説明

埋設部材撤去装置

【課題】効率よく埋設部材を撤去することができる埋設部材撤去装置を提供することを課題とする。
【解決手段】地盤2に埋設された埋設部材3を撤去するための埋設部材撤去装置1であって、埋設部材3に押し上げ力を付与する押し上げ手段20,20と、押し上げ手段20,20を支持するベース架台10と、を備え、押し上げ手段20は、下端部がベース架台10に取り付けられ、上下方向に伸縮自在なジャッキ21と、ジャッキ21の上端部に取り付けられ、埋設部材3の側部を把持するクランプ22と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に埋設された埋設部材を撤去するための埋設部材撤去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に埋設された芯材や杭などの埋設部材を撤去するための引き抜き装置としては、地盤上に設置される門形のベース架台と、ベース架台の上梁に支持され、埋設部材に引張力を付与するジャッキと、ジャッキの下端部に取り付けられたクランプと、を備えているものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。この構成では、クランプによって埋設部材の上端部を把持し、ジャッキから埋設部材に上向きの引張力を付与することで、埋設部材を地盤から引き抜くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−003791号公報
【特許文献2】特開平11−217831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の埋設部材撤去装置では、地盤から引き上げた埋設部材が上梁に干渉するため、引き上げた埋設部材の上部をジャッキのストローク毎に切除する必要がある。また、必要な引き抜き力が小さい場合でも、引き抜き力が大きい大型の装置を設置することになる。したがって、従来の埋設部材撤去装置では、埋設部材の撤去作業が煩雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、効率よく埋設部材を撤去することができる埋設部材撤去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、地盤に埋設された埋設部材を撤去するための埋設部材撤去装置であって、前記埋設部材に押し上げ力を付与する押し上げ手段と、前記押し上げ手段を支持するベース架台と、を備え、前記押し上げ手段は、下端部が前記ベース架台に取り付けられ、上下方向に伸縮自在なジャッキと、前記ジャッキの上端部に取り付けられ、前記埋設部材の側部を把持するクランプと、を有していることを特徴としている。
【0007】
この構成では、埋設部材を押し上げた後に、クランプによる埋設部材の把持を解除し、クランプを埋設部材の側部に沿って下方にスライドさせることで、クランプを次の把持位置まで簡単に移動させることができる。
また、押し上げ手段は埋設部材の側部を把持しており、埋設部材の直上が空いているため、地盤から押し上げられた埋設部材の上部を切除する必要がない。
したがって、埋設部材の撤去作業を効率よく行うことができる。また、地盤から撤去した埋設部材を有効に再利用することができる。
【0008】
また、前記ベース架台に複数の前記押し上げ手段を設けてもよい。さらに、前記ベース架台上に、少なくとも一つの増設架台を取り付け、前記増設架台に、他の前記押し上げ手段を設けてもよい。このように、押し上げ手段を増設することで、埋設部材に付与する押し上げ力を増加させることができる。したがって、埋設部材を押し上げるために必要な押し上げ力が小さい場合には、押し上げ手段を少なくすることで、必要以上に大型の装置を用いなくてもよいため、作業効率を高めることができる。
【0009】
前記した埋設部材撤去装置において、前記ベース架台は、前記埋設部材を囲んで配置され、周方向の一部に開放領域が形成された枠体と、前記開放領域で前記枠体の両端部を連結する連結部材と、を備え、前記連結部材が前記枠体に着脱自在であるように構成してもよい。
【0010】
この構成では、連結部材を枠体から取り外した状態で、開放領域に埋設部材を通過させて、枠体に囲まれた領域に埋設部材を配置した後に、枠体の両端部を連結部材によって連結することで、環状のベース架台を埋設部材の周囲に簡単に配置することができる。このように、埋設部材を囲んで環状のベース架台を配置した場合には、埋設部材撤去装置の安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の埋設部材撤去装置の押し上げ手段では、上下方向に伸縮自在なジャッキの下端部がベース架台に取り付けられ、埋設部材の側部を把持するクランプがジャッキの上端部に設けられているため、クランプの把持位置を簡単に移動させることができるとともに、地盤から押し上げられた埋設部材の上部を切除する必要がない。そのため、埋設部材の撤去作業を効率よく行うことができるとともに、地盤から撤去した埋設部材を有効に再利用することができる。
