、道路の接続位置の座標等に基づいて、グラフ構造にモデル化されている。また、各頂点は、緯度および経度等で表された座標を有している。また、各道路は、規制速度、車線数、および交通量等といった属性情報を有している。
【0043】
このように、道路ネットワーク情報記憶部101は、グラフ構造としてモデル化された道路ネットワーク情報を階層化した道路ネットワーク情報を記憶している。この道路ネットワーク情報の各階層は、道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有する。ここで、詳細度とは、その道路ネットワークに含まれる道路の密度を指す。
【0044】
例えば、道路ネットワーク情報記憶部101は、道路の幅員に基づいて階層化された道路ネットワーク情報の各階層を記憶していてもよい。
【0045】
一例として、図3(b)は、図3(a)に示された道路ネットワークのうち、最も幅の広い道路から最も幅の狭い道路までの全道路を含んだ第1階層の道路ネットワーク情報を示している。第1階層の道路ネットワーク情報は、詳細度が最も高い。
【0046】
また、図3(c)は、最も幅の狭い道路を含まず、最も幅の広い道路から、次に幅の狭い道路までを含んだ第2階層の道路ネットワーク情報を示している。また、図3(d)は、最も幅の広い道路のみを含んだ第k階層の道路ネットワーク情報を示している。第k階層の道路ネットワーク情報は、詳細度が最も低い。
【0047】
このように、道路ネットワーク情報の各階層は、第1階層から第k階層(kは2以上の整数)まで、段階的な詳細度を有するように階層化されている。
【0048】
例えば、第1階層の道路ネットワーク情報は、国道や一般道から、歩行者専用の幅の狭い道路までを含む道路で構成された道路ネットワークを表していると考えることができる。このような道路ネットワーク情報の構造は密になるため、詳細度は高い。一方で、第k階層の道路ネットワーク情報は、主要道路や幹線道路などの幅の広い道路のみで構成される道路ネットワークを表していると考えることができる。このような道路ネットワーク情報の構造は疎になるため詳細度は低い。
【0049】
なお、このように階層化された道路ネットワーク情報において、任意の階層に含まれる道路は、より詳細度が高い階層の道路ネットワーク情報に必ず含まれることになる。
【0050】
また、道路ネットワーク情報記憶部101は、道路ネットワーク情報の各階層のグラフ構造を、図4に示すようなテーブルによって記憶していてもよい。図4は、道路識別情報(以下、道路IDともいう)e1で表される道路が、頂点vおよび頂点w間の辺であることを示している。なお、以下、道路識別情報eで表される道路のことを、単に、道路eとも記載する。
【0051】
また、道路ネットワーク情報記憶部101は、グラフ構造の各頂点について、緯度や経度等で表された地図上の座標に対応する情報を記憶している。
【0052】
コンテキスト情報記憶部102は、図5に示すように、コンテキストを識別するコンテキスト識別情報(以下、コンテキストIDともいう)と、コンテキストの位置情報と、そのコンテキストから後述の関連範囲の領域にある道路を識別する道路IDとを対応付けたコンテキスト情報を記憶している。ここで、コンテキストとは、例えば、携帯電話等の携帯装置や、車載器等、状況が変化しうる対象物の状況や、事故やイベント等のようにある地点に一時的に発生する事象である。なお、以下、コンテキスト識別情報cで表されるコンテキストのことを、単に、コンテキストcとも記載する。
【0053】
例えば、図5は、位置(x1,y1)にあるコンテキストc1と、道路e1および道路e2とが、それぞれ対応付けられたコンテキスト情報を示している。その他、コンテキスト情報記憶部102は、時刻などの情報をコンテキスト情報に含んでいてもよい。
【0054】
階層別関連範囲記憶部103は、道路ネットワーク情報の階層別に設定された関連範囲を記憶している。この関連範囲は、コンテキストを基準とした領域の範囲を表すものである。この関連範囲は、詳細度が低い階層ほど、コンテキストからより遠い領域を含むよう設定されている。
【0055】
例えば、階層別関連範囲記憶部103は、図6に示すように、最も詳細度が高い第1階層については、b1という値を関連範囲として記憶している。すなわち、第1階層に設定された関連範囲は、「コンテキストから距離b1以内」という範囲を表す。また、次に詳細度が高い第2階層については、b1より大きいb2という値を関連範囲として記憶している。すなわち、第2階層に設定された関連範囲は、「コンテキストから距離b2以内」という範囲を表す。b2がb1より大きいことにより、第2階層に設定された関連範囲の領域は、第1階層に設定された関連範囲の領域より、コンテキストから遠い領域を含むことになる。
【0056】
位置情報取得部104は、コンテキストの位置情報およびそのコンテキストのコンテキストIDを取得する。例えば、位置情報取得部104は、コンテキストによって所定のタイミングで送信される位置情報およびコンテキストIDを、ネットワークインタフェース1007を介して受信するようにしてもよい。この場合、ネットワークインタフェース1007は、コンテキストと無線通信可能な無線通信モジュールによって構成されていてもよい。あるいは、位置情報取得部104は、コンテキストの位置情報を管理する位置情報サーバから、ネットワークインタフェース1007を介して、コンテキストの位置情報およびコンテキストIDを、所定のタイミングで取得するようにしてもよい。
【0057】
なお、位置情報取得部104が取得する位置情報は、例えば緯度および経度等によって表され、道路ネットワーク情報が表す道路ネットワーク内での位置を特定可能な情報であるものとする。
【0058】
コンテキスト情報更新部105は、位置情報取得部104によって取得された位置情報、および、階層別関連範囲記憶部103に記憶された関連範囲に基づいて、位置情報取得部104によって取得されたコンテキストIDに関連するコンテキスト情報を更新する。
【0059】
具体的には、コンテキスト情報更新部105は、コンテキスト情報記憶部102に記憶されたコンテキスト情報のうち、取得されたコンテキストIDを含むものを全て削除する。その後、コンテキスト情報更新部105は、階層別の関連範囲に基づいて、道路ネットワーク情報の各階層において、取得された位置情報が示す位置から関連範囲の領域に含まれる各道路の道路IDを求める。そして、コンテキスト情報更新部105は、求めた各道路IDと、取得されたコンテキストIDと、取得された位置情報とをそれぞれ対応付けたコンテキスト情報を、新たにコンテキスト情報記憶部102に記憶させる。
【0060】
検索条件取得部106は、道路の連なりを表す質問経路、および、その質問経路沿いの範囲を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する。検索条件取得部106は、入力装置1005を介して検索条件を取得してもよい。あるいは、検索条件取得部106は、ネットワークインタフェース1007を介して検索条件を取得してもよい。
【0061】
