説明

垂直リフト装置付き貨物車

【課題】リヤバンパの支持強度が高い垂直リフト装置付き貨物車を提供する。
【解決手段】垂直リフト装置付き貨物車10は、荷台12のデッキの後端側の一部を構成し垂直方向に昇降可能である昇降リヤデッキ14を有する垂直リフト装置16と、昇降リヤデッキ14の昇降路18よりも前側に車両の前後方向に沿って延在された一対のメインフレーム20を有するシャシフレーム22と、リヤバンパ部材24が昇降リヤデッキ14の昇降路18内の通常位置26及び昇降路18の前側に退避する退避位置28の間で可動であるようにリヤバンパ部材24を一対のメインフレーム20の後端部に連結する一対のリヤバンパ連結機構30を有する可動リヤバンパ装置32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷台のデッキの後端側の一部を構成し垂直方向に昇降可能である昇降リヤデッキを有する貨物車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物の積み降ろし作業の効率向上や負担軽減のために様々な種類のリフト装置を備えた貨物車が利用されている。このようなリフト装置の一例として荷台のデッキの後端側の一部を構成し垂直方向に昇降可能である昇降リヤデッキを有する垂直リフト装置が知られている。
【0003】
ところで貨物車は道路運送車両法によって車両の後端及び地面から所定の範囲内にリヤバンパを設置することが義務付けられている。貨物車は一般的に車両の前後方向に沿って延在された一対のメインフレームとサイドメンバとを有する梯子状のシャシフレームを備えており、リヤバンパはメインフレームに支持されている。一方、垂直リフト装置付き貨物車においてはシャシフレームと昇降リヤデッキとの干渉を避けるためにメインフレームは昇降リヤデッキの昇降路よりも前側に延在されている。このように昇降路よりも前側に延在されているメインフレームの後端にリヤバンパを取付ければリヤバンパと昇降リヤデッキとの干渉も避けることができるが、道路運送車両法で義務付けられた範囲の外に(道路運送車両法で義務付けられた範囲よりも前側に)リヤバンパが設置されてしまうという問題がある。これに対し、昇降リヤデッキの上面と地面との間にスロープを形成するように昇降リヤデッキの後端に設置されている部材にリヤバンパとしての機能をもたせることが提案されている(例えば特許文献1、コラム6、43−44行参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第2522827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昇降リヤデッキは昇降するという機能上、メインフレームのように大きな荷重を負担することは困難であり、衝突等の荷重が作用しうるリヤバンパ(の役割を担う部材)を充分に支持することは困難であった。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、リヤバンパの支持強度が高い垂直リフト装置付き貨物車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、荷台のデッキの後端側の一部を構成し垂直方向に昇降可能である昇降リヤデッキを有する垂直リフト装置と、前記昇降リヤデッキの昇降路よりも前側に車両の前後方向に沿って延在された一対のメインフレームを有するシャシフレームと、リヤバンパ部材が前記昇降リヤデッキの前記昇降路内の通常位置及び前記昇降路の前側に退避する退避位置の間で可動であるように前記リヤバンパ部材を一対の前記メインフレームの後端部に連結する一対のリヤバンパ連結機構を有する可動リヤバンパ装置と、を備える垂直リフト装置付き貨物車により上記課題を解決したものである。
【0008】
前記リヤバンパ連結機構は例えば、前記メインフレームの前記後端部に固定された固定部材と、前記固定部材に回転自在に連結された第1及び第2のアーム部材と、前記リヤバンパ部材を支持すると共に前記第1及び第2のアーム部材に回転自在に連結されて揺動可能であるリヤバンパ支持部材と、を有してなる平行クランク機構であり、前記第1及び第2のアーム部材が前記メインフレームの前記後端部から後方に突出して平行四辺形をなす形態で前記リヤバンパ部材を前記通常位置に保持するように構成されているとよい。
