説明

坑井遠隔測定システム

ケーシング(12)によって囲まれたパイプ(10)上の位置のためのEMアンテナである。アンテナは、パイプ(10)の第1の絶縁セクション(25)を横切る電流を注入する電源(21)と、パイプ(10)からケーシング(12)へ電流を伝達する電極(22)とを有する。電流のパスフローを方向付けるため電極(22)および第1の絶縁セクション(25)と協働するように配置されたパイプの第2の絶縁セクション(23)がさらに存在する。このようなアンテナは、リピータ装置、ならびに、陸域および海域用途の両方に関して記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線遠隔測定に関し、特に、限定されることはないが、坑井機器と表面機器との間で情報を転送する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油井およびガス井は建設するために費用がかかり、これらの井戸をできる限り効率的に稼働するのが有利である。井戸の稼働の効率を高める一つの方策は、井戸孔の坑井に位置している設備が表面に位置している他の設備の制御下に置かれることである。
【0003】
坑井設備は、井戸のその後の稼働のための有用な情報、たとえば、圧力に関するデータ、遭遇した固体および液体の性質、温度などを含むことがある有用な情報を供給する測定センサであり得る。この設備は、井戸、または、バルブ、パッカーなどのような坑井設備もしくは機器を使用する貯留層の種々のパラメータを制御するために表面から重要な命令を供給することができる他の制御可能な設備または監視設備でもよい。
【0004】
電磁(EM)無線遠隔測定は、油田において極めて価値があり、広く研究されている分野である。その目的は、表面から井戸の坑井のツールへ情報を転送し、かつ、逆に、すなわち、表面へ情報を転送するため、無線双方向遠隔測定を行うことである。
【0005】
坑井ツールは坑井で種々の検知機能を実行する際に無線コンポーネントを有することがあるが、坑井ツールは、多くの場合に、分析のため深底から地球の表面まで通信される検知情報を取得するため有線接続を必要とする。代替的に、検知情報はメモリに蓄積され、配管構造物および関連ツールが井戸から撤収されるときに限り回収される。何らかの無線通信機器のためのこのような深度での電力供給は、このような無線通信機器またはアンテナのレンジを高めないが、坑井で多大の電力が求められる遠隔バッテリー源を必要とする。よって、このような無線通信機器は、多くの場合に、通信のレンジが制限されるので、有線方式の解決策は、多くの場合に、特に、超深度では、より実用的であることが判明した。掘削運転中、または、ドリルステムテスト運転中に、ワイヤの使用は、多くの場合に、非実用的であり、運営者によって禁止される場合もある。
【0006】
したがって、より広いEM通信レンジを有し、有線通信の必要性を低減する双方向遠隔測定システムを持つことが望ましい。
【0007】
さらに、たとえば、音響スルーチュービング技術、流体圧力波などを含む、複数の異なるテクノロジーが、最適化された双方向無線遠隔測定システムを製造するため試みられている。しかし、これらの他の技術は、EMがもたらす通信のレンジおよび簡単さを提供しないように思われる。その上、特に、EM遠隔測定システムが考慮される、いわゆる「裸孔」環境と「ケーシング孔」環境とを区別する必要がある。
【0008】
単独の坑井を測定する従来型の裸孔法は、電流をドリルパイプまたはチュービングに注入する。この方法は裸孔システムにうまく適合しているが、ケーシング孔の状況には適切でないと考えられる。
【0009】
特に、ケーシング孔システムは、中でも、ドリル孔の構造上の完全性を維持する試錐孔の壁に位置するケーシングを有する。しかし、ケーシングは、多くの場合に、極めて導電性が高いので、ドリルパイプに注入された電流の軸方向の漏れの可能性を増加させ、アンテナのための電磁(EM)双極子の長さの短縮を招く金属、たとえば、鋼で作られている。このような漏れは、ドリルパイプとケーシングとの間の環状スペース(またはギャップ)を埋める導電性液体または物質、たとえば、水が存在する場合、または、ドリルパイプとケーシングが接触する傾斜井の場合のどちらかで起こる可能性がある。
【0010】
傾斜井の場合、ドリルパイプまたはケーシングが累積的に十分に湾曲または偏っているとき、ドリルパイプがケーシングと接触し、漏れを悪化させる可能性がある。すなわち、注入された電流は、殆どの電流がドリルパイプとケーシングとの間の接触エリアに沿って電流源に戻るだけである極めて短い電流パスを有するようになる。この「短絡」は、ケーシング孔システムにおけるEM通信の重要なレンジを事実上制限する。
【0011】
したがって、ケーシング孔環境に適用されるときに、裸孔注入電流アンテナに関連した上記の不利点を解決することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様によれば、ケーシングによって囲まれたパイプ上の位置のためのアンテナであって、パイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、パイプからケーシングへ電流を伝達する電極と、電流のパスフローを方向付けるため電極および第1の絶縁セクションと協働するように配置されたパイプの第2の絶縁セクションと、を備えるアンテナが提供される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、ケーシングによって周囲構成体から分離されているドリルパイプを作動するため構成されているアンテナであって、ドリルパイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