説明

垂直磁気記録媒体の製造方法

【課題】従来の連続膜媒体の作製プロセスに近い簡便な方法を用い、磁気記録層において配向分散を抑制しつつ磁気クラスターサイズを減少させることができる下地層の分離構造を形成し、かつ下地層の薄膜化による記録性能の高性能化が可能な垂直媒体の提供。
【解決手段】 非磁性基体上に少なくとも下地層および磁気記録層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、前記下地層は結晶粒子と非晶質結晶粒界とからなり、該結晶粒子が、(成長初期の底面積)>(上部の面積)である形状を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種磁気記録装置に搭載される垂直磁気記録媒体、その製造方法、およびこの垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の記録磁化が媒体面内方向に記録される長手磁気記録方式に代えて、記録磁化が媒体面内方向に対して垂直に記録される垂直磁気記録方式が注目されつつある。垂直磁気記録媒体は主に、垂直磁気異方性を有する硬質磁性材料の磁気記録層と、磁気記録層を目的の方向に配向させるための下地層、磁気記録層の表面を保護する保護層、そしてこの記録層への記録に用いられる磁気ヘッドが発生する磁束を集中させる役割を担う軟磁性材料の裏打ち層から構成され、通常は、裏打ち層/下地層/磁気記録層/保護層の順の積層構造を採る。軟磁性裏打ち層を設けた場合に媒体の性能は高くなるが、軟磁性裏打ち層が無くても記録は可能なため、この層を除いた構成となる場合もある。このような軟磁性裏打ち層が無いものを単層垂直磁気記録媒体(以下、単層垂直媒体と呼ぶ)、軟磁性裏打ち層があるものを二層垂直磁気記録媒体(以下、二層垂直媒体と呼ぶ)と呼ぶ。垂直磁気記録媒体(以下、垂直媒体と呼ぶ)においても、長手磁気記録媒体と同様、高記録密度化のためには、低ノイズ化と高熱安定性を両立することが必要である。
【0003】
低ノイズ化は、磁性粒子を微細化すること、あるいは磁性粒子間の磁気的な相互作用(以下、粒間相互作用と呼ぶ)を小さくすることで実現される。磁性粒子サイズの影響を含み、かつその粒間相互作用の大きさを表す指標の一つとして、磁気クラスターサイズと呼ばれるものがある。磁気クラスターは複数の磁性粒子からなる。磁性粒子のサイズが小さいほど、および粒間相互作用が小さいほど、磁気クラスターサイズが小さくなる。したがって、低ノイズ化のためには、磁気クラスターサイズを低減しなければならない。
しかしながら、磁気記録層を形成する磁性粒子は、その粒径が4nm未満となると超常磁性化し、強磁性を失うため、磁性粒子の微細化は限界がある。したがって、粒間相互作用を低減することが高密度化の鍵となっている。例えば、半導体的なプロセスを適用して、磁気記録層の1粒子を円錐台形とすることにより、1粒子=1ビットを理想としたパターンドメディアが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
通常の連続膜で構成される磁気記録層を有する垂直媒体では、CoCrからなる合金を用い、結晶粒界において非磁性であるCr濃度の比率を結晶粒内の1.4倍以上と高めることにより偏析構造を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。その他に、粒界相として例えば酸化物や窒化物などの非磁性非金属の物質を用いた磁気記録層(グラニュラー磁気記録層と呼ばれる)が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
以上の提案のいずれにおいても、磁気記録層の結晶配向を制御する目的で適当な下地層が用いられている。しかしながら、磁気記録層の分離性向上(すなわち、粒間相互作用の低減)に関する試みの多くは、磁気記録層自体の組成の変更またはその成膜プロセスの改良で行われているのが現状である。
【0005】
その中でも、人工格子多層膜からなる磁性層を適用した垂直媒体において、この磁性層材料では困難であった磁性層粒子の微細化を、下地層の効果で行う例が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。これは下地層の結晶粒子を球あるいは楕円形状として、下地層表面に凹凸を形成することにより実現されている。
【非特許文献1】第24回応用磁気学会学術講演概要集(2000)、P.283
【特許文献1】特開2002−358615号公報
【特許文献2】特開平3−58316号公報
【特許文献3】米国特許第5,679,473号明細書
