垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用操舵アセンブリ
【課題】垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用の改良された操舵アセンブリを提供する。
【解決手段】アクチュエータ30は、シリンダ38と、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッド40と、シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アーム42,44と、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレート46と、ピストンロッド軸100をチルトロッド軸105に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アーム52,54と、シリンダ上に配置され、タイバーをタイバー・マウント64,66に接続する接続部材を受けるために貫通して延びるアパーチャ68,70を有する。
【解決手段】アクチュエータ30は、シリンダ38と、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッド40と、シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アーム42,44と、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレート46と、ピストンロッド軸100をチルトロッド軸105に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アーム52,54と、シリンダ上に配置され、タイバーをタイバー・マウント64,66に接続する接続部材を受けるために貫通して延びるアパーチャ68,70を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用操舵アセンブリに関し、特に、垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用操舵アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は、多くの場合、複数の推進装置を備えている。一般的に、推進装置を機械的に連結するのにタイバーが用いられる。Fetchko等の特許文献1及びDudra等の特許文献2は、両文献とも、船舶において推進装置を連結するのにタイバーを用いることを開示していて、これらの完全な開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これによって、推進装置を同時に操舵することが可能となる。
【0003】
また、垂直方向にオフセットした推進装置に適応した操舵アセンブリを提供することも知られている。Zeiger等の特許文献3は、推進装置の間の垂直方向のオフセットに対応するためにスペーサを用いた操舵アセンブリを開示していて、その完全な開示も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、Zeiger等により開示された操舵アセンブリでは、タイバーが1つの水平面上で推進装置に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6406340号
【特許文献2】米国特許第7128626号
【特許文献3】米国特許第6699082号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用の改良された操舵アセンブリを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態によって、垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用の改良された操舵アセンブリを提供することができる。
【0007】
いくつかの実施形態によって、垂直方向にオフセットした隣接する推進装置を接続するタイバーの傾きを軽減するために上向きまたは下向きに延出するタイバー・マウントを備える、改良された操舵アクチュエータを有する操舵アセンブリを提供することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、油圧操舵アクチュエータを提供する。
このアクチュエータは、シリンダと、往復運動するようにシリンダ内に取り付けられて、ピストンロッド軸に沿って移動するためシリンダを通って延在するピストンロッドと;シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、シリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと;チルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームであって、ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするようにピストンロッドの両端に接続されているペアの支持アームと;シリンダ上に配置されたタイバー・マウントであって、タイバーをタイバー・マウントに接続する接続部材を受けるための、貫通して延びるアパーチャを有し、アパーチャの軸方向はピストンロッド軸に略垂直な方向に延びる、タイバー・マウントと、を備えうる。
【0009】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つの舶用推進装置のティラーに力を加えるための油圧操舵アセンブリを提供することができる。
油圧操舵アセンブリは、第1の推進装置のティラーに作動的に連結された第1の油圧操舵アクチュエータを備えてもよく、この第1の油圧操舵アクチュエータは、シリンダと、往復運動するようにシリンダ内に取り付けられて、ピストンロッド軸に沿って移動するためシリンダを通って延在するピストンロッドと;シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、シリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと;チルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームであって、ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするようにピストンロッドの両端に接続されているペアの支持アームと;シリンダ上に配置されたタイバー・マウントであって、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、を有する。