、ドリルパイプからケーシングおよび構成体へ電流を伝達する電極と、電流のパスフローを方向付けるため電極および第1の絶縁セクションと協働するように配置されたドリルパイプの第2の絶縁セクションと、を備えるアンテナが提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、構成体の内側を覆うケーシングからの環状間隔部を有しているパイプに位置している坑井アンテナ上の電磁双極子を延長する方法であって、ドリルストリングの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入することと、電極を介してパイプからケーシングへ電流を伝達することと、電磁双極子を延長するため第1の絶縁セクションおよび電極と協働するように構成された第2の絶縁セクションを使用して電流のパスが流れるように方向付けることと、を含む方法が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、ケーシングによって囲まれたパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、パイプ内に電気的不連続性を与えるパイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、パイプの第1の場所からケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、ケーシングからパイプの第2の場所へ電流を伝達する第2の電極と、電源および第1の絶縁セクションを覆う選択された長さのパイプを絶縁する第2の絶縁セクションと、を備えるアンテナが提供される。
【0016】
有利には、パイプの第2の絶縁セクションが、パイプから第1の電極を介してケーシングへ電流のパスフローを方向付け、第2の電極を介してパイプへ戻すため、第1および第2の電極と第1の絶縁セクションと協働する。
【0017】
有利には、第2の絶縁体が第1の絶縁体に実質的に垂直に方向付けられている。
【0018】
有利には、電源と第1および第2の絶縁体が第1の電極と第2の電極との間に位置合わせされたパイプに位置している。代替的に、電源と第1および第2の絶縁体が第1および第2の電極の少なくとも一方と隣接して位置合わせされたパイプに位置している。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、ケーシングによって囲まれ、それぞれの隔離点で結合された複数のセグメントを有しているパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、パイプ内に電気的不連続性を与えるパイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、パイプの第1の場所からケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、ケーシングからパイプの第2の場所へ電流を伝達する第2の電極と、電源および第1の絶縁セクションを覆う選択された長さのパイプを絶縁する第2の絶縁セクションと、それぞれの隔離点を絶縁するさらなる離散的な絶縁セクションの組と、を備えるアンテナが提供される。
【0020】
有利には、絶縁セクションは電流のパスフローを方向付けるため電極と協働する。
【0021】
有利には、パスフローは、パイプから、ケーシングへの第1の電極を介して、電流を元のパイプへ伝達する第2の電極へ至り、適切な電流ループを形成する。
【0022】
有利には、パスフローは、電流パスがケーシングから、構成体の一部を介して、電流を元のパイプへ伝達する第2の電極で元のケーシングへ流れるように、構成体の一部をさらに取り囲む。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、ケーシングによって囲まれ、それぞれの隔離点で結合された複数のセグメントを有しているパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、パイプ内に電気的不連続性を与えるパイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、パイプの第1の場所からケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、ケーシングからパイプの第2の場所へ電流を伝達する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間でパイプを絶縁する第2の絶縁セクションと、を備えるアンテナが提供される。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、ケーシングによって囲まれたパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、導電性材料がそれぞれの隔離点で結合された複数のセグメントを有しているパイプに存在し、パイプ内に電気的不連続性を与えるパイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、パイプの第1の場所からケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、電源および第1の絶縁セクションを覆い、第1の電極と反対方向にパイプに沿ってかなりの長さ延在し、選択された長さのパイプを絶縁する第2の絶縁セクションと、を備えるアンテナが提供される。
【0025】
有利には、環状スペースがケーシングからパイプを分離し、上記環状ギャップが導電性材料で埋められている。
