説明

均し具

【課題】散薬を効率よく掻き均すことで、均し作業に要する時間を短縮することができる均し具を提供する。
【解決手段】散薬分包装置100が有する散薬収容スペースSに収容された散薬を均す均し作業に用いられ、散薬を掻き均すための均し部220を有して板状に構成された本体部200を備え、該本体部200の均し部220には、前記本体部200の厚さ方向一方側から他方側、或いは、他方側から一方側へ散薬を逃す逃し部281が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬を掻き均すことができる均し具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の均し具としての散薬用ヘラとして、散薬を掻き均すための均し部を有して板状に構成された本体部を備えたものが知られている。かかる散薬用ヘラは、例えば、病院や薬局等の医療機関で散薬分包装置を用いて散薬を分包する際に、該散薬分包装置が有する散薬収容スペースに収容された散薬を均す均し作業に用いられる(例えば、下記特許文献1(段落0007、図8)参照)。
【0003】
具体的には、散薬分包装置は、散薬を所定量ずつ分包する分包手段と、該分包手段に散薬を供給する供給手段(散薬供給装置)とを備えており、該供給手段は、分包手段に供給するための散薬が収容される散薬収容スペース、即ち、固定板と、下縁部が固定板の下縁部に接離可能となるように回動可能に設けられる可動板とで形成される断面V字状の散薬収容スペースを備える。散薬用ヘラは、前記散薬収容スペースに収容された散薬に対して、前記本体部の厚さ方向一方側から他方側(或いは、他方側から一方側)の方向に移動させて前記均し部で散薬を掻き取りながら均す均し動作を複数回繰り返すことにより、散薬収容スペースに収容された散薬を、その上面が平坦となるように均すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3023134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の均し具としての散薬用ヘラにあっては、本体部の厚さ方向一方側から他方側の方向に均し動作をする場合は前記本体部の他方側に、それぞれ本体部の厚さ方向他方側から一方側の方向に均し動作をする場合は前記本体部の一方側に、前記均し部で掻き取られた散薬が徐々に集められ、均し動作の終端部である散薬収容スペースの端部において、均し部で掻き集められた多量の散薬が均し残った散薬として蓄積される。そのため、従来の散薬用ヘラでは、均し動作を何度も繰り返さなければ散薬を均すことができず、従って均し作業に要する時間が長くなり、この点で改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、上記実情に鑑みてなされ、散薬を効率よく掻き均すことで、均し作業に要する時間を短縮することができる均し具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る均し具は、散薬分包装置が有する散薬収容スペースに収容された散薬を均す均し作業に用いられ、散薬を掻き均すための均し部を有して板状に構成された本体部を備え、該本体部の均し部には、前記本体部の厚さ方向一方側から他方側、或いは、他方側から一方側へ散薬を逃す逃し部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
該構成の均し具にあっては、散薬を逃すための逃し部が均し部に設けられているので、均し動作の際に、均し部で掻き取られる散薬を、逃し部を介して逃すことができる。具体的には、例えば、本体部の厚さ方向一方側から他方側へ向けて均し具を移動させて散薬を掻き取りながら均す均し動作を行う場合には、本体部の他方側において均し部で掻き取られる散薬の一部を、逃し部を介して他方側から一方側(換言すると、均し動作の動作方向下流側から上流側)へ逃すことができる。よって、均し動作において、均し部が掻き取る散薬の量(掻き取り量)を抑制することができ、均し動作の終端部に均し残る散薬の量を抑制することができる結果、少ない均し動作で効率よく散薬を均すことができる。
【0009】
また、前記均し部は、前記本体部の端縁となる先端縁を含み、前記逃し部は、前記本体部の厚さ方向に貫通した開口部であり、該開口部を形成する周部のうち、前記先端縁に対向する対向部は、該先端縁に対して一定距離離間するように構成されていることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、均し部における対向部と先端縁との間の寸法を一定に確保することができるので、均し部(ひいては、本体部)の強度を確保することができる。また、均し動作の際に、均し部で均した散薬の面と対向部とが略平行になるので、均し動作中に、逃し部を介して散薬を均一に逃すことができる。
