説明

埋込型照明器具

【課題】LEDで発生した熱を効率良く放熱する構造により、厚みを薄くし、また、出射する光の全てを反射光とすることにより眩しさを感じることの少ない埋込型照明器具を提供する。
【解決手段】取付穴に埋め込まれて設置される埋込型照明器具11であって、光を出射させる開口部25と、放熱部24とを前面側に設けた器具本体21と、放熱部24の後面側に設置されるLED光源部と、LED光源部から照射された光を反射させ、開口部25から出射させる第2反射部28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋込型照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井や壁面等の取付面に形成された取付穴に埋め込まれて設置される埋込型照明器具が知られている。埋込型照明器具は、ダウンライトやウォールウォッシャー、フットライト等の種々の機種がある。取付面である天井や壁面の内部には、構造材や断熱材が設置されているため、これらに干渉しにくいように埋込型照明器具の厚みはできるだけ薄いことが好ましい。
【0003】
ところで近年、埋込型照明器具の光源部として、LED(発光ダイオード)を用いたものが開発されている。LEDの寿命は温度によって大きく左右される。このため、LEDで発生した熱を効率良く放熱するための放熱構造の技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の埋込型照明器具のように、器具本体の内部に放熱部を設けた場合、放熱部の周囲に所定の空間(クリアランス)を設ける必要がある。このため、器具本体の内部に放熱部を設けた場合は放熱部の高さに加えてクリアランスの高さ分だけ埋込型照明器の厚みが厚くなるという問題がある。
【0005】
また、LEDの光は直進性が高いため、LEDから直接照射された光が目に入ると眩しさを感じるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−186105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決すべくなされたものである。本発明の第1の目的は、LEDで発生した熱を効率良く放熱する構造により、厚みを薄くした埋込型照明器具を提供することである。本発明の第2の目的は、出射する光の全てを反射光とすることにより眩しさを感じることの少ない埋込型照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、第1の発明は、取付穴に埋め込まれて設置される埋込型照明器具であって、器具本体と、LED光源部と、反射部とを備える。
器具本体は、光を出射させる開口部と、放熱部とを前面側に設ける。LED光源部は、前記放熱部の後面側に設置される。反射部は、前記LED光源部から照射された光を反射させ、前記開口部から出射させる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明であって、前記反射部は、前記LED光源部から照射された光を反射させる第1反射部と、前記第1反射部からの反射光を反射させて前記開口部から出射させる第2反射部と、を備える。
【0011】
第3の発明は、第2の発明であって、前記LED光源部と前記第1反射部とが設けられる保持体を更に備える。前記保持体は、前記LED光源部が前記放熱部の後面側に接触するように、前記器具本体の後面側から前記器具本体に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
第1の発明によれば、器具本体の前面側に放熱部を設けており、放熱部の前面は空間であるため、放熱部の周囲に別途のクリアランスを設ける必要がない。このため、埋込型照明器具の厚みを薄くすることができる。また、LED光源部からの光を反射部で反射させた反射光を開口部から出射するため、眩しさを感じさせにくくすることができる。
【0014】
第2の発明によれば、LED光源部からの光を第1反射部と第2反射部で反射させた反射光を開口部から出射するため、更に眩しさを感じさせにくくすることができる。
【0015】
第3の発明によれば、LED光源部は放熱部の後面側に接触させて設置されるため、本来組み立てにくい位置に設置されているが、LED光源部は保持体に設けられ、保持体ごと器具本体の後面側から器具本体に取り付けられるため、組立性がよく、組立コストを低減させることができる。また、LED光源部を交換する場合は、保持体ごと器具本体から取り外すことができるため、交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る埋込型照明器具11の斜視図。
【図2】図1のA−A線の位置において埋込型照明器具11を切断した断面図。
【図3】埋込型照明器具11の前面側を示す図。
【図4】(A)保持体31の前面側を示す図(B)保持体31を保持体開口部33側から見た状態を示す図。
【図5】(A)保持体31の前面側にLED光源部50を取り付けた状態を示す図(B)保持体31の前面側にLED光源部50を取り付け、保持体開口部33側から見た状態を示す図。
【図6】器具主体22の保持体設置部29に保持体31を取り付ける状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態に係る埋込型照明器具11について、図1から図6を用いて説明する。本実施形態に係る埋込型照明器具11は、例えば天井に形成された取付穴に埋め込んで設置されて壁面を照らすウォールウォッシャーとして使用されたり、壁面に設置されて床面を照らすフットライトとして使用される兼用型である。以下の説明では、埋込型照明器具11の前面側は光を照射する側とし、後面側は前面側の反対側として説明する。埋込型照明器具11は、図1、2に示すように、主に器具本体21、保持体31、LED光源部50、取付バネ61を有している。
【0018】
図2に示すように、器具本体21は、埋込型照明器具11の本体を形成するものであり、器具主体22と蓋部23とを有している。器具主体22は、熱伝導性を有するアルミニウム等の金属素材を用いて形成されている。器具主体22の前面側には、放熱部24と、開口部25と、フランジ26とが形成されている。後面側には、略角筒状の側壁部27を備えている。
【0019】