コンテキスト情報検索部107は、質問経路沿いの質問範囲の領域に含まれるコンテキストを検索する。具体的には、コンテキスト情報検索部107は、道路ネットワーク情報の各階層において、質問経路を構成する各道路の道路IDを取得する。そして、コンテキスト情報検索部107は、コンテキスト情報記憶部102に基づいて、取得した各道路IDに対応付けられたコンテキストIDのうち、各道路IDの道路から質問範囲の領域に含まれるものを特定する。
【0062】
ここで、コンテキスト情報検索部107は、各道路の両端の頂点の座標に基づいて、コンテキストと各道路とを結ぶ最短距離を算出することにより、算出した最短距離が質問範囲内であるものを、質問範囲の領域に含まれるコンテキストとして特定してもよい。
【0063】
また、コンテキスト情報検索部107は、特定したコンテキストを表す情報を、前記検索条件を満たすコンテキストとして出力装置1006に出力する。
【0064】
以上のように構成された地理情報管理装置10の動作について図7〜図8を参照して説明する。
【0065】
まず、地理情報管理装置10がコンテキスト情報を更新する動作について図7を用いて説明する。
【0066】
ここでは、まず、位置情報取得部104は、コンテキストIDおよびその位置情報を取得する(ステップS11)。
【0067】
次に、コンテキスト情報更新部105は、ステップS11で取得したコンテキストIDを含むコンテキスト情報を全てコンテキスト情報記憶部102から削除する(ステップS12)。
【0068】
次に、コンテキスト情報更新部105は、ステップS11で位置情報取得部104によって取得された位置情報、および、階層別関連範囲記憶部103に記憶された関連範囲に基づいて、道路ネットワーク情報の各階層において、ステップS11で取得した位置情報が示す位置から関連範囲の領域に含まれる各道路の道路IDを求める(ステップS13)。
【0069】
これにより、詳細度が高い階層では、道路ネットワークが密であるものの関連範囲の領域が小さいために、後のステップでコンテキスト情報として対応付ける道路IDの個数を少なく抑えることができる。また、詳細度が低い階層では関連範囲の領域が広いものの道路ネットワークが疎であるために、対応付ける道路IDの個数を少なく抑えることができる。
【0070】
なお、コンテキスト情報更新部105は、ステップS13における各階層に関する処理を、並列に実行してもよい。
【0071】
次に、コンテキスト情報更新部105は、ステップS13で求めた各道路の道路IDと、ステップS12で取得したコンテキストIDと、位置情報とをそれぞれ対応付けたコンテキスト情報を、コンテキスト情報記憶部102に記憶させる(ステップS14)。
【0072】
すなわち、ステップS13で複数の道路IDが求められた場合、コンテキスト情報更新部105は、道路IDのみが異なりコンテキストIDおよび位置情報が同一のコンテキスト情報を、ステップS13で求められた道路IDの個数分だけコンテキスト情報記憶部102に記憶させることになる。
【0073】
以上で、地理情報管理装置10は、コンテキスト情報を更新する動作を終了する。
【0074】
次に、地理情報管理装置10がコンテキスト情報を検索する動作について図8を用いて説明する。
【0075】
ここでは、まず、検索条件取得部106は、質問経路および質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する(ステップS21)。
【0076】
次に、コンテキスト情報検索部107は、道路ネットワーク情報の各階層において、質問経路を構成する各道路の道路IDを取得する(ステップS22)。
【0077】
次に、コンテキスト情報検索部107は、ステップS22で取得した各道路IDを含むコンテキスト情報を、コンテキスト情報記憶部102を検索することにより取得する(ステップS23)。
【0078】
次に、コンテキスト情報検索部107は、ステップS23で取得した各コンテキスト情報に含まれる位置情報に基づいて、該当するコンテキストの位置が、該当する道路から質問範囲の領域に含まれるか否かを判断する(ステップS24)。
【0079】
なお、前述のように、コンテキスト情報検索部107は、各道路の両端の頂点の座標に基づいて、該当する道路から該当するコンテキストまでの最短距離を算出することにより、該コンテキストが質問範囲の領域に含まれるか否かを判定するようにしてもよい。
【0080】
ここで、質問範囲の領域に含まれないと判断した場合、コンテキスト情報検索部107は、ステップS23で取得した次のコンテキスト情報について、再度ステップS24を実行する。
【0081】
一方、質問範囲の領域に含まれると判断した場合、コンテキスト情報検索部107は、このコンテキスト情報のコンテキストIDを検索結果の集合に追加する(ステップS25)。
【0082】
ステップS23で取得した各コンテキスト情報についてステップS24〜S25の処理を終了すると、コンテキスト情報検索部107は、ステップS22で取得した次の道路IDについて、ステップS23からの処理を再度実行する。
【0083】
なお、コンテキスト情報検索部107は、ステップS22で取得した各道路IDについて、ステップS23〜S25の処理を並列に実行するようにしてもよい。
【0084】
このようにして、ステップS22で取得した各道路IDについて、ステップS23〜S25の処理を終了すると、コンテキスト情報検索部107は、検索結果の集合を出力する(ステップS26)。すなわち、コンテキスト情報検索部107は、道路ネットワーク情報の各階層において、検索条件の質問経路を構成する各道路の質問範囲の領域に含まれる、すべてのコンテキストのコンテキストIDを、検索結果の集合として出力する。なお、検索結果の集合には、コンテキストIDに加え、それぞれの位置情報も含んでも良い。
【0085】
以上で、地理情報管理装置10は、コンテキスト情報を検索する動作を終了する。
【0086】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。
【0087】
本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置は、質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストを抑えながらも更新コストも抑えることができる。
【0088】
まず、更新コストを抑えることができる理由について説明する。本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置では、道路ネットワークの各階層に階層別の関連範囲を設定していることにより、コンテキストに対応付ける道路の個数を、より少なくすることができるからである。すなわち、更新対象のデータ量を抑えることができるからである。例えば、詳細度が高い階層では、道路ネットワークが密であるものの関連範囲の領域が小さいために、対応付ける道路IDの個数を少なく抑えることができるためである。また、詳細度が低い階層では関連範囲の領域が広いものの道路ネットワークが疎であるために、対応付ける道路IDの個数を少なく抑えることができるためである。
【0089】
