地絡保護機能付き放電灯制御回路
【課題】マーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の抑制を図りつつ、しかも安全性の高い状態で地絡を検出することができる地絡保護機能付き放電灯制御回路を提供する。
【解決手段】放電灯1には、この放電灯1の点灯消灯を制御する電子ネオントランス式の放電灯制御回路3が接続される。放電灯制御回路3には、トランス12の2次巻線14の中点15における電圧(中点電圧)を監視することにより2次側における地絡検出が可能な地絡保護回路22が内蔵される。放電灯制御回路3は、地絡保護回路22が地絡を検出すると、インバータ回路11の動作を停止して放電灯1の点灯を強制終了する。2次巻線14の中点15に、マーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を接続する。これにより、2次巻線14が左側地絡した時と右側地絡した時とで地絡電流感度がほぼ同一となる。
【解決手段】放電灯1には、この放電灯1の点灯消灯を制御する電子ネオントランス式の放電灯制御回路3が接続される。放電灯制御回路3には、トランス12の2次巻線14の中点15における電圧(中点電圧)を監視することにより2次側における地絡検出が可能な地絡保護回路22が内蔵される。放電灯制御回路3は、地絡保護回路22が地絡を検出すると、インバータ回路11の動作を停止して放電灯1の点灯を強制終了する。2次巻線14の中点15に、マーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を接続する。これにより、2次巻線14が左側地絡した時と右側地絡した時とで地絡電流感度がほぼ同一となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス放電による光を照明として用いる放電灯の点灯消灯を制御しつつ、しかもこの放電灯を地絡から保護する地絡保護機能を持つ地絡保護機能付き放電灯制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や乗り物等の照明装置の一種として、ガス放電により発生する光を照明に利用する放電灯がある。この種の放電灯は、発光色に特徴があることから、今日において種々の分野に使用されている。図9に示すように、この種の放電灯81には、放電灯81の点灯(点滅も含む)や消灯を制御するコントローラとして放電灯制御回路82が接続されている。この放電灯制御回路82は、例えば商用電源から取得した交流波形の入力電圧Vaaを、トランス83によって高電圧に変換し、交流波高電圧の電圧波形をとる出力電圧Vppを放電灯81に印加することにより放電灯81を点灯する。
【0003】
ところで、この種の放電灯制御回路82においては、放電灯81の点灯状態に関してマーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の問題がある。マーキュリーマイグレーションとは、例えば図10に示すように、放電灯81に印加される交流波高電圧の出力電圧Vppが正の半周期と負の半周期との間で偏って正と負で振幅が異なる状態(要は、偏った状態)をとると、図11に示すように、水銀原子84が放電灯81の陰極、即ち負の端部に向かって移動する状態をとって、正の端部付近の水銀原子84が不足し、そのために負の端部が正の端部よりも明るくなる状態をとる現象のことである。放電灯81にマーキュリーマイグレーションが発生すると、これは放電灯81の短寿命化に繋がるので、何らかのマーキュリーマイグレーション対策が必要となる。
【0004】
このマーキュリーマイグレーション対策としては、例えば図9に示すように、トランス83の2次側出力回路85に、マーキュリーマイグレーションを抑制するコンデンサ86を接続する対策がある。このコンデンサ86は、トランス83の2次巻線87から放電灯81に印加される出力電圧Vppから直流成分を除去することにより、この出力電圧Vppにおける正と負の偏りを少なく抑えるように働くものである。これにより、水銀原子84が放電灯81内でバランス良く行き渡り、全体が一律の明るさで発光する点灯状態をとる。なお、放電灯81にマーキュリーマイグレーション抑制用コンデンサを取り付ける技術は、例えば特許文献1〜3等に開示されている。
【0005】
また、この種の放電灯制御回路82においては、放電灯81の点灯動作時においてトランス83の2次側で地絡事故が発生してしまう状況も想定される。点灯時にこのような地絡が発生すると、アーク放電が発生するなどして火災の可能性が生じるので、放電灯制御回路82に地絡保護機能を組み込んでこれを地絡保護機能付き放電灯制御回路82とすることにより、この問題に対応する場合もある。放電灯81の地絡としては、トランス83の2次側において一方や他方の出力端子がアース接地することにより起こる。なお、この種の地絡保護技術は、例えば特許文献4に開示されている。
【0006】
この種の地絡保護機能付き放電灯制御回路82としては、例えば図9に示すように、トランス83の2次巻線87の中点88に地絡保護回路89を接続し、中点88の発生電圧に準ずる電圧(以下、地絡検出電圧Vmと記す)を監視することにより、トランス83の2次側における地絡の発生有無を判定するものがある。この地絡検出電圧Vmは、トランス83の2次側に地絡が発生していないときは「0」電位、即ちアース電位をとるが、トランス83の2次側に地絡が発生した場合には、2次巻線87の電圧分布に偏りが発生して電位が発生する状態となる。よって、地絡保護回路89は、この地絡検出電圧Vmの値を監視することによりトランス83の2次側における地絡の発生有無を判定し、地絡検出電圧Vmが地絡有無判定用の閾値Vrzを下回っていれば地絡が発生していないと判定し、地絡検出電圧Vmがこの閾値Vrz以上となれば地絡が発生していると判定する。
【0007】
ここで、まずは図12に示すように、トランス83の2次側に地絡が発生していない場合を想定すると、この場合においては、2次巻線87の一対の端子90,90のうち一方側の端子90(以下、左側出力端子90aと記す)の出力電圧Vl(以下、左側出力電圧Vlと記す)と、他方側の端子90(以下、右側出力端子90b)の出力電圧Vr(以下、右側出力電圧Vr)とが中点88を基準に左右で同じ電圧値をとる。これにより、地絡検出電圧Vmがアース電位、即ち「0」をとるので、地絡検出電圧Vmは閾値Vrzを下回る。このため、地絡保護回路89は、トランス83の2次側に地絡は発生していないと認識し、放電灯81の点灯を許可する。なお、このように2次巻線87を中点88で2分割すると、2次巻線87は2つの分割巻線87a,87bに分けられるので、放電灯81は1つの分割巻線87a,87bの各々で発生し得る電圧V1により点灯駆動される。
【0008】
一方、図13に示すように、トランス83の2次の右側に地絡が発生した場合には、コンデンサ86の存在により、左側出力電圧Vlが右側出力電圧Vrよりも高い電圧値をとるので、2次巻線87においての電圧が「0」の点であるアース電圧点91は、一対の出力端子90a,90bのうち中点88を境目として低電圧の出力端子90b側に偏る。よって、このように2次巻線87の電圧分布に偏りが発生すると、アース電圧点91が中点88からずれるので、地絡検出電圧Vmに電位が発生する状態となる。そして、地絡検出電圧Vmが閾値Vrz以上となると、地絡保護回路89はトランス83の2次側に地絡が発生したと判定し、放電灯制御回路82の駆動を強制的に停止して放電灯81を強制的に消灯する。なお、トランス83の2次側の地絡は、放電灯81の一対の出力端子81a,81bのうちどちらかがアース接地状態をとることにより起こる。
【特許文献1】特開平6−196282号公報
【特許文献2】特開平8−22894号公報
【特許文献3】特開平8−288084号公報
【特許文献4】特開2001−258150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、マーキュリーマイグレーション抑制用のコンデンサ86を持つ放電灯制御回路82がトランス83の2次側で地絡した場合、この2次側においてオフセットして位置するコンデンサ86が利いて、トランス2次側が左側で地絡した時と、トランス2次側が右側で地絡した時とで、地絡検出電圧Vmが閾値Vrzをとる際にトランス2次側に流れる地絡電流Iが各々の状況下で異なる値をとる。即ち、トランス2次側が左側で地絡した時は大きな地絡電流Iが流れ、トランス2次側が右側で地絡した時は小さな地絡電流Iのみしか流れない。
【0010】
このため、図9の地絡保護機能付き放電灯制御回路82においては、トランス83の2次側において左側出力端子90aが地絡した時と右側出力端子90bが地絡した時とで地絡電流感度(地絡電流検知レベル)に差が発生することになる。よって、もし仮にこれら2つの地絡電流のうち低い側が高い電流値をとってしまうと、高い側の地絡電流Iは低い側に対して差を持った電流値をとるので、高い側は非常に大きな電流値をとってしまうことになり、この場合は地絡時において大きな地絡電流Iがトランス83の2次側に流れることから、安全性に支障を来す問題があった。
【0011】
本発明の目的は、マーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の抑制を図りつつ、しかも安全性の高い状態で地絡を検出することができる地絡保護機能付き放電灯制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記問題点を解決するために、本発明では、入力電圧を昇圧するトランスの2次巻線の中点に地絡検出回路を接続して当該2次巻線を分割巻線とし、前記トランスの1次巻線及び前記分割巻線の巻線比に応じた値に前記入力電圧を昇圧し、当該昇圧後の交流波形の出力電圧を放電灯に供給して当該放電灯を点灯させ、当該点灯時に前記中点に発生する中点電圧を前記地絡検出回路で監視し、当該地絡検出回路が地絡を検出した際には前記点灯を強制的に停止する地絡保護機能付き放電灯制御回路において、前記2次巻線の前記中点に、前記出力電圧の直流成分を除去するコンデンサを接続したことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、例えば放電灯制御回路の主電源がオン操作されて外部電源から入力電圧を入力すると、この入力電圧がトランスによってその1次巻線及び分割巻線の巻線比に応じた電圧値に昇圧され、昇圧後の交流波形の出力電圧が放電灯に供給されて放電灯が点灯する。この放電灯点灯時、地絡検出回路は2次巻線の中点電圧を監視し、トランスの2次側において地絡が発生しているか否かを判定する。そして、例えば中点電圧が閾値以上となって地絡検出回路が地絡の発生を検出すると、地絡発生回路は放電灯の点灯を強制的に停止し、放電灯やその周辺機器を地絡から保護する。
【0014】
本構成においては、トランスの2次側に、トランスの2次側から出力される出力電圧についてその直流成分を除去するコンデンサを接続した。ところで、この種の直流成分が出力電圧に含まれていると、出力電圧の電圧波形が大きく偏って、放電灯が均一に点灯しないという問題(即ち、マーキュリーマイグレーション)が発生する。しかし、本構成のようにトランスの2次側にコンデンサを接続してトランスの出力電圧から直流成分を除去すれば、出力電圧の電圧波形の偏りが小さく抑えられるので、一律発光が可能な電圧波形を持つ出力電圧が放電灯に印加される。よって、マーキュリーマイグレーションの抑制を図ることが可能となり、放電灯の一律発光に寄与する。
【0015】
また、トランスの2次側にマーキュリーマイグレーション抑制用のコンデンサを接続するに際して、本構成においてはこのコンデンサを2次巻線の中点に接続した。このため、2次巻線の一対の出力端子において、一方側の出力端子で地絡が発生した場合と、他方側の出力端子で地絡が発生した場合とで、中点電圧の電圧変化が同一変化をとる。よって、中点電圧が地絡判定の閾値に到達した時にトランスの2次側に流れる地絡電流は、トランスが一方側の出力端子で地絡した時と他方側の出力端子で地絡した時とで同一の電流値をとるので、これら両方の地絡で地絡電流感度が同一となる。従って、2次巻線の一対の出力のうち一方の地絡は小さい地絡電流で地絡が検出できるものの他方の地絡は大きな地絡電流が流れないと検出できない状況が生じなくなり、両方の地絡を安全性高く検出することが可能となる。
【0016】
本発明では、前記コンデンサと前記地絡検出回路との間に、一方側の前記分割巻線である2次側第1分割巻線と前記コンデンサの一端子との間に発生する第1中点電圧と、他方側の前記分割巻線である2次側第2分割巻線と前記コンデンサの他端子との間に発生する第2中点電圧とのうち、高い方の電圧を地絡検出電圧として出力させるインピーダンス素子を設けたことを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、もし仮に第1中点電圧及び第2中点電圧のうち一方が大きく負に振れたとしても、地絡検出電圧がこの負電圧に影響を受けて大きく低い値をとってしまわないようにインピーダンス素子が働いて、地絡検出電圧が高電圧側に振れる。よって、例えば仮に地絡検出電圧が低い値をとってしまうと、精度良く地絡を検出できなくなるが、本構成においては地絡検出電圧ができる限り大きな値をとるので、より精度良く地絡判定を行うことが可能となる。
【0018】
本発明では、前記インピーダンス素子は、アノードが前記2次巻線側に接続され、カソードが前記地絡検出回路側に接続されたダイオードであることを要旨とする。
この構成によれば、第1中点電圧及び第2中点電圧から地絡検出電圧を取得するに際して、第1中点電圧及び第2中点電圧が「0」電位を下回る場合には、これがカットされる。よって、地絡検出電圧をより高電圧側に振らせることが可能となるので、地絡の検出精度をより一層向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の抑制を図りつつ、しかも安全性の高い状態で地絡を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した地絡保護機能付き放電灯制御回路の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1に示すように、照明装置の一種には、照明機器として放電灯1を用いた放電灯点灯装置2がある。放電灯1は、この放電灯1の筐体の中に放電ガスが充填され、この放電ガスを一対の誘電体で挟み、更に各々の誘電体に電極が取り付けられた構造をとる。放電灯1は、両電極間に高電圧の交流電圧が印加されると、両誘電体間に放電(一般に、誘電体バリア放電と言う)が発生することから、この放電によって放電ガスが電離して放電プラズマが発生する状態となり、この放電プラズマにより発生する光が照明として使用される。なお、放電ガスとしては、例えばネオン、アルゴン、キセノン、水銀蒸気等が使用されている。
【0021】
