埋め込み可能なバルブをプログラムするためのツール及び方法
【課題】脳脊髄液排出に用いられる調整可能なバルブを読み取る及び設定するための体外ツールを提供する。
【解決手段】埋め込み可能な、磁気的に調整可能なバルブを非侵襲的に読み取り及び調整するための一体型ツール及び使用方法が開示される。ツールは、バルブの磁気的又は電子的読み取り、及びバルブの磁石又は電磁石による調整を含む。使用時、ツールは、患者の皮膚の上方にて又は該皮膚に接触してバルブの近傍に配置される。
【解決手段】埋め込み可能な、磁気的に調整可能なバルブを非侵襲的に読み取り及び調整するための一体型ツール及び使用方法が開示される。ツールは、バルブの磁気的又は電子的読み取り、及びバルブの磁石又は電磁石による調整を含む。使用時、ツールは、患者の皮膚の上方にて又は該皮膚に接触してバルブの近傍に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して外科的に埋め込み可能な液体排出システムに関する。更に詳細には、本発明は、脳脊髄液排出に用いられる調整可能なバルブを読み取る及び設定するための体外ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
水頭症は、脳の脳室、すなわち空洞内での脳脊髄液(CSF)の異常な蓄積によって引き起こされる神経学的症状である。水頭症は、乳児、子供、及び大人に影響を及ぼし、脳内でのCSFの通常の排出がなんらかの形で阻害されるときに起こる。そのような阻害は、例えば、遺伝的素因、脳室内出血又は頭蓋内出血、髄膜炎等の感染、又は頭部の外傷を含む多数の要因によって起こり得る。CSFの流れの阻害は、結果的に、CSFが脳室システムによって生成される割合と、CSFが血流に吸収される割合との不均衡を生じさせる。この不均衡は、脳への圧力を増加させ、脳室を拡張させる。治療せずにいると、水頭症は、硬膜下血腫、脳細胞の圧縮、及び血流障害を含む、深刻な医学的状況を結果としてもたらし得る。
【0003】
水頭症は、脳室から、右心房、腹膜、又はCSFが循環系の一部として吸収され得る体の他の場所等の体の別の区域へとCSFの流れを分流するために、シャントシステムを外科的に挿入することによって、治療することが最も頻繁である。種々のシャントシステムが、水頭症の治療のために開発されてきた。典型的には、シャントシステムは、脳室カテーテル、シャントバルブ、及び排出カテーテルを備える。シャントシステムの1つの端において、脳室カテーテルは、第1の端が患者の脳室内にあるように患者の頭蓋の穴を通じて挿入される第1の端、及び典型的にはシャントバルブの入口部分に結合されている脳室カテーテル第2の端を有することができる。脳室カテーテルの第1の端は、CSFがシャントシステムに入ることを可能にするための複数の穴又は細孔を包含できる。シャントシステムのもう一方の端において、排出カテーテルは、シャントバルブの出口部分に取り付けられる第1の端と、血流中及び腹腔内に再吸収されるためにCSFがシャントシステムから出るのを可能にするように構成されている第2の端とを有する。いくつかのシャントシステムにおいて、シャントバルブは、埋め込み後に医師によって患者の皮膚を通じて触診可能である。
【0004】
シャントバルブは、種々の構成を有することができ、埋め込み後に液体排出の特性の調整を可能にするように設計することができる。調整が必要になる毎の侵襲的外科手順を避けるために、これらの特性の外部調整を可能にすることが概して好ましい。
【0005】
いくつかのシャントシステムでは、シャントバルブはバルブの圧力閾値を制御するために、磁化されたローターを包含する。このような場合、医師が磁気プログラマーなどの外部調整機構を使用して、シャントバルブの圧力閾値を調整することができる。磁気的にプログラム可能なバルブの1つの問題点は、外部磁界の誤った適用によるバルブの意図しない調整の可能性である。バルブの意図しない調整は、硬膜下血腫等の危険な症状を結果としてもたらし得る、CSFの過剰排出又は過少排出のいずれかにつながり得る。例えば、強力な永久磁石を含む磁気プログラマーによるバルブへの物理的なアプローチの方向、又はバルブに対する不適切な初期の磁気プログラマーの回転方向は、バルブの設定を不注意に変更する可能性を有する。
【0006】
バルブの設定を外部から読み取る又は検証することが可能であることも重要である。いくつかの調整可能なバルブでは、調整前後にX線影像を用いてバルブの現在の設定を確認する。他の調整可能なバルブでは、患者の皮膚の外に、バルブ上に位置する磁気コンパス様の装置を用いてバルブにおけるローターの方向は磁気的に読み取ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バルブ設定を読み取るための他のツール及び方法が存在しているように、CSFシャントバルブ設定を調整するためのツール及び方法が存在しているが、意図しない調整の可能性が低減されている磁気的にプログラム可能なバルブシステム、並びに埋め込み可能バルブ設定の調整及び検証のいずれも提供するツール及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、磁気的に調整可能な、埋め込み可能バルブの設定を外部から読み取る及び変更するための統合ツール及び方法の実施形態を提供する。様々な実施形態において、バルブは、外側断面と、内部磁気ローターとを有する。ローターはローター軸を有し、軸を中心としてローターが外部から印可される磁場により回転してバルブを調整することができる。いくつかのバルブでは、印加された磁場はまたローター上のロック装置を解除し、ロックは、バルブの事故的な調整を防止する安全機構として機能する。
【0009】
本発明の一態様は、バルブの読み取り及び調整の機能を、患者上に配置されてバルブを読み取ることができる単一のツール又は基部内に統合し、その後、基部上の磁石が配置されてバルブを調整する。本発明の多様な実施形態の別の態様は、埋め込みバルブの上方の患者の皮膚上、又は皮膚の上方にツールを配置するためのバイアス凹部を有するツールである。バイアス凹部は、バルブの外側断面とかみ合うように相補的な内側断面を有するため、ツールを患者上にてバルブに関連して特定の位置に、またツールの回転軸を中心として固有の回転的配向に容易に配置することができ、患者のための正確な読み取り及び安全な調整を確実にすることが補助される。このように、バイアス凹部を使用したツールの配置はまた、ローター軸をツール軸と整合させる。別の実施形態では、バイアス凹部はツール上に存在しないが、他の配向マーキングが提供されて、ツールをバルブの上方にて位置付けるよう使用者を補助する。
【0010】
バルブの調整に使用される磁石は、調整を行うために軸を中心として回転可能な永久磁石又は電磁石であってもよい。バルブの調整に電磁石を含む実施形態は、電磁石を励起させてバルブの調整を行い、使用しないときはオフにされる必要があるが、バルブの調整に永久磁石を含む実施形態も、磁気遮蔽物、又は磁石をバルブから十分遠方に移動する手段のいずれかを組み込んで、調整と調整との間の事故的な調整の発生を防止する。いくつかの実施形態において、永久磁石は、ばねにより偏倚されてバルブから離されているため、ツールはバルブ調整を行うためにバルブに向かって押圧されて、磁石を十分接近させる必要がある。
【0011】
本発明の更なる別の態様は、調整磁石又は磁場感知装置を、ローターに対してより密接に磁気的に結合させる磁気ガイドを含むツールである。磁気ガイドは、比較的弱い磁石をバルブの調整に使用することを可能にし、バルブ読み取りの感度及び正確性を高める。いくつかの実施形態では、磁石を回転させるために回転ノブが提供されてバルブを調整する一方、他の実施形態では、調整は押しボタンを使用して行われ、押しボタンは、押しボタンが押圧される度に調整磁石の増加的回転を提供する。磁石はまた、モーター又は動力が供給される他の回転式装置により回転されてもよい。
【0012】
本発明の尚別の態様は、単一ツール内での調整磁石とバルブ読み取り用装置との組み合わせである。読み取り装置は、磁気コンパス又は例えばホール効果センサーのような電子的に使用可能な磁気センサーである。電子的に使用可能な実施形態は、バルブの現設定を報告し又は調整を案内する任意の種類の電子表示器を備えてもよい。電子的に使用可能な実施形態は、交換又は既知の方法により再充電できる、電池及びコンデンサーを含む任意の種類の電源を備えてもよい。
【0013】
本発明の尚別の態様は、バルブ読み取り用の一方の末端部と、バルブ調整用の他方の末端部とを有する細長いツールを含む。別の実施形態は、調整のためのよりバルブに近接した位置と、磁石が自由に回転してコンパスのように機能する奥まった位置とを有することにより、単一の磁石を使用して、バルブの読み取り及び調整の両方を行う。本発明の実施形態は略円筒形の断面を有するが、バルブの回転的調整を支持する任意の形状を用いることができる。
【0014】
本発明の更なる態様は、本発明の一体型ツールを使用した、磁気的に読み取り可能なバルブの現設定から標的設定への読み取り及び調整の方法である。本方法の一実施形態は、読み取り用に構成されたツールをバルブの近傍に配置しかつローターと整合させることを含む。一般に、ツールは患者の皮膚上に、又は皮膚の上方に近接して配置される。バルブの現設定が読み取られ、ツールは、永久磁石又は電磁石からの磁場がローターに印加される調整モードに切り替えられる。次いで、磁石が回転され、ローターが磁石の回転を追ってバルブが調整される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の特許請求の範囲で詳細に記載される。本発明の上述の態様及び更なる態様は、添付図面と共に以下の説明を参照することによってよりよく理解することができ、添付図面において、種々の図の同様の数字は同様の構造要素及び特徴を示す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を示す際に代わりに強調されている。
【図1a】埋め込み可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の電子的に使用可能な一体型ツールの例示的な実施形態の断面図。
【図1b】図1aに示した実施形態の上面図。
【図1c】図1aに示した実施形態の底面図。
【図2a】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図2b】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図2c】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図2d】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図3a】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3b】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3c】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3d】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3e】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3f】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図4a】図3a〜図3fの二重末端ツールの例示的な、機械的に実行される実施形態の断面図。
【図4b】図3a〜図3fの二重末端ツールの例示的な、機械的に実行される実施形態の断面図。
【図5a】図4a及び図4bに示したツールの一実施形態の読み取り末端部の切除部分透視図。
【図5b】図4a及び図4bに示したツールの一実施形態の読み取り末端部の切除部分透視図。
【図6a】本発明の二重末端一体型ツールの例示的な、電子的に実行される実施形態の外観図。
【図6b】本発明の二重末端一体型ツールの例示的な、電子的に実行される実施形態の断面図。
【図7a】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図7b】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図7c】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図7d】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図8a】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の機能統合一体型ツールの例示的な実施形態の外観斜視図。
【図8b】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の機能統合一体型ツールの例示的な実施形態の底面図。
【図9a】図8a及び図8bのツールと、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための例示的な方法との断面機能ブロック図。
【図9b】図8a及び図8bのツールと、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための例示的な方法との断面機能ブロック図。
【図9c】図8a及び図8bのツールと、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための例示的な方法との断面機能ブロック図。
【図10】図8〜図9cに示したタイプのツールの磁気ドラム構成要素の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図11】図8〜図9cに示したタイプのツールの例示的な実施形態の内部構成要素の分解図。
【図12】図11に示した構成要素の部分アセンブリを示す図。
【図13】図11に示した構成要素の部分アセンブリを示す図。
【図14a】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図14b】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図14c】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図14d】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図15a】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の2部分ツールの例示的な実施形態の断面図。
【図15b】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の2部分ツールの例示的な実施形態の断面図。
【図16】図15a〜図15bに示した2部分ツールの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法及び一体型ツールは、医師が一体型の調整及び読み取りツールを使用して、埋め込み可能な、磁気的に設定可能なバルブ(バルブ)を一貫して、また確実に読み取り、かつバルブの設定を現設定から標的設定に変更(調整)することを可能にする。例示的な実施形態において、バルブは、バルブの設定を介して水頭症患者のCSF排出流量及び排出圧の少なくとも一方を制御するよう使用され、患者の頭皮又は皮膚の他の部分の下部に埋め込まれ、また患者の皮膚の外部(上方)から調整可能である。
【0017】
水頭症バルブを体外から読み取り及び調整するための他のツール及び方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる「Tools and Methods for Programming an Implantable Valve」と題された同時係属の米国特許出願第12/415,590号に開示されている。本発明の範囲内において、本明細書で開示する多様な実施形態の特徴は任意の組み合わせで使用されて、埋め込み可能なバルブの読み取り及び調整のための追加の一体型ツール、及び方法を構成することができる。
【0018】
本発明のツール及び方法により読み取り及び調整される水頭症バルブは磁気ローターを備え、ローター軸を中心とするローターの回転的配向がバルブの現設定を指示し、また設定の修正に使用される。外部から印可される磁場を用いて、ローター軸を中心としてローターを回転させてバルブを標的設定に調整することができる。加えて、いくつかの水頭症バルブはロック要素を含んで浮遊磁場によるバルブの事故的な調整を防止し、ローター軸を中心としてローターを回転させるのに先立って、バルブの調整のための磁場をローター軸に沿って印可してバルブをロック解除する必要がある。
【0019】
磁場を印加してバルブを調整し、又はローターの配向を感知してバルブを読み取る任意の手段を本発明のツール及び方法に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、バルブ調整のために外部から印可される磁場は、ローター軸を中心として物理的に配向され得る1つ以上の永久磁石を使用して提供される。別の実施形態では、バルブ調整のために外部から印可される磁場は、ローター軸を中心として電子的又は物理的に配向され得る磁場を有する1つ以上の電磁石を使用して提供される。
【0020】
バルブの現設定の読み取りは、ローター軸を中心とした磁気ローターの回転的配向を感知することにより達成される。いくつかの実施形態において、回転的配向の感知は、磁気コンパスのような磁気的に敏感な機械的装置を使用して達成される。別の実施形態では、回転的配向の感知は、磁場を測定可能なソリッドステート電子装置である1つ以上のホール効果センサーを使用して達成される。
【0021】
更なる別の実施形態では、回転的配向の感知は、バルブ内に組み込まれ、外部から印可される無線周波数(RF)シグナルに応答して、バルブの位置及び配向の一方又は両方を報告できる無線自動識別(RFID)マイクロエレクトロニクス装置等の装置との電磁気的な連絡を用いて達成される。電子構成要素を含むいくつかの実施形態は、バルブの現設定、バルブの調整完了の通知、又はツールの状況の他の局面を示すことができる電子ディスプレイを更に備える。更に、様々な実施形態は、感知可能な構成要素の磁場からの遮蔽、及び磁場の所望の位置への案内の一方又は両方を行う強磁性構成要素を備える。
【0022】
図面をより詳細に参照すると、図1aには、患者の皮膚104の真下に埋め込まれた磁気的に調整可能なバルブ102の読み取り及び調整の両方のための、本発明の電子的に使用可能な一体型ツール100の実施形態が断面図にて概略的に示されている。バルブ102はローター軸108を有する磁気ローター106を含み、軸を中心として磁場の印可によりローター106が回転して、バルブ102を調整する。一実施形態において、バルブ102は、ローター軸108を中心としたローター106の所定の複数の回転的配向に対応する所定の複数の設定を有する。一実施形態において、複数の設定は8つの設定を含む。