次に、検索コストを抑えることができる理由について説明する。本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置では、道路ネットワークの各階層に階層別の関連範囲を設定していることにより、質問経路を構成する道路に対応付けられているコンテキストについてのみ、質問範囲の領域に含まれるか否かの判定処理を行えばよいからである。すなわち、質問経路周辺の他の道路に対応付けられているコンテキストについて判定処理を行う必要がないからである。例えば、検索条件として、幹線道路を含む質問経路が指定される場合には、質問範囲として、より広い領域を含む範囲が指定される場合が多い。このような場合に、本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置では、詳細度のより低い階層に含まれている幹線道路には、より遠い領域までのコンテキストが対応付けられている。したがって、本発明の第1の実施の形態としての地理情報管理装置では、広い質問範囲を指定された場合にも、質問経路を構成する道路以外の道路に関する検索を行う必要がないからである。
【0090】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置20は、本発明の第1の実施の形態と同様に、図1に示したハードウェア構成を備える汎用的なコンピュータ装置によって構成されている。
【0091】
地理情報管理装置20の機能ブロック構成を図9に示す。なお、図9において、本発明の第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
【0092】
地理情報管理装置20は、本発明の第1の実施の形態に対して、道路ネットワーク情報記憶部101に替えて道路ネットワーク情報記憶部201と、階層別関連範囲記憶部103に替えて階層別関連範囲記憶部203と、コンテキスト情報更新部105に替えてコンテキスト情報更新部205と、コンテキスト情報検索部107に替えてコンテキスト情報検索部207とを備え、階層特定部208をさらに備える点が異なる。
【0093】
ここで、階層特定部208は、コンピュータ・プログラムを実行するCPU1001によって構成される。
【0094】
道路ネットワーク情報記憶部201は、本発明の第1の実施の形態における道路ネットワーク情報記憶部101と同様に構成され、さらに、図10に示すように、各道路の道路IDから、上位道路の道路IDへの参照情報を記憶している。
【0095】
ここで、ある道路の上位道路とは、該道路が属する階層より詳細度が低い階層において、該道路が一部分となっている道路を指す。例えば、図11(a)に示した第i階層に含まれる頂点vw間の道路e1は、図11(b)に示した第i+1階層に含まれる頂点v’w’間の道路e’1の一部となっている。したがって、道路e’1は、道路e1の上位道路である。
【0096】
例えば、第i+1階層が主要道路のみからなる道路ネットワーク情報で、第i階層が主要道路と狭い道路とを共に有する道路ネットワーク情報である場合を考える。この場合、道路e1は、主要道路e’1の一部で、他の狭い道路との交差点で区切られた道路であることを示している。
【0097】
このように、道路ネットワーク情報記憶部201は、道路e1の上位道路の参照情報として、道路e’1を記憶する。
【0098】
なお、図10に示すように、道路e’1に上位道路が存在しない場合、すなわち、第i+2階層より詳細度が低い階層において、道路e’1を一部に含む道路が存在ない場合には、道路ネットワーク情報記憶部201は、参照情報のフィールドを空にしておく。あるいは、道路ネットワーク情報記憶部201は、上位道路がないことを表す情報を参照情報として記憶する。例えば、図10では、 “−”という文字列が、上位道路が無いことを表す情報として記憶されている。
【0099】
階層別関連範囲記憶部203は、コンテキストからの距離の下限値aおよび上限値bという実数の組を関連範囲として階層別に記憶している。すなわち、コンテキストからの距離が下限値より遠く上限値より近い領域が、関連範囲の領域となる。
【0100】
ここで、第i階層と、第i階層より詳細度が1段階低い第i+ 1階層の関連範囲をそれぞれ[a,b]、[ai+1,bi+1]とすると、b<bi+1を満たし、b≧ai+1を満たせばよい。すなわち、詳細度が1段階異なる2つの階層間で、関連範囲が重複しても良い。なお、最も詳細度が高い第1階層の関連範囲の下限値aは0とする。
【0101】
例えば、図12は、b=ai+1として各階層に設定された関連範囲の一例である。図12では、第1階層には、[0,b1](b1>0)という関連範囲が設定され、第2階層には、[b1,b2](b2>b1)という関連範囲が設定されている。
【0102】
コンテキスト情報更新部205は、本発明の第1の実施の形態におけるコンテキスト情報更新部105に対して、位置情報が取得されたコンテキストに関連づける道路の求め方が異なる。コンテキスト情報更新部205は、コンテキストの位置情報が取得されると、各階層において、そのコンテキストの位置からの距離が下限値aより遠く上限値bより近い領域に含まれる道路の道路IDを求める。
【0103】
このとき、コンテキスト情報更新部205は、コンテキストと道路との最短距離が下限値aから上限値bの範囲であるか否かに基づいて、関連範囲の領域にその道路が含まれるか否かを判断してもよい。例えば、第i階層に含まれる道路eの一部が、関連範囲の領域に含まれる場合であっても、コンテキストcの位置と道路eとの最短距離dが、第i階層の関連範囲の下限値aより小さい場合、コンテキスト情報更新部205は、コンテキストcと道路eとを対応付けなくてもよい。
【0104】
なぜなら、このような場合、第i階層よりも詳細度が高い第j階層の道路ネットワーク情報において、道路eの一部を構成する道路とコンテキストcとを対応付けることになるからである。
【0105】
階層特定部208は、検索条件取得部106によって取得された情報が表す質問範囲より遠い領域を含む関連範囲が設定された階層のうち、最も詳細度が高い階層hを特定する。
【0106】
例えば、質問範囲として距離wが与えられたとき、第i階層の関連範囲が[bi−1,b]で表されているとすると、階層特定部208は、bhー1<w<bとなるhを特定すればよい。なお、階層特定部208は、そのような条件を満たすhが無ければ、最も詳細度が低い第k階層を特定する。
【0107】
コンテキスト情報検索部207は、階層特定部208によって特定された階層hの道路ネットワーク情報から、詳細度が最も高い階層(第1階層)の道路ネットワーク情報までの各階層において、検索条件を満たすコンテキストを検索する。
【0108】
具体的には、例えば、コンテキスト情報検索部207は、まず、第1階層において、質問経路を構成する各道路の道路IDを求めることにより、各道路IDに対応付けられたコンテキストについて質問範囲の領域に含まれるか否かの判定処理を行ってもよい。この場合、その後、コンテキスト情報検索部207は、第1階層で質問経路を構成する各道路IDから上位道路への参照情報に基づいて、上位道路の道路IDを順次求めていく。そして、コンテキスト情報検索部207は、求めた上位道路の道路IDに対応付けられたコンテキストについて上述の判定処理を順次行っていってもよい。このように、コンテキスト情報検索部207は、階層特定部208によって特定された階層hより詳細度の高い階層に含まれる上位道路が無くなるまで処理を続けることにより、検索条件を満たすコンテキストを検索する。