油圧操舵アセンブリは、さらに、第2の推進装置のティラーに作動的に連結された第2の油圧操舵アクチュエータを備えてもよく、この第2の油圧操舵アクチュエータは、シリンダと、往復運動するようにシリンダ内に取り付けられて、ピストンロッド軸に沿って移動するためシリンダを通って延在するピストンロッドと;シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、シリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと;チルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームであって、ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするようにピストンロッドの両端に接続されているペアの支持アームと;シリンダ上に配置されたタイバー・マウントであって、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、を有する。
油圧操舵アセンブリは、さらに、第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントを第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに連結するタイバーを備えてもよく、タイバーを第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第1の接続部材が、第1の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在していて、タイバーを第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第2の接続部材が、第2の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在している。
【発明の効果】
【0010】
上向き及び下向きに延出するタイバー・マウントによって、垂直方向にオフセットした隣接する推進装置を接続するタイバーの傾きが軽減される。タイバー・マウントの非対称形状によって、相手先商標製品製造会社(OEM)は、タイバー・マウントが操舵アクチュエータのピストンロッド軸に対して上向きに延出するか下向きに延出するかに関係なく、単一の構成部品を用いるだけでよいという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数の推進装置と、改良された操舵アセンブリとを備える船舶の斜視図
【図2】改良された操舵システムと推進装置の斜視図
【図3】改良された操舵システムと推進装置の別の斜視図
【図4】改良された操舵システムの中央の油圧操舵アクチュエータの部分切欠斜視図
【図4a】図4に示したものと同様の操舵アクチュエータの右側の部分断面正面図
【図5】改良された操舵システムの中央のアクチュエータの説明図
【図5a】図5の中央のアクチュエータの部分切欠上面図
【図6】改良された操舵システムの右舷側の油圧操舵アクチュエータの斜視図
【図7】改良された操舵システムの左舷側の油圧操舵アクチュエータの斜視図
【図8】2つの推進装置で用いられる改良された操舵システムの部分斜視図
【図9】2つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図
【図10】3つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
例として提示する実施形態について、添付の図面を用い説明する。
【0013】
図1は、3つの船外機12、14及び16の形で複数の推進装置を備えた船舶10を示している。ただし、他の例では、船舶10は、適当な数の船内機及び/または船外機を備えるものであってもよい。レジャー用船舶では、2つのエンジンから5つまでのエンジンを備えたものが一般的である。船舶10は、さらに、船舶10を操縦するための舵20を含むヘルム・ステーション18を備えている。舵20は、油圧ポンプ(図示せず)に作動的に接続されていて、船舶10を操縦するために用いられる油圧操舵システムの一部を成している。
【0014】
図2に最もよく示されているように、エンジン12、14及び16は、断片で示す船舶10のトランサム22上に取り付けられている。センター・エンジン14はトランサム22の中央に配置された凹部24の中に取り付けられている。右舷側と左舷側のエンジン12及び16は、凹部24の外側で、トランサム22の両側に取り付けられている。従って、センター・エンジン14は、右舷側と左舷側のエンジン12及び16に対して垂直方向にオフセットしている。その全体を参照符号26で示す操舵アセンブリは、エンジンを機械的に連結している。これによって、エンジンを同時に操舵することが可能である。
操舵アセンブリ26は、図3によりよく示されているように、複数の操舵アクチュエータ28、30及び32を、隣接する操舵アクチュエータを接続するタイバー34及び36と共に備えている。操舵アクチュエータは、略同様の構造を有し、略同様に機能する。
当然のことながら、すべてのトランサム22が、図2に示すように高さが異なっているわけではない。つまり、トランサム22のその長さに沿った高さが同じである船舶を、他の実施形態により用いてもよい。本明細書に記載の開示により、当業者は、そのような船舶で本明細書に記載の特徴を実施するために変更が可能である。
【0015】
図4及び4aは、中央の操舵アクチュエータ30をより詳細に示している。
中央の操舵アクチュエータ30は、油圧シリンダ38を有し、その中にピストンロッド40が往復運動するように取り付けられていて、これによって、シリンダ38はピストンロッド軸100に沿った相対移動が可能である。シリンダ38は、ペアの離間したシリンダ・アーム42及び44を有し、これらはシリンダ38の径方向外側に延出している。シリンダ・アーム42、44の各々には、42と44それぞれのピボットピン48、50により、ピボットプレート46が枢動可能に接続されている。ピボットプレート46は、シリンダ・アーム42と44の間に延在し、シリンダ・アームは、ピボットプレート46に関して枢動し得る。
支持アーム52及び54が、ピストンロッド40の両端を、図1〜3に示す中央のエンジン14のチルトチューブ(図示せず)のチルトロッド56に接続している。支持アーム52及び54は、船舶10に対するピストンロッド40の軸方向の動きを制限している。さらに、支持アーム52及び54は、ピストンロッド軸100をチルト軸105に対して平行に維持しながら、チルト軸105に関するシリンダ38及びピストンロッド40の円弧状の動きを可能にしている。
【0016】
シリンダ38の両端は、油圧管58及び60によって、ヘルムポンプ(図示せず)に油圧で接続されている。ヘルムポンプから送り出される油圧作動油によって、シリンダ38はピストンロッド40に対して直線往復運動をするように作動する。当業者によって、本開示を読み返すことで、いかにして油圧作動油がヘルムポンプから送り出されるかは理解されるであろう。具体的には、ピストンロッド40は、図1に示す船舶10に対して軸方向に固定されたままで、シリンダ38が船舶10に対して往復移動する。