放電灯1には、この放電灯1の点灯消灯を制御する放電灯制御回路3がケーブル等の電気配線を介して接続されている。放電灯制御回路3は、一対の入力端子4,5の間に商用電源6が接続されるともに、一対の出力端子7,8の間に放電灯1が接続されている。本例の放電灯1は、2出力端子のうちの一方側である一出力端子1aが放電灯制御回路3の出力端子7に接続され、2出力端子のうちの他方側である他出力端子1bが放電灯制御回路3の出力端子8に接続されている。放電灯制御回路3は、種類が例えば電子ネオントランス(ET)の場合、商用電源6から例えば100Vや200Vの入力交流電圧Vinを取り込み、この入力交流電圧Vinを高周波高電圧の交流電圧(駆動交流電圧Vout)に変換し、この駆動交流電圧Voutを放電灯1に印加することによって放電灯1を点灯する。なお、入力交流電圧Vinが入力電圧に相当し、駆動交流電圧Voutが出力電圧に相当する。
【0022】
電子ネオントランス式の放電灯制御回路3には、入力交流電圧Vinにノイズ除去処理(フィルタ処理)や過電圧保護処理等を施すフィルタ回路9と、フィルタ回路9から入力したフィルタ処理電圧Vftを全波整流する全波整流回路10と、全波整流回路10から入力した全波整流電圧Vzsを高周波波形に変換するインバータ回路11と、インバータ回路11から入力した高周波のインバータ電圧Vivを昇圧して高電圧の駆動交流電圧Voutを放電灯1に印加するトランス12とが設けられている。
【0023】
インバータ回路11は、入力側が全波整流回路10に接続されるとともに、出力側がトランス12の1次巻線13に接続されている。インバータ回路11は、全波整流回路10から入力した低い周波数(例えば60Hz)の全波整流電圧Vzsを、電圧波形が矩形波をなす高い周波数(例えば20KHz)を持ったインバータ電圧Vivに変換し、このインバータ電圧Vivをトランス12の1次巻線13に出力する。インバータ回路11は、フルブリッジ、ハーフブリッジ、プッシュプル、センタータップ、AMPの何れを採用してもよい。また、インバータ回路11は、自励式又は他励式の何れを採用してもよい。
【0024】
トランス12は、相互インダクタンスにより接続された1次巻線13及び2次巻線14からなり、1次巻線13がインバータ回路11に接続されるとともに、2次巻線14が一対の出力端子7,8を介して放電灯1に接続されている。トランス12は、インバータ回路11から入力した高周波のインバータ電圧Vivを、1次巻線13及び2次巻線14の巻線比に応じた電圧に昇圧することにより、交流波形を持つ高周波高電圧の駆動交流電圧Voutに変換し、放電灯1を点灯すべくこの駆動交流電圧Voutを放電灯1に出力する。
【0025】
また、トランス12の2次巻線14は、その中点(センタータップ)15において等分に2分割されている。本例においては、一方側(図1で紙面上側)の分割巻線を2次側第1分割巻線16とし、他方(図1で紙面下側)の分割巻線を2次側第2分割巻線17とし、これら分割巻線16,17は互いに同じ巻数を持っている。2次側第1分割巻線16は、放電灯制御回路3の出力端子7に繋がる端子(以下、左側出力端子と記す)16aと、2次巻線14を中点分割することで形成される端子(以下、左側中点端子と記す)16bとを持つ。2次側第2分割巻線17は、放電灯制御回路3の出力端子8に繋がる端子(以下、右側出力端子と記す)17aと、2次巻線14を中点分割することで形成される端子(以下、右側中点端子と記す)17bとを持つ。よって、2次巻線14は、2次側第1分割巻線16の出力端子16aと2次側第2分割巻線17の出力端子17aとで放電灯1に接続される。なお、第1分割巻線16及び第2分割巻線17が分割巻線を構成する。また、左側出力端子16aが一端子に相当し、右側出力端子17aが他端子に相当する。
【0026】
トランス12の2次側出力は、図2に示すように、駆動交流電圧Voutの高周波数成分において、一方の半周期(例えば正の半周期)の時(以下、これを左側出力電圧高電圧時と言う)には左側出力端子16aの出力電圧(以下、左側出力電圧Vlxと記す)が高電圧(分割巻線16に準ずる電圧値V1a)をとりつつ右側出力端子17aの出力電圧が低電圧をとり、他方の半周期(例えば負の半周期)の時(以下、これを右側出力電圧高電圧時と言う)には左側出力電圧Vlxが低電圧をとりつつ右側出力電圧Vrxが高電圧(分割巻線17に準ずる電圧値V1a)をとり、これが半周期ごとに交互に繰り返される電圧変化をとる。これにより、トランス12の2次側からは交流電圧、即ち駆動交流電圧Voutが生成され、これを放電灯1に印加することで放電灯1が点灯状態となる。
【0027】
また、トランス12の2次側出力回路18には、マーキュリーマイグレーションを抑制する働きを持つ出力コンデンサ19が取り付けられている。本例の出力コンデンサ19は、2次巻線14の中点15に接続され、更に詳しく言うと、2次側第1分割巻線16の左側中点端子16bと2次側第2分割巻線17の右側中点端子17bとの間に接続されている。出力コンデンサ19は、トランス12の2次側から出力されて放電灯1に供給される駆動交流電圧Voutから直流成分を除去し、この駆動交流電圧Voutを正負で偏りの少ない交流波形にする。このように、駆動交流電圧Voutがなるべく正負で偏りの少ない交流波形をとれば、その分だけマーキュリーマイグレーションが抑制されるので、放電灯1に発光ムラが生じ難くなる。なお、2次側出力回路18は、トランス12の2次巻線14と放電灯1とを繋ぐ電流ループ回路の事を言う。また、出力コンデンサ19がコンデンサに相当する。
【0028】
図1に示すように、放電灯制御回路3には、トランス12の2次側(即ち、放電灯1及びその周辺機器)を地絡から保護する地絡保護機能が設けられている。この地絡保護機能を以下に説明すると、この種の地絡保護機能付き放電灯制御回路3には、地絡保護機能を統括制御する保護制御回路20と、放電灯制御回路3の内部電源として働いてインバータ回路11や保護制御回路20に電源供給を行う制御用電源21と、トランス12の2次側における地絡を検出する地絡保護回路22とが設けられている。
【0029】
保護制御回路20は、入力側が地絡保護回路22に接続されるとともに、出力側がインバータ回路11に接続されている。保護制御回路20は、地絡保護回路22から入力する各種検出通知を基に、インバータ回路11の動作状態を切り換えることにより、放電灯1の点灯状態を制御する回路である。本例の保護制御回路20は、インバータ回路11の動作を許可又は停止することにより、放電灯制御回路3の電源スイッチ(主電源:図示略)がオン状態(オン操作位置)にあることに拘わらず、放電灯1を点灯及び消灯の間で切り換えることが可能である。
【0030】
また、制御用電源21は、トランス12の1次側に接続された1次側補助巻線23に入力側が接続されるとともに、保護制御回路20に電源を供給すべく出力側が保護制御回路20に接続されている。制御用電源21は、全波整流回路10側から取得する全波整流電圧Vzsと、1次側補助巻線23から取得した補助電圧Vfjとを基に動作する。制御用電源21は、これら電圧Vzs,Vfjを、インバータ回路11や保護制御回路20が動作するのに必要な電圧に変換し、これをインバータ回路11や保護制御回路20の電源としてこれらに出力する。
【0031】
地絡保護回路22は、入力側がトランス12の2次巻線14の中点15に配線接続され、出力側が保護制御回路20に接続されている。地絡保護回路22の入力側を更に詳しく述べると、地絡保護回路22の入力側は、2次側第1分割巻線16の端子16bに第1配線25を介して接続されるとともに、2次側第2分割巻線17の端子17bに第2配線26を介して接続される。地絡保護回路22は、2次巻線14の中点15に発生する電圧に基づいて検出された電圧(以下、地絡検出電圧Vmxと記す)の値を監視することにより、トランス12の2次側における地絡の有無判定を行う。
【0032】
2次側第1分割巻線16の端子16bと地絡保護回路22との間には、第1配線25上において第1ダイオード27が接続されている。また、2次側第2分割巻線17の端子17bと地絡保護回路22との間には、第2配線26上において第2ダイオード28が接続されている。これらダイオード27,28は、アノードが中点15に接続され、カソードが地絡保護回路22に接続されている。ところで、本例は第1配線25と第2配線26とを終端で結線してこれを地絡保護回路22に接続するので、左側中点端子16bの電圧(以下、左側中点電圧Vlmと記す)と、右側中点端子17bの電圧(以下、右側中点電圧Vrmと記す)との合成電圧が地絡検出電圧Vmxとして地絡保護回路22に出力される。ダイオード27,28は、これら中点電圧Vlm,Vrmが「0」電位をとる際にこれをカットして、2つの中点電圧Vlm,Vrmのうち高電圧側のものを地絡検出電圧Vmxとして地絡保護回路22に出力するように働く。なお、ダイオード27,28がインピーダンス素子に相当し、左側中点電圧Vlmが第1中点電圧に相当し、右側中点電圧Vrmが第2中点電圧に相当する。
【0033】
ところで、図2に示すように、正常点灯状態(非地絡状態)の場合、中点電圧Vlm,Vrmはともにアース電位以下の電圧値をとる状態となるので、これら電圧Vlm,Vrmはともに地絡判定レベルVmkを下回る値をとる。よって、地絡保護回路22は、地絡検出電圧Vmxが地絡有無判定用の閾値Vmsを下回る(Vmx<Vmsが成立)ことを認識するので、トランス12の2次側には地絡が発生していないと判定し、放電灯制御回路3による放電灯1の点灯動作の継続を許可する。一方、図3及び図4に示すように、トランス12の2次側に地絡が発生すると、左側中点電圧Vlm若しくは右側中点電圧Vrmが+電位側に大きく持ち上がって、この持ち上がった側が地絡判定レベルVmk以上の値をとる。このとき、地絡保護回路22は、地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上の値をとる(Vmx≧Vmsが成立)ことを認識するので、トランス12の2次側に地絡が発生したと判定して、その旨を通知する地絡検出信号Saを保護制御回路20に出力する。なお、地絡判定レベルVmkは、左側中点電圧Vlmや右側中点電圧Vrmがこの電圧値を超えたらトランス12の2次側に地絡が発生しているとみなし得る値に設定されている。
【0034】
また、放電灯制御回路3には、トランス12の2次側において過電圧を検出する過電圧検出回路(OVP)29が設けられている。過電圧検出回路29は、入力側がトランス12の2次側の過電圧検出巻線30に接続され、出力側が保護制御回路20に接続されている。過電圧検出回路29は、過電圧検出巻線30に発生する電圧をトランス12の2次側の電圧監視に使用する2次側監視電圧Vkdとして取り込み、2次側監視電圧Vkdと過電圧判定レベルVkrとを比較することにより、トランス12の2次側における過電圧の発生有無を判定する。過電圧検出回路29は、2次側監視電圧Vkdが過電圧判定レベルVkr以上となる(Vkd≧Vkrが成立)とトランス12の2次側に過電圧が発生したと判定し、その旨を通知する過電圧検出信号Sbを保護制御回路20に出力する。なお、過電圧判定レベルVkrは、2次側監視電圧Vkdがこの電圧を超えるとトランス12の2次側に過電圧が生じていると判定し得る値に設定されている。
【0035】
保護制御回路20は、地絡保護回路22及び過電圧検出回路29から出力される各種検出通知を逐次監視するとともに、トランス12の2次側において地絡や過電圧が発生していないか否か確認する。保護制御回路20は、地絡保護回路22から地絡検出信号Saを受け付けたり、或いは過電圧検出回路29から過電圧検出信号Sbを受け付けたりすると、駆動状態のインバータ回路11を強制的に停止して、点灯状態にある放電灯1を強制的に消灯する。
【0036】
次に、本例の地絡保護機能付き放電灯制御回路3の動作を説明する。
まずは、図2に示すように、放電灯1が正常点灯状態の場合を想定すると、この正常点灯状態においては、駆動交流電圧Voutの半周期(例えば、正の半周期)で左側出力電圧Vlxが高電圧V1aとなる状態(図2の実線波形の状態)をとり、次の半周期(例えば、負の半周期)で右側出力電圧Vrxが高電圧V1aとなる状態(図2の破線波形の状態)をとり、この電圧変化が半周期ごとに交互に繰り返される。これにより、放電灯1には、トランス12から高周波高電圧の駆動交流電圧Voutが印加され、この駆動交流電圧Voutによって放電灯1が点灯状態をとる。
【0037】
また、この正常点灯時において、左側出力電圧Vlxが高電圧状態のとき、左側出力電圧Vlxは左側中点電圧Vlmを「0」電位とした電圧V1aをとるので、左側中点電圧Vlmはアース電位をとり、それに伴い出力コンデンサ19の電圧下降によって、右側中点電圧Vrmは出力コンデンサ19で発生する電圧Vcx分だけ低い電圧をとる。そして、右側出力電圧Vrxは、アース電位よりも降下電圧Vcx分だけ低い値から立ち上がった電圧値をとる。よって、2次巻線14の中点15から地絡検出電圧Vmxとして地絡保護回路22に出力される左側中点電圧Vlmは「0」電位の電圧をとって地絡判定レベルVmkよりも低い値となるので、地絡検出電圧Vmxは閾値Vmsに到達しない。これにより、地絡保護回路22は、トランス12の2次側に地絡が発生していないと判定して、地絡検出信号Saを保護制御回路20には出力せず、放電灯制御回路3による放電灯1の点灯駆動を許可する。また、右側出力電圧Vrxが高電圧のときは、左側出力電圧Vlxが高電圧状態のときと左右が逆のことが起きているので、この時の動作状態の説明は省略する。
【0038】
一方、図3に示すように、トランス12の2次側が左側で地絡した場合を想定すると、この左側地絡時においては、トランス12の2次側においてその左側に地絡抵抗32が発生して、この地絡抵抗32に地絡電流Ikが流れる状態をとる。ここで、左側地絡時は、左側出力電圧高電圧時よりも右側出力電圧高電圧時の方がトランス12の2次側の電圧分布が崩れることから、左側出力電圧高電圧時よりも右側出力電圧高電圧時の方が地絡電流感度(地絡電流検知レベル)は高くなるので、右側出力電圧高電圧時に地絡が検出される。なお、地絡電流感度とは、地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達する時にトランス12の2次側出力回路18(地絡抵抗32)に流れ得る地絡電流Ikの大きさに相当するもの(感度限界)であって、この値が小さければトランス12の2次側に少ない地絡電流Ikが流れただけで地絡が検出される状態となる。よって、左側地絡時は右側出力電圧高電圧の時に地絡が検出されるので、右側出力電圧高電圧時の動作推移のみ説明する。
【0039】
左側地絡が発生すると、この時は出力コンデンサ19の電圧降下分が左右で分配されるので、それまでアース電位よりも出力コンデンサ19の降下電圧Vcx分だけ低い位置にあった出力電圧最小点Pbsが+電位側に持ち上がり、アース電位に近づく値をとる。地絡電流Ikが少量のみトランス12の2次側に流れる時、左右の中点電圧Vlm,Vrmはともに地絡判定レベルVmkよりも低い値をとりつつも右側中点電圧Vrmの方が左側中点電圧Vlmよりも高い値をとるので、右側中点電圧Vrmに準ずる電圧値が地絡検出電圧Vmxの初期値の電位Vstとして地絡保護回路22に出力される。