【0023】
バルブ102は、磁気的に回転可能なローターを備える磁気的に設定可能な、埋め込み可能な任意のバルブであってもよく、また磁気的にロック解除できるバルブを更に含むことを理解するべきである。一実施形態において、バルブ102は、ローターのローター軸108に沿った移動により、ローター軸108を中心とした回転に関してロック解除され、移動は、ローター軸108に沿って吸引磁場を印可することにより提供される。更なる実施形態において、吸引磁場と、ローター軸を中心としたローターの回転のための磁場は、永久磁石又は電磁石のいずれかであってもよい単一の磁気源により提供される。
【0024】
一体型ツール100は、上端112と、下端114と、それらの間に延びる長手方向のツール軸116とを有する、実質的に円筒形の外側シェル110を備えるように図示されている。本明細書に開示するツールの多様な他の例示的な実施形態において、「実質的に円筒形の」という表現は、説明のために使用され、ツールを機能的に妨げない構造を含む任意の外側断面、例えば他の幾何学的断面を含むことが意図されることに留意するべきである。
【0025】
ノブ118は、シェル110の上端112から長手方向に延びるように図示されている。ノブ118は、ツール軸116を中心としてシェル110に関連して回転可能であり、シェル110の外側表面124上の参照マーク122に参照される複数の回転位置マーキング120を備えるように図示されている。代替的な実施形態において、参照マークはノブ118の表面上にあり、複数の回転位置マーキングはシェル110の表面上にある。
【0026】
一実施形態において、ノブ118は、バルブ102の利用可能な8つの設定に対応する8つの回転位置マーキング120を備える。シェル110は、ツール軸116を中心として実質的に管状の中央部分126と、バイアス凹部130を含む下部部分128とを備えるように図示されている。図1b及び図1cは、それぞれ、一体型ツール100の外観上面図132及び底面図134を概略的に示す。
【0027】
バイアス凹部130は、形状がバルブ102にかみ合うように相補的であるように、好ましくは、患者の皮膚を通じて触診可能であるように、構成されていることがわかる。本明細書において、用語「バイアス」は、バイアス凹部130が、埋め込みバルブ102の上方の皮膚104にかみ合うように位置付けられることができる非円筒形の横断面を、皮膚104上の所定の位置及びツール軸116を中心にした固有の回転方向においてのみ有することを示すために用いられる。したがって、シェル110をバルブ102の上方に位置付けることにより、ツール軸116がローター軸108と整合する。一実施形態において、触診可能な形状は、バルブ102の製造された形状と密接に対応し、その形状はバルブ102の特定のデザイン及び機能に応じて様々な形状のいずれであってもよい。
【0028】
別の実施形態では、ツール軸116を中心としたシェル110の回転的配向は、シェル110の下部部分128の外側表面134上の1つ以上の配向マーキング132により指示される。更なる実施形態(図示せず)では、シェル110上にバイアス凹部130が存在せず、1つ以上の配向マーキング132がシェル110を患者の皮膚104上にて配向させるための主な案内を提供する。
【0029】
ノブ118は、シェル110内に回転可能に配置された読み取り及び調整アセンブリ136に機械的に接続されているように図示され、それによりノブ118が、ツール軸116を中心としてシェル110に関連して回転された際に、読み取り及び調整アセンブリ136の全体が、機械的連結機構138を介してノブと共に回転する。読み取り及び調整アセンブリ136は、コア142を有する電磁石140、コア142から下端114に向かって延びる磁気ガイド144、及び電子制御ユニット148を介して電磁石140に電力を供給できる電源146を備える。一実施形態において、電源146は電池である。一実施形態において、磁気ガイド144は強磁性物質を備える。図2a〜図2dは別の実施形態では、電源146は超コンデンサーである。更なる別の実施形態では、電源146は、誘導充電に関して既知の方法を用いて、一体型ツール100の外部の充電器(図示せず)により誘導的に再充電可能である。
【0030】
読み取り及び調整アセンブリ136は、電磁石140の近傍に装着された1つ以上のホール効果センサー150を更に備える。別の実施形態では、読み取り及び調整アセンブリ136は、1つ以上の他の種類の磁気センサーを備える。1つ以上のホール効果センサー150は、電子制御ユニット148を介して、一体型ツール100の外部表面上に配置された電動指示器152に結合されている。様々な実施形態において、指示器152は、電気的に励起される発光体又は音響発信器(sound emitter)である。一実施形態において、指示器152は、ノブ118上に配置された発光ダイオードである。別の実施形態では、1つ以上のホール効果センサーは、磁気ガイド144上に装着されている。
【0031】
読み取り及び調整アセンブリ136には、電子制御ユニットをオン及びオフにするための電源スイッチ154と、電磁石140をオン及びオフにするための励起スイッチ156とが電気的に接続されている。一実施形態において、スイッチ154、156の一方又は両方は、シェル110に取り付けられている。別の実施形態では、スイッチの一方又は両方は、ノブ118に取り付けられている。一実施形態において、励起スイッチ156は、解放された際に電磁石140をオフにする瞬間接触スイッチである。
【0032】
一体型ツール100がバルブ102上に配置された状態で、電源スイッチ154がオンにされ、かつ励起スイッチ156がオフにされ、1つ以上のホール効果センサー150と制御ユニット148の関連部分とが作動して、磁気ガイド144を介してローター106の磁場を感知し、磁気ガイドはローター106と1つ以上のホール効果センサー150との間の磁気結合を高める。感知される磁場は、対応する読み取り及び調整アセンブリ136の配向を介したノブ118の回転的配向に依存する。
【0033】
磁気バルブ102を読み取り及び調整するための一体型ツール100の使用方法の例示的な実施形態を、図2a〜図2dに概略的に示す。図2a〜図2dにて説明を目的として、参照マーク122は、図1a〜図1cに示したものとは異なるシェル110上の回転位置にて示される。図示する実施形態において、指示器152は発光ダイオードである。図2a〜2dは外観図であり、一体型ツール100の内部構成要素は示されていない。
【0034】
図2aに示すように、バルブ102上にてかみ合うように配置された一体型ツール100は、電源スイッチ154を用いて作動される。次いで、ローター106の配向が1つ以上のホール効果センサー150により感知される迄、ノブ118が回転され、この図2bに参照マーク122と整合された位置「2」と示される回転において、指示器152が点灯されてバルブの現設定を使用者に報告する。次に図2cを参照すると、次いで励起スイッチ156が作動され、ローター106をロック解除するために保持される。次いでノブ118が標的設定へと回転され、ローター106が電磁石140の回転を追う。
【0035】
磁気ガイド144は、電磁石140の磁場とローター106との結合を高めて、電磁石がローター106をロック解除し、またローター回転させるのに必要な電力を最小限にする。一実施形態において、指示器152は、電磁石140が励起されている間、作動状態に留まる。別の実施形態では、電磁石140の作動は、指示器152の出力の変化として使用者に表示される。図2dに位置「4」として示される標的設定を得たら、励起スイッチ156を解放して電磁石140を停止し、電源スイッチ154をオフにして調整手順を完了する。一実施形態において、電源スイッチ154は、所定の不使用期間の後、制御ユニット148により自動的にオフにされて、電源146により貯蔵されたエネルギーを節約する。
【0036】
電子的に使用可能な一体型ツール100は、いくつかの利点を有する。単一ツールとして、置き忘れられ又はツールから誤って分離され得る分離可能な構成要素が存在しない。加えて、埋め込みバルブの読み取り及び調整は、ツールを一旦バルブ上に配置したらツールを移動することなく達成され、それにより患者の心地よさを改善し、手順中の使用又は複数のツール、又はツールの再配置に関連した操作者の誤りの可能性を低減する。必要に応じて作動及び停止できる電磁石の使用によりバルブの誤った調整が防止される一方で、バルブの調整に使用される強力な永久磁石は、磁石がバルブに接近するにつれて注意深く配向され、又は磁気的に遮蔽されて、事故的な調整の可能性を低減する必要がある。加えて、磁気ガイドを介した電磁石のバルブに対する結合により、電磁石の電力要求が最小となる。更に、単一の磁気ガイドを使用してセンサー及び電磁石の両方のバルブローターに対する磁気結合を高めることにより、しっかりと一体化された、高度に機能的なツールの構成に関する基礎を提供する。
【0037】
また有利なことに、ホール効果センサー又は他の種類の電子センサーを使用したバルブの現設定の決定は、地球の重力場に関連した配向からツールを完全に独立させ、そのためツールは任意の配向で使用することができる。動く部分を有さないホール効果センサーはまた、物理的に比較的脆弱なコンパス針等の弱い永久磁石による磁気感知の使用において有利であり、その弱い永久磁石は、バルブの調整に使用される磁場等の強磁場の影響下で変化され得る磁化も有する。
【0038】
図3a〜図3fは、二重末端の一体型ツール200と、患者の皮膚104の下に埋め込まれた磁気的に調整可能なバルブ102の読み取り及び調整のための方法との実施形態を概略的に示す。図3aを参照すると、二重末端ツール200は実質的に円筒形の本体202を備え、本体は、読み取り末端部204、調整末端部206、及びそれらの間のツール軸208を有する。バルブ102の読み取りの場合、二重末端ツール200の使用者は、図3a〜3cに示すように、読み取り末端部204を読み取り配向にてバルブ102に整合する。バルブ102の調整の場合、使用者は図3d〜図3fに示すように、二重末端ツール200の末端部同士を逆転させて、調整末端部206をバルブ102に整合する。一実施形態において、読み取り末端部204及び調整末端部206は互いに独立して使用されて、それぞれバルブ102を読み取り及び調整する。別の実施形態では、読み取り末端部204を使用したバルブの現設定の読み取りは、調整末端部206をバルブ102の現読み取りにプログラムする。
【0039】
図3a〜図3cを参照すると、読み取り末端部204は、バルブ102の読み取りに先だって、二重末端ツール200をツール軸208を中心としてバルブ102に関連して回転的に配向させる1つ以上の読み取り配向マーキング210を備えるように図示されている。読み取り末端部204はまた、読み取りボタン212と、バルブ102の現設定を表示するディスプレイ214とを備えることがわかる。一実施形態において、読み取りボタン212は、二重末端ツール200内の電子回路をオンにすることにより、読み取り末端部204の近傍に装着されたホール効果センサーのアレイを作動させる電気スイッチである。ローター軸116を中心としたローター106の回転的配向は、ホール効果センサーを使用して読み取られ、ディスプレイ214上に報告される。一実施形態において、ホール効果センサーのアレイは周方向アレイであり、二重末端ツール200をツール軸208を中心として回転させる必要なく、ローター106の配向を検出する。一実施形態において、ホール効果センサーの数は、バルブ102における利用可能なバルブ設定の数と等しい。別の実施形態では、他の種類の磁場センサーを使用してローター106の磁場を感知して、バルブ102を読み取る。
【0040】
更なる別の実施形態では、読み取りボタン212は、作動された際に、読み取り末端部204内に装着されたコンパス型の磁場検出器の、ローター106の磁場に応答したツール軸208を中心とした自由な回転を可能にするメカニカルリリースである。この実施形態では、読み取りボタン212が解除された際にバルブ102の現読み取りが維持され、ディスプレイ214内で継続して見ることができる。一実施形態では、コンパス型検出器は複数の標識マーキング216を備え、ディスプレイ214内で一度に1つのみのマーキングを見ることができる。一実施形態において、複数の円周方向マーキング216は、バルブの利用可能な8つの設定に対応する8つのマーキングを備える。
【0041】
図3d〜図3fを参照すると、調整末端部206は、本体202の周囲のスリーブ218を備えるように図示され、スリーブ218は、読み取り末端部204の反対側にて本体202を越えて長手方向に延びる終端部220を有する。スリーブ218は、バルブ102の上方の二重末端ツール200を回転的に整合させるための1つ以上の調整器配向マーキング222を備え、整合は、バルブ102が患者の皮膚104を通じて可視又は触診可能であるため、バルブの物理的プロファイルにより案内される。別の実施形態では、終端部220は、一体型ツール100のバイアス凹部130と同様の形態を有し、かつ同様に機能するバイアス凹部を備える。スリーブ218に対して長手方向に隣接する本体202の表面は、複数の回転位置マーキング224を備えるように図示されている。一実施形態において、複数の回転位置マーキング224は、バルブ102の利用可能な8つの設定に対応する8つのマーキングを備える。
【0042】
スリーブ218は、ツール軸208を中心として本体202に関連して回転可能である。代替的に、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つを基準として複数の回転位置マーキング224のうちの1つを選択するために、本体202をスリーブ218内にてツール軸208を中心として回転してもよい。スリーブ218はまた、本体202に関連して軸方向にばね付勢され、それにより図3e及び図3fに示すように二重末端ツール200が皮膚104に押しつけられる際に、本体202が長手方向にてスリーブ218内に摺動し、二重末端ツール200の全長を短縮する。
【0043】
図4a及び図4bは、機械的に実行される二重末端ツール200の例示的な実施形態の断面図を概略的に示す。まず、図5a及び図5bの切除部分透視図にも示される読み取り末端部204を参照すると、二末端ツール200は、複数の周方向マーキング230を有する標識環部228に機械的に結合された磁気コンパス226を備えるように図示されている。一実施形態において、コンパス226の現配向に対応する複数のマーキング230のうちの1つのみが一度にディスプレイ214にて見ることができる(図3a〜図3fに示すように)。読み取りボタン212が押し下げられた状態では、図4a及び図5bに示すように、コンパス226は、図3a〜図3cに示すように読み取り末端部204がローター軸116に接近され軸に整合された際に、外部磁場に応答してツール軸208を中心として自由に回転する。読み取りボタン212が解放(解除)された状態では、図4a及び図5aに示すように、機械式ブレーキ232が係合して、コンパス226のツール軸208を中心とした回転を防止する。
【0044】
以下、図4a及び図4bに示す調整末端部206を参照すると、本体202の内部に1つ以上の磁石234が固定され、磁石はバルブ102に接近された際にローター106を引き付けてバルブ102を調整するのに有効である。図4aに示すように、1つ以上の磁石234は、終端部220から奥まった所に示されている。一実施形態において、1つ以上の磁石234と、読み取り末端部204におけるコンパス226との間に磁気遮蔽物236が配置されて、コンパス226を1つ以上の磁石234の磁場から遮蔽する。更なる実施形態において、磁気遮蔽物236は強磁性材料から作製されている。
【0045】
図4aに示す奥まった位置における1つ以上の磁石234は、バルブ102が終端部220に隣接して、又は終端部を越えて軸方向に配置された際に、バルブ102の調整に有効ではないように終端部220から十分遠い。スリーブ218は、図4aに示すように、スリーブ218を本体202から長手方向に延ばすよう偏倚させるばね238を備えるように図示されている。例えばツールをバルブ102上の皮膚104に軸方向に押しつけることにより、終端部220にてスリーブ218に適用される軸方向の力は、図4bに示すように、スリーブ218を本体202上で摺動させ(言い換えれば、本体202をスリーブ218内に摺動させ)、ばね238を圧縮し、1つ以上の磁石234を終端部220に接近させるのに有効であり、バルブ102が軸方向にて終端部220に隣接して配置されている場合、バルブ102の調整に有効である。一実施形態において、ばね238は、スリーブ218の本体202に関連した誤った摺動を防止するのに十分な軸方向の力を付与するが、患者の皮膚104の損傷、又は有意な不快感を生じるのに十分ではない力を付与するよう適合されている。別の実施形態では、バルブ102の意図しない調整を防止するためのスリーブ218は存在せず、代わりに強磁性遮蔽物が調整末端部を覆って配置されて、遮蔽物が1つ以上の磁石234とローター106との間から離れるよう物理的に移動され又は回転される迄、ローター106を1つ以上の磁石234から遮蔽する。
【0046】
図3a〜図3fは、バルブ102の読み取り及び調整のための二重末端ツール200の使用方法の実施形態を示す。図3aにおいて、二重末端ツール200の読み取り末端部204は、バルブ102の上方に配置され、かつ1つ以上の読み取り配向マーキング210により案内されるように図示され、マーキングは皮膚104を通じて観察可能なバルブ102の所定の構造と回転的に整合されている。一実施形態において、前記所定の構造は、バルブの入口、バルブ102の出口及びバルブ自体のうちの1つ以上の可視プロファイルである。機械的に実行される二重末端ツール200の実施形態に関して、ディスプレイ214は、最後に読み取りボタン212が作動されたときのバルブ設定を表示する。
【0047】
次に図3bを参照すると、読み取りボタン212がバルブ102の読み取りのために作動され、バルブ102の現設定がディスプレイ214内に示されている(図3b〜図3eに設定「2」として示されている)。現設定が読み取られたら、読み取りボタン212が解放され、図3cに示すように、スリーブ218がツール軸208を中心として本体202に関連して回転されて、バルブの現設定に対応する複数の回転位置マーキング224のうちの1つを、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つに整合する。一実施形態において、二重末端ツール200は、スリーブ218と本体202との間に複数の周方向の戻り止めを備えて、複数の回転位置マーキング224のうちの1つが、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つと整合したことを示す正の指示を提供する。次に、調整器末端部206がバルブ102の現設定に回転された図3dを参照すると、二重末端ツール200は縦に回転して調整末端部206をバルブ102の上方に配置しており、そして1つ以上の調整器配向マーキング222により案内されて、本体202及びスリーブ218をユニットとして、バルブ102の読み取りに関して行われたものと同様の様式で、バルブ102の所定の構造と回転的に整合する。