【特許文献4】特開2003−223712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気記録層の磁性粒子を磁気的に分離させて、その粒間相互作用を低減させるためには、結晶粒子が物理的に分離している構造を有する下地層を形成して、その効果により磁気記録層の磁性粒子の分離をすることが有効である。たとえば、特許文献1と同様な手法を用いれば、人工的に分離構造を有した下地層を形成できる可能性はあるが、作製方法が非常に複雑で量産には適さない。
また、特許文献4に提案されているような結晶粒子に起因する凹凸表面を有する下地層を用いる場合、以下のような問題点がある。下地層結晶粒子表面の形状は磁気記録層の結晶配向の分散に影響し、結晶配向の分散は垂直磁気異方性の方向の分散を意味する。つまり、下地層表面の結晶粒子表面の曲率が大きいほど、垂直磁気異方性の方向分散が悪化すると考えられる。この点から、下地層の結晶粒子表面の形状は、上の磁気記録層にも反映されるため、できるだけ平坦にすることが好ましい。この手法において、該結晶粒子の曲率を小さくするために粒子径を大きくした場合、単位面積あたりの粒子数が減少する。下地層の結晶粒子の数およびサイズは磁気記録層の磁性粒子の数およびサイズに反映されるため、磁性粒子数の減少による、熱揺らぎの問題が顕著になってくる。一方、粒子径を小さくした場合、下地層表面における結晶粒子1個あたりの結晶質部分の面積が低下するため、それを反映した上の磁気記録層においても磁性粒子のサイズが小さくなり、それによって約4nm以下の超常磁性化した粒子が増加し、この場合も熱揺らぎの問題が生じる。
【0007】
したがって、特許文献4で提案されているような下地層を用いる場合には、磁性粒子の微細化は可能だが、(1)単位面積あたりの磁性粒子数を増やすこと、(2)超常磁性粒子の出現を抑制すること、(3)磁気記録層の配向分散を低減することの全てを同時に満たすことはできない。加えて、磁性粒子の微細化を目的として下地層の結晶粒子を微細化する場合には、結晶性を発現する際に特に重要となる成長初期において、結晶質となる部分の体積が小さいために結晶性を向上させることが困難で、十分な結晶成長をさせるには、比較的大きな膜厚を必要とする。以上の点から、球形状あるいは楕円形状の結晶粒子からなる下地層では、さらなる媒体の高性能化、すなわち高記録密度化が困難であった。
したがって、従来の連続膜媒体の作製プロセスに近い簡便な方法を用い、磁気記録層において配向分散を抑制しつつ磁気クラスターサイズを減少させることができる下地層の分離構造を形成し、かつ下地層の薄膜化による記録性能の高性能化が可能な垂直媒体を製造するための方法を得ることが一つの大きな課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、より小さい磁気クラスターサイズおよびより少ない配向分散を有する磁気記録層、および小さい膜厚を有する下地層を有する垂直媒体である。そのような媒体においては、磁気記録分解能を向上させて、高記録密度化を実現することが可能である。本発明の別の目的は、そのような垂直媒体を、量産性に優れた方法により製造することである。
本発明の製造方法によって得られる垂直磁気記録媒体は、非磁性基体上に少なくとも下地層および磁気記録層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、前記下地層は結晶粒子と非晶質結晶粒界とからなり、該結晶粒子が、(成長初期の底面積)>(上部の面積)である形状を有することを特徴とする。ここで、磁気記録層は、強磁性結晶粒子と、強磁性結晶粒子を取り巻く非磁性材料を含み、強磁性結晶粒子の粒径は、下地層上部の結晶粒子の粒径に等しく、および非磁性材料の幅は下地層上部の非晶質結晶粒界の粒界幅に等しいものとすることができる。さらに、下地層の上部における、結晶粒子の結晶粒径および非晶質結晶粒界の粒界幅をそれぞれdおよびtとし、下地層の成長初期における、結晶粒子の結晶粒径および非晶質結晶粒界の粒界幅をそれぞれdおよびtとしたときに、dは4.0nm以上であり、tは0.5nm以上であり、d>dであり、かつt<tとすることが好ましい。また、下地層と磁気記録層との界面において、結晶粒子表面を平坦とすることができる。さらに、結晶質の結晶粒子の形状を、概ね円錐台形もしくは角錐台形としてもよい。加えて、前記下地層の直下に、シード層をさらに設けてもよい。
【0009】
下地層の結晶粒子となる材料としては、Ru、Rh、Os、IrまたはPtのうちから選ばれた少なくとも1種類を50%以上含むものが好ましく用いられる。また、粒界成分は、酸素あるいは窒素を含むことができる。
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基体上に少なくとも下地層および磁気記録層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体の製造方法であって、非磁性基体上に結晶粒子と非晶質結晶粒界とからなり、かつ該結晶粒子が(成長初期の底面積)>(上部の面積)である形状を有する下地層を形成する工程と、前記下地層上に磁気記録層を形成する工程とを含むことを特徴とする。ここで、下地層の形成工程としては、下地層成膜時に基板バイアス電圧を印加し、その印加電圧を変化させながら形成する。