【0109】
このとき、コンテキスト情報検索部207は、階層特定部208によって特定されたhに基づいて、第h+1階層以降について処理を行わなくてよい。なぜなら、第h+1階層の関連範囲は[b,bh+1]であり、w<bである。このため、第h+1階層以降の道路ネットワーク情報に含まれる任意の道路には、該道路から距離wより近くに位置するコンテキストが対応付けられていないからである。
【0110】
以上のように構成された地理情報管理装置20の動作について説明する。
【0111】
なお、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を更新する動作は、図7を参照して説明した本発明の第1の実施の形態の更新動作に対して、ステップS13の動作が異なる点以外は同様である。
【0112】
ステップS13において、第1の実施の形態のコンテキスト情報更新部105は、各階層において、コンテキストから距離b内の領域にある道路を全て求めていた。第2の実施の形態のコンテキスト情報更新部205は、各階層において、コンテキストからの距離が下限値bi−1より遠く上限値bより近い領域にある道路を全て求める。
【0113】
換言すると、コンテキスト情報更新部205は、各階層iにおいて、コンテキストの位置からの最短距離がbi−1より小さいかb以上である道路と、該コンテキストとを関連付けないようにする。
【0114】
以上で、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を更新する動作の説明を終了する。
【0115】
次に、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を検索する動作について、図13を用いて説明する。なお、図13において、図8を用いて説明した本発明の第1の実施の形態と同様に動作するステップには同一の符号を付して本発明における詳細な説明を省略する。
【0116】
ここでは、まず、階層特定部208は、検索条件取得部106によって取得された質問範囲より広い関連範囲を持つ階層のうち、最も詳細度が高い階層hを特定する(ステップS32)。
【0117】
次に、コンテキスト情報検索部207は、第1階層において、質問経路を構成する道路を求め、その道路IDのリストとして道路リストLを生成する(ステップS33)。
【0118】
次に、コンテキスト情報検索部207は、道路リストLが空でなければ(ステップS34でNo)、道路リストから道路IDを1つ取り出す(ステップS35)。
【0119】
次に、コンテキスト情報検索部207は、図8のステップS23〜S25と同様に動作することにより、ステップS35で取り出した道路IDに対応付けられたコンテキストIDのうち、質問範囲の領域に含まれるものを求めて検索結果の集合に追加する。
【0120】
次に、コンテキスト情報検索部207は、ステップS35で取り出した道路IDから上位道路への参照情報があるか否かを判断する(ステップS36)。
【0121】
ここで、上位道路への参照情報が無いと判断した場合、コンテキスト情報検索部207は、ステップS34からの動作を再度実行する。
【0122】
一方、ステップS36で、上位道路への参照情報があると判断した場合、コンテキスト情報検索部207は、その上位道路が含まれる階層がhより詳細度の低い階層であるか否かを判断する(ステップS37)。
【0123】
ここで、上位道路の階層がhより詳細度の低い階層であると判断した場合、コンテキスト情報検索部207は、ステップS34からの動作を再度実行する。
【0124】
一方、ステップS37で、その上位道路の階層がhであるか、hより詳細度の高い階層であると判断した場合、コンテキスト情報検索部207は、上位道路の道路IDを道路リストLに追加する(ステップS38)。
【0125】
そして、コンテキスト情報検索部207は、ステップS34からの動作を再度実行する。
【0126】
ステップS34において、道路リストLが空であると判断された場合、コンテキスト情報検索部207は、検索結果の集合を出力する(ステップS39)。
【0127】
以上で、地理情報管理装置20は、コンテキスト情報を検索する動作を終了する。
【0128】
次に、本発明の第2の実施の形態の動作の一例について、図14〜図15を参照して説明する。
【0129】
まず、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を更新する動作の一例について、図14を参照して説明する。なお、図14の左図および右図は、それぞれ第1階層および第2階層の道路ネットワーク情報を表している。また、第1階層および第2階層の関連範囲として、それぞれ[0,b]および[b,b]が設定されているものとする。
【0130】
まず、位置情報取得部104が、コンテキストIDとしてc1および位置情報(x,y)を取得する(ステップS11)。
【0131】
ここで、コンテキスト情報記憶部102には、コンテキストID「c1」と、以前の位置情報(x’,y’)と、第1階層の道路ネットワークに含まれる道路E1および道路E2とをそれぞれ含むコンテキスト情報が記憶されている。さらに、コンテキスト情報記憶部102には、コンテキストID「c1」と、以前の位置情報(x’, y’)と、第2階層の道路ネットワークの道路のE’11〜E’14とをそれぞれ含むコンテキスト情報が記憶されている。
【0132】
そこで、コンテキスト情報更新部205は、コンテキスト情報記憶部102から、コンテキストIDとしてc1を含むこの6つのコンテキスト情報を全て削除する(ステップS12)。
【0133】
次に、コンテキスト情報更新部205は、ステップS11で取得した位置情報(x,y)と、第1階層の関連範囲[0,b]とに基づいて、第1階層において円x+y≦bに含まれる道路e1〜e4を求める。同様に、コンテキスト情報更新部205は、ステップS11で取得した位置情報(x,y)と、第2階層の関連範囲[b,b]とに基づいて、第2階層において円x+y≦bに含まれず、円x+y≦bに含まれる道路e’11〜e’14を求める(ステップS13)。
【0134】
次に、コンテキスト情報更新部205は、ステップS13で求めた道路IDと、ステップS11で取得したコンテキストIDおよび位置情報とを対応付けたコンテキスト情報を、コンテキスト情報記憶部102に記憶させる(ステップS14)。
【0135】
以上で、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を更新する動作の一例の説明を終了する。
【0136】
次に、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を検索する動作の一例について、図15を参照して説明する。なお、図15の左図および右図は、それぞれ第1階層および第2階層の道路ネットワーク情報を表している。また、第1階層および第2階層の関連範囲として、それぞれ[0,b]および[b,b]が設定されているものとする。また、質問経路として経路「e5−e6−e7−e8」が与えられ、質問範囲として距離wが与えられているものとする。