【0048】
図3eを参照すると、二重末端ツール200はバルブ102上の患者の皮膚104に軸方向に押しつけて、1つ以上の磁石234をバルブ102に対して物理的に接近させ、それにより1つ以上の磁石234は、ローター106を磁気的に引き付けることによりバルブ102の調整に有効である。一実施形態において、バルブ102はまた1つ以上の磁石234の接近により、調整のためにロック解除される。最後に、図3fを参照すると、バルブ102の調整は、本体202をスリーブ218内にてツール軸208を中心として回転させて、バルブ102の標的設定に対応する複数の回転位置マーキング224のうちの1つ(図3fに設定「2」として示す)を、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つに整合させることによって達成される。
【0049】
図6a及び図6bは、それぞれ、電子的に実行される本発明の二重末端ツール250の例示的な実施形態の外観図及び断面図を概略的に示す。電子的に実行される二重末端ツール250の実施形態は、本明細書にて上記に開示した二重末端ツール200と概ね類似するように図示されているが、電子技術及び自動化の使用によりバルブ102を読み取り及び設定するよう適合されている。まず図6aを参照すると、電子的に実行される二重末端ツール250は、実質的に円筒形の本体252を備えるように図示され、本体は、読み取り末端部254、調整末端部256、及びそれらの間の長手方向のツール軸258を有する。
【0050】
読み取り末端部254は、本明細書にて上記に開示した二重末端ツール200に関連した読み取り配向マーキング210と類似した位置及び機能を有する1つ以上の読み取り配向マーキング260を備えるように図示されている。本体252には、本体252上の参照マーキング264に参照されるバルブ102に関する標的設定を入れるための、本体252を中心に回転可能な設定環部262が装着されていように図示されている。本体252はまた、バルブ102の現設定を表示する電子ディスプレイ268と、読み取り及び調整手順を始動する始動スイッチ270も備える。代替的な実施形態では、設定環部262の代わりにサムホイール、本体252に装着された1つ以上の電子スイッチ、又は任意の他の電子入力装置を含み得る、他の電子入力装置が提供される。更なる実施形態では、電子ディスプレイ268は、バルブ102の現設定に加えて標的設定を表示する。
【0051】
調整末端部256は、図6a及び図6bに示すスリーブ272が、ツール軸258を中心として本体252に関連して回転可能ではないことを除いて、図4a及び図5aに関連して開示した二重末端ツール200に関連したスリーブ218と同一の様式で偏倚されて本体252の末端部から長手方向に延びるスリーブ272を備えるように図示されている。スリーブ272は、本明細書で上記に開示した二重末端ツール200に関連した1つ以上の調整器配向マーキング222に類似した位置及び機能を有する、1つ以上の調整器配向マーキング274を備えるように図示されている。一実施形態において、偏倚は本体252とスリーブ272との間に配置された圧縮ばね276により提供される。図6bに示すように、磁気アセンブリ278が本体252の内部に存在し、かつ本体252内でツール軸258を中心として回転可能に搭載されており、アセンブリは、バルブ102に接近された際に、ローター106を引き付けてバルブ102を調整するのに有効である1つ以上の磁石280を備える。
【0052】
一実施形態において、電子的に実行される二重末端ツール250は電気モーター282も備え、モーターは、電池、超コンデンサー、又は別の電源であってもよい電源により電力を供給される電子制御回路284の制御の下、ツール軸258を中心として磁気アセンブリ278を回転させるのに有効である。一実施形態において、電源286は、電子的に実行される二重末端ツール250の外部の充電器(図示せず)により誘導的に再充電可能である。別の実施形態では、磁気アセンブリ278は、制御回路284を介して電源286により励起され得る1つ以上の電磁石を備える。電子制御回路284は磁気センサー288のアレイも制御し、センサーのアレイは、一実施形態では、二重末端ツール200に関して上記に開示したような複数のホール効果センサーを含む。更なる実施形態において、モーター282は回転式連結機構290を介して磁気アセンブリ278に結合し、連結機構は、一実施形態では、モーター282から磁気アセンブリ278への回転速度の低下を含む。
【0053】
図7a〜図7dは、バルブ102を読み取り及び調整するための、電子的に実行される二重末端ツール250の使用方法の例示的な実施形態を概略的に示す。図7a〜図7dは、電子的に実行される二重末端ツール250の外観図であり、ツールの内部構成要素は、図6a及び図6bを参照して記載されている。次に図7aを参照すると、読み取り末端部254は、二重末端ツール200の読み取り末端部204をバルブ102に対して整合するための、図3aに関連して上記に開示したものと同一の様式にてバルブ102に整合される。設定環部262は手順中の任意の時間に回転されて、バルブ102の所望の標的設定を指示する。設定環部262は、読み取り及び調整手順中の任意の時間に、標的設定に設定され得る。
【0054】
次に図7bを参照すると、始動スイッチ270が係合されて、磁気センサー288のアレイによりバルブ102の現設定を読み取り、現設定をディスプレイ268上に表示する。加えて、二重末端ツール200に関して図3dに関連して上記に開示した手順と同様、電子的に実行される二重末端ツール250が縦に回転し、図7cに示すように調整末端部がバルブ102に整合された際に、モーター282が電子制御回路284の制御下で自動的に作動されて磁気アセンブリ278を本体252内で回転させ、それによりバルブ102の現設定が調整器配向マーキング274に関連して整合される。
【0055】
図7cから図7dへ移動すると、二重末端ツール200に関して図3eに関連して上記に開示した工程と同様、電子的に実行される二重末端ツール250は患者の皮膚104に押しつけられて、磁気アセンブリ278をバルブ102に物理的に接近させてローター106を磁気的に引き付けすることによってバルブ102を調整する。一実施形態において、スリーブ272が皮膚104に押しつけられた際、モーター282が自動的に始動して磁気アセンブリ278を回転させて、本体252をスリーブ272内でツール軸258を中心として手動で回転させることなくバルブを標的設定に調整する。別の実施形態では、ディスプレイ268は更新されて、調整が完了した際に標的設定を示す。
【0056】
有利なことに、上記に開示した二重末端ツールは、置き忘れられ又はツールから誤って分離され得る分離可能な構成要素を有さない単一ツールである。加えて、ツールの読み取り部分と調整部分とは、ツールの対向する末端部にて互いに物理的に隔離され、互いに磁気的に遮蔽されて、調整磁石がバルブのコンパス読み取りに影響を与え得るいかなる可能性も最小限にする。更に、一実施形態において、バルブ読み取りは、いずれの電力も使用することなく、コンパス型読み取り器を使用して無制限に維持され得る。電子的に実行される実施形態では、読み取り及び調整手順は、不正確な読み取り又は調整の可能性を更に低減するよう大いに自動化することができ、患者の安全及び心地よさを高めることができる。また電子的実施形態では、ホール効果センサーのような電子的磁場センサーが、バルブの読み取り機能と調整機能との間の干渉を排除することができる。
【0057】
また有利なことに、二重末端ツールは物理的に小さい直径を有するよう形成することができ、患者の皮膚上に小さい物理的プロファイルを提供し、バルブが患者の耳の近傍等の、さもなくば読み取り及び調整のためのアクセスが困難であり得る位置に埋め込まれている状況下で、更なる利便性を提供する。一実施形態において、二重末端ツールは、医療専門家が、例えば実験用白衣のポケット内にて、都合よく携帯できるペン形状の器具として構成される。更なる実施形態において、二重末端ツールはポケットクリップを備えて、ツールの持ち運び中の損失を防止する。
【0058】
バルブ102の読み取り及び設定のための機能統合一体型ツール300の一実施形態を、図8aの外観斜視図と図8bの底面図に示す。機能統合ツール300は、上端304を有する実質的に円筒形の上部部分302、下端308を有する実質的に円筒形の下部部分306、及び共通の長手方向のツール軸310を備えるように図示されている。上部部分302及び下部部分306は、軸310に沿って互いに摺動可能に結合され、下部部分306は上部部分302内にて摺動可能であり、したがって上部部分302と下部部分306との間の軸方向の圧縮力が下部部分306を更に上部部分302内へ可逆的に摺動させ得る。
【0059】
一実施形態において、圧縮は、機能統合ツール300の内部のばね偏倚に対抗する。別の実施形態では、上部部分302は下部部分306内にて摺動可能である。一実施形態において、上部部分302と下部部分306とを更に共に摺動させることにより、機能統合ツール300が、ツール軸310に沿って最大に延長された際のバルブ読み取りモードから、ツール軸310に沿って最大に圧縮された際のバルブ調整モードに切り替わる。
【0060】
上部部分302は、上端304から軸方向に延びる回転前進ボタン312を備えるように図示されている。回転前進ボタン312は、機能統合ツール300がバルブ調整モードにある際にバルブ102を調整するよう適合されている。一実施形態において、上部部分302は、機能統合ツール300を衣服のポケット、又は他の物体に解放可能に固定するクリップ314も備える。下部部分306は、バルブ102の現設定を視認するための窓316を備えるように図示されている。一実施形態において、機能統合ツール300が読み取りモードにあるか、又は調整モードにあるかの指示も、窓316にて視認可能である。
【0061】
下部部分306は下端308にてバイアス凹部318を備えるようにも図示され、凹部は、好ましくは患者の皮膚104を通じて触診可能であるようなバルブ102にかみ合うように相補的な形状を有するよう適合されている。一体型ツール100に関して図1aに関連して開示したバイアス凹部130と類似した形態及び機能を有するバイアス凹部318は、埋め込みバルブ102の上方にて皮膚104上にかみ合うように、皮膚104上の所定の位置のみに、またツール軸310を中心とした機能統合ツール300の固有の回転的配向にて配置され得る非円形断面を有する。
【0062】
図9a〜図9cは、機能統合ツール300の例示的な実施形態及びバルブ102の読み取り及び調整のための例示的な方法の断面機能ブロック図を概略的に示す。図9a〜図9cにおいて、機能統合ツール300は、ツール軸310がバルブ軸108と整合した状態で、バルブ102の上方にて皮膚104上にかみ合うよう配置されているように図示されている。バイアス凹部318は、図9a〜図9cに示されていない。まず図9aを参照すると、機能統合ツール300は、内部に読み取りモジュール320と調整モジュール322とを備え、読み取りモジュールと調整モジュールとは、上部部分302内に固定された環状ディスク324により互いに分離されるように図示されている。環状ディスク324は中心開口部326を備え、開口部を通って第1の回転固定部材328が調整モジュール322に向かって延びるように図示されている。調整モジュール322は、第1の回転固定部材328と相補的な第2の回転固定部材330を備えるように図示されている。第1の回転固定部材328と第2の回転固定部材330とは互いに軸方向に係合可能であり、図9cに示すように調整モジュール322を読み取りモジュール320に回転的に結合させる。
【0063】
図9aを参照すると、機能統合ツール300は、ツール軸310に沿って最大に延長された、読み取りモードにて示されている。読み取りモジュール320は、読み取りモードにある際にツール軸310を中心として自由に回転可能な実質的に円筒形のドラム332を備えるように図示されている。ドラム332は1つ以上の磁石334を備え、磁石334は、バルブ102内のローター106の磁場の影響下で、自由に回転可能なドラム332をツール軸310を中心として回転させ、また磁気コンパスの様式で、ドラム332をローター106に回転的に整合させることによってバルブ102の現設定を読み取るよう配置されているように図示されている。1つ以上の磁石334は、図9b及び図9cに示す調整モードにおいて、軸方向にバルブ102に対して接近された際に、バルブ102を調整するのに十分強い磁場を備える。読み取りモードでは、図9aに示すように、ドラム332はツール軸310に沿ってバルブ102から離間されており、読み取りモードにおけるより長い距離は、1つ以上の磁石334とローター106との間により弱い磁気相互作用を提供し、それにより1つ以上の磁石334がバルブ102をロック解除し又は調整することを防止する。
【0064】
一実施形態では、図10に示すように、ドラム332の外部表面336は、複数の利用可能なバルブ102の設定に対応する第1の周方向の複数の標識338を備え、複数の標識338のうちの1つは、図8に示すように窓316を通して視認可能である。更なる実施形態では、ドラム332は、複数の利用可能なバルブ102の設定に対応する第2の円周方向の複数の標識340を備える。一実施形態において、第2の複数の標識340は、第1の複数の標識338から、読み取りモードと調整モードとの間のドラム332の軸方向の移動距離と等しい距離に、長手方向に変位されており、それにより読み取りモードでは、第1の複数の標識338のうちの1つが窓316を通して視認可能であり、調整モードでは、第2の複数の標識340のうちの対応する1つが、窓316を通して視認可能である。一実施形態において、第1の複数の標識338及び第2の複数の標識340の両方は数字を含み、第1の複数の標識338と第2の複数の標識340とは、色によって互いに区別可能である。更なる実施形態において、第1の複数の標識338は黒色であり、第2の複数の標識340は赤色である。
【0065】
上部部分304をバルブ102に向かって押圧することにより機能統合ツール300に圧縮力を適用すると、機能統合ツール300が、図9bに示すように、読み取りモードから調整モードに切り替わる。調整モードにおいて、ドラム332は、バルブ102の調整を可能にするために、読み取りモードと比較してローター106により接近するよう移動されていることが図示されている。一実施形態では、調整モードでは、1つ以上の磁石334は、バルブ102の調整を可能にするために、ローター106のロック解除もする。
【0066】
調整モジュール322は前進ボタン312を備え、前進ボタンは、図9cに示すように、軸方向に上部部分302内へ押圧された際に第2の回転固定部材330を軸方向に変位させて、調整モジュール322を読み取りモジュール320に対して回転的に固定することがわかる。一実施形態において、調整モジュール322はボタン復帰ばね342によって上端304に向かって偏倚されている。更に、前進ボタン312が押し下げられた際に、回転前進アセンブリ344が回転的に固定された調整モジュール322と読み取りモジュール320とをユニットとして一緒に、ツール軸310を中心として回転させて、バルブ102を現設定からバルブ102の次の隣接設定に増加的に調整する。
【0067】
一実施形態において、回転前進アセンブリ344は、複数のバルブ設定に対応する複数の安定した回転位置を備える。一実施形態において、回転前進アセンブリ344は、安定した8つの回転位置を備え、回転位置は一緒になって360°の回転を含む。回転前進アセンブリ344は、利用可能なバルブの設定と一致した回転ステップを提供する任意の種類の増加的な回転前進を用いることができる。一実施形態において、回転前進アセンブリ344は、複数の歯348を有する、鋸歯状の円筒形の歯車346を備える。一実施形態において、複数の歯は8つの歯348を備え、前進ボタン312の押圧及び解放の各サイクルは、回転的に固定された読み取りモジュール320と調整モジュール322を、ツール軸310を中心として上部部分302に関連して、完全な回転の1/8(45°)だけ回転させ、それによりバルブ102を1つの増加的設定分だけ調整する。一実施形態において、前進ボタン312が押圧された際に、1つ以上の歯348の傾斜端350が、回転前進アセンブリ344の他の表面に対して摺動して回転を駆動する。
【0068】
図11は、読み取りモジュール320及び調整モジュール322の構成要素の例示的な実施形態を、集合的な分解図にて示す。この実施形態では、ツール軸310に沿って前進ボタン312及び鋸歯状の歯車346に回転連結具352が隣接しているように図示され、回転連結具352は、中心の円筒形の本体354、連結具フランジ356、及び複数の横方向ピン358を備え、各ピンは鋸歯状の歯車346の隣接する歯348の間に摺動可能に受容されるよう適合されている。回転連結具352は、ボタン復帰ばね342が圧縮され、機能統合ツール300が(圧縮された)調整モードにある際に、第1の回転固定部材238と係合し得る第2の回転固定部材330を更に備える。前進ボタン312及び鋸歯状の歯車は、偏倚ばね360により軸方向に離間するよう偏倚されているように図示されている。
【0069】
ドラム332は、機能統合ツール300の下部部分306の内部表面に固定されているベアリング基部360上にて、回転可能かつ摺動可能に配置されるように図示されている。円周方向の複数の標識338、340は、図11には示されていない。第1の回転固定部材328は、ドラム332内に部分的に摺動可能であるが、ドラムに対して回転的に結合されるように図示されている。ドラム332、ベアリング基部362、及び第1の回転固定部材328は、ツール軸310に沿って離間するよう偏倚されるように図示されている。一実施形態において、ドラム332、ベアリング基部362、及び第1の回転固定部材328は、第1及び第2の圧縮ばね364、366により、離間するよう偏倚される。
【0070】
図12及び図13は、図11に示した構成要素の部分アセンブリを示す。図12は、軸方向にて第1の回転固定部材328に隣接して配置され、かつ前進ボタン312及び鋸歯状の歯車346が装着された回転連結具352を備えた、上部部分アセンブリを示す。図13は下部部分アセンブリを示し、第1の回転固定部材328及びベアリング基部362が、対応するばね364、366を介して軸方向にてドラム332に係合して、ベアリング基部362と環状ディスク324との間でドラム332が自由に回転するよう取り付けられることを示している。
【0071】
回転連結具352は、上部部分302内でツール軸310を中心として回転可能である一方、前進ボタン312及び鋸歯状の歯車346は回転可能ではない。複数のピン358のそれぞれは外側末端部368を有し、外側末端部368は、上部部分の内側周囲に周方向に配置された、成形された複数の受容ノッチ370の1つの内部に嵌るよう適合されている。回転前進アセンブリ344を使用した増加的な回転調整は図14a〜14dに機能的に示されており、複数の歯348の部分は、対応する複数のピン358の部分を介して、対応する複数の受容ノッチ370の部分に結合しているように図示されている。説明を目的として、図14a〜図14dに示す複数の構成要素のそれぞれは、円周縁図ではなく平面視にて描かれ、図14a〜図14dの水平平行移動は、機能統合ツール300内での回転に対応する。
