説明

地質調査装置

【課題】重錘の自由落下による貫入ロッドの打ち込み動作が迅速且つ効率的に行え、装置全体の構成を簡素化して、地質調査装置の小型化及び軽量化、製作費の低減を図ることができる地質調査装置を提供する。
【解決手段】地質調査装置1を構成する装置本体2を起立姿勢に保持して、装置本体2の筒状収容部3に垂設した貫入ロッド4を地盤Cに貫入する。筒状収容部3内の重錘下降位置B1に落下された重錘5を永久磁石6で吸着した後、永久磁石6で吸着した重錘5を、磁石昇降装置7により重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1に上昇させる。永久磁石6で吸着した重錘5を重錘下降位置B1の当接部3cに当接して自由落下させ、重錘5の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッド4を地盤Cに打ち込んで、実際に打ち込まれた貫入ロッド4の貫入長さに基づいて、例えば地盤の硬軟、締まり具合、地盤支持強度等の地質に関する所定項目を調査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば地盤の硬軟、締まり具合、地盤支持強度等の地盤に関する所定項目を調査する地質調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記地盤に関する所定項目を調査する地質調査装置としては、例えばボーリングロッドを、打撃用ウエイトの自由落下時に生じる打撃加重により地盤内に打ち込んで調査する地盤貫入試験装置がある(特許文献1参照)。この地盤貫入試験装置は、吊上げ機構のフック部を打撃用ウエイト上部に係止した後、吊上げ機構全体を、リニア駆動機構により所望する高さに上昇させる。吊上げ機構全体を所望する高さに上昇停止した後、フック部の係止を解除して、打撃用ウエイトを所望する高さから自由落下させ、その落下時に生じる打撃加重によりボーリングロッドを地盤内に打ち込むものもある。
【特許文献1】特開2001−348858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記地盤貫入試験装置は、吊上げ機構全体を所望する高さに上昇させる際に、吊上げ機構のフックを打撃用ウエイト上部に係止する。打撃用ウエイトを自由落下させる際には、打撃用ウエイト上部からフック部を離脱させて係止解除するので、フックを係止する動作及び係止を解除する動作に時間が掛かる。また、フック以外の方法として、例えば爪をウエイトに係止するか、ハンガーでウエイトを保持する等して所望する高さに上昇する吊上げ機構があるが、前述と同様に、爪を係止する動作及びハンガーで保持する動作に時間が掛かるため、ボーリングロッドを地盤に打ち込む動作が迅速に行えない。
【0004】
この発明は前記問題に鑑み、重錘の自由落下による貫入ロッドの打ち込み動作が迅速且つ効率的に行え、装置全体の構成を簡素化して、地質調査装置の小型化及び軽量化、製作費の低減を図ることができる地質調査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明の地質調査装置は、重錘を所定高さから自由落下させた際に生じる衝撃により、装置本体に垂設した貫入ロッドを地盤に打ち込んで地質の所定項目を調査する地質調査装置であって、前記貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、該貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドする重錘ガイド手段と、前記重錘を吸着するのに必要な磁力に励磁された磁石を、該磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇される磁石上昇位置と、前記自由落下した重錘が吸着される磁石下降位置との間で移動する磁石移動手段と、前記磁石の磁力に抗して、前記磁石上昇位置に上昇された磁石から該磁石に吸着された重錘を分離する重錘分離手段と、前記重錘の自由落下により地盤に打ち込まれた貫入ロッドの貫入長さを測定する貫入長さ測定手段と、前記磁石移動手段の駆動及び停止と、前記貫入長さ測定手段の測定動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
この発明によると、貫入ロッドの先端を所望する長さ地盤に貫入するか、地盤に接地した後、制御手段により磁石移動手段を駆動して、磁石を、磁石昇降手段により磁石下降位置へ移動させ、重錘下降位置に自由落下された重錘を磁石で吸着する。重錘が吸着された磁石を、磁石昇降手段により磁石上昇位置に移動させる。この後、磁石の磁力に抗して、重錘分離手段により磁石から重錘を強制的に分離して自由落下させ、重錘の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッドを地盤に打ち込む。また、貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、重錘ガイド手段により貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドするので、重錘の自由落下時に生じる衝撃が、貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に対して加えられる。重錘を所望する回数だけ自由落下させて、貫入ロッドを地盤に打ち込んだ後、制御手段により磁石移動手段を停止させ、地盤に打ち込まれた貫入ロッドの貫入長さを貫入長さ測定手段により測定するものである。
【0007】
