説明

均等負荷型置き台

【課題】傾斜した状態で、かつ重量大なる搬送載置物を置き台上に移載しても、搬送載置物の荷重が常に自動的に置き台の略中心にかかるようにした均等負荷型置き台を提供すること。
【解決手段】可動置き台2の下面形状と置き台本体1の上面形状をそれぞれ円弧形とし、この円弧形支持面11、21を互いに対峙するように配設し、この両円弧形支持面11、21間に転動部材3を嵌挿し、これにより可動置き台2を置き台本体1に対して円滑に揺動するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均等負荷型置き台に関し、特に、搬送載置物の荷重が常に自動的に置き台の略中心にかかるようにした均等負荷型置き台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送台車等、特に限定されるものではないが、例えば、スタッカークレーン等の自動で搬送される搬送台車に搭載して搬送されてきた搬送物等の載置物を、該搬送台車側から保管棚等の置き台側に移載する場合、伸縮するフォークを備えた移載機を用いて置き台上に移載、載置するようにしている。そしてこの置き台上は搬送物等の載置物を載置した状態で安定して保持されるように、搬送載置物が水平に載置されるように平らな水平面となっている。
【0003】
ところで、移載機に伸縮するフォークを用い、該伸縮式フォークFにて搬送載置物Wを置き台1側に移載する場合、この移載機フォーク上に載置された搬送載置物の重量が重くなればなるほど、移載機フォークの伸張度合いに応じてフォーク先端側がその重量によって垂れ下がり撓み、傾斜するようになる。特に、近年は搬送の効率化を図るため、搬送載置物の重量が大となり、該重量大なる搬送物を移載して移載機フォークを伸張させると、移載機フォークの先端が益々垂れ下がり撓んだ状態となる。このフォーク先端側が垂れ下がった状態で、置き台上に載置しようとしても、図4に示すように、水平な置き台上に搬送載置物の底面全体が水平になって載置することができず、垂れ下がった移載機フォーク前端側から置き台上に傾斜して載置されるようになる。
【0004】
したがって、搬送載置物底面が傾斜しても、置き台の表面は水平となっているため、この水平な置き台上に傾斜した搬送載置物が載置されると、図4に示すように、搬送載置物Wの荷重Gは置き台1上に先に接地した搬送載置物Wの先端側底面部分から支持されるようになり、これが図4に示すような置き台1の中心と置き台1上に先に接地した搬送載置物Wの先端側底面との間に間隔L1があると、搬送載置物Wに転倒モーメントMとして作用し、搬送載置物Wが転倒或いは非常に転倒し易い不安定な状態で載置されるという問題があった。
また、この傾斜して置き台上に載置されようとする搬送載置物Wに作用する転倒モーメントMに対しても置き台上に載置される搬送載置物Wが転倒しないようにするには、置き台1の下部支持台10、10の間隔WB1を可及的に広くする必要があり、このため置き台全体が大型化、大重量化するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の置き台の有する問題点に鑑み、傾斜した状態で、かつ重量大なる搬送載置物を置き台上に移載しても、搬送載置物の荷重が常に自動的に置き台の略中心にかかるようにした均等負荷型置き台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の均等負荷型置き台は、置き台本体の上部に揺動可能とした可動置き台を、搬送載置物を載置した際、搬送載置物の荷重が自動的に置き台本体の略中心にかかるように構成したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、可動置き台及び置き台本体間に円弧形支持面を形成し、この対向する円弧形支持面に転動部材を嵌挿することができる。
【0008】
また、可動置き台を、置き台本体に対して回転軸を介して可動可能に支持することができる。
【0009】
また、可動置き台と置き台本体間に過回転防止ばねを配設することができる。
【0010】
また、置き台本体に、可動置き台の位置保持具を配設することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の均等負荷型置き台によれば、置き台本体の上部に揺動可能とした可動置き台を、搬送載置物を載置した際、搬送載置物の荷重が自動的に置き台本体の略中心にかかるように構成したことにより、置き台本体の下部支持台の間隔を小としても安定して載置、保持できるとともに、置き台本体を小形化、軽量化を図ることができる。