【0072】
図14aは、前進ボタン312の押圧が開始されるにつれて、図14aで複数の歯348を下方に移動させるバルブ調整サイクルの開始を示す。複数の歯368が下方に移動するにつれて、各ピン358と、したがって回転連結具252とが、まず対応するノッチ370の垂直部分372に沿って垂直に下方へ押され、それにより第1の328及び第2の回転固定部材330を互いに係合させ、調整モジュール322を読み取りモジュール320に回転的に結合させてバルブ102を調整する。次に図14bを参照すると、複数の歯348が下方へ移動し続けるにつれて、各ピン358が対応するノッチ370の傾斜部分374に沿って下方へ移動し、回転連結具252と、したがって回転的に固定された読み取り及び調整モジュール全体とを、ツール軸310を中心として回転させる。
【0073】
複数の歯348の移動の最下部において、図14cに示すように、各ピン358が対応するノッチ358の底部部分376を回転的に通過しており、それ故、前進ボタン312が解放され、複数の歯が上方へ戻るにつれて、図14dに示すように、各ピン358は対応するノッチ370の次のノッチの上方傾斜部分378に沿って移動し、次の垂直部分380に到達する迄、回転連結具252をツール軸310を中心として継続して回転させ、次の垂直部分において各ピンは垂直に移動し、第1の回転固定部材328と第2の回転固定部材330とを離して調整サイクルが完了する。複数の歯が8つの歯を備える一実施形態において、前進ボタン312の押圧及び解放サイクルのそれぞれは、8つのバルブ設定のうちの1つの増加的調整に対応する45°回転を生じる。
【0074】
バルブ102の読み取り及び調整のための機能統合ツール300の使用方法を、図9a〜図9cに示す。図9aは、読み取りモードにてバルブ102の上方に配置され、かつバルブ102に整合された機能統合ツールを示し、ドラム332はツール軸310を中心として自由に回転してバルブ102を読み取り、窓316(図8aに示した)に現設定を表示する。次に図9bを参照すると、機能統合ツール300は軸方向に圧縮されて調整モードにあることがわかり、ドラム332は目下バルブに近接し、1つ以上の磁石334とローター106との間の磁気結合を増大させており、それによりバルブが調整されることができる。一実施形態において、バルブは、1つ以上の磁石334が軸方向にてローター106に接近するにつれて、調整のためにロック解除される。
【0075】
次に図9cを参照すると、前進ボタンが押圧されていることが図示されており、読み取りモジュール320と調整モジュール322とを回転的に結合させ、更に結合したモジュールを回転させてバルブ設定を増加することによりバルブを調整する。バルブ設定が増加された後、必要なバルブ調整が完了する迄、図9cの調整工程が反復されてもよく、そしてツールはバルブ102の上方のその位置から除去される。
【0076】
機能統合一体型ツール300は、いくつかの利点を有する。一体型のツールとして、埋め込み可能なバルブの読み取り及び調整を単一のツールで行うことができる。機能統合ツール300はまた、ばね偏倚された初期設定(default)形態としての読み取りモードを有し、ツール末端部から奥まった所に調整磁石を配置することによりバルブの誤った調整を防止する。更に、ツールは、ツールが一旦患者上に配置されたら、ツールを移動する必要なくバルブの読み取り及び調整に使用することができ、使用者の任意の誤りの可能性を低減すると共に、患者の安全及び心地よさを高める。更に有利なことに、機能統合ツール300は単一の磁気アセンブリを備えてバルブの読み取り及び調整の両方を行うことにより、読み取り磁石と調整磁石との間の任意の干渉の可能性を排除する。
【0077】
図15aおよび図15bは、バルブ102の読み取り及び調整のための本発明の2部分ツール400の例示的な実施形態を、断面図にて概略的に示す。2部分ツール400は、基部402、実質的に基部402内でツール軸406を中心として回転できる、回転可能なコア404、及び回転可能なコア404に解放可能に装着できる分離可能な調整磁石408を備えるように図示されている。図15aは、調整磁石408が回転可能なコア404から分離されている、読み取りモードでの2部分ツール400を示し、図15bは、調整磁石408が回転可能なコア404に装着されている、調整モードでの2部分ツール400を示す。
【0078】
基部402はバイアス凹部410を備えるように図示され、凹部410はバルブ102にかみ合うように相補的な形状を有し、好ましくは患者の皮膚104を通じて触診可能であるよう適合されている。一体型ツール100に関して図1aに関連して開示したバイアス凹部130と類似した形態及び機能を有するバイアス凹部410は、埋め込みバルブ102の上方にて皮膚104上にかみ合うように、皮膚104上の所定の位置のみに、またツール軸406を中心とした2部分ツール400の固有の回転的配向にて配置され得る非円形断面を有する。
【0079】
回転可能なコア404は、上部表面412及び下部表面414を有することがわかり、上部表面412は、調整磁石408をツール軸406を中心として回転可能なコア404に関連して所定の配向にて受容し、かつ解放可能に保持するよう適合されている。回転可能なコア404はまた、バルブ102の現設定を読み取るための磁気コンパス416を備えることがわかり、コンパス416は頂面412から読み取ることができる。コンパス416は、初期設定でバルブ102を読み取るために回転に対して機械的に固定され、また機械的に押圧された際にコンパス416を解放してバルブ102の現設定を読み取る解放ボタン418を更に備える。別の実施形態では、バルブ102の現設定を読み取るための1つ以上の磁気センサー、回転可能なコア404は、電源と、上部表面412にて視認できる電子ディスプレイを更に備える。
【0080】
回転可能なコア404は1つ以上の磁気ガイド420も備え、磁気ガイドは、上部表面412と下部表面414とコンパス416との間に磁気結合を提供する。一実施形態において、1つ以上の磁気ガイド420は強磁性物質を備える。図15aに示す読み取りモードにおいて、1つ以上の磁気ガイド420は、解放ボタン418が押し下げられている間、コンパス416をローター106に磁気的に結合させ、コンパス416がローター106の配向を感知する能力を向上させ、それによりバルブ設定を読み取る能力を向上させる。図15bに示す調整モードでは、調整磁石408は、上部表面412上に配置されているように図示され、1つ以上の磁気ガイド420を介してローター106に結合されている。コンパス416が機械的に固定されている間(解放ボタン418が押圧されていない)、その読み取りは、調整磁石408の存在の影響を受けない。
【0081】
磁気ガイド420の存在により、磁気ガイド420の不在下で必要とされる磁石よりも弱い磁石を調整磁石408として使用することができ、それにより、バルブ調整の前及び後に回転可能なコア403に向かって、又は回転可能なコア403にから離れて物理的に移動される際のバルブ102の事故的な調整の危険が低減される。
【0082】
図16は、調整モードでの2部分ツール400の平面図を概略的に示し、調整磁石408は1つ以上の磁気ガイド420の上方にて回転可能なコア404に装着され、かつガイドに磁気的に結合されている。一実施形態において、調整磁石408と上部表面412とは、単一の所定の位置に、ツール軸406を中心とした単一の所定の回転的配向でのみ調整磁石408を上部表面上に配置させる相補的な物理的構造を備えている。
【0083】
基部402は、バルブ102の上方の患者の皮膚104上に2部分ツール400を配置するための配向を指示する、1つ以上のツール整合マーキング422を備えるように図示されている。基部402は、利用可能な複数のバルブ設定に対応する、周方向の複数の標識マーキング424を更に備えるように図示されている。一実施形態において、複数の標識マーキング424は、8つのマーキングを備える。回転可能なコア414は、回転可能なコア404のツール軸406を中心とした基部402に関連した回転的配向により選択される、複数の標識マーキング424のうちの1つを指示する参照マーキング426を備えるように図示されている。
【0084】
図15a〜図16を参照すると、2部分ツール400を使用したバルブ102の読み取り及び調整のための例示的な手順において、整合磁石108から離れた基部412は、最初に、バルブ102の上方の患者の皮膚104上に配置されかつ整合されているように図示されている。次いで、解放ボタン418を押圧してコンパス416を解放し、バルブ102の現設定を読み取る。回転可能なコア404をツール軸406を中心として手動で回転させて、バルブ102の現設定のような、コンパス読み取りにより指示される複数の標識マーキング424のうちの1つに参照マーキング426を整合する。
【0085】
次に図15bを参照すると、調整磁石408は回転可能なコア404の上部表面412に装着されているように図示されている。一実施形態において、調整磁石408の回転可能なコア404に対する装着は、バルブ102をロック解除する。次いで、回転可能なコア404をツール軸406を中心としてバルブ102の標的設定へ回転させる。次いで、調整磁石408を回転可能なコアから除去する。一実施形態では、次いで解放ボタン418を再度押圧して、バルブ102の新しい設定を読み取ることにより調整を確認する。
【0086】
2部分ツール400は、いくつかの利点を有する。調整磁石とバルブローターとの結合に磁気ガイドを使用することにより、バルブの調整に必要とされないであろう比較的弱い磁石を使用することができる。比較的弱い調整磁石は、バルブの意図しない調整の可能性を低減し、より軽量で、よりポータブルな読み取り及び調整ツールの構成を可能にする。加えて、調整磁石と磁気ガイドとの間の結合は、それらの分離距離に非常に強く依存するため、調整磁石は磁気ガイドと接触される迄、ローターに有意な影響を与えない。
【0087】
2部分ツール内の磁気ガイドはまた、ローターとコンパスとの間に密接した磁気結合を提供することにより、地球の磁場に関連したコンパスの配向に対するコンパス作動の依存を有利に低減する。いくつかの実施形態では、ローターの磁場の感知を電子的に行い、磁気ガイドとコンパスとを組み合わせて提供することによって、すでに提供されているツールよりも更に機械的かつ磁気的に強力なツールを提供する。
【0088】
好都合なことに、本発明のツール及び方法の実施形態は、単純な、反復可能な手順において、埋め込みバルブの設定の読み取り、調整、及び確認を円滑に統合するための手段を提供する。更に、本発明の実施形態は、不注意又は不正確にバルブを調整する危険性が低減された、埋め込み可能なバルブの読み取り及び標的とする設定への調整を可能にする。誤った調整の危険性が低減することによって、患者の快適性及び安全性が向上し、これは、不適切な調整が、硬膜下血腫等の危険な症状を結果としてもたらし得る、CSFの過剰排出又は過少排出のいずれかにつながり得るためである。
【0089】
本発明が、特定の好ましい実施形態を参照して特に示されると共に説明されたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び範囲から離れることなく形態及び詳細の種々の変更を実行することが可能であることを理解されたい。
【0090】
〔実施の態様〕
(1) 磁気的に読み取り可能かつ設定可能な、生物内に埋め込まれたバルブの現設定を読み取り及び変更するツールであって、
実質的に円筒形の本体であって、前記本体が、上端、下端、前記上端と下端との間の長手方向軸、及び前記上端と下端との間において前記本体の少なくとも一部に沿った軸方向の孔を有し、前記下端が、患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に位置付け可能である、本体と、
前記孔内に配置され、かつ前記下端に近い第1の軸方向位置と、前記下端から奥まった第2の軸方向位置とを有する磁石と、を備え、
前記第2の位置における前記磁石は、前記バルブの読み取りのために前記長手方向軸を中心として自由に回転可能であり、
前記第1の位置における前記磁石は、前記バルブの前記現設定を変更するよう適合される、ツール。
(2) 前記下端におけるバイアス凹部を更に備え、前記バイアス凹部は、前記バルブの外側断面とかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記長手方向軸を中心として固有の回転的配向にて前記バルブの近傍に配置されるよう適合される、実施態様1に記載のツール。
(3) 前記上端から実質的に軸方向に延びるよう偏倚された押しボタンを更に備え、前記押しボタンの、軸方向における前記上端に関連した押圧及び解放のサイクルは、前記長手方向軸を中心とした前記磁石の所定の角度の回転を生じる、実施態様1に記載のツール。
(4) 前記バルブが、前記長手方向軸を中心とした複数の等しい回転増分に対応する複数の設定を含み、前記所定の角度が、前記複数の回転増分のうちの1つを含む、実施態様2に記載のツール。
(5) 前記複数の等しい回転増分が、前記長手方向軸を中心とした完全な回転を含む8つの増分である、実施態様3に記載のツール。
(6) 磁気的に読み取り可能かつ調整可能なバルブを読み取り及び現設定から標的設定へ調整する方法であって、前記バルブは患者の皮膚の下に埋め込まれており、前記方法は、
ツールを提供することであって、前記ツールは、前記バルブの調整のための前記ツール内における第1の位置と、前記バルブの読み取りのための前記ツール内における第2の位置とを有する磁石を備え、前記ツールはツール軸を有し、前記ツール軸を中心として前記磁石が回転可能である、ことと、
前記ツールを、前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することと、
前記第2の位置にある前記磁石により前記バルブの前記現設定を読み取ることと、
前記磁石を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させることと、
前記第1の位置にある前記磁石を前記軸を中心として回転させることにより、前記バルブを前記現設定から前記標的設定に調整することと、を含む、方法。
(7) 前記磁石を前記軸を中心として回転させて前記バルブを調整することが、実質的に所定の45度回転させることを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記ツールがバイアス凹部を備え、前記バイアス凹部は、前記患者の皮膚を通じて触診可能なように、前記バルブの外側断面にかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記ツールを前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することが、前記バイアス凹部を前記患者の皮膚の近傍にて前記バルブ上にかみ合うように配置することを含む、実施態様6に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して外科的に埋め込み可能な液体排出システムに関する。更に詳細には、本発明は、脳脊髄液排出に用いられる調整可能なバルブを読み取る及び設定するための体外ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
水頭症は、脳の脳室、すなわち空洞内での脳脊髄液(CSF)の異常な蓄積によって引き起こされる神経学的症状である。水頭症は、乳児、子供、及び大人に影響を及ぼし、脳内でのCSFの通常の排出がなんらかの形で阻害されるときに起こる。そのような阻害は、例えば、遺伝的素因、脳室内出血又は頭蓋内出血、髄膜炎等の感染、又は頭部の外傷を含む多数の要因によって起こり得る。CSFの流れの阻害は、結果的に、CSFが脳室システムによって生成される割合と、CSFが血流に吸収される割合との不均衡を生じさせる。この不均衡は、脳への圧力を増加させ、脳室を拡張させる。治療せずにいると、水頭症は、硬膜下血腫、脳細胞の圧縮、及び血流障害を含む、深刻な医学的状況を結果としてもたらし得る。
【0003】
水頭症は、脳室から、右心房、腹膜、又はCSFが循環系の一部として吸収され得る体の他の場所等の体の別の区域へとCSFの流れを分流するために、シャントシステムを外科的に挿入することによって、治療することが最も頻繁である。種々のシャントシステムが、水頭症の治療のために開発されてきた。典型的には、シャントシステムは、脳室カテーテル、シャントバルブ、及び排出カテーテルを備える。シャントシステムの1つの端において、脳室カテーテルは、第1の端が患者の脳室内にあるように患者の頭蓋の穴を通じて挿入される第1の端、及び典型的にはシャントバルブの入口部分に結合されている脳室カテーテル第2の端を有することができる。脳室カテーテルの第1の端は、CSFがシャントシステムに入ることを可能にするための複数の穴又は細孔を包含できる。シャントシステムのもう一方の端において、排出カテーテルは、シャントバルブの出口部分に取り付けられる第1の端と、血流中及び腹腔内に再吸収されるためにCSFがシャントシステムから出るのを可能にするように構成されている第2の端とを有する。いくつかのシャントシステムにおいて、シャントバルブは、埋め込み後に医師によって患者の皮膚を通じて触診可能である。
【0004】
シャントバルブは、種々の構成を有することができ、埋め込み後に液体排出の特性の調整を可能にするように設計することができる。調整が必要になる毎の侵襲的外科手順を避けるために、これらの特性の外部調整を可能にすることが概して好ましい。
【0005】
いくつかのシャントシステムでは、シャントバルブはバルブの圧力閾値を制御するために、磁化されたローターを包含する。このような場合、医師が磁気プログラマーなどの外部調整機構を使用して、シャントバルブの圧力閾値を調整することができる。磁気的にプログラム可能なバルブの1つの問題点は、外部磁界の誤った適用によるバルブの意図しない調整の可能性である。バルブの意図しない調整は、硬膜下血腫等の危険な症状を結果としてもたらし得る、CSFの過剰排出又は過少排出のいずれかにつながり得る。例えば、強力な永久磁石を含む磁気プログラマーによるバルブへの物理的なアプローチの方向、又はバルブに対する不適切な初期の磁気プログラマーの回転方向は、バルブの設定を不注意に変更する可能性を有する。
【0006】