前記磁石は、例えば重錘を吸着するのに必要な磁力に励磁された永久磁石等で構成することができる。また、重錘ガイド手段は、例えば重錘が上下移動自在に収容された筒状収容部、或いは、重錘が上下移動自在に取り付けられた棒状又は軸状の案内部材等で構成することができる。また、磁石移動手段は、例えば磁石に連結されたワイヤと、ワイヤを巻回するプーリと、プーリを巻取り方向と巻戻し方向へ回転するモータを備えた磁石昇降装置、或いは、磁石が取り付けられたチェーン等の無端帯を周回方向へ回転する磁石周回装置等で構成することができる。また、重錘分離手段は、例えば所定高さに上昇された重錘に対して当接される段部、突起等の当接部で構成することができる。また、貫入長さ測定手段は、例えば超音波センサ、光電センサ等の距離検出センサで構成することができる。また、制御手段は、例えばPIC(Peripheral Interface Controller=周辺機器接続制御用IC)、CPU、ROM、RAMを備えた制御回路等の制御装置で構成することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明の地質調査装置は、重錘を所定高さから自由落下させた際に生じる衝撃により、装置本体に垂設した貫入ロッドを地盤に打ち込んで地質の所定項目を調査する地質調査装置であって、前記貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、該貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドする重錘ガイド手段と、前記重錘を吸着するのに必要な磁力に励磁される磁石を、該磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇される磁石上昇位置と、前記自由落下した重錘が吸着される磁石下降位置との間で移動する磁石移動手段と、前記磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇された際に前記磁石の励磁を解除し、前記自由落下された重錘を吸着する際に前記磁石を励磁する励磁制御手段と、前記重錘の自由落下により地盤に打ち込まれた貫入ロッドの貫入長さを測定する貫入長さ測定手段と、前記磁石移動手段の駆動及び停止と、前記貫入長さ測定手段の測定動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明によると、貫入ロッドの先端を所望する長さ地盤に貫入するか、地盤に接地した後、制御手段により磁石移動手段を駆動して、磁石を、磁石昇降手段により磁石下降位置へ移動させる。重錘を吸着する際に磁石を励磁制御手段で励磁して、重錘下降位置に自由落下された重錘を磁石で吸着する。重錘が吸着された磁石を、磁石昇降手段により磁石上昇位置に移動させる。磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇された際に、磁石の励磁を励磁制御手段で解除して、磁石から重錘を分離して自由落下させ、重錘の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッドを地盤に打ち込む。また、貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、重錘ガイド手段により貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドするので、重錘の自由落下時に生じる衝撃が、貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に対して加えられる。重錘を所望する回数だけ自由落下させて、貫入ロッドを地盤に打ち込んだ後、制御手段により磁石移動手段を停止させ、地盤に打ち込まれた貫入ロッドの貫入長さを貫入長さ測定手段により測定するものである。
【0010】
前記磁石は、例えば重錘を吸着する際に励磁され、重錘を落下させる際に励磁が解除される電磁石等で構成することができる。また、励磁制御手段は、例えばマグネットスイッチ、近接スイッチ、光電スイッチ、リミットスイッチ等の磁石を検出する検出スイッチと、その検出スイッチから出力される検出信号に基づいて、磁石の励磁を制御する制御装置等で構成することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明の地質調査装置は、前記請求項1又は2に記載の構成と併せて、前記重錘ガイド手段を、前記重錘の収容が許容される大きさ及び形状の筒状収容部で構成したことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、筒状収容部に収容された重錘を、筒状収容部内面に沿って貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドする。
【0013】
請求項4に記載した発明の地質調査装置は、前記請求項1に記載の構成と併せて、前記重錘分離手段を、前記磁石移動手段により重錘上昇位置に上昇された重錘に対して当接される当接部で構成したことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、磁石で吸着した重錘を、磁石移動手段により重錘下降位置から重錘上昇位置に上昇させて当接部に当接し、その当接時に生じる反力により、磁石の磁力に抗して、磁石から重錘を強制的に分離して自由落下させる。前記当接部は、例えば段部、突起等で構成することができる。
【0015】
請求項5に記載した発明の地質調査装置は、前記請求項1〜4のいずれか一つに記載の構成と併せて、前記磁石移動手段を、前記磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇される磁石上昇位置と、前記自由落下した重錘が吸着される磁石下降位置とに前記磁石を昇降する磁石昇降手段で構成したことを特徴とする。
【0016】