【0040】
ところで、トランス12の2次側における出力電圧Vlx,Vrxは、地絡電流Ikが増加するに連れて地絡側の出力電圧が徐々に減少していき、非地絡側の出力電圧が徐々に増加する電圧変化をとる。よって、左側地絡時に地絡電流Ikが徐々に増加すると、この電流増加に伴って左側出力電圧Vlxが徐々に減少していき、右側出力電圧Vrxは徐々に増加していく。そして、この電圧変化に伴って出力電圧最小点Pbsが左側に移動するとともに、左側中点電圧Vlmが徐々に減少する電圧変化をとるが、右側中点電圧Vrmはこれとは逆に徐々に増加する電圧変化をとる。これにより、地絡電流Ikが増加するに連れて右側中点電圧Vrm、即ち地絡検出電圧Vmxが徐々に増加していく。地絡保護回路22は、右側中点電圧Vrmが地絡判定レベルVmk以上になったこと、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上となったことを認識すると、トランス12の2次側に地絡が発生したと判定して保護制御回路20に地絡検出信号Saを出力し、保護制御回路20に放電灯1の点灯を強制終了させる。
【0041】
一方、図4に示すように、トランス12の2次側が右側で地絡した場合を想定すると、この右側地絡時においては、トランス12の2次側においてその右側に地絡抵抗33が発生して、この地絡抵抗33に地絡電流Ikが流れる状態をとる。ところで、右側地絡時は、左側地絡時の時と同様の理由を根拠に、左側出力電圧高電圧の時の方が右側出力電圧高電圧の時よりもトランス12の2次側の電圧分布が崩れることから、右側出力電圧高電圧よりも左側出力電圧高電圧時の方が地絡電流感度(地絡電流検知レベル)は高くなるので、左側出力電圧高電圧時に地絡が検出される。よって、右側地絡時は左側出力電圧高電圧時の動作推移のみ説明する。
【0042】
右側地絡が発生すると、この時も出力コンデンサ19の降下電圧Vcx分だけ低い位置にあった出力電圧最小点Pbsが+電位側に持ち上がり、アース電位に近づく値をとる。地絡電流Ikが少量のみトランス12の2次側に流れる時も、左右の中点電圧Vlm,Vrmはともに地絡判定レベルVmkよりも低い値をとりつつもこの時は左側中点電圧Vlmの方が右側中点電圧Vrmよりも高い値をとり、この左側中点電圧Vlmに準ずる電圧値が地絡検出電圧Vmxの初期値の電位Vstとして地絡保護回路22に出力される。
【0043】
そして、この右側地絡時において地絡電流Ikが徐々に増加するに連れて、右側出力電圧Vrxが徐々に減少していき、一方で左側出力電圧Vlxが徐々に増加していく。そして、この電圧変化に伴って出力電圧最小点Pbsが右側に移動するとともに、右側中点電圧Vrmが徐々に減少する電圧変化をとるが、一方で左側中点電圧Vlmが徐々に増加する電圧変化をとる。これにより、地絡電流Ikが増加するに連れて左側中点電圧Vlm、即ち地絡検出電圧Vmxが徐々に増加していく。地絡保護回路22は、左側中点電圧Vlmが地絡判定レベルVmk以上となったこと、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上となったことを認識すると、トランス12の2次側に地絡が発生したと判定して保護制御回路20に地絡検出信号Saを出力し、保護制御回路20に放電灯1の点灯を強制終了させる。
【0044】
ところで、例えば放電灯1の配線が切れたり或いは放電灯1が割れたりするなどしてトランス12の2次側に負荷異常が発生すると、この時はトランス12の2次側に過電圧が発生する状態となる。このとき、過電圧検出回路29は、トランス12の2次側の過電圧検出巻線30から取得する2次側監視電圧Vkdが過電圧判定レベルVkrを超える状態を認識するので、この認識を経ると、過電圧検出信号Sbを保護制御回路20に出力する。保護制御回路20は、過電圧検出回路29から過電圧検出信号Sbを入力すると、放電灯1が地絡して地絡保護回路22から地絡検出信号Saを得た時と同様の方式で、放電灯1を構成的に消灯する。
【0045】
地絡保護回路22が作動して放電灯1が強制的に消灯された際、この強制消灯はインバータ回路11の駆動を強制的に停止することにより行うので、放電灯制御回路3の主電源はオン状態のままである。よって、放電灯1の地絡事故の故障修理を行う場合には、まずは放電灯制御回路3の主電源をオン状態からオフ状態に切り換えて、商用電源6の入力交流電圧Vinが放電灯制御回路3に供給される状態を解除する。そして、地絡事故の修理を行った後、放電灯1を再点灯するに際しては、放電灯制御回路3の主電源をオフ位置からオン位置に再操作する。放電灯制御回路3の主電源がオン状態となると、商用電源6の入力交流電圧Vinがフィルタ回路9→全波整流回路10→インバータ回路11を亘ってトランス12の1次巻線13に印加され、トランス昇圧後にトランス12の2次巻線14から出力される駆動交流電圧Voutが放電灯1に印加されて放電灯1が点灯を再開する。
【0046】
また、全波整流回路10と制御用電源21との間には、放電灯制御回路3の電源状態を管理する電源監視回路31が設けられている。ところで、放電灯制御回路3においては、図1に示すように、全波整流回路10とインバータ回路11との間にリップル吸収用コンデンサCrが接続されるとともに、一種の電源機能として働く電解コンデンサCsが接続されている。ここで、この種の放電灯制御回路3では、地絡等の異常により保護機能が働いた際には、保護制御回路20が持つリトライ回路(図示略)が作動して、所定回数(例えば3回)リトライを行っても異常が解消されない場合に、点灯駆動を強制終了するように動作する。本例の電解コンデンサCsは、このリトライ回路の電源として機能する。
【0047】
ところで、リップル吸収用コンデンサCrと電解コンデンサCsとが直に接続された回路を想定すると、この種のリップル吸収用コンデンサCrは大容量コンデンサであるので、リトライ回路が動作した際には、ここにチャージされた電荷が電解コンデンサCsに流れて電解コンデンサCsが高電位に維持されるように動作する。よって、この場合はリトライ回路を直ぐに解除できない状態になる。このため、地絡保護機能が働いた際に、主電源をオフ操作した直後、直ぐに主電源をオン操作しても、この時はリトライ回路の保持が解除できないので、放電灯制御回路3の出力が遮断されたままの状態になってしまう問題がある。
【0048】
そこで、本例の電源監視回路31には、リップル吸収用コンデンサCrと電解コンデンサCsとの間にトランジスタQ1が接続されている。このトランジスタQ1は、コレクタ端子がリップル吸収用コンデンサCrに接続され、エミッタ端子が電解コンデンサCsに接続され、ベース端子が全波整流回路10に接続されている。トランジスタQ1は、放電灯制御回路3の主電源のオフとともに自身もオフ動作をとり、オフ状態をとった際には、リップル吸収用コンデンサCrから電解コンデンサCsに電荷がチャージされる動作を遮断する。このとき、電解コンデンサCsは自身に接続された保護制御回路20の抵抗(図示略)により放電され、高電位に保持されることがないので、リトライ回路が直ぐに解除される。これにより、放電灯制御回路3の主電源をオフした直後に直ぐにこれをオン操作しても、この時は電源が直ぐに入り、放電灯駆動動作を直ぐに開始可能となる。
【0049】
次に、放電灯制御回路3で行う地絡電流感度測定試験について説明する。
この種の地絡保護機能付き放電灯制御回路3においては、この地絡電流Ikが予め規定された所定値(例えば15mA)以内の値をとらなければならない事がUL(Underwriters Laboratories Inc.)規格で規定されている。よって、例えば地絡保護機能付き放電灯制御回路3の出荷前においては、例えば放電灯制御回路3の製品検査として放電灯1が地絡する状態を仮想的に作り出し、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikを測定して、この地絡電流Ikが所定値内の値をとるか否かを確認する試験(地絡電流感度測定試験)を行う必要がある。
【0050】
この地絡電流感度測定試験には、図5に示すようなDモード試験と、図6及び図7に示すようなCモード試験との2種類がある。Dモード試験は、放電灯1の中点35をアース電位とし、トランス12の2次側においてその左側に可変式地絡抵抗34を接続して左側地絡を発生させ、この可変式地絡抵抗34の抵抗値を高→低と変化させてこの時に2次側に流れる地絡電流Ikを測定するとともに、トランス12の右側においても同様のことを行って、仮想的地絡状況下で地絡電流Ikを測定する試験である。また、Cモード試験は、トランス12の2次側においてその左側に可変式地絡抵抗34を接続して左側地絡を発生させ、この可変式地絡抵抗34の抵抗値を高→低と変化させてこの時に2次側に流れる地絡電流Ikを測定するとともに、トランス12の右側においても同様のことを行って、仮想的地絡状況下で地絡電流Ikを測定する試験である。
【0051】
Dモード試験で地絡電流感度測定試験を行う場合、図5に示すように、まずは放電灯1の中点35をアース接地して、この中点35をアース電位にする。このため、放電灯1の中点35を電圧基準(境目)とする放電灯1の左側端子電圧Vtaと右側端子電圧Vtbとが同じ大きさの電圧V2aをとり、これら電圧Vta,Vtbがこの電圧V2a(=V1a+Vcx/2)で安定することから、2次巻線14の出力電圧最小点Pbsはアース電位をとるとともに出力コンデンサ19の中央(真ん中)に存在することになる。これにより、2次巻線14の左側中点電圧Vlm及び右側中点電圧Vrmの両方がアース電位よりも持ち上がり、これらが地絡判定レベルVmkに到達する。よって、2次巻線14の地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上となることから、地絡保護回路22が地絡発生を認識することになる。
【0052】
そして、地絡保護回路22が地絡を検出するとき、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達するときにトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikを例えば検流計等で計測し、この地絡電流Ikが所定値(例えば15mA)を下回っているか否かを確認する。ここで、地絡電流Ikが所定値を下回る値をとれば、この時は地絡電流Ikの値がUL規格を満たすことからDモード試験については合格として処理し、一方で地絡電流Ikが所定値以上の値をとるのであれば、これはUL規格を満たさないので、放電灯制御回路3を製品不合格として処理する。
【0053】
一方、Cモード試験で地絡電流感度測定試験を行う場合、まずは先にトランス12の2次側において左側に可変式地絡抵抗34を接続することによりこの左側をアース接地して、左側の地絡電流感度測定を行う。なお、地絡電流感度測定の初期時においては、可変式地絡抵抗34を高抵抗にした状態で接続する。この時、トランス12の2次側は地絡状態をとるものの、2次の左側を地絡するという偏った地絡状態をとるので、この時の2次巻線14の左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxは、図6に示すように、放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の電圧値をとる。なお、本例においては、左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxが放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の中間の電圧をとるように設定する。
【0054】
続いて、可変式地絡抵抗34の抵抗値を徐々に低くしていき、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikaを徐々に増加していく。この時、地絡電流Ikaが増加していくに連れて、左側出力電圧VlxはV2b→V2c→V2dと低下していき、右側出力電圧VrxはV2e→V2f→V2aと増加し、これに伴って出力電圧最小点Pbsが2次巻線14の左側に移動する電圧変化をとる。また、この電圧変化に伴って、この時に地絡検出電圧Vmxとして出力される右側中点電圧Vrmは初期値の電位Vstから徐々に増加していき、可変式地絡抵抗34が低抵抗、即ち地絡電流Ikが大きくなった際に地絡判定レベルVmkに到達して、地絡保護回路22が地絡発生を認識する。
【0055】
そして、右側中点電圧Vrmが地絡判定レベルVmkに到達するとき、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達するときにトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikaを例えば検流計等で計測し、この地絡電流Ikが所定値(例えば15mA)を下回っているか否かを確認する。この時、地絡電流Ikaが所定値を下回れば、この時はUL規格を満たすことからCモード試験の左側地絡検査は合格として処理し、地絡電流Ikaが所定値以上の値をとれば、この時は左側の地絡電流Ikaの値がUL規格を満たさないことから製品不合格として処理する。
【0056】
2次巻線14の左側の地絡電流感度測定が終わると、今度は可変式地絡抵抗34を2次巻線14の右側に接続することによりこの右側をアース接地して、右側の地絡電流感度測定を行う。なお、右側地絡電流感度測定時も、左側地絡電流感度測定時と同様の理由から、最初は可変式地絡抵抗34を高抵抗にした状態で接続する。この時も、図7に示すように、左側地絡電流感度測定の時と同様に、2次巻線14の左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxは、放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の電圧値をとる。なお、本例においては、左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxが放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の中間の電圧をとるように設定する。
【0057】
続いて、可変式地絡抵抗34の抵抗値を徐々に低くしていき、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbを徐々に増加していく。この時、地絡電流Ikbが増加していくに連れて、右側出力電圧VrxはV2g→V2h→V2iと低下していき、左側出力電圧VlxはV2j→V2k→V2aと増加し、これに伴って出力電圧最小点Pbsが2次巻線14の右側に移動する電圧変化をとる。また、この電圧変化に伴って、この時に地絡検出電圧Vmxとして出力される左側中点電圧Vlmは初期値の電位Vstから徐々に増加していき、可変式地絡抵抗34が低抵抗、即ち地絡電流Ikbが大きくなった際に地絡判定レベルVmkに到達して、地絡保護回路22が地絡発生を認識する。
【0058】
