説明

地盤改良薬液の混合システム

【課題】バッチ混合する配合液の配合割合によってpH値が敏感に変化する地盤改良薬液を製造する場合に、各配合液を精度よく所定量だけ供給する混合システムを提供する。
【解決手段】供給ポンプ8a、8b、8cを急停止させた際に、水ガラス水溶液槽11、コロイダルシリカ水溶液槽12、酸の水溶液槽13に超過供給される水ガラス原液槽5、コロイダルシリカ原液槽6、酸の原液槽7に貯留された原液B、C、Wの超過質量を予め把握して制御装置22に入力しておき、電磁流量計3a、3b、3cが検出する検出流量に基づいて、給水槽1から水溶液槽11、12、13に所定量の水Wを供給し、質量流量計9a、9b、9cが検出する検出質量に基づいて、制御装置22により各原液B、C、Sの超過質量を見越して、供給ポンプ8a、8b、8cを急停止させて水溶液槽11、12、13に各原液B、C、Sを予め設定された所定質量だけ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良薬液の混合システムに関し、さらに詳しくは、配合液の配合割合によってpH値が敏感に変化する地盤改良薬液を、各配合液をバッチ混合して製造する場合に、各配合液精度よく所定の配合量だけ供給できる地盤改良薬液の混合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤に対して地盤改良薬液を注入することにより、地盤を強化する工事が行なわれている。この地盤改良薬液としては、例えば、水ガラス系グラウト材が用いられている。水ガラス系グラウト材を得る方法としては、酸性反応剤水溶液に水ガラスを噴出して水ガラス中のアルカリを除去して非アルカリ性珪酸水溶液を得て、その後、非アルカリ性珪酸水溶液とセメント懸濁液とを混合する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、各配合液が開閉弁、供給ポンプ等からなる供給機構によって混合容器に供給されて混合され、混合液のpH値は、pH検出器によって管理される。
【0003】
地盤改良薬液には、配合液の配合割合によってpH値が敏感に変化するものがあり、pH値によって地盤改良薬液のゲル化タイムが大きく変化する。そのため、このような地盤改良薬液の場合、各配合液を所定の配合量どおりに精度よく混合槽に供給して混合しなければ所望の性能を得ることができず、予め設定したとおりに地盤を強化できなくなる。しかしながら、従来の方法では、各配合液を所定の配合量どおりに精度よく供給して混合することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−94082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、配合液の配合割合によってpH値が敏感に変化する地盤改良薬液を、各配合液をバッチ混合して製造する場合に、各配合液の配合量を精度よく供給できる地盤改良薬液の混合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の地盤改良薬液の混合システムは、水ガラス水溶液とコロイダルシリカ水溶液と酸の水溶液とを所定割合にして混合槽でバッチ混合して、地盤改良薬液を製造する地盤改良薬液の混合システムにおいて、給水槽と、水ガラス原液槽と、コロイダルシリカ原液槽と、酸の原液槽と、水ガラス水溶液槽と、コロイダルシリカ水溶液槽と、酸の水溶液槽と、混合槽とを備え、前記それぞれの水溶液槽に攪拌機を設け、それぞれの水溶液槽と前記給水槽とを、流量計を備えた給水パイプを通じて接続し、