この発明によると、磁石を、磁石昇降手段により磁石下降位置に下降させて、重錘下降位置に自由落下された重錘を磁石で吸着する。重錘が吸着された磁石を、磁石昇降手段により磁石上昇位置に上昇させるので、貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて昇降することができる。前記磁石昇降手段は、例えば磁石に連結されたワイヤと、ワイヤを巻回するプーリと、プーリを巻取り方向と巻戻し方向へ回転するモータを備えた磁石昇降装置等で構成することができる。
【0017】
請求項6に記載した発明の地質調査装置は、前記請求項1〜4のいずれか一つに記載の構成と併せて、前記磁石移動手段を、前記自由落下した重錘が吸着される重錘下降位置から、該磁石で吸着した重錘が自由落下される重錘上昇位置に向けて前記磁石を周回移動する磁石周回手段で構成したことを特徴とする。
【0018】
この発明によると、磁石を、磁石周回手段により重錘下降位置から重錘上昇位置へ周回移動させ、重錘下降位置に自由落下された重錘を磁石で吸着して重錘上昇位置へ上昇させるので、例えばモータ等の駆動手段を正逆回転するか駆動及び停止する必要がない。前記磁石周回手段は、例えば磁石が取り付けられたループ状のチェーンと、チェーンが掛け渡された上下のスプロケットと、スプロケットを回転するモータ等を備えた磁石周回装置等で構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、磁石で吸着した重錘を重錘上昇位置へ上昇させ際に、磁石から重錘を分離して自由落下させた際に生じる衝撃により貫入ロッドを地盤へ打ち込むので、従来例のようにフックや爪を重錘に係止及びその係止を解除するか、ハンガーで保持及びその保持を解除する等の動作や機構が不要であり、重錘の自由落下による貫入ロッドの打ち込み動作が迅速且つ効率的に行える。また、装置全体の構成が簡素化されるため、地質調査装置の小型化及び軽量化、製作費の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明は、重錘の自由落下による貫入ロッドの打ち込み動作が迅速且つ効率的に行え、装置全体の構成を簡素化して、地質調査装置の小型化及び軽量化、製作費の低減を図ることができるという目的を、磁石で吸着した重錘を重錘上昇位置へ上昇させ際に、磁石から重錘を分離して自由落下させた際に生じる衝撃により貫入ロッドを地盤に打ち込むことで達成した。
【実施例】
【0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0022】
図面は、重錘の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッドを地盤に打ち込んで所定項目を調査する地質調査装置を示し、図1〜図4に於いて、この地質調査装置1は、箱形状に形成された装置本体2の下面側中央部に、上端部と下端部が閉塞された筒状収容部3を下方に向けて略垂直に固定している。また、筒状収容部3の下端側中心部に、所定長さに形成された貫入ロッド4を下方に向けて略垂直に固定している。また、筒状収容部3内に、貫入ロッド4を打ち込むのに必要な衝撃を付与する重錘5と、重錘5を上昇するのに必要な磁力に励磁された永久磁石6を上下移動自在に収容している。
【0023】
つまり、筒状収容部3に収容された重錘5を永久磁石6で吸着した後、永久磁石6で吸着した重錘5を、後述する磁石昇降装置7により筒状収容部3内に設定した下位側の重錘下降位置B1から上位側の重錘上昇位置A1に上昇させる。重錘上昇位置A1において、永久磁石6から重錘5を強制的に分離して自由落下させ、その自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッド4を地盤Cに打ち込んで地質の所定項目を調査するものである。
【0024】
筒状収容部3に収容された重錘5と永久磁石6は、貫入ロッド4と同一軸芯上に配置され、筒状収容部3の内面に沿って貫入ロッド4が地盤Cに対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて昇降ガイドされる。なお、貫入ロッド4の先端部は、先端に向けて徐々に細くなる形状(例えば尖鋭形状)に形成している。
【0025】
筒状収容部3は、重錘5が収容される下側収容部3aと、永久磁石6のみが収容される上側収容部3bを上下に形成している。上側収容部3bよりも横断面が大きい下側収容部3aは、重錘5の収容が許容される大きさ及び形状に形成されている(図1参照)。また、下側収容部3aよりも横断面が小さい上側収容部3bは、永久磁石6のみの収容が許容される大きさ及び形状に形成されている。
【0026】
また、下側収容部3aと上側収容部3bの間に生じる段差部分には、永久磁石6で吸着した重錘5の上端側外周縁部に対して当接される当接部3cを形成している。つまり、当接部3cは、永久磁石6で吸着した重錘5を、後述する磁石昇降装置7により筒状収容部3内に設定した重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させた際に該重錘5の上端側外周縁部に当接される。その当接時に生じる反力により、永久磁石6の磁力に抗して、重錘5を永久磁石6から強制的に分離して自由落下させる。
【0027】
当接部3cは、重錘5の重錘上昇位置A1と対応して装置本体2下面と略水平となる高さであって、重錘上昇位置A1に上昇された重錘5の上端側外周縁部に対して当接される高さ位置に設けられている。また、当接部3cは、永久磁石6の昇降が許容される大きさ及び形状に形成され、重錘5の上面側外周縁部に対して当接される大きさ及び形状に形成している。また、下側収容部3aから上側収容部3bに向けて徐々に狭くなるテーパ面に形成しているので、永久磁石6を下側収容部3aから上側収容部3bへ上昇させる際に、上側収容部3b内に向けて永久磁石6が収容ガイドされる。
【0028】
磁石昇降装置7は、永久磁石6上端に連結されたワイヤ7aと、ワイヤ7a上端が固定されたプーリ7bと、プーリ7b中心に直結されたモータ7cで構成され、装置本体2内の右側上部に配置されている。