バルブの設定を外部から読み取る又は検証することが可能であることも重要である。いくつかの調整可能なバルブでは、調整前後にX線影像を用いてバルブの現在の設定を確認する。他の調整可能なバルブでは、患者の皮膚の外に、バルブ上に位置する磁気コンパス様の装置を用いてバルブにおけるローターの方向は磁気的に読み取ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バルブ設定を読み取るための他のツール及び方法が存在しているように、CSFシャントバルブ設定を調整するためのツール及び方法が存在しているが、意図しない調整の可能性が低減されている磁気的にプログラム可能なバルブシステム、並びに埋め込み可能バルブ設定の調整及び検証のいずれも提供するツール及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、磁気的に調整可能な、埋め込み可能バルブの設定を外部から読み取る及び変更するための統合ツール及び方法の実施形態を提供する。様々な実施形態において、バルブは、外側断面と、内部磁気ローターとを有する。ローターはローター軸を有し、軸を中心としてローターが外部から印可される磁場により回転してバルブを調整することができる。いくつかのバルブでは、印加された磁場はまたローター上のロック装置を解除し、ロックは、バルブの事故的な調整を防止する安全機構として機能する。
【0009】
本発明の一態様は、バルブの読み取り及び調整の機能を、患者上に配置されてバルブを読み取ることができる単一のツール又は基部内に統合し、その後、基部上の磁石が配置されてバルブを調整する。本発明の多様な実施形態の別の態様は、埋め込みバルブの上方の患者の皮膚上、又は皮膚の上方にツールを配置するためのバイアス凹部を有するツールである。バイアス凹部は、バルブの外側断面とかみ合うように相補的な内側断面を有するため、ツールを患者上にてバルブに関連して特定の位置に、またツールの回転軸を中心として固有の回転的配向に容易に配置することができ、患者のための正確な読み取り及び安全な調整を確実にすることが補助される。このように、バイアス凹部を使用したツールの配置はまた、ローター軸をツール軸と整合させる。別の実施形態では、バイアス凹部はツール上に存在しないが、他の配向マーキングが提供されて、ツールをバルブの上方にて位置付けるよう使用者を補助する。
【0010】
バルブの調整に使用される磁石は、調整を行うために軸を中心として回転可能な永久磁石又は電磁石であってもよい。バルブの調整に電磁石を含む実施形態は、電磁石を励起させてバルブの調整を行い、使用しないときはオフにされる必要があるが、バルブの調整に永久磁石を含む実施形態も、磁気遮蔽物、又は磁石をバルブから十分遠方に移動する手段のいずれかを組み込んで、調整と調整との間の事故的な調整の発生を防止する。いくつかの実施形態において、永久磁石は、ばねにより偏倚されてバルブから離されているため、ツールはバルブ調整を行うためにバルブに向かって押圧されて、磁石を十分接近させる必要がある。
【0011】
本発明の更なる別の態様は、調整磁石又は磁場感知装置を、ローターに対してより密接に磁気的に結合させる磁気ガイドを含むツールである。磁気ガイドは、比較的弱い磁石をバルブの調整に使用することを可能にし、バルブ読み取りの感度及び正確性を高める。いくつかの実施形態では、磁石を回転させるために回転ノブが提供されてバルブを調整する一方、他の実施形態では、調整は押しボタンを使用して行われ、押しボタンは、押しボタンが押圧される度に調整磁石の増加的回転を提供する。磁石はまた、モーター又は動力が供給される他の回転式装置により回転されてもよい。
【0012】
本発明の尚別の態様は、単一ツール内での調整磁石とバルブ読み取り用装置との組み合わせである。読み取り装置は、磁気コンパス又は例えばホール効果センサーのような電子的に使用可能な磁気センサーである。電子的に使用可能な実施形態は、バルブの現設定を報告し又は調整を案内する任意の種類の電子表示器を備えてもよい。電子的に使用可能な実施形態は、交換又は既知の方法により再充電できる、電池及びコンデンサーを含む任意の種類の電源を備えてもよい。
【0013】
本発明の尚別の態様は、バルブ読み取り用の一方の末端部と、バルブ調整用の他方の末端部とを有する細長いツールを含む。別の実施形態は、調整のためのよりバルブに近接した位置と、磁石が自由に回転してコンパスのように機能する奥まった位置とを有することにより、単一の磁石を使用して、バルブの読み取り及び調整の両方を行う。本発明の実施形態は略円筒形の断面を有するが、バルブの回転的調整を支持する任意の形状を用いることができる。
【0014】
本発明の更なる態様は、本発明の一体型ツールを使用した、磁気的に読み取り可能なバルブの現設定から標的設定への読み取り及び調整の方法である。本方法の一実施形態は、読み取り用に構成されたツールをバルブの近傍に配置しかつローターと整合させることを含む。一般に、ツールは患者の皮膚上に、又は皮膚の上方に近接して配置される。バルブの現設定が読み取られ、ツールは、永久磁石又は電磁石からの磁場がローターに印加される調整モードに切り替えられる。次いで、磁石が回転され、ローターが磁石の回転を追ってバルブが調整される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の特許請求の範囲で詳細に記載される。本発明の上述の態様及び更なる態様は、添付図面と共に以下の説明を参照することによってよりよく理解することができ、添付図面において、種々の図の同様の数字は同様の構造要素及び特徴を示す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を示す際に代わりに強調されている。
【図1a】埋め込み可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の電子的に使用可能な一体型ツールの例示的な実施形態の断面図。
【図1b】図1aに示した実施形態の上面図。
【図1c】図1aに示した実施形態の底面図。
【図2a】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図2b】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図2c】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図2d】図1a〜図1cの一体型ツールを使用した本発明のバルブ調整方法の例示的な実施形態を示す図。
【図3a】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3b】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3c】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3d】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3e】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図3f】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための二重末端の一体型ツール、及び本発明の方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図4a】図3a〜図3fの二重末端ツールの例示的な、機械的に実行される実施形態の断面図。
【図4b】図3a〜図3fの二重末端ツールの例示的な、機械的に実行される実施形態の断面図。
【図5a】図4a及び図4bに示したツールの一実施形態の読み取り末端部の切除部分透視図。
【図5b】図4a及び図4bに示したツールの一実施形態の読み取り末端部の切除部分透視図。
【図6a】本発明の二重末端一体型ツールの例示的な、電子的に実行される実施形態の外観図。
【図6b】本発明の二重末端一体型ツールの例示的な、電子的に実行される実施形態の断面図。
【図7a】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図7b】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図7c】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図7d】図6a及び図6bの二重末端ツールを使用した、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための方法の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図8a】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の機能統合一体型ツールの例示的な実施形態の外観斜視図。
【図8b】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の機能統合一体型ツールの例示的な実施形態の底面図。
【図9a】図8a及び図8bのツールと、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための例示的な方法との断面機能ブロック図。
【図9b】図8a及び図8bのツールと、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための例示的な方法との断面機能ブロック図。
【図9c】図8a及び図8bのツールと、磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための例示的な方法との断面機能ブロック図。
【図10】図8〜図9cに示したタイプのツールの磁気ドラム構成要素の例示的な実施形態を概略的に示す図。
【図11】図8〜図9cに示したタイプのツールの例示的な実施形態の内部構成要素の分解図。
【図12】図11に示した構成要素の部分アセンブリを示す図。
【図13】図11に示した構成要素の部分アセンブリを示す図。
【図14a】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図14b】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図14c】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図14d】図8a〜図13に示したタイプのツールを使用した、増加的回転調整工程の詳細を示す図。
【図15a】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の2部分ツールの例示的な実施形態の断面図。
【図15b】磁気的に調整可能なバルブの読み取り及び調整のための本発明の2部分ツールの例示的な実施形態の断面図。
【図16】図15a〜図15bに示した2部分ツールの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法及び一体型ツールは、医師が一体型の調整及び読み取りツールを使用して、埋め込み可能な、磁気的に設定可能なバルブ(バルブ)を一貫して、また確実に読み取り、かつバルブの設定を現設定から標的設定に変更(調整)することを可能にする。例示的な実施形態において、バルブは、バルブの設定を介して水頭症患者のCSF排出流量及び排出圧の少なくとも一方を制御するよう使用され、患者の頭皮又は皮膚の他の部分の下部に埋め込まれ、また患者の皮膚の外部(上方)から調整可能である。
【0017】
水頭症バルブを体外から読み取り及び調整するための他のツール及び方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる「Tools and Methods for Programming an Implantable Valve」と題された同時係属の米国特許出願第12/415,590号に開示されている。本発明の範囲内において、本明細書で開示する多様な実施形態の特徴は任意の組み合わせで使用されて、埋め込み可能なバルブの読み取り及び調整のための追加の一体型ツール、及び方法を構成することができる。
【0018】
本発明のツール及び方法により読み取り及び調整される水頭症バルブは磁気ローターを備え、ローター軸を中心とするローターの回転的配向がバルブの現設定を指示し、また設定の修正に使用される。外部から印可される磁場を用いて、ローター軸を中心としてローターを回転させてバルブを標的設定に調整することができる。加えて、いくつかの水頭症バルブはロック要素を含んで浮遊磁場によるバルブの事故的な調整を防止し、ローター軸を中心としてローターを回転させるのに先立って、バルブの調整のための磁場をローター軸に沿って印可してバルブをロック解除する必要がある。
【0019】
磁場を印加してバルブを調整し、又はローターの配向を感知してバルブを読み取る任意の手段を本発明のツール及び方法に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、バルブ調整のために外部から印可される磁場は、ローター軸を中心として物理的に配向され得る1つ以上の永久磁石を使用して提供される。別の実施形態では、バルブ調整のために外部から印可される磁場は、ローター軸を中心として電子的又は物理的に配向され得る磁場を有する1つ以上の電磁石を使用して提供される。
【0020】
バルブの現設定の読み取りは、ローター軸を中心とした磁気ローターの回転的配向を感知することにより達成される。いくつかの実施形態において、回転的配向の感知は、磁気コンパスのような磁気的に敏感な機械的装置を使用して達成される。別の実施形態では、回転的配向の感知は、磁場を測定可能なソリッドステート電子装置である1つ以上のホール効果センサーを使用して達成される。
【0021】
更なる別の実施形態では、回転的配向の感知は、バルブ内に組み込まれ、外部から印可される無線周波数(RF)シグナルに応答して、バルブの位置及び配向の一方又は両方を報告できる無線自動識別(RFID)マイクロエレクトロニクス装置等の装置との電磁気的な連絡を用いて達成される。電子構成要素を含むいくつかの実施形態は、バルブの現設定、バルブの調整完了の通知、又はツールの状況の他の局面を示すことができる電子ディスプレイを更に備える。更に、様々な実施形態は、感知可能な構成要素の磁場からの遮蔽、及び磁場の所望の位置への案内の一方又は両方を行う強磁性構成要素を備える。
【0022】
図面をより詳細に参照すると、図1aには、患者の皮膚104の真下に埋め込まれた磁気的に調整可能なバルブ102の読み取り及び調整の両方のための、本発明の電子的に使用可能な一体型ツール100の実施形態が断面図にて概略的に示されている。バルブ102はローター軸108を有する磁気ローター106を含み、軸を中心として磁場の印可によりローター106が回転して、バルブ102を調整する。一実施形態において、バルブ102は、ローター軸108を中心としたローター106の所定の複数の回転的配向に対応する所定の複数の設定を有する。一実施形態において、複数の設定は8つの設定を含む。
【0023】
バルブ102は、磁気的に回転可能なローターを備える磁気的に設定可能な、埋め込み可能な任意のバルブであってもよく、また磁気的にロック解除できるバルブを更に含むことを理解するべきである。一実施形態において、バルブ102は、ローターのローター軸108に沿った移動により、ローター軸108を中心とした回転に関してロック解除され、移動は、ローター軸108に沿って吸引磁場を印可することにより提供される。更なる実施形態において、吸引磁場と、ローター軸を中心としたローターの回転のための磁場は、永久磁石又は電磁石のいずれかであってもよい単一の磁気源により提供される。
【0024】
一体型ツール100は、上端112と、下端114と、それらの間に延びる長手方向のツール軸116とを有する、実質的に円筒形の外側シェル110を備えるように図示されている。本明細書に開示するツールの多様な他の例示的な実施形態において、「実質的に円筒形の」という表現は、説明のために使用され、ツールを機能的に妨げない構造を含む任意の外側断面、例えば他の幾何学的断面を含むことが意図されることに留意するべきである。
【0025】
ノブ118は、シェル110の上端112から長手方向に延びるように図示されている。ノブ118は、ツール軸116を中心としてシェル110に関連して回転可能であり、シェル110の外側表面124上の参照マーク122に参照される複数の回転位置マーキング120を備えるように図示されている。代替的な実施形態において、参照マークはノブ118の表面上にあり、複数の回転位置マーキングはシェル110の表面上にある。
【0026】
一実施形態において、ノブ118は、バルブ102の利用可能な8つの設定に対応する8つの回転位置マーキング120を備える。シェル110は、ツール軸116を中心として実質的に管状の中央部分126と、バイアス凹部130を含む下部部分128とを備えるように図示されている。図1b及び図1cは、それぞれ、一体型ツール100の外観上面図132及び底面図134を概略的に示す。
【0027】
バイアス凹部130は、形状がバルブ102にかみ合うように相補的であるように、好ましくは、患者の皮膚を通じて触診可能であるように、構成されていることがわかる。本明細書において、用語「バイアス」は、バイアス凹部130が、埋め込みバルブ102の上方の皮膚104にかみ合うように位置付けられることができる非円筒形の横断面を、皮膚104上の所定の位置及びツール軸116を中心にした固有の回転方向においてのみ有することを示すために用いられる。したがって、シェル110をバルブ102の上方に位置付けることにより、ツール軸116がローター軸108と整合する。一実施形態において、触診可能な形状は、バルブ102の製造された形状と密接に対応し、その形状はバルブ102の特定のデザイン及び機能に応じて様々な形状のいずれであってもよい。
【0028】
別の実施形態では、ツール軸116を中心としたシェル110の回転的配向は、シェル110の下部部分128の外側表面134上の1つ以上の配向マーキング132により指示される。更なる実施形態(図示せず)では、シェル110上にバイアス凹部130が存在せず、1つ以上の配向マーキング132がシェル110を患者の皮膚104上にて配向させるための主な案内を提供する。
【0029】
ノブ118は、シェル110内に回転可能に配置された読み取り及び調整アセンブリ136に機械的に接続されているように図示され、それによりノブ118が、ツール軸116を中心としてシェル110に関連して回転された際に、読み取り及び調整アセンブリ136の全体が、機械的連結機構138を介してノブと共に回転する。読み取り及び調整アセンブリ136は、コア142を有する電磁石140、コア142から下端114に向かって延びる磁気ガイド144、及び電子制御ユニット148を介して電磁石140に電力を供給できる電源146を備える。一実施形態において、電源146は電池である。一実施形態において、磁気ガイド144は強磁性物質を備える。図2a〜図2dは別の実施形態では、電源146は超コンデンサーである。更なる別の実施形態では、電源146は、誘導充電に関して既知の方法を用いて、一体型ツール100の外部の充電器(図示せず)により誘導的に再充電可能である。
【0030】
読み取り及び調整アセンブリ136は、電磁石140の近傍に装着された1つ以上のホール効果センサー150を更に備える。別の実施形態では、読み取り及び調整アセンブリ136は、1つ以上の他の種類の磁気センサーを備える。1つ以上のホール効果センサー150は、電子制御ユニット148を介して、一体型ツール100の外部表面上に配置された電動指示器152に結合されている。様々な実施形態において、指示器152は、電気的に励起される発光体又は音響発信器(sound emitter)である。一実施形態において、指示器152は、ノブ118上に配置された発光ダイオードである。別の実施形態では、1つ以上のホール効果センサーは、磁気ガイド144上に装着されている。
