説明

地盤改良区

【課題】改良すべき地盤を構成している粘性土を主たる原料として、濾過機能と透水機能の高い法面2、改良土層4及び暗渠5を構築し、大雨が降ったときでも泥水から粘性土などの微粒子を濾過し、きれいな水だけを下流に流すことができる地盤改良区1を得る。
【解決手段】粘性土にカルシウム粒粉とセメントとビースターの希釈液を加えて攪拌し、養生したものを薄層転圧処理し、薄層転圧処理を何回も行い積層して改良土層4にする。また粘性土にセメントとビースターの希釈液を加えて攪拌し、養生し、振動加圧等の工程を経て製造した透水ブロック7と、透水ブロック本体6aにポーラス柱6bを埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロック6を並べてなる法面2とする。さらに土粉粒にカルシウム粒粉とセメントとビースターの希釈液を加えて攪拌し、養生してなる団粒子の層5aを暗渠5に積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
段差を有する地盤に大雨が降り土壌が水に溶けて泥水となって流れ出したときに、法面が崩壊することを防ぎ、泥水を濾過してきれいな水だけを下流に流すよう、地盤を改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
土粒子を団粒化するための土質改良剤としてはクエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどを含有する無機系土質改良剤が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。また入手可能な土質改良剤としては「ジオビースター(登録商標、以下単に「ビースター」という。)」という名称で株式会社田口技術研究所(住所 大阪府堺市草部1199)から販売されている土質改良剤がある。
しかし特許文献1、2に相当する土質改良剤であるビースターを使用してその用法・用量に従い、容積1立方メートルの粘性土あたり100kgのセメントと1kgのビースターを加えて試験を行ったが、粘性土とセメントが均一に混ざり合うことがなかった。
そして粘性土とセメントが均一に混ざり合うことがなく、セメントだけが固まってしまうため、セメントの多い部分は硬く固まり、粘性土の多い部分はぼろぼろに崩れやすい部分となって、粘性土を団粒化することができなかった。
我が国には赤土などと呼ばれる粘土質の土壌を有する地域が多くある。また火山灰が風化したロームの土壌を有する広い地域もある。粘土質の土壌を構成する粘性土やロームの土壌は、雨滴が当たると容易に分散して水に溶け泥水になって流出してしまう。
粘土質やロームの土壌を有する山林の傾斜面などを開墾して耕作地としたり、開発して工場用地や住宅用地などとして使用すると、大雨が降ったときに地表部の粘性土やロームが水に溶け、泥水が流れ出て河川の流域や海洋を汚染する原因となっている。
特に沖縄県では粘性土の流出により、河川流域が汚染されて藻類、水中昆虫類などが減少する問題が発生したり、海岸の珊瑚礁や干潟に粘性土が堆積して海を汚染し、漁業や観光産業への影響が大きくなったことから、沖縄県赤土等流出防止条例を制定して対策を行っているが、依然として粘性土の流出による環境汚染は続いている。
【特許文献1】特開昭61−133141号公報
【特許文献2】特開2001−303056号公報
【0003】
従来は、開墾した耕作地や開発した工場用地や住宅用地などに排水路を設け、斜面や段差の法面には水抜きパイプを所々に挿入して、コンクリートブロックを積んだりコンクリートを吹き付けたりしていた。
しかしかかる構成では泥水はそのまま河川流域や海洋に流れ出るため、粘性土やロームなどの流出による環境汚染を防ぐことはできない問題があった。
また従来の構成では大雨が降った場合に大量の雨水が一部に集中して流れ、斜面や法面が崩れ落ちて、崩れたコンクリートブロックや吹付コンクリートが泥流と一緒になって流れ出てしまい、大きな洪水となって被害は甚大となるおそれがあった。
そこで試行錯誤の実験を繰り返した結果、土質改良剤を利用して粘性土やロームなどをセメントで団粒化した後に、これを締め固めてなるブロックを製造する技術を発明し、かかるブロックが透水性を有し泥水から粘性土やローム土などの微粒子を濾過する能力を有することを確認することができた。
また試行錯誤の実験を繰り返した結果、粘性土やロームにカルシウム粒粉とセメントを加え、土質改良剤を利用して団粒化した後に、これを振動加圧して転圧した薄層を積み上げてなる改良土層や、団粒化した団粒子を積層してなる団粒子の層とすると、酸性の雨水にカルシウム粉粒が少しずつ溶かされて新たな空洞ができるため、高い透水機能と濾過機能を長期間維持することがわかった。
さらに試行錯誤の実験を繰り返した結果、粘性土やロームにカルシウム粒粉とセメントを加え、土質改良剤を利用して団粒化した後に成形して、所定期間養生した後に酸に浸けると、カルシウム粉粒が溶かされて豊富に空洞を有する成型物を得ることができ、この成型物が高い透水機能と濾過機能を長期間維持することがわかった。
また粘性土、シルト、ローム、砂、レキ及び岩石を砕いた粒子(以下単に「土粒子」という。)や、使用後の鋳物砂や壁土など廃棄された土粒子、土粒子を原料とする陶磁器やコンクリートや煉瓦や瓦などの廃棄物を砕いた粒子、さらにはフライアッシュを含め以上まとめて土粉粒といい、これらの土粉粒を材料として透水性ブロック、濾過機能と透水機能の高い改良土層や団粒子の層などを構築することができることも確かめた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の排水路とコンクリートブロック製の法面との組み合わせからなる荒れ地、耕作地、工場用地及び住宅用地などが有する、泥水をそのまま河川流域や海洋に流す問題を解決して、泥水から粘性土やシルトやロームなどの微粒子を濾過し、きれいな水だけを下流に流すよう地盤を改良した荒れ地、耕作地、工場用地及び住宅用地などを得ることにある。
また大雨が降ったときに大量の雨水を流出させる能力を有するよう構成した、透水機能の高い法面や改良土層や暗渠などで構成した地盤改良区とすることにより、段差の法面が崩れることを防いだ荒れ地、耕作地、工場用地及び住宅用地などを得ることにある。
さらに利用価値の小さな土粒子又は廃棄物たる土粉粒、特に改良すべき地盤を構成している粘性土やシルトやロームを主たる原料として、現地において透水機能と濾過機能の高い法面や改良土層や暗渠などの構造物を構築することにより、経済的に環境汚染の防止に有用な荒れ地、耕作地、工場用地及び住宅用地などを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
段差を有する地盤において、法面を透水機能を有するブロック(以下単に「透水ブロック」という。)を並べた法面とし、法面に沿って処理区域を設けて、処理区域の土を濾過機能と透水機能の高い土層に改良し、さらに暗渠を設ける。
このとき現地で容易に入手可能な粘性土、シルト、ロームや廃棄物を砕いた粒子などの土粉粒を材料として、セメントと土地改良剤を加えて攪拌した後に、養生することにより団粒化した団粒物を型に入れて締め固めることにより、透水機能を有する透水ブロックを製造して法面に使用する。
また土粉粒にカルシウム粒粉とセメントと土地改良剤を加えて攪拌し、養生することにより団粒化した団粒物を締め固めて成形した後に、酸に浸けることにより空隙の多いポーラス柱として、これを透水ブロック本体に埋め込んでなる、ポーラス柱付透水ブロックを製造して法面に使用する。
また土粉粒にカルシウム粒粉とセメントと土地改良剤を加えて攪拌し、養生することにより団粒化し、団粒物を薄く積んで振動加圧することにより転圧(以下単に「薄層転圧処理」という。)し、薄層転圧処理を何回も繰り返して積層することにより、処理区域の土を濾過機能と透水機能の高い改良土層とする。
さらに土粉粒にカルシウム粒粉とセメントと土地改良剤を加えて攪拌し養生するなどの工程を経て、濾過機能と透水機能の高い団粒子を製造して暗渠に積層する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の地盤改良区を構成する、暗渠の団粒子の層や改良土層や法面の透水ブロックのいずれもが、濾過機能を有しているので、大雨が降って土壌が水に溶けて泥水となって流れ出したときに、泥水から粘性土やシルトやロームなどの微粒子を濾過して、きれいな水だけを下流に流すことのできる荒れ地、耕作地、工場用地及び住宅用地などを得ることができた。このため河川の流域や海洋の汚染を防止する効果が得られた。