【0029】
ワイヤ7a下端は、筒状収容部3の上端側中心部に形成した挿通孔3dを介して、筒状収容部3内に収容された永久磁石6上端に連結している。また、ワイヤ7a上端は、モータ7cが直結されたプーリ7bに固定している。
【0030】
モータ7cは、後述するバッテリーで構成される電源8に接続されており、後述する制御装置20(図5参照)から出力される指令信号により正逆回転される。また、後述する上昇スイッチ10と下降スイッチ11のスイッチ操作により正逆回転することもできる。
【0031】
つまり、モータ7cを下降方向へ回転駆動して、プーリ7bを巻取り方向へ回転させ、永久磁石6に連結されたワイヤ7aをプーリ7bに巻き取ることにより、永久磁石6を、筒状収容部3内面に沿って磁石下降位置B2(図2参照の実線)から磁石上昇位置A2(図3参照の実線)へ上昇する。また、モータ7cを上昇方向へ回転駆動して、プーリ7bを巻戻し方向へ回転させ、永久磁石6に連結されたワイヤ7aをプーリ7bから巻き戻すことにより、永久磁石6を、筒状収容部3内面に沿って磁石上昇位置A2から磁石下降位置B2へ下降する。このように、永久磁石6を磁石上昇位置A2と磁石下降位置B2へ昇降することにより、貫入ロッド4と同一軸芯上に配置された重錘5を、貫入ロッド4が地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて昇降することができる。
【0032】
重錘5は、貫入ロッド4を打ち込むのに必要な重量に形成され、重錘5全体又は永久磁石6が吸着される部分を磁力により吸着可能な金属で構成している。また、重錘5の外観を、筒状収容部3の下側収容部3aに対して上下移動が許容される大きさ及び形状に形成している。実施例では、5kgの重錘5を、50cmの落下高さから自由落下するが、重錘5の重量を、例えば5kg以下又は5kg以上の重量に変更してもよい。また、後述する落下距離b1,b2と対応する重錘5の落下高さを、例えば50cm以下又は50cm以上の高さに変更してもよい。
【0033】
永久磁石6は、重錘5を吸着するのに必要な磁力に励磁された永久磁石で構成され、永久磁石6の外観を、筒状収容部3の上側収容部3bに対して上下移動が許容される大きさ及び形状に形成している。
【0034】
装置本体2側面には、電源8から供給される電力を各部へ通電するための電源スイッチ9と、磁石昇降装置7を上昇動作するための上昇スイッチ10と、下降するための下降スイッチ11を配置している。また、装置本体2下面には、重錘上昇位置A1に上昇された重錘5上端部と対応する装置本体2下面から貫入ロッド4が接地又は貫入された地盤Cまでの距離を測定するための距離検出センサ12を配置している。また、装置本体2上面には、貫入ロッド4の打ち込み動作を手動及び自動に切換えるための切換えスイッチ13と、貫入ロッド4の打ち込み回数や貫入長さ等を表示する表示器14と、装置全体の姿勢を調整するための水平器15とを配置している。
【0035】
また、磁石昇降装置7と、電源スイッチ9と、上昇スイッチ10と、下降スイッチ11と、距離検出センサ12と、切換えスイッチ13と、表示器14と、後述する上昇検出スイッチ16と、下降検出スイッチ17と、正逆回路18と、トランス19とは、後述する制御装置20に接続されている(図5参照)。
【0036】
電源8は、地質調査装置1を駆動するのに必要な電力が蓄電されたバッテリーで構成され、磁石昇降装置7のモータ7cへ供給される電力を正逆切換えるための後述する正逆回路18と、回路を駆動するのに適した電圧に変圧するトランス19を介して、制御装置20に接続されている。なお、バッテリーに代えて、例えば家庭用や工業用の外部電源、太陽光発電装置等を電源8として用いてもよい。また、トランス19に代えて、電力を交流から直流へ変換するとともに、回路を駆動するのに適した電圧に変圧する整流回路を用いてもよい。
【0037】
距離検出センサ12は、波長の短い検出波D(例えば超音波)を地盤Cに向けて発信する図示しない発信部と、その地盤Cが反射した検出波Dを受信する図示しない受信部とを備えたセンサ(例えば超音波センサ)で構成され、重錘上昇位置A1に上昇された重錘5上端部と対応する装置本体2下面に対して下向きに取り付けられている。この距離検出センサ12は、貫入ロッド4の打ち込み開始前及び打ち込み終了後において、発信部から発信される検出波Dを、貫入ロッド4が貫入された地盤Cに向けて略垂直に当てる。地盤Cが反射する検出波Dを受信部で受信して、その受信した検出信号を制御装置20へ出力する。
【0038】
表示器14は、7セグメント式のデジタル表示器で構成され、作業者の目で読取り可能に設けられている。この表示器14は、制御装置20から出力される貫入ロッド4の打ち込み回数、貫入ロッド4の貫入長さ等の打ち込み情報を表示する。また、デジタル表示器に代えて、アナログ表示器で表示してもよい。
【0039】
水平器15は、液体が封入された水準器で構成され、作業者の目で読取り可能に設けられている。この水平器15は、装置全体の姿勢を液中に封入された気泡の位置で表示する。つまり、液中の気泡が略真ん中に位置するように装置全体の姿勢を調整すれば、貫入ロッド4を地盤Cに対して略垂直に打ち込むことができる。また、液体式の水準器に代えて、レーザー水準器を用いてもよい。
【0040】
上昇検出スイッチ16と下降検出スイッチ17は、永久磁石6を検出するマグネットスイッチで構成されている。上昇検出スイッチ16は、筒状収容部3の上側収容部3b外面に設けられ、磁石昇降装置7の永久磁石6が磁石上昇位置A2に上昇されたことを検出し、その検出信号を制御装置20へ出力する。下降検出スイッチ17は、下側収容部3a外面に設けられ、永久磁石6が磁石下降位置B2に下降されたことを検出し、その検出信号を制御装置20へ出力する。制御装置20は、切換えスイッチ13の自動設定時において、上昇検出スイッチ16と下降検出スイッチ17から検出信号が出力された際に、モータ7cの駆動を即時逆転させる。また、切換えスイッチ13による手動設定時には、上昇検出スイッチ16と下降検出スイッチ17から検出信号が出力されると、モータ7cの駆動を即時停止させる。
