説明

垂直循環式駐車装置およびその据付方法

【課題】 既設の受梁の位置に合うように垂直循環駐車装置を提供すること目的とする。
【解決手段】 受梁の上に駆動部が載置され、該駆動部を構成する上スプロケットに巻き掛けられたチェンは所定の長さのリンクからなり、該リンクにはケージが吊り下げられて、複数のケージが循環する垂直循環式駐車装置において、
前記受梁に調整用のシムを除けば直接、前記駆動部に代わる新しい駆動部が載置されて構成する。又、任意のケージと隣接するケージとの間にリンクを追加することにより、前記駆動部の高さ位置を調整するするものである。そして、ケージのピッチ間隔をP、追加するリンクの数をNとすると、調整シロは、(N*P)/8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の建屋を利用した垂直循環式駐車装置とその据付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
初めて垂直循環式駐車装置が現場に据付けられてからほぼ30年近く経過し、これから新しい機器に取替えられる状況になってきている。交換方法については、既に種々提案がなされているが、必要最小限の機器のみ交換するものが大半であった。
【特許文献1】特開2001−193301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
交換(モダニ)時、既設の受梁の高さに合わせて新しい駆動部を設置する場合、既設品と現行品との仕様の違いにより受梁高さがピッタリと合わない事が多い。そのため、架台を設けたり、標準外の駆動部に変更したりして高さ位置を揃える方法が採用されていた。基本的に、新しい駆動部に合わせて受梁を改造することができないことが多いため、対応に苦慮することになる。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、駆動部の高さ位置の調整が簡単に行える駐車装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、受梁の上に駆動部が載置され、該駆動部を構成する上スプロケットに巻き掛けられたチェンは所定の長さのリンクからなり、該リンクにはケージが吊り下げられて、複数のケージが循環する垂直循環式駐車装置において、
1.前記受梁に調整用のシムを除けば直接、前記駆動部に代わる新しい駆動部を載置する。
2.前記リンクを追加することにより、前記駆動部に代わる新しい駆動部の高さ位置を前記受梁に合わせる。
3.前記リンクを追加することにより、前記駆動部の高さ位置を調整する。
4.任意のケージと隣接するケージとの間にリンクを追加することにより、前記駆動部の高さ位置を調整する。
ものである。
【発明の効果】
【0006】
所定の長さを有するリンクを追加することにより、ケージ取付ピッチPの1/8の長さでの調整を極めて簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
チェンに所定の数Nのリンクを追加する。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を示す正面図で、ビル組込式の例を示す。図2は図1の側面図である。
【0009】
図中、10は本発明に係るケージで、普通車用ケージやミドル自動車用ケージやハイルーフ車用ケージなど種々のケージが考えられる。ここでは、3つのリンク11と1つのアタッチメント12とが寸法P毎に連続的に連結されており、アタッチメント12にケージ10が取付けられている。任意の両対面箇所にはリンク13(リンク11と同じもの)が間に連結されている。この結果、上スプロケット14を含む駆動部20の位置については、1本分のリンクの長さ、即ちP/4寸法だけ(リンク13を片側だけにすると、P/8最小寸法:約200mm程度になる)上方に移動させることができる。ここで、最小寸法P/8未満の微調整については、ケージ10への乗場ステップの角度調整や駆動部のベースにライナー(シム)などを入れて行うことになる。尚、Yは上昇位置にあるケージ10と建物の天井との隙間(嵩上げ調整シロ)である。
【0010】
したがって、追加するリンクの数を考慮すれば、既設の受梁21の位置に合うように駆動部を揃えることは極めて簡単に行える。図1では、3つのリンク(計4リンクで1ケージ分を構成する)の場合においてリンク13を2つ増やす例を示しているが、モダニのケースに応じて4つのリンク(計5リンクで1ケージ分を構成する)に変更する場合や5つのリンク(計6リンクで1ケージ分を構成する)に変更する場合もあり、1つ以上のリンクを追加することによってそれぞれ調整できる寸法が変わることになる。即ち、4つのリンクの場合は2つリンクを追加すればP/8寸法(1つではP/4寸法)調整することができ、5つのリンクの場合はそれぞれP/10寸法(1つではP/5寸法)、6つのリンクの場合はP/12寸法(1つではP/6寸法)となる。
【0011】
もし、リンク13を追加しなければ、図3及び図4に示すように、新しく代えた駆動部20の高さ位置が既設の受梁21と干渉してしまい、問題が生じることになるが、この問題を本発明により解決することができる。
【0012】
尚、本発明ではリンクを増やす場合のみ述べているが、基本的に主務チェーンのリンク数は収納車両の車種に見合ったケージの大きさにより4、5又は6リンクに付き1ケージと決まっており、この基本リンク数を減らすことはできない。大きなケージに変更したい場合には、1ケージ分を減らした上で3、4又は5リンク追加することなり、結局寸法調整のためにリンクを追加することになる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、一種類のケージだけでなく、複数種類のケージを備えたミックス型駐車装置であっても適用できるのは明らかである。又、ビル組込式だけでなく、鉄塔タイプの駐車装置にも同様に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明のよる効果を説明する説明図である。
【図4】本発明のよる効果を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0015】
10 ケージ
11,13 リンク
12 アタッチメント
14 上スプロケット
P ケージ10の取付ピッチ
20 駆動部
21 受梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受梁の上に駆動部が載置され、該駆動部を構成する上スプロケットに巻き掛けられたチェンは所定の長さのリンクからなり、該リンクにはケージが吊り下げられて、複数のケージが循環する垂直循環式駐車装置において、
前記受梁に調整用のシムを除けば直接、前記駆動部に代わる新しい駆動部が載置されて構成されることを特徴とする垂直循環式駐車装置。
【請求項2】
受梁の上に駆動部が載置され、該駆動部を構成する上スプロケットに巻き掛けられたチェンは所定の長さのリンクからなり、該リンクにはケージが吊り下げられて、複数のケージが循環する垂直循環式駐車装置において、
前記リンクを追加することにより、前記駆動部に代わる新しい駆動部の高さ位置を前記受梁に合わせることを特徴とする垂直循環式駐車装置の据付方法。
【請求項3】
受梁の上に駆動部が載置され、該駆動部を構成する上スプロケットに巻き掛けられたチェンは所定の長さのリンクからなり、該リンクにはケージが吊り下げられて、複数のケージが循環する垂直循環式駐車装置において、
前記リンクを追加することにより、前記駆動部の高さ位置を調整することを特徴とする垂直循環式駐車装置の据付方法。
【請求項4】
受梁の上に駆動部が載置され、該駆動部を構成する上スプロケットに巻き掛けられたチェンは所定の長さのリンクからなり、該リンクにはケージが吊り下げられて、複数のケージが循環する垂直循環式駐車装置において、
任意のケージと隣接するケージとの間にリンクを追加することにより、前記駆動部の高さ位置を調整することを特徴とする垂直循環式駐車装置の据付方法。
【請求項5】
ケージのピッチ間隔をP、追加するリンクの数をNとすると、調整シロは、(N*P)/8であることを特徴とする請求項4に記載の垂直循環式駐車装置の据付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−348624(P2006−348624A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177337(P2005−177337)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000112705)フジテック株式会社 (138)
【Fターム(参考)】