【0009】
更に、前記可動リヤバンパ装置は例えば、前記車両の幅方向に平行に配置された棒状の部材で前記第1のアーム部材及び前記固定部材に嵌合して前記リヤバンパ部材を前記通常位置に固定可能、且つ、前記第1のアーム部材及び前記固定部材から離脱して前記リヤバンパ部材を前記通常位置から解放可能である一対のリヤバンパロック部材と、リヤバンパロック用シリンダ装置と、前記リヤバンパロック用シリンダ装置の伸縮に伴って前記リヤバンパロック部材が前記車両の前記幅方向に進退動するように前記リヤバンパロック用シリンダ装置及び一対の前記リヤバンパロック部材を連結するリヤバンパロック用リンク機構と、を有しているとよい。
【0010】
又、前記可動リヤバンパ装置は例えば、前記車両の幅方向に平行に配置された棒状の部材で一対の前記固定部材に回転自在に支持され、且つ、一対の前記第1のアーム部材に結合された回転駆動軸と、前記回転駆動軸に結合された回転駆動部材と、前記昇降路よりも前側に前記前後方向に沿って設置され一端において前記回転駆動部材に回転自在に連結されたリヤバンパ駆動用シリンダ装置と、を有し、前記回転駆動部材の回転半径が前記第1及び第2のアーム部材の回転半径よりも短く、前記リヤバンパ駆動用シリンダ装置の伸縮に伴って前記リヤバンパ部材が前記前後方向に前記リヤバンパ駆動用シリンダ装置の伸縮のストロークよりも長いストロークで進退動するように構成されているとよい。
【0011】
又、前記リヤバンパ部材の位置を前記通常位置及び前記退避位置のいずれかに選択するためのリヤバンパ駆動用スイッチと、前記リヤバンパ駆動用スイッチによって前記退避位置が選択された場合に前記リヤバンパロック部材が前記第1のアーム部材及び前記固定部材から離脱してから前記リヤバンパ部材が前記通常位置から前記退避位置の方に揺動するように前記リヤバンパ駆動用シリンダ装置を制御するリヤバンパ駆動用制御システムと、を更に備えているとよい。
【0012】
又、前記昇降リヤデッキの位置を前記荷台の前記デッキの高さのレベルの上昇位置及び積み降ろしのための下降位置のいずれかに選択するためのリヤデッキ昇降用スイッチと、前記リヤデッキ昇降用スイッチによって前記下降位置が選択された場合に前記リヤバンパ部材が前記退避位置に保持されている場合に限定して前記昇降リヤデッキが前記上昇位置から前記下降位置の方に移動するように、前記昇降リヤデッキを上下方向に駆動するための昇降用シリンダ装置を制御するリヤデッキ昇降用制御システムと、を更に備えているとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リヤバンパの支持強度が高い垂直リフト装置付き貨物車を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る垂直リフト装置付き貨物車の全体構造を示す側面図
【図2】同貨物車の垂直リフト装置の構造を拡大して示す側面図
【図3】同平面図
【図4】同垂直リフト装置の昇降リヤデッキの後端を係止する機構を示す側面図
【図5】同昇降リヤデッキの補助道板の構造を拡大して示す側面図
【図6】同貨物車の可動リヤバンパ装置を拡大して示す側面図
【図7】同平面図
【図8】同可動リヤバンパ装置のリヤバンパロック用リンク機構の構造を拡大して示す平面図
【図9】同後面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る垂直リフト装置付き貨物車10は箱型の荷台12を備えたトラックであり、荷台12のデッキの後端側の一部を構成し垂直方向に昇降可能である昇降リヤデッキ14を有する垂直リフト装置16と、昇降リヤデッキ14の昇降路18よりも前側に車両の前後方向に沿って延在された一対のメインフレーム20を有するシャシフレーム22と、リヤバンパ部材24が昇降リヤデッキ14の昇降路18内の通常位置26及び昇降路18の前側に退避する退避位置28の間で可動であるようにリヤバンパ部材24を一対のメインフレーム20の後端部に連結する一対のリヤバンパ連結機構30を有する可動リヤバンパ装置32と、を備えている。垂直リフト装置付き貨物車10は可動リヤバンパ装置32の構成に特徴を有している。他の構成であって本実施形態の理解のために重要とは思われないものについては説明を適宜省略する。