【0011】
更に、前記逃し部が設けられておらず、且つ、直線状又は曲線状の先端縁を含む仕上均し部が設けられていることが好ましく、逃し部が設けられている均し部で均し作業を行った後、必要に応じて、逃し部が設けられていない仕上均し部で更に均し作業を行うことができるので、均した散薬の面を整った面に仕上ることができ、従って、効率よくしかも正確に均し作業を行うことができる。尚、均し部だけで均し作業を行うことも、或いは、仕上均し部だけで均し作業を行うことも、当然可能である。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明に係る均し具にあっては、散薬を逃すための逃し部が均し部に設けられているので、均し動作の際に、均し部で掻き取られる散薬を逃し部を介して逃すことで均し部による散薬の掻き取り量を抑制することができ、均し動作の終端部に均し残る散薬の量を抑制することができる結果、少ない均し動作で効率よく散薬を均すことができて、均し作業に要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る均し具としての散薬用ヘラの一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】同散薬用ヘラが用いられる装置の一例である散薬分包装置を示す概略斜視図である。
【図4】本発明に係る散薬用ヘラの他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【図5】本発明に係る散薬用ヘラの他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【図6】本発明に係る散薬用ヘラの他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【図7】本発明に係る散薬用ヘラの他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【図8】本発明に係る散薬用ヘラの他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る均し具の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本実施形態における均し具としての散薬用ヘラ1が示されている。該散薬用ヘラ1は、所定の軸線C方向に沿った棒状に形成されており、該軸線方向一端部側に形成される第1本体部200と、軸線方向他端部側に形成される第2本体部300と、第1本体部200及び第2本体部300を連結し、使用者が把持するための把持部400とを備える。
【0015】
第1本体部200は、図1及び2に示すように、略一定厚さの板状に構成されており、前記軸線方向に沿う長さ方向がこれに直交する幅方向よりも大きく構成されている。この第1本体部200は、前記長さ方向一端部210に、散薬を掻き取りながら均すための第1均し部220及び第2均し部230を備えており、他端部240に前記把持部400との連結部250を備えている。
【0016】
具体的に説明すると、前記第1本体部200の一端部210には、所定位置から前記一端部210の端縁211の方向に向けて徐々に厚さが薄くなる第1テーパ部212が形成されている。この第1テーパ部212は、第1本体部200の幅方向一方側に形成されており、前記長さ方向及び前記幅方向に対して所定角度傾斜した方向に延設され、しかも、前記幅方向中央側ほど前記長さ方向外方になるように形成されている。また、第1テーパ部212の先端縁213は、前記所定角度傾斜した傾斜方向に沿った直線状に形成されており、第1本体部200の一端部側の端縁211の一部を形成している。尚、本実施形態では、第1テーパ部212のテーパ幅、つまりテーパ開始位置から先端縁213までの幅は、一定幅となっている。
【0017】
また、前記第1本体部200の一端部210には、第1テーパ部212とは別に、所定位置から前記端縁211の方向に向けて徐々に厚さが薄くなる第2テーパ部214が形成されている。この第2テーパ部214は、第1本体部200の幅方向他方側に形成されており、前記長さ方向及び前記幅方向に対して所定角度傾斜した方向に延設され、しかも、前記幅方向中央側ほど前記長さ方向外方になるように形成されている。また、第2テーパ部214の先端縁215は、前記所定角度傾斜した傾斜方向に沿った直線状に形成されており、第1本体部200の一端部側の端縁211の一部を形成している。尚、本実施形態では、第2テーパ部214の軸線Cに対する傾斜角度は、第1テーパ部212の軸線Cに対する傾斜角度と同じ角度である。尚、本実施形態では、第2テーパ部214のテーパ幅、つまりテーパ開始位置から先端縁215までの幅は、一定幅であり、第1テーパ部212のテーパ幅と同じ幅である。