【0137】
まず、階層特定部208は、質問範囲wが、bhー1<w<bを満たすhを特定する(ステップS32)。図15では、0<w<bであるので、階層特定部208は、hとして1を特定する。
【0138】
すなわち、コンテキスト情報検索部207は、第1階層より詳細度の低い階層の道路ネットワーク情報について検索する必要が無い。
【0139】
次に、コンテキスト情報検索部207は、検索条件取得部106によって取得された情報に基づいて、第1階層において質問経路を構成する道路リストL{e5,e6,e7,e8}を取得する(ステップS33)。
【0140】
次に、コンテキスト情報検索部207は、道路リストLから道路IDを一つ取り出し、e5を得る(ステップS35)。
【0141】
そして、コンテキスト情報検索部207は、道路e5に関連付けられているコンテキストc1およびc2の位置が、質問範囲の領域に含まれるか否かを判定する(ステップS23〜S25)。
【0142】
ここで、道路e5に関連付けられたコンテキストc1およびc2のうち、コンテキストc1は質問範囲の領域に含まれていないが、コンテキストc2は質問範囲の領域に含まれている。
【0143】
したがって、コンテキスト情報検索部207は、コンテキストc2を検索結果の集合に追加する。
【0144】
次に、コンテキスト情報検索部207は、道路e5の上位道路が存在しないため(ステップS36でNo)、道路リストLの次の道路e6を取り出し、ステップS23〜S25の処理を実行する。
【0145】
ここで、道路e6に対応付けられたコンテキストが無いので、コンテキスト情報検索部207は、ステップS23〜S25において、検索結果の集合には何も追加しない。
【0146】
次に、コンテキスト情報検索部207は、道路e6の上位道路として第2階層の道路e’6が存在する(ステップS36でYes)が、この上位道路e’6が含まれる第2階層の詳細度が階層h=1の詳細度より低いため(ステップS37でNo)、ステップS34に戻る。
【0147】
このようにして、コンテキスト情報検索部207は、道路e7および道路e8についても、ステップS34からの処理を実行する。
【0148】
そして、コンテキスト情報検索部207は、検索結果の集合に含まれるコンテキストc2を検索結果として出力する(ステップS39)。
【0149】
以上で、地理情報管理装置20がコンテキスト情報を検索する動作の一例の説明を終了する。
【0150】
次に、本発明の第2の実施の形態の効果について述べる。
【0151】
本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置は、質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストおよび更新コストをさらに抑えることができる。
【0152】
まず、更新コストをさらに抑えることができる理由について説明する。本発明の第2の実施の形態では、階層別の関連範囲として下限値および上限値の組が記憶されていることにより、コンテキストに対応付けるべき道路の重複を減らすことができるからである。これにより、更新対象のデータ量をさらに抑えることができるためである。
【0153】
ここで、下限値および上限値の組で表された関連範囲に基づいて、コンテキストに対応付けられる道路の個数について、図16を参照して説明する。
【0154】
図16(a)は、階層化される前の道路ネットワークの一例である。図16(a)では、線の太さにより道路の幅員を表している。また、図16(b)は、与えられたコンテキストの位置(x,y)を表している。また、図16(c)〜(e)は、図16(a)に示された道路ネットワーク情報が3階層に階層化されたものを示している。
【0155】
また、各階層に示された二重の円は、コンテキストの位置(x,y)を中心とし、各階層の関連範囲の下限値bi−1より遠く上限値bより近い領域を表している。
【0156】
また、各階層において、関連範囲の領域内に含まれる道路を実線で示し、それ以外の道路を破線で示している。ここで、図16(e)に示した第3階層において、コンテキストの位置(x,y)とこの階層に含まれる道路との最短距離が、第3階層の関連範囲の下限値b2よりも小さいため、関連範囲に含まれる道路が存在しないことになる。したがって、図16(e)には実線で示された道路が無い。このような場合、この道路を上位道路とする第2階層の道路が、第2階層の関連範囲の領域に含まれているので、第3階層において関連範囲の領域に含まれる道路が無くても問題はない。
【0157】
このように、本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置は、これらの第1階層から第3階層において、位置(x,y)にあるコンテキストIDと、実線で示された道路の道路IDとを対応付けてコンテキスト情報記憶部に記憶する。すなわち、更新対象となるコンテキスト情報の個数は、図15では4つである。
【0158】
一方、図16(f)は、道路ネットワークを用いた関連技術の地理情報管理装置が、位置(x,y)のコンテキストに関連付ける道路の個数を示している。図16(f)に示すように、関連技術の地理情報管理装置は、位置(x,y)から、質問範囲として想定される上限値b3以内の領域に含まれる道路として、実線で示した7つの道路を対応付ける。したがって、更新対象となるコンテキスト情報の個数は7つである。
【0159】
なお、本発明の第1の実施の形態では、関連範囲として下限値が設定されていないため、第3階層において関連範囲の領域内に1つの道路が含まれることになる。したがって、更新対象となるコンテキスト情報の個数は5つである。
【0160】
このように、本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置は、質問経路沿いのコンテキストを検索するための更新コストをさらに抑えることができる。
【0161】
次に、検索コストをさらに抑えることができる理由について説明する。
【0162】
本発明の第2の実施の形態は、関連範囲として下限値が設定されていることにより、検索条件の質問範囲より大きな下限値の関連範囲が設定されている階層に対しては、検索を行う必要がないからである。そのような階層において質問経路を構成する道路には、質問経路沿いの質問範囲の領域のコンテキストが関連づけられていないからである。
【0163】
また、検索コストを抑えることができるさらなる理由について述べる。本発明の第2の実施の形態において、各道路から、より詳細度が低い階層においてその道路を一部に含む上位道路への参照情報を記憶しておくことにより、質問経路を構成する各道路IDを第1階層においてのみ求めればよい。その後、第1階層における質問経路の道路から上位道路を順次参照していくことにより、各階層において質問経路を構成する道路を効率よく求めることができるからである。
【0164】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第3の実施の形態としての地理情報管理装置30は、本発明の第2の実施の形態と同様に、図1に示したハードウェア構成を備える汎用的なコンピュータ装置によって構成されている。