そして、左側中点電圧Vlmが地絡判定レベルVmkに到達するとき、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達するときにトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbを例えば検流計等で計測し、この地絡電流Ikbが所定値を下回れば、この時は左右両方の地絡電流Ika,Ikbの値がUL規格を満たすことから放電灯制御回路3を製品合格として処理し、地絡電流Ikbが所定値以上の値をとれば、この時は右側地絡時の地絡電流Ikの値がUL規格を満たさないので、製品不合格として処理する。
【0059】
続いて、Dモード試験の作業過程を図8に示すフロー図を用いて説明する。
ステップ100では、放電灯1の中点35をアースに接地する。
ステップ101では、放電灯制御回路3の主電源スイッチをオンする。
【0060】
ステップ102では、放電灯1が消灯したか否かを確認する。このとき、放電灯1が消灯すれば製品合格とし、放電灯1が点灯すればステップ103以降の地絡電流Ikの計測を行う。
【0061】
ステップ103では、トランス12の2次側においてその左側に可変式地絡抵抗34を接続する。なお、可変式地絡抵抗34は、その接続初期時において抵抗値が無限大に設定されている。
【0062】
ステップ104では、可変式地絡抵抗34の抵抗値を小さくする。
ステップ105では、放電灯1が消灯したか否かを確認する。放電灯1が消灯しなければステップ106に以降し、放電灯1が消灯すればステップ107に移行する。
【0063】
ステップ106では、可変式地絡抵抗34の抵抗値が0Ωか否かを確認する。可変式地絡抵抗34の抵抗値が0Ωであればステップ107に移行し、抵抗値が0Ωでなければステップ104に移行して、放電灯1が消灯するか若しくは抵抗値が0Ωになるまで、可変式地絡抵抗34の抵抗値を下げる作業を継続する。
【0064】
ステップ107では、地絡電流Ikaが所定値(例えば15mA)を下回るか否かを確認する。ここで、地絡電流Ikaが所定値を下回っていれば製品合格として処理し、地絡電流Ikaが所定値以上の値をとるならばステップ108に移行する。
【0065】
そして、ステップ108〜ステップ112において、今度は2次巻線14の右側に可変式地絡抵抗34を接続し、左側の時と同様の手順で地絡電流測定試験を行い、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbが所定値を下回ることが確認できれば製品合格とし、地絡電流Ikbが所定値以上の値をとるのであれば製品不合格として処理する。
【0066】
ところで、図6及び図7からも分かるように、トランス12の左側に可変式地絡抵抗34を接続してこの抵抗値を高→低に変化させた時に地絡検出電圧Vmx(左側中点電圧Vlm)がとる電圧変化と、トランス12の右側に可変式地絡抵抗34を接続してこの抵抗値を高→低に変化させた時に地絡検出電圧Vmx(右側中点電圧Vrm)がとる電圧変化とは、同じ値の電位Vstを移動開始点として+電位側に同一変化量で上昇していく変化、即ち同じ電圧変化をとることが分かる。よって、このように地絡検出電圧Vmxが地絡の左右で同じ電圧変化をとれば、地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達する時にトランス12の2次側に流れる電流量は左右で同じ(Ika=Ikbが成立)となるので、左側地絡時の地絡電流感度と右側地絡時の地絡電流感度とが同一となる。このため、マーキュリーマイグレーション抑制用に出力コンデンサ19をトランス12の2次側に取り付ける場合であっても、出力コンデンサ19を2次巻線14の中点15に接続するようにすれば、地絡の左右で地絡電流感度を同一とすることが可能となる。
【0067】
さて、本例においては、トランス12の2次側にマーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を取り付けた。このため、放電灯1の点灯時において水銀原子が灯内で偏って位置する状況が生じ難くなるので、放電灯1を一律の明るさで発光させることが可能となる。また、トランス12の2次側にこの出力コンデンサ19を取り付けるに際しては、これを2次巻線14の中点15に接続したので、左側地絡時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikaと、右側地絡時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbとが同じ値をとる。このため、左右の地絡電流感度を同じにすることが可能となる。従って、片方の地絡電流感度が過度に大きくなる状況が生じなくなり、地絡を危険度の低い方法で検出することが可能となる。
【0068】
また、放電灯制御回路3に過電圧検出回路29を設け、トランス12の2次側に過電圧が発生した際にも、放電灯1の点灯を強制的に停止する。このため、トランス12の2次側で地絡が発生した時のみならず、トランス12の2次側に過電圧が発生する時も、放電灯1の点灯を強制的に停止することが可能となる。よって、トランス12の2次側に過電圧が印加されたままの状況で放電灯1の点灯を継続させる状況が生じなくなり、放電灯1に故障が発生する状況を一層生じ難くすることが可能となる。
【0069】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)トランス12の2次巻線の中点15にマーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を接続したので、放電灯1のマーキュリーマイグレーションを低く抑えることができるとともに、トランス12の2次側が左側で地絡した時と右側で地絡した時とで両方の地絡電流感度をほぼ同一とすることができる。よって、放電灯1を均一に点灯させることができ、しかもトランス12の2次側の地絡を左右とも安全性高く検出することができる。
【0070】
(2)左側中点電圧Vlmの出力経路である第1配線25上にダイオード27を接続するとともに、右側中点電圧Vrmの出力経路である第2配線26上にも同様にダイオード28を接続した。このため、左側中点電圧Vlm及び右側中点電圧Vrmのうち仮に一方が大きく負に振れたとしても、これが「0」電位以下の値をとる時にはこの電位がカットされるので、これら中点電圧Vlm,Vrmに準ずる電圧として導出される地絡検出電圧Vmxは高電圧側に振れる。よって、例えばもし仮にこの地絡検出電圧Vmxが低い電圧値をとってしまうと、地絡を精度良く検出できなくなるが、本例においては地絡検出電圧Vmxができる限り大きな値をとるので、より精度良く地絡判定を行うことができる。特に、本例のようにダイオード27,28を使用すれば、低い電位をとることがないので、地絡検出精度の向上に非常に効果が高い。
【0071】
(3)全波整流回路10と制御用電源21との間に、放電灯制御回路3の電源状態を管理する電源監視回路31を設けた。これにより、放電灯制御回路3の主電源をオフに操作した際には、トランジスタQ1がオフとなって、リップル吸収用コンデンサCrから電解コンデンサCsに電荷がチャージされる状態が遮断されて、電解コンデンサCsの電荷が直ちに放電され、保護制御回路20に組み込まれたリトライ回路が直ぐに解除される。よって、放電灯制御回路3の主電源をオフした後に直ぐにこれをオン操作しても、放電灯制御回路3の電源が直ぐに入るので、放電灯駆動動作を直ぐに開始することができる。
【0072】
(4)マーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を2次巻線14の中点15に接続したとしても、この時もDモード試験とCモード試験との両方とで問題なく地絡電流感度測定試験を実施することができる。
【0073】
(5)放電灯制御回路3に、トランス12の2次側において過電圧が発生した際に放電灯1を強制的に消灯させる過電圧検出回路29を設けた。よって、放電灯1の点灯時にトランス12の2次側において過電圧が発生する状況になったとしても、この時は過電圧検出回路29が作動して放電灯1が強制的に消灯される。このため、過電圧状態のまま放電灯1に点灯を継続させずに済むので、放電灯1が故障する状況を一層生じ難くすることができる。
【0074】
(6)地絡保護回路22で地絡を検出した時や、過電圧検出回路29で過電圧を検出した時には、インバータ回路11の駆動を強制的に停止することによって、放電灯1の点灯を強制的に停止する。ところで、この強制消灯を例えば放電灯制御回路3の電源スイッチをオン位置から強制的にオフ位置に切り換えることで行う場合を想定すると、この時は電源スイッチを無理にオン位置からオフ位置に動かす大掛かりな機構が必要になるが、本例のようにインバータ回路11を強制停止することで放電灯1を強制消灯すれば、この強制消灯が電気的なスイッチ制御のみで済むので、大掛かりな機構を用いることなく放電灯1の強制消灯を行うことができる。
【0075】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 出力コンデンサ19の数は、必ずしも1つに限定されず、複数でもよい。この場合、コンデンサ群は直列回路や並列回路をとる。
【0076】
・ 放電灯1は、外形が管状をなすものに限定されず、例えば平板形状をなすものでもよい。
・ 放電灯制御回路3は必ずしも電子ネオントランス(ET)に限らず、入力電圧をただ単に昇圧してこれを駆動交流電圧Voutとして放電灯1に供給するネオントランスでもよい。
【0077】
・ 地絡保護機能は、必ずしも地絡と過電圧との両方を見る必要はなく、少なくとも地絡を見ることができればよい。
・ 電源監視回路31は、必ずしも必要な訳ではなく、これを省略した回路構造としてもよい。
【0078】
・ 放電灯1(放電灯制御回路3)の電源は、交流電圧を供給する商用電源6に限らず、直流電圧を供給する電池(バッテリ)でもよい。
・ インピーダンス素子は、必ずしもダイオードに限らず、例えば抵抗やコンデンサ等を使用したり、或いはこれらを組み合わせたりしたものを使用してもよい。
【0079】
・ 地絡保護回路22の地絡判定は、左側中点電圧Vlm及び右側中点電圧Vrmに準ずる電圧を地絡検出電圧Vmxとして監視する判定方式に限定されない。例えば、左側中点電圧Vlmと右側中点電圧Vrmとを各々独立した電圧値として監視し、これらを各々個別の閾値と比較することにより、トランス12の2次側の地絡発生有無を判定してもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜3のいずれかにおいて、地絡検出電圧は、一方側の前記分割巻線である2次側第1分割巻線と前記コンデンサの一端子との間に発生する第1中点電圧と、他方側の前記分割巻線である2次側第2分割巻線と前記コンデンサの他端子との間に発生する第2中点電圧とに準ずる電圧であって、前記地絡検出回路は、前記合成電圧を閾値と比較することにより、トランスの2次側における地絡発生有無を監視する。
【0081】
(2)請求項1〜3、前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記放電灯制御回路は、前記入力電圧をインバータ回路で高周波に変換し、その高周波電圧を前記トランスで交流波形の高周波電圧に変換し、当該高周波電圧を前記放電灯に印加することで当該放電灯を点灯させるインバータ駆動式であり、前記地絡検出回路が地絡を検出した際には、前記インバータ回路の動作が強制的に停止されることにより、前記放電灯の点灯が強制的に停止される。この構成によれば、放電灯制御回路の主電源をオフすることなく、放電灯制御回路の電圧出力をオフすることが可能となるので、電圧出力をオフするに際して放電灯制御回路の主電源を無理にオフ状態にする必要がない。
【0082】
(3)請求項1〜3,前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記放電灯制御回路の主電源のオンオフ状態に同期して、内部の制御回路への電源供給のオンオフ状態を切り換える内部電源状態監視手段を設けた。この構成によれば、放電灯制御回路の主電源をオフした後に直ぐにこれをオン操作しても、放電灯制御回路の電源が直ぐに入るので、放電灯駆動動作を直ぐに開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】一実施形態における放電灯制御回路の具体的構成を示す回路図。
【図2】正常点灯時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図3】2次巻線が左側地絡した時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図4】2次巻線が右側地絡した時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図5】Dモード試験時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図6】Cモード試験の左側地絡時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図7】Cモード試験の右側地絡時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図8】Dモード試験の作業手順を示すフロー図。
【図9】従来における放電灯制御回路の概略構成を示す回路図。
【図10】水銀偏り発生時にトランスが放電灯に印加する電圧波形を示す波形図。
【図11】水銀偏り発生時に灯内の放電ガスの水銀原子がとる動きを示す模式図。
【図12】従来の正常点灯時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図13】従来の地絡検出時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【符号の説明】
【0084】
1…放電灯、3…地絡保護機能付き放電灯制御回路、12…トランス、13…1次巻線、14…2次巻線、15…中点、16…分割巻線を構成する2次側第1分割巻線、16a…一端子としての左側出力端子、17…分割巻線を構成する2次側第2分割巻線、17a…他端子としての右側出力端子、19…コンデンサとしての出力コンデンサ、24…地絡検出回路、27…インピーダンス素子を構成するダイオード、28…インピーダンス素子を構成するダイオード、Vin…入力電圧としての入力交流電圧、Vout…出力電圧としての駆動交流電圧、Vmx…地絡検出電圧、Vlm…第1中点電圧としての左側中点電圧、Vrm…第2中点電圧としての右側中点電圧。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス放電による光を照明として用いる放電灯の点灯消灯を制御しつつ、しかもこの放電灯を地絡から保護する地絡保護機能を持つ地絡保護機能付き放電灯制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や乗り物等の照明装置の一種として、ガス放電により発生する光を照明に利用する放電灯がある。この種の放電灯は、発光色に特徴があることから、今日において種々の分野に使用されている。図9に示すように、この種の放電灯81には、放電灯81の点灯(点滅も含む)や消灯を制御するコントローラとして放電灯制御回路82が接続されている。この放電灯制御回路82は、例えば商用電源から取得した交流波形の入力電圧Vaaを、トランス83によって高電圧に変換し、交流波高電圧の電圧波形をとる出力電圧Vppを放電灯81に印加することにより放電灯81を点灯する。