【発明の効果】
【0010】
垂直媒体の下地層結晶粒子の形状を前述のようにすることにより、以下のような効果を発現させることができる。
(1) 下地層表面部分は粒界幅を大きくすることができ、このため上層の磁気記録層が成膜初期から良好な偏析構造を形成することができる。この結果、粒間の磁気的な相互作用を弱め、磁気クラスターサイズを小さくすることができ、媒体ノイズが低減する。
(2) 下地層の底面部分は表面部分に比して粒径が大きく粒界幅が小さいため、底面部分、すなわち下地層成長初期部分では表面部分に比して非晶質部分よりも結晶質部分の占める割合が高い。従って、表面の粒径を同一とした従来の円柱状構造の場合に比して、下地層膜全体としての結晶性が良好である。その結果、直上の磁気記録層の結晶性も向上し、垂直磁気異方性は強まり、熱揺らぎ耐性が向上する。
(3) さらに、下地層の薄膜化が可能となり、このことにより、記録能力が向上する。(4) 結晶質の表面部分を平坦にすることからは、磁気記録層の垂直磁気異方性方向の分散を低減する効果が導き出され、これは、記録磁化方向の分散の低減を意味し、遷移ノイズが低減すると共に、垂直磁化成分が増加するため、信号出力が向上する。
(5) 円錐台あるいは角錐台形状とすることからは、成長過程での隣接粒との結合を防ぐことができ、粒径ばらつきが低減する効果を得ることができる。磁気記録層の粒子サイズは下地層に従うため、磁性粒子も均一化され、これは遷移ノイズの低減に寄与する。
【0011】
以上(1)〜(5)の効果により、記録密度の指標であるSNRが向上し、同時に熱揺らぎ耐性も満たされるため、垂直媒体の高記録密度化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を説明するための図で、二層垂直媒体の構成を示している。図1の垂直磁気記録媒体は、非磁性基体10上に、軟磁性裏打ち層20、シード層30、下地層40、磁気記録層50、および保護層60が順次積層され、さらに保護層60の上には潤滑剤層70が形成されている。このうち、軟磁性裏打ち層20、シード層30、保護層60および潤滑剤層70は、任意選択的に設けてもよい層である。
本発明の垂直磁気記録媒体において、非磁性基体(非磁性基板)10としては、通常の磁気記録媒体用に用いられるNiPメッキを施したAl合金や強化ガラス、あるいは結晶化ガラス等を用いることができる。また、基板加熱温度を100℃以内に抑える場合は、ポリカーボネイト、ポリオレフィン等の樹脂からなるプラスチック基板を用いることもできる。
【0013】
軟磁性裏打ち層20は、任意選択的に設けてもよい層である。軟磁性裏打ち層20は、磁気記録に用いる磁気ヘッドからの磁束を制御して記録・再生特性を向上するために形成することが好ましい。軟磁性裏打ち層20としては、結晶性のNiFe合金、センダスト(FeSiAl)合金、CoFe合金等、微結晶性のFeTaC、CoFeNi、CoNiPなどを用いることができる。あるいは、非晶質のCo合金、例えばCoNbZr、CoTaZrなどを用いることでより良好な電磁変換特性を得ることができる。なお、軟磁性裏打ち層20の膜厚の最適値は、磁気記録に用いる磁気ヘッドの構造や特性によって変化するが、他の層と連続成膜(蒸着、スパッタ、CVD、イオンプレーティングなどの方法による)で形成する場合などは、生産性との兼ね合いから10nm以上500nm以下であることが望ましい。他の層の成膜前に、めっき法などによって、あらかじめ非磁性基体に成膜しておく場合、数μmと厚くすることも可能である。
【0014】
シード層30は、任意選択的に設けてもよい層である。シード層30は、下地層40の配向性を向上するため、あるいは粒径を微細化するために、下地層40直下に形成することが望ましい。シード層30は、非磁性材料または軟磁性材料のいずれを用いて形成することもできるが、下地層薄膜化の効果を発揮するためには、より好ましくは軟磁性材料を用いて形成される。およそ1nm以下の極薄膜とする場合は、非磁性材料でも十分下地層薄膜化の効果が導き出される。
シード層30を形成するための軟磁性材料としては、NiFe、NiFeNb、NiFeB、NiFeCr、NiFeSiなどのNi基合金;Co;あるいはCoB、CoSi、CoNi、CoFeなどのCo基合金を用いることができる。シード層30を形成するための非磁性材料としては、NiPなどのNi基合金、CoCrなどのCo基合金に加えて、Ta、Tiなどを用いることができる。シード層30は、これらの軟磁性材料または非磁性材料を用いる蒸着、スパッタ、CVD、イオンプレーティングなどの方法によって形成することができる。