【0031】
読み取り及び調整アセンブリ136には、電子制御ユニットをオン及びオフにするための電源スイッチ154と、電磁石140をオン及びオフにするための励起スイッチ156とが電気的に接続されている。一実施形態において、スイッチ154、156の一方又は両方は、シェル110に取り付けられている。別の実施形態では、スイッチの一方又は両方は、ノブ118に取り付けられている。一実施形態において、励起スイッチ156は、解放された際に電磁石140をオフにする瞬間接触スイッチである。
【0032】
一体型ツール100がバルブ102上に配置された状態で、電源スイッチ154がオンにされ、かつ励起スイッチ156がオフにされ、1つ以上のホール効果センサー150と制御ユニット148の関連部分とが作動して、磁気ガイド144を介してローター106の磁場を感知し、磁気ガイドはローター106と1つ以上のホール効果センサー150との間の磁気結合を高める。感知される磁場は、対応する読み取り及び調整アセンブリ136の配向を介したノブ118の回転的配向に依存する。
【0033】
磁気バルブ102を読み取り及び調整するための一体型ツール100の使用方法の例示的な実施形態を、図2a〜図2dに概略的に示す。図2a〜図2dにて説明を目的として、参照マーク122は、図1a〜図1cに示したものとは異なるシェル110上の回転位置にて示される。図示する実施形態において、指示器152は発光ダイオードである。図2a〜2dは外観図であり、一体型ツール100の内部構成要素は示されていない。
【0034】
図2aに示すように、バルブ102上にてかみ合うように配置された一体型ツール100は、電源スイッチ154を用いて作動される。次いで、ローター106の配向が1つ以上のホール効果センサー150により感知される迄、ノブ118が回転され、この図2bに参照マーク122と整合された位置「2」と示される回転において、指示器152が点灯されてバルブの現設定を使用者に報告する。次に図2cを参照すると、次いで励起スイッチ156が作動され、ローター106をロック解除するために保持される。次いでノブ118が標的設定へと回転され、ローター106が電磁石140の回転を追う。
【0035】
磁気ガイド144は、電磁石140の磁場とローター106との結合を高めて、電磁石がローター106をロック解除し、またローター回転させるのに必要な電力を最小限にする。一実施形態において、指示器152は、電磁石140が励起されている間、作動状態に留まる。別の実施形態では、電磁石140の作動は、指示器152の出力の変化として使用者に表示される。図2dに位置「4」として示される標的設定を得たら、励起スイッチ156を解放して電磁石140を停止し、電源スイッチ154をオフにして調整手順を完了する。一実施形態において、電源スイッチ154は、所定の不使用期間の後、制御ユニット148により自動的にオフにされて、電源146により貯蔵されたエネルギーを節約する。
【0036】
電子的に使用可能な一体型ツール100は、いくつかの利点を有する。単一ツールとして、置き忘れられ又はツールから誤って分離され得る分離可能な構成要素が存在しない。加えて、埋め込みバルブの読み取り及び調整は、ツールを一旦バルブ上に配置したらツールを移動することなく達成され、それにより患者の心地よさを改善し、手順中の使用又は複数のツール、又はツールの再配置に関連した操作者の誤りの可能性を低減する。必要に応じて作動及び停止できる電磁石の使用によりバルブの誤った調整が防止される一方で、バルブの調整に使用される強力な永久磁石は、磁石がバルブに接近するにつれて注意深く配向され、又は磁気的に遮蔽されて、事故的な調整の可能性を低減する必要がある。加えて、磁気ガイドを介した電磁石のバルブに対する結合により、電磁石の電力要求が最小となる。更に、単一の磁気ガイドを使用してセンサー及び電磁石の両方のバルブローターに対する磁気結合を高めることにより、しっかりと一体化された、高度に機能的なツールの構成に関する基礎を提供する。
【0037】
また有利なことに、ホール効果センサー又は他の種類の電子センサーを使用したバルブの現設定の決定は、地球の重力場に関連した配向からツールを完全に独立させ、そのためツールは任意の配向で使用することができる。動く部分を有さないホール効果センサーはまた、物理的に比較的脆弱なコンパス針等の弱い永久磁石による磁気感知の使用において有利であり、その弱い永久磁石は、バルブの調整に使用される磁場等の強磁場の影響下で変化され得る磁化も有する。
【0038】
図3a〜図3fは、二重末端の一体型ツール200と、患者の皮膚104の下に埋め込まれた磁気的に調整可能なバルブ102の読み取り及び調整のための方法との実施形態を概略的に示す。図3aを参照すると、二重末端ツール200は実質的に円筒形の本体202を備え、本体は、読み取り末端部204、調整末端部206、及びそれらの間のツール軸208を有する。バルブ102の読み取りの場合、二重末端ツール200の使用者は、図3a〜3cに示すように、読み取り末端部204を読み取り配向にてバルブ102に整合する。バルブ102の調整の場合、使用者は図3d〜図3fに示すように、二重末端ツール200の末端部同士を逆転させて、調整末端部206をバルブ102に整合する。一実施形態において、読み取り末端部204及び調整末端部206は互いに独立して使用されて、それぞれバルブ102を読み取り及び調整する。別の実施形態では、読み取り末端部204を使用したバルブの現設定の読み取りは、調整末端部206をバルブ102の現読み取りにプログラムする。
【0039】
図3a〜図3cを参照すると、読み取り末端部204は、バルブ102の読み取りに先だって、二重末端ツール200をツール軸208を中心としてバルブ102に関連して回転的に配向させる1つ以上の読み取り配向マーキング210を備えるように図示されている。読み取り末端部204はまた、読み取りボタン212と、バルブ102の現設定を表示するディスプレイ214とを備えることがわかる。一実施形態において、読み取りボタン212は、二重末端ツール200内の電子回路をオンにすることにより、読み取り末端部204の近傍に装着されたホール効果センサーのアレイを作動させる電気スイッチである。ローター軸116を中心としたローター106の回転的配向は、ホール効果センサーを使用して読み取られ、ディスプレイ214上に報告される。一実施形態において、ホール効果センサーのアレイは周方向アレイであり、二重末端ツール200をツール軸208を中心として回転させる必要なく、ローター106の配向を検出する。一実施形態において、ホール効果センサーの数は、バルブ102における利用可能なバルブ設定の数と等しい。別の実施形態では、他の種類の磁場センサーを使用してローター106の磁場を感知して、バルブ102を読み取る。
【0040】
更なる別の実施形態では、読み取りボタン212は、作動された際に、読み取り末端部204内に装着されたコンパス型の磁場検出器の、ローター106の磁場に応答したツール軸208を中心とした自由な回転を可能にするメカニカルリリースである。この実施形態では、読み取りボタン212が解除された際にバルブ102の現読み取りが維持され、ディスプレイ214内で継続して見ることができる。一実施形態では、コンパス型検出器は複数の標識マーキング216を備え、ディスプレイ214内で一度に1つのみのマーキングを見ることができる。一実施形態において、複数の円周方向マーキング216は、バルブの利用可能な8つの設定に対応する8つのマーキングを備える。
【0041】
図3d〜図3fを参照すると、調整末端部206は、本体202の周囲のスリーブ218を備えるように図示され、スリーブ218は、読み取り末端部204の反対側にて本体202を越えて長手方向に延びる終端部220を有する。スリーブ218は、バルブ102の上方の二重末端ツール200を回転的に整合させるための1つ以上の調整器配向マーキング222を備え、整合は、バルブ102が患者の皮膚104を通じて可視又は触診可能であるため、バルブの物理的プロファイルにより案内される。別の実施形態では、終端部220は、一体型ツール100のバイアス凹部130と同様の形態を有し、かつ同様に機能するバイアス凹部を備える。スリーブ218に対して長手方向に隣接する本体202の表面は、複数の回転位置マーキング224を備えるように図示されている。一実施形態において、複数の回転位置マーキング224は、バルブ102の利用可能な8つの設定に対応する8つのマーキングを備える。
【0042】
スリーブ218は、ツール軸208を中心として本体202に関連して回転可能である。代替的に、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つを基準として複数の回転位置マーキング224のうちの1つを選択するために、本体202をスリーブ218内にてツール軸208を中心として回転してもよい。スリーブ218はまた、本体202に関連して軸方向にばね付勢され、それにより図3e及び図3fに示すように二重末端ツール200が皮膚104に押しつけられる際に、本体202が長手方向にてスリーブ218内に摺動し、二重末端ツール200の全長を短縮する。
【0043】
図4a及び図4bは、機械的に実行される二重末端ツール200の例示的な実施形態の断面図を概略的に示す。まず、図5a及び図5bの切除部分透視図にも示される読み取り末端部204を参照すると、二末端ツール200は、複数の周方向マーキング230を有する標識環部228に機械的に結合された磁気コンパス226を備えるように図示されている。一実施形態において、コンパス226の現配向に対応する複数のマーキング230のうちの1つのみが一度にディスプレイ214にて見ることができる(図3a〜図3fに示すように)。読み取りボタン212が押し下げられた状態では、図4a及び図5bに示すように、コンパス226は、図3a〜図3cに示すように読み取り末端部204がローター軸116に接近され軸に整合された際に、外部磁場に応答してツール軸208を中心として自由に回転する。読み取りボタン212が解放(解除)された状態では、図4a及び図5aに示すように、機械式ブレーキ232が係合して、コンパス226のツール軸208を中心とした回転を防止する。
【0044】
以下、図4a及び図4bに示す調整末端部206を参照すると、本体202の内部に1つ以上の磁石234が固定され、磁石はバルブ102に接近された際にローター106を引き付けてバルブ102を調整するのに有効である。図4aに示すように、1つ以上の磁石234は、終端部220から奥まった所に示されている。一実施形態において、1つ以上の磁石234と、読み取り末端部204におけるコンパス226との間に磁気遮蔽物236が配置されて、コンパス226を1つ以上の磁石234の磁場から遮蔽する。更なる実施形態において、磁気遮蔽物236は強磁性材料から作製されている。
【0045】
図4aに示す奥まった位置における1つ以上の磁石234は、バルブ102が終端部220に隣接して、又は終端部を越えて軸方向に配置された際に、バルブ102の調整に有効ではないように終端部220から十分遠い。スリーブ218は、図4aに示すように、スリーブ218を本体202から長手方向に延ばすよう偏倚させるばね238を備えるように図示されている。例えばツールをバルブ102上の皮膚104に軸方向に押しつけることにより、終端部220にてスリーブ218に適用される軸方向の力は、図4bに示すように、スリーブ218を本体202上で摺動させ(言い換えれば、本体202をスリーブ218内に摺動させ)、ばね238を圧縮し、1つ以上の磁石234を終端部220に接近させるのに有効であり、バルブ102が軸方向にて終端部220に隣接して配置されている場合、バルブ102の調整に有効である。一実施形態において、ばね238は、スリーブ218の本体202に関連した誤った摺動を防止するのに十分な軸方向の力を付与するが、患者の皮膚104の損傷、又は有意な不快感を生じるのに十分ではない力を付与するよう適合されている。別の実施形態では、バルブ102の意図しない調整を防止するためのスリーブ218は存在せず、代わりに強磁性遮蔽物が調整末端部を覆って配置されて、遮蔽物が1つ以上の磁石234とローター106との間から離れるよう物理的に移動され又は回転される迄、ローター106を1つ以上の磁石234から遮蔽する。
【0046】
図3a〜図3fは、バルブ102の読み取り及び調整のための二重末端ツール200の使用方法の実施形態を示す。図3aにおいて、二重末端ツール200の読み取り末端部204は、バルブ102の上方に配置され、かつ1つ以上の読み取り配向マーキング210により案内されるように図示され、マーキングは皮膚104を通じて観察可能なバルブ102の所定の構造と回転的に整合されている。一実施形態において、前記所定の構造は、バルブの入口、バルブ102の出口及びバルブ自体のうちの1つ以上の可視プロファイルである。機械的に実行される二重末端ツール200の実施形態に関して、ディスプレイ214は、最後に読み取りボタン212が作動されたときのバルブ設定を表示する。
【0047】
次に図3bを参照すると、読み取りボタン212がバルブ102の読み取りのために作動され、バルブ102の現設定がディスプレイ214内に示されている(図3b〜図3eに設定「2」として示されている)。現設定が読み取られたら、読み取りボタン212が解放され、図3cに示すように、スリーブ218がツール軸208を中心として本体202に関連して回転されて、バルブの現設定に対応する複数の回転位置マーキング224のうちの1つを、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つに整合する。一実施形態において、二重末端ツール200は、スリーブ218と本体202との間に複数の周方向の戻り止めを備えて、複数の回転位置マーキング224のうちの1つが、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つと整合したことを示す正の指示を提供する。次に、調整器末端部206がバルブ102の現設定に回転された図3dを参照すると、二重末端ツール200は縦に回転して調整末端部206をバルブ102の上方に配置しており、そして1つ以上の調整器配向マーキング222により案内されて、本体202及びスリーブ218をユニットとして、バルブ102の読み取りに関して行われたものと同様の様式で、バルブ102の所定の構造と回転的に整合する。
【0048】
図3eを参照すると、二重末端ツール200はバルブ102上の患者の皮膚104に軸方向に押しつけて、1つ以上の磁石234をバルブ102に対して物理的に接近させ、それにより1つ以上の磁石234は、ローター106を磁気的に引き付けることによりバルブ102の調整に有効である。一実施形態において、バルブ102はまた1つ以上の磁石234の接近により、調整のためにロック解除される。最後に、図3fを参照すると、バルブ102の調整は、本体202をスリーブ218内にてツール軸208を中心として回転させて、バルブ102の標的設定に対応する複数の回転位置マーキング224のうちの1つ(図3fに設定「2」として示す)を、1つ以上の調整器配向マーキング222のうちの1つに整合させることによって達成される。
【0049】
図6a及び図6bは、それぞれ、電子的に実行される本発明の二重末端ツール250の例示的な実施形態の外観図及び断面図を概略的に示す。電子的に実行される二重末端ツール250の実施形態は、本明細書にて上記に開示した二重末端ツール200と概ね類似するように図示されているが、電子技術及び自動化の使用によりバルブ102を読み取り及び設定するよう適合されている。まず図6aを参照すると、電子的に実行される二重末端ツール250は、実質的に円筒形の本体252を備えるように図示され、本体は、読み取り末端部254、調整末端部256、及びそれらの間の長手方向のツール軸258を有する。
【0050】
読み取り末端部254は、本明細書にて上記に開示した二重末端ツール200に関連した読み取り配向マーキング210と類似した位置及び機能を有する1つ以上の読み取り配向マーキング260を備えるように図示されている。本体252には、本体252上の参照マーキング264に参照されるバルブ102に関する標的設定を入れるための、本体252を中心に回転可能な設定環部262が装着されていように図示されている。本体252はまた、バルブ102の現設定を表示する電子ディスプレイ268と、読み取り及び調整手順を始動する始動スイッチ270も備える。代替的な実施形態では、設定環部262の代わりにサムホイール、本体252に装着された1つ以上の電子スイッチ、又は任意の他の電子入力装置を含み得る、他の電子入力装置が提供される。更なる実施形態では、電子ディスプレイ268は、バルブ102の現設定に加えて標的設定を表示する。
【0051】
調整末端部256は、図6a及び図6bに示すスリーブ272が、ツール軸258を中心として本体252に関連して回転可能ではないことを除いて、図4a及び図5aに関連して開示した二重末端ツール200に関連したスリーブ218と同一の様式で偏倚されて本体252の末端部から長手方向に延びるスリーブ272を備えるように図示されている。スリーブ272は、本明細書で上記に開示した二重末端ツール200に関連した1つ以上の調整器配向マーキング222に類似した位置及び機能を有する、1つ以上の調整器配向マーキング274を備えるように図示されている。一実施形態において、偏倚は本体252とスリーブ272との間に配置された圧縮ばね276により提供される。図6bに示すように、磁気アセンブリ278が本体252の内部に存在し、かつ本体252内でツール軸258を中心として回転可能に搭載されており、アセンブリは、バルブ102に接近された際に、ローター106を引き付けてバルブ102を調整するのに有効である1つ以上の磁石280を備える。
【0052】
一実施形態において、電子的に実行される二重末端ツール250は電気モーター282も備え、モーターは、電池、超コンデンサー、又は別の電源であってもよい電源により電力を供給される電子制御回路284の制御の下、ツール軸258を中心として磁気アセンブリ278を回転させるのに有効である。一実施形態において、電源286は、電子的に実行される二重末端ツール250の外部の充電器(図示せず)により誘導的に再充電可能である。別の実施形態では、磁気アセンブリ278は、制御回路284を介して電源286により励起され得る1つ以上の電磁石を備える。電子制御回路284は磁気センサー288のアレイも制御し、センサーのアレイは、一実施形態では、二重末端ツール200に関して上記に開示したような複数のホール効果センサーを含む。更なる実施形態において、モーター282は回転式連結機構290を介して磁気アセンブリ278に結合し、連結機構は、一実施形態では、モーター282から磁気アセンブリ278への回転速度の低下を含む。
【0053】