【0017】
図2に示すように、中央のエンジン14のティラー62の形態をした操舵部材が、枢動可能に、中央の操舵アクチュエータ30のピボットプレート46に接続されている。このようにして、シリンダ38の相対的な直線移動がティラー62に伝達される。これによって、ティラー62は、操舵軸110及び操舵される中央のエンジン14に関して枢動する。右舷側と左舷側のエンジン12及び16は、右舷側と左舷側の操舵アクチュエータ28及び32により同様に操舵される。また、操舵アクチュエータのうちいずれか1つによる動きは、タイバー34及び36によって、その他の操舵アクチュエータに伝達され、これにより、エンジンを同時に操舵することが可能である。ここまで説明した操舵アセンブリ26並びに操舵アクチュエータ28、30及び32は、従来のものである。
【0018】
図4及び図4に示されているものと同じものの部分断面図を示した図4aに示すように、中央の操舵アクチュエータ30は、非対称のタイバー・マウント64及び66を備えている。タイバー・マウント64、66の各々には、アパーチャ68、70がそれぞれ設けられている。アパーチャ68及び70は、その軸方向がピストンロッド軸100に略垂直な方向に延びている。タイバー・マウント64、66は、略同一のものであり、タイバー・マウントのうちの1つであるダイバー・マウント66を、より詳細に図5及び5aに示している。タイバー・マウント66は、第1の部分72と、この第1の部分からピストンロッド軸100に対して上向きの方向に角度を成して延出する第2の部分74とを有している。この例では、タイバー・マウント66の第1の部分72は、略四角形であり、タイバー・マウント66の第2の部分74は、略対称な曲線形である。線115は、タイバー・マウント66の第1の部分72とタイバー・マウント66の第2の部分74の間の分割を表している。
【0019】
図5及び5aに示すように、タイバー・マウント66は、ボルト76の形態をした接続部材により、中央の操舵アクチュエータ30のシリンダ38に固定されている。ボルト76は、ピストンロッド軸100に略垂直な方向に延在している。ボルト76の突出部77は、シリンダ38の端部押さえ80の溝78に係合してもよい。端部押さえ80は、Oリング83を収容するための溝81を持つものであってもよい。ボルト76は、押さえ80を定位置に保ち、油圧操舵システムの作動中に、摩擦力及び振動力によって押さえ80がシリンダ38から切り離されることを防いでいる。好ましくは、シリンダ38の中心線120に近いボルト76のみが、端部押さえ80の溝78に係合する。中心線120は、一般的には、ピストンロッド軸100と同軸であり、シリンダ38は、その両端部に溝付きの端部押さえを備えている。
【0020】
ボルト82の形態をした接続部材が、タイバー・マウント66のアパーチャ70とタイバー36のボールジョイント84を通って延在している。ボルト82は、タイバー・マウント66をタイバー36に接続している。これにより、図2に示すように、中央の操舵アクチュエータ30を左舷側のアクチュエータ32に接続することができる。ボルト82は、ピストンロッド軸100に略垂直な方向に延在していて、ボルト82に沿った略水平な軸125に関してタイバー36が枢動することができるように、垂直平面上でタイバー36をタイバー・マウント66に接続することを可能にしている。ボールジョイント84は、タイバー・マウント66とタイバー36との間の関節接続を提供する。ここで記載している特徴はボールジョイントにのみ限定されるものではないので、他の実施形態では他の関節ジョイントを用いてもよい。船舶が操舵されてエンジン12、14及び16が前後に動くと、関節接続によって、タイバー36はその長手軸に沿って往復運動することが可能である。中央の操舵アクチュエータ30は、タイバー・マウント64とタイバー34とにより、同様にして、右舷側のアクチュエータ28に接続されている。
【0021】
図4及び4aに示すように、中央の操舵アクチュエータ30は、さらに、ペアの止めネジ86及び88を備えていて、これらは、それぞれピボットピン48及び50に対して圧縮力を及ぼすものである。止めネジ86及び88は、それぞれピボットピン48及び50を定位置に保持するための冗長を提供する。他の実施形態では、止めネジを用いて、他のピンまたはネジを定位置に保持するための冗長を提供してもよい。例えば、止めネジを用いて、タイバー・マウントをシリンダに固定するボルトを定位置に保持するための冗長を提供してもよい。
【0022】
図4aは、図4に示すものと同様の改良された操舵システムの中央の油圧操舵アクチュエータの右側を示している。図4aに示すタイバー・マウント66は、図4に示すものとは若干異なる。当業者は、図に示すシステムへの変更が可能である。
図4aに示すように、Oリング89を、ピボットピン50の近くに配置してもよい。ピボットピン50は、グリース、空気、及び/またはその他の物質の抜け道を提供するための通路91を備えるものであってもよい。ピボットピン50は、フランジブッシュ93に嵌め込んでもよい。一部の実施形態において、フランジブッシュ93はプラスチック製としてもよいが、プラスチック製に限定されるものではない。フランジブッシュ93は、ワッシャ94に対して当接させてもよい。ワッシャ94は、ステンレス鋼製としてもよいが、この材料に限定されるものではない。
【0023】
ピボットピン50と止めネジ88は、両方とも、工具がピボットピン50及び止めネジ88に係合してそれらを回転させ得る構造96及び98を備えたものであってもよい。一部の実施形態において、その構造は、図4aに示すような六角ブローチ96、98であってもよいが、六角ブローチに限定されるものではない。止めネジ88は、Oリング104を収容するための溝102を備えるものであってもよい。
【0024】
右舷側と左舷側の操舵アクチュエータ28及び32は、図6及び7に最もよく示されているように、中央の操舵アクチュエータ30と略同様の構造であり、略同様に機能する。ただし、右舷側の操舵アクチュエータ28は、ピストンロッド軸130に対して下向きに延出するタイバー・マウント90を1つのみ備えている。同様に、左舷側の操舵アクチュエータ32は、ピストンロッド軸135に対して下向きに延出するタイバー・マウント92を1つのみ備えている。右舷側のアクチュエータ28と左舷側のアクチュエータ32は、図2及び3に示すように、鏡像になっていて、対応するタイバー34及び36によって中央のアクチュエータ30の両側に連結されている。各タイバー・マウントとタイバーとの間には関節接続があり、このため、船舶10が操舵されて、エンジン12、14及び16が前後に動き、さらに/または傾いた場合に、タイバーはタイバー・マウントとの接続点の周りに回転することができる。
【0025】