地盤改良区に大雨が降ったときには、大量の水が暗渠を流れて改良土層に入り、改良土層と法面の全体を透水して通過した後に法面全面から流れ出る。本発明にかかる暗渠と改良土層と法面はいずれも透水機能を有しているので、大量の雨水を通過させることが可能であり、一部に集中して濁流となって流れることがなく、改良土層と法面を透水する水流の断面積が莫大な面積であるため通過する水の流速は低くなり、水圧が低い値に留まるため改良土層や法面が崩れないという効果が得られた。
また本発明の透水ブロック、ポーラス柱、改良土層及び団粒子はいずれも改良するべき土地に存在する土粒子を主たる原料としたので、現地で掘り起こして集めた原料を現地で加工して現地に設置することになる。このため人の移動や物の運搬などの無駄な作業を不要とする効果があった、
さらに土粒子以外の使用後の鋳物砂、使用後の壁土、陶磁器やコンクリートや煉瓦や瓦などの廃棄物を砕いた粒子などを原料とすることを可能にしたので、廃棄物を利用して透水性ブロックやポーラスブロックなどを製造することや、廃棄物を原料に混ぜて改良土層や団粒子を構築することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
段差を有する地盤において、法面を透水ブロックを並べた法面とし、法面に沿って処理区域を設けこれを濾過機能と透水機能の高い改良土層とし、さらに暗渠を設けた地盤改良区とする。
そして改良土層が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Nを得た後に、混合物Nに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Pを得る、さらに混合物Pを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の混合物Pを処理区域に薄く積んで振動加圧することにより転圧し、薄厚転圧処理を繰り返すことにより地盤の表面まで積み上げてなる改良土層である地盤改良区とする。
土粉粒が多くの水分を含んでいる場合は、予め天日や風に当てて乾燥させておくことが好ましい。土粉粒のサイズはどんなに細かくても構わないが、固形物は2mm以下に砕いた粒子にして使用することが好ましい。また有機性のヘドロを乾燥させて加えても構わない。カルシウム粒粉は珊瑚や貝殻などを0.1〜5mmに砕いた粒子や、0.1mm以下のカルシウム粉末などを使用することが好ましい。
また処理区域の土を掘り出してこれを主たる原料として使用することが好ましい。土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌する工程においては、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなったときに混合物Nが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、容量1立方メートルの土粉粒(以下単に「単位土粉粒」という。)に対して、800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Tを作っておく。
ビースターの希釈液Tを供給しながら攪拌を続け、希釈液Tが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Pが得られる。続いて混合物Pの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Pを攪拌する。
含水比は(混合物に含まれる水の重量×100/混合物の全重量)で計算され、適正な含水比は60〜70%であるが、おおよその目安として、混合物を手で握ったときに団子状の固まりになれば適正な含水比と判断して構わない、一方混合物を手で握ったときにバラバラと崩れる場合は水の量が不足していると判断することができる。
含水比が適正な混合物Pを3〜7日間養生する。このとき混合物Pの上にシートを被せておき、時々霧吹きにより水を散布して表面が乾燥しないように注意する。養生後の混合物Pは粒子同士が軽く結合した状態となっており、その表面にエトリンガイドの結晶が覆っている。
養生後の混合物Pを処理区域に薄く積み、ランマーやプレートなどの路盤を固めるときに使用する機械(以下単に「転圧機」という。)を使用して締め固める。1回の薄層転圧処理により200mm程度の厚さに転圧するようにして、薄層転圧処理の回数を重ねることにより地盤の表面まで積み上げて改良土層を構築する。
【0008】
上記した地盤改良区において、改良土層の範囲が平面視において法面に沿って5〜10mの幅を有し、段差の高さに相当する高さの範囲を有する地盤改良区とする。
改良土層はなるべく法面の全長に渡って設け、その幅は5〜10mであって法面に相当する高さ全部の土地を改良することが、大雨が降ったときでも泥水を下流に流さず、透水して通過する水の流速を下げて、法面の崩壊を避けるために好ましいからである。
また段差を有する地盤において、法面を透水ブロックを並べた法面とし、法面に沿って処理区域を設けこれを濾過機能と透水機能の高い改良土層とし、改良土層が土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Nを得た後に、混合物Nに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Pを得る、さらに混合物Pを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の混合物Pを土質改良区域に薄く積んで振動加圧することにより転圧し、薄厚転圧処理を繰り返すことにより地盤の表面まで積み上げてなる改良土層である地盤改良区とする。
本発明は段落番号0007に記載した発明から暗渠を除いた発明である。既に上記した事項は重複した記載を避けるため省略する。
改良すべき土地が狭い場合や排水の良い地質の場合などは、暗渠のない本発明の構成により、大雨が降ったときに泥水を下流に流さず、法面が崩壊しないという効果を得ることが可能だからである。
【0009】
土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Nを得た後に、混合物Nに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Pを得る、さらに混合物Pを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の混合物Pを薄く積んで振動加圧することにより転圧し、薄厚転圧処理を繰り返すことにより複数段積層してなる改良土層とする。
本発明は段落番号0007に記載した発明から改良土層に関する構成を抜き出した発明である。既に上記した事項は重複した記載を避けるため省略する。
法面や斜面に透水性ブロックを使用しないで、土で固めた自然の法面や普通のブロックを並べた法面やコンクリートを吹き付けた斜面などとする場合において、法面や斜面の内側に本発明にかかる濾過機能と透水機能の高い改良土層を設けることにより、法面や斜面が崩壊することを防ぐ効果が得られるため本発明は有用である。
上記したいずれかの地盤改良区又は改良土層であって、混合物Nを得る工程において単位土粉粒あたり0.1〜30kgのカルシウム粒粉と40〜120kgのセメントを加えて混合物Nを得てなる地盤改良区又は改良土層とする。
セメントの量を増加するにしたがい改良土層の強度が増し、カルシウム粉粒の量を増加するにしたがい改良土層の強度が低下する、一方カルシウム粉粒の量を増加するにしたがい濾過機能と透水機能を維持する期間が長くなる効果がある、そこで現場の状況に合わせてセメントとカルシウム粉粒のバランスを調整する。
以上に記載した改良土層は水に溶けることがなく、高い濾過機能と透水機能を有する地層となるので、地盤改良区などに降った多量の雨水から粘性土やシルトやロームなどの微粒子を濾過して、きれいな水だけを下流に流すことができる。
またセメントで土粉粒を団粒化し、さらにセメントが強固に結合しようとする時期に転圧して積層した層であるので、全体が一体となっていて崩れることがない。さらに広大な面積を透水して水が通過する構成としたので透水時の流速が遅くなり、大きな水圧が掛かることがなく斜面や法面の崩落が起きない。
改良土層に長期間雨水を流すと、改良土層の空隙に濾過した粘性土やシルトやロームなどの微粒子が段々詰まるため、濾過機能と透水機能が徐々に低下するべきところが、改良土層に混入させたカルシウム粉粒が少しずつ雨水に溶けるため、改良土層の中に新たに空隙が生まれることになる、このため本発明の改良土層は長期間にわたり濾過機能と透水機能を維持することができる。
【0010】