また、ベース架台の高さを極めて低くすることができ、埋設部材撤去装置を小型化することができるため、製造および運搬作業のコストを低廉化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】埋設部材撤去装置を示した正面図である。
【図2】埋設部材撤去装置を示した平面図である。
【図3】クランプを示した図で、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図4】埋設部材に押し上げ力を付与した状態の正面図である。
【図5】他の押し上げ手段を増設した構成の正面図である。
【図6】他の押し上げ手段を増設した構成の側面図である。
【図7】他の実施形態を示した図で、押し上げ手段が一つの構成の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の埋設部材撤去装置1は、図1に示すように、地盤2に埋設された埋設部材3を撤去するものであり、埋設部材3に押し上げ力を付与する二つの押し上げ手段20,20と、各押し上げ手段20,20を支持するベース架台10と、を備えている。
【0014】
図2に示すように、本実施形態において、撤去対象の埋設部材3は、土留め部材の芯材として地盤2に埋設されたH形鋼であり、両フランジ部3a,3aが図2の左右に配置されており、複数の埋設部材3が一方向に所定間隔で並設されている。図1に示すように、撤去作業前に埋設部材3の上部の周囲が掘削されており、埋設部材3の上部が地盤2から突出した状態となっている。
なお、埋設部材3は、地盤2に埋設される前に、表面に摩擦低減材を貼り付けたり、表面に摩擦低減塗料を塗布したりすることで、埋設部材3と地盤2との間に生じる抵抗力を低減させることが望ましい。
【0015】
ベース架台10は、図2に示すように、周方向の一部に開放領域11eが形成された枠体11と、開放領域11eにおいて枠体11の両端部を連結する連結部材12と、を備えている。このベース架台10は、地盤2上に敷設された二つのガイド部材4,4の上面に、埋設部材3を囲むように載置される。
【0016】
二つのガイド部材4,4は、並設された各埋設部材3の左右両側で、各埋設部材3の配列方向に沿って、地盤2上に水平に載置されたH形鋼であり、両フランジ部が上下に配置されている(図1参照)。
【0017】
枠体11は、埋設部材3を囲むように配置される枠組みであり、平面視で矩形に形成されている。この枠体11は、左右の二辺を構成する左右枠部材11a,11aと、前後(図2の上下)の二辺を構成する前後枠部材11b,11cと、から構成されている。各枠部材11a,11b,11cは、H形鋼によって構成されており、両フランジ部が上下に配置されている。
前側の枠部材11bは、左右二つの枠部材11d,11dからなり、左右の枠部材11d,11dの間には、埋設部材3が通過可能な開放領域11eが形成されている。
【0018】
図1に示すように、枠体11の下面には、各ガイド部材4,4の間に配置される左右の位置決め部13,13が突設されており、各位置決め部13,13が各ガイド部材4,4の内側部にそれぞれ当接することで、各ガイド部材4,4に対してベース架台10が左右方向に位置決めされている。
【0019】
連結部材12は、図2に示すように、開放領域11eにおいて左右の枠部材11d,11dの端部を連結する棒状の部材である。連結部材12の両端部は、ピンジョイントなどの固定方法により、各枠部材11d,11dの端部に着脱自在となっている。この連結部材12によって各枠部材11d,11dの端部を連結することで、環状(本実施形態では矩形状)のベース架台10が形成される。
【0020】
二つの押し上げ手段20,20は、図1に示すように、埋設部材3に付与する押し上げ力を発生させるジャッキ21と、埋設部材3を把持するクランプ22と、を備え、埋設部材3の左右両側に配置されている。
なお、左右の押し上げ手段20,20は同じ構成であるため、本実施形態では、図1において埋設部材3の右側に配置された押し上げ手段20について詳細に説明し、図1の左側に配置された押し上げ手段20については説明を省略する。
【0021】