前記それぞれの水溶液槽とそれぞれの水溶液槽に対応する前記原液槽とを、供給ポンプおよび質量流量計を備えた供給パイプを通じて接続し、前記混合槽に攪拌機を設け、この混合槽と前記それぞれの水溶液槽とを接続パイプを通じて接続し、前記それぞれの供給ポンプを急停止させた際に、前記それぞれの供給パイプを通じて前記それぞれの水溶液槽に超過供給される前記それぞれの原液槽に貯留された原液の超過質量を予め把握して制御装置に入力しておき、前記それぞれの給水パイプに設けられた流量計が検出する検出流量に基づいて、前記給水槽から前記それぞれの水溶液槽に所定量の水を供給し、前記それぞれの原液槽から前記それぞれの水溶液槽に、所定質量のそれぞれの原液を供給する際に、前記それぞれの供給パイプに設けられた質量流量計が検出する検出質量に基づいて、前記制御装置によりそれぞれの原液の前記超過質量を見越して、前記それぞれの供給ポンプを急停止させて、前記それぞれの水溶液槽にそれぞれの原液を予め設定された所定質量だけ供給することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記それぞれの質量流量計の流量と測定誤差との関係を予め把握して前記制御装置に入力しておき、この把握した関係に基づいて、前記測定誤差が予め設定した許容値以下になる範囲内で流量を小さくするように前記それぞれの供給ポンプの圧送量を制御した後、ぞれぞれの供給ポンプを急停止させることもできる。前記それぞれの供給パイプを前記それぞれの水溶液槽の底面に接続することもできる。前記混合槽の底面に他の部分よりも下方に窪んだ凹部を設け、この凹部に混合槽で混合された地盤改良薬液を外部に排出する揚送ポンプを設置することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水ガラス原液槽、コロイダルシリカ原液槽、酸の原液槽のそれぞれの原液槽と給水槽とを、流量計を備えた給水パイプを通じて接続し、前記それぞれの給水パイプに設けられた流量計が検出する検出流量に基づいて、前記給水槽から前記それぞれの水溶液槽に所定量の水を供給し、水ガラス水溶液槽、コロイダルシリカ水溶液槽、酸の水溶液槽のそれぞれの水溶液槽とそれぞれの水溶液槽に対応する原液槽とを、供給ポンプおよび質量流量計を備えた供給パイプを通じて接続したので、高精度が要求されるそれぞれの原液槽に貯留された原液のそれぞれの水溶液槽に対する供給量を、質量流量計によって精度よく検出することができる。
【0009】
さらに、前記それぞれの供給ポンプを急停止させた際に、前記それぞれの供給パイプを通じて前記それぞれの水溶液槽に超過供給される前記それぞれの原液槽に貯留された原液の超過質量を予め把握して制御装置に入力しておき、前記それぞれの原液槽から前記それぞれの水溶液槽に、所定質量のそれぞれの原液を供給する際に、前記それぞれの供給パイプに設けられた質量流量計が検出する検出質量に基づいて、前記制御装置によりそれぞれの原液の前記超過質量を見越して、前記それぞれの供給ポンプを急停止させて、前記それぞれの水溶液槽にそれぞれの原液を予め設定された所定質量だけ供給するので、それぞれの供給ポンプを急停止させた際に生じる供給誤差を抑制できる。このようにして、水および各原液を精度よく所定の配合量だけ供給できるので、それぞれの水溶液槽に貯留した水溶液を混合槽に供給してバッチ混合することで、配合液の配合割合によってpH値が敏感に変化する地盤改良薬液を、各配合液を所定の配合量どおりに混合して製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の地盤改良薬液の混合システムの全体概要図である。
【図2】質量流量計の流量と測定誤差との関係を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の地盤改良薬液の混合システムを実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1に例示するように、本発明の地盤改良薬液の混合システム(以下、混合システムという)は、給水槽1と、水ガラス原液槽5と、コロイダルシリカ原液槽6と、酸の原液槽7と、水ガラス水溶液槽11と、コロイダルシリカ水溶液槽12と、酸の水溶液槽13と、混合槽15とを備えている。給水槽1には水W、水ガラス原液槽5には水ガラス原液B、コロイダルシリカ原液槽6にはコロイダルシリカ原液C、酸の原液槽7には酸の原液Sが貯留されている。酸の原液Sとしては、硫酸、リン酸等を例示できる。
【0013】