上記のいずれかの地盤改良区であって法面の透水ブロックが、土粉粒とセメントを攪拌して混合物Aを得た後に、混合物Aに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Bを得る、さらに混合物Bを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、養生後の混合物Bにセメントを混ぜて攪拌して混合物Cを得る、そして混合物Cに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Dを得る、さらに混合物Dを型枠に入れ振動加圧して成形した後に、型枠から取り出して養生してなる透水ブロックである地盤改良区とする。
土粉粒が多くの水分を含んでいる場合は、予め天日や風に当てて乾燥させておくことが好ましい。土粉粒のサイズはどんなに細かくても構わないが、固形物は2mm以下に砕いた粒子にして使用することが好ましい。
また処理区域の土を掘り出してこれを主たる原料として使用することが好ましい。土粉粒にセメントを加えて攪拌する工程においては、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなったときに混合物Aが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、単位土粉粒に対して、800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Zを作っておく。
ビースターの希釈液Zを供給しながら攪拌を続け、希釈液Zが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Bが得られる。続いて混合物Bの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Bを攪拌する。適正な含水比は60〜70%である。
含水比が適正な混合物Bを3〜7日間養生する。このとき混合物Bの上にシートを被せておき、時々霧吹きにより水を散布して表面が乾燥しないように注意することが好ましい。養生後の混合物Bは粒子同士が軽く結合した状態となっており、その表面にエトリンガイドの結晶が覆っている。
【0011】
養生後の混合物Bを篩にかけ2mm以下のサイズのものを選別する。2mm以上のものは破砕して2mmにして使用する。容積1立方メートルの養生後の混合物(以下単に「単位養生物」という。)Bに対して40〜150kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが混合物に混ざって見えなくなったときに混合物Cが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、単位養生物Bに対して800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Yを作っておく。
ビースターの希釈液Yを供給しながら攪拌を続け、希釈液Yが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Dが得られる。続いて混合物Dの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Pを攪拌する。含水比は60〜70%が好ましい。
含水比が適正な混合物Dを型枠に入れて振動と圧力をかけて締め固める。締め固めた成形物を型枠から取り出して5〜10日間養生する。養生することにより成型物は十分固化した透水ブロックとなる。
かかる透水ブロックは、通常のコンクリートブロックを積み上げるのと同じようにして法面に積み上げることができ、透水ブロック自体が濾過機能と透水機能を有するので、本発明にかかる法面は全面が濾過機能と透水機能を有する面となる。
このため地盤改良区に降った多量の雨水が泥流となって流れたときに、粘性土やシルトやロームなどの微粒子を濾過してきれいな水だけを下流に流すことができる。また広大な面積を透水して雨水が通過する構成であるため、通過する水の流速が遅くなり大きな水圧が掛かることがなく斜面や法面の崩落が発生することがない。
【0012】
土粉粒とセメントを攪拌して混合物Aを得た後に、混合物Aに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Bを得る、さらに混合物Bを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、養生後の混合物Bにセメントを混ぜて攪拌して混合物Cを得る、そして混合物Cに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Dを得る、さらに混合物Dを型枠に入れ振動加圧して成形した後に、型枠から取り出して養生してなる透水ブロックとする。
本発明は段落番号0010〜0011に記載した発明から透水ブロックに関する構成を抜き出した発明である。既に上記した事項は重複した記載を避けるため省略する。
本発明にかかる透水ブロックを道路や歩道などの路面に使用すると、透水性を有する路面を得ることができ、路面に降った雨が透水ブロックを通過して土地にしみこむため、道路や施設などの排水設備にかかる負担を軽減することができる。
上記した地盤改良区又は透水ブロックであって、混合物Aを得る工程において単位粉粒あたり40〜120kgのセメントを加えて混合物Aを得たこと、さらに単位養生物Bあたり40〜150kgのセメントを加えて混合物Cを得てなる地盤改良区又は透水ブロックとする。
セメントの量を増加するにしたがい透水ブロックの強度が増すが、セメントの量が多すぎると透水機能が低下してくる、実験を繰り返した結果上記した範囲の量が好ましいセメントの量であったからである。
【0013】
上記したいずれかの地盤改良区であって、透水ブロック本体の中にポーラス柱を埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックを少なくとも法面の一部に使用する。
そしてポーラス柱が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Eを得た後に、混合物Eに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Fを得る、さらに混合物Fを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の混合物Fを型枠に入れ締め固めて柱状に成形した後に型枠から取り出して養生し、養生後の柱状の成型物を酸に浸けることにより、カルシウム粒粉を溶かしてなるポーラス柱(以下単に「Sポーラス柱」という。)である地盤改良区とする。
Sポーラス柱の原料にする粘性土やシルトやロームなどが多くの水分を含んでいる場合は、予め天日や風に当てて乾燥させておくことが好ましい。土粉粒のサイズはどんなに細かくても構わないが、大きな塊は2mm以下に砕いた粒子にして使用することが好ましい。また有機性のヘドロを乾燥させて加えても構わない。さらにカルシウム粒粉は珊瑚や貝殻などを0.1〜5mmに砕いた粒子や、0.1mm以下のカルシウム粉末などを使用することが好ましい。
また処理区域の土を掘り出してこれを主たる原料としてSポーラス柱を製造することが好ましい。土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌する工程においては、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなったときに混合物Eが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、単位土粉粒に対して、800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Xを作っておく。
ビースターの希釈液Xを供給しながら攪拌を続け、希釈液Xが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Fが得られる。続いて混合物Fの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Fを攪拌する。含水比は60〜70%が好ましい。
含水比が適正な混合物Fを3〜7日間養生する。このとき混合物Fの上にシートを被せておき、時々霧吹きにより水を散布して表面が乾燥しないように注意する。養生後の混合物Fは粒子同士が軽く結合した状態となっており、その表面にエトリンガイドの結晶が覆っている。
養生後の混合物Fを型枠に入れ振動や圧力をかけて柱形状に締め固める。柱形状に締め固めた成型物を7〜10日間養生した後に、PH5〜6の酸性液に1〜2週間浸けると、カルシウム分が溶けて空隙の多いSポーラス柱ができる。