図2に最もよく示されているように、上向き及び下向きに延出するタイバー・マウント64、66、90及び92を備える操舵アセンブリ26を提供することによって、垂直方向にオフセットしたエンジン28、30及び32の改良された機械的連結が可能である。具体的には、角度α1、α2として表される水平方向に対するタイバー34及び36の傾きが減少し、実施形態によっては、タイバーが完全に水平になることがある。本明細書で開示する操舵アセンブリ26の実施形態では、中央のエンジン30がトランサム22の凹部24に取り付けられていることによって、エンジン28、30及び32は垂直方向にオフセットしている。しかしながら、操舵アセンブリは、例えば主推進装置と補助推進装置とを含む操舵システムにおいて、異なるタイプのエンジンが連結されている結果として垂直方向のオフセットが生じる状況において、用いてもよい。また、操舵アセンブリは、垂直方向のオフセットがない状況において用いてもよい。垂直方向のオフセットがない場合は、タイバー・マウントをすべて同じ方向に延出させてもよい。
【0026】
図8〜10は、本発明の様々な実施形態をいくつかの異なるエンジン構成及び部品構成で用いてもよいことを示している。
例えば、図8は、2つの推進装置で用いられる改良された操舵システムの部分斜視図である。図9は、2つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図である。図10は、3つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図である。ここで提示するいくつかの図面は、タイバー34並びに操舵アクチュエータ28、30及び32の代替構成を示している。本発明による様々な実施形態では、図示のタイバー34並びに操舵アクチュエータ28、30及び32の構成あるいは他の変形を用いてもよい。また、本発明のいくつかの実施形態において、図示の3つ及び図示の具体的構成以外の追加台数の推進装置を用いてもよい。
【0027】
本明細書で用いられる「上向き」及び「下向き」という用語は、操舵アセンブリの使用の際の上向き及び下向きの方向を指して用いられている。
【0028】
また、上記で提示した詳細の多くは、単なる例にすぎず、添付の請求項によって定められる本発明の範囲を限定するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用操舵アセンブリに関し、特に、垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用操舵アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は、多くの場合、複数の推進装置を備えている。一般的に、推進装置を機械的に連結するのにタイバーが用いられる。Fetchko等の特許文献1及びDudra等の特許文献2は、両文献とも、船舶において推進装置を連結するのにタイバーを用いることを開示していて、これらの完全な開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これによって、推進装置を同時に操舵することが可能となる。
【0003】
また、垂直方向にオフセットした推進装置に適応した操舵アセンブリを提供することも知られている。Zeiger等の特許文献3は、推進装置の間の垂直方向のオフセットに対応するためにスペーサを用いた操舵アセンブリを開示していて、その完全な開示も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、Zeiger等により開示された操舵アセンブリでは、タイバーが1つの水平面上で推進装置に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6406340号
【特許文献2】米国特許第7128626号
【特許文献3】米国特許第6699082号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用の改良された操舵アセンブリを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態によって、垂直方向にオフセットした推進装置を備える船舶用の改良された操舵アセンブリを提供することができる。
【0007】
いくつかの実施形態によって、垂直方向にオフセットした隣接する推進装置を接続するタイバーの傾きを軽減するために上向きまたは下向きに延出するタイバー・マウントを備える、改良された操舵アクチュエータを有する操舵アセンブリを提供することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、油圧操舵アクチュエータを提供する。
このアクチュエータは、シリンダと、往復運動するようにシリンダ内に取り付けられて、ピストンロッド軸に沿って移動するためシリンダを通って延在するピストンロッドと;シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、シリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと;チルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームであって、ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするようにピストンロッドの両端に接続されているペアの支持アームと;シリンダ上に配置されたタイバー・マウントであって、タイバーをタイバー・マウントに接続する接続部材を受けるための、貫通して延びるアパーチャを有し、アパーチャの軸方向はピストンロッド軸に略垂直な方向に延びる、タイバー・マウントと、を備えうる。
【0009】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つの舶用推進装置のティラーに力を加えるための油圧操舵アセンブリを提供することができる。
油圧操舵アセンブリは、第1の推進装置のティラーに作動的に連結された第1の油圧操舵アクチュエータを備えてもよく、この第1の油圧操舵アクチュエータは、シリンダと、往復運動するようにシリンダ内に取り付けられて、ピストンロッド軸に沿って移動するためシリンダを通って延在するピストンロッドと;シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、シリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと;チルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームであって、ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするようにピストンロッドの両端に接続されているペアの支持アームと;シリンダ上に配置されたタイバー・マウントであって、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、を有する。