【0003】
ところで、この種の放電灯制御回路82においては、放電灯81の点灯状態に関してマーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の問題がある。マーキュリーマイグレーションとは、例えば図10に示すように、放電灯81に印加される交流波高電圧の出力電圧Vppが正の半周期と負の半周期との間で偏って正と負で振幅が異なる状態(要は、偏った状態)をとると、図11に示すように、水銀原子84が放電灯81の陰極、即ち負の端部に向かって移動する状態をとって、正の端部付近の水銀原子84が不足し、そのために負の端部が正の端部よりも明るくなる状態をとる現象のことである。放電灯81にマーキュリーマイグレーションが発生すると、これは放電灯81の短寿命化に繋がるので、何らかのマーキュリーマイグレーション対策が必要となる。
【0004】
このマーキュリーマイグレーション対策としては、例えば図9に示すように、トランス83の2次側出力回路85に、マーキュリーマイグレーションを抑制するコンデンサ86を接続する対策がある。このコンデンサ86は、トランス83の2次巻線87から放電灯81に印加される出力電圧Vppから直流成分を除去することにより、この出力電圧Vppにおける正と負の偏りを少なく抑えるように働くものである。これにより、水銀原子84が放電灯81内でバランス良く行き渡り、全体が一律の明るさで発光する点灯状態をとる。なお、放電灯81にマーキュリーマイグレーション抑制用コンデンサを取り付ける技術は、例えば特許文献1〜3等に開示されている。
【0005】
また、この種の放電灯制御回路82においては、放電灯81の点灯動作時においてトランス83の2次側で地絡事故が発生してしまう状況も想定される。点灯時にこのような地絡が発生すると、アーク放電が発生するなどして火災の可能性が生じるので、放電灯制御回路82に地絡保護機能を組み込んでこれを地絡保護機能付き放電灯制御回路82とすることにより、この問題に対応する場合もある。放電灯81の地絡としては、トランス83の2次側において一方や他方の出力端子がアース接地することにより起こる。なお、この種の地絡保護技術は、例えば特許文献4に開示されている。
【0006】
この種の地絡保護機能付き放電灯制御回路82としては、例えば図9に示すように、トランス83の2次巻線87の中点88に地絡保護回路89を接続し、中点88の発生電圧に準ずる電圧(以下、地絡検出電圧Vmと記す)を監視することにより、トランス83の2次側における地絡の発生有無を判定するものがある。この地絡検出電圧Vmは、トランス83の2次側に地絡が発生していないときは「0」電位、即ちアース電位をとるが、トランス83の2次側に地絡が発生した場合には、2次巻線87の電圧分布に偏りが発生して電位が発生する状態となる。よって、地絡保護回路89は、この地絡検出電圧Vmの値を監視することによりトランス83の2次側における地絡の発生有無を判定し、地絡検出電圧Vmが地絡有無判定用の閾値Vrzを下回っていれば地絡が発生していないと判定し、地絡検出電圧Vmがこの閾値Vrz以上となれば地絡が発生していると判定する。
【0007】
ここで、まずは図12に示すように、トランス83の2次側に地絡が発生していない場合を想定すると、この場合においては、2次巻線87の一対の端子90,90のうち一方側の端子90(以下、左側出力端子90aと記す)の出力電圧Vl(以下、左側出力電圧Vlと記す)と、他方側の端子90(以下、右側出力端子90b)の出力電圧Vr(以下、右側出力電圧Vr)とが中点88を基準に左右で同じ電圧値をとる。これにより、地絡検出電圧Vmがアース電位、即ち「0」をとるので、地絡検出電圧Vmは閾値Vrzを下回る。このため、地絡保護回路89は、トランス83の2次側に地絡は発生していないと認識し、放電灯81の点灯を許可する。なお、このように2次巻線87を中点88で2分割すると、2次巻線87は2つの分割巻線87a,87bに分けられるので、放電灯81は1つの分割巻線87a,87bの各々で発生し得る電圧V1により点灯駆動される。
【0008】
一方、図13に示すように、トランス83の2次の右側に地絡が発生した場合には、コンデンサ86の存在により、左側出力電圧Vlが右側出力電圧Vrよりも高い電圧値をとるので、2次巻線87においての電圧が「0」の点であるアース電圧点91は、一対の出力端子90a,90bのうち中点88を境目として低電圧の出力端子90b側に偏る。よって、このように2次巻線87の電圧分布に偏りが発生すると、アース電圧点91が中点88からずれるので、地絡検出電圧Vmに電位が発生する状態となる。そして、地絡検出電圧Vmが閾値Vrz以上となると、地絡保護回路89はトランス83の2次側に地絡が発生したと判定し、放電灯制御回路82の駆動を強制的に停止して放電灯81を強制的に消灯する。なお、トランス83の2次側の地絡は、放電灯81の一対の出力端子81a,81bのうちどちらかがアース接地状態をとることにより起こる。
【特許文献1】特開平6−196282号公報
【特許文献2】特開平8−22894号公報
【特許文献3】特開平8−288084号公報
【特許文献4】特開2001−258150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、マーキュリーマイグレーション抑制用のコンデンサ86を持つ放電灯制御回路82がトランス83の2次側で地絡した場合、この2次側においてオフセットして位置するコンデンサ86が利いて、トランス2次側が左側で地絡した時と、トランス2次側が右側で地絡した時とで、地絡検出電圧Vmが閾値Vrzをとる際にトランス2次側に流れる地絡電流Iが各々の状況下で異なる値をとる。即ち、トランス2次側が左側で地絡した時は大きな地絡電流Iが流れ、トランス2次側が右側で地絡した時は小さな地絡電流Iのみしか流れない。
【0010】
このため、図9の地絡保護機能付き放電灯制御回路82においては、トランス83の2次側において左側出力端子90aが地絡した時と右側出力端子90bが地絡した時とで地絡電流感度(地絡電流検知レベル)に差が発生することになる。よって、もし仮にこれら2つの地絡電流のうち低い側が高い電流値をとってしまうと、高い側の地絡電流Iは低い側に対して差を持った電流値をとるので、高い側は非常に大きな電流値をとってしまうことになり、この場合は地絡時において大きな地絡電流Iがトランス83の2次側に流れることから、安全性に支障を来す問題があった。
【0011】
本発明の目的は、マーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の抑制を図りつつ、しかも安全性の高い状態で地絡を検出することができる地絡保護機能付き放電灯制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記問題点を解決するために、本発明では、入力電圧を昇圧するトランスの2次巻線の中点に地絡検出回路を接続して当該2次巻線を分割巻線とし、前記トランスの1次巻線及び前記分割巻線の巻線比に応じた値に前記入力電圧を昇圧し、当該昇圧後の交流波形の出力電圧を放電灯に供給して当該放電灯を点灯させ、当該点灯時に前記中点に発生する中点電圧を前記地絡検出回路で監視し、当該地絡検出回路が地絡を検出した際には前記点灯を強制的に停止する地絡保護機能付き放電灯制御回路において、前記2次巻線の前記中点に、前記出力電圧の直流成分を除去するコンデンサを接続したことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、例えば放電灯制御回路の主電源がオン操作されて外部電源から入力電圧を入力すると、この入力電圧がトランスによってその1次巻線及び分割巻線の巻線比に応じた電圧値に昇圧され、昇圧後の交流波形の出力電圧が放電灯に供給されて放電灯が点灯する。この放電灯点灯時、地絡検出回路は2次巻線の中点電圧を監視し、トランスの2次側において地絡が発生しているか否かを判定する。そして、例えば中点電圧が閾値以上となって地絡検出回路が地絡の発生を検出すると、地絡発生回路は放電灯の点灯を強制的に停止し、放電灯やその周辺機器を地絡から保護する。
【0014】
本構成においては、トランスの2次側に、トランスの2次側から出力される出力電圧についてその直流成分を除去するコンデンサを接続した。ところで、この種の直流成分が出力電圧に含まれていると、出力電圧の電圧波形が大きく偏って、放電灯が均一に点灯しないという問題(即ち、マーキュリーマイグレーション)が発生する。しかし、本構成のようにトランスの2次側にコンデンサを接続してトランスの出力電圧から直流成分を除去すれば、出力電圧の電圧波形の偏りが小さく抑えられるので、一律発光が可能な電圧波形を持つ出力電圧が放電灯に印加される。よって、マーキュリーマイグレーションの抑制を図ることが可能となり、放電灯の一律発光に寄与する。
【0015】
また、トランスの2次側にマーキュリーマイグレーション抑制用のコンデンサを接続するに際して、本構成においてはこのコンデンサを2次巻線の中点に接続した。このため、2次巻線の一対の出力端子において、一方側の出力端子で地絡が発生した場合と、他方側の出力端子で地絡が発生した場合とで、中点電圧の電圧変化が同一変化をとる。よって、中点電圧が地絡判定の閾値に到達した時にトランスの2次側に流れる地絡電流は、トランスが一方側の出力端子で地絡した時と他方側の出力端子で地絡した時とで同一の電流値をとるので、これら両方の地絡で地絡電流感度が同一となる。従って、2次巻線の一対の出力のうち一方の地絡は小さい地絡電流で地絡が検出できるものの他方の地絡は大きな地絡電流が流れないと検出できない状況が生じなくなり、両方の地絡を安全性高く検出することが可能となる。
【0016】
本発明では、前記コンデンサと前記地絡検出回路との間に、一方側の前記分割巻線である2次側第1分割巻線と前記コンデンサの一端子との間に発生する第1中点電圧と、他方側の前記分割巻線である2次側第2分割巻線と前記コンデンサの他端子との間に発生する第2中点電圧とのうち、高い方の電圧を地絡検出電圧として出力させるインピーダンス素子を設けたことを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、もし仮に第1中点電圧及び第2中点電圧のうち一方が大きく負に振れたとしても、地絡検出電圧がこの負電圧に影響を受けて大きく低い値をとってしまわないようにインピーダンス素子が働いて、地絡検出電圧が高電圧側に振れる。よって、例えば仮に地絡検出電圧が低い値をとってしまうと、精度良く地絡を検出できなくなるが、本構成においては地絡検出電圧ができる限り大きな値をとるので、より精度良く地絡判定を行うことが可能となる。
【0018】
本発明では、前記インピーダンス素子は、アノードが前記2次巻線側に接続され、カソードが前記地絡検出回路側に接続されたダイオードであることを要旨とする。
この構成によれば、第1中点電圧及び第2中点電圧から地絡検出電圧を取得するに際して、第1中点電圧及び第2中点電圧が「0」電位を下回る場合には、これがカットされる。よって、地絡検出電圧をより高電圧側に振らせることが可能となるので、地絡の検出精度をより一層向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マーキュリーマイグレーション(水銀偏り)の抑制を図りつつ、しかも安全性の高い状態で地絡を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した地絡保護機能付き放電灯制御回路の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1に示すように、照明装置の一種には、照明機器として放電灯1を用いた放電灯点灯装置2がある。放電灯1は、この放電灯1の筐体の中に放電ガスが充填され、この放電ガスを一対の誘電体で挟み、更に各々の誘電体に電極が取り付けられた構造をとる。放電灯1は、両電極間に高電圧の交流電圧が印加されると、両誘電体間に放電(一般に、誘電体バリア放電と言う)が発生することから、この放電によって放電ガスが電離して放電プラズマが発生する状態となり、この放電プラズマにより発生する光が照明として使用される。なお、放電ガスとしては、例えばネオン、アルゴン、キセノン、水銀蒸気等が使用されている。
【0021】
放電灯1には、この放電灯1の点灯消灯を制御する放電灯制御回路3がケーブル等の電気配線を介して接続されている。放電灯制御回路3は、一対の入力端子4,5の間に商用電源6が接続されるともに、一対の出力端子7,8の間に放電灯1が接続されている。本例の放電灯1は、2出力端子のうちの一方側である一出力端子1aが放電灯制御回路3の出力端子7に接続され、2出力端子のうちの他方側である他出力端子1bが放電灯制御回路3の出力端子8に接続されている。放電灯制御回路3は、種類が例えば電子ネオントランス(ET)の場合、商用電源6から例えば100Vや200Vの入力交流電圧Vinを取り込み、この入力交流電圧Vinを高周波高電圧の交流電圧(駆動交流電圧Vout)に変換し、この駆動交流電圧Voutを放電灯1に印加することによって放電灯1を点灯する。なお、入力交流電圧Vinが入力電圧に相当し、駆動交流電圧Voutが出力電圧に相当する。
【0022】
電子ネオントランス式の放電灯制御回路3には、入力交流電圧Vinにノイズ除去処理(フィルタ処理)や過電圧保護処理等を施すフィルタ回路9と、フィルタ回路9から入力したフィルタ処理電圧Vftを全波整流する全波整流回路10と、全波整流回路10から入力した全波整流電圧Vzsを高周波波形に変換するインバータ回路11と、インバータ回路11から入力した高周波のインバータ電圧Vivを昇圧して高電圧の駆動交流電圧Voutを放電灯1に印加するトランス12とが設けられている。
【0023】
インバータ回路11は、入力側が全波整流回路10に接続されるとともに、出力側がトランス12の1次巻線13に接続されている。インバータ回路11は、全波整流回路10から入力した低い周波数(例えば60Hz)の全波整流電圧Vzsを、電圧波形が矩形波をなす高い周波数(例えば20KHz)を持ったインバータ電圧Vivに変換し、このインバータ電圧Vivをトランス12の1次巻線13に出力する。インバータ回路11は、フルブリッジ、ハーフブリッジ、プッシュプル、センタータップ、AMPの何れを採用してもよい。また、インバータ回路11は、自励式又は他励式の何れを採用してもよい。
【0024】