【0015】
下地層40は、磁気記録層50の結晶配向性、結晶粒径、粒径分布、粒界偏析を好適に制御するために磁気記録層50の直下に形成する層であり、下地層40は結晶粒子41と、非晶質結晶粒界42からなり、前記結晶粒子41が、(成長初期の底面積)>(上部の面積)であるような形状であることを特徴とする。具体的な大きさとしては、表面部分すなわち磁気記録層との界面部分における下地層の結晶粒径および粒界幅をそれぞれdおよびtとし、成長初期の結晶粒径および粒界幅をそれぞれdおよびtとした時、d>d、t<tであることが好ましい。直上に形成される磁気記録層50の強磁性結晶粒子51は、結晶粒子41の上に形成され、その粒径は結晶粒子41の結晶粒径dに従う。そして、強磁性結晶粒子51が超常磁性化する粒子サイズはおよそ4nm未満であるので、4.0≦d[nm]、好ましくは4.0≦d≦12.0[nm]とすることが好ましい。さらに、磁気記録層50の強磁性結晶粒子51間の間隔(すなわち、非磁性材料52の幅)は、強磁性結晶粒子51間の粒間相互作用を低減するためにある程度の大きさが必要であり、所望の磁気クラスターサイズを得るために0.5≦t[nm]、好ましくは0.5≦t≦2.0[nm]とすることが好ましい。
【0016】
ここで、「成長初期」とは、膜(下地層40または磁気記録層50)の形成開始時に連続膜が形成された時点を意味し、通常、1nmの膜厚を達成した時点を意味する。「結晶粒子の成長初期の底面積」とは、形成開始時の連続膜が形成された時点において、その連続膜表面において結晶粒子(下地層の結晶粒子41または磁気記録層50の強磁性結晶粒子51)が占める面積を意味する。結晶粒子の成長初期の底面積は、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察により決定することができる。具体的には、膜厚1nmの時点における0.3×0.3μmの領域の平面TEM像を得て、その像内から200〜300個の結晶粒子を無作為に抽出し、それら結晶粒子の面積を平均することによって、結晶粒子の成長初期の底面積が決定される。同様に、「結晶粒子の成長初期の結晶粒径d」とは、前述のように無作為抽出された200〜300個の結晶粒子の粒径の平均を意味する。ここで、結晶粒子が円形以外の形状を有する場合、当該結晶粒子の面積に等しい円の直径を、当該結晶粒子の結晶粒子の粒径とみなす。さらに、「成長初期の粒界幅t」は、膜厚1nmの時点における0.2×0.2μmの領域の平面TEM像を得て、粒界をトレースし、画像解析装置を用いて、粒界幅t=[(粒界部分の面積/測定結晶粒の個数)/(平均結晶粒周囲長)]×2として算出される。
【0017】
また、「上部」または「表面部分」とは、下地層40または磁気記録層50の非磁性基板10とは反対側の表面部分を意味する。「上部の面積」は、該界面から非磁性基体側へ1nm以内の部分の切断面の平面TEM像から求める。その算出方法は、「成長初期」の底面積と同じように決定される。結晶粒子の結晶粒径dならびに粒界幅tについても、それぞれ、成長初期におけるdおよびtと同様の方法により決定される。
また、下地層40の結晶粒子41の表面、すなわち磁気記録層との界面部分が、曲率をもたず平坦であることが好ましい。ここで、「下地層40の表面が平坦である」とは、各結晶粒子を膜厚方向に対して側面から見た場合、表面部分の凹部または凸部の最大値が粒径の5%以下であることを意味する。具体的には、断面TEM像によって、下地層40表面の形状に関する直線距離3.0μmの断面プロファイルを得て、該プロファイルにおいて基準線に対する凹部または凸部の最大値を算出する。同サンプルについて、算出された最大値が、前述の方法で求めた粒径dの値の5%以下であれば、下地層40の結晶粒子41の表面は平坦であると判断する。
【0018】
図2に本発明の下地層40の構造を好適に表す模式図を示す。図2(a)は透視図であり、(b)は表面(磁気記録層50との界面)の平面図であり、および(c)は底面の平面図である。図2においては、結晶粒子41の形状を円錐台形に近い形状とした例を示す。下地層初期部分から表面部分に向かって、粒径は連続的に小さくなり、同時に粒界幅は連続的に大きくなっている。たとえばこのような形状とすることにより、成長初期部分において、非晶質部分に比して結晶質部分の割合が高まるため、単純な円柱構造の場合よりも、膜全体としての結晶性を良好にすることができる。したがって、下地層40の膜厚を小さくした場合でも充分な結晶性を得ることができるため、薄膜化が実現できるという効果が導きだされる。また、結晶粒子の表面が平坦なことから、磁気記録層中の強磁性結晶粒子の配向分散を低減させることができる。この配向分散の低減は、垂直磁気異方性方向の分散を低減する効果をもたらし、たとえば熱に対する記録情報の安定化、SNRの向上などの効果をもたらすものである。本例以外にも、角錐台形形状などとしてもよい。