【0165】
地理情報管理装置30の機能ブロック構成を図17に示す。なお、図17において、本発明の第2の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
【0166】
地理情報管理装置30は、本発明の第2の実施の形態に対して、コンテキスト情報更新部205に替えてコンテキスト情報更新部305を備え、更新前位置情報取得部306をさらに備える点が異なる。
【0167】
ここで、更新前位置情報取得部306は、コンピュータ・プログラムを実行するCPU1001によって構成される。
【0168】
更新前位置情報取得部306は、位置情報取得部104によってコンテキストの位置情報が取得されると、該コンテキストの更新前の位置情報をコンテキスト情報記憶部102から取得する。
【0169】
コンテキスト情報更新部305は、更新前位置情報取得部306によって求められた更新前の位置から、各階層において関連範囲の領域に含まれる道路の道路IDをまず求める。そして、コンテキスト情報更新部305は、求めた道路IDを含むコンテキスト情報のうち、該コンテキストのコンテキストIDを含むものを削除する。
【0170】
その後、コンテキスト情報更新部305は、本発明の第2の実施の形態におけるコンテキスト情報更新部205と同様に、新たに取得された位置情報が示す位置から、各階層において関連範囲の領域に含まれる各道路の道路IDを求める。コンテキスト情報更新部305は、各道路IDとこのコンテキストIDと位置情報とを対応付けたコンテキスト情報を、コンテキスト情報記憶部102に記憶させる。
【0171】
以上のように構成された地理情報管理装置30の動作について説明する。なお、地理情報管理装置30がコンテキスト情報を検索する動作は、図13および図15を参照して説明した本発明の第2の実施の形態としての地理情報管理装置20と同様であるため、本実施の形態における詳細な説明を省略する。
【0172】
ここでは、地理情報管理装置30がコンテキスト情報を更新する動作について、図18を参照して説明する。なお、図18において、図7を用いて説明した本発明の第2の実施の形態と同様に動作するステップには同一の符号を付して本発明における詳細な説明を省略する。
【0173】
まず、更新前位置情報取得部306は、位置情報取得部104によって取得されたコンテキストIDを含むコンテキスト情報が、コンテキスト情報記憶部102に記憶されているか否かを判断する(ステップS42)。
【0174】
ここで、このコンテキストIDを含むコンテキスト情報が記憶されていない場合、地理情報管理装置30の処理はステップS13に進む。
【0175】
一方、ステップS42において、このコンテキストIDのコンテキスト情報が記憶されていると判断された場合、更新前位置情報取得部306は、コンテキスト情報記憶部102に記憶された情報に基づいて、このコンテキストの更新前の位置情報を取得する(ステップS43)。
【0176】
次に、コンテキスト情報更新部305は、ステップS43で取得された更新前の位置情報に基づいて、各階層において、更新前の位置から関連範囲の領域内に含まれる各道路の道路IDを取得する(ステップS44)。
【0177】
次に、コンテキスト情報更新部305は、ステップS44で取得された各道路IDを含むコンテキスト情報のうち、このコンテキストIDを含むものをコンテキスト情報記憶部102から削除する(ステップS45)。
【0178】
その後、コンテキスト情報更新部305は、ステップS13〜S14まで本発明の第2の実施の形態におけるコンテキスト情報更新部205と同様に動作して、新たな位置情報に基づくコンテキスト情報を生成してコンテキスト情報記憶部102に記憶させる。
【0179】
以上で、地理情報管理装置30はコンテキスト情報を更新する動作を終了する。
【0180】
次に、本発明の第3の実施の形態の効果について述べる。
【0181】
本発明の第3の実施の形態としての地理情報管理装置は、検索対象のコンテキストの個数が、道路ネットワーク情報に記憶される道路の個数より多い場合に、コンテキスト情報の更新コストをより抑えることができる。
【0182】
その理由は、コンテキストの過去の位置情報に基づいて、既にこのコンテキストに関連付けられている道路を特定することにより、コンテキストIDをキーとして削除対象のデータを検索するのではなく、道路IDをキーとして削除対象のデータを検索することができるからである。これにより、本発明の第3の実施の形態としての地理情報管理装置は、コンテキストの個数が道路数より多い場合に、更新コストをより低く抑えることができる。
【0183】
なお、上述した本発明の各実施の形態において、各フローチャートを参照して説明した地理情報管理装置の動作を、本発明のコンピュータ・プログラムとして地理情報管理装置の記憶装置(記憶媒体)に格納しておき、係るコンピュータ・プログラムを当該CPUが読み出して実行するようにしてもよい。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータ・プログラムのコード或いは記憶媒体によって構成される。
【0184】
また、上述した本発明の各実施の形態において、道路ネットワーク情報記憶部、コンテキスト情報記憶部および階層別関連範囲記憶部に記憶されたデータ構造は、本発明のデータ構造を構成している。本発明の各実施の形態におけるこれらのデータ構造は、これらのデータ構造を利用する地理情報管理装置を用いて質問経路沿いのコンテキストを検索する際の検索コストおよび更新コストを共に抑えることができる。
【0185】
また、上述した各実施の形態は、適宜組み合わせて実施されることが可能である。
【0186】
また、本発明は、上述した各実施の形態に限定されず、様々な態様で実施されることが可能である。
【0187】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を記憶する道路ネットワーク情報記憶部と、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報を記憶するコンテキスト情報記憶部と、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を記憶する階層別関連範囲記憶部と、
前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、前記位置情報取得部によって取得された前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新するコンテキスト情報更新部と、
前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する検索条件取得部と、
前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索するコンテキスト情報検索部と、
を備えた地理情報管理装置。
(付記2)
前記階層別関連範囲記憶部は、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を前記階層別に前記関連範囲として記憶することを特徴とする付記1に記載の地理情報管理装置。