トランス12は、相互インダクタンスにより接続された1次巻線13及び2次巻線14からなり、1次巻線13がインバータ回路11に接続されるとともに、2次巻線14が一対の出力端子7,8を介して放電灯1に接続されている。トランス12は、インバータ回路11から入力した高周波のインバータ電圧Vivを、1次巻線13及び2次巻線14の巻線比に応じた電圧に昇圧することにより、交流波形を持つ高周波高電圧の駆動交流電圧Voutに変換し、放電灯1を点灯すべくこの駆動交流電圧Voutを放電灯1に出力する。
【0025】
また、トランス12の2次巻線14は、その中点(センタータップ)15において等分に2分割されている。本例においては、一方側(図1で紙面上側)の分割巻線を2次側第1分割巻線16とし、他方(図1で紙面下側)の分割巻線を2次側第2分割巻線17とし、これら分割巻線16,17は互いに同じ巻数を持っている。2次側第1分割巻線16は、放電灯制御回路3の出力端子7に繋がる端子(以下、左側出力端子と記す)16aと、2次巻線14を中点分割することで形成される端子(以下、左側中点端子と記す)16bとを持つ。2次側第2分割巻線17は、放電灯制御回路3の出力端子8に繋がる端子(以下、右側出力端子と記す)17aと、2次巻線14を中点分割することで形成される端子(以下、右側中点端子と記す)17bとを持つ。よって、2次巻線14は、2次側第1分割巻線16の出力端子16aと2次側第2分割巻線17の出力端子17aとで放電灯1に接続される。なお、第1分割巻線16及び第2分割巻線17が分割巻線を構成する。また、左側出力端子16aが一端子に相当し、右側出力端子17aが他端子に相当する。
【0026】
トランス12の2次側出力は、図2に示すように、駆動交流電圧Voutの高周波数成分において、一方の半周期(例えば正の半周期)の時(以下、これを左側出力電圧高電圧時と言う)には左側出力端子16aの出力電圧(以下、左側出力電圧Vlxと記す)が高電圧(分割巻線16に準ずる電圧値V1a)をとりつつ右側出力端子17aの出力電圧が低電圧をとり、他方の半周期(例えば負の半周期)の時(以下、これを右側出力電圧高電圧時と言う)には左側出力電圧Vlxが低電圧をとりつつ右側出力電圧Vrxが高電圧(分割巻線17に準ずる電圧値V1a)をとり、これが半周期ごとに交互に繰り返される電圧変化をとる。これにより、トランス12の2次側からは交流電圧、即ち駆動交流電圧Voutが生成され、これを放電灯1に印加することで放電灯1が点灯状態となる。
【0027】
また、トランス12の2次側出力回路18には、マーキュリーマイグレーションを抑制する働きを持つ出力コンデンサ19が取り付けられている。本例の出力コンデンサ19は、2次巻線14の中点15に接続され、更に詳しく言うと、2次側第1分割巻線16の左側中点端子16bと2次側第2分割巻線17の右側中点端子17bとの間に接続されている。出力コンデンサ19は、トランス12の2次側から出力されて放電灯1に供給される駆動交流電圧Voutから直流成分を除去し、この駆動交流電圧Voutを正負で偏りの少ない交流波形にする。このように、駆動交流電圧Voutがなるべく正負で偏りの少ない交流波形をとれば、その分だけマーキュリーマイグレーションが抑制されるので、放電灯1に発光ムラが生じ難くなる。なお、2次側出力回路18は、トランス12の2次巻線14と放電灯1とを繋ぐ電流ループ回路の事を言う。また、出力コンデンサ19がコンデンサに相当する。
【0028】
図1に示すように、放電灯制御回路3には、トランス12の2次側(即ち、放電灯1及びその周辺機器)を地絡から保護する地絡保護機能が設けられている。この地絡保護機能を以下に説明すると、この種の地絡保護機能付き放電灯制御回路3には、地絡保護機能を統括制御する保護制御回路20と、放電灯制御回路3の内部電源として働いてインバータ回路11や保護制御回路20に電源供給を行う制御用電源21と、トランス12の2次側における地絡を検出する地絡保護回路22とが設けられている。
【0029】
保護制御回路20は、入力側が地絡保護回路22に接続されるとともに、出力側がインバータ回路11に接続されている。保護制御回路20は、地絡保護回路22から入力する各種検出通知を基に、インバータ回路11の動作状態を切り換えることにより、放電灯1の点灯状態を制御する回路である。本例の保護制御回路20は、インバータ回路11の動作を許可又は停止することにより、放電灯制御回路3の電源スイッチ(主電源:図示略)がオン状態(オン操作位置)にあることに拘わらず、放電灯1を点灯及び消灯の間で切り換えることが可能である。
【0030】
また、制御用電源21は、トランス12の1次側に接続された1次側補助巻線23に入力側が接続されるとともに、保護制御回路20に電源を供給すべく出力側が保護制御回路20に接続されている。制御用電源21は、全波整流回路10側から取得する全波整流電圧Vzsと、1次側補助巻線23から取得した補助電圧Vfjとを基に動作する。制御用電源21は、これら電圧Vzs,Vfjを、インバータ回路11や保護制御回路20が動作するのに必要な電圧に変換し、これをインバータ回路11や保護制御回路20の電源としてこれらに出力する。
【0031】
地絡保護回路22は、入力側がトランス12の2次巻線14の中点15に配線接続され、出力側が保護制御回路20に接続されている。地絡保護回路22の入力側を更に詳しく述べると、地絡保護回路22の入力側は、2次側第1分割巻線16の端子16bに第1配線25を介して接続されるとともに、2次側第2分割巻線17の端子17bに第2配線26を介して接続される。地絡保護回路22は、2次巻線14の中点15に発生する電圧に基づいて検出された電圧(以下、地絡検出電圧Vmxと記す)の値を監視することにより、トランス12の2次側における地絡の有無判定を行う。
【0032】
2次側第1分割巻線16の端子16bと地絡保護回路22との間には、第1配線25上において第1ダイオード27が接続されている。また、2次側第2分割巻線17の端子17bと地絡保護回路22との間には、第2配線26上において第2ダイオード28が接続されている。これらダイオード27,28は、アノードが中点15に接続され、カソードが地絡保護回路22に接続されている。ところで、本例は第1配線25と第2配線26とを終端で結線してこれを地絡保護回路22に接続するので、左側中点端子16bの電圧(以下、左側中点電圧Vlmと記す)と、右側中点端子17bの電圧(以下、右側中点電圧Vrmと記す)との合成電圧が地絡検出電圧Vmxとして地絡保護回路22に出力される。ダイオード27,28は、これら中点電圧Vlm,Vrmが「0」電位をとる際にこれをカットして、2つの中点電圧Vlm,Vrmのうち高電圧側のものを地絡検出電圧Vmxとして地絡保護回路22に出力するように働く。なお、ダイオード27,28がインピーダンス素子に相当し、左側中点電圧Vlmが第1中点電圧に相当し、右側中点電圧Vrmが第2中点電圧に相当する。
【0033】
ところで、図2に示すように、正常点灯状態(非地絡状態)の場合、中点電圧Vlm,Vrmはともにアース電位以下の電圧値をとる状態となるので、これら電圧Vlm,Vrmはともに地絡判定レベルVmkを下回る値をとる。よって、地絡保護回路22は、地絡検出電圧Vmxが地絡有無判定用の閾値Vmsを下回る(Vmx<Vmsが成立)ことを認識するので、トランス12の2次側には地絡が発生していないと判定し、放電灯制御回路3による放電灯1の点灯動作の継続を許可する。一方、図3及び図4に示すように、トランス12の2次側に地絡が発生すると、左側中点電圧Vlm若しくは右側中点電圧Vrmが+電位側に大きく持ち上がって、この持ち上がった側が地絡判定レベルVmk以上の値をとる。このとき、地絡保護回路22は、地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上の値をとる(Vmx≧Vmsが成立)ことを認識するので、トランス12の2次側に地絡が発生したと判定して、その旨を通知する地絡検出信号Saを保護制御回路20に出力する。なお、地絡判定レベルVmkは、左側中点電圧Vlmや右側中点電圧Vrmがこの電圧値を超えたらトランス12の2次側に地絡が発生しているとみなし得る値に設定されている。
【0034】
また、放電灯制御回路3には、トランス12の2次側において過電圧を検出する過電圧検出回路(OVP)29が設けられている。過電圧検出回路29は、入力側がトランス12の2次側の過電圧検出巻線30に接続され、出力側が保護制御回路20に接続されている。過電圧検出回路29は、過電圧検出巻線30に発生する電圧をトランス12の2次側の電圧監視に使用する2次側監視電圧Vkdとして取り込み、2次側監視電圧Vkdと過電圧判定レベルVkrとを比較することにより、トランス12の2次側における過電圧の発生有無を判定する。過電圧検出回路29は、2次側監視電圧Vkdが過電圧判定レベルVkr以上となる(Vkd≧Vkrが成立)とトランス12の2次側に過電圧が発生したと判定し、その旨を通知する過電圧検出信号Sbを保護制御回路20に出力する。なお、過電圧判定レベルVkrは、2次側監視電圧Vkdがこの電圧を超えるとトランス12の2次側に過電圧が生じていると判定し得る値に設定されている。
【0035】
保護制御回路20は、地絡保護回路22及び過電圧検出回路29から出力される各種検出通知を逐次監視するとともに、トランス12の2次側において地絡や過電圧が発生していないか否か確認する。保護制御回路20は、地絡保護回路22から地絡検出信号Saを受け付けたり、或いは過電圧検出回路29から過電圧検出信号Sbを受け付けたりすると、駆動状態のインバータ回路11を強制的に停止して、点灯状態にある放電灯1を強制的に消灯する。
【0036】
次に、本例の地絡保護機能付き放電灯制御回路3の動作を説明する。
まずは、図2に示すように、放電灯1が正常点灯状態の場合を想定すると、この正常点灯状態においては、駆動交流電圧Voutの半周期(例えば、正の半周期)で左側出力電圧Vlxが高電圧V1aとなる状態(図2の実線波形の状態)をとり、次の半周期(例えば、負の半周期)で右側出力電圧Vrxが高電圧V1aとなる状態(図2の破線波形の状態)をとり、この電圧変化が半周期ごとに交互に繰り返される。これにより、放電灯1には、トランス12から高周波高電圧の駆動交流電圧Voutが印加され、この駆動交流電圧Voutによって放電灯1が点灯状態をとる。
【0037】
また、この正常点灯時において、左側出力電圧Vlxが高電圧状態のとき、左側出力電圧Vlxは左側中点電圧Vlmを「0」電位とした電圧V1aをとるので、左側中点電圧Vlmはアース電位をとり、それに伴い出力コンデンサ19の電圧下降によって、右側中点電圧Vrmは出力コンデンサ19で発生する電圧Vcx分だけ低い電圧をとる。そして、右側出力電圧Vrxは、アース電位よりも降下電圧Vcx分だけ低い値から立ち上がった電圧値をとる。よって、2次巻線14の中点15から地絡検出電圧Vmxとして地絡保護回路22に出力される左側中点電圧Vlmは「0」電位の電圧をとって地絡判定レベルVmkよりも低い値となるので、地絡検出電圧Vmxは閾値Vmsに到達しない。これにより、地絡保護回路22は、トランス12の2次側に地絡が発生していないと判定して、地絡検出信号Saを保護制御回路20には出力せず、放電灯制御回路3による放電灯1の点灯駆動を許可する。また、右側出力電圧Vrxが高電圧のときは、左側出力電圧Vlxが高電圧状態のときと左右が逆のことが起きているので、この時の動作状態の説明は省略する。
【0038】
一方、図3に示すように、トランス12の2次側が左側で地絡した場合を想定すると、この左側地絡時においては、トランス12の2次側においてその左側に地絡抵抗32が発生して、この地絡抵抗32に地絡電流Ikが流れる状態をとる。ここで、左側地絡時は、左側出力電圧高電圧時よりも右側出力電圧高電圧時の方がトランス12の2次側の電圧分布が崩れることから、左側出力電圧高電圧時よりも右側出力電圧高電圧時の方が地絡電流感度(地絡電流検知レベル)は高くなるので、右側出力電圧高電圧時に地絡が検出される。なお、地絡電流感度とは、地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達する時にトランス12の2次側出力回路18(地絡抵抗32)に流れ得る地絡電流Ikの大きさに相当するもの(感度限界)であって、この値が小さければトランス12の2次側に少ない地絡電流Ikが流れただけで地絡が検出される状態となる。よって、左側地絡時は右側出力電圧高電圧の時に地絡が検出されるので、右側出力電圧高電圧時の動作推移のみ説明する。
【0039】
左側地絡が発生すると、この時は出力コンデンサ19の電圧降下分が左右で分配されるので、それまでアース電位よりも出力コンデンサ19の降下電圧Vcx分だけ低い位置にあった出力電圧最小点Pbsが+電位側に持ち上がり、アース電位に近づく値をとる。地絡電流Ikが少量のみトランス12の2次側に流れる時、左右の中点電圧Vlm,Vrmはともに地絡判定レベルVmkよりも低い値をとりつつも右側中点電圧Vrmの方が左側中点電圧Vlmよりも高い値をとるので、右側中点電圧Vrmに準ずる電圧値が地絡検出電圧Vmxの初期値の電位Vstとして地絡保護回路22に出力される。
【0040】
ところで、トランス12の2次側における出力電圧Vlx,Vrxは、地絡電流Ikが増加するに連れて地絡側の出力電圧が徐々に減少していき、非地絡側の出力電圧が徐々に増加する電圧変化をとる。よって、左側地絡時に地絡電流Ikが徐々に増加すると、この電流増加に伴って左側出力電圧Vlxが徐々に減少していき、右側出力電圧Vrxは徐々に増加していく。そして、この電圧変化に伴って出力電圧最小点Pbsが左側に移動するとともに、左側中点電圧Vlmが徐々に減少する電圧変化をとるが、右側中点電圧Vrmはこれとは逆に徐々に増加する電圧変化をとる。これにより、地絡電流Ikが増加するに連れて右側中点電圧Vrm、即ち地絡検出電圧Vmxが徐々に増加していく。地絡保護回路22は、右側中点電圧Vrmが地絡判定レベルVmk以上になったこと、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上となったことを認識すると、トランス12の2次側に地絡が発生したと判定して保護制御回路20に地絡検出信号Saを出力し、保護制御回路20に放電灯1の点灯を強制終了させる。
【0041】
一方、図4に示すように、トランス12の2次側が右側で地絡した場合を想定すると、この右側地絡時においては、トランス12の2次側においてその右側に地絡抵抗33が発生して、この地絡抵抗33に地絡電流Ikが流れる状態をとる。ところで、右側地絡時は、左側地絡時の時と同様の理由を根拠に、左側出力電圧高電圧の時の方が右側出力電圧高電圧の時よりもトランス12の2次側の電圧分布が崩れることから、右側出力電圧高電圧よりも左側出力電圧高電圧時の方が地絡電流感度(地絡電流検知レベル)は高くなるので、左側出力電圧高電圧時に地絡が検出される。よって、右側地絡時は左側出力電圧高電圧時の動作推移のみ説明する。
【0042】
右側地絡が発生すると、この時も出力コンデンサ19の降下電圧Vcx分だけ低い位置にあった出力電圧最小点Pbsが+電位側に持ち上がり、アース電位に近づく値をとる。地絡電流Ikが少量のみトランス12の2次側に流れる時も、左右の中点電圧Vlm,Vrmはともに地絡判定レベルVmkよりも低い値をとりつつもこの時は左側中点電圧Vlmの方が右側中点電圧Vrmよりも高い値をとり、この左側中点電圧Vlmに準ずる電圧値が地絡検出電圧Vmxの初期値の電位Vstとして地絡保護回路22に出力される。