【0018】
かかる第1テーパ部212と第2テーパ部214とは、第1本体部200の幅方向中央部、具体的には前記軸線C上で先端縁213,215同士が一連となるように一体的に連続している。また、第1テーパ部212の先端縁213の長さは、第2テーパ部214の先端縁215の長さよりも長く形成されている。即ち、第1本体部200は、軸線Cよりも幅方向一方側が他方側よりも幅広に構成されており、該軸線Cよりも幅方向一方側に第1テーパ部212を、他方側に第2テーパ部214を、それぞれ備えており、第1テーパ部212と第2テーパ部214とは、軸線C上で一体的に連続している。
【0019】
ここで、かかる第1テーパ部212及びその先端縁213を含む所定領域が第1均し部220となっている。即ち、第1均し部220は、第1本体部200の一端部210における端縁211を含むように該第1本体部200の一端部210に形成されており、具体的には、前記端縁211のうち、前記軸線Cよりも幅方向一方側の部分(即ち、先端縁213)を含むように該幅方向一方側に形成されている。同様に、かかる第2テーパ部214及びその先端縁215を含む所定領域が第2均し部230となっている。即ち、第2均し部230は、第1本体部200の一端部210における端縁211を含むように該第1本体部200の一端部210に形成されており、具体的には、前記端縁211のうち、前記軸線Cよりも幅方向他方側の部分(即ち、先端縁215)を含むように該幅方向他方側に形成されている。
【0020】
また、第1本体部200の長さ方向他端部240側に形成される連結部250は、長さ方向外方ほど幅狭となる、具体的には、前記軸線Cに向かって幅狭となるように構成されており、該軸線C上で前記把持部400と一体となって連結している。
【0021】
また、第1本体部200の幅方向一方側の一側端縁260は、軸線Cに略平行な直線状に形成されており、第1本体部200の幅方向他方側の他側端縁270も、軸線Cに略平行な直線状に形成されている。よって、第1本体部200は、一側端縁260と他側端縁270とが互いに平行となっていて略一定幅に構成されている。
【0022】
この第1本体部200には、本発明の逃し部となる孔部280が設けられている。具体的には、孔部280は、その中心が、第1本体部200の長さ方向略中央部よりも一端部側、且つ、幅方向略中央の位置に配置され、該第1本体部200の厚さ方向に貫通するように形成されている。この孔部280を形成する周部290は、前記第1均し部220に対応した第1対向部291と、前記第2均し部230に対応した第2対向部292と、幅方向一側端縁260に対応した第1側部293と、幅方向他側端縁270に対応した第2側部294と、第1側部293及び第2側部294を連結する連結部295とを備える。
【0023】
第1対向部291は、第1均し部220の先端縁213(即ち、前記第1テーパ部212の先端縁213)に対向しており、具体的には、第1均し部220の先端縁213に対して一定距離離間して対向している。本実施形態では、第1対向部291は、第1均し部220の先端縁213に平行な直線状に形成されており、該先端縁213との間の距離が第1テーパ部212のテーパ幅よりも若干大きくなるように配置されている。また、第1対向部291は、その長さが第1均し部220の先端縁213の長さよりも短くなっており、該先端縁213の両端部を除く中途部に対向するように構成されている。
【0024】
第2対向部292は、第2均し部230の先端縁215(即ち、前記第2テーパ部214の先端縁215)に対向しており、具体的には、第2均し部230の先端縁215に対して一定距離離間して対向している。本実施形態では、第2対向部292は、第2均し部230の先端縁215に平行な直線状に形成されており、該先端縁215との間の距離が第2テーパ部214のテーパ幅よりも若干大きくなるように配置されている。尚、本実施形態では、第2対向部292と第2均し部230の先端縁215との間の距離は、第1対向部291と第1均し部220の先端縁213との間の距離とほぼ同じ距離に設定されている。また、第2対向部292は、その長さが第2均し部230の先端縁215の長さよりも短くなっており、該先端縁215の両端部を除く中途部に対向するように構成されている。尚、第2対向部292は、第1対向部291よりも短く構成されている。