【0026】
有利には、かなりの長さは、電流が適当な場所でケーシングから元のパイプへ流れるリターンパスを設ける際に、アンテナの電気双極子を最大化する長さである。
【0027】
有利には、第2の絶縁セクションは、パイプから第1の電極を介してケーシングへ向けられ、導電性材料を介して実質的に第2の絶縁体が終端される場所で元のパイプに戻る電流のパスフローを方向付けるため第1の絶縁セクションおよび電極と協働する。
【0028】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明のアンテナ実施形態のうちの少なくとも一つを使用して、坑井のパイプ上の場所から表面に位置しているトランシーバーへ通信信号を転送する無線遠隔測定システムが提供される。
【0029】
有利には、表面は地殻の表面である。代替的に、表面は海面上である。代替的に、表面は海底の表面である。
【0030】
本発明のさらに別の態様によれば、ケーシングによって囲まれたパイプ上の位置のためのアンテナであって、パイプの第1の絶縁セクションを横切って位置し、パイプの実質的に第1の場所で電流を注入する電源と、パイプ上の第2の場所からケーシングへ電流を伝達する電極および第2の絶縁体と、を備え、第2の絶縁セクションがケーシングに沿って、かつ、パイプ上の第3の場所へ戻される電流のパスフローを方向付けるため電極およびケーシングとさらに協働する、アンテナが提供される。
【0031】
有利には、パイプの第2の位置および第3の位置は、第1の位置の両側にあり、第1の絶縁セクションがパイプに位置している。
【0032】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】貯留層の特徴付けおよび測定のため坑井に延在するドリルパイプの一例を示す図である。
【図2】坑井アンテナの第1の実施形態を示す図である。
【図3】偏心アンテナ構造体の実施形態を示す図である。
【図4】さらなる隔離絶縁体を含む実施形態を示す図である。
【図5】非対称位置にある電流源および拡張絶縁体を含む実施形態を示す図である。
【図6】1個の電極および拡張絶縁体を含む実施形態を示す図である。
【図7】表面と坑井との間の通信をするリピータとして動作するアンテナ付きの陸域用途を示す図である。
【図8】坑井から海面まで全体に亘って通信する無線アンテナ付きの海洋用途を示す図である。
【図9】海底坑口を介して通信するケーブル付きの、地球表面より下だけで通信する無線アンテナ付きの海底用途を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、貯留層の特徴付けおよび測定のための坑井に延在するドリルパイプを示す図である。すなわち、孔13は、地殻に穿孔され、周囲構成体14の壁はケーシング12で内側を覆われる。ケーシング12は、周囲構成体14より導電性が高い可能性がある金属またはその他の材料で構成されている。
【0035】
周囲構成体14は、種々の流体、すなわち、液体または気体を含有することがある様々な岩盤層、砂層、および、粘土層からなる。具体的な油井の場合、ツールは、正確に炭化水素が存在する場所のより優れた図面を取得するために測定を行うための望ましい深度で、坑井に延在するドリルパイプ10に位置することがある。しかし、本発明の実施形態は必ずしも炭化水素用途に限定されないことが認められる。
【0036】
それどころか、本発明の実施形態は、表面18と、ドリルパイプ10の最下部に位置するように示されている坑井アンテナ16との間の無線通信のための双方向遠隔測定システムを提供することに関する。特に、電流源としての役目を果たす坑井アンテナは、他の坑井ツール、たとえば、パッカー、バルブ、サンプラ、ゲージなどと共に坑井に配置されている。
【0037】
図2は坑井アンテナの第1の実施形態を示している。本実施形態は、電流源21と、各電極がケーシング12と接触するようにドリルパイプ10から延在する2個の電極22および22’の間で実質的に中心に位置している絶縁セクション23および25と、を備えることが示されている。
【0038】
本実施形態では、電流は電流源21によって注入される点が示されているが、実際の注入電流は、電流を生成することができるどのタイプの電源によって作り出されてもかまわないことが認められるであろう。たとえば、直列した可変抵抗器付きの電圧源も所望のレベルの電流を注入することができる。実際には、たとえば、温度を測定するセンサトランスデューサがこのような抵抗器を変化させて、意図的に注入される電流、実際には、アンテナによって表面に通信されるデータに影響を与えるようにすることが可能である。
【0039】
いずれ場合でも、電流源は、ドリルパイプ10の長手方向に対して軸方向に向きを合わされている第1の絶縁体25を横切る電流を注入する。第1の絶縁体は、電流が短絡することを防止し、一方の電極22の方向にドリルパイプ10に沿って電流を強制的に流す。よって、第1の絶縁体は、ドリルパイプの導電率に不連続性をもたらし、電流を強制的に所望の方向へ流す。
【0040】
第2の絶縁体23の対はドリルパイプ10の長手方向のエッジに沿って延在する。これらの絶縁体23は、ドリルパイプ10とケーシング12との間のギャップ(または環状間隔部)26内の放射線漏れを防止する。ギャップ26の潜在的な導電率は、試錐孔が導電性材料、たとえば、水、ウォーターベースマッド、または、塩水で満たされる場合に増加する可能性がある。よって、第2の絶縁体23の少なくとも一つの機能は、特に、ギャップ26が導電性液体で満たされている場合に、電流源21の付近で注入された電流の放射線漏れを防止することである。
【0041】