【0043】
そして、この右側地絡時において地絡電流Ikが徐々に増加するに連れて、右側出力電圧Vrxが徐々に減少していき、一方で左側出力電圧Vlxが徐々に増加していく。そして、この電圧変化に伴って出力電圧最小点Pbsが右側に移動するとともに、右側中点電圧Vrmが徐々に減少する電圧変化をとるが、一方で左側中点電圧Vlmが徐々に増加する電圧変化をとる。これにより、地絡電流Ikが増加するに連れて左側中点電圧Vlm、即ち地絡検出電圧Vmxが徐々に増加していく。地絡保護回路22は、左側中点電圧Vlmが地絡判定レベルVmk以上となったこと、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上となったことを認識すると、トランス12の2次側に地絡が発生したと判定して保護制御回路20に地絡検出信号Saを出力し、保護制御回路20に放電灯1の点灯を強制終了させる。
【0044】
ところで、例えば放電灯1の配線が切れたり或いは放電灯1が割れたりするなどしてトランス12の2次側に負荷異常が発生すると、この時はトランス12の2次側に過電圧が発生する状態となる。このとき、過電圧検出回路29は、トランス12の2次側の過電圧検出巻線30から取得する2次側監視電圧Vkdが過電圧判定レベルVkrを超える状態を認識するので、この認識を経ると、過電圧検出信号Sbを保護制御回路20に出力する。保護制御回路20は、過電圧検出回路29から過電圧検出信号Sbを入力すると、放電灯1が地絡して地絡保護回路22から地絡検出信号Saを得た時と同様の方式で、放電灯1を構成的に消灯する。
【0045】
地絡保護回路22が作動して放電灯1が強制的に消灯された際、この強制消灯はインバータ回路11の駆動を強制的に停止することにより行うので、放電灯制御回路3の主電源はオン状態のままである。よって、放電灯1の地絡事故の故障修理を行う場合には、まずは放電灯制御回路3の主電源をオン状態からオフ状態に切り換えて、商用電源6の入力交流電圧Vinが放電灯制御回路3に供給される状態を解除する。そして、地絡事故の修理を行った後、放電灯1を再点灯するに際しては、放電灯制御回路3の主電源をオフ位置からオン位置に再操作する。放電灯制御回路3の主電源がオン状態となると、商用電源6の入力交流電圧Vinがフィルタ回路9→全波整流回路10→インバータ回路11を亘ってトランス12の1次巻線13に印加され、トランス昇圧後にトランス12の2次巻線14から出力される駆動交流電圧Voutが放電灯1に印加されて放電灯1が点灯を再開する。
【0046】
また、全波整流回路10と制御用電源21との間には、放電灯制御回路3の電源状態を管理する電源監視回路31が設けられている。ところで、放電灯制御回路3においては、図1に示すように、全波整流回路10とインバータ回路11との間にリップル吸収用コンデンサCrが接続されるとともに、一種の電源機能として働く電解コンデンサCsが接続されている。ここで、この種の放電灯制御回路3では、地絡等の異常により保護機能が働いた際には、保護制御回路20が持つリトライ回路(図示略)が作動して、所定回数(例えば3回)リトライを行っても異常が解消されない場合に、点灯駆動を強制終了するように動作する。本例の電解コンデンサCsは、このリトライ回路の電源として機能する。
【0047】
ところで、リップル吸収用コンデンサCrと電解コンデンサCsとが直に接続された回路を想定すると、この種のリップル吸収用コンデンサCrは大容量コンデンサであるので、リトライ回路が動作した際には、ここにチャージされた電荷が電解コンデンサCsに流れて電解コンデンサCsが高電位に維持されるように動作する。よって、この場合はリトライ回路を直ぐに解除できない状態になる。このため、地絡保護機能が働いた際に、主電源をオフ操作した直後、直ぐに主電源をオン操作しても、この時はリトライ回路の保持が解除できないので、放電灯制御回路3の出力が遮断されたままの状態になってしまう問題がある。
【0048】
そこで、本例の電源監視回路31には、リップル吸収用コンデンサCrと電解コンデンサCsとの間にトランジスタQ1が接続されている。このトランジスタQ1は、コレクタ端子がリップル吸収用コンデンサCrに接続され、エミッタ端子が電解コンデンサCsに接続され、ベース端子が全波整流回路10に接続されている。トランジスタQ1は、放電灯制御回路3の主電源のオフとともに自身もオフ動作をとり、オフ状態をとった際には、リップル吸収用コンデンサCrから電解コンデンサCsに電荷がチャージされる動作を遮断する。このとき、電解コンデンサCsは自身に接続された保護制御回路20の抵抗(図示略)により放電され、高電位に保持されることがないので、リトライ回路が直ぐに解除される。これにより、放電灯制御回路3の主電源をオフした直後に直ぐにこれをオン操作しても、この時は電源が直ぐに入り、放電灯駆動動作を直ぐに開始可能となる。
【0049】
次に、放電灯制御回路3で行う地絡電流感度測定試験について説明する。
この種の地絡保護機能付き放電灯制御回路3においては、この地絡電流Ikが予め規定された所定値(例えば15mA)以内の値をとらなければならない事がUL(Underwriters Laboratories Inc.)規格で規定されている。よって、例えば地絡保護機能付き放電灯制御回路3の出荷前においては、例えば放電灯制御回路3の製品検査として放電灯1が地絡する状態を仮想的に作り出し、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikを測定して、この地絡電流Ikが所定値内の値をとるか否かを確認する試験(地絡電流感度測定試験)を行う必要がある。
【0050】
この地絡電流感度測定試験には、図5に示すようなDモード試験と、図6及び図7に示すようなCモード試験との2種類がある。Dモード試験は、放電灯1の中点35をアース電位とし、トランス12の2次側においてその左側に可変式地絡抵抗34を接続して左側地絡を発生させ、この可変式地絡抵抗34の抵抗値を高→低と変化させてこの時に2次側に流れる地絡電流Ikを測定するとともに、トランス12の右側においても同様のことを行って、仮想的地絡状況下で地絡電流Ikを測定する試験である。また、Cモード試験は、トランス12の2次側においてその左側に可変式地絡抵抗34を接続して左側地絡を発生させ、この可変式地絡抵抗34の抵抗値を高→低と変化させてこの時に2次側に流れる地絡電流Ikを測定するとともに、トランス12の右側においても同様のことを行って、仮想的地絡状況下で地絡電流Ikを測定する試験である。
【0051】
Dモード試験で地絡電流感度測定試験を行う場合、図5に示すように、まずは放電灯1の中点35をアース接地して、この中点35をアース電位にする。このため、放電灯1の中点35を電圧基準(境目)とする放電灯1の左側端子電圧Vtaと右側端子電圧Vtbとが同じ大きさの電圧V2aをとり、これら電圧Vta,Vtbがこの電圧V2a(=V1a+Vcx/2)で安定することから、2次巻線14の出力電圧最小点Pbsはアース電位をとるとともに出力コンデンサ19の中央(真ん中)に存在することになる。これにより、2次巻線14の左側中点電圧Vlm及び右側中点電圧Vrmの両方がアース電位よりも持ち上がり、これらが地絡判定レベルVmkに到達する。よって、2次巻線14の地絡検出電圧Vmxが閾値Vms以上となることから、地絡保護回路22が地絡発生を認識することになる。
【0052】
そして、地絡保護回路22が地絡を検出するとき、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達するときにトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikを例えば検流計等で計測し、この地絡電流Ikが所定値(例えば15mA)を下回っているか否かを確認する。ここで、地絡電流Ikが所定値を下回る値をとれば、この時は地絡電流Ikの値がUL規格を満たすことからDモード試験については合格として処理し、一方で地絡電流Ikが所定値以上の値をとるのであれば、これはUL規格を満たさないので、放電灯制御回路3を製品不合格として処理する。
【0053】
一方、Cモード試験で地絡電流感度測定試験を行う場合、まずは先にトランス12の2次側において左側に可変式地絡抵抗34を接続することによりこの左側をアース接地して、左側の地絡電流感度測定を行う。なお、地絡電流感度測定の初期時においては、可変式地絡抵抗34を高抵抗にした状態で接続する。この時、トランス12の2次側は地絡状態をとるものの、2次の左側を地絡するという偏った地絡状態をとるので、この時の2次巻線14の左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxは、図6に示すように、放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の電圧値をとる。なお、本例においては、左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxが放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の中間の電圧をとるように設定する。
【0054】
続いて、可変式地絡抵抗34の抵抗値を徐々に低くしていき、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikaを徐々に増加していく。この時、地絡電流Ikaが増加していくに連れて、左側出力電圧VlxはV2b→V2c→V2dと低下していき、右側出力電圧VrxはV2e→V2f→V2aと増加し、これに伴って出力電圧最小点Pbsが2次巻線14の左側に移動する電圧変化をとる。また、この電圧変化に伴って、この時に地絡検出電圧Vmxとして出力される右側中点電圧Vrmは初期値の電位Vstから徐々に増加していき、可変式地絡抵抗34が低抵抗、即ち地絡電流Ikが大きくなった際に地絡判定レベルVmkに到達して、地絡保護回路22が地絡発生を認識する。
【0055】
そして、右側中点電圧Vrmが地絡判定レベルVmkに到達するとき、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達するときにトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikaを例えば検流計等で計測し、この地絡電流Ikが所定値(例えば15mA)を下回っているか否かを確認する。この時、地絡電流Ikaが所定値を下回れば、この時はUL規格を満たすことからCモード試験の左側地絡検査は合格として処理し、地絡電流Ikaが所定値以上の値をとれば、この時は左側の地絡電流Ikaの値がUL規格を満たさないことから製品不合格として処理する。
【0056】
2次巻線14の左側の地絡電流感度測定が終わると、今度は可変式地絡抵抗34を2次巻線14の右側に接続することによりこの右側をアース接地して、右側の地絡電流感度測定を行う。なお、右側地絡電流感度測定時も、左側地絡電流感度測定時と同様の理由から、最初は可変式地絡抵抗34を高抵抗にした状態で接続する。この時も、図7に示すように、左側地絡電流感度測定の時と同様に、2次巻線14の左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxは、放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の電圧値をとる。なお、本例においては、左側出力電圧Vlx及び右側出力電圧Vrxが放電灯正常点灯時とDモード地絡時との間の中間の電圧をとるように設定する。
【0057】
続いて、可変式地絡抵抗34の抵抗値を徐々に低くしていき、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbを徐々に増加していく。この時、地絡電流Ikbが増加していくに連れて、右側出力電圧VrxはV2g→V2h→V2iと低下していき、左側出力電圧VlxはV2j→V2k→V2aと増加し、これに伴って出力電圧最小点Pbsが2次巻線14の右側に移動する電圧変化をとる。また、この電圧変化に伴って、この時に地絡検出電圧Vmxとして出力される左側中点電圧Vlmは初期値の電位Vstから徐々に増加していき、可変式地絡抵抗34が低抵抗、即ち地絡電流Ikbが大きくなった際に地絡判定レベルVmkに到達して、地絡保護回路22が地絡発生を認識する。
【0058】
そして、左側中点電圧Vlmが地絡判定レベルVmkに到達するとき、即ち地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達するときにトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbを例えば検流計等で計測し、この地絡電流Ikbが所定値を下回れば、この時は左右両方の地絡電流Ika,Ikbの値がUL規格を満たすことから放電灯制御回路3を製品合格として処理し、地絡電流Ikbが所定値以上の値をとれば、この時は右側地絡時の地絡電流Ikの値がUL規格を満たさないので、製品不合格として処理する。
【0059】
続いて、Dモード試験の作業過程を図8に示すフロー図を用いて説明する。
ステップ100では、放電灯1の中点35をアースに接地する。
ステップ101では、放電灯制御回路3の主電源スイッチをオンする。
【0060】
ステップ102では、放電灯1が消灯したか否かを確認する。このとき、放電灯1が消灯すれば製品合格とし、放電灯1が点灯すればステップ103以降の地絡電流Ikの計測を行う。
【0061】
ステップ103では、トランス12の2次側においてその左側に可変式地絡抵抗34を接続する。なお、可変式地絡抵抗34は、その接続初期時において抵抗値が無限大に設定されている。
【0062】
ステップ104では、可変式地絡抵抗34の抵抗値を小さくする。
ステップ105では、放電灯1が消灯したか否かを確認する。放電灯1が消灯しなければステップ106に以降し、放電灯1が消灯すればステップ107に移行する。
【0063】
ステップ106では、可変式地絡抵抗34の抵抗値が0Ωか否かを確認する。可変式地絡抵抗34の抵抗値が0Ωであればステップ107に移行し、抵抗値が0Ωでなければステップ104に移行して、放電灯1が消灯するか若しくは抵抗値が0Ωになるまで、可変式地絡抵抗34の抵抗値を下げる作業を継続する。
【0064】
ステップ107では、地絡電流Ikaが所定値(例えば15mA)を下回るか否かを確認する。ここで、地絡電流Ikaが所定値を下回っていれば製品合格として処理し、地絡電流Ikaが所定値以上の値をとるならばステップ108に移行する。
【0065】
そして、ステップ108〜ステップ112において、今度は2次巻線14の右側に可変式地絡抵抗34を接続し、左側の時と同様の手順で地絡電流測定試験を行い、この時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbが所定値を下回ることが確認できれば製品合格とし、地絡電流Ikbが所定値以上の値をとるのであれば製品不合格として処理する。