【0019】
下地層40の結晶粒子41を形成する材料としては、好ましくは、Ru、Rh、Os、IrまたはPtの単元素を用いることができる。あるいは、前記元素を組み合わせたRuRh、RuOs、RuIr、RuPt等の合金も好ましく用いることができる。その他に、前記元素を主成分として50at%以上、より好ましくは80at%以上含み、それに対して、Al、Si、Cr、Zr、Y、Mg、Ti、Ta、BまたはNbを添加した材料も好ましく用いることができる。さらに非晶質結晶粒界42は、上記の材料に加えて酸素または窒素をさらに含むことができる。
下地層40は、通常、スパッタ法(平行平板、マグネトロン、ECR、ヘリコン波等を含む)を用いて形成される。その際に、成膜速度を連続的に変化させることによって、具体的には成膜速度を連続的に減少させることによって、前述のように(成長初期の底面積)>(上部の面積)であるような形状の結晶粒子41を形成することができる。成膜速度の連続的変化は、スパッタ投入電力、成膜時の装置内ガス圧力、パルス放電を用いた場合のパルスのON/OFF周期などを制御することによって達成することができる。好ましくは、スパッタ投入電力を連続的に減少させることによって、所望の形状の結晶粒子41を形成することができる。
【0020】
別法として、スパッタ法の成膜雰囲気中に、酸素あるいは窒素を含ませ、そしてその濃度を連続的に変化させることによって、(成長初期の底面積)>(上部の面積)であるような形状の結晶粒子41を形成することができる。この場合には、酸素あるいは窒素の濃度を連続的に増大させ、結晶粒子41の形成材料と酸素または窒素との反応物が偏析して非晶質結晶粒界42を形成することによって、所望の形状を達成することができる。この方法を用いる場合、Ru、Rh、Os、IrまたはPtのうちから選ばれた少なくとも1種類を50at%以上を含むスパッタターゲットに対して、酸素あるいは窒素と反応性が高いAl、Si、Cr、Zr、Y、Mg、Ti、B、Ta、Nbなどを添加し、その酸化物や窒化物を粒界成分として偏析させることもできる。
さらに別の手段として、下地層40を形成時に、基板バイアス電圧を印加し、そのバイアス電圧を変化させることによって、(成長初期の底面積)>(上部の面積)であるような形状の結晶粒子41を形成することができる。好ましくは、バイアス電圧を連続的に増加させることで、所望の形状の結晶粒子41を形成することができる。なお、基板バイアス電圧を印加するためには、非磁性基体自体にバイアス電圧を印加するか、あるいは下地層成膜前に形成された導電性の層にバイアス電圧を印加することで達成される。
【0021】
磁気記録層50は、強磁性結晶粒子51と、該強磁性結晶粒子を取り巻く非磁性材料52とから構成される柱状構造を有する層である。強磁性結晶粒子51の材料としては、Co、Fe、Niなどを主成分とし、Pt、Cr、Bなどを添加したものが好ましく用いられるが、それらに限定されるものではない。好ましくは、CoPt、CoPtCr、CoPtNi、FePt、CoPtB、CoPtCrBなどが用いられる。非磁性材料52の例としては、Cr、B、Ta等の非磁性金属;SiO、Al、Crなどの酸化物;またはSiN、TiN、BNなどの窒化物などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。強磁性結晶粒子51と非磁性材料52との比は特に限定されるものではないが、下地層の結晶粒子41と非晶質結晶粒界42との面積比を勘案して決定することが好ましく、通常は非磁性粒界成分のモル比を2〜15%の範囲内、より好ましくは4〜12%の範囲内とすることが望ましい。
【0022】
磁気記録層50は、前記の強磁性結晶粒子51を形成するための材料と、非磁性材料52を形成するための材料とを混合したターゲットを用いるスパッタ法(平行平板、マグネトロン、ECR、ヘリコン波等を含む)により形成される。ここで、下地層の結晶粒子41の上に強磁性結晶粒子51が形成され、非晶質結晶粒界42の上に非磁性材料52が形成される。すなわち、下地層40中の結晶粒子41および非晶質結晶粒界42の効果により、磁気記録層50内の強磁性結晶粒子51は、その成長初期から物理的に良好に分離され、それによって磁気的にも良好に分離される(すなわち、より小さい磁気クラスターサイズを達成する)。
図3に本発明の下地層40および磁気記録層50の構造の相関関係を示す模式的断面図を示す。図2同様、下地層40の結晶粒子41が円錐台形に近い形状をしている例の断面図である。磁気記録層50は、下地層40表面の結晶粒子の粒径および非晶質結晶粒界の粒界幅を反映した、強磁性結晶粒子を非磁性材料が取り巻く柱状構造となっている。なお、柱状構造は、円柱以外に角柱形状などとしてもよい。