したがって、第1および第2の絶縁体セクション23、25は、電流フローの大部分をドリルパイプ10に沿って少なくとも電極22、22’の一方へ方向付けるために協働し、少なくとも一方の電極は、電流源21で電流パスを完成させるために、電流をケーシング12および構成体14へ伝達し、第2の電極22を介してドリルパイプ10へ戻る電流パス29を設ける。よって、坑井アンテナは、軸方向絶縁セクション25を横切る電流を注入する。電流はドリルパイプを通って一方の電極22へ進む。一部の電流はケーシングを介してもう一方の電極22’へ戻るが、一部はケーシング壁に沿って上方へ進み、一部は構成体を介して半径方向に進む。
【0042】
望ましくない方向の漏れを防止するために、電流のパスを形成する、すなわち、方向付けることができるのは、第1の絶縁体セクション25、第2の絶縁体セクション23、および、電極22の組み合わせである。上述のように、従来のEM坑井アンテナは、そのレンジまたはEM伝播に限界がある。本発明の実施形態は、坑井アンテナのいわゆる双極子モーメントを増加させることによりこのアンテナのレンジおよび効率を高める。
【0043】
信号送受信の効率は、注入電流と双極子の長さの積であるアンテナの双極子モーメントに依存する。双極子モーメントが高いほど、電磁信号が大きくなる。よって、一実施形態の少なくとも一つの目的は、遠隔測定レンジを拡大するため電気双極子モーメントを最大化することである。双極子モーメントを増加させる最も効率的な方法は、所要の坑井電力がそれ自体のサイズおよび電力に制限がある注入電流の平方に比例するので、注入電流ではなく双極子の長さを増大させる方法である。
【0044】
たとえば、図4の実施形態に示されているように、ドリルパイプ10に注入された電流の一部は、電極22に到達せず、漏れ電流パス28によって示されているようにドリルパイプ10とケーシング12との間の環状スペース26において半径方向に漏れる。漏れ電流が大きいほど、電気双極子モーメントは小さくなるので、実効的な双極子の長さが縮小される。この現象は、パイプチュービング10とケーシング12との間に接触がある場合に悪化する。
【0045】
よって、アンテナの実効的なEM双極子の長さを最大化するように電流パスを方向付けるため協働する第1および第2の絶縁セクションと電極とによって実現される実効的な双極子の長さをできる限り維持することが望ましい。
【0046】
図3は、絶縁セクション23、25付きの電流源21が実質的に電極22の一方に対して位置合わせされている偏心アンテナ構造体の一実施形態を示している。この場合も、漏れパス28が存在する可能性がある。図3の偏心状の実施形態の利点は、電源を一方の電極の近くに移動させることにより、システムの配線および機械的組み込みを簡素化することが可能な点である。たとえば、アンテナは電極内で物理的に実施することが可能である。
【0047】
図4は、湾曲した、または、不完全に直線的なケーシング12および/またはドリルパイプ10を補償することができる実施形態である。このような場合に、ギャップ26は縮小され、ギャップのインピーダンスが低減し、そして、直接的な接触がある場合でさえ、大規模な半径方向の漏れが生じ、EM双極子の長さを不必要に制限する。これらの不利点を克服するため、第1の選択肢が、パイプチュービング10に沿ってさらなる絶縁隔離セクション24を導入することからなる図4の実施形態に示されている。このような絶縁隔離点の効果はパイプチュービング10とケーシング12との間の接点を回避することである。
【0048】
実際には、ドリルパイプ10は多くの場合に複数個のドリルパイプセグメントを一つに結合することにより作られる。図9は、たとえば、セグメント結合部95で交わるこれらのドリルパイプセグメントを示している。よって、このセクション結合部95に用いられる隔離点は、パイプをパイプの最も突出した点での接触から保護するだけでなく、結合部自体を改善する可能性がある。
【0049】
図4に示されているような実施形態のさらなる利点は、改良されたEM双極子がこのような分離を実現するために最小限の絶縁材料を使用することにより実現され得ることである。すなわち、さらなる絶縁体24は、電極22と22’との間でドリルパイプ10の全長を覆う必要があるのではなく、セグメント接合部95だけに用いられる。
【0050】
図5は、電流源が非対称的に置かれているだけでなく(すなわち、図3と同様に一方の電極22の近くに位置合わせされているだけでなく)、付加的に第2の絶縁セクション23’が2個の電極22および22’の間でドリルパイプ10の全長を覆うため共に延長されている本発明の別の実施形態を示している。後者の特徴は、第2の絶縁セクション23が2個の電極の間でドリルパイプ10の全長のほんの一部だけを絶縁する図3の実施形態と異なる。
【0051】
図5は、電極間のパイプの全長が電気的に絶縁され、ケーシング12への半径方向の漏れを防止し、それによって、双極子の実効的な長さを最大化させるが、2個の電極の間のドリルパイプ10の全長が覆われることを必要とする選択肢を示している。
【0052】
図6は、図5の実施形態の第2の電極と比べると、第2の電極22’が取り除かれているさらなる実施形態を示している。第2の絶縁セクション23’の長さがより長いので、電流パスは、ケーシング12および構成体14からドリルパイプ10へ第2の絶縁体23’が終わる点27で自動的に戻るようになる。その理由は、点27’では、絶縁材料23’がもはや存在しないので、絶縁耐力がドリルパイプ10とケーシング12との間で最も弱いからである。よって、同図の本実施形態は、1個の電極だけを使用し、第2の絶縁セクション23’を延長することにより、大きなEM双極子を維持する可能性を示している。よって、電流パスを形成し、より長いEM双極子の長さの有利な効果を達成するのは、第1の絶縁セクション25と、少なくとも1個の電極22と、第2の絶縁セクション23’との組み合わせである。