【0041】
制御装置20は、周辺機器接続制御用IC(通称PIC)で構成され、装置本体2内の左側上部に配置されている。また、トランス19を介して電源8から供給される電力で駆動され、予め記憶された動作プログラムに沿って装置全体の動作を制御する。
【0042】
つまり、制御装置20は、貫入ロッド4の打ち込み開始前(図1参照)において、距離検出センサ12から出力される検出信号に基づいて、重錘上昇位置A1に上昇された重錘5上端部と対応する装置本体2下面から貫入ロッド4の先端が貫入された地盤Cまでの距離a1を算出する。また、全体の距離a1から重錘5の落下距離b1を減算して、貫入ロッド4の貫入距離c1を算出するとともに、その距離a1,b1,c1の情報を記憶する。
【0043】
貫入ロッド4の打ち込み終了後(図4参照)において、距離検出センサ12から出力される検出信号に基づいて、装置本体2下面から貫入ロッド4が打ち込まれた地盤Cまでの距離a2を算出する。その全体の距離a2から重錘5の落下距離b2を減算して、貫入ロッド4の残りの貫入距離c2を算出する。また、打ち込み開始前(図1参照)に算出した貫入距離c1から、打ち込み終了後(図4参照)に算出した貫入距離c2を減算して、実際に打ち込まれた貫入ロッド4の貫入距離c3を算出するとともに、その距離a2,b2,c2の情報を記憶する。
【0044】
なお、打ち込み開始前に測定される全体の距離a1は、重錘5の落下距離b1と、貫入ロッド4の貫入距離c1を加算したものと同一である。また、打ち込み終了後に測定される全体の距離a2も、重錘5の落下距離b2と、貫入ロッド4の貫入距離c2を加算したものと同一である。
【0045】
他の算出方法として、貫入ロッド4の打ち込み開始前に測定した全体の距離a1(図1参照)から、打ち込み終了後に測定した距離a2(図4参照)を減算すれば、実際に打ち込まれた貫入ロッド4の貫入距離c3を算出することができる。
【0046】
貫入ロッド4の打ち込み動作を自動で行う場合、切換えスイッチ13を自動に切換えた後、下降スイッチ11を手動によりON操作すると、制御装置20は、予め記憶された動作プログラムに沿って貫入ロッド4の打ち込み動作を自動で開始する。
【0047】
また、下降スイッチ11を手動によりON操作すると、制御装置20は、磁石昇降装置7のモータ7cを下降方向へ回転させる。プーリ7bに巻回されたワイヤ7aを巻き戻しして、永久磁石6を筒状収容部3内面に沿って磁石下降位置B2まで下降させ、下側収容部3a最下部の重錘下降位置B1に自由落下された重錘5を永久磁石6で吸着する(図1及び図2参照)。
【0048】
永久磁石6が磁石下降位置B2に降下すると、制御装置20は、下降検出スイッチ17から出力される検出信号に基づいて、磁石昇降装置7のモータ7cを上昇方向へ回転させる。ワイヤ7aをプーリ7bに巻き取り、永久磁石6を筒状収容部3内面に沿って磁石上昇位置A2まで上昇させ、永久磁石6で吸着した重錘5を筒状収容部3内面に沿って重錘上昇位置A1まで上昇させる(図3参照)。重錘上昇位置A1に上昇された重錘5は、下側収容部3aと上側収容部3bの段差部分に設けた当接部3cに当接し、永久磁石6から強制的に分離されて下側収容部3a最下部の重錘下降位置B1に自由落下される(図4参照)。
【0049】
永久磁石6が磁石上昇位置A2に上昇すると、制御装置20は、上昇検出スイッチ16から出力される検出信号に基づいて、磁石昇降装置7のモータ7cを下降方向へ回転させる。プーリ7bに巻回されたワイヤ7aを巻き戻しして、永久磁石6を筒状収容部3内面に沿って磁石下降位置B2まで下降させるので、重錘下降位置B1に自由落下した重錘5が永久磁石6で再び吸着される(図1及び図2参照)。
【0050】
永久磁石6が磁石下降位置B2に下降すると、制御装置20は、下降検出スイッチ17から出力される検出信号に基づいて、磁石昇降装置7のモータ7cを上昇方向へ回転させる。ワイヤ7aをプーリ7bに巻き取り、永久磁石6を筒状収容部3内面に沿って磁石上昇位置A2まで上昇させる。前述と同様に、永久磁石6で吸着した重錘5を重錘上昇位置A1まで上昇させて当接部3cに当接し、永久磁石6から強制的に分離させて自由落下する。このように、重錘5の自由落下による貫入ロッド4の打ち込み動作が予め設定された回数繰り返されるようにプログラムされている。
【0051】
貫入ロッド4の打ち込み動作を手動で行う場合、切換えスイッチ13を手動に切換えた後、下降スイッチ11を手動によりON操作すると、制御装置20は、磁石昇降装置7のモータ7cが下降方向へ回転する。プーリ7bに巻回されたワイヤ7aを巻き戻しし、磁石上昇位置A2に待機する永久磁石6を磁石下降位置B2まで下降させ、重錘下降位置B1に自由落下した重錘5を永久磁石6で吸着する。永久磁石6が磁石下降位置B2に下降すると、下降検出スイッチ17が永久磁石6を検出し、その検出信号を制御装置20へ出力する。制御装置20は、下降検出スイッチ17から検出信号が出力されると同時に、磁石昇降装置7のモータ7cを停止させる。
【0052】
また、上昇スイッチ10を手動によりON操作すると、制御装置20は、磁石昇降装置7のモータ7cが上昇方向へ回転する。ワイヤ7aをプーリ7bに巻き取り、永久磁石6で吸着した重錘5を重錘上昇位置A1まで上昇させて当接部3cに当接し、永久磁石6から強制的に分離させて自由落下する。永久磁石6が磁石上昇位置A2に上昇すると、上昇検出スイッチ16が永久磁石6を検出し、その検出信号を制御装置20へ出力する。制御装置20は、上昇検出スイッチ16から検出信号が出力されると同時に、磁石昇降装置7のモータ7cを停止させ、永久磁石6を磁石上昇位置A2に待機させる。
【0053】