【0025】
かかる第1対向部291と第2対向部292とは、第1本体部200の幅方向中央部で連続している。具体的には、第1対向部291と第2対向部292とは、互いの前記幅方向中央側の端部同士が軸線C上で滑らかに連続して一連となっている。
【0026】
第1側部293は、第1本体部200の幅方向一側端縁260に対向している。具体的には、第1側部293は、第1本体部200の幅方向一側端縁260に対して一定距離離間して対向しており、本実施形態では、第1本体部200の幅方向一側端縁260に平行な直線状に形成されている。尚、本実施形態では、第1側部293と一側端縁260との間の距離は、第1対向部291と第1均し部220の先端縁213との間の距離とほぼ同じ距離に設定されている。また、第1側部293は、その長さが一側端縁260の長さよりも短くなっており、該一側端縁260のうち、第1本体部200の一端部側の領域に対向するように配置されている。かかる第1側部293は、第1対向部291の前記幅方向外方側の端部(換言すると、第2対向部292と連続している端部とは反対側の端部)から連続して形成されている。
【0027】
第2側部294は、第1本体部200の幅方向他側端縁270に対向している。具体的には、第2側部294は、第1本体部200の幅方向他側端縁270に対して一定距離離間して対向しており、本実施形態では、第1本体部200の幅方向他側端縁270に平行な直線状に形成されている。尚、本実施形態では、第2側部294と他側端縁270との間の距離は、第2対向部292と第2均し部230の先端縁215との間の距離とほぼ同じ距離に設定されている。また、第2側部294は、その長さが他側端縁270の長さよりも短くなっており、該他側端縁270のうち、第1本体部200の一端部側の領域に対向するように配置されている。尚、第2側部294は、第1側部293よりも長く構成されている。かかる第2側部294は、第2対向部292の前記幅方向外方側の端部(換言すると、第1対向部291と連続している端部とは反対側の端部)から連続して形成されている。
【0028】
連結部295は、第1本体部200の幅方向に沿って延設されており、第1側部293と第2側部294との双方を連結している。具体的には、連結部295は、第1本体部200の幅方向に沿った直線状に形成されており、一端部が第1側部293に、他端部が第2側部294に、それぞれ連結されている。
【0029】
これらの第1対向部291、第2対向部292、第1側部293、第2側部294、連結部295を備える周部290によって形成される孔部280が、第1本体部200の厚さ方向に散薬を逃す逃し部となっている。具体的には、孔部280は、第1本体部200の幅方向一方側の領域が第1逃し部281となっており、他方側の領域が第2逃し部282となっている。
【0030】
即ち、本実施形態では、第1均し部220には第1逃し部281が設けられており、該第1逃し部281は、第1本体部200の厚さ方向に貫通して形成されており、第1均し部220の先端縁213から所定の一定距離だけ離間して該先端縁213に平行な第1対向部291と第1本体部200の幅方向一側端縁260から所定の一定距離だけ離間して該一側端縁260に平行な第1側部293とを有する周部で形成される第1開口部である。また、第2均し部230には第2逃し部282が設けられており、該第2逃し部282は、第1本体部200の厚さ方向に貫通して形成されており、第2均し部230の先端縁215から所定の一定距離だけ離間して該先端縁215に平行な第2対向部292と第1本体部200の幅方向他側端縁270から所定の一定距離だけ離間して該他側端縁270に平行な第2側部294とを有する周部で形成される第2開口部である。そして、第1逃し部281と第2逃し部282とは連通して1つの孔(つまり、孔部280)を構成している。
【0031】
尚、本実施形態では、第1均し部220の先端縁213から第1対向部291までの距離と、第2均し部230の先端縁215から第2対向部292までの距離とはほぼ同じ距離であり、また、第1本体部200の幅方向一側端縁260から第1側部293までの距離と、第1本体部200の幅方向他側端縁270から第2側部294までの距離とはほぼ同じ距離である。つまり、孔部280は、第1均し部220の先端縁213と第2均し部230の先端縁215と第1本体部200の幅方向一側端縁260と他側端縁270とからほぼ同じ距離だけ離間するように設けられている。
【0032】