【0053】
本発明の実施形態の利点は、EM双極子が電流を伝達するためにドリルパイプとケーシングの両方を使用する電流パスによって形成されるということは認められるであろう。よって、実質的に長いEM双極子が複雑な電源の必要なく、または、電流を流すために導体を横切って印加するため必要とされるより長いケーブルの必要なく作成される。実際には、本発明の実施形態は、ケーシングとドリルパイプ自体との両方の実質的な長さに亘って電流パスフローを形成することが可能である。すなわち、絶縁体および電極配置の種々の組み合わせによって、比較的長い電流パスを長い電気ケーブルを必要とせずにドリルパイプに確実に設けることができるので、実効的なEM双極子の長さが最適化される。
【0054】
図7は実施形態のうちの一つによるアンテナを使用する、通常の陸域の井戸の遠隔測定の第1の用途を示している。
【0055】
アンテナ16によって注入された電流Iは、配管構造物(ケーシングおよびドリルパイプ)に沿って進み、構成体を経由して戻る極めて低周波数の電磁信号を生成する。実際には、各アンテナは複数の電流パス29をケーシングおよび周囲構成体の中に開設させることが示されている。生成された電磁信号は、リピータ16’としても知られている井戸孔内の遠隔アンテナによって測定される。リピータは測定された信号を解釈し、受信された信号を再送信する。信号は、信号が捕捉され、解釈される表面または海底に達するようにリピータからリピータへ進む。
【0056】
より詳しくは、各リピータは、他の中継アンテナから送られるデータのフィルタリング、処理、復号化および/または保存する処理回路を用いて構成することが可能である。よって、各アンテナの処理回路は、たとえば、任意の圧縮/伸長データ伝送アルゴリズムをさらに含む、データ信号を処理し操作する公知の信号処理技術を用いて構成できることが認められるであろう。
【0057】
さらなる実施形態では、リピータシステムは、たとえば、本明細書に記載された実施形態のいずれかによる一連のアンテナを備えるか、または、リピータシステム内の最後のアンテナが表面トランシーバーとの異なる通信方法を採用するシステムを備えることが可能である。たとえば、一連のリピータの最後のアンテナは、EM通信ではなく、ある種の用途においてより有利であり売る音響法または物理的なケーブル(図9を参照のこと)を介して、表面トランシーバーと通信可能である。
【0058】
図7は、電磁信号がリグ構造物73とリグ構造物から数十メートル離れている遠隔点74との間の表面で測定される通常の陸域の井戸に特に関する。この信号検出は、地下構成体内を通る電流パスによって誘起されるリグ構造物73と遠隔点74との間の電位差を測定することによって行われる。代替的に、信号検出は磁力計の使用して行うことが可能である。
【0059】
海底井戸の場合、配備の観点から、特に、深度および超深度沖合井戸の場合、海底坑口と海底上の遠隔点との間の電位差を測定することは難しい。このような海洋環境の場合、上述したアンテナの実施形態は、図8に描かれているように海底坑口の上方、または、図9に描かれているように海底坑口の下方のいずれかで、海底18での電磁信号を検出し復号化するため使用される。
【0060】
特に、図8は、検出と復号化の両方が、海水面より下、および、海底18より下の両方で、無線遠隔測定EMアンテナによって実効される可能性がある実施形態を示しているのに対し、図9は、検出および復号化が海底18の下で無線EMアンテナだけによって実行され、一旦復号化された信号がケーブル90を用いて表面へ単に運ばれることを示している。特に、ケーブル90は、図9の実施形態では、ライザー98および井戸のケーシングの中に位置するように示されている。このようなケーブルはライザーの外部に設置できることもまた認められるであろう。
【0061】
(複数の)中継アンテナが海底坑口の上に位置している図8の実施形態の利点は、ケーブル敷設が、一旦海底に設置されると典型的に密閉される坑口を必ずしも通らないので容易な配備であるという点にある。しかし、海底坑口の上と下の両方のアンテナトランシーバーのEM特性は、坑井位置と表面との間で通信をするために坑口の変更を必要としない。
【0062】
最後の中継アンテナが海底坑口の下に位置している図9の実施形態の利点は、坑口の中に物理的なケーブルを通す際により多くの労力を必要とするが、坑口介して表面に至る信号の減衰はより小さい。
【0063】
よって、双方向無線遠隔測定システムは、坑井と表面との間で通信するため井戸孔で使用される。一部の実施形態では、原理としは、軸方向絶縁結合部と共に、無線信号を送信または受信する電気双極子または電磁(EM)アンテナとしての役目を果たすケーシングと接触した2個の電極を使用することである。1個ずつがトランシーバーの役目を果たす数個のアンテナが井戸孔に沿って異なる場所に設置される可能性がある。無線遠隔測定のレンジは、付加的なリピータの使用によって拡大される。信号は、表面で、または、海底上で、最終的に捕捉され、解釈される。相互に、EM信号は、表面または海底からリピータを介して坑井まで進む。
【0064】
表面から坑井へ情報を送信するため、電流が坑口と坑口からある一定の距離だけ離れた地面のある一点との間に注入される。電流は、表面から坑井へ信号を伝達するため変調される。電流は、配管構造物、すなわち、ケーシングおよびパイプに沿って進み、構成体を通って戻る。表面からこの情報を受信するため、坑井ツールはケーシング上の電圧差を測定する。この信号は、ツールにおいて増幅され、復号化され、ツールは受信された信号に基づいて対処する。坑井から表面へ情報を送信するため、ツールは電流を配管構造物、すなわち、ケーシングおよびパイプに注入する。この電流はケーシング上の2点の間に注入される必要がある。この電流信号の特定の符号化は坑井から表面へ情報を伝達する。表面において、この電流は、坑口と地面上の第2の点との間の電圧差として測定される。