油圧操舵アセンブリは、さらに、第2の推進装置のティラーに作動的に連結された第2の油圧操舵アクチュエータを備えてもよく、この第2の油圧操舵アクチュエータは、シリンダと、往復運動するようにシリンダ内に取り付けられて、ピストンロッド軸に沿って移動するためシリンダを通って延在するピストンロッドと;シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、シリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと;チルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームであって、ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするようにピストンロッドの両端に接続されているペアの支持アームと;シリンダ上に配置されたタイバー・マウントであって、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、を有する。
油圧操舵アセンブリは、さらに、第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントを第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに連結するタイバーを備えてもよく、タイバーを第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第1の接続部材が、第1の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在していて、タイバーを第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第2の接続部材が、第2の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在している。
【発明の効果】
【0010】
上向き及び下向きに延出するタイバー・マウントによって、垂直方向にオフセットした隣接する推進装置を接続するタイバーの傾きが軽減される。タイバー・マウントの非対称形状によって、相手先商標製品製造会社(OEM)は、タイバー・マウントが操舵アクチュエータのピストンロッド軸に対して上向きに延出するか下向きに延出するかに関係なく、単一の構成部品を用いるだけでよいという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数の推進装置と、改良された操舵アセンブリとを備える船舶の斜視図
【図2】改良された操舵システムと推進装置の斜視図
【図3】改良された操舵システムと推進装置の別の斜視図
【図4】改良された操舵システムの中央の油圧操舵アクチュエータの部分切欠斜視図
【図4a】図4に示したものと同様の操舵アクチュエータの右側の部分断面正面図
【図5】改良された操舵システムの中央のアクチュエータの説明図
【図5a】図5の中央のアクチュエータの部分切欠上面図
【図6】改良された操舵システムの右舷側の油圧操舵アクチュエータの斜視図
【図7】改良された操舵システムの左舷側の油圧操舵アクチュエータの斜視図
【図8】2つの推進装置で用いられる改良された操舵システムの部分斜視図
【図9】2つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図
【図10】3つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
例として提示する実施形態について、添付の図面を用い説明する。
【0013】
図1は、3つの船外機12、14及び16の形で複数の推進装置を備えた船舶10を示している。ただし、他の例では、船舶10は、適当な数の船内機及び/または船外機を備えるものであってもよい。レジャー用船舶では、2つのエンジンから5つまでのエンジンを備えたものが一般的である。船舶10は、さらに、船舶10を操縦するための舵20を含むヘルム・ステーション18を備えている。舵20は、油圧ポンプ(図示せず)に作動的に接続されていて、船舶10を操縦するために用いられる油圧操舵システムの一部を成している。
【0014】
図2に最もよく示されているように、エンジン12、14及び16は、断片で示す船舶10のトランサム22上に取り付けられている。センター・エンジン14はトランサム22の中央に配置された凹部24の中に取り付けられている。右舷側と左舷側のエンジン12及び16は、凹部24の外側で、トランサム22の両側に取り付けられている。従って、センター・エンジン14は、右舷側と左舷側のエンジン12及び16に対して垂直方向にオフセットしている。その全体を参照符号26で示す操舵アセンブリは、エンジンを機械的に連結している。これによって、エンジンを同時に操舵することが可能である。
操舵アセンブリ26は、図3によりよく示されているように、複数の操舵アクチュエータ28、30及び32を、隣接する操舵アクチュエータを接続するタイバー34及び36と共に備えている。操舵アクチュエータは、略同様の構造を有し、略同様に機能する。
当然のことながら、すべてのトランサム22が、図2に示すように高さが異なっているわけではない。つまり、トランサム22のその長さに沿った高さが同じである船舶を、他の実施形態により用いてもよい。本明細書に記載の開示により、当業者は、そのような船舶で本明細書に記載の特徴を実施するために変更が可能である。
【0015】
図4及び4aは、中央の操舵アクチュエータ30をより詳細に示している。
中央の操舵アクチュエータ30は、油圧シリンダ38を有し、その中にピストンロッド40が往復運動するように取り付けられていて、これによって、シリンダ38はピストンロッド軸100に沿った相対移動が可能である。シリンダ38は、ペアの離間したシリンダ・アーム42及び44を有し、これらはシリンダ38の径方向外側に延出している。シリンダ・アーム42、44の各々には、42と44それぞれのピボットピン48、50により、ピボットプレート46が枢動可能に接続されている。ピボットプレート46は、シリンダ・アーム42と44の間に延在し、シリンダ・アームは、ピボットプレート46に関して枢動し得る。
支持アーム52及び54が、ピストンロッド40の両端を、図1〜3に示す中央のエンジン14のチルトチューブ(図示せず)のチルトロッド56に接続している。支持アーム52及び54は、船舶10に対するピストンロッド40の軸方向の動きを制限している。さらに、支持アーム52及び54は、ピストンロッド軸100をチルト軸105に対して平行に維持しながら、チルト軸105に関するシリンダ38及びピストンロッド40の円弧状の動きを可能にしている。
【0016】
シリンダ38の両端は、油圧管58及び60によって、ヘルムポンプ(図示せず)に油圧で接続されている。ヘルムポンプから送り出される油圧作動油によって、シリンダ38はピストンロッド40に対して直線往復運動をするように作動する。当業者によって、本開示を読み返すことで、いかにして油圧作動油がヘルムポンプから送り出されるかは理解されるであろう。具体的には、ピストンロッド40は、図1に示す船舶10に対して軸方向に固定されたままで、シリンダ38が船舶10に対して往復移動する。
【0017】