第2本体部300は、図1及び2に示すように、略一定厚さの板状に構成されており、前記軸線方向に沿う長さ方向がこれに直交する幅方向よりも大きく構成されている。この第2本体部300は、前記長さ方向一端部310に、散薬を掻き均すための第3均し部320及び第4均し部330を備えており、他端部340に前記把持部400との連結部350を備えている。尚、本実施形態では、第2本体部300の長さ方向の長さは、第1本体部200の長さ方向の長さとほぼ同じ長さである一方、第2本体部300の幅は第1本体部200の幅よりも狭くなっている。
【0033】
具体的に説明すると、第2本体部300の長さ方向一端部310には、所定位置から端縁311の方向に向けて徐々に厚さが薄くなる第3テーパ部312が形成されている。この第3テーパ部312は、第2本体部300の幅方向一方側に形成され、しかも、前記長さ方向及び前記幅方向に対して所定角度傾斜した方向に延設されており、前記幅方向中央側ほど前記長さ方向外方になるように形成されている。また、第3テーパ部312の先端縁313は、外向きに凸となる円弧状に形成されており、第2本体部300の一端部側の端縁311の一部を形成している。尚、本実施形態では、第3テーパ部312は、第2本体部300において、幅方向一方側に若干膨出している。
【0034】
また、前記第2本体部300の一端部310には、第3テーパ部312とは別に、所定位置から端縁311の方向に向けて徐々に厚さが薄くなる第4テーパ部314が形成されている。この第4テーパ部314は、第2本体部300の幅方向他方側に形成されており、前記長さ方向及び前記幅方向に対して所定角度傾斜した方向に延設されており、前記幅方向中央側ほど前記長さ方向外方になるように形成されている。また、第4テーパ部314の先端縁315は、外向きに凸となる円弧状に形成されており、第2本体部300の一端部側の端縁311の一部を形成している。尚、本実施形態では、第4テーパ部314の先端縁315の円弧径は、第3テーパ部312の先端縁313の円弧径よりも大きい径である。
【0035】
かかる第3テーパ部312と第4テーパ部314とは、第2本体部300の幅方向中央部、具体的には前記軸線Cよりも若干幅方向他方側で先端縁313,315同士が一連となるように一体的に連続している。また、第3テーパ部312の先端縁313の円弧長さは、第4テーパ部314の先端縁315の円弧長さよりも長く形成されている。即ち、第2本体部300は、その幅方向略中央の位置に軸線Cが位置しており、幅方向一方側から軸線Cを跨ぐように第3テーパ部312が、軸線Cよりも幅方向他方側に第4テーパ部314が、それぞれ形成されており、第3テーパ部312と第4テーパ部314とは、軸線Cよりも若干幅方向他方側で一体的に連続している。
【0036】
ここで、かかる第3テーパ部312及びその先端縁313を含む所定領域が第3均し部320となっている。即ち、第3均し部320は、第2本体部300の一端部310における端縁311を含むように該第2本体部300の一端部310に形成されており、具体的には、前記端縁311のうち、幅方向一方側から軸線Cを横切る部分(即ち、先端縁313)を含むように該幅方向一方側に形成されている。また、かかる第4テーパ部314及びその先端縁315を含む所定領域が第4均し部330となっている。即ち、第4均し部330は、第2本体部300の一端部310の端縁311を含むように該第2本体部300の一端部310に形成されており、具体的には、前記端縁311のうち、前記軸線Cよりも幅方向他方側の部分(即ち、先端縁315)を含むように該幅方向他方側に形成されている。
【0037】
尚、本実施形態では、第3均し部320と第4均し部330との各々が、逃し部が設けられておらず、且つ、先端縁313,315が曲線状に形成された仕上均し部となっている。即ち、本実施形態では、第1本体部200には、逃し部が設けられている均し部である第1均し部220と第2均し部230とが設けられており、第2本体部300には、逃し部が設けられていない仕上均し部である第3均し部320と第4均し部330とが設けられている。要するに、本実施形態の散薬用ヘラは、軸線方向一端側に逃し部が設けられた均し部を備え、他端側に逃し部が設けられていない仕上均し部を備える。
【0038】
また、第2本体部300の長さ方向他端部340に形成される連結部350は、ほぼ一定幅に構成されており、前記軸線C上で前記把持部400と一体となって連結している。
【0039】