【0065】
本発明の実施形態は、油およびガスのような炭化水素のための井戸に適用するが、表面の下の大深度で機器/ロボットと通信し、制御するために、ケース入りまたは導電性配管によって取り囲まれた無線遠隔測定システム、たとえば、深部地球探査、水探査、または、場合によっては万年雪の下の掘削のための他の潜在的な用途の範囲が存在することが認められるであろう。
【0066】
本実施形態は非限定的であることがさらに認められ、たとえば、さらなる絶縁体がパイプセグメント結合部を覆うだけでなく、要求に応じて介在するドリルパイプセグメント自体の選択された長さも覆うといったこのような実施形態を組み合わせることは当業者によって理解されるであろう。
【0067】
ライザー97は、海底坑口の上にあるケーシング12の延長部を実質的に記述する技術用語であることもまた認められるであろう。よって、少なくとも一実施形態では、ライザー97およびケーシング12は、内側のドリルパイプ10を取り囲む同じ導電性パイプの実質的に一部である。ドリルパイプ10を記述するための他の一般的な用語は、ドリルチュービングまたはドリルストリングである。
【0068】
上記のいずれかの実施形態によるアンテナを備える無線遠隔測定システムは、複数の異なる用途に属しているデータを通信できることもまた認められるであろう。たとえば、アンテナは、坑井圧力、温度、抵抗率、気孔率、流速などのデータを表面に通信することが可能である。代替的に、表面から、サンプラ、バルブ、パッカー、穿孔弾などのような坑井設備の稼働を制御することが可能である。これは用途である可能性がある使用の一部の網羅的ではないリストであり、どのような遠隔用途でも対象とされることが認められるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングによって囲まれたパイプ上の位置のためのアンテナであって、
前記パイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、
前記パイプから前記ケーシングへ電流を伝達する電極と、
電流のパスフローを方向付けるため前記電極および前記第1の絶縁セクションと協働するように配置された前記パイプの第2の絶縁セクションと、
を備えるアンテナ。
【請求項2】
前記パスフローが前記アンテナの実効的なEM双極子の長さを増大させるため方向付けられている、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記パスフローが前記パイプと前記パイプのうちの少なくとも所定の長さに対する前記ケーシングとの間での電流の漏れを防止するため方向付けられている、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記パイプおよび前記ケーシングが導電性である、請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記ケーシングの少なくとも一つの面が、導電性であり、かつ、電流を伝達することができる物質と当接する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記物質が地殻を構成する材料となる、請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記物質が海水である、請求項5に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記パイプがドリルチュービングである、請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記パイプが環状間隔部によって前記ケーシングから分離されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記電源が電流源である、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記電源が電圧源である、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記パスフローが前記パイプ、前記電極、および、前記ケーシングを通る電流ループを形成する、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記電流ループが前記ケーシングによって内側を覆われた構成体のセクションをさらに含む、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記電流の前記パスフローが適切な電磁信号を生成する、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記電磁信号がデータを無線通信するため使用される、請求項14に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記電磁信号が極めて低い周波数である、請求項14または15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記パイプに位置している少なくとも1個の他の類似したアンテナと無線通信するように配置されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項18】