さらに段落番号0010〜0011に記載した透水ブロックの製造工程の途中であって、混合物Dを型枠に入れて振動と圧力をかけて締め固める工程において、透水ブロックの改良土層側の面である裏面と法面の外側の面である表面との間を貫通するようにして、Sポーラス柱を混合物Dの中に入れて締め固めることにより、透水ブロックの中にSポーラス柱を埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックを製造する。
【0014】
上記したいずれかの地盤改良区であって、透水ブロック本体の中にポーラス柱を埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックを少なくとも法面の一部に使用する。
そしてポーラス柱が、土粉粒にセメントを加えて攪拌し混合物Gを得た後に、混合物Gに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Hを得る、さらに混合物Hを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、養生後の混合物Hにカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Jを得る、続いて混合物Jに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Kを得る、さらに混合物Kを型枠に入れて締め固めて柱状に成形した後に型枠から取り出して養生し、養生後の柱状の成型物を酸に浸けることにより、カルシウム粒粉を溶かしてなるポーラス柱(以下単に「Wポーラス柱」という。)である地盤改良区とする。
Wポーラス柱の原料にする土粉粒やカルシウム粒粉などは段落番号0013に記載したSポーラス柱の原料と同様であり、処理区域の土を掘り出してこれを主たる原料としてWポーラスブロックを製造することが好ましい。土粉粒にセメントを加えて攪拌する工程においては、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなったときに混合物Gが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、単位土粉粒に対して、800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Wを作っておく。
ビースターの希釈液Wを供給しながら攪拌を続け、希釈液Wが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Hが得られる。続いて混合物Hの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Hを攪拌する。含水比は60〜70%が好ましい。
含水比が適正な混合物Hを3〜7日間養生する。このとき混合物Hの上にシートを被せておき、時々霧吹きにより水を散布して表面が乾燥しないように注意する。養生後の混合物Hは粒子同士が軽く結合した状態となっており、その表面にエトリンガイドの結晶が覆っている。
【0015】
養生後の混合物Hを篩にかけてサイズが2mm以下のものを使用する。サイズが大きなものは破砕して2mm以下のサイズにして使用する。
養生後のサイズ2mm以下の混合物Hにカルシウム粉粒とセメントを加えて攪拌する工程においてはセメントが混合物Hに混ざって見えなくなったときに混合物Jが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、単位養生物Hに対して、800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Vを作っておく。
ビースターの希釈液Vを供給しながら混合物Jの攪拌を続け、希釈液Vが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Kが得られる。続いて混合物Kの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Kを攪拌する。含水比は60〜70%が好ましい。
適正な含水比の混合物Kを型枠に入れ振動や圧力をかけて柱形状に締め固める。柱形状に締め固めた成型物を7〜10日間養生した後に、PH5〜6の酸性液に1〜2週間浸けると、カルシウム分が溶けて空隙の多い柱形状のWポーラスブロックができる。
さらに段落番号0010〜0011に記載した透水ブロックの製造工程の途中であって、混合物Dを型枠に入れて振動と圧力をかけて締め固める工程において、透水ブロックの改良土層側の面である裏面と法面の外側の面である表面との間を貫通するようにして、Wポーラス柱を混合物Dの中に入れて締め固めることにより、透水ブロックの中にWポーラス柱を埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックを製造する。
【0016】
透水ブロック本体の中にSポーラス柱又はWポーラス柱のいずれかを埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックとする。
ポーラス柱付透水ブロックは透水ブロック本体が濾過機能と透水機能を有するだけでなく、Sポーラス柱及びWポーラス柱がより高い濾過機能と透水機能を有しているので、ポーラス柱付透水ブロックを並べて積み上げることにより、高い濾過機能と透水機能を有する法面や斜面を得ることができるからである。
強度の点では透水ブロック本体の強度が一番高くSポーラス柱、Wポーラス柱の順で強度は低下するが、濾過機能と透水機能の点では透水ブロックが低くSポーラス柱、Wポーラス柱の順で濾過機能と透水機能が高くなる。このため地盤の強さ、地盤の透水性及び地形などを総合的に判断して適宜選択して使用する。
土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Eを得た後に、混合物Eに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Fを得る、さらに混合物Fを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の混合物Fを型枠に入れ締め固めてブロック状に成形し、型枠から取り出したブロック状の成型物を養生し、養生後の成型物を酸に浸けることによりカルシウム粒粉を溶かしてなるSポーラスブロックとする。
また土粉粒にセメントを加えて攪拌し混合物Gを得た後に、混合物Gに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Hを得る、さらに混合物Hを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、養生後の混合物Hにカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Jを得る、続いて混合物Jに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Kを得る、さらに混合物Kを型枠に入れ締め固めてブロック状に成形し、型枠から取り出したブロック状の成型物を養生し、養生後の成型物を酸に浸けることによりカルシウム粒粉を溶かしてなるWポーラスブロックとする。
これらの発明は段落番号0013に記載したSポーラス柱や段落番号0014〜0015に記載したWポーラス柱の形状を、それぞれブロック状とした構成の発明である。既に上記した事項は重複した記載を避けるため省略する。SポーラスブロックやWポーラスブロックは単独で濾過機能や透水機能の高い敷石や路面などの材料として有用である。
【0017】
上記したいずれかの地盤改良区であって、暗渠が団粒子の層を有するものとする。
そして団粒子の層が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Lを得た後に、混合物Lに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Mを得る、さらに混合物Mを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、そのような団粒子を積層してなる層である土地改良区とする。
団粒子の原料にする粘性土やシルトやロームなどが多くの水分を含んでいる場合は、予め天日や風に当てて乾燥させておくことが好ましい。土粉粒のサイズはどんなに細かくても構わないが、大きな塊は2mm以下に砕いた粒子にして使用することが好ましい。また有機性のヘドロを乾燥させて加えても構わない。カルシウム粒粉は珊瑚や貝殻などを0.1〜2mmに砕いた粒子や、0.1mm以下のカルシウム粉末などを使用することが好ましい。