【0023】
保護層60は、従来使用されている保護膜を用いることができ、例えば、カーボンを主体とする保護膜を用いることができる。保護層60は、スパッタ法(平行平板、マグネトロン、ECR、ヘリコン波等を含む)、やCVD法によって形成することができる。
また、潤滑剤層70も、従来使用されている材料を用いることができ、例えば、パーフルオロポリエーテル系の液体潤滑剤を用いることができる。潤滑剤層70は、ディップコート、スピンコート、吹付など慣用の方法を用いて形成することができる。なお、保護層60の膜厚などの条件や、潤滑剤層70の膜厚などの条件は、通常の磁気記録媒体で用いられる諸条件をそのまま用いることができる。
前述の垂直磁気記録媒体を用いて、磁気記録装置を作製することができる。本発明の磁気記録装置は、情報を記録する垂直磁気記録媒体と、情報の書込み/読み出しを行う磁気ヘッドとを少なくとも含む。情報の書込みを行う磁気ヘッドと、情報の読取を行う磁気ヘッドとを別個に設けてもよい。本発明の磁気記録装置は、好ましくは、磁気ヘッドに対して垂直磁気記録媒体を相対的に移動させる手段、磁気ヘッドの位置決め手段、および/または、外部の機器との間で情報の通信および/または変換を行う情報通信変換手段をさらに備える。垂直磁気記録媒体を相対的に移動させる手段は、垂直磁気記録媒体を直線状に移動させる手段であってもよいし、垂直磁気記録媒体を回転させる手段であってもよい。磁気ヘッドの位置決め手段は、ステッピングモータなど慣用の要素を用いて、情報の記録/読取を行うべき位置に磁気ヘッドを移動および該位置に固定するためのものである。情報通信変換手段は、情報の通信を行うべき外部の機器を選択し、適切なプロトコルを用いて情報の送信/受信を行い、さらに必要に応じて情報の圧縮/伸長を行ってもよい。
【0024】
以下に本発明の垂直磁気記録媒体製造方法の実施例、参考例について説明する。なお、これらの実施例、参考例は、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法を好適に説明するための代表例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
[参考例1]
【0025】
本参考例では、図1の構成の二層垂直媒体を作製する。非磁性基体10として表面が平滑な化学強化ガラス基板(例えばHOYA社製N−5ガラス基板)を用い、これを洗浄した後にDCマグネトロンスパッタ装置内に導入した。そして、Co91ZrNbターゲットを用いて5mTorr(0.67Pa)のAr雰囲気下で、非晶質のCoZrNbからなる軟磁性裏打ち層20を膜厚150nmで形成した。次に、Ni84Fe13Siターゲットを用いて30mTorr(4.0Pa)のAr雰囲気下で、軟磁気特性を示す軟磁性NiFeSiシード層30を10nm形成した。
次に、Ru95Siターゲットを用い30mTorr(4.0Pa)の圧力下で、膜厚10nmのRuSi下地層40を成膜した。成膜開始時のDCマグネトロンスパッタ装置内の雰囲気を、Arガスのみとした。成膜開始後、装置内圧力を維持しながら、Arガスに対して窒素ガスの添加を開始し、その添加濃度(体積%)を図4に示すように変化させた。スパッタ投入電力は、全行程にわたって600Wに固定した。
【0026】
その後、93モル%(Co74Pt14Cr12:平均式量77.16を1モルとする)−7モル%(SiO)ターゲットを用いて、30mTorr(4.0Pa)のAr雰囲気下で、膜厚13nmのCoPtCr−SiO磁気記録層50を成膜した。最後にカーボンターゲットを用いてカーボンからなる保護層60を膜厚4nmにて成膜した後、前述の各層が形成された積層体をDCマグネトロンスパッタ装置から取り出した。なお、各層の成膜において、基板の加熱処理は行っていない。
その後、ディップ法により、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑材層70を膜厚2nmにて形成し、二層垂直媒体を得た。
[参考例2]
【0027】
下地層40の形成を、以下のように行ったことを除いて、参考例1の手順を繰り返して二層垂直媒体を得た。Ru95Siターゲットを用い30mTorr(4.0Pa)のAr雰囲気下で、膜厚10nmのRuSi下地層40を成膜した。成膜開始後、スパッタ投入電力を図5に示すように変化させた。装置内雰囲気は、全行程にわたってArガスのみとした。
【実施例1】
【0028】
下地層40の形成を、以下のように行ったことを除いて、参考例1の手順を繰り返して二層垂直媒体を得た。Ru95Siターゲットを用い30mTorr(4.0Pa)のAr雰囲気下で、膜厚10nmのRuSi下地層40を成膜した。成膜開始後、基板バイアス電圧を図6に示すように変化させた。装置内雰囲気は、全行程にわたってArガスのみとした。