【0016】
図2に示されるように、垂直リフト装置16は、昇降リヤデッキ14と、昇降リヤデッキ14の側面の後端近傍から上方に突出する左右一対の棒状のスライダ33と、スライダ33を上下方向に案内するように荷台12の後端近傍に取付けられた左右一対のガイド34と、スライダ33を駆動するための昇降用シリンダ装置36と、を有している。尚、一対のスライダ33は複数の滑車で案内されたワイヤで連結されており、これらの滑車のうちの一つの滑車の回転軸に昇降用シリンダ装置36が連結されている。これにより1つの昇降用シリンダ装置36が一対のスライダ33を均等な力で駆動するようになっている。
【0017】
又、図3に示されるように、垂直リフト装置16は昇降リヤデッキ14の位置を荷台12のデッキの高さのレベルの上昇位置35に保持するための一対のリヤデッキロック用シリンダ装置37を備えている。リヤデッキロック用シリンダ装置37は車両の前後方向に沿う姿勢で荷台12における昇降リヤデッキ14の右側及び左側(図3では便宜上左側のみ図示)に設置されており、伸長することにより先端部において昇降リヤデッキ14の一部に係合して昇降リヤデッキ14を上昇位置35に保持するようになっている。尚、図4に示されるように、荷台12の後部の扉39をロックする機構を構成する上下方向に長い棒状の部材41の下端部も昇降リヤデッキ14の後端を係止して昇降リヤデッキ14を上昇位置35に保持する役割を担っている。
【0018】
又、昇降リヤデッキ14の後端には補助道板38が取付けられている。図5に示されるように、補助道板38は車両の幅方向に平行な回転軸の周りに回転可能に昇降リヤデッキ14の後端に取付けられ、後方に突出する方向にばね40によって付勢され、ばね40に付勢されつつ一部において昇降リヤデッキ14の上面部の後端に当接することにより積み降ろしのためのスロープを形成する姿勢となるように構成されている。又、補助道板38には車両の幅方向に平行な回転軸の周りに回転自在のガイドローラ42が取付けられ、荷台12側にはガイドローラ42を案内するガイド44が取付けられている。ガイド44は垂直部44A及び垂直部44Aの下端から後方に向かって下り傾斜する傾斜部44Bにおいてガイドローラ42に接触し、昇降リヤデッキ14の上昇に伴ってガイドローラ42が傾斜部44Bに当接することにより補助道板38がばね40の付勢力に抗して前方に回転し補助道板38の後方への突出量が抑制された姿勢で昇降リヤデッキ14が上昇位置35に収容されるようになっている。
【0019】
シャシフレーム22は一対のメインフレーム20と複数のクロスメンバとが平面視において梯子状(図示省略)に結合された構造であり、メインフレーム20は車両の前端部近傍から昇降リヤデッキ14の昇降路18の前端近傍まで延在されている。
【0020】
可動リヤバンパ装置32のリヤバンパ連結機構30は、図6及び7に示されるようにメインフレーム20の後端部に固定された固定部材46と、固定部材46に回転自在に連結された第1のアーム部材48及び第2のアーム部材50と、リヤバンパ部材24を支持すると共に第1のアーム部材48及び第2のアーム部材50に回転自在に連結されて揺動可能であるリヤバンパ支持部材52と、を有してなる平行クランク機構であり、第1のアーム部材48及び第2のアーム部材50がメインフレーム20の後端部から後方に突出して平行四辺形をなす(これら4つの部材をピン結合する4つの点を結ぶ線が側面視において平行四辺形をなす)形態でリヤバンパ部材24を通常位置26に保持するように構成されている。尚、通常位置26は道路運送車両法によって定められた、車両の後端及び地面から所定の範囲内である。第1のアーム部材48は細長い板状体と三角形の板状体とが結合された構造の部材が一対組み合わされた構造であり三角形の板状体の部分には後述するリヤバンパロック部材60が嵌合する孔が形成されている。又、固定部材46にもリヤバンパロック部材60が嵌合する孔が形成されている。
【0021】