特に暗渠とする範囲の土を掘り出してこれを主たる原料として団粒子を製造することが好ましい。土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌する工程においては、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなったときに混合物Lが得られる。
土質改良剤を供給するときには土質改良剤を適量の水で希釈して使用することが好ましい。土質改良剤としてビースターを使用する場合は、単位土粉粒に対して、800〜1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の7〜10倍の水を加えてビースターの希釈液Uを作っておく。
ビースターの希釈液Uを供給しながら攪拌を続け、希釈液Uが全体に均一に混ざり合ったときに混合物Mが得られる。続いて混合物Mの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて混合物Mを攪拌する。含水比は60〜70%が好ましい。
含水比が適正な混合物Mを3〜7日間養生する。このとき混合物Mの上にシートを被せておき、時々霧吹きにより水を散布して表面が乾燥しないように注意する。養生後の混合物Mは粒子同士が軽く結合した状態となっており、その表面にエトリンガイドの結晶が覆っている。
養生後の混合物Mの団粒子を篩にかけてサイズが1〜2mmのものを使用することが好ましい。サイズが大きなものは破砕して1〜2mmの団粒子にして使用する。細かいサイズは集めて固めて使用することが可能である。
本発明にかかる団粒子は水に溶けることがなく、高い濾過機能と透水機能を有しているので、暗渠に流れ込んだ泥水から粘性土やシルトやロームなどの浮遊物を濾過してきれいな水を下流の改良土層に流す。
暗渠の団粒子の層に長期間雨水を流すと、団粒子の空隙に濾過した粘性土やシルトやロームなどの微粒子が段々詰まり、濾過機能と透水機能が徐々に低下するべきところが、団粒子に混入させたカルシウム粉粒が少しずつ雨水に溶けて団粒子の中に空隙が新たに生まれる、このため本発明の団粒子の層は長期間にわたり濾過機能と透水機能を維持することができる。
暗渠は5〜10mの間隔で設けることが好ましく、暗渠の上に土を被せて耕作地や宅地などとして使用することが可能である。また上部を開放した溝を掘って濾過機能と透水機能の高い団粒子の層により溝のすべてを埋める構成も好ましい。
【0018】
土粉粒にセメントを加えて攪拌し混合物Lを得た後に、混合物Lに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Mを得る、さらに混合物Mを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、そのような団粒子を積層してなる団粒子の層を有する暗渠とする。
本発明は段落番号0017に記載した発明から暗渠に関する構成を抜き出した発明である。既に上記した事項は重複した記載を避けるため省略する。荒れ地や傾斜面などから泥水が流れ出る地域においては、泥水を本発明の暗渠に流して粘性土やシルトやロームなどの浮遊物を濾過し、きれいな水だけを下流に流すことができるため、本発明の暗渠は単独でも有用である。
上記したいずれかの発明であって混合物P、混合物B、混合物D、混合物F、混合物H、混合物K、混合物Mのいずれかの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて攪拌したことを特徴とする地盤改良区、改良土層、透水ブロック、ポーラス柱付透水ブロック、Sポーラスブロック、Wポーラスブロック又は暗渠とする。
これらの含水比は60〜70%が好ましく、おおよその目安として、混合物を手で握ったときに団子状の固まりになれば適正な含水比と判断して構わない、一方混合物を手で握ったときにバラバラと崩れる場合は、水の量が不足していると判断して水を追加することができる。
上記したいずれかの発明であって混合物P、混合物B、混合物D、混合物F、混合物H、混合物K、混合物Mのいずれかを得る工程において、土地改良剤の希釈液を霧状に噴霧することにより混合物N、混合物A、混合物C、混合物E、混合物G、混合物J、混合物Lのいずれかに土地改良剤を加えてなる地盤改良区、改良土層、透水ブロック、ポーラス柱付透水ブロック、Sポーラスブロック、Wポーラスブロック又は暗渠とする。
試行錯誤の実験を繰り返した結果、土地改良剤の希釈液を霧状に噴霧する方法が最も好ましかったからである。
上記したいずれかの発明であって混合物P、混合物B、混合物F、混合物H、混合物Mのいずれかを3〜7日間養生するものとし、混合物P、混合物B、混合物F、混合物H、混合物Mのいずれかにシートをかけ時々水を霧状に噴霧することにより、混合物P、混合物B、混合物F、混合物H、混合物Mの表面が乾燥しないようにして養生してなる地盤改良区、改良土層、透水ブロック、ポーラス柱付透水ブロック、Sポーラスブロック、Wポーラスブロック又は排水路とする。
試行錯誤の実験を繰り返した結果、養生の期間は3〜7日が好ましく、シートをかけ時々水を霧状に噴霧する方法が最も好ましかったからである。
【実施例1】
【0019】
以下本発明の実施例1を説明する。図1及び図2に示した実施例1に係る地盤改良区1は粘性土の地盤を改良した実施例で、透水ブロック7とポーラス柱付透水ブロック6を使用しこれらを並べて積み上げてなる法面2を有し、法面2に沿って5〜6mの幅と段差の高さに相当する高さの範囲を有する改良土層4と複数列の暗渠5を有している。
実施例1ではカルシウム粒粉として貝殻を砕いてなる粉(以下単に「貝殻粉」という。)を使用した。また処理区域の粘性土を掘り出し、2mm以下のものを原料として図4に示した工程により改良土層4を構築した。
まず単位土粉粒あたり10kgの貝殻粉と100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなるまで攪拌して混合物Nを得る。混合物Nを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Tを作る。実施例1では土地改良剤としてビースターを使用し、単位土粉粒あたり1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Tを作る。
続いて混合物Nを攪拌しながら希釈液Tを霧状に噴霧した。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧した。希釈液Tの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Tが十分混ざったときに混合物Pを得ることができる。
続いて混合物Pの含水比を確認する。混合物Pを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Pを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
適正な含水比の混合物Pを3〜7日間養生する。この間混合物Pにシートをかけ時々水を霧状に噴霧して、混合物Pの表面が乾燥しないように注意する。
養生後の混合物Pを処理区域に薄く積み転圧機を使用し振動加圧して締め固める。1回の薄層転圧処理により200mm程度の厚さに転圧するようにして、薄層転圧処理の回数を重ねることにより地盤の表面1aまで積み上げて改良土層4を構築する。
【0020】
続いて処理区域から掘り出した粘性土を原料として、図5に示した工程により透水ブロック7を製造する。粘性土は2mm以下のものを使用し、単位土粉粒あたり100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなるまで攪拌して混合物Aを得る。
混合物Aを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Zを作る。土地改良剤としてビースターを使用し、単位土粉粒あたり1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Zを作る。
続いて混合物Aを攪拌しながら希釈液Zを霧状に噴霧した。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧した。希釈液Zの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Zが十分混ざったときに混合物Bを得ることができる。
続いて混合物Bの含水比を確認する。混合物Bを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Bを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
適正な含水比の混合物Bを3〜7日間養生する。この間混合物Bにシートをかけ時々水を霧状に噴霧して、混合物Bの表面が乾燥しないように注意する。