実施例では、上昇検出スイッチ16と下降検出スイッチ17をマグネットスイッチで構成しているが、例えば近接スイッチ、光電スイッチ等の非接触式スイッチ、リミットスイッチ等の接触式スイッチで構成してもよい。
【0054】
図示実施例は前記の如く構成するものにして、以下、地質調査装置1による地質の調査方法を説明する。
【0055】
先ず、調査開始前において、水平器15の気泡の位置を見ながら、装置全体を、貫入ロッド4が地盤Cに対して略垂直に打ち込まれる起立姿勢に作業者の手で調整して、装置全体の重量を利用して貫入ロッド4の先端を所望する長さだけ地盤Cに貫入する(図1参照)。なお、装置全体の重量を付加しても貫入ロッド4が地盤Cに貫入されない場合、装置全体又は貫入ロッド4を所望する回数回転させて貫入してもよい。また、装置全体の起立姿勢を、例えば支持棒、支持脚、持枠等の支持装置で機械的に支持してもよい。
【0056】
次に、貫入ロッド4の打ち込み開始前(図1参照)において、電源スイッチ9のON操作して、距離検出センサ12から発信される検出波Dを、貫入ロッド4が貫入された地盤Cに向けて略垂直に当てる。地盤Cが反射する検出波Dを距離検出センサ12で受信し、その受信した検出信号を制御装置20へ出力する。
【0057】
制御装置20は、距離検出センサ12から出力される検出信号に基づいて、装置本体2下面から、貫入ロッド4が貫入された地盤Cまでの距離a1を算出する。また、全体の距離a1から重錘5の落下距離b1を減算して、貫入ロッド4の貫入距離c1を算出するとともに、距離a1,b1,c1の情報を記憶する。また、貫入ロッド4の先端を地盤Cに貫入せずに、貫装置本体2下面と、貫入ロッド4の先端が接地された地盤Cとの距離を、打ち込み開始前の距離情報として記憶してもよい。
【0058】
貫入ロッド4の打ち込み動作を自動で行う場合、切換えスイッチ13を自動に切換えて、下降スイッチ11を手動によりON操作すると、制御装置20は、予め記憶された動作プログラムに沿って貫入ロッド4の打ち込み動作を自動で開始する。
【0059】
つまり、下降スイッチ11をON操作すると、制御装置20は、磁石昇降装置7のモータ7cを下降方向へ回転させる。プーリ7bに巻回されたワイヤ7aを巻き戻しして、永久磁石6を磁石下降位置B2まで下降させ、下側収容部3a最下部の重錘下降位置B1に自由落下された重錘5を永久磁石6で吸着する(図1及び図2参照)。
【0060】
永久磁石6が磁石下降位置B2に降下すると、制御装置20は、下降検出スイッチ17から出力される検出信号に基づいて、磁石昇降装置7のモータ7cを上昇方向へ回転させる。ワイヤ7aをプーリ7bに巻き取り、永久磁石6を磁石上昇位置A2まで上昇させる。永久磁石6で吸着した重錘5を重錘上昇位置A1まで上昇させて当接部3cに当接し、永久磁石6から強制的に分離して下側収容部3a最下部の重錘下降位置B1に自由落下させるので、重錘5の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッド4が地盤Cに打ち込まれる(図4参照)。
【0061】
永久磁石6が磁石上昇位置A2に上昇すると、制御装置20は、上昇検出スイッチ16から出力される検出信号に基づいて、磁石昇降装置7のモータ7cを下降方向へ回転させる。プーリ7bに巻回されたワイヤ7aを巻き戻しして、永久磁石6を磁石下降位置B2まで下降させ、下側収容部3a最下部の重錘下降位置B1に自由落下した重錘5を永久磁石6で再び吸着する(図1及び図2参照)。
【0062】
永久磁石6が磁石下降位置B2に下降すると、制御装置20は、下降検出スイッチ17から出力される検出信号に基づいて、磁石昇降装置7のモータ7cを上昇方向へ回転させる。ワイヤ7aをプーリ7bに巻き取り、永久磁石6を磁石上昇位置A2まで上昇させる。永久磁石6で吸着した重錘5を重錘上昇位置A1の当接部3cに当接し、永久磁石6から強制的に分離して自由落下させる(図3参照)。このように、重錘5の自由落下による貫入ロッド4の打ち込み動作を予め設定された回数繰り返して、貫入ロッド4を地盤Cに打ち込む。
【0063】
貫入ロッド4の打ち込み終了後(図4参照)において、距離検出センサ12から発信される検出波Dを、貫入ロッド4が打ち込まれた地盤Cに向けて略垂直に当てる。地盤Cが反射する検出波Dを距離検出センサ12で受信し、その受信した検出信号を制御装置20へ出力する。
【0064】
制御装置20は、距離検出センサ12から出力される検出信号に基づいて、装置本体2下面から、貫入ロッド4が打ち込まれた地盤Cまでの距離a2を算出する。その全体の距離a2から重錘5の落下距離b2を減算して、貫入ロッド4の残りの貫入距離c2を算出する。この後、打ち込み開始前(図1参照)に算出した貫入ロッド4の貫入距離c1から、打ち込み終了後(図4参照)に算出した貫入距離c2を減算すれば、実際に打ち込まれた貫入ロッド4の貫入距離c3を算出することができる。このように、重錘5の自由落下により打ち込まれた貫入ロッド4の貫入距離c3を算出するので、例えば地盤の硬軟、締まり具合、地盤支持強度等の地質に関する所定項目を評価するのに必要な測定結果が得られる。また、表示器14は、貫入ロッド4の打ち込み回数や貫入長さ等を表示する。
【0065】
また、切換えスイッチ13を手動に切換えた後、上昇スイッチ10と下降スイッチ11を手動によりON操作して、重錘5の自由落下による貫入ロッド4の打ち込み動作を手動操作により所望する回数行ってもよい。
【0066】
以上のように、永久磁石6で吸着した重錘5を、磁石昇降装置7により重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させて当接部3cに当接し、永久磁石6から重錘5を強制的に分離して自由落下させた際に生じる衝撃により貫入ロッド4を地盤Cへ打ち込むので、従来例のようにフックや爪を重錘に係止及びその係止を解除するか、ハンガーで保持及びその保持を解除する等の動作や機構が不要であり、重錘5の自由落下による貫入ロッド4の打ち込み動作が迅速且つ効率的に行える。また、装置全体の構成が簡素化されるため、地質調査装置1の小型化及び軽量化、製作費の低減を図ることができる。