[比較例]
下地層40の形成時に、Arガスに対する窒素ガスの添加を行わなかったことを除いて参考例1の手順を繰り返して、二層垂直媒体を得た。
まず、本実施例の磁気記録媒体の微細構造評価結果について述べる。実施例1、参考例1〜2、比較例の二層垂直媒体に関してTEMによる平面観察および断面観察を行った。
【0029】
<下地層および磁気記録層の断面構造>
参考例1で得られた二層垂直媒体の断面観察において、RuSi下地層40は成長初期から徐々に非晶質結晶粒界42の粒界幅が大きくなり、結晶粒子41の粒径が小さくなっていく様子が観察された。後述する平面観察では、粒子の断面形状は円形に近かったことから、結晶粒子41はおおむね円錐台形の形状をしていることがわかった。また、RuSi下地層40上に成長するCoPtCr−SiO磁気記録層50は、結晶粒子41の粒径および非晶質結晶粒界42の粒界幅を保って、強磁性結晶粒子51が柱状に成長しており、その周囲を非磁性材料52が取り巻いていることが確認できた。さらに、下地層40/磁気記録層50の界面部分は平坦であり、かつ磁気記録層50についてはエピタキシャル成長している様子も確認された。実施例1および参考例2の二層垂直媒体の場合も、参考例1と同様の構造を取っていることが確認された。
【0030】
一方、比較例の二層垂直媒体の場合は、下地層40は、その膜厚が増加しても粒界幅がほぼ一定で狭く、明瞭な分離構造が観測されなかった。結果として、その上層のCoPtCr−SiO磁気記録層も強磁性結晶粒子51と非磁性材料52との分離性が悪かった。
<下地層および磁気記録層の粒径、粒界幅、粒径分散>
前述した下地層および磁気記録層の構造を定量的に評価するため、平面TEM像から、下地層40における結晶粒子41の粒径および非晶質結晶粒界42の粒界幅、ならびに磁気記録層50における強磁性結晶粒子51の粒径および非磁性材料52の粒界幅を測定し、およびそれぞれの層において粒径ばらつきを算出した。なお、図7に示すような4つの断面部分(下地層初期部分:断面A、下地層表面部分:断面B、磁気記録層初期部分:断面C、磁気記録層表面部分:断面D)について、それぞれ測定および算出を行った。ここで、断面Aはシード層30/下地層40界面から膜厚1nmの断面であり、断面Bは該界面から膜厚9nmの断面である。また、断面Cは下地層40/磁気記録層50界面から膜厚1nmの断面であり、断面Dは、該界面から膜厚12nmの断面である。
【0031】
第1表にそれぞれの断面部位における、平均粒径d、粒界幅t、粒径ばらつきσ/d(σは粒径分布の標準偏差)をまとめた。断面Aおよび断面Bに着目すると、実施例1、参考例1〜2は、断面Aに比して断面Bの粒径が小さく、前述した断面観察結果を支持している。一方、比較例では、実施例1、参考例1〜2の結果とは逆で、断面Aに比して断面Bの粒径が若干増大傾向で、粒界幅もわずかに狭くなっている。断面Bに関して、実施例1、参考例1〜2と比較例を比べると、実施例1、参考例1〜2の方が、dが小さく、tが大きく、またσ/dも小さい。この観察結果から、下地層成膜中に窒素添加濃度を連続的に変化(増大)させること、またはスパッタ投入電力を連続的に変化(減少)させること、あるいは印加バイアス電圧を変化(増加)させることによって、下地層40の結晶粒子41の形状を概ね円錐台形に制御することができたことが分かる。
【0032】
また、下地層40の上部である断面Bと磁気記録層50の成膜初期の断面Cとを比較すると、実施例1、参考例1〜2および比較例のいずれにおいても、断面Bと断面Cのd、tおよびσ/dはそれぞれほぼ等しい。このことから、磁気記録層の初期領域においては、下地層表面の構造を反映することがわかる。
次に、断面Cおよび断面Dをみると、実施例1、参考例1〜2では、断面Cと断面Dのd、tおよびσ/dはそれぞれほぼ等しく、磁気記録層50が柱状に成長しているという断面観察結果を支持する。一方、比較例では、断面Cに比して断面Dのdが大きく、tが小さい。比較例では下地層40表面の非晶質結晶粒界42の粒界幅、およびそれを反映した磁気記録層50の成膜初期における非磁性材料52の粒界幅が狭すぎるために、磁気記録層50が成長するにつれ、隣接する強磁性結晶粒子51間の結合が起こり、その粒径が増大すると考えられる。
【0033】
以上のように、本発明の下地層40を適用することにより、磁気記録層50において、強磁性結晶粒子51の物理的な分離性が高まり、かつその粒径および粒径ばらつきが低減されることが明らかとなった。
【0034】
【表1】

<実際の性能評価>