図2に示すように、中央のエンジン14のティラー62の形態をした操舵部材が、枢動可能に、中央の操舵アクチュエータ30のピボットプレート46に接続されている。このようにして、シリンダ38の相対的な直線移動がティラー62に伝達される。これによって、ティラー62は、操舵軸110及び操舵される中央のエンジン14に関して枢動する。右舷側と左舷側のエンジン12及び16は、右舷側と左舷側の操舵アクチュエータ28及び32により同様に操舵される。また、操舵アクチュエータのうちいずれか1つによる動きは、タイバー34及び36によって、その他の操舵アクチュエータに伝達され、これにより、エンジンを同時に操舵することが可能である。ここまで説明した操舵アセンブリ26並びに操舵アクチュエータ28、30及び32は、従来のものである。
【0018】
図4及び図4に示されているものと同じものの部分断面図を示した図4aに示すように、中央の操舵アクチュエータ30は、非対称のタイバー・マウント64及び66を備えている。タイバー・マウント64、66の各々には、アパーチャ68、70がそれぞれ設けられている。アパーチャ68及び70は、その軸方向がピストンロッド軸100に略垂直な方向に延びている。タイバー・マウント64、66は、略同一のものであり、タイバー・マウントのうちの1つであるダイバー・マウント66を、より詳細に図5及び5aに示している。タイバー・マウント66は、第1の部分72と、この第1の部分からピストンロッド軸100に対して上向きの方向に角度を成して延出する第2の部分74とを有している。この例では、タイバー・マウント66の第1の部分72は、略四角形であり、タイバー・マウント66の第2の部分74は、略対称な曲線形である。線115は、タイバー・マウント66の第1の部分72とタイバー・マウント66の第2の部分74の間の分割を表している。
【0019】
図5及び5aに示すように、タイバー・マウント66は、ボルト76の形態をした接続部材により、中央の操舵アクチュエータ30のシリンダ38に固定されている。ボルト76は、ピストンロッド軸100に略垂直な方向に延在している。ボルト76の突出部77は、シリンダ38の端部押さえ80の溝78に係合してもよい。端部押さえ80は、Oリング83を収容するための溝81を持つものであってもよい。ボルト76は、押さえ80を定位置に保ち、油圧操舵システムの作動中に、摩擦力及び振動力によって押さえ80がシリンダ38から切り離されることを防いでいる。好ましくは、シリンダ38の中心線120に近いボルト76のみが、端部押さえ80の溝78に係合する。中心線120は、一般的には、ピストンロッド軸100と同軸であり、シリンダ38は、その両端部に溝付きの端部押さえを備えている。
【0020】
ボルト82の形態をした接続部材が、タイバー・マウント66のアパーチャ70とタイバー36のボールジョイント84を通って延在している。ボルト82は、タイバー・マウント66をタイバー36に接続している。これにより、図2に示すように、中央の操舵アクチュエータ30を左舷側のアクチュエータ32に接続することができる。ボルト82は、ピストンロッド軸100に略垂直な方向に延在していて、ボルト82に沿った略水平な軸125に関してタイバー36が枢動することができるように、垂直平面上でタイバー36をタイバー・マウント66に接続することを可能にしている。ボールジョイント84は、タイバー・マウント66とタイバー36との間の関節接続を提供する。ここで記載している特徴はボールジョイントにのみ限定されるものではないので、他の実施形態では他の関節ジョイントを用いてもよい。船舶が操舵されてエンジン12、14及び16が前後に動くと、関節接続によって、タイバー36はその長手軸に沿って往復運動することが可能である。中央の操舵アクチュエータ30は、タイバー・マウント64とタイバー34とにより、同様にして、右舷側のアクチュエータ28に接続されている。
【0021】
図4及び4aに示すように、中央の操舵アクチュエータ30は、さらに、ペアの止めネジ86及び88を備えていて、これらは、それぞれピボットピン48及び50に対して圧縮力を及ぼすものである。止めネジ86及び88は、それぞれピボットピン48及び50を定位置に保持するための冗長を提供する。他の実施形態では、止めネジを用いて、他のピンまたはネジを定位置に保持するための冗長を提供してもよい。例えば、止めネジを用いて、タイバー・マウントをシリンダに固定するボルトを定位置に保持するための冗長を提供してもよい。
【0022】
図4aは、図4に示すものと同様の改良された操舵システムの中央の油圧操舵アクチュエータの右側を示している。図4aに示すタイバー・マウント66は、図4に示すものとは若干異なる。当業者は、図に示すシステムへの変更が可能である。
図4aに示すように、Oリング89を、ピボットピン50の近くに配置してもよい。ピボットピン50は、グリース、空気、及び/またはその他の物質の抜け道を提供するための通路91を備えるものであってもよい。ピボットピン50は、フランジブッシュ93に嵌め込んでもよい。一部の実施形態において、フランジブッシュ93はプラスチック製としてもよいが、プラスチック製に限定されるものではない。フランジブッシュ93は、ワッシャ94に対して当接させてもよい。ワッシャ94は、ステンレス鋼製としてもよいが、この材料に限定されるものではない。
【0023】
ピボットピン50と止めネジ88は、両方とも、工具がピボットピン50及び止めネジ88に係合してそれらを回転させ得る構造96及び98を備えたものであってもよい。一部の実施形態において、その構造は、図4aに示すような六角ブローチ96、98であってもよいが、六角ブローチに限定されるものではない。止めネジ88は、Oリング104を収容するための溝102を備えるものであってもよい。
【0024】
右舷側と左舷側の操舵アクチュエータ28及び32は、図6及び7に最もよく示されているように、中央の操舵アクチュエータ30と略同様の構造であり、略同様に機能する。ただし、右舷側の操舵アクチュエータ28は、ピストンロッド軸130に対して下向きに延出するタイバー・マウント90を1つのみ備えている。同様に、左舷側の操舵アクチュエータ32は、ピストンロッド軸135に対して下向きに延出するタイバー・マウント92を1つのみ備えている。右舷側のアクチュエータ28と左舷側のアクチュエータ32は、図2及び3に示すように、鏡像になっていて、対応するタイバー34及び36によって中央のアクチュエータ30の両側に連結されている。各タイバー・マウントとタイバーとの間には関節接続があり、このため、船舶10が操舵されて、エンジン12、14及び16が前後に動き、さらに/または傾いた場合に、タイバーはタイバー・マウントとの接続点の周りに回転することができる。
【0025】