ジャッキ21は、筒状のシリンダ21aの上端部から突出させたロッド21bを、シリンダ21a内の油圧機構によって上下方向に伸縮させる公知の油圧式ジャッキである。
図2に示すように、シリンダ21aの下端部は、右側の枠部材11aの上面において前後方向(図2の上下方向)の中間部に連結されている。また、シリンダ21aの下端部は、枠部材11aに対して、前後方向の軸回りに回動自在に連結されている。これにより、ジャッキ21は、図1および図4に示すように、下端部を回動中心として、ベース架台10に対して左右方向に傾動可能となっている。
【0022】
クランプ22は、図3(a)に示すように、埋設部材3のフランジ部3aの両縁部を挟んで把持する本体部22aと、本体部22aをロッド21bの上端部に取り付けるための取付部22bと、を備えている。
【0023】
本体部22aは、図3(b)に示すように、フランジ部3aの横幅よりも幅広に形成されており、本体部22aの左側部には、フランジ部3aの両縁部が上下方向に挿通されるクランプ溝22c,22cが前後に形成されている。
本体部22aには、各クランプ溝22c,22c内にピストン(図示せず)を出入させる油圧機構(図示せず)が設けられている。
なお、本体部22aの上部および下部には、フランジ部3aをクランプ溝22c内に案内する複数のガイドローラ22dが設けられている。
【0024】
クランプ22では、各クランプ溝22c,22c内に埋設部材3のフランジ部3aの両縁部を挿通させた状態で、各クランプ溝22c,22c内にピストンを突出させ、クランプ溝22cの壁面とピストンとの間にフランジ部3aの縁部を挟み込むことで、クランプ22によって埋設部材3のフランジ部3aを把持することができる。
【0025】
図3(a)に示すように、本体部22aの右側の側面には、本体部22aよりも下方に突出した取付部22bが設けられている。取付部22bは、前後方向に平行させた二枚の板状部材からなり(図3(b)参照)、その下端部には、ロッド21bの上端部が前後方向(図3(a)の紙面垂直方向)の軸回りに回動自在に連結されている。
したがって、クランプ22は、ロッド21bの上端部を回動中心として、左右方向に傾動自在となっている。
【0026】
このような押し上げ手段20では、図1に示すように、ジャッキ21のロッド21bを縮退させ、クランプ22によって埋設部材3のフランジ部3aを把持した状態で、図4に示すように、ロッド21bをシリンダ21aの油圧機構によって伸長させると、クランプ22に対して上向きの押し上げ力が作用する。この押し上げ力が埋設部材3に伝達され、クランプ22と共に埋設部材3が上方に押し上げられる。
【0027】
次に、前記した埋設部材撤去装置1を用いた埋設部材の撤去方法について説明する。
まず、図2に示されたベース架台10を、埋設部材3の後側(図2の下側)で各ガイド部材4,4の上面に載置する。このとき、図1に示すように、左右の位置決め部13,13を各ガイド部材4,4の内側部に当接させることで、各ガイド部材4,4に対してベース架台10を左右方向に位置決めする。また、図2に示された連結部材12は、枠体11の両端部11d,11dから取り外しておく。
【0028】
図2に示すように、ベース架台10を各ガイド部材4,4に沿って前方(図2の上方)に移動させ、開放領域11eに埋設部材3を通過させることで、枠体11に囲まれた領域に埋設部材3を配置する。さらに、開放領域11eにおいて枠体11の両端部に連結部材12の両端部を取り付けることで、埋設部材3を囲んでベース架台10が設置され、このベース架台10に支持された各押し上げ手段20,20が、埋設部材3の左右両側に配置される。
【0029】
図1に示された押し上げ手段20のロッド21bを伸長させ、クランプ22を埋設部材3の上端部よりも上方に配置する。この状態からロッド21bを縮退させてクランプ22を下降させ、各クランプ溝22c,22cに下側からフランジ部3aの両縁部を挿入する。
【0030】
さらに、ロッド21bを縮退させることで、クランプ22をフランジ部3aの両縁部に沿って下方にスライドさせ、クランプ22を最も下方に位置させる。この状態で、各クランプ溝22c,22c内にピストン(図示せず)を突出させ、クランプ22によってフランジ部3aを把持する。
【0031】
このようにして、二つのクランプ22,22によって埋設部材3の各フランジ部3a,3aを把持した後に、図4に示すように、各ロッド21b,21bを伸長させると、各ジャッキ21,21の押し上げ力が埋設部材3に付与され、埋設部材3が上方に押し上げられる。
【0032】