次に、前述した磁気記録層50の構造が、磁気クラスターサイズや、実際の電磁変換特性にどのような影響を及ぼすかを調査した。磁気クラスターを円柱と仮定し、AC消磁後の媒体表面を磁気力顕微鏡(MFM)観察して得た画像より磁気クラスターの断面積を求め、その直径を磁気クラスターサイズとした。電磁変換特性評価は、単磁極/GMRヘッドを用いてスピンスタンドテスターにて行い、SNRを求めた。信号劣化の割合について、電磁変換特性評価にて用いたものと同様の磁気ヘッドおよびスピンスタンドテスターにて、線記録密度100kFCIで書き込んだ信号出力の経時変化を10000秒間にわたって測定して求めた。
【0035】
第2表に、実施例1、参考例1〜2および比較例の二層垂直媒体の磁気クラスターサイズおよびSNRの値を示す。なお、SNRは線記録密度600kFClでの値を例として示す。SNRの優劣は、記録密度を変えても変化しないことを確認している。
比較例に比して、実施例1、参考例1〜2の二層垂直媒体では、磁気クラスターサイズが半分以下と、大幅に小さく、SNRは6dB以上大きい。この結果から、実施例1、参考例1〜2の二層垂直媒体では、下地層40の効果により、磁気記録層50における強磁性結晶粒子51間の磁気的な相互作用が低減した結果、磁気クラスターサイズが低減し、およびノイズが低減されてSNRが向上したことがわかる。また、信号劣化に関しては、実施例1、参考例1〜2および比較例の二層垂直媒体いずれにおいてもほぼ0であり、熱揺らぎ耐性は良好であった。実施例1、参考例1〜2の二層垂直媒体において、磁気クラスターサイズが比較的小さいのにもかかわらず熱揺らぎ耐性が良好であるのは、前述したTEMの断面観察よりエピタキシャル成長が確認されている磁気記録層50の結晶磁気異方性を十分に大きくできているためである。
【0036】
【表2】

なお、本実施例では、下地層40をRuSiとしたが、これをRu、Rh、Os、IrまたはPtのうちから選ばれた少なくとも1種類を含むものとした場合も同様な効果が得られる。また、添加ガスを窒素としたが、これを酸素としても同様な効果が得られる。また、成膜速度の変化を投入電力で制御したが、成膜ガス圧を変化させること、あるいはパルス放電のON/OFF周期を変化させることによっても同様な効果が得られる。磁気記録層50はCoPtCr−SiOとしたが、例えばCoPt−SiOやCoPtCrB−SiOと強磁性結晶粒子51となる材料を変更した場合、あるいはCoPtCr−Cr、CoPtCr−SiNなどと非磁性部分52の材料を種々変更した場合でも同様な効果が得られる。その他、シード層30、軟磁性裏打ち層20も、種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る二層垂直磁気記録媒体の模式的断面図である。
【図2】本発明に係る下地層40の構造を表す模式図であり、(a)は透視図であり、(b)は表面の平面図であり、および(c)は底面の平面図である。
【図3】本発明に係る下地層40および磁気記録層50の構造を表す模式的断面図である。
【図4】本発明の参考例1に係る下地層形成時の添加窒素濃度の時間変化を表すグラフである。
【図5】本発明の参考例2に係る下地層形成時のスパッタ電力の時間変化を表すグラフである。
【図6】本発明の実施例1に係る下地層形成時の基板バイアス電圧の時間変化を表すグラフである。
【図7】本発明の実施例、参考例および比較例に係る平面TEM観察の観察面を表す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 非磁性基体
20 軟磁性裏打ち層
30 シード層
40 下地層
41 結晶粒子
42 非晶質結晶粒界
50 磁気記録層
51 強磁性結晶粒子
52 非磁性材料
60 保護層
70 潤滑剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性基体上に少なくとも下地層および磁気記録層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
前記非磁性基体上に前記下地層を形成する工程であって、該下地層成膜時に基板バイアス電圧を印加し、該基板バイアス電圧を変化させることによって、結晶粒子と非晶質結晶粒界とからなり、かつ該結晶粒子が(成長初期の底面積)>(上部の面積)である形状を有する前記下地層を形成する工程と、
前記下地層上に前記磁気記録層を形成する工程と
を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−81903(P2011−81903A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276513(P2010−276513)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2005−193521(P2005−193521)の分割
【原出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】