それぞれの水溶液槽11、12、13には攪拌機14a、14b、14cが設けられていて、それぞれの水溶液槽11、12、13と給水槽1とが、電磁流量計3a、3b、3cを備えた給水パイプ1a、1b、1cを通じて接続されている。給水槽1には給水ポンプ2a、2b、2cが設けられていて、これら給水ポンプ2a、2b、2cには対応する給水パイプ1a、1b、1cが取り付けられている。給水パイプ1a、1b、1cは、それぞれの水溶液槽11、12、13に底面に接続されている。それぞれの給水パイプ1a、1b、1cに取り付けられた電磁流量計3a、3b、3cよりも下流側には、給水バルブ4a、4b、4cが設けられている。
【0014】
水ガラス水溶液槽11と水ガラス原液槽5、コロイダルシリカ水溶液槽12とコロイダルシリカ原液槽6、酸の水溶液槽13と酸の原液槽7はそれぞれ、供給ポンプ8a、8b、8cおよび質量流量計9a、9b、9cを備えた供給パイプ5a、6a、7aを通じて接続されている。供給パイプ5a、6a、7aは、それぞれの原液槽5、6、7の底面および水溶液槽11、12、13の底面に接続されている。それぞれの供給パイプ5a、6a、7aに取り付けられた質量流量計9a、9b、9cよりも下流側には給液バルブ10a、10b、10cが設けられている。
【0015】
混合槽15とそれぞれの水溶液槽11、12、13とは、接続パイプ11a、12a、13aを通じて接続されている。接続パイプ11a、12a、13aは開閉弁を有していて、それぞれの水溶液槽11、12、13の底面に接続されている。混合槽15には攪拌機16、pHセンサ17および揚送ポンプ18が設けられている。混合槽15の底面には他の部分よりも下方に窪んだ凹部15aが設けられている。この凹部15aには、水ガラス水溶液、コロイダルシリカ水溶液および酸の水溶液を混合して製造された地盤改良薬液Gを外部に排出する揚送ポンプ18が設置されている。
【0016】
揚送ポンプ18とアジテータ槽21とを接続する揚送パイプ18aには比重計19が設けられていて、比重計19よりも下流側には切換バルブ20が設けられている。切換バルブ20を介して揚送パイプ18aからリターンパイプ18bが分岐して混合槽15に接続されている。
【0017】
この混合システムには制御装置22が設けられていて、それぞれの電磁流量計3a、3b、3cが検出した検出流量、質量流量計9a、9b、9cが検出した検出質量、比重計19が検出した検出比重が制御装置22に入力されるように構成されている。また、制御装置22により、それぞれの給水バルブ4a、4b、4c、給液バルブ10a、10b、10c、切換バルブ20のバルブ操作、それぞれの給水ポンプ2a、2b、2c、供給ポンプ8a、8b、8c、揚送ポンプ18の稼動が制御されるように構成されている。それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cにはインバータが付設されていて、インバータ制御によって供給ポンプ8a、8b、8cの回転数を微調整できるので、それぞれの原液B、C、Sの供給流量を微調整し易くなっている。
【0018】
この混合システムでは、予め設定された所定量の水Wが、給水槽1からそれぞれの水溶液槽11、12、13に供給される。それぞれの給水パイプ1a、1b、1cに設けられた電磁流量計3a、3b、3cが検出する検出流量に基づいて、給水ポンプ2a、2b、2cおよび給水バルブ4a、4b、4cが制御装置22により制御されることにより、それぞれの水溶液槽11、12、13に所定量の水Wが供給される。
【0019】
また、それぞれの原液槽5、6、7から予め設定された所定質量(1バッチ分の地盤改良薬液Gに必要な量)の原液B、C、Sが、対応するそれぞれの水溶液槽11、12、13に供給される。それぞれの供給パイプ5a、6a、7aに設けられた質量流量計9a、9b、9cが検出する検出質量に基づいて、供給ポンプ8a、8b、8cおよび給液バルブ10a、10b、10cが制御装置22により制御されることにより、それぞれの原液槽5、6、7からそれぞれの水溶液槽11、12、13に所定質量の原液B、C、Sが供給される。
【0020】
このようにして、それぞれの水溶液槽11、12、13には、1バッチ分の地盤改良薬液Gに必要な量の原液B、C、Sを含有して予め設定された濃度に希釈された水ガラス水溶液、コロイダルシリカ水溶液、酸の水溶液が、攪拌機14a、14b、14cによって攪拌されつつ貯留される。
【0021】