【0012】
また、可動置き台及び置き台本体間に円弧形支持面を形成し、この対向する円弧形支持面に転動部材を嵌挿することにより、可動置き台にて支持する搬送載置物の荷重が大であっても安全に、かつ円滑に支持することができる。
【0013】
また、可動置き台を、置き台本体に対して回転軸を介して可動可能に支持することにより、可動置き台を簡易に置き台本体に揺動自在に支持することができ、構造を簡単にすることができる。
【0014】
また、可動置き台と置き台本体間に過回転防止ばねを配設することにより、可動置き台下方より引き抜くようにすることで、過回転防止ばねの作用にて自動的に可動置き台が安定状態を保持することができる。
【0015】
また、置き台本体に、可動置き台の位置保持具を配設することにより、可動置き台の位置制御を簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の均等負荷型置き台の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図4に、本発明の均等負荷型置き台の一実施例を示す。
図において1は、均等負荷型置き台Tの置き台本体で、この置き台本体1の下部を下部支持台10、10にて支持するが、この部支持台10、10の間隔WB2を従来に比べて小とすることができる。
また、この置き台本体1の上部に揺動可能とした可動置き台2を載置するとともに、この可動置き台2は、この上に移載機の伸縮式フォークF等により載置される搬送載置物Wの荷重(重心G)が自動的に置き台本体1の略中心にかかるように構成される。
この均等負荷型置き台Tの置き台本体1は、特に限定されるものではないが、例えば、ストッカーの各段に形成される各保管棚に配設される。
【0018】
置き台本体1の上部に揺動可能に配設される可動置き台2は、例えば、図1及び図2に示すように、可動置き台2の下面形状と置き台本体1の上面形状をそれぞれ円弧形とし、この円弧形支持面11、21を互いに対峙するように配設し、この両円弧形支持面11、21間に転動部材3、特に限定されるものではないが、例えば、コロ、ボールなどを嵌挿し、これにより可動置き台2は置き台本体1に対して円滑に揺動するようにする。
これにより、置き台本体1の上部に載置される可動置き台2は、該可動置き台2上に載置される搬送載置物Wの重量により転動部材3を介して両円弧形支持面11、21に沿って揺動するようになり、自然と可動置き台2が略水平になるようにする。なお、円弧形支持面11、21間に嵌挿する転動部材3の数は、搬送載置物Wの重量が平均して置き台本体1に伝わるように任意に設定することができる。
【0019】
また、図3に示す実施例は、置き台本体1と可動置き台2とを回転軸4を介して揺動可能にして支持するものである。これは、図3に示すように、可動置き台2の横方向に貫通する回転軸4の両端部を置き台本体1側にて支持し、可動置き台2が揺動、即ち恰もシーソーの如く置き台本体1に対して可動置き台2が回転軸4を軸心として可動するようにする。
なお、この可動置き台2を置き台本体1に対して揺動可能に支持する際、図1に示すように、転動部材3を介する場合であっても、また、図3に示すように、回転軸4を用いる場合であっても、搬送載置物Wを可動置き台2上に載置した場合、搬送載置物Wの荷重が常に自動的に置き台本体1の略中心にかかるように揺動するため、可動置き台2の下部位置に、この可動置き台2と置き台本体1との間に過回転防止ばね5を配設する。
【0020】
この過回転防止ばね5は、可動置き台2の下面側、特に限定されるものではないが、例えば、可動置き台2の下面中央に、ばね受け51を突設し、このばね受け51と置き台本体1側に突設したばね受け52間にばね、例えば、コイルばね5を介在し、このばね圧を可動置き台2側に作用するようにする。
なお、この場合、ばね圧により、さらには可動置き台2上に移載機の伸縮式フォークFにより載置される搬送載置物Wの重心Gが、例えば、図4に示すように、定位置よりずれて可動置き台2の先端側に載置されるような場合であっても可動置き台2が円弧形支持面11、21間に嵌挿する転動部材3或いは回転軸4により可動置き台2は略水平状態となり、かつこの略水平状態或いは許容された角度範囲内にて保持されるように、可動置き台2の下面側左右両端部を受けるようにした位置保持具53、53を置き台本体1側にそれぞれ対称的に配設する。
【0021】
次に、本発明の均等負荷型置き台の作用について説明する。