可動リヤバンパ装置32は更に、車両の幅方向に平行に配置された棒状の部材で一対のリヤバンパ連結機構30の一対の(車両の左右両側の)固定部材46に回転自在に支持され、且つ、一対の(車両左右両側の)第1のアーム部材48に結合された回転駆動軸54と、回転駆動軸54に結合された回転駆動部材56と、昇降路18よりも前側に前後方向に沿って設置され一端において回転駆動部材56に回転自在に連結されたリヤバンパ駆動用シリンダ装置58と、を有している。尚、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58の他端はシャシフレーム22のクロスメンバ59に回転自在に連結されている。回転駆動部材56の回転半径(回転駆動部材56及びリヤバンパ駆動用シリンダ装置58を連結する部分と回転駆動軸54の中心との距離)は第1のアーム部材48及び第2のアーム部材50の回転半径(これらの部材をリヤバンパ支持部材52にピン結合する部分とこれらの部材を固定部材46にピン結合する部分との距離)よりも短い。これにより、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58のストロークよりもリヤバンパ部材24の前後方向の移動量が大きくなっている。
【0022】
又、図8及び9に示されるように可動リヤバンパ装置32は、車両の幅方向に平行に配置された棒状の部材で第1のアーム部材48及び固定部材46に嵌合してリヤバンパ部材24を通常位置26に固定可能、且つ、第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱してリヤバンパ部材24を通常位置26から解放可能である一対のリヤバンパロック部材60と、リヤバンパロック用シリンダ装置62と、リヤバンパロック用シリンダ装置62の伸縮に伴ってリヤバンパロック部材60が車両の幅方向に進退動するようにリヤバンパロック用シリンダ装置62及び一対のリヤバンパロック部材60を連結するリヤバンパロック用リンク機構64と、を更に有している。リヤバンパロック用リンク機構64は、第1リンク部材64A、第2リンク部材64B及び第3リンク部材64Cを有している。リヤバンパロック用シリンダ装置62は車両の幅方向に平行に配置され、一端においてブラケット66及びビーム部材68を介してメインフレーム20に支持され、他端において第1リンク部材64Aに回転自在に連結されている。第1リンク部材64Aは一対のリヤバンパロック部材60の一方と結合され、第3リンク部材64Cは他方のリヤバンパロック部材60と結合されている。第2リンク部材64Bは細長い板状体で長手方向の中心付近においてビーム部材68に垂直方向の軸回りに回転自在に連結されている。又、第2リンク部材64Bはビーム部材68よりも後方で長手方向の一方の端部の近傍の長孔において第1リンク部材64Aと垂直方向の軸回りに回転自在に連結され、ビーム部材68よりも前方で長手方向の他方の端部の近傍の長孔において第3リンク部材64Cと垂直方向の軸回りに回転自在に連結されている。これにより、リヤバンパロック用シリンダ装置62の伸長に伴って一対のリヤバンパロック部材60が車両の幅方向の外側に移動して第1のアーム部材48及び固定部材46に嵌合し、又、リヤバンパロック用シリンダ装置62の短縮に伴って一対のリヤバンパロック部材60が車両の幅方向の内側に移動して第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱するようになっている。
【0023】
又、垂直リフト装置付き貨物車10は、リヤバンパ部材24の位置を通常位置26及び退避位置28のいずれかに選択するためのリヤバンパ駆動用スイッチ70(図1及び2参照)と、リヤバンパ駆動用スイッチ70によって退避位置28が選択された場合にリヤバンパロック部材60が第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱してからリヤバンパ部材24が通常位置26から退避位置28の方に移動するようにリヤバンパ駆動用シリンダ装置58を制御するリヤバンパ駆動用制御システム(図示省略)と、を更に備えている。
【0024】