把持部400は、前記軸線Cに沿った棒状に形成されており、断面略矩形の角棒状に形成されている。この把持部400は、軸線方向両端部410,420それぞれが、軸線方向外方ほど徐々に厚さが薄くなる連結テーパ部とされている。また、把持部400の軸線方向途中部分には、所定位置に凹部430が設けられている。かかる把持部400は、軸線方向一端部410の連結テーパ部を含む所定領域で第1本体部200の連結部250と一体的に連結しており、軸線方向他端部420の連結テーパ部を含む所定領域で第2本体部300の連結部350と一体的に連結することによって、第1本体部200と第2本体部300とを連結している。
【0040】
かかる構成の散薬用ヘラ1は、例えばABS樹脂やアクリル樹脂などの合成樹脂を材料として構成されている。
【0041】
以上のような構成の散薬用ヘラ1は、例えば、病院や薬局等の医療機関で散薬分包装置100を用いて散薬を分包する際に、該散薬分包装置100が有する散薬収容スペースSに収容された散薬を均す均し作業に用いられる。ここでは、先に、散薬分包装置100について、図3を参酌しつつ説明する。
【0042】
図3に示すように、散薬分包装置100は、散薬を所定量ずつ分包する分包手段(図示しない)と、該分包手段に散薬を供給する供給手段110(散薬供給装置)とを備えている。供給手段110は、横長板状の固定板111と、下縁部が固定板111の下縁部に接離可能となるように回動可能に設けられる横長板状の可動板112と、固定板111および可動板112双方の長手方向端部を閉塞する端板113と、該長手方向に沿ってスライド可能に設けられる仕切板114と、を備えている。かかる供給手段110では、固定板111と可動板112と端板113と仕切板114とによって、分包手段に供給するための散薬が収容される断面V字状の散薬収容スペースSが形成される。
【0043】
散薬用ヘラ1は、かかる散薬収容スペースSに収容された散薬を平坦に均すべく用いられる。具体的には、散薬収容スペースSに散薬を収容した後、散薬用ヘラ1の把持部400を把持し、例えば、第1本体部200の幅方向一方側が固定板111に対向し、幅方向他方側が可動板112に対向する向きで、該第1本体部200の第1均し部220が所定の高さとなるまで、第1本体部200を散薬収容スペースS内に挿入する。そして、挿入した散薬用ヘラ1を、第1本体部200の厚さ方向一方側又は他方側の方向、即ち、散薬収容スペースSの長手方向に移動させて、第1均し部220を利用して散薬の上面を掻き均す均し動作を行う。かかる均し動作を複数回繰り返すことにより、散薬収容スペースSに収容された散薬を、その上面が平坦となるように均すことができる。
【0044】
ここで、本実施形態における散薬用ヘラ1にあっては、第1均し部220に第1逃し部281が設けられているので、均し動作の際に、第1均し部220で掻き取られる散薬を、第1逃し部281を介して均し動作方向上流側に逃すことができる。
【0045】
具体的には、例えば、第1本体部200の厚さ方向一方側から他方側へ向けて散薬用ヘラ1を移動させて、第1均し部220で散薬を掻き取りながら均す均し動作を行う場合には、第1本体部200の他方側(つまり、均し動作方向の下流側)において第1均し部220で掻き取られる散薬の一部を、第1逃し部281の開口を介して他方側から一方側(つまり、均し動作の動作方向下流側から上流側)へ逃すことができる。よって、当該均し動作において、第1均し部220が掻き取る散薬の量(掻き取り量)を抑制することができ、均し動作の終端部(つまり、散薬収容スペースSの長手方向端部)に集められる均し残った散薬の量を抑制することができ、従って、少ない均し動作で効率よく散薬収容スペースSに収容された散薬を均すことができて、均し作業に要する時間を短縮することができる。
【0046】
また、第1対向部291が、第1均し部220の直線状の先端縁213に平行な直線状に構成されているので、均し動作の際に、第1対向部291が第1均し部220で均した散薬の上面(即ち、第1本体部200よりも均し動作の動作方向上流側の散薬の上面)と略平行になる。よって、第1均し部220を介して逃す散薬が第1対向部291の直線方向に沿って均一化され、故に、均し動作に際し、第1逃し部281を介して散薬を均一に逃すことができる。
【0047】
更に、第1逃し部281は、第1対向部291と第1側部293とを有する周部で形成される第1開口部である、つまり、第1逃し部281は、第1本体部200の長さ方向一端側から中央側まで亘る開口であるので、散薬収容スペースSに収容されている散薬に対して、第1均し部220を深く差し込んで均し動作を行う場合であっても、散薬を有効に逃して第1均し部220の掻き取り量を効果的に抑制することができる。
【0048】