【0066】
ところで、図6及び図7からも分かるように、トランス12の左側に可変式地絡抵抗34を接続してこの抵抗値を高→低に変化させた時に地絡検出電圧Vmx(左側中点電圧Vlm)がとる電圧変化と、トランス12の右側に可変式地絡抵抗34を接続してこの抵抗値を高→低に変化させた時に地絡検出電圧Vmx(右側中点電圧Vrm)がとる電圧変化とは、同じ値の電位Vstを移動開始点として+電位側に同一変化量で上昇していく変化、即ち同じ電圧変化をとることが分かる。よって、このように地絡検出電圧Vmxが地絡の左右で同じ電圧変化をとれば、地絡検出電圧Vmxが閾値Vmsに到達する時にトランス12の2次側に流れる電流量は左右で同じ(Ika=Ikbが成立)となるので、左側地絡時の地絡電流感度と右側地絡時の地絡電流感度とが同一となる。このため、マーキュリーマイグレーション抑制用に出力コンデンサ19をトランス12の2次側に取り付ける場合であっても、出力コンデンサ19を2次巻線14の中点15に接続するようにすれば、地絡の左右で地絡電流感度を同一とすることが可能となる。
【0067】
さて、本例においては、トランス12の2次側にマーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を取り付けた。このため、放電灯1の点灯時において水銀原子が灯内で偏って位置する状況が生じ難くなるので、放電灯1を一律の明るさで発光させることが可能となる。また、トランス12の2次側にこの出力コンデンサ19を取り付けるに際しては、これを2次巻線14の中点15に接続したので、左側地絡時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikaと、右側地絡時にトランス12の2次側に流れる地絡電流Ikbとが同じ値をとる。このため、左右の地絡電流感度を同じにすることが可能となる。従って、片方の地絡電流感度が過度に大きくなる状況が生じなくなり、地絡を危険度の低い方法で検出することが可能となる。
【0068】
また、放電灯制御回路3に過電圧検出回路29を設け、トランス12の2次側に過電圧が発生した際にも、放電灯1の点灯を強制的に停止する。このため、トランス12の2次側で地絡が発生した時のみならず、トランス12の2次側に過電圧が発生する時も、放電灯1の点灯を強制的に停止することが可能となる。よって、トランス12の2次側に過電圧が印加されたままの状況で放電灯1の点灯を継続させる状況が生じなくなり、放電灯1に故障が発生する状況を一層生じ難くすることが可能となる。
【0069】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)トランス12の2次巻線の中点15にマーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を接続したので、放電灯1のマーキュリーマイグレーションを低く抑えることができるとともに、トランス12の2次側が左側で地絡した時と右側で地絡した時とで両方の地絡電流感度をほぼ同一とすることができる。よって、放電灯1を均一に点灯させることができ、しかもトランス12の2次側の地絡を左右とも安全性高く検出することができる。
【0070】
(2)左側中点電圧Vlmの出力経路である第1配線25上にダイオード27を接続するとともに、右側中点電圧Vrmの出力経路である第2配線26上にも同様にダイオード28を接続した。このため、左側中点電圧Vlm及び右側中点電圧Vrmのうち仮に一方が大きく負に振れたとしても、これが「0」電位以下の値をとる時にはこの電位がカットされるので、これら中点電圧Vlm,Vrmに準ずる電圧として導出される地絡検出電圧Vmxは高電圧側に振れる。よって、例えばもし仮にこの地絡検出電圧Vmxが低い電圧値をとってしまうと、地絡を精度良く検出できなくなるが、本例においては地絡検出電圧Vmxができる限り大きな値をとるので、より精度良く地絡判定を行うことができる。特に、本例のようにダイオード27,28を使用すれば、低い電位をとることがないので、地絡検出精度の向上に非常に効果が高い。
【0071】
(3)全波整流回路10と制御用電源21との間に、放電灯制御回路3の電源状態を管理する電源監視回路31を設けた。これにより、放電灯制御回路3の主電源をオフに操作した際には、トランジスタQ1がオフとなって、リップル吸収用コンデンサCrから電解コンデンサCsに電荷がチャージされる状態が遮断されて、電解コンデンサCsの電荷が直ちに放電され、保護制御回路20に組み込まれたリトライ回路が直ぐに解除される。よって、放電灯制御回路3の主電源をオフした後に直ぐにこれをオン操作しても、放電灯制御回路3の電源が直ぐに入るので、放電灯駆動動作を直ぐに開始することができる。
【0072】
(4)マーキュリーマイグレーション抑制用の出力コンデンサ19を2次巻線14の中点15に接続したとしても、この時もDモード試験とCモード試験との両方とで問題なく地絡電流感度測定試験を実施することができる。
【0073】
(5)放電灯制御回路3に、トランス12の2次側において過電圧が発生した際に放電灯1を強制的に消灯させる過電圧検出回路29を設けた。よって、放電灯1の点灯時にトランス12の2次側において過電圧が発生する状況になったとしても、この時は過電圧検出回路29が作動して放電灯1が強制的に消灯される。このため、過電圧状態のまま放電灯1に点灯を継続させずに済むので、放電灯1が故障する状況を一層生じ難くすることができる。
【0074】
(6)地絡保護回路22で地絡を検出した時や、過電圧検出回路29で過電圧を検出した時には、インバータ回路11の駆動を強制的に停止することによって、放電灯1の点灯を強制的に停止する。ところで、この強制消灯を例えば放電灯制御回路3の電源スイッチをオン位置から強制的にオフ位置に切り換えることで行う場合を想定すると、この時は電源スイッチを無理にオン位置からオフ位置に動かす大掛かりな機構が必要になるが、本例のようにインバータ回路11を強制停止することで放電灯1を強制消灯すれば、この強制消灯が電気的なスイッチ制御のみで済むので、大掛かりな機構を用いることなく放電灯1の強制消灯を行うことができる。
【0075】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 出力コンデンサ19の数は、必ずしも1つに限定されず、複数でもよい。この場合、コンデンサ群は直列回路や並列回路をとる。
【0076】
・ 放電灯1は、外形が管状をなすものに限定されず、例えば平板形状をなすものでもよい。
・ 放電灯制御回路3は必ずしも電子ネオントランス(ET)に限らず、入力電圧をただ単に昇圧してこれを駆動交流電圧Voutとして放電灯1に供給するネオントランスでもよい。
【0077】
・ 地絡保護機能は、必ずしも地絡と過電圧との両方を見る必要はなく、少なくとも地絡を見ることができればよい。
・ 電源監視回路31は、必ずしも必要な訳ではなく、これを省略した回路構造としてもよい。
【0078】
・ 放電灯1(放電灯制御回路3)の電源は、交流電圧を供給する商用電源6に限らず、直流電圧を供給する電池(バッテリ)でもよい。
・ インピーダンス素子は、必ずしもダイオードに限らず、例えば抵抗やコンデンサ等を使用したり、或いはこれらを組み合わせたりしたものを使用してもよい。
【0079】
・ 地絡保護回路22の地絡判定は、左側中点電圧Vlm及び右側中点電圧Vrmに準ずる電圧を地絡検出電圧Vmxとして監視する判定方式に限定されない。例えば、左側中点電圧Vlmと右側中点電圧Vrmとを各々独立した電圧値として監視し、これらを各々個別の閾値と比較することにより、トランス12の2次側の地絡発生有無を判定してもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜3のいずれかにおいて、地絡検出電圧は、一方側の前記分割巻線である2次側第1分割巻線と前記コンデンサの一端子との間に発生する第1中点電圧と、他方側の前記分割巻線である2次側第2分割巻線と前記コンデンサの他端子との間に発生する第2中点電圧とに準ずる電圧であって、前記地絡検出回路は、前記合成電圧を閾値と比較することにより、トランスの2次側における地絡発生有無を監視する。
【0081】
(2)請求項1〜3、前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記放電灯制御回路は、前記入力電圧をインバータ回路で高周波に変換し、その高周波電圧を前記トランスで交流波形の高周波電圧に変換し、当該高周波電圧を前記放電灯に印加することで当該放電灯を点灯させるインバータ駆動式であり、前記地絡検出回路が地絡を検出した際には、前記インバータ回路の動作が強制的に停止されることにより、前記放電灯の点灯が強制的に停止される。この構成によれば、放電灯制御回路の主電源をオフすることなく、放電灯制御回路の電圧出力をオフすることが可能となるので、電圧出力をオフするに際して放電灯制御回路の主電源を無理にオフ状態にする必要がない。
【0082】
(3)請求項1〜3,前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記放電灯制御回路の主電源のオンオフ状態に同期して、内部の制御回路への電源供給のオンオフ状態を切り換える内部電源状態監視手段を設けた。この構成によれば、放電灯制御回路の主電源をオフした後に直ぐにこれをオン操作しても、放電灯制御回路の電源が直ぐに入るので、放電灯駆動動作を直ぐに開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】一実施形態における放電灯制御回路の具体的構成を示す回路図。
【図2】正常点灯時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図3】2次巻線が左側地絡した時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図4】2次巻線が右側地絡した時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図5】Dモード試験時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図6】Cモード試験の左側地絡時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図7】Cモード試験の右側地絡時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図8】Dモード試験の作業手順を示すフロー図。
【図9】従来における放電灯制御回路の概略構成を示す回路図。
【図10】水銀偏り発生時にトランスが放電灯に印加する電圧波形を示す波形図。
【図11】水銀偏り発生時に灯内の放電ガスの水銀原子がとる動きを示す模式図。
【図12】従来の正常点灯時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【図13】従来の地絡検出時のトランス2次側の電圧分布図と等価回路図。
【符号の説明】
【0084】
1…放電灯、3…地絡保護機能付き放電灯制御回路、12…トランス、13…1次巻線、14…2次巻線、15…中点、16…分割巻線を構成する2次側第1分割巻線、16a…一端子としての左側出力端子、17…分割巻線を構成する2次側第2分割巻線、17a…他端子としての右側出力端子、19…コンデンサとしての出力コンデンサ、24…地絡検出回路、27…インピーダンス素子を構成するダイオード、28…インピーダンス素子を構成するダイオード、Vin…入力電圧としての入力交流電圧、Vout…出力電圧としての駆動交流電圧、Vmx…地絡検出電圧、Vlm…第1中点電圧としての左側中点電圧、Vrm…第2中点電圧としての右側中点電圧。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を昇圧するトランスの2次巻線の中点に地絡検出回路を接続して当該2次巻線を分割巻線とし、前記トランスの1次巻線及び前記分割巻線の巻線比に応じた値に前記入力電圧を昇圧し、当該昇圧後の交流波形の出力電圧を放電灯に供給して当該放電灯を点灯させ、当該点灯時に前記中点に発生する中点電圧を前記地絡検出回路で監視し、当該地絡検出回路が地絡を検出した際には前記点灯を強制的に停止する地絡保護機能付き放電灯制御回路において、
前記2次巻線の前記中点に、前記出力電圧の直流成分を除去するコンデンサを接続したことを特徴とする地絡保護機能付き放電灯制御回路。
【請求項2】
前記コンデンサと前記地絡検出回路との間に、一方側の前記分割巻線である2次側第1分割巻線と前記コンデンサの一端子との間に発生する第1中点電圧と、他方側の前記分割巻線である2次側第2分割巻線と前記コンデンサの他端子との間に発生する第2中点電圧とのうち、高い方の電圧を地絡検出電圧として出力させるインピーダンス素子を設けたことを特徴とする請求項1に記載の地絡保護機能付き放電灯制御回路。
【請求項3】
前記インピーダンス素子は、アノードが前記2次巻線側に接続され、カソードが前記地絡検出回路側に接続されたダイオードであることを特徴とする請求項2に記載の地絡保護機能付き放電灯制御回路。
【請求項1】
入力電圧を昇圧するトランスの2次巻線の中点に地絡検出回路を接続して当該2次巻線を分割巻線とし、前記トランスの1次巻線及び前記分割巻線の巻線比に応じた値に前記入力電圧を昇圧し、当該昇圧後の交流波形の出力電圧を放電灯に供給して当該放電灯を点灯させ、当該点灯時に前記中点に発生する中点電圧を前記地絡検出回路で監視し、当該地絡検出回路が地絡を検出した際には前記点灯を強制的に停止する地絡保護機能付き放電灯制御回路において、
前記2次巻線の前記中点に、前記出力電圧の直流成分を除去するコンデンサを接続したことを特徴とする地絡保護機能付き放電灯制御回路。
【請求項2】
前記コンデンサと前記地絡検出回路との間に、一方側の前記分割巻線である2次側第1分割巻線と前記コンデンサの一端子との間に発生する第1中点電圧と、他方側の前記分割巻線である2次側第2分割巻線と前記コンデンサの他端子との間に発生する第2中点電圧とのうち、高い方の電圧を地絡検出電圧として出力させるインピーダンス素子を設けたことを特徴とする請求項1に記載の地絡保護機能付き放電灯制御回路。
【請求項3】
前記インピーダンス素子は、アノードが前記2次巻線側に接続され、カソードが前記地絡検出回路側に接続されたダイオードであることを特徴とする請求項2に記載の地絡保護機能付き放電灯制御回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−205871(P2009−205871A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45151(P2008−45151)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]