ロッド21bを最も伸長させ、ワイヤなどにより埋設部材3を地盤2に固定して、埋設部材3の落下を防止する。その後、各クランプ溝22c,22c内からピストン(図示せず)を退避させ、クランプ22による埋設部材3の把持を解除する。そして、ロッド21bを縮退させ、クランプ22をフランジ部3aに沿って下方にスライドさせ、図1に示すように、各クランプ22,22を最も下方に位置させる。
【0033】
なお、本実施形態では、ワイヤなどにより埋設部材3の落下を防止しているが、押し上げた埋設部材3を一方の押し上げ手段20のみによって支持することができるのであれば、一方のクランプ22が埋設部材3の把持している状態で、他方のクランプ22を下方に位置させ、他方のクランプ22によって埋設部材3を把持した後に、一方のクランプ22を下方に移動させてもよい。
【0034】
最も下方に位置させたクランプ22によってフランジ部3aを再度把持し、埋設部材3の固定を解除した後に、図4に示すように、ロッド21bを伸長させて、埋設部材3に押し上げ力を付与し、埋設部材3を上方に押し上げる。そして、前記したように、クランプ22の上昇下降を繰り返し、各押し上げ手段20,20から埋設部材3に対して連続して押し上げ力を付与することで、地盤2から埋設部材3を撤去する。
【0035】
埋設部材3を撤去した後に、図2に示された連結部材12を枠体11から取り外し、撤去した埋設部材3の隣に配置された他の埋設部材3に向けて、ベース架台10を各ガイド部材4,4の長手方向に沿って前方(図2の上側)に移動させる。
このとき、ベース架台10の左右方向の位置は、各ガイド部材4,4に当接した左右の位置決め部13,13(図1参照)によって位置決めされるため、ベース架台10をスムーズに移動させることができる。
【0036】
そして、他の埋設部材3を開放領域11eに通過させ、他の埋設部材3を囲んでベース架台10を配置し、前記したように、各押し上げ手段20,20から他の埋設部材3に押し上げ力を付与することで、他の埋設部材3を撤去する。このようにして、並設された埋設部材3を埋設部材撤去装置1によって順次に撤去する。
【0037】
ここで、前記した構成では、図1に示すように、二つの押し上げ手段20,20から埋設部材3に押し上げ力を付与しているが、埋設部材3を押し上げるために必要な押し上げ力が、二つの押し上げ手段20,20による押し上げ力よりも大きい場合には、図5に示すように、他の押し上げ手段20A,20Aを増設することができる。
【0038】
図5に示された埋設部材撤去装置1では、ベース架台10の上面に増設架台10Aが取り付けられており、増設架台10Aに設けられた他の押し上げ手段20A,20Aからも埋設部材3に押し上げ力を付与するように構成されている。
【0039】
このように、ベース架台10に増設架台10Aを取り付けた構成では、図6に示すように、上下の架台10,10Aの四隅の間に受け部材14をそれぞれ介設し、上下の架台10,10Aを上下方向に間隔を空けて配置することで、下側のベース架台10に設けられたジャッキ21と、上側の増設架台10Aとが干渉しないように構成されている。
【0040】
さらに、増設架台10Aの上面に他の増設架台を取り付けて、押し上げ手段を増設することもできる。このように、ベース架台10上に複数の増設架台を積層させることで、必要な押し上げ力に応じて、押し上げ手段を増設することができる。
【0041】
以上のような埋設部材撤去装置1では、図1および図4に示すように、埋設部材3を押し上げた後に、クランプ22による埋設部材3の把持を解除し、クランプ22を埋設部材3のフランジ部3aに沿って下方にスライドさせることで、クランプ22を次の把持位置まで簡単に移動させることができる。
また、二つの押し上げ手段20,20は埋設部材3の側部(フランジ部3a,3a)を把持しており、埋設部材3の直上が空いているため、地盤2から押し上げられた埋設部材3の上部を切除する必要がない。
したがって、本実施形態の埋設部材撤去装置1では、埋設部材3の撤去作業を効率よく行うことができるとともに、地盤2から撤去した埋設部材3を有効に再利用することができる。
また、ベース架台10の高さを極めて低くすることができ、埋設部材撤去装置1を小型化することができるため、製造および運搬作業のコストを低廉化することができる。
【0042】
また、図2に示すように、連結部材12を枠体11から取り外した状態で、開放領域11eに埋設部材3を通過させて、枠体11に囲まれた領域に埋設部材3を配置した後に、枠体11の両端部を連結部材12によって連結することで、環状のベース架台10を埋設部材3の周囲に簡単に配置することができる。このように、埋設部材3を囲んで環状のベース架台10を配置することで、埋設部材撤去装置1の安定性を高めることができる。
【0043】