また更に、第2本体部300には、逃し部が設けられておらず、且つ、曲線状の先端縁313,315を有する仕上均し部としての第3均し部320と第4均し部330が設けられているので、第1逃し部281が設けられている第1均し部220で均し作業を行った後、必要に応じて、第3均し部320又は第4均し部330で更に均し作業を行って、散薬の上面を整った面に仕上ることができ、よって効率よくしかも正確に均し作業を行うことができる。或いは、第1均し部220だけで均し作業を行ったり、第3均し部320又は第4均し部330で均し作業を行ったりすることができ、場面に応じた選択が可能である。
【0049】
尚、ここでは、説明の都合上、第1均し部220を用いて散薬を均す場合について説明したが、第2均し部230を用いて均した場合であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0050】
更に、本実施形態の散薬用ヘラ1にあっては、第1対向部291と第1均し部220の先端縁213との間の距離が一定距離であるので、第1均し部220における第1対向部291と第1均し部220の先端縁213との間の寸法を一定寸法で確保することができ、第1均し部220(ひいては、第1本体部200)の強度を確保することができる。
【0051】
更に、本実施形態の散薬用ヘラ1にあっては、第2対向部292と第2均し部230の先端縁215との間の距離が一定距離であるので、第2均し部230における第2対向部292と第2均し部230の先端縁215との間の寸法を一定寸法で確保することができ、第2均し部230(ひいては、第1本体部200)の強度を確保することができる。
【0052】
また更に、第1対向部291から第1均し部220の先端縁213までの距離と、第2対向部292から第2均し部230の先端縁215までの距離とは、ほぼ同じ距離であるので、第1本体部200の安定した強度を得ることができる。
【0053】
尚、本実施形態では、第1逃し部281を形成する周部が第1側部293を含み、第2逃し部282を形成する周部が第2側部294を含む場合について説明したが、これに限らず、第1逃し部281を形成する周部が第1対向部291に平行な第1平行部296を含み、第2逃し部282を形成する周部が第2対向部292に平行な第2平行部297を含む場合であってもよい。具体的には、図4及び5に示すように、第1逃し部281を形成する周部が、第1対向部291に平行であり、且つ、第1対向部291との間の距離が該第1対向部291から第1均し部220の先端縁213までの距離とほぼ同じになるよう構成された第1平行部296を含み、第2逃し部282を形成する周部が、第2対向部292に平行であり、且つ、第2対向部292との間の距離が該第2対向部292から第2均し部230の先端縁215までの距離とほぼ同じになるよう構成された第2平行部297を含むように構成することもできる。尚、第1逃し部281と第2逃し部282とは、図4に示すように連通している場合に限らず、図5に示すように互いに離間している場合であってもよい。
【0054】
また、本実施形態では、第1本体部200に第1逃し部281と第2逃し部282とが設けられている場合について説明したが、これに限らず、何れか一方のみを設ける場合であってもよい。具体的には、図6に示すように、第1均し部220には第1逃し部281を設け、第2均し部230には逃し部を設けないようにすることもできる。尚、図6に示す第1逃し部281の具体的な構成は、図5に示す第1逃し部281の構成とほぼ同じ構成であるので、その説明を省略する。
【0055】
更に、本実施形態では、第1逃し部281が第1均し部220の先端縁213から離間して形成された第1開口部であり、第2逃し部282が第2均し部230の先端縁215から離間して形成された第2開口部である場合について説明したが、これに限らず、逃し部は、均し部の先端縁から切り込んで形成される切欠きとすることもできる。
【0056】
具体的には、図7に示すように、第1均し部220の先端縁213又は第2均し部230の先端縁215から軸線方向に沿って形成される複数のスリット状切欠き500を設け、該スリット状切欠き500を逃し部とすることもできる。この場合、第1均し部220の先端縁213から形成されるスリット状切欠き500が第1逃し部となり、第2均し部230の先端縁215から形成されるスリット状切欠き500が第2逃し部となる。尚、図7では、第1均し部220と第2均し部230との境界である軸線C上にもスリット状切欠き500が形成されている。
【0057】
或いは、図8に示すように、第1均し部220の先端縁213から第1テーパ部212のテーパ幅方向に沿って形成される凹状切欠きが第1均し部220の先端縁213に沿って複数連続した波状切欠き600を第1逃し部とし、第2均し部230の先端縁215から第2テーパ部214のテーパ幅方向に沿って形成される凹状切欠きが第2均し部230の先端縁215に沿って複数連続した波状切欠き600を第2逃し部とすることもできる。