【0067】
また、貫入ロッド4と同一軸芯上に配置された重錘5を、筒状収容部3内面に沿って貫入ロッド4が地盤Cに対して略垂直に打ち込まれる上下方向に向けて落下ガイドするので、重錘5の自由落下時に生じる衝撃を、貫入ロッド4が地盤Cに対して略垂直に打ち込まれる方向に対して加えることができ、重錘5の自由落下を利用した打ち込み作業が確実に行える。
【0068】
図6は、重錘5を、チェーン28に取り付けられた永久磁石6で吸着して重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させる磁石周回装置27を備えた地質調査装置1の他の実施例を示し、磁石周回装置27は、永久磁石6が取り付けられたチェーン28を、筒状収容部3の上端側外面部に軸支したスプロケット29と、下端側外面部に軸支したスプロケット30に掛け渡して、装置本体2内の右側上部に配置したモータ31により、スプロケット31a,31b及びチェーン31cを介して、重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1に向けて図中矢印で示す周回方向Eへ回転する。
【0069】
つまり、永久磁石6を、チェーン28の回転により周回方向Eへ周回移動させながら、筒状収容部3の側面全長(重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1に至る全長)に開口した縦長の開口部3eに下端側から挿入し、上端側から抜き取る。
【0070】
筒状収容部3の重錘下降位置B1に自由落下された重錘5を永久磁石6で吸着して、開口部3eに沿って重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させる。永久磁石6で吸着した重錘5を重錘上昇位置A1へ上昇させた際に、永久磁石6で吸着した重錘5を重錘上昇位置A1の当接部3cに当接し、永久磁石6の磁力に抗して、重錘5を永久磁石6から強制的に分離して自由落下させる。重錘5の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッド4を地盤Cに打ち込むので、前記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、重錘5を吸着する際に励磁するか、重錘5を落下させる際に励磁を解除する必要がなく、モータ31を正逆回転するか駆動及び停止する必要もないので、消費電力の低減を図ることができる。
【0071】
また、永久磁石6が取り付けられたチェーン28を筒状収容部3の両側部に配置し、各永久磁石6,6が取り付けられた左右一対の各チェーン28,28を周回方向Eへ同期回転させて、筒状収容部3に収容された重錘5を左右一対の各永久磁石6,6で吸着して重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させてもよい。
【0072】
図7は、重錘5を、励磁可能な電磁石6Aで吸着して重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させる磁石昇降装置7を備えた地質調査装置1のその他の実施例を示し、電磁石6Aを、磁石昇降装置7により磁石上昇位置A2から磁石下降位置B2へ下降させた際に、制御装置20は、下降検出スイッチ17から出力される検出信号に基づいて、電磁石6Aを励磁させ、筒状収容部3の重錘下降位置B1に自由落下された重錘5を電磁石6Aで吸着する。電磁石6Aで吸着した重錘5を重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させた際に、制御装置20は、上昇検出スイッチ16から出力される検出信号に基づいて、電磁石6Aの励磁を解除し、重錘5を電磁石6Aから分離して自由落下させる。重錘5の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッド4を地盤Cに打ち込むので、前記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0073】
また、プーリ7bによるワイヤ7aの巻き取り量を検出して、電磁石6Aで吸着した重錘5を重錘上昇位置A1へ上昇したときに検出される巻き取り量と一致した際に、電磁石6Aの励磁を解除して自由落下させてもよい。なお、電磁石6Aは、図示しない電線を介して電源8と制御装置20に接続されている。また、筒状収容部3と電磁石6Aの対向面に通電が許容される接点を設けてもよい。
【0074】
図8は、重錘5を、電磁石6Aで吸着して重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させる磁石周回装置27を備えた地質調査装置1のその他の実施例を示し、電磁石6Aを、磁石周回装置27により重錘上昇位置A1から重錘下降位置B1へ周回移動させた際に、制御装置20は、下降検出スイッチ17から出力される検出信号に基づいて、電磁石6Aを励磁させ、筒状収容部3の重錘下降位置B1に自由落下された重錘5を電磁石6Aで吸着する。電磁石6Aで吸着した重錘5を重錘下降位置B1から重錘上昇位置A1へ上昇させた際に、制御装置20は、上昇検出スイッチ16から出力される検出信号に基づいて、電磁石6Aの励磁を解除し、重錘5を電磁石6Aから分離して自由落下させる。重錘5の自由落下時に生じる衝撃により貫入ロッド4を地盤Cに打ち込むので、前記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0075】
なお、図6〜図8の他の実施例に於いて、前記実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0076】
この発明の構成と、前述の実施例との対応において、