養生後の混合物Bを篩にかけて2mm以下のサイズのものを使用する。2mmを超えるものは破砕機を使って2mm以下に破砕して使用する。
単位養生物Bに対して100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが混合物Bに混ざって見えなくなったときに混合物Cが得られる。
混合物Cを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Yを作る。土地改良剤としてビースターを使用し、単位土粉粒あたり1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Yを作る。
続いて混合物Cを攪拌しながら希釈液Yを霧状に噴霧する。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧する。希釈液Yの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Yが十分混ざったときに混合物Dを得ることができる。
続いて混合物Dの含水比を確認する。混合物Dを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Dを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
含水比が適正な混合物Dを型枠に入れて振動と圧力を加えて締め固める。締め固めた成形物を型枠から取り出して5〜10日間養生する。養生することにより成型物は十分固化して透水ブロック7となる。
【0021】
ポーラス柱付透水ブロック6はSポーラス柱6bを透水ブロック本体6aの中に埋め込んだ点で透水ブロック7と異なるだけである、そこで以下にはSポーラス柱6bの製造工程について図6に示して説明するものとし、透水ブロック本体6aの製造工程について重複した記載を避ける。
処理区域から掘り出した粘性土で2mm以下のものを原料とし、単位土粉粒あたり10kgの貝殻粉と100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなるまで攪拌して混合物Eを得る。
混合物Eを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Xを作る。土地改良剤としてビースターを使用し、単位土粉粒あたり1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Xを作る。
続いて混合物Eを攪拌しながら希釈液Xを霧状に噴霧した。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧した。希釈液Xの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Xが十分混ざったときに混合物Fを得ることができる。
続いて混合物Fの含水比を確認する。混合物Fを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Fを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
適正な含水比の混合物Fを3〜7日間養生する。この間混合物Fにシートをかけ時々水を霧状に噴霧して、混合物Fの表面が乾燥しないように注意する。
養生後の混合物Fを型枠に入れ振動と圧力をかけて円柱形状に締め固める。円柱形状に締め固めた成型物を7〜10日間養生した後に、炭を焼くときに出る煙を冷やしてなる木酢液をPH5に薄めた液(以下単に「PH5の木酢液」という。)に1〜2週間浸けてカルシウム分を溶かし、空隙の多い円柱形状のSポーラス柱6bを製造した。
さらに段落番号0020に記載した透水ブロック7の製造工程の途中であって、混合物Dを型枠に入れて振動と圧力をかけて締め固める工程において、法面の表面2aになる面と法面の裏面2bになる面との間を貫通するようにして、Sポーラス柱6bを混合物Dの中に入れて締め固めることによりポーラス柱付透水ブロック6を製造した。
法面2に透水ブロック7やポーラス柱付透水ブロック6を積み上げる前に法面用土台3を構築した。予め法面を設置する区域より外側に150mm程度広い範囲の面積を深さ300mm程度掘り、掘り出した粘性土の単位土粉粒あたり100kgのセメントを加えて攪拌し、さらに単位土粉粒あたり1000gのビースターを10倍の水で薄めた希釈剤を加えて攪拌し、これを法面用土台の範囲に積層して転圧機を使って締め固めた後に、7日程度養生するとしっかりした法面用土台3ができる。
その後透水ブロック7とポーラス柱付透水ブロック6をそれぞれ複数個並べて積み上げることにより法面2を構築した。
【0022】
さらに幅500mm深さ1000mmの溝を約7m間隔で複数本堀り、この溝に団粒子の層5aを埋めることにより暗渠5を構築する。
溝から掘り出した粘性土で2mm以下のものを原料とし、図7に示した工程により団粒子の層5aを構築する。単位土粉粒あたり10kgの貝殻粉と100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなるまで攪拌して混合物Lを得る。
混合物Lを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Uを作る。土地改良剤としてビースターを使用し、単位土粉粒あたり1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Uを作る。
続いて混合物Lを攪拌しながら希釈液Uを霧状に噴霧した。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧した。希釈液Uの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Uが十分混ざったときに混合物Mを得ることができる。
続いて混合物Mの含水比を確認する。混合物Mを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Mを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
適正な含水比の混合物Mを3〜7日間養生する。この間混合物Mにシートをかけ時々水を霧状に噴霧して、混合物Mの表面が乾燥しないように注意する。
養生後の混合物Mの団粒子を篩にかけてサイズが1〜2mmの団粒子を選別し、サイズが大きなものは破砕して1〜2mmの団粒子にする。また1mm未満の粒子を集めて1〜2mmの団粒子にする。そして団粒子を溝の中に積層することにより団粒子の層5aとして暗渠5を構築する。
【0023】
実施例1にかかる地盤改良区1に雨が降ると、雨水は粘性土にしみ込むことはほとんどなく、泥水となって地盤の表面1aを流れて暗渠5又は改良土層4に流れ込む。暗渠5の中の団粒子の層5aは高い濾過機能と透水機能を有しているので、流れ込む泥水から粘性土の浮遊物を濾過して改良土層4にきれいな水を流出する。
また改良土層4は高い濾過性能と浸透性能を有しているので、改良土層4を透水する泥水から粘性土の浮遊物を濾過して法面2にきれいな水を流出する。改良土層4は法面2に沿って広範囲に設置してあるので大量の雨が降った場合でも、改良土層4の中を透水する水の流速と圧力が高くなることはない。
実施例1の法面2の透水ブロック7とポーラス柱付透水ブロック6の透水ブロック本体6aは透水機能を有しているが、Sポーラス柱6bがさらに高い透水機能を有しているので、流れる水の水圧が低いときはSポーラス柱6bの中を透水して水が流れる。
そして大雨が降って流れる水の量が増加して、水圧が高くなったときには法面2の全面を透水して水が流れるようになる。このため大雨が降ったときでも大量の水を透水させて流すことができる。
また通常の雨が降った場合は、透水ブロック7や透水ブロック本体6aの中を透水しない構成とし、さらに既に暗渠5や改良土層4で濾過した後のきれいな水だけが透水する構成としたので、透水ブロック7や透水ブロック本体6aの濾過機能と透水機能を長期間維持することができる。
実施例1の改良土層4は全体が一体化した層であると共に、透水するときの流速が低く水圧が高くならない構成としたので、大雨が降ったときでも透水する水の力によって改良土層4が崩壊することはない。また大量の水が流れるときには法面2の全面を透水する構成としたため、法面2にかかる水圧が過度に高くなることがなく、大雨が降ったときでも法面が崩壊する事故は起きない。
暗渠5の団粒子の層5aに長期間雨水を流すと、団粒子の空隙に濾過した粘性土の微粒子が詰まり濾過機能と透水機能が段々低下してしまうところであるが、団粒子に混入させたカルシウム粉粒が少しずつ雨水に溶けて団粒子の中に新たに空隙が生まれる。このため実施例1の暗渠5は長期間にわたり濾過機能と透水機能を維持することができる。