【0058】
尚、図7及び8の場合において、例えば、第1均し部220にのみ第1逃し部281を設け、第2均し部230には逃し部を設けないようにすれば、第1均し部220で荒均しをし、第2均し部230で仕上げ均しをすることができる。この場合、第1均し部220の先端縁213に沿う方向の長さと第2均し部230の先端縁215に沿う方向の長さとを同じ長さとしてもよい。
【0059】
尚、本実施形態では、第3均し部320および第4均し部330が逃し部を有さない仕上げ均し部である場合について説明したが、これに限らず、何れか一方又は両方に逃し部を設けてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、第1対向部291が第1均し部220の先端縁213に平行である場合について説明したが、これに限らず、当該先端縁213に対して交差する方向に沿って構成してもよい。また、第2対向部292が第2均し部230の先端縁215に平行である場合について説明したが、これに限らず、当該先端縁215に対して交差する方向に沿って構成してもよい。
【0061】
更に、本実施形態では、第1対向部291が直線状に構成されている場合について説明したが、これに限らず、曲線状や折線状に構成することもできる。
【0062】
また更に、本実施形態では、第1本体部200と第2本体部300とを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば、第1本体部200のみを備える場合であってもよい。
【0063】
更に、本実施形態では、第1本体部200に第1均し部220及び第2均し部230を設ける場合について説明したが、これに限らず、何れか1つを設ける場合であってもよく、或いは、何れか一方を2つ設けてもよい。同様に、本実施形態では、第2本体部300に第3均し部320及び第4均し部330を設ける場合について説明したが、これに限らず、何れか1つを設ける場合であってもよく、或いは、何れか一方を2つ設けてもよい。
【0064】
尚、本発明に係る均し具を用いた均し作業は、例えば薬剤師等が人的に均し具を操作して行うことができるのは勿論のこと、例えば、散薬分包装置に設けられた均し装置や別体の均し装置などを用いて機械的に均し具を操作して行うこともできる。
【符号の説明】
【0065】
1…散薬用ヘラ、100…散薬分包装置、110…供給手段、111…固定板、112…可動板、113…端板、114…仕切板、200…第1本体部、212…第1テーパ部、214…第2テーパ部、220…第1均し部、230…第2均し部、250…連結部、280…孔部、281…第1逃し部、282…第2逃し部、290…周部、291…第1対向部、292…第2対向部、293…第1側部、294…第2側部、295…連結部、296…第1平行部、297…第2平行部、300…第2本体部、312…第3テーパ部、314…第4テーパ部、320…第1均し部、330…第2均し部、350…連結部、400…把持部、430…凹部、C…軸線、S…散薬収容スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬分包装置が有する散薬収容スペースに収容された散薬を均す均し作業に用いられ、
散薬を掻き均すための均し部を有して板状に構成された本体部を備え、該本体部の均し部には、前記本体部の厚さ方向一方側から他方側、或いは、他方側から一方側へ散薬を逃す逃し部が設けられていることを特徴とする均し具。
【請求項2】
前記均し部は、前記本体部の端縁となる先端縁を含み、前記逃し部は、前記本体部の厚さ方向に貫通した開口部であり、該開口部を形成する周部のうち、前記先端縁に対向する対向部は、該先端縁に対して一定距離離間するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の均し具。
【請求項3】
前記逃し部が設けられておらず、且つ、直線状又は曲線状の先端縁を含む仕上均し部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の均し具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−239811(P2011−239811A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111880(P2010−111880)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】