次いで、接続パイプ11a、12a、13aに設けられた開閉弁を開くことにより、所定量の水ガラス水溶液、コロイダルシリカ水溶液、酸の水溶液が、接続パイプ11a、12a、13aを通じて混合槽15に供給される。それぞれの水溶液は、重力によって水溶液槽11、12、13から混合槽15に供給される。
【0022】
次いで、混合槽15では、供給された所定量の水ガラス水溶液、コロイダルシリカ水溶液、酸の水溶液が攪拌機16によって攪拌されることにより、1バッチ分の地盤改良薬液Gが製造される。混合槽15には、製造された地盤改良薬液Gが攪拌されつつ貯留される。
【0023】
例えば、水ガラス、コロイダルシリカ、硫酸を所定割合で混合することにより、pH値2〜3程度の酸性の地盤改良薬液Gが製造される。混合槽15に貯留されている地盤改良薬液GのpH値は、pHセンサによって所定の範囲内に入っているか否かが確認される。
地盤改良薬液Gは、揚送ポンプ18によって、揚送パイプ18aを通じて混合槽15からアジテータ槽21に移送される。この際に、切換えバルブ20を操作して、揚送パイプ18aからリターンパイプ18bに分岐する移送経路を形成しておく。そして、この移送経路を経由させて地盤改良薬液Gを混合槽15に戻すように流し、比重計19によって地盤改良薬液Gの比重を検出して、その検出比重が予め設定された所定範囲に入っているか否かを最終チェックする。
【0024】
地盤改良薬液Gの検出比重が予め設定された所定範囲に入っていることが確認できると、切換えバブル20を操作して混合槽15からアジテータ槽21に向かう移送経路が形成されて、揚送パイプ18を通じて地盤改良薬液Gがアジテータ槽21に移送される。アジテータ槽21に移送された1バッチ分の地盤改良薬液Gは、薬液注入装置によって適宜、軟弱地盤に注入される。
【0025】
この実施形態では、混合槽15の底面に設けられた凹部15aに揚送ポンプ18が設置されているので、1バッチ分の地盤改良薬液Gを、混合槽15の外部に残らず移送するには有利になっている。これにより、次の1バッチ分の地盤改良薬液Gを製造する際に、混合槽15には前回製造した地盤改良薬液Gが実質的に残留しなくなる。そのため、それぞれの原液B、C、Sおよび水Wを所定量(所定質量)だけ混合して製造した地盤改良薬液Gを得るには有利になる。
【0026】
地盤改良薬液Gには、配合液の配合割合によってpH値が敏感に変化して、ゲル化タイムが大きく変化するものがある。特に、酸の原液Sの配合量は、pH値に大きく影響する。そこで、本発明では、流量計の中でも測定精度が高い質量流量計9a、9b、9cを用いて、ぞれぞれの原液B、C、Sの供給量(供給質量)を精度よく検出できるようにしている。これにより、それぞれの原液B、C、Sを所定の配合量どおりに精度よく水溶液槽11、12、13、ひいては混合槽15に供給することができる。したがって、所望の性能をする地盤改良薬液Gを得ることができ、予め設定したとおりに地盤を強化することが可能になる。
【0027】
尚、給水パイプ1a、1b、1cに取り付けられる流量計は、それ程高い測定精度が必要ないので、電磁流量計3a、3b、3cが使用されているが、その他のタイプの流量計を用いることもできる。
【0028】
それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cを急停止して、給液バルブ10a、10b、10cを閉じたとしても、供給ポンプ8a、8b、8cが完全に停止するにはある程度の時間を要し、給液バルブ10a、10b、10cを完全に閉じるにもある程度の時間を要する。このような時間おくれが生じるため、供給ポンプ8a、8b、8c、給液バルブ10a、10b、10cを単純に操作すると、それぞれの水溶液槽11、12、13には予め設定された所定質量を超える量の原液B、C、Sが供給されてしまう。
【0029】
そこで本発明では、供給ポンプ8a、8b、8cを急停止して、給液バルブ10a、10b、10cを閉じた際に、それぞれの供給パイプ5a、6a、7aを通じてそれぞれの水溶液槽11、12、13に超過供給されるそれぞれの原液B、C、Sの超過質量Wb、Wc、Ws(=実際に供給される供給質量−予め設定された所定質量)を予め把握しておき、その超過質量Wb、Wc、Wsが制御装置22に入力されている。