図7a〜図7dは、バルブ102を読み取り及び調整するための、電子的に実行される二重末端ツール250の使用方法の例示的な実施形態を概略的に示す。図7a〜図7dは、電子的に実行される二重末端ツール250の外観図であり、ツールの内部構成要素は、図6a及び図6bを参照して記載されている。次に図7aを参照すると、読み取り末端部254は、二重末端ツール200の読み取り末端部204をバルブ102に対して整合するための、図3aに関連して上記に開示したものと同一の様式にてバルブ102に整合される。設定環部262は手順中の任意の時間に回転されて、バルブ102の所望の標的設定を指示する。設定環部262は、読み取り及び調整手順中の任意の時間に、標的設定に設定され得る。
【0054】
次に図7bを参照すると、始動スイッチ270が係合されて、磁気センサー288のアレイによりバルブ102の現設定を読み取り、現設定をディスプレイ268上に表示する。加えて、二重末端ツール200に関して図3dに関連して上記に開示した手順と同様、電子的に実行される二重末端ツール250が縦に回転し、図7cに示すように調整末端部がバルブ102に整合された際に、モーター282が電子制御回路284の制御下で自動的に作動されて磁気アセンブリ278を本体252内で回転させ、それによりバルブ102の現設定が調整器配向マーキング274に関連して整合される。
【0055】
図7cから図7dへ移動すると、二重末端ツール200に関して図3eに関連して上記に開示した工程と同様、電子的に実行される二重末端ツール250は患者の皮膚104に押しつけられて、磁気アセンブリ278をバルブ102に物理的に接近させてローター106を磁気的に引き付けすることによってバルブ102を調整する。一実施形態において、スリーブ272が皮膚104に押しつけられた際、モーター282が自動的に始動して磁気アセンブリ278を回転させて、本体252をスリーブ272内でツール軸258を中心として手動で回転させることなくバルブを標的設定に調整する。別の実施形態では、ディスプレイ268は更新されて、調整が完了した際に標的設定を示す。
【0056】
有利なことに、上記に開示した二重末端ツールは、置き忘れられ又はツールから誤って分離され得る分離可能な構成要素を有さない単一ツールである。加えて、ツールの読み取り部分と調整部分とは、ツールの対向する末端部にて互いに物理的に隔離され、互いに磁気的に遮蔽されて、調整磁石がバルブのコンパス読み取りに影響を与え得るいかなる可能性も最小限にする。更に、一実施形態において、バルブ読み取りは、いずれの電力も使用することなく、コンパス型読み取り器を使用して無制限に維持され得る。電子的に実行される実施形態では、読み取り及び調整手順は、不正確な読み取り又は調整の可能性を更に低減するよう大いに自動化することができ、患者の安全及び心地よさを高めることができる。また電子的実施形態では、ホール効果センサーのような電子的磁場センサーが、バルブの読み取り機能と調整機能との間の干渉を排除することができる。
【0057】
また有利なことに、二重末端ツールは物理的に小さい直径を有するよう形成することができ、患者の皮膚上に小さい物理的プロファイルを提供し、バルブが患者の耳の近傍等の、さもなくば読み取り及び調整のためのアクセスが困難であり得る位置に埋め込まれている状況下で、更なる利便性を提供する。一実施形態において、二重末端ツールは、医療専門家が、例えば実験用白衣のポケット内にて、都合よく携帯できるペン形状の器具として構成される。更なる実施形態において、二重末端ツールはポケットクリップを備えて、ツールの持ち運び中の損失を防止する。
【0058】
バルブ102の読み取り及び設定のための機能統合一体型ツール300の一実施形態を、図8aの外観斜視図と図8bの底面図に示す。機能統合ツール300は、上端304を有する実質的に円筒形の上部部分302、下端308を有する実質的に円筒形の下部部分306、及び共通の長手方向のツール軸310を備えるように図示されている。上部部分302及び下部部分306は、軸310に沿って互いに摺動可能に結合され、下部部分306は上部部分302内にて摺動可能であり、したがって上部部分302と下部部分306との間の軸方向の圧縮力が下部部分306を更に上部部分302内へ可逆的に摺動させ得る。
【0059】
一実施形態において、圧縮は、機能統合ツール300の内部のばね偏倚に対抗する。別の実施形態では、上部部分302は下部部分306内にて摺動可能である。一実施形態において、上部部分302と下部部分306とを更に共に摺動させることにより、機能統合ツール300が、ツール軸310に沿って最大に延長された際のバルブ読み取りモードから、ツール軸310に沿って最大に圧縮された際のバルブ調整モードに切り替わる。
【0060】
上部部分302は、上端304から軸方向に延びる回転前進ボタン312を備えるように図示されている。回転前進ボタン312は、機能統合ツール300がバルブ調整モードにある際にバルブ102を調整するよう適合されている。一実施形態において、上部部分302は、機能統合ツール300を衣服のポケット、又は他の物体に解放可能に固定するクリップ314も備える。下部部分306は、バルブ102の現設定を視認するための窓316を備えるように図示されている。一実施形態において、機能統合ツール300が読み取りモードにあるか、又は調整モードにあるかの指示も、窓316にて視認可能である。
【0061】
下部部分306は下端308にてバイアス凹部318を備えるようにも図示され、凹部は、好ましくは患者の皮膚104を通じて触診可能であるようなバルブ102にかみ合うように相補的な形状を有するよう適合されている。一体型ツール100に関して図1aに関連して開示したバイアス凹部130と類似した形態及び機能を有するバイアス凹部318は、埋め込みバルブ102の上方にて皮膚104上にかみ合うように、皮膚104上の所定の位置のみに、またツール軸310を中心とした機能統合ツール300の固有の回転的配向にて配置され得る非円形断面を有する。
【0062】
図9a〜図9cは、機能統合ツール300の例示的な実施形態及びバルブ102の読み取り及び調整のための例示的な方法の断面機能ブロック図を概略的に示す。図9a〜図9cにおいて、機能統合ツール300は、ツール軸310がバルブ軸108と整合した状態で、バルブ102の上方にて皮膚104上にかみ合うよう配置されているように図示されている。バイアス凹部318は、図9a〜図9cに示されていない。まず図9aを参照すると、機能統合ツール300は、内部に読み取りモジュール320と調整モジュール322とを備え、読み取りモジュールと調整モジュールとは、上部部分302内に固定された環状ディスク324により互いに分離されるように図示されている。環状ディスク324は中心開口部326を備え、開口部を通って第1の回転固定部材328が調整モジュール322に向かって延びるように図示されている。調整モジュール322は、第1の回転固定部材328と相補的な第2の回転固定部材330を備えるように図示されている。第1の回転固定部材328と第2の回転固定部材330とは互いに軸方向に係合可能であり、図9cに示すように調整モジュール322を読み取りモジュール320に回転的に結合させる。
【0063】
図9aを参照すると、機能統合ツール300は、ツール軸310に沿って最大に延長された、読み取りモードにて示されている。読み取りモジュール320は、読み取りモードにある際にツール軸310を中心として自由に回転可能な実質的に円筒形のドラム332を備えるように図示されている。ドラム332は1つ以上の磁石334を備え、磁石334は、バルブ102内のローター106の磁場の影響下で、自由に回転可能なドラム332をツール軸310を中心として回転させ、また磁気コンパスの様式で、ドラム332をローター106に回転的に整合させることによってバルブ102の現設定を読み取るよう配置されているように図示されている。1つ以上の磁石334は、図9b及び図9cに示す調整モードにおいて、軸方向にバルブ102に対して接近された際に、バルブ102を調整するのに十分強い磁場を備える。読み取りモードでは、図9aに示すように、ドラム332はツール軸310に沿ってバルブ102から離間されており、読み取りモードにおけるより長い距離は、1つ以上の磁石334とローター106との間により弱い磁気相互作用を提供し、それにより1つ以上の磁石334がバルブ102をロック解除し又は調整することを防止する。
【0064】
一実施形態では、図10に示すように、ドラム332の外部表面336は、複数の利用可能なバルブ102の設定に対応する第1の周方向の複数の標識338を備え、複数の標識338のうちの1つは、図8に示すように窓316を通して視認可能である。更なる実施形態では、ドラム332は、複数の利用可能なバルブ102の設定に対応する第2の円周方向の複数の標識340を備える。一実施形態において、第2の複数の標識340は、第1の複数の標識338から、読み取りモードと調整モードとの間のドラム332の軸方向の移動距離と等しい距離に、長手方向に変位されており、それにより読み取りモードでは、第1の複数の標識338のうちの1つが窓316を通して視認可能であり、調整モードでは、第2の複数の標識340のうちの対応する1つが、窓316を通して視認可能である。一実施形態において、第1の複数の標識338及び第2の複数の標識340の両方は数字を含み、第1の複数の標識338と第2の複数の標識340とは、色によって互いに区別可能である。更なる実施形態において、第1の複数の標識338は黒色であり、第2の複数の標識340は赤色である。
【0065】
上部部分304をバルブ102に向かって押圧することにより機能統合ツール300に圧縮力を適用すると、機能統合ツール300が、図9bに示すように、読み取りモードから調整モードに切り替わる。調整モードにおいて、ドラム332は、バルブ102の調整を可能にするために、読み取りモードと比較してローター106により接近するよう移動されていることが図示されている。一実施形態では、調整モードでは、1つ以上の磁石334は、バルブ102の調整を可能にするために、ローター106のロック解除もする。
【0066】
調整モジュール322は前進ボタン312を備え、前進ボタンは、図9cに示すように、軸方向に上部部分302内へ押圧された際に第2の回転固定部材330を軸方向に変位させて、調整モジュール322を読み取りモジュール320に対して回転的に固定することがわかる。一実施形態において、調整モジュール322はボタン復帰ばね342によって上端304に向かって偏倚されている。更に、前進ボタン312が押し下げられた際に、回転前進アセンブリ344が回転的に固定された調整モジュール322と読み取りモジュール320とをユニットとして一緒に、ツール軸310を中心として回転させて、バルブ102を現設定からバルブ102の次の隣接設定に増加的に調整する。
【0067】
一実施形態において、回転前進アセンブリ344は、複数のバルブ設定に対応する複数の安定した回転位置を備える。一実施形態において、回転前進アセンブリ344は、安定した8つの回転位置を備え、回転位置は一緒になって360°の回転を含む。回転前進アセンブリ344は、利用可能なバルブの設定と一致した回転ステップを提供する任意の種類の増加的な回転前進を用いることができる。一実施形態において、回転前進アセンブリ344は、複数の歯348を有する、鋸歯状の円筒形の歯車346を備える。一実施形態において、複数の歯は8つの歯348を備え、前進ボタン312の押圧及び解放の各サイクルは、回転的に固定された読み取りモジュール320と調整モジュール322を、ツール軸310を中心として上部部分302に関連して、完全な回転の1/8(45°)だけ回転させ、それによりバルブ102を1つの増加的設定分だけ調整する。一実施形態において、前進ボタン312が押圧された際に、1つ以上の歯348の傾斜端350が、回転前進アセンブリ344の他の表面に対して摺動して回転を駆動する。
【0068】
図11は、読み取りモジュール320及び調整モジュール322の構成要素の例示的な実施形態を、集合的な分解図にて示す。この実施形態では、ツール軸310に沿って前進ボタン312及び鋸歯状の歯車346に回転連結具352が隣接しているように図示され、回転連結具352は、中心の円筒形の本体354、連結具フランジ356、及び複数の横方向ピン358を備え、各ピンは鋸歯状の歯車346の隣接する歯348の間に摺動可能に受容されるよう適合されている。回転連結具352は、ボタン復帰ばね342が圧縮され、機能統合ツール300が(圧縮された)調整モードにある際に、第1の回転固定部材238と係合し得る第2の回転固定部材330を更に備える。前進ボタン312及び鋸歯状の歯車は、偏倚ばね360により軸方向に離間するよう偏倚されているように図示されている。
【0069】
ドラム332は、機能統合ツール300の下部部分306の内部表面に固定されているベアリング基部360上にて、回転可能かつ摺動可能に配置されるように図示されている。円周方向の複数の標識338、340は、図11には示されていない。第1の回転固定部材328は、ドラム332内に部分的に摺動可能であるが、ドラムに対して回転的に結合されるように図示されている。ドラム332、ベアリング基部362、及び第1の回転固定部材328は、ツール軸310に沿って離間するよう偏倚されるように図示されている。一実施形態において、ドラム332、ベアリング基部362、及び第1の回転固定部材328は、第1及び第2の圧縮ばね364、366により、離間するよう偏倚される。
【0070】
図12及び図13は、図11に示した構成要素の部分アセンブリを示す。図12は、軸方向にて第1の回転固定部材328に隣接して配置され、かつ前進ボタン312及び鋸歯状の歯車346が装着された回転連結具352を備えた、上部部分アセンブリを示す。図13は下部部分アセンブリを示し、第1の回転固定部材328及びベアリング基部362が、対応するばね364、366を介して軸方向にてドラム332に係合して、ベアリング基部362と環状ディスク324との間でドラム332が自由に回転するよう取り付けられることを示している。
【0071】
回転連結具352は、上部部分302内でツール軸310を中心として回転可能である一方、前進ボタン312及び鋸歯状の歯車346は回転可能ではない。複数のピン358のそれぞれは外側末端部368を有し、外側末端部368は、上部部分の内側周囲に周方向に配置された、成形された複数の受容ノッチ370の1つの内部に嵌るよう適合されている。回転前進アセンブリ344を使用した増加的な回転調整は図14a〜14dに機能的に示されており、複数の歯348の部分は、対応する複数のピン358の部分を介して、対応する複数の受容ノッチ370の部分に結合しているように図示されている。説明を目的として、図14a〜図14dに示す複数の構成要素のそれぞれは、円周縁図ではなく平面視にて描かれ、図14a〜図14dの水平平行移動は、機能統合ツール300内での回転に対応する。
【0072】
図14aは、前進ボタン312の押圧が開始されるにつれて、図14aで複数の歯348を下方に移動させるバルブ調整サイクルの開始を示す。複数の歯368が下方に移動するにつれて、各ピン358と、したがって回転連結具252とが、まず対応するノッチ370の垂直部分372に沿って垂直に下方へ押され、それにより第1の328及び第2の回転固定部材330を互いに係合させ、調整モジュール322を読み取りモジュール320に回転的に結合させてバルブ102を調整する。次に図14bを参照すると、複数の歯348が下方へ移動し続けるにつれて、各ピン358が対応するノッチ370の傾斜部分374に沿って下方へ移動し、回転連結具252と、したがって回転的に固定された読み取り及び調整モジュール全体とを、ツール軸310を中心として回転させる。
【0073】
複数の歯348の移動の最下部において、図14cに示すように、各ピン358が対応するノッチ358の底部部分376を回転的に通過しており、それ故、前進ボタン312が解放され、複数の歯が上方へ戻るにつれて、図14dに示すように、各ピン358は対応するノッチ370の次のノッチの上方傾斜部分378に沿って移動し、次の垂直部分380に到達する迄、回転連結具252をツール軸310を中心として継続して回転させ、次の垂直部分において各ピンは垂直に移動し、第1の回転固定部材328と第2の回転固定部材330とを離して調整サイクルが完了する。複数の歯が8つの歯を備える一実施形態において、前進ボタン312の押圧及び解放サイクルのそれぞれは、8つのバルブ設定のうちの1つの増加的調整に対応する45°回転を生じる。
【0074】
バルブ102の読み取り及び調整のための機能統合ツール300の使用方法を、図9a〜図9cに示す。図9aは、読み取りモードにてバルブ102の上方に配置され、かつバルブ102に整合された機能統合ツールを示し、ドラム332はツール軸310を中心として自由に回転してバルブ102を読み取り、窓316(図8aに示した)に現設定を表示する。次に図9bを参照すると、機能統合ツール300は軸方向に圧縮されて調整モードにあることがわかり、ドラム332は目下バルブに近接し、1つ以上の磁石334とローター106との間の磁気結合を増大させており、それによりバルブが調整されることができる。一実施形態において、バルブは、1つ以上の磁石334が軸方向にてローター106に接近するにつれて、調整のためにロック解除される。
【0075】
次に図9cを参照すると、前進ボタンが押圧されていることが図示されており、読み取りモジュール320と調整モジュール322とを回転的に結合させ、更に結合したモジュールを回転させてバルブ設定を増加することによりバルブを調整する。バルブ設定が増加された後、必要なバルブ調整が完了する迄、図9cの調整工程が反復されてもよく、そしてツールはバルブ102の上方のその位置から除去される。
【0076】
機能統合一体型ツール300は、いくつかの利点を有する。一体型のツールとして、埋め込み可能なバルブの読み取り及び調整を単一のツールで行うことができる。機能統合ツール300はまた、ばね偏倚された初期設定(default)形態としての読み取りモードを有し、ツール末端部から奥まった所に調整磁石を配置することによりバルブの誤った調整を防止する。更に、ツールは、ツールが一旦患者上に配置されたら、ツールを移動する必要なくバルブの読み取り及び調整に使用することができ、使用者の任意の誤りの可能性を低減すると共に、患者の安全及び心地よさを高める。更に有利なことに、機能統合ツール300は単一の磁気アセンブリを備えてバルブの読み取り及び調整の両方を行うことにより、読み取り磁石と調整磁石との間の任意の干渉の可能性を排除する。
【0077】
図15aおよび図15bは、バルブ102の読み取り及び調整のための本発明の2部分ツール400の例示的な実施形態を、断面図にて概略的に示す。2部分ツール400は、基部402、実質的に基部402内でツール軸406を中心として回転できる、回転可能なコア404、及び回転可能なコア404に解放可能に装着できる分離可能な調整磁石408を備えるように図示されている。図15aは、調整磁石408が回転可能なコア404から分離されている、読み取りモードでの2部分ツール400を示し、図15bは、調整磁石408が回転可能なコア404に装着されている、調整モードでの2部分ツール400を示す。
【0078】