リヤバンパ駆動用制御システムは例えば、第2リンク部材64Bの動きに連動してON/OFFすることによりリヤバンパロック部材60が第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱しているか否かを検知するリミットスイッチを有し、リヤバンパロック部材60が第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱しているとリミットスイッチが検知している場合のみリヤバンパ部材24が通常位置26から退避位置28の方に移動するように、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58を駆動するためのバルブに通電するように構成されたロジック回路である。尚、リヤバンパロック部材60の動きに連動してON/OFFすることによりリヤバンパロック部材60が第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱しているか否かを直接検知するリミットスイッチを用いてもよい。又、リヤバンパ駆動用制御システムは例えば、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58の動きに連動してON/OFFすることによりリヤバンパ部材24が退避位置28の側から通常位置26に移動したか否かを検知するリミットスイッチを有し、リヤバンパ部材24が退避位置28の側から通常位置26に移動したとリミットスイッチが検知した場合に一対のリヤバンパロック部材60が第1のアーム部材48及び固定部材46に嵌合するように、リヤバンパロック用シリンダ装置62を駆動するためのバルブに通電するように構成されている。
【0025】
又、垂直リフト装置付き貨物車10は、昇降リヤデッキ14の位置を荷台12のデッキの高さのレベルの上昇位置35及び積み降ろしのための下降位置71のいずれかに選択するためのリヤデッキ昇降用スイッチ72(図1及び2参照)と、リヤデッキ昇降用スイッチ72によって下降位置71が選択された場合に、リヤバンパ部材24が退避位置28に移動している場合に限定して昇降リヤデッキ14が上昇位置35から下降位置71に下降するように昇降用シリンダ装置36を制御するリヤデッキ昇降用制御システムと、を更に備えている。
【0026】
リヤデッキ昇降用制御システムは例えば、リヤバンパ連結機構30の動きに連動してON/OFFすることによりリヤバンパ部材24が退避位置28に保持されているか否かを検知するリミットスイッチと、リヤデッキロック用シリンダ装置37の伸縮に連動してON/OFFすることによりリヤデッキロック用シリンダ装置37が昇降リヤデッキ14を拘束しないように短縮されているか否かを検知するリミットスイッチと、を有し、リヤバンパ部材24が退避位置28に移動しており、且つ、リヤデッキロック用シリンダ装置37が昇降リヤデッキ14を拘束しないように短縮されているとこれらのリミットスイッチが検知している場合のみ、昇降リヤデッキ14が上昇位置35から下降位置71に下降するように、昇降用シリンダ装置36を駆動するためのバルブに通電するように構成されたロジック回路である。又、リヤデッキ昇降用制御システムは、例えば昇降リヤデッキ14の昇降に連動してON/OFFすることにより昇降リヤデッキ14が下降位置71の側から上昇位置35まで上昇したことを検知するリミットスイッチを有し、昇降リヤデッキ14が下降位置71の側から上昇位置35まで上昇したことを検知することによりリヤデッキロック用シリンダ装置37を伸長させて昇降リヤデッキ14をリヤデッキロック用シリンダ装置37によって上昇位置35に保持するように、リヤデッキロック用シリンダ装置37を駆動するためのバルブに通電するように構成されている。
【0027】
次に、垂直リフト装置付き貨物車10の使用方法について説明する。まず、荷積み又は荷降ろしの作業を開始する手順について説明する。始めに作業者は、荷台12の後部の扉39を開放する。この際、作業者は後部の扉39をロックする機構を解除する。これにより昇降リヤデッキ14の後端が棒状の部材41から解放される。
【0028】