パイプの一端から前記パイプの他端へ信号を無線転送するため前記パイプに沿って位置している複数個のアンテナと通信するように配置されている、請求項17に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記パイプの一端が試錐孔の底で坑井に位置し、前記パイプの他端が地球の表面に位置している、請求項18に記載のアンテナ。
【請求項20】
海洋用途のため、前記複数個のアンテナが前記パイプの坑口位置の下にあるセクションだけで前記パイプに位置している、請求項17または18に記載のアンテナ。
【請求項21】
前記坑口の下にある前記パイプに位置し、かつ、前記坑口に最も近接している前記アンテナが電磁通信なしで表面トランシーバーと通信可能である、請求項20に記載のアンテナ。
【請求項22】
前記坑口の上にある前記パイプに位置し、かつ、前記坑口に最も近接している前記アンテナが電磁通信なしで表面トランシーバーと通信可能である、請求項20に記載のアンテナ。
【請求項23】
前記坑口の上にある前記パイプに位置し、かつ、前記坑口に最も接近している前記アンテナが物理的なケーブルを使用して表面トランシーバーと通信する、請求項22に記載のアンテナ。
【請求項24】
海洋用途のため、前記複数個のアンテナが前記パイプの坑口位置の上および下にあるセクションで前記パイプに位置している、請求項17または18に記載のアンテナ。
【請求項25】
前記第1の絶縁セクションが前記パイプの導電率に不連続性を生じさせる、請求項1から24のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項26】
前記第1の絶縁セクションが前記パイプの長手方向に対して軸方向に方向付けられている、請求項1から25のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項27】
前記第2の絶縁セクションが前記第1の絶縁セクションに対して実質的に垂直方向に方向付けられている、請求項1から26のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項28】
前記電源が前記電極に実質的に隣接している、請求項1から27のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項29】
前記アンテナが前記ケーシングから前記パイプへ電流を伝達する第2の電極をさらに備える、請求項1から28のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項30】
前記第2の絶縁セクションが前記パイプのうちの選択された長さを覆う、請求項1から29のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項31】
前記選択された長さが前記第1の電極と前記第2の電極との間の間隔の比較的小さな部分を覆う、請求項30に記載のアンテナ。
【請求項32】
前記選択された長さが少なくとも前記電源および前記第1の絶縁セクションを覆う、請求項30に記載のアンテナ。
【請求項33】
前記選択された長さが前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記パイプの全長を覆う、請求項30に記載のアンテナ。
【請求項34】
前記選択された長さが前記パイプの隔離点を絶縁するため複数個の離散的な場所を覆う、請求項30に記載のアンテナ。
【請求項35】
ケーシングによって周囲構成体から分離されているドリルパイプ上の坑井を作動させるアンテナであって、
前記ドリルパイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、
前記ドリルパイプから前記ケーシングおよび前記構成体へ電流を伝達する電極と、
電流のパスフローを形成するため前記電極および前記第1の絶縁セクションと協働するように配置された前記ドリルパイプの第2の絶縁セクションと、
を備えるアンテナ。
【請求項36】
構成体の内側を覆うケーシングから環状間隙部が設けられているパイプに位置している坑井アンテナの電磁双極子を延長する方法であって、
ドリルストリングの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入することと、
電極を介して前記パイプから前記ケーシングへ電流を伝達することと、
前記電磁双極子を延長するため前記第1の絶縁セクションおよび前記電極と協働するように構成された第2の絶縁セクションを使用して電流が流れるパスを方向付けることと、
を備える方法。
【請求項37】
ケーシングによって囲まれたパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、
前記パイプに電気的な不連続性を生じさせる前記パイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、
前記パイプの第1の場所から前記ケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、
前記ケーシングから前記パイプの第2の場所へ電流を伝達する第2の電極と、
前記電源および前記第1の絶縁セクションを覆う前記パイプのうちの選択された長さを絶縁する第2の絶縁セクションと、
を備えるアンテナ。
【請求項38】
前記パイプの前記第2の絶縁セクションが、電流のパスフローを前記パイプから前記第1の電極を介して前記ケーシングへ方向付け、前記第2の電極を介して前記パイプへ戻すため、前記第1および前記第2の電極と、前記第1の絶縁セクションと協働する、請求項37に記載のアンテナ。
【請求項39】
前記第2の絶縁体が前記第1の絶縁体と実質的に垂直に方向付けられている、請求項37に記載のアンテナ。
【請求項40】