図2に最もよく示されているように、上向き及び下向きに延出するタイバー・マウント64、66、90及び92を備える操舵アセンブリ26を提供することによって、垂直方向にオフセットしたエンジン28、30及び32の改良された機械的連結が可能である。具体的には、角度α1、α2として表される水平方向に対するタイバー34及び36の傾きが減少し、実施形態によっては、タイバーが完全に水平になることがある。本明細書で開示する操舵アセンブリ26の実施形態では、中央のエンジン30がトランサム22の凹部24に取り付けられていることによって、エンジン28、30及び32は垂直方向にオフセットしている。しかしながら、操舵アセンブリは、例えば主推進装置と補助推進装置とを含む操舵システムにおいて、異なるタイプのエンジンが連結されている結果として垂直方向のオフセットが生じる状況において、用いてもよい。また、操舵アセンブリは、垂直方向のオフセットがない状況において用いてもよい。垂直方向のオフセットがない場合は、タイバー・マウントをすべて同じ方向に延出させてもよい。
【0026】
図8〜10は、本発明の様々な実施形態をいくつかの異なるエンジン構成及び部品構成で用いてもよいことを示している。
例えば、図8は、2つの推進装置で用いられる改良された操舵システムの部分斜視図である。図9は、2つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図である。図10は、3つの推進装置で用いられる別の改良された操舵システムの部分斜視図である。ここで提示するいくつかの図面は、タイバー34並びに操舵アクチュエータ28、30及び32の代替構成を示している。本発明による様々な実施形態では、図示のタイバー34並びに操舵アクチュエータ28、30及び32の構成あるいは他の変形を用いてもよい。また、本発明のいくつかの実施形態において、図示の3つ及び図示の具体的構成以外の追加台数の推進装置を用いてもよい。
【0027】
本明細書で用いられる「上向き」及び「下向き」という用語は、操舵アセンブリの使用の際の上向き及び下向きの方向を指して用いられている。
【0028】
また、上記で提示した詳細の多くは、単なる例にすぎず、添付の請求項によって定められる本発明の範囲を限定するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッドと、
シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと、
ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームと、
シリンダ上に配置され、タイバーをタイバー・マウントに接続する接続部材を受けるために貫通して延びるアパーチャを有し、そのアパーチャの軸方向がピストンロッド軸に略垂直な方向に延びるタイバー・マウントと、を備える
ことを特徴とする油圧操舵アクチュエータ。
【請求項2】
タイバー・マウントをシリンダに固定する接続部材を備え、
その接続部材が、チルト軸に略垂直な方向に延在する
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項3】
シリンダの端部に配置された押さえを備え、
その押さえが、タイバー・マウントをシリンダに固定する接続部材を受ける溝を有する
請求項2に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項4】
接続部材が、シリンダの中心線の近くで溝に係合する
請求項3に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項5】
ピボットプレートをシリンダ・アームに接続するピボットピンと、ピボットピンに対して圧縮力を及ぼす止めナットとを備える
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項6】
タイバー・マウントが非対称である
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項7】
タイバー・マウントが、ピストンロッド軸に対して上向きの方向に延出する
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項8】
タイバー・マウントが、ピストンロッド軸に対して下向きの方向に延出する
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項9】
少なくとも2つの舶用推進装置のティラーに力を加えるための油圧操舵アセンブリであって、
第1の推進装置のティラーに作動的に連結された第1の油圧操舵アクチュエータであり、
シリンダと、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッドと、
シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと、
ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームと、
シリンダ上に配置され、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、
を有する第1の油圧操舵アクチュエータと、
第2の推進装置のティラーに作動的に連結された第2の油圧操舵アクチュエータであり、
シリンダと、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッドと、
シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと、
ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームと、
シリンダ上に配置され、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、
を有する第2の油圧操舵アクチュエータと、
第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントを、第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに連結するタイバーであり、
タイバーを第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第1の接続部材が、第1の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在し、
タイバーを第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第2の接続部材が、第2の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在するタイバーと、を備える
ことを特徴とする油圧操舵アセンブリ。
【請求項10】
第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントが、そのピストンロッド軸に対して下向きの方向に延出する
請求項9に記載の油圧操舵アセンブリ。
【請求項11】
第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントが、そのピストンロッド軸に対して上向きの方向に延出する
