説明

地盤改良方法

【課題】 地盤内において膨張させた樹脂の形状を制御して行う地盤改良方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の地盤改良方法は、改良が必要な地盤の内部において袋体に注入した膨張性樹脂を膨張させることによるものである。袋体の中で樹脂を膨張させることで、膨張させた樹脂の形状を制御することができる。従って、膨張性樹脂本来の機能(浮力による建造物などの支持効果や周辺地盤の圧縮効果など)を十分に発揮させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ウレタンなどの膨張性樹脂を用いた地盤改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発泡ウレタンなどの膨張性樹脂は、地盤沈下した戸建住宅などのコンクリート床にドリルで孔を開け、その孔からコンクリート床下の地盤内に注入して沈下を修正するためなどに利用されている(特許文献1)。膨張性樹脂は軽量であり、地盤内に注入して膨張させることでその浮力が建造物などの支持力の一部として機能するとともに周辺地盤の圧縮効果を発揮する。
【特許文献1】特開2006−144269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、地盤内に注入して膨張させた樹脂は、周囲との相互作用によって形状が変化し、その機能が十分に発揮されない場合がある。
そこで本発明は、地盤内において膨張させた樹脂の形状を制御して行う地盤改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の点に鑑みてなされた本発明の地盤改良方法は、請求項1記載の通り、改良が必要な地盤の内部において袋体に注入した膨張性樹脂を膨張させることによる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、地盤内において膨張させた樹脂の形状を制御して行う地盤改良方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の地盤改良方法は、改良が必要な地盤の内部において袋体に注入した膨張性樹脂を膨張させることによるものである。袋体の中で樹脂を膨張させることで、膨張させた樹脂の形状を制御することができる。従って、膨張性樹脂本来の機能(浮力による建造物などの支持効果や周辺地盤の圧縮効果など)を十分に発揮させることができる。膨張性樹脂を注入する袋体は、樹脂の膨張圧力に耐えるものであればどのような形状や素材のものであってもよいが、中でも注入した樹脂が袋体の容量以上に膨張した際に張り詰めた袋体の表面から漏出可能なものが望ましい。膨張した樹脂を張り詰めた袋体の表面から適度に漏出させることで、膨張性樹脂本来の機能が十分に発揮されるとともに、周辺地盤との間の摩擦力が高まることにより周辺地盤との密着性が向上するからである。好適な袋体としては、天然繊維(麻や綿など)や合成繊維などの繊維系素材で構成された織布状のものやネット状のものなどが挙げられる。複数の袋体を多重にして使用することで、袋体の表面から漏出する膨張した樹脂の量を制御するようにしてもよい。袋体を横幅よりも縦に長い形状とし、中で樹脂を膨張させた袋体を地盤の内部で深さ方向に縦に設置することで、当該袋体は摩擦杭状の地盤改良体として機能する。
【0007】
本発明の地盤改良方法は、例えば図1に示すようにして実施することができる。まず、地盤に所定の孔径の穴を所定の深さ分だけ掘り、その穴に容量が穴の容量と同程度の袋体1(麻袋など)を挿入し、さらに袋体1の中にパイプ2を挿入し、例えば鉄製の蓋3で穴を封じる(工程a)。次に、パイプ2を通して袋体1に膨張性樹脂を注入し、袋体1の中で樹脂を膨張させる(工程b)。この際、蓋3の存在により、膨張性樹脂の膨張圧力は上方に逃げないので、樹脂が袋体1の中で膨張して穴全体が満遍なく膨張した樹脂で充填される。最後に、膨張性樹脂を袋体1の容量以上に膨張させ、膨張した樹脂を張り詰めた袋体1の表面から適度に漏出させた後、パイプ2と蓋3を撤去する(工程c)。
【0008】
膨張性樹脂は、地盤改良のために使用することができるものであればどのようなものであってもよいが、中でも地球温暖化を引き起こすことなく環境に優しいノンフロン系膨張性樹脂が望ましい。ノンフロン系膨張性樹脂としては、フロンガスを発生することなく反応して発泡ウレタンとなる、ポリオールとイソシアネートからなる市販のものなどが挙げられる(具体的には日本パフテム株式会社のノンフロンポリオールFF5020−UCと同社のイソシアネートNP−90の組み合わせが例示される)。このようなノンフロン系膨張性樹脂を用いる場合、施工現場において、ポリオールとイソシアネートを1:0.8〜1.5の重量割合で20℃〜70℃にて要時混合し、袋体に注入して用いることが望ましい。ノンフロン系膨張性樹脂は、ポリオールとイソシアネートからなるものの他、水とイソシアネートとの反応で炭酸ガス発泡するもの、液化炭酸ガスを利用して発泡させるもの、発泡特性を有する炭化水素系のものなどであってもよい。また、膨張した後に地盤よりも熱伝導率が低い特性を有するノンフロン系膨張性樹脂を用いることで、地盤の熱伝導率を低下せしめて断熱効果を獲得することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明は、地盤内において膨張させた樹脂の形状を制御して行う地盤改良方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の地盤改良方法を実施するための工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0011】
1 袋体
2 パイプ
3 蓋




【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良が必要な地盤の内部において袋体に注入した膨張性樹脂を膨張させることによる地盤改良方法。




【図1】
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【公開番号】特開2009−293277(P2009−293277A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147942(P2008−147942)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(503315517)
【出願人】(504424454)アップコン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】