次に作業者は、リヤバンパ部材24の位置を退避位置28に選択するようにリヤバンパ駆動用スイッチ70を操作する。これによりまずリヤバンパロック用シリンダ装置62が短縮して一対のリヤバンパロック部材60がそれぞれ第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱する。リヤバンパロック部材60が第1のアーム部材48及び固定部材46から離脱しているとリミットスイッチが検知すると、リヤバンパ駆動用制御システムによりリヤバンパ部材24が通常位置26から退避位置28の方に移動するように、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58を駆動するためのバルブに通電される。これによりリヤバンパ駆動用シリンダ装置58が伸長し、リヤバンパ部材24が通常位置26から退避位置28に移動する。尚、リヤバンパ部材24が退避位置28に移動したことはリミットスイッチによって検知される。
【0029】
次に作業者は、昇降リヤデッキ14の位置を積み降ろしのための下降位置71に選択するようにリヤデッキ昇降用スイッチ72を操作する。これによりまずリヤデッキロック用シリンダ装置37が短縮して昇降リヤデッキ14がリヤデッキロック用シリンダ装置37から解放される。リヤデッキロック用シリンダ装置37がリヤバンパ部材24を拘束しないように短縮されたことはリミットスイッチによって検知される。このようにリヤデッキロック用シリンダ装置37がリヤバンパ部材24を拘束しないように短縮されており、且つ、リヤバンパ部材24が退避位置28に移動しているとリミットスイッチが検知すると、リヤデッキ昇降用制御システムにより昇降リヤデッキ14が上昇位置35から下降位置71に移動するように、昇降用シリンダ装置36を駆動するためのバルブに通電される。これにより昇降用シリンダ装置36が伸長し、昇降リヤデッキ14はリヤバンパ部材24と干渉することなく上昇位置35から下降位置71に下降する。
【0030】
尚、この際、昇降リヤデッキ14の後端に取付けられた補助道板38はばね40に付勢されつつガイドローラ42においてガイド44の垂直部44A及び傾斜部44Bに案内されて後方に突出する方向に徐々に回転し、ガイドローラ42がガイド44から離間すると補助道板38の一部が昇降リヤデッキ14の上面部の後端に当接し補助道板38は積み降ろしのためのスロープを形成する姿勢となる。この状態で作業者は下降位置71の昇降リヤデッキ14上への荷積み又は昇降リヤデッキ14上からの荷降ろしを行う。
【0031】
次に、荷積み又は荷降ろしの作業を終了する手順について説明する。まず作業者は、昇降リヤデッキ14の位置を上昇位置35に選択するようにリヤデッキ昇降用スイッチ72を操作する。これによりまず昇降用シリンダ装置36が短縮し、昇降リヤデッキ14は下降位置71から上昇位置35に上昇する。この際、補助道板38はガイドローラ42においてガイド44に接触してばね40の付勢力に抗して前方に回転し後方への補助道板38の突出量が抑制された姿勢で昇降リヤデッキ14が上昇位置35に収容される。昇降リヤデッキ14が上昇位置35まで上昇したことがリミットスイッチにより検知されることによりリヤデッキロック用シリンダ装置37が伸長し、昇降リヤデッキ14はリヤデッキロック用シリンダ装置37によって上昇位置35に保持される。リヤデッキロック用シリンダ装置37が昇降リヤデッキ14を上昇位置35に保持するように伸長したことはリミットスイッチによって検知される。
【0032】
次に作業者は、リヤバンパ部材24の位置を通常位置26に選択するようにリヤバンパ駆動用スイッチ70を操作する。まずリヤバンパ駆動用制御システムによってリヤバンパ部材24が退避位置28から通常位置26の方に移動するように、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58を駆動するためのバルブに通電される。これによりリヤバンパ駆動用シリンダ装置58が短縮し、リヤバンパ部材24が退避位置28から通常位置26に移動する。リヤバンパ部材24が通常位置26に移動したことがリミットスイッチによって検知されるとリヤバンパロック用シリンダ装置62が伸長して一対のリヤバンパロック部材60がそれぞれ第1のアーム部材48及び固定部材46に嵌合し、リヤバンパ部材24が通常位置26に保持される。
【0033】
最後に作業者は、荷台12の後部の扉39を閉じる。これにより荷積み又は荷降ろしの作業が完了する。この際、作業者は後部の扉39をロックする機構をロックする側に操作する。これにより昇降リヤデッキ14が上昇位置35に保持されるように昇降リヤデッキ14の後端が棒状の部材41に係止される。