【0030】
そして、それぞれの質量流量計9a、9b、9cが検出する検出質量に基づいて、供給ポンプ8a、8b、8cを急停止させるタイミング、給液バルブ10a、10b、10cを閉じ始めるタイミングが制御装置22により演算され、それぞれの原液B、C、Sの超過質量Wb、Wc、Wsを見越して、早めにそれぞれの供給ポンプ8a、8b、8cを急停止させ、その後、給液バルブ10a、10b、10cを閉じるように制御する。これにより、それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cを停止させる際に生じる供給誤差を抑制できる。それぞれの水溶液槽11、12、13には、それぞれの原液B、C、Sを予め設定された所定質量だけ精度よく供給することができる。
【0031】
それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cの仕様(供給性能)は、供給量に応じて適宜決定される。そのため、それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cは同じ仕様になる場合もあり、異なる仕様になることもある。それぞれの原液B、C、Sの超過質量Wb、Wc、Wsも異なるので、それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cを急停止させるタイミング、給液バルブ10a、10b、10cを閉じ始めるタイミングも異なることになる。
【0032】
流量計一般に言えることであるが、図2に例示するように、流量が小さくなると測定誤差が大きくなる。高精度を有する質量流量計9a、9b、9cを用いても、測定誤差が大きくなる範囲で使用すれば、その性能の恩恵を十分に得られない。そこで、この実施形態では、それぞれの質量流量計9a、9b、9cの流量と測定誤差との関係を予め把握しおき、この関係が制御装置22に入力されている。そして、この関係に基づいて、測定誤差が予め設定した許容値P以下になる範囲内で流量を小さくするようにそれぞれの供給ポンプ8a、8b、8cの供給流量を制御した後、ぞれぞれの供給ポンプ8a、8b、8cを急停止させるように構成されている。
【0033】
例えば、最大流量F1が得られるように供給ポンプ8a、8b、8cを所定時間稼働し、次いで、測定誤差が許容値Pとなる流量Fになるまでポンプの回転羽根の回転数を低下させた後に、急停止させる。これにより、質量流量計9a、9b、9cの高精度な性能を享受することができる。また、ポンプの回転数を低下させた後に急停止させるので、上記した超過質量Wb、Wc、Wsが少なくなって供給誤差が低減する。これにより、所定質量の原液B、C、Sを供給するには益々有利になる。
【0034】
それぞれの供給ポンプ8a、8b、8cの回転数は、上記のように2段階に変化させるだけでなく、3段階以上に変化させることもできる。例えば、最大流量F1になる回転数で供給ポンプ8a、8b、8cを所定時間稼働させてから、流量F2になる回転数に低下させて所定時間稼働させ、次いで、流量Fになる回転数にさらに低下させることもできる。
【0035】
この実施形態では、供給パイプ5a、6a、7aをそれぞれの水溶液槽11、12、13の底面に接続しているので、供給パイプ5a、6a、7aに存在しているそれぞれの原液B、C、Sには、水溶液槽11、12、13に貯留されている水溶液の重さが作用する。そのため、供給パイプ5a、6a、7aを水溶液槽11、12、13の上部などの開放空間に接続する場合に比して、上記した超過質量Wb、Wc、Wsのばらつきが小さくなる。そのため、所定質量の原液B、C、Sをそれぞれの水溶液槽11、12、13に安定して供給することができる。
【0036】
制御装置22には、予め把握した超過質量Wb、Wc、Wsが入力、設定されているが、この超過質量Wb、Wc、Wsの設定を順次、補正する構成にすることもできる。例えば、バッチ毎に実際の超過質量を把握して制御装置22に入力し、この把握した超過質量(例えば、複数バッチ分の平均値など)と、その時点で設定されている超過質量とを比較する。比較の結果、両者の差異が許容値以上の場合は、前者の超過質量に設定を補正する。