前記電源と前記第1および第2の絶縁体とが前記第1の電極と前記第2の電極との間で中心に位置合わせされた前記パイプに位置している、請求項37から39のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項41】
前記電源と前記第1および第2の絶縁体とが前記第1および第2の電極の少なくとも一方に隣接して位置合わせされた前記パイプに位置している、請求項37から39のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項42】
それぞれの隔離点で結合された複数個のセグメントを有し、ケーシングによって囲まれたパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、
前記パイプに電気的な不連続性を生じさせる前記パイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、
前記パイプの第1の場所から前記ケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、
前記ケーシングから前記パイプの第2の場所へ電流を伝達する第2の電極と、
前記電源および前記第1の絶縁セクションを覆う前記パイプのうちの選択された長さを絶縁する第2の絶縁セクションと、
前記それぞれの隔離点を絶縁するさらなる離散的な絶縁セクションの組と、
を備えるアンテナ。
【請求項43】
前記絶縁セクションが電流のパスフローを方向付けるため前記電極と協働する、請求項42に記載のアンテナ。
【請求項44】
前記パスフローが前記パイプから前記第1の電極を介して前記ケーシングに達し、電流を元の前記パイプへ伝達する前記第2の電極に達し、適切な電流ループを形成する、請求項43に記載のアンテナ。
【請求項45】
前記電流パスが前記ケーシングから、構成体の一部を介して、電流を元の前記パイプへ伝達する前記第2の電極で元の前記ケーシングへ戻るように、前記パスフローが前記構成体の前記一部をさらに取り囲む、請求項44に記載のアンテナ。
【請求項46】
それぞれの隔離点で結合された複数個のセグメントを有し、ケーシングによって囲まれたパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、
前記パイプに電気的な不連続性を生じさせる前記パイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、
前記パイプの第1の場所から前記ケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、
前記ケーシングから前記パイプの第2の場所へ電流を伝達する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記パイプを絶縁する第2の絶縁セクションと、
を備えるアンテナ。
【請求項47】
導電性材料が存在し、それぞれの隔離点で結合された複数個のセグメントを有し、ケーシングによって囲まれたパイプ上の坑井位置のためのアンテナであって、
前記パイプに電気的な不連続性を生じさせる前記パイプの第1の絶縁セクションを横切る電流を注入する電源と、
前記パイプの第1の場所から前記ケーシングへ電流を伝達する第1の電極と、
前記パイプの選択された長さを絶縁し、前記電源および前記第1の絶縁セクションを覆い、前記第1の電極と逆方向に前記パイプに沿って実質的な長さを延長する第2の絶縁セクションと、
を備えるアンテナ。
【請求項48】
環状間隙部が前記パイプを前記ケーシングから分離する、請求項47に記載のアンテナ。
【請求項49】
前記環状間隙部が塩水とウォーターベースマッドとのうちの少なくとも一方である導電性材料で埋められている、請求項48に記載のアンテナ。
【請求項50】
前記環状間隙部がオイルベースマッドのような非導電性材料で埋められている、請求項48に記載のアンテナ。
【請求項51】
前記実質的な長さが、電流が前記ケーシングから適切な場所で元の前記パスへ戻るためのリターンパスを設ける際に前記アンテナの電気双極子を最大化する長さである、請求項47から50のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項52】
第2の絶縁セクションが、前記パイプから前記第1の電極を介して前記ケーシングへ方向付けられ、前記導電性材料を介して実質的に前記第2の絶縁が終わる場所で前記パイプに戻る電流のパスフローを形成するため、前記第1の絶縁セクションおよび前記電極と協働する、請求項47から51のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項53】
請求項1、37、41、45および47に記載のアンテナのうちの少なくとも一つを使用して、パイプ坑井の位置から表面へ通信信号を転送する無線遠隔測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−517394(P2010−517394A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546696(P2009−546696)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000612
【国際公開番号】WO2008/090006
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(597124903)シュランベルジェ、ホールディング、リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】SCHLUMBERGER HOLDINGS LIMITED
【Fターム(参考)】