【0034】
尚、以上の実施形態では荷積み又は荷降ろしのために昇降リヤデッキ14の上昇及び下降を1回ずつ行っているが、必要に応じて所定の量の荷積み又は荷降ろしが完了するまで昇降リヤデッキ14の上昇及び下降を複数回繰り返してもよい。
【0035】
このように垂直リフト装置付き貨物車10は可動リヤバンパ装置32を備えており、荷積みや荷降ろしのために昇降リヤデッキ14を昇降させる場合においてはリヤバンパ部材24が昇降リヤデッキ14と干渉しないようにリヤバンパ部材24を昇降リヤデッキ14の昇降路18の前側の退避位置28に退避させることができる。又、昇降リヤデッキ14の昇降を行わない場合においてはリヤバンパ部材24を(道路運送車両法によって定められた車両の後端及び地面から所定の範囲内の)通常位置26に保持することができる。
【0036】
又、可動リヤバンパ装置32の回転駆動部材56の回転半径は第1のアーム部材48及び第2のアーム部材50の回転半径よりも短く、リヤバンパ駆動用シリンダ装置58のストロークよりもリヤバンパ部材24の前後方向の移動量が大きいので、ストロークが小さいコンパクトなリヤバンパ駆動用シリンダ装置58によってリヤバンパ部材24を(道路運送車両法によって定められた車両の後端から所定の範囲内の)通常位置26と昇降リヤデッキ14の昇降路18の前側の退避位置28との間で揺動させることができる。
【0037】
又、リヤバンパ部材24は、大きな荷重を負担することができる一対のメインフレーム20の後端部に一対のリヤバンパ連結機構30を介して連結されているので、リヤバンパ部材24の支持強度が高い。
【0038】
又、リヤバンパ連結機構30は平行クランク機構であり、第1のアーム部材48及び第2のアーム部材50がメインフレーム20の後端部から後方に突出した平行四辺形をなす形態でリヤバンパ部材24を通常位置26に保持するように構成されているので、リヤバンパ部材24を通常位置26に保持する際のリヤバンパ連結機構30の強度や剛性が高くこの点でもリヤバンパ部材24の支持強度が高い。
【0039】
更に、可動リヤバンパ装置32は、一対の第1のアーム部材48及び固定部材46に嵌合してリヤバンパ部材24を通常位置26に固定可能である一対のリヤバンパロック部材60を備えているので、この点でもリヤバンパ部材24を通常位置26に保持する際のリヤバンパ連結機構30の強度や剛性が高められている。
【0040】
尚、本実施形態において、リヤバンパ駆動用制御システム及びリヤデッキ昇降用制御システムとしてリミットスイッチを組み合わせてなるロジック回路が例示されているが、リヤバンパ駆動用制御システム及びリヤデッキ昇降用制御システムは、リミットスイッチとコントローラ、或いはマイクロコンピュータとを組み合わせた構成でもよい。
【0041】
又、本実施形態において、リヤバンパ連結機構30は平行クランク機構であるが、リヤバンパ連結機構は平行四辺形ではない四辺形をなす構成でもよい。
【0042】
又、本実施形態において、垂直リフト装置付き貨物車10は箱型の荷台12を備えたトラックであるが、例えば垂直リフト装置を備えたトレーラーにも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、垂直リフト装置を備えたトラックやトレーラー等の貨物車に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
10…垂直リフト装置付き貨物車
12…荷台
14…昇降リヤデッキ
16…垂直リフト装置
18…昇降路
20…メインフレーム
22…シャシフレーム
24…リヤバンパ部材
26…通常位置
28…退避位置
30…リヤバンパ連結機構
32…可動リヤバンパ装置
35…上昇位置
36…昇降用シリンダ装置
37…リヤデッキロック用シリンダ装置
38…補助道板
46…固定部材
48…第1のアーム部材
50…第2のアーム部材
52…リヤバンパ支持部材
54…回転駆動軸
56…回転駆動部材
58…リヤバンパ駆動用シリンダ装置
60…リヤバンパロック部材
62…リヤバンパロック用シリンダ装置
64…リヤバンパロック用リンク機構
70…リヤバンパ駆動用スイッチ
71…下降位置