この発明の重錘ガイド手段は、実施例の筒状収容部3に対応し、
以下同様に、
重錘分離手段は、筒状収容部3の当接部3cに対応し、
請求項1の磁石は、永久磁石6に対応し、
請求項2の磁石は、電磁石6Aに対応し、
磁石移動手段は、磁石昇降手段である磁石昇降装置7と、磁石周回手段である磁石周回装置27に対応し、
貫入長さ測定手段は、距離検出センサ12に対応し、
励磁制御手段及び制御手段は、制御装置20に対応するも、
この発明は、前述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0077】
例えば重錘5(図1〜図4参照)を電磁石6A(図7参照)で吸着する構成を採用してもよい。この場合、電磁石6Aで吸着した重錘5を当接部3cに当接した際に生じるモータ7cの過電流を検出し、その検出時に出力される検出信号に基づいて、電磁石6Aの励磁を解除し、電磁石6Aから重錘5を自由落下させる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】地質調査装置を構成する磁石の下降動作を示す断面図。
【図2】重錘下降位置の重錘を磁石で吸着した状態を示す断面図。
【図3】磁石で吸着した重錘を重錘上昇位置に上昇した状態を示す断面図。
【図4】重錘の自由落下による貫入ロッドの打ち込み状態を示す断面図。
【図5】制御装置の制御系を示す回路図。
【図6】磁石を周回移動する地質調査装置の他の例を示す断面図。
【図7】重錘を電磁石で吸着する地質調査装置のその他の例を示す断面図。
【図8】電磁石を周回移動する地質調査装置のその他の例を示す断面図。
【符号の説明】
【0079】
A1…重錘上昇位置
B1…重錘下降位置
A2…磁石上昇位置
B2…磁石下降位置
C…地盤
D…検出波
1…地質調査装置
2…装置本体
3…筒状収容部
3c…当接部
4…貫入ロッド
5…重錘
6…磁石
6A…電磁石
7…磁石昇降装置
7c…モータ
8…電源
9…電源スイッチ
10…上昇スイッチ
11…下降スイッチ
12…距離検出センサ
13…切換えスイッチ
14…表示器
15…水平器
16…上昇検出スイッチ
17…下降検出スイッチ
18…正逆回路
19…トランス
20…制御装置
27…磁石周回装置
28…チェーン
29,30…スプロケット
31…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重錘を所定高さから自由落下させた際に生じる衝撃により、装置本体に垂設した貫入ロッドを地盤に打ち込んで地質の所定項目を調査する地質調査装置であって、
前記貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、該貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドする重錘ガイド手段と、
前記重錘を吸着するのに必要な磁力に励磁された磁石を、該磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇される磁石上昇位置と、前記自由落下した重錘が吸着される磁石下降位置との間で移動する磁石移動手段と、
前記磁石の磁力に抗して、前記磁石上昇位置に上昇された磁石から該磁石に吸着された重錘を分離する重錘分離手段と、
前記重錘の自由落下により地盤に打ち込まれた貫入ロッドの貫入長さを測定する貫入長さ測定手段と、
前記磁石移動手段の駆動及び停止と、前記貫入長さ測定手段の測定動作を制御する制御手段とを備えた
地質調査装置。
【請求項2】
重錘を所定高さから自由落下させた際に生じる衝撃により、装置本体に垂設した貫入ロッドを地盤に打ち込んで地質の所定項目を調査する地質調査装置であって、
前記貫入ロッドと同一軸芯上に配置された重錘を、該貫入ロッドが地盤に対して略垂直に打ち込まれる方向に向けて落下ガイドする重錘ガイド手段と、
前記重錘を吸着するのに必要な磁力に励磁される磁石を、該磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇される磁石上昇位置と、前記自由落下した重錘が吸着される磁石下降位置との間で移動する磁石移動手段と、
前記磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇された際に前記磁石の励磁を解除し、前記自由落下された重錘を吸着する際に前記磁石を励磁する励磁制御手段と、
前記重錘の自由落下により地盤に打ち込まれた貫入ロッドの貫入長さを測定する貫入長さ測定手段と、
前記磁石移動手段の駆動及び停止と、前記貫入長さ測定手段の測定動作を制御する制御手段とを備えた
地質調査装置。
【請求項3】
前記重錘ガイド手段を、前記重錘の収容が許容される大きさ及び形状の筒状収容部で構成した
請求項1又は2に記載の地質調査装置。
【請求項4】
前記重錘分離手段を、前記磁石移動手段により重錘上昇位置に上昇された重錘に対して当接される当接部で構成した
請求項1に記載の地質調査装置。
【請求項5】
前記磁石移動手段を、前記磁石で吸着した重錘が所定高さに上昇される磁石上昇位置と、前記自由落下した重錘が吸着される磁石下降位置とに前記磁石を昇降する磁石昇降手段で構成した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の地質調査装置。
【請求項6】
前記磁石移動手段を、前記自由落下した重錘が吸着される重錘下降位置から、該磁石で吸着した重錘が自由落下される重錘上昇位置に向けて前記磁石を周回移動する磁石周回手段で構成した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の地質調査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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