(付記3)
前記検索条件取得部によって取得された情報が表す質問範囲より遠い領域を含む関連範囲が設定された階層のうち、最も詳細度が高い階層を特定する階層特定部をさらに備え、
前記コンテキスト情報検索部は、前記階層特定部によって特定された階層から、詳細度が最も高い階層までの各階層において、前記検索条件を満たすコンテキストを検索することを特徴とする付記1または付記2に記載の地理情報管理装置。
(付記4)
前記道路ネットワーク情報記憶部は、各階層に含まれる各道路の道路識別情報から、より詳細度が低い階層において該道路が一部分となっている道路の道路識別情報への参照情報をさらに記憶し、
前記コンテキスト情報検索部は、前記詳細度が最も高い階層の道路ネットワーク情報において前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した道路識別情報からの前記参照情報に基づいて、前記各階層において前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得することを特徴とする付記1から付記3のいずれかに記載の地理情報管理装置。
(付記5)
前記位置情報取得部によって前記コンテキストの位置情報が取得されると、該コンテキストの更新前の位置情報を前記コンテキスト情報記憶部から取得する更新前位置情報取得部をさらに備え、
前記コンテキスト情報更新部は、前記道路ネットワーク情報の各階層において前記更新前の位置情報が示す位置から前記関連範囲の領域に含まれる道路の道路識別情報を求めることにより、求めた道路識別情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を削除した後、新たに取得された位置情報に基づいて前記コンテキスト情報記憶部を更新することを特徴とする付記1から付記4のいずれかに記載の地理情報管理装置。
(付記6)
地理情報管理装置が、
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を道路ネットワーク情報記憶部に記憶し、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報をコンテキスト情報記憶部に記憶し、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を階層別関連範囲記憶部に記憶し、
前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得し、
取得した前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、取得した前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新し、
前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得し、
前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索する、地理情報管理方法。
(付記7)
前記地理情報管理装置が、
前記階層別関連範囲記憶部に、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を前記階層別に前記関連範囲として記憶する、付記6に記載の地理情報管理方法。
(付記8)
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を道路ネットワーク情報記憶部に記憶させる道路ネットワーク情報記憶ステップと、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報をコンテキスト情報記憶部に記憶させるコンテキスト情報記憶ステップと、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を階層別関連範囲記憶部に記憶させる階層別関連範囲記憶ステップと、
前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、前記位置情報取得ステップで取得された前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新するコンテキスト情報更新ステップと、
前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する検索条件取得ステップと、
前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索するコンテキスト情報検索ステップと、をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。
(付記9)
前記階層別関連範囲記憶ステップで、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を前記階層別に前記関連範囲として前記階層別関連範囲記憶部に記憶させることを特徴とする付記8に記載のコンピュータ・プログラム。
(付記10)
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報と、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報と、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を表す情報と、を含むデータ構造。
(付記11)
前記関連範囲を表す情報として、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を表す情報を含むことを特徴とする付記10に記載のデータ構造。
【符号の説明】
【0188】
10、20、30 地理情報管理装置
101、201 道路ネットワーク情報記憶部
103、203 階層別関連範囲記憶部
104 位置情報取得部
105、205、305 コンテキスト情報更新部
106 検索条件取得部
107、207 コンテキスト情報検索部
208 階層特定部
306 更新前位置情報取得部
1001 CPU
1002 RAM
1003 ROM
1004 記憶装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を記憶する道路ネットワーク情報記憶部と、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報を記憶するコンテキスト情報記憶部と、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を記憶する階層別関連範囲記憶部と、
前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、前記位置情報取得部によって取得された前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新するコンテキスト情報更新部と、
前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する検索条件取得部と、