請求項9に記載の油圧操舵アセンブリ。
【請求項12】
第1の操舵アクチュエータと第2の操舵アクチュエータが鏡像関係の構成である
請求項9に記載の油圧操舵アセンブリ。
【請求項1】
シリンダと、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッドと、
シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと、
ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームと、
シリンダ上に配置され、タイバーをタイバー・マウントに接続する接続部材を受けるために貫通して延びるアパーチャを有し、そのアパーチャの軸方向がピストンロッド軸に略垂直な方向に延びるタイバー・マウントと、を備える
ことを特徴とする油圧操舵アクチュエータ。
【請求項2】
タイバー・マウントをシリンダに固定する接続部材を備え、
その接続部材が、チルト軸に略垂直な方向に延在する
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項3】
シリンダの端部に配置された押さえを備え、
その押さえが、タイバー・マウントをシリンダに固定する接続部材を受ける溝を有する
請求項2に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項4】
接続部材が、シリンダの中心線の近くで溝に係合する
請求項3に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項5】
ピボットプレートをシリンダ・アームに接続するピボットピンと、ピボットピンに対して圧縮力を及ぼす止めナットとを備える
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項6】
タイバー・マウントが非対称である
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項7】
タイバー・マウントが、ピストンロッド軸に対して上向きの方向に延出する
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項8】
タイバー・マウントが、ピストンロッド軸に対して下向きの方向に延出する
請求項1に記載の油圧操舵アクチュエータ。
【請求項9】
少なくとも2つの舶用推進装置のティラーに力を加えるための油圧操舵アセンブリであって、
第1の推進装置のティラーに作動的に連結された第1の油圧操舵アクチュエータであり、
シリンダと、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッドと、
シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと、
ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームと、
シリンダ上に配置され、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、
を有する第1の油圧操舵アクチュエータと、
第2の推進装置のティラーに作動的に連結された第2の油圧操舵アクチュエータであり、
シリンダと、そのシリンダ内に取り付けられピストンロッド軸に沿って往復運動するピストンロッドと、
シリンダの径方向外側に延出するペアの離間したシリンダ・アームと、そのシリンダ・アームの間に延在するピボットプレートと、
ピストンロッド軸をチルトロッド軸に対して平行に維持しながら、チルト軸に関してピストンロッドの円弧状の動きを可能にするように、ピストンロッドの両端に接続されチルト軸に関して枢動可能なペアの支持アームと、
シリンダ上に配置され、そのピストンロッド軸に略垂直な軸方向に延びるアパーチャを持つタイバー・マウントと、
を有する第2の油圧操舵アクチュエータと、
第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントを、第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに連結するタイバーであり、
タイバーを第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第1の接続部材が、第1の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在し、
タイバーを第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントに接続する第2の接続部材が、第2の油圧操舵アクチュエータのチルト軸に略垂直な方向に延在するタイバーと、を備える
ことを特徴とする油圧操舵アセンブリ。
【請求項10】
第1の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントが、そのピストンロッド軸に対して下向きの方向に延出する
請求項9に記載の油圧操舵アセンブリ。
【請求項11】
第2の油圧操舵アクチュエータのタイバー・マウントが、そのピストンロッド軸に対して上向きの方向に延出する
請求項9に記載の油圧操舵アセンブリ。
【請求項12】
第1の操舵アクチュエータと第2の操舵アクチュエータが鏡像関係の構成である
請求項9に記載の油圧操舵アセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−201365(P2012−201365A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−68732(P2012−68732)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(512077099)マリーン カナダ アクイジション インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MARINE CANADA ACQUISITION INC.
【住所又は居所原語表記】3831 No.6 Road,Richmond,British Columbia,V6V 1P6 Canada
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68732(P2012−68732)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(512077099)マリーン カナダ アクイジション インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MARINE CANADA ACQUISITION INC.
【住所又は居所原語表記】3831 No.6 Road,Richmond,British Columbia,V6V 1P6 Canada
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