改良土層4に長期間雨水を流すと、改良土層4の空隙に濾過した粘性土の微粒子が詰まり濾過機能と透水機能が段々低下してしまうところであるが、改良土層4に混入させたカルシウム粉粒が少しずつ雨水に溶けて改良土層4の中に新たに空隙が生まれる。このため実施例1の改良土層4は長期間にわたり濾過機能と透水機能を維持することができる。
【0024】
続いて本発明の実施例2を説明する。実施例1のポーラス柱付透水ブロック6がSポーラス柱6bを透水ブロック本体6aに埋め込んでなるところが、実施例2のポーラス柱付ブロックがWポーラス柱を透水ブロック本体に埋め込んでなるものである点で異なるだけである。そこで重複した記載を避けるためWポーラス柱の製造方法について図8に示して説明する。
処理区域から掘り出した粘性土で2mm以下のものを原料とし、単位土粉粒あたり100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが土粉粒に混ざって見えなくなるまで攪拌して混合物Gを得る。
混合物Gを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Wを作る。実施例2では土地改良剤としてビースターを使用し、単位土粉粒あたり1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Wを作る。
続いて混合物Gを攪拌しながら希釈液Wを霧状に噴霧する。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧する。希釈液Wの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Wが十分混ざったときに混合物Hを得ることができる。
続いて混合物Hの含水比を確認する。混合物Hを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Hを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
適正な含水比の混合物Hを3〜7日間養生する。この間混合物Hにシートをかけ時々水を霧状に噴霧して、混合物Hの表面が乾燥しないように注意する。
【0025】
養生後の混合物Hを篩にかけて2mm以下のサイズのものを使用する。2mm以上のものは破砕機を使って2mm以下に破砕して使用する。実施例2ではカルシウム粒粉として貝殻粉を使用した。
単位養生物Hあたり10kgの貝殻粉と100kgのセメントを加えて攪拌し、セメントが混合物Hに混ざって見えなくなったときに混合物Jが得られる。
混合物Jを得る工程と並行して土質改良剤の希釈液Vを作る。実施例2では土地改良剤としてビースターを使用し、単位養生物Hに対して1000gのビースターを用意して、ビースターの重量の10倍の水を加えてビースターの希釈液Vを作る。
続いて混合物Jを攪拌しながら希釈液Vを霧状に噴霧する。希釈液の噴霧は2〜10分の間に全量を噴霧する。希釈液Vの吹き付けが終了した後もさらに攪拌を続け、希釈液Vが十分混ざったときに混合物Kを得ることができる。
続いて混合物Kの含水比を確認する。混合物Kを握ったときに団子状の固まりになる場合は適正な含水比と判断し、混合物Kを握ったときにバラバラと崩れるときは水の量が不足していると判断する。水の量が不足している場合は水を加えて攪拌し、適正な含水比になるまで水の追加と攪拌を行う。
含水比が適正な混合物Kを型枠に入れ振動と圧力をかけて円柱形状に締め固める。円柱形状に締め固めた成型物を7〜10日間養生した後に、PH5の木酢液に1〜2週間浸けてカルシウム分を溶かし、空隙の多い円柱形状のWポーラス柱を製造する。
実施例2のWポーラス柱はSポーラス柱6bに比べてさらに高い濾過性能と透水性能を有しているが、強度的にはSポーラス柱6bに比べ低くなる傾向がある、そこで現場の状況に応じて強度の高い方のSポーラス柱6bを使用するのか、それとも濾過性能と透水性能の高い方のWポーラス柱を使用するのか適宜判断して使用する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は粘性土、シルト及びロームなどからなる山や傾斜地の保全を行う行政機関や行政機関の発注する仕事を請け負う土木産業、耕作地や荒れ地の改良サービスを提供する産業、透水性ブロックやポーラスブロックを製造販売する産業などで利用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】地盤改良区の一部を示した平面図である。
【図2】図1のR−R視の断面図である。
【図3】ポーラス柱付透水ブロックの斜視図である。
【図4】改良土層を構築する工程図である。
【図5】透水ブロックを製造する工程図である。
【図6】Sポーラス柱を製造する工程図である。
【図7】団粒子の層を構築する工程図である。
【図8】Wポーラス柱を製造する工程図である。
【符号の説明】
【0028】
1 :地盤改良区 1a:地盤の表面 2 :法面
2a:表面 2b:裏面 3 :法面用土台
4 :改良土層 5 :暗渠 5a:団粒子の層
6 :ポーラス柱付透水ブロック 6a:透水ブロック本体
6b:Sポーラス柱 7 :透水ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差を有する地盤において、法面を透水機能を有するブロック(以下単に「透水ブロック」という。)を並べた法面とし、前記法面に沿って処理区域を設けこれを濾過機能と透水機能の高い改良土層とし、さらに暗渠を設けた地盤改良区であって、
粘性土、シルト、ローム、砂、レキ及び岩石を砕いた粒子(以下単に「土粒子」という。)さらに使用後の鋳物砂や壁土など廃棄された土粒子、土粒子を主たる原料とする陶磁器やコンクリートや煉瓦や瓦などの廃棄物を砕いた粒子、さらにはフライアッシュを含め以上をまとめて土粉粒といい、
前記改良土層が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Nを得た後に、前記混合物Nに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Pを得る、さらに前記混合物Pを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の前記混合物Pを前記処理区域に薄く積んで振動加圧することにより転圧(以下単に「薄厚転圧処理」という。)し、薄厚転圧処理を繰り返すことにより地盤の表面まで積み上げてなる改良土層であることを特徴とする地盤改良区。
【請求項2】
請求項1に記載した地盤改良区において、改良土層の範囲が平面視において法面に沿って5〜10mの幅を有し、段差の高さに相当する高さの範囲を有することを特徴とする地盤改良区。
【請求項3】
段差を有する地盤において、法面を透水ブロックを並べた法面とし、前記法面に沿って処理区域を設けこれを濾過機能と透水機能の高い改良土層とした地盤改良区であって、
前記改良土層が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Nを得た後に、前記混合物Nに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Pを得る、さらに前記混合物Pを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の前記混合物Pを前記処理区域に薄く積んで振動加圧することにより転圧し、薄厚転圧処理を繰り返すことにより地盤の表面まで積み上げてなる改良土層であることを特徴とする地盤改良区。
【請求項4】
土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Nを得た後に、前記混合物Nに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Pを得る、さらに前記混合物Pを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、養生後の前記混合物Pを薄く積んで振動加圧することにより転圧し、薄厚転圧処理を繰り返すことにより複数段積層してなることを特徴とする改良土層。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載した地盤改良区又は改良土層であって、混合物Nを得る工程において容積1立方メートルの土粉粒(以下単に「単位土粉粒」という。)あたり0.1〜30kgのカルシウム粒粉と40〜120kgのセメントを加えて混合物Nを得たことを特徴とする地盤改良区又は改良土層。
【請求項6】
請求項1〜請求項3又は請求項5のいずれかに記載した地盤改良区であって、