前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索するコンテキスト情報検索部と、
を備えた地理情報管理装置。
【請求項2】
前記階層別関連範囲記憶部は、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を前記階層別に前記関連範囲として記憶することを特徴とする請求項1に記載の地理情報管理装置。
【請求項3】
前記検索条件取得部によって取得された情報が表す質問範囲より遠い領域を含む関連範囲が設定された階層のうち、最も詳細度が高い階層を特定する階層特定部をさらに備え、
前記コンテキスト情報検索部は、前記階層特定部によって特定された階層から、詳細度が最も高い階層までの各階層において、前記検索条件を満たすコンテキストを検索することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地理情報管理装置。
【請求項4】
前記道路ネットワーク情報記憶部は、各階層に含まれる各道路の道路識別情報から、より詳細度が低い階層において該道路が一部分となっている道路の道路識別情報への参照情報をさらに記憶し、
前記コンテキスト情報検索部は、前記詳細度が最も高い階層の道路ネットワーク情報において前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した道路識別情報からの前記参照情報に基づいて、前記各階層において前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の地理情報管理装置。
【請求項5】
前記位置情報取得部によって前記位置情報および前記コンテキスト識別情報が取得されると、該コンテキストの更新前の位置情報を前記コンテキスト情報記憶部から取得する更新前位置情報取得部をさらに備え、
前記コンテキスト情報更新部は、前記道路ネットワーク情報の各階層において前記更新前の位置情報が示す位置から前記関連範囲の領域に含まれる各道路の道路識別情報を求めることにより、求めた各道路識別情報および該コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を削除した後、新たに取得された位置情報に基づいて、該コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を追加することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の地理情報管理装置。
【請求項6】
地理情報管理装置が、
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を道路ネットワーク情報記憶部に記憶し、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報をコンテキスト情報記憶部に記憶し、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を階層別関連範囲記憶部に記憶し、
前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得し、
取得した前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、取得した前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新し、
前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得し、
前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索する、地理情報管理方法。
【請求項7】
前記地理情報管理装置が、
前記階層別関連範囲記憶部に、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を前記階層別に前記関連範囲として記憶する、請求項6に記載の地理情報管理方法。
【請求項8】
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報を道路ネットワーク情報記憶部に記憶させる道路ネットワーク情報記憶ステップと、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報をコンテキスト情報記憶部に記憶させるコンテキスト情報記憶ステップと、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を階層別関連範囲記憶部に記憶させる階層別関連範囲記憶ステップと、
前記コンテキストの位置を表す位置情報および該コンテキストのコンテキスト識別情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得された前記位置情報、および、前記階層別の関連範囲に基づいて、前記位置情報取得ステップで取得された前記コンテキスト識別情報を含むコンテキスト情報を更新するコンテキスト情報更新ステップと、
前記道路の連なりを表す質問経路、および、前記質問経路沿いの領域を表す質問範囲をそれぞれ表す情報を検索条件として取得する検索条件取得ステップと、
前記道路ネットワーク情報の各階層において、前記質問経路を構成する各道路の道路識別情報を取得し、取得した各道路識別情報に対応付けられたコンテキスト識別情報のうち、各道路識別情報の道路から前記質問範囲の領域に含まれるものを、前記コンテキスト情報記憶部に基づいて特定することにより、前記検索条件を満たすコンテキストを検索するコンテキスト情報検索ステップと、をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
前記階層別関連範囲記憶ステップで、前記コンテキストからの距離の下限値および上限値の組を前記階層別に前記関連範囲として前記階層別関連範囲記憶部に記憶させることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
グラフ構造で表された道路ネットワーク情報を、前記グラフ構造における頂点間の辺で表された各道路の属性に基づいて、段階的な詳細度を有するよう階層化した複数の階層の道路ネットワーク情報と、
対象物の状況またはある地点に一時的に発生する事象を表すコンテキストを識別するコンテキスト識別情報と、前記コンテキストの位置情報と、前記コンテキストから所定の関連範囲の領域にある前記道路を識別する道路識別情報とを対応付けたコンテキスト情報と、
前記詳細度が低い階層ほど、前記関連範囲の領域が前記コンテキストからより遠い領域を含むよう、前記階層別に設定された前記関連範囲を表す情報と、を含むデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−43050(P2012−43050A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181564(P2010−181564)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】