【0037】
本発明の混合システムは、トラック等の搬送手段に搭載して工事現場まで搬送し、その現場に設置される。そして、現場でそれぞれの水溶液を混合して地盤改良薬液Gが製造される。
【符号の説明】
【0038】
1 給水槽
1a、1b、1c 給水パイプ
2a、2b、2c 給水ポンプ
3a、3b、3c 電磁流量計
4a、4b、4c 給水バルブ
5 水ガラス原液槽
5a 供給パイプ
6 コロイダルシリカ原液槽
6a 供給パイプ
7 酸の原液槽
7a 供給パイプ
8a、8b、8c 供給ポンプ
9a、9b、9c 質量流量計
10a、10b、10c 給液バルブ
11 水ガラス水溶液槽
11a 接続パイプ
12 コロイダルシリカ水溶液槽
12a 接続パイプ
13 酸の水溶液槽
13a 接続パイプ
14a、14b、14c 撹拌機
15 混合槽
15a 凹部
16 撹拌機
17 pHセンサ
18 揚送ポンプ
18a 揚送パイプ
18b リターンパイプ
19 比重計
20 切換バルブ
21 アジテータ槽
22 制御装置
B 水ガラス原液
C コロイダルシリカ原液
S 酸の原液
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水ガラス水溶液とコロイダルシリカ水溶液と酸の水溶液とを所定割合にして混合槽でバッチ混合して、地盤改良薬液を製造する地盤改良薬液の混合システムにおいて、
給水槽と、水ガラス原液槽と、コロイダルシリカ原液槽と、酸の原液槽と、水ガラス水溶液槽と、コロイダルシリカ水溶液槽と、酸の水溶液槽と、混合槽とを備え、
前記それぞれの水溶液槽に攪拌機を設け、それぞれの水溶液槽と前記給水槽とを、流量計を備えた給水パイプを通じて接続し、
前記それぞれの水溶液槽とそれぞれの水溶液槽に対応する前記原液槽とを、供給ポンプおよび質量流量計を備えた供給パイプを通じて接続し、
前記混合槽に攪拌機を設け、この混合槽と前記それぞれの水溶液槽とを接続パイプを通じて接続し、
前記それぞれの供給ポンプを急停止させた際に、前記それぞれの供給パイプを通じて前記それぞれの水溶液槽に超過供給される前記それぞれの原液槽に貯留された原液の超過質量を予め把握して制御装置に入力しておき、
前記それぞれの給水パイプに設けられた流量計が検出する検出流量に基づいて、前記給水槽から前記それぞれの水溶液槽に所定量の水を供給し、
前記それぞれの原液槽から前記それぞれの水溶液槽に、所定質量のそれぞれの原液を供給する際に、前記それぞれの供給パイプに設けられた質量流量計が検出する検出質量に基づいて、前記制御装置によりそれぞれの原液の前記超過質量を見越して、前記それぞれの供給ポンプを急停止させて、前記それぞれの水溶液槽にそれぞれの原液を予め設定された所定質量だけ供給することを特徴とする地盤改良薬液の混合システム。
【請求項2】
前記それぞれの質量流量計の流量と測定誤差との関係を予め把握して前記制御装置に入力しておき、この把握した関係に基づいて、前記測定誤差が予め設定した許容値以下になる範囲内で流量を小さくするように前記それぞれの供給ポンプの供給流量を制御した後、ぞれぞれの供給ポンプを急停止させる請求項1に記載の地盤改良薬液の混合システム。
【請求項3】
前記それぞれの供給パイプを前記それぞれの水溶液槽の底面に接続した請求項1または2に記載の地盤改良薬液の混合システム。
【請求項4】
前記混合槽の底面に他の部分よりも下方に窪んだ凹部を設け、この凹部に混合槽で製造された地盤改良薬液を外部に排出する揚送ポンプを設置した請求項1〜3のいずれかに記載の地盤改良薬液の混合システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−7019(P2012−7019A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141957(P2010−141957)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【出願人】(500038891)信幸建設株式会社 (16)
【出願人】(596164652)太洋基礎工業株式会社 (3)
【出願人】(391003598)富士化学株式会社 (40)
【Fターム(参考)】