また、図5に示すように、ベース架台10上に増設架台10Aを取り付けることで、他の押し上げ手段20Aを増設することができ、埋設部材3に付与する押し上げ力を増加させることができる。したがって、埋設部材3を押し上げるために必要な押し上げ力が小さい場合には、押し上げ手段20を少なくすることで、必要以上に大型の装置を用いなくてもよいため、作業効率を高めることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態では、図1に示すように、二つの押し上げ手段20,20から埋設部材3に押し上げ力を付与しているが、ベース架台10に設けられる押し上げ手段20の個数は限定されるものではなく、必要な押し上げ力に応じて、一つまたは三つ以上の押し上げ手段20をベース架台10に設けることもできる。
【0045】
例えば、図7に示すように、地盤2に埋設された埋設部材3を壁面2aに露出させ、この埋設部材3を撤去する場合には、壁面2aの側方にベース架台10Bが設置され、ベース架台10Bの上面に設けられた一つの押し上げ手段20Bから埋設部材3に押し上げ力を付与するように構成された埋設部材撤去装置1Aを用いることができる。
【0046】
この構成では、ベース架台10Bの枠体11を壁面2aに当接させることで、ベース架台10Bが支持されている。したがって、枠体11に横方向に伸縮自在なアウトリガ(図示せず)を設け、アウトリガを伸長させて先端部を壁面2aに当接させることで、枠体11を壁面2aに対して確実に支持させることが望ましい。
また、図7に示された埋設部材撤去装置1Aでは、本実施形態と同様に、ベース架台10B上に増設架台を取り付けて押し上げ手段を増設することができる。
【0047】
また、本実施形態では、図2に示すように、H形鋼である埋設部材3を撤去対象としているが、埋設部材の構成は限定されるものではなく、平板状の矢板や棒状の杭などの埋設部材を撤去することができる。また、埋設部材の形状に応じてクランプ溝の形状や大きさが定められる。
【0048】
また、本実施形態では、埋設部材3を囲んで環状のベース架台10が配置されているが、ベース架台10の安定性を確保することができるのであれば、ベース架台10が環状である必要はない。
【符号の説明】
【0049】
1 埋設部材撤去装置
2 地盤
3 埋設部材
3a フランジ部
4 ガイド部材
10 ベース架台
11 枠体
11e 開放領域
12 連結部材
13 位置決め部
20 押し上げ手段
21 ジャッキ
21a シリンダ
21b ロッド
22 クランプ
22a 本体部
22b 取付部
22c クランプ溝
22d ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に埋設された埋設部材を撤去するための埋設部材撤去装置であって、
前記埋設部材に押し上げ力を付与する押し上げ手段と、
前記押し上げ手段を支持するベース架台と、を備え、
前記押し上げ手段は、
下端部が前記ベース架台に取り付けられ、上下方向に伸縮自在なジャッキと、
前記ジャッキの上端部に取り付けられ、前記埋設部材の側部を把持するクランプと、を有していることを特徴とする埋設部材撤去装置。
【請求項2】
前記ベース架台には、複数の前記押し上げ手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の埋設部材撤去装置。
【請求項3】
前記ベース架台は、
前記埋設部材を囲んで配置され、周方向の一部に開放領域が形成された枠体と、
前記開放領域において前記枠体の両端部を連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材が前記枠体に着脱自在であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の埋設部材撤去装置。
【請求項4】
前記ベース架台上には、少なくとも一つの増設架台が取り付けられており、
前記増設架台には、他の前記押し上げ手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の埋設部材撤去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−82576(P2012−82576A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227108(P2010−227108)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(592182573)オックスジャッキ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】