72…リヤデッキ昇降用スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台のデッキの後端側の一部を構成し垂直方向に昇降可能である昇降リヤデッキを有する垂直リフト装置と、
前記昇降リヤデッキの昇降路よりも前側に車両の前後方向に沿って延在された一対のメインフレームを有するシャシフレームと、
リヤバンパ部材が前記昇降リヤデッキの前記昇降路内の通常位置及び前記昇降路の前側に退避する退避位置の間で可動であるように前記リヤバンパ部材を一対の前記メインフレームの後端部に連結する一対のリヤバンパ連結機構を有する可動リヤバンパ装置と、を備えることを特徴とする垂直リフト装置付き貨物車。
【請求項2】
請求項1において、
前記リヤバンパ連結機構は、前記メインフレームの前記後端部に固定された固定部材と、前記固定部材に回転自在に連結された第1及び第2のアーム部材と、前記リヤバンパ部材を支持すると共に前記第1及び第2のアーム部材に回転自在に連結されて揺動可能であるリヤバンパ支持部材と、を有してなる平行クランク機構であり、前記第1及び第2のアーム部材が前記メインフレームの前記後端部から後方に突出して平行四辺形をなす形態で前記リヤバンパ部材を前記通常位置に保持するように構成されたことを特徴とする垂直リフト装置付き貨物車。
【請求項3】
請求項2において、
前記可動リヤバンパ装置は更に、前記車両の幅方向に平行に配置された棒状の部材で前記第1のアーム部材及び前記固定部材に嵌合して前記リヤバンパ部材を前記通常位置に固定可能、且つ、前記第1のアーム部材及び前記固定部材から離脱して前記リヤバンパ部材を前記通常位置から解放可能である一対のリヤバンパロック部材と、リヤバンパロック用シリンダ装置と、前記リヤバンパロック用シリンダ装置の伸縮に伴って前記リヤバンパロック部材が前記車両の前記幅方向に進退動するように前記リヤバンパロック用シリンダ装置及び一対の前記リヤバンパロック部材を連結するリヤバンパロック用リンク機構と、を有することを特徴とする垂直リフト装置付き貨物車。
【請求項4】
請求項3において、
前記可動リヤバンパ装置は更に、前記車両の幅方向に平行に配置された棒状の部材で一対の前記固定部材に回転自在に支持され、且つ、一対の前記第1のアーム部材に結合された回転駆動軸と、前記回転駆動軸に結合された回転駆動部材と、前記昇降路よりも前側に前記前後方向に沿って設置され一端において前記回転駆動部材に回転自在に連結されたリヤバンパ駆動用シリンダ装置と、を有し、前記回転駆動部材の回転半径が前記第1及び第2のアーム部材の回転半径よりも短く、前記リヤバンパ駆動用シリンダ装置の伸縮に伴って前記リヤバンパ部材が前記前後方向に前記リヤバンパ駆動用シリンダ装置の伸縮のストロークよりも長いストロークで進退動するように構成されたことを特徴とする垂直リフト装置付き貨物車。
【請求項5】
請求項4において、
前記リヤバンパ部材の位置を前記通常位置及び前記退避位置のいずれかに選択するためのリヤバンパ駆動用スイッチと、
前記リヤバンパ駆動用スイッチによって前記退避位置が選択された場合に前記リヤバンパロック部材が前記第1のアーム部材及び前記固定部材から離脱してから前記リヤバンパ部材が前記通常位置から前記退避位置の方に揺動するように前記リヤバンパ駆動用シリンダ装置を制御するリヤバンパ駆動用制御システムと、を更に備えることを特徴とする垂直リフト装置付き貨物車。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記昇降リヤデッキの位置を前記荷台の前記デッキの高さのレベルの上昇位置及び積み降ろしのための下降位置のいずれかに選択するためのリヤデッキ昇降用スイッチと、
前記リヤデッキ昇降用スイッチによって前記下降位置が選択された場合に前記リヤバンパ部材が前記退避位置に保持されている場合に限定して前記昇降リヤデッキが前記上昇位置から前記下降位置の方に移動するように、前記昇降リヤデッキを上下方向に駆動するための昇降用シリンダ装置を制御するリヤデッキ昇降用制御システムと、を更に備えることを特徴とする垂直リフト装置付き貨物車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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