基部402はバイアス凹部410を備えるように図示され、凹部410はバルブ102にかみ合うように相補的な形状を有し、好ましくは患者の皮膚104を通じて触診可能であるよう適合されている。一体型ツール100に関して図1aに関連して開示したバイアス凹部130と類似した形態及び機能を有するバイアス凹部410は、埋め込みバルブ102の上方にて皮膚104上にかみ合うように、皮膚104上の所定の位置のみに、またツール軸406を中心とした2部分ツール400の固有の回転的配向にて配置され得る非円形断面を有する。
【0079】
回転可能なコア404は、上部表面412及び下部表面414を有することがわかり、上部表面412は、調整磁石408をツール軸406を中心として回転可能なコア404に関連して所定の配向にて受容し、かつ解放可能に保持するよう適合されている。回転可能なコア404はまた、バルブ102の現設定を読み取るための磁気コンパス416を備えることがわかり、コンパス416は頂面412から読み取ることができる。コンパス416は、初期設定でバルブ102を読み取るために回転に対して機械的に固定され、また機械的に押圧された際にコンパス416を解放してバルブ102の現設定を読み取る解放ボタン418を更に備える。別の実施形態では、バルブ102の現設定を読み取るための1つ以上の磁気センサー、回転可能なコア404は、電源と、上部表面412にて視認できる電子ディスプレイを更に備える。
【0080】
回転可能なコア404は1つ以上の磁気ガイド420も備え、磁気ガイドは、上部表面412と下部表面414とコンパス416との間に磁気結合を提供する。一実施形態において、1つ以上の磁気ガイド420は強磁性物質を備える。図15aに示す読み取りモードにおいて、1つ以上の磁気ガイド420は、解放ボタン418が押し下げられている間、コンパス416をローター106に磁気的に結合させ、コンパス416がローター106の配向を感知する能力を向上させ、それによりバルブ設定を読み取る能力を向上させる。図15bに示す調整モードでは、調整磁石408は、上部表面412上に配置されているように図示され、1つ以上の磁気ガイド420を介してローター106に結合されている。コンパス416が機械的に固定されている間(解放ボタン418が押圧されていない)、その読み取りは、調整磁石408の存在の影響を受けない。
【0081】
磁気ガイド420の存在により、磁気ガイド420の不在下で必要とされる磁石よりも弱い磁石を調整磁石408として使用することができ、それにより、バルブ調整の前及び後に回転可能なコア403に向かって、又は回転可能なコア403にから離れて物理的に移動される際のバルブ102の事故的な調整の危険が低減される。
【0082】
図16は、調整モードでの2部分ツール400の平面図を概略的に示し、調整磁石408は1つ以上の磁気ガイド420の上方にて回転可能なコア404に装着され、かつガイドに磁気的に結合されている。一実施形態において、調整磁石408と上部表面412とは、単一の所定の位置に、ツール軸406を中心とした単一の所定の回転的配向でのみ調整磁石408を上部表面上に配置させる相補的な物理的構造を備えている。
【0083】
基部402は、バルブ102の上方の患者の皮膚104上に2部分ツール400を配置するための配向を指示する、1つ以上のツール整合マーキング422を備えるように図示されている。基部402は、利用可能な複数のバルブ設定に対応する、周方向の複数の標識マーキング424を更に備えるように図示されている。一実施形態において、複数の標識マーキング424は、8つのマーキングを備える。回転可能なコア414は、回転可能なコア404のツール軸406を中心とした基部402に関連した回転的配向により選択される、複数の標識マーキング424のうちの1つを指示する参照マーキング426を備えるように図示されている。
【0084】
図15a〜図16を参照すると、2部分ツール400を使用したバルブ102の読み取り及び調整のための例示的な手順において、整合磁石108から離れた基部412は、最初に、バルブ102の上方の患者の皮膚104上に配置されかつ整合されているように図示されている。次いで、解放ボタン418を押圧してコンパス416を解放し、バルブ102の現設定を読み取る。回転可能なコア404をツール軸406を中心として手動で回転させて、バルブ102の現設定のような、コンパス読み取りにより指示される複数の標識マーキング424のうちの1つに参照マーキング426を整合する。
【0085】
次に図15bを参照すると、調整磁石408は回転可能なコア404の上部表面412に装着されているように図示されている。一実施形態において、調整磁石408の回転可能なコア404に対する装着は、バルブ102をロック解除する。次いで、回転可能なコア404をツール軸406を中心としてバルブ102の標的設定へ回転させる。次いで、調整磁石408を回転可能なコアから除去する。一実施形態では、次いで解放ボタン418を再度押圧して、バルブ102の新しい設定を読み取ることにより調整を確認する。
【0086】
2部分ツール400は、いくつかの利点を有する。調整磁石とバルブローターとの結合に磁気ガイドを使用することにより、バルブの調整に必要とされないであろう比較的弱い磁石を使用することができる。比較的弱い調整磁石は、バルブの意図しない調整の可能性を低減し、より軽量で、よりポータブルな読み取り及び調整ツールの構成を可能にする。加えて、調整磁石と磁気ガイドとの間の結合は、それらの分離距離に非常に強く依存するため、調整磁石は磁気ガイドと接触される迄、ローターに有意な影響を与えない。
【0087】
2部分ツール内の磁気ガイドはまた、ローターとコンパスとの間に密接した磁気結合を提供することにより、地球の磁場に関連したコンパスの配向に対するコンパス作動の依存を有利に低減する。いくつかの実施形態では、ローターの磁場の感知を電子的に行い、磁気ガイドとコンパスとを組み合わせて提供することによって、すでに提供されているツールよりも更に機械的かつ磁気的に強力なツールを提供する。
【0088】
好都合なことに、本発明のツール及び方法の実施形態は、単純な、反復可能な手順において、埋め込みバルブの設定の読み取り、調整、及び確認を円滑に統合するための手段を提供する。更に、本発明の実施形態は、不注意又は不正確にバルブを調整する危険性が低減された、埋め込み可能なバルブの読み取り及び標的とする設定への調整を可能にする。誤った調整の危険性が低減することによって、患者の快適性及び安全性が向上し、これは、不適切な調整が、硬膜下血腫等の危険な症状を結果としてもたらし得る、CSFの過剰排出又は過少排出のいずれかにつながり得るためである。
【0089】
本発明が、特定の好ましい実施形態を参照して特に示されると共に説明されたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び範囲から離れることなく形態及び詳細の種々の変更を実行することが可能であることを理解されたい。
【0090】
〔実施の態様〕
(1) 磁気的に読み取り可能かつ設定可能な、生物内に埋め込まれたバルブの現設定を読み取り及び変更するツールであって、
実質的に円筒形の本体であって、前記本体が、上端、下端、前記上端と下端との間の長手方向軸、及び前記上端と下端との間において前記本体の少なくとも一部に沿った軸方向の孔を有し、前記下端が、患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に位置付け可能である、本体と、
前記孔内に配置され、かつ前記下端に近い第1の軸方向位置と、前記下端から奥まった第2の軸方向位置とを有する磁石と、を備え、
前記第2の位置における前記磁石は、前記バルブの読み取りのために前記長手方向軸を中心として自由に回転可能であり、
前記第1の位置における前記磁石は、前記バルブの前記現設定を変更するよう適合される、ツール。
(2) 前記下端におけるバイアス凹部を更に備え、前記バイアス凹部は、前記バルブの外側断面とかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記長手方向軸を中心として固有の回転的配向にて前記バルブの近傍に配置されるよう適合される、実施態様1に記載のツール。
(3) 前記上端から実質的に軸方向に延びるよう偏倚された押しボタンを更に備え、前記押しボタンの、軸方向における前記上端に関連した押圧及び解放のサイクルは、前記長手方向軸を中心とした前記磁石の所定の角度の回転を生じる、実施態様1に記載のツール。
(4) 前記バルブが、前記長手方向軸を中心とした複数の等しい回転増分に対応する複数の設定を含み、前記所定の角度が、前記複数の回転増分のうちの1つを含む、実施態様2に記載のツール。
(5) 前記複数の等しい回転増分が、前記長手方向軸を中心とした完全な回転を含む8つの増分である、実施態様3に記載のツール。
(6) 磁気的に読み取り可能かつ調整可能なバルブを読み取り及び現設定から標的設定へ調整する方法であって、前記バルブは患者の皮膚の下に埋め込まれており、前記方法は、
ツールを提供することであって、前記ツールは、前記バルブの調整のための前記ツール内における第1の位置と、前記バルブの読み取りのための前記ツール内における第2の位置とを有する磁石を備え、前記ツールはツール軸を有し、前記ツール軸を中心として前記磁石が回転可能である、ことと、
前記ツールを、前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することと、
前記第2の位置にある前記磁石により前記バルブの前記現設定を読み取ることと、
前記磁石を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させることと、
前記第1の位置にある前記磁石を前記軸を中心として回転させることにより、前記バルブを前記現設定から前記標的設定に調整することと、を含む、方法。
(7) 前記磁石を前記軸を中心として回転させて前記バルブを調整することが、実質的に所定の45度回転させることを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記ツールがバイアス凹部を備え、前記バイアス凹部は、前記患者の皮膚を通じて触診可能なように、前記バルブの外側断面にかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記ツールを前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することが、前記バイアス凹部を前記患者の皮膚の近傍にて前記バルブ上にかみ合うように配置することを含む、実施態様6に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的に読み取り可能かつ設定可能な、生物内に埋め込まれたバルブの現設定を読み取り及び変更するツールであって、
実質的に円筒形の本体であって、前記本体が、上端、下端、前記上端と下端との間の長手方向軸、及び前記上端と下端との間において前記本体の少なくとも一部に沿った軸方向の孔を有し、前記下端が、患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に位置付け可能である、本体と、
前記孔内に配置され、かつ前記下端に近い第1の軸方向位置と、前記下端から奥まった第2の軸方向位置とを有する磁石と、を備え、
前記第2の位置における前記磁石は、前記バルブの読み取りのために前記長手方向軸を中心として自由に回転可能であり、
前記第1の位置における前記磁石は、前記バルブの前記現設定を変更するよう適合される、ツール。
【請求項2】
前記下端におけるバイアス凹部を更に備え、前記バイアス凹部は、前記バルブの外側断面とかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記長手方向軸を中心として固有の回転的配向にて前記バルブの近傍に配置されるよう適合される、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記上端から実質的に軸方向に延びるよう偏倚された押しボタンを更に備え、前記押しボタンの、軸方向における前記上端に関連した押圧及び解放のサイクルは、前記長手方向軸を中心とした前記磁石の所定の角度の回転を生じる、請求項1に記載のツール。
【請求項4】
前記バルブが、前記長手方向軸を中心とした複数の等しい回転増分に対応する複数の設定を含み、前記所定の角度が、前記複数の回転増分のうちの1つを含む、請求項2に記載のツール。
【請求項5】
前記複数の等しい回転増分が、前記長手方向軸を中心とした完全な回転を含む8つの増分である、請求項3に記載のツール。
【請求項6】
磁気的に読み取り可能かつ調整可能なバルブを読み取り及び現設定から標的設定へ調整する方法であって、前記バルブは患者の皮膚の下に埋め込まれており、前記方法は、
ツールを提供することであって、前記ツールは、前記バルブの調整のための前記ツール内における第1の位置と、前記バルブの読み取りのための前記ツール内における第2の位置とを有する磁石を備え、前記ツールはツール軸を有し、前記ツール軸を中心として前記磁石が回転可能である、ことと、
前記ツールを、前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することと、
前記第2の位置にある前記磁石により前記バルブの前記現設定を読み取ることと、
前記磁石を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させることと、
前記第1の位置にある前記磁石を前記軸を中心として回転させることにより、前記バルブを前記現設定から前記標的設定に調整することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記磁石を前記軸を中心として回転させて前記バルブを調整することが、実質的に所定の45度回転させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ツールがバイアス凹部を備え、前記バイアス凹部は、前記患者の皮膚を通じて触診可能なように、前記バルブの外側断面にかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記ツールを前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することが、前記バイアス凹部を前記患者の皮膚の近傍にて前記バルブ上にかみ合うように配置することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
磁気的に読み取り可能かつ設定可能な、生物内に埋め込まれたバルブの現設定を読み取り及び変更するツールであって、
実質的に円筒形の本体であって、前記本体が、上端、下端、前記上端と下端との間の長手方向軸、及び前記上端と下端との間において前記本体の少なくとも一部に沿った軸方向の孔を有し、前記下端が、患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に位置付け可能である、本体と、
前記孔内に配置され、かつ前記下端に近い第1の軸方向位置と、前記下端から奥まった第2の軸方向位置とを有する磁石と、を備え、
前記第2の位置における前記磁石は、前記バルブの読み取りのために前記長手方向軸を中心として自由に回転可能であり、
前記第1の位置における前記磁石は、前記バルブの前記現設定を変更するよう適合される、ツール。
【請求項2】
前記下端におけるバイアス凹部を更に備え、前記バイアス凹部は、前記バルブの外側断面とかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記長手方向軸を中心として固有の回転的配向にて前記バルブの近傍に配置されるよう適合される、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記上端から実質的に軸方向に延びるよう偏倚された押しボタンを更に備え、前記押しボタンの、軸方向における前記上端に関連した押圧及び解放のサイクルは、前記長手方向軸を中心とした前記磁石の所定の角度の回転を生じる、請求項1に記載のツール。
【請求項4】
前記バルブが、前記長手方向軸を中心とした複数の等しい回転増分に対応する複数の設定を含み、前記所定の角度が、前記複数の回転増分のうちの1つを含む、請求項2に記載のツール。
【請求項5】
前記複数の等しい回転増分が、前記長手方向軸を中心とした完全な回転を含む8つの増分である、請求項3に記載のツール。
【請求項6】
磁気的に読み取り可能かつ調整可能なバルブを読み取り及び現設定から標的設定へ調整する方法であって、前記バルブは患者の皮膚の下に埋め込まれており、前記方法は、
ツールを提供することであって、前記ツールは、前記バルブの調整のための前記ツール内における第1の位置と、前記バルブの読み取りのための前記ツール内における第2の位置とを有する磁石を備え、前記ツールはツール軸を有し、前記ツール軸を中心として前記磁石が回転可能である、ことと、
前記ツールを、前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することと、
前記第2の位置にある前記磁石により前記バルブの前記現設定を読み取ることと、
前記磁石を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させることと、
前記第1の位置にある前記磁石を前記軸を中心として回転させることにより、前記バルブを前記現設定から前記標的設定に調整することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記磁石を前記軸を中心として回転させて前記バルブを調整することが、実質的に所定の45度回転させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ツールがバイアス凹部を備え、前記バイアス凹部は、前記患者の皮膚を通じて触診可能なように、前記バルブの外側断面にかみ合うように相補的な内側断面を有し、前記ツールを前記患者の皮膚の上方にて前記バルブの近傍に配置することが、前記バイアス凹部を前記患者の皮膚の近傍にて前記バルブ上にかみ合うように配置することを含む、請求項6に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【公開番号】特開2011−92732(P2011−92732A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−243282(P2010−243282)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(506254178)メドス・インターナショナル・エスエイアールエル (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243282(P2010−243282)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(506254178)メドス・インターナショナル・エスエイアールエル (3)
【Fターム(参考)】
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