法面の透水ブロックが、土粉粒とセメントを攪拌して混合物Aを得た後に、前記混合物Aに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Bを得る、さらに前記混合物Bを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、養生後の前記混合物Bにセメントを混ぜて攪拌して混合物Cを得る、そして前記混合物Cに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Dを得る、さらに前記混合物Dを型枠に入れ締め固めて成形した後に、型枠から取り出して養生してなる透水ブロックであることを特徴とする地盤改良区。
【請求項7】
土粉粒とセメントを攪拌して混合物Aを得た後に、前記混合物Aに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Bを得る、さらに前記混合物Bを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、養生後の前記混合物Bにセメントを混ぜて攪拌して混合物Cを得る、そして前記混合物Cに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Dを得る、さらに前記混合物Dを型枠に入れ締め固めて成形した後に、型枠から取り出して養生してなることを特徴とする透水ブロック。
【請求項8】
請求項6に記載した地盤改良区又は請求項7に記載した透水ブロックであって、混合物Aを得る工程において単位土粉粒あたり40〜120kgのセメントを加えて混合物Aを得たこと、さらに容積1立方メートルの養生後の混合物(以下単に「単位養生物」という。)Bあたり40〜150kgのセメントを加えて混合物Cを得てなる透水ブロックであることを特徴とする地盤改良区又は透水ブロック。
【請求項9】
請求項1〜請求項3、請求項5、請求項6又は請求項8のいずれかに記載した地盤改良区であって、透水ブロック本体の中にポーラス柱を埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックを少なくとも法面の一部に使用し、
前記ポーラス柱が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Eを得た後に、前記混合物Eに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Fを得る、さらに前記混合物Fを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、前記養生後の混合物Fを型枠に入れ締め固めて柱状に成形した後に型枠から取り出して養生し、養生後の柱状の成型物を酸に浸けてなるポーラス柱(以下単に「Sポーラス柱」という。)であることを特徴とする地盤改良区
【請求項10】
請求項1〜請求項3、請求項5、請求項6又は請求項8のいずれかに記載した地盤改良区であって、透水ブロック本体の中にポーラス柱を埋め込んでなるポーラス柱付透水ブロックを少なくとも法面の一部に使用し、
前記ポーラス柱が、土粉粒にセメントを加えて攪拌し混合物Gを得た後に、前記混合物Gに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Hを得る、さらに前記混合物Hを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、前記養生後の混合物Hにカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Jを得る、続いて前記混合物Jに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Kを得る、さらに前記混合物Kを型枠に入れ締め固めて柱状に成形した後に型枠から取り出して養生し、養生後の柱状の成型物を酸に浸けてなるポーラス柱(以下単に「Wポーラス柱」という。)であることを特徴とする地盤改良区。
【請求項11】
透水ブロック本体の中にSポーラス柱又はWポーラス柱のいずれかを埋め込んでなることを特徴とするポーラス柱付透水ブロック。
【請求項12】
土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Eを得た後に、前記混合物Eに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Fを得る、さらに前記混合物Fを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒物とし、前記養生後の混合物Fを型枠に入れて締め固めてブロック状に成形し、型枠から取り出したブロック状の成型物を養生し、養生後の前記成型物を酸に浸けてなることを特徴とするSポーラスブロック。
【請求項13】
土粉粒にセメントを加えて攪拌し混合物Gを得た後に、前記混合物Gに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Hを得る、さらに前記混合物Hを養生することにより土粉粒をセメントで固めて得た団粒子とし、前記養生後の混合物Hにカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Jを得る、続いて前記混合物Jに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Kを得る、さらに前記混合物Kを型枠に入れ締め固めてブロック状に成形し、型枠から取り出したブロック状の成型物を養生し、養生後の前記成型物を酸に浸けてなることを特徴とするWポーラスブロック。
【請求項14】
請求項1、請求項2、請求項5、請求項6、請求項8〜請求項10のいずれかに記載した地盤改良区であって、暗渠が団粒子の層を有するものとし、
前記団粒子の層が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Lを得た後に、前記混合物Lに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Mを得る、さらに前記混合物Mを養生することにより土粉粒をセメントで固めた団粒子とし、前記団粒子を積層してなる団粒子の層であることを特徴とする地盤改良区。
【請求項15】
暗渠であって団粒子の層を有するものとし、
前記団粒子の層が、土粉粒にカルシウム粒粉とセメントを加えて攪拌し混合物Lを得た後に、前記混合物Lに土地改良剤を加えて攪拌し混合物Mを得る、さらに前記混合物Mを養生することにより土粉粒をセメントで固めた団粒子とし、前記団粒子を積層してなる団粒子の層であることを特徴とする暗渠。
【請求項16】
請求項1〜請求項15のいずれかに記載した発明であって混合物P、混合物B、混合物D、混合物F、混合物H、混合物K、混合物Mのいずれかの含水比を確認し、含水比が不足する場合は水を加えて攪拌したことを特徴とする地盤改良区、改良土層、透水ブロック、ポーラス柱付透水ブロック、Sポーラスブロック、Wポーラスブロック又は暗渠。
【請求項17】
請求項1〜請求項16のいずれかに記載した発明であって混合物P、混合物B、混合物D、混合物F、混合物H、混合物K、混合物Mのいずれかを得る工程において、土地改良剤の希釈液を霧状に噴霧することにより混合物N、混合物A、混合物C、混合物E、混合物G、混合物J、混合物Lのいずれかに土地改良剤を加えたことを特徴とする地盤改良区、改良土層、透水ブロック、ポーラス柱付透水ブロック、Sポーラスブロック、Wポーラスブロック又は暗渠。
【請求項18】
請求項1〜請求項17のいずれかに記載した発明であって混合物P、混合物B、混合物F、混合物H、混合物Mのいずれかを3〜7日間養生するものとし、混合物P、混合物B、混合物F、混合物H、混合物Mのいずれかにシートをかけ時々水を霧状に噴霧することにより、混合物P、混合物B、混合物F、混合物H、混合物Mの表面が乾燥しないようにして養生したことを特徴とする地盤改良区、改良土層、透水ブロック、ポーラス柱付透水ブロック、Sポーラスブロック、Wポーラスブロック又は暗渠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−19443(P2009−19443A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183945(P2007−183945)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(506383168)
【出願人】(506383353)
【出願人】(506383043)
【Fターム(参考)】