図1及び図2に示す実施例において、搬送載置物Wを載置した移載機の伸縮式フォークFを可動置き台2の下部位置に挿入した後、該伸縮式フォークFの全体を少し降下させることで搬送載置物Wは伸縮式フォークF側より可動置き台2側に移載されるものとなる。
この場合、搬送載置物Wの重量が大なるときは、伸張した伸縮式フォークFの先端部分が、図1に示すように、垂れ下がるよう傾斜しているが、この状態で伸縮式フォークF上より搬送載置物Wを可動置き台2側に移載するようにすると、必然的にこの伸縮式フォークFの傾斜に追従するようにして可動置き台2も傾斜する。
【0022】
さらに、伸縮式フォークF全体を少し降下させると、搬送載置物Wは伸縮式フォークF上より可動置き台2側に移載される。このとき、可動置き台2は傾斜していても、搬送載置物Wの重量が可動置き台2側に移ると、この重量にて置き台本体1の円弧形支持面11と可動置き台2の円弧形支持面21及び両円弧形支持面間に挿入された転動部材3と、過回転防止ばね5の作用にて可動置き台2は、搬送載置物Wの荷重が常に自動的に置き台本体1の略中心にかかって略水平状態になるように揺動し、位置保持具53、53にて略水平状態を保持して載置される。この状態を図2に示す。
【0023】
また、図3に示す実施例においては、移載機の伸縮式フォークFにより図1に示す実施例と同じようにして搬送載置物Wを載置した移載機の伸縮式フォークFを可動置き台2の下部位置に挿入した後、少し降下させると、搬送載置物Wは伸縮式フォークF側より可動置き台2側に移載されるが、可動置き台2は傾斜した伸縮式フォークFに追従して同じように傾斜する。
【0024】
次に、移載機の伸縮式フォークFを可動置き台2の下部位置より引き抜くようにすると、傾斜していた可動置き台2は、過回転防止ばね5と搬送載置物Wの重量との作用にて可動置き台2は回転軸4を軸心として揺動して略水平状態となり、かつこの略水平状態を可動置き台2の下面左右より位置保持具53、53にて支持し、可動置き台2の水平状態を保持するので、安定した状態で搬送載置物を載置、保持することができる。
【0025】
以上、本発明の均等負荷型置き台について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の均等負荷型置き台は、傾斜した状態で、かつ重量大なる搬送載置物を置き台上に移載しても、搬送載置物の荷重が常に自動的に置き台本体の略中心にかかる特性を有していることから、置き台の用途に好適に用いることができるほか、例えば、搬送台車に搭載される置き台の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の均等負荷型置き台の一実施例を示し、移載機の伸縮式フォークにて可動置き台上に載置する状態を示す正面図である。
【図2】安定して載置した状態を示す正面図である。
【図3】異なる実施例の正面図である。
【図4】従来の置き台の正面図である。
【符号の説明】
【0028】
T 均等負荷型置き台
G 搬送載置物
1 置き台本体
2 可動置き台
3 転動部材
4 回転軸
5 過回転防止ばね
51 ばね受け
52 ばね受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置き台本体の上部に揺動可能とした可動置き台を、搬送載置物を載置した際、搬送載置物の荷重が自動的に置き台本体の略中心にかかるように構成したことを特徴とする均等負荷型置き台。
【請求項2】
可動置き台及び置き台本体間に円弧形支持面を形成し、この対向する円弧形支持面に転動部材を嵌挿したことを特徴とする請求項1記載の均等負荷型置き台。
【請求項3】
可動置き台を、置き台本体に対して回転軸を介して可動可能に支持したことを特徴とする請求項1又は2記載の均等負荷型置き台。
【請求項4】
動置き台と置き台本体間に過回転防止ばねを配設したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の均等負荷型置き台。
【請求項5】
置き台本体に、可動置き台の位置保持具を配設したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の均等負荷型置き台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−70054(P2007−70054A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259217(P2005−259217)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】