放熱部24は、LED光源部50で発生した熱を伝えて外部に放出する放熱構造を構成する。詳細は後述するが、放熱部24の後面側にはLED光源部50が配置される構成となっており、LED光源部50で発生した熱を外部に伝えて放熱する。放熱部24の後面側は、LED光源部50との接触面積が広くなる形状に形成される。本実施形態では、放熱部24の後面側は平坦に形成されており、放熱部24が板状に形成されている。また、放熱部24は器具主体22の前面側に形成されることから、埋込型照明器具11を取付穴に設置した状態において外部(例えば室内空間など光を照射する空間)に露出する。つまり、設置された状態で視認される部分である埋込型照明器具11の意匠面の一部を構成する。
【0020】
開口部25は、LED光源部50で発生した光を器具本体21の内側で反射させた後、反射光として出射する部分である。フランジ26は、埋込型照明器具11を取付穴に設置した状態で取付穴の周囲に接触する部分であり、放熱部24及び開口部25の外周縁部に形成されている。埋込型照明器具11が取付穴に設置される際には、フランジ26と取付穴の周囲との間にパッキン30が介設され、埋込型照明器具11と取付穴の周囲との間の気密性を保っている。
【0021】
側壁部27は、内側に後記説明する保持体31とパネル41が設置されるとともに、第2反射部28が形成されている部分である。保持体31を設置する部分は、側壁部27の内側であって、放熱部24の後面側である。保持体31が設置される位置には保持体設置部29が形成される。
【0022】
パネル41は、透光性を有する樹脂素材等で形成されており、保持体設置部29と第2反射部28との間に設置される。パネル41は、LED光源部50から照射された光の反射光を第2反射部28に向けて透過させる部材である。また、パネル41の周囲にはパッキン(図示省略)が装着されており、器具主体22の開口部25側と器具主体22の内側とを仕切ることで埋込型照明器具11を設置した状態における防塵性と気密性とを向上させている。
【0023】
第2反射部28は、LED光源部50から照射された光を反射させる反射部を構成するものである。第2反射部28は、パネル41を透過したLED光源部50からの光を開口部25に向けて反射させ、開口部25から出射させる。第2反射部28の断面形状は、開口部25から出射させる光の配光方向が器具本体21に対して斜め方向となり、かつ略均一に拡散するように形成されている。
【0024】
保持体31は、LED光源部50と、第1反射部32を器具主体22に取り付けるための部材である。図2、図3、図4に示すように、保持体31の前面側には、LED光源部50を取り付けるための光源用孔部34と、基板収容部35が設けられている。保持体31の内側には、第1反射部32が設けられている。第1反射部32は、LED光源部50から照射された光を反射させる反射部を構成する。LED光源部50の光源であるLED素子52は点光源であるため、第1反射部32の形状は、光が広がりながら保持体開口部33に向けて照射されるよう、光源用孔部34から保持体開口部33に向けて漸次拡開した形状とされる。
【0025】
埋込型照明器具11を点灯させた状態では、LED光源部50からの照射される光は、反射部を構成する第1反射部32と第2反射部28に向けて照射される。第1反射部32からの反射光は、保持体開口部33を通して第2反射部28と開口部25に向けて照射され、第2反射部28からの反射光は開口部25から出射される。第1反射部32で反射した光の一部は、更に第2反射部28に反射してから開口部25より出射されるため、光が柔らかくなり、眩しさを感じさせにくくすることができる。
【0026】
図4Aに示すように、保持体31の前面側には、基板収容部35から両側に向けて電線用溝36が形成される。電線用溝36はLED光源部50の電線を収容する(図5参照。)。保持体31の両側には、電線用溝36に連続して電線用凹部37が形成されている。電線用凹部37は、電線用溝36に収容したLED光源部50の電線を保持体31の後面側に向けて配置するためのものである(図5参照。)。保持体31の両側の固定部38は、保持体31を器具主体22の保持体設置部29に固定するためのネジ穴である。
【0027】
LED光源部50は、基板51上に光源としてのLED素子52が実装されたものである。本実施形態のLED素子52は1個であるが、LED素子52の数を限定するものではない。LED光源部50を保持体31に取り付ける場合は、図5に示すように、LED素子52が光源用孔部34を通して保持体31の内側(後面側)に向けて取り付けられるようにする。このとき、基板51は保持体31の前面側の面と面一か、若干突出した状態で基板収容部35に収容されることが好ましい(図5B参照。)。このようにすることで、保持体31を器具主体22に取り付けた状態で、LED光源部50からの熱を放熱部24に効率よく伝え放熱することができる。LED光源部50の電線55は、電線用溝36と電線用凹部37に収容されて保持体31の後面側に向けて配置され、保持体31の前面側の面には突出しないものとする。
【0028】
器具主体22の後面側には、LED光源部50の光源であるLED素子52を点灯させる点灯装置53が設けられている。点灯装置53とLED光源部50は電線(図示せず)によって電気的に接続される。器具主体22の後面側は、金属板で形成された蓋部23が固定されて閉塞されている。蓋部23の外側には端子台54が設置されている。端子台54と点灯装置53は、蓋部23を貫通する電線(図示せず)によって電気的に接続されている。端子台54には、外部電源からの電線(図示せず)が電気的に接続される。
【0029】
取付バネ61は、天井等の取付穴に埋込型照明器具11を固定する固定手段である。器具主体22の対向する位置に一対配設され、フランジ26の上方から斜め上方に向けて形成される。取付バネ61は、ステンレス素材等で形成された金属板を屈曲させて形成されている。尚、取付バネ61の形状、取付位置、本数等については、本実施例のものに限定されない。
【0030】
次に、埋込型照明器具11を構成する各部材の組み付けのうち、保持体31を器具主体22に取り付ける場合について説明する。図6に示すように、保持体31には、前述のようにLED光源部50が取り付けられており、LED光源部50からの電線は、保持体31の後面側に向けて配置されているものとする。保持体31の前面側の面には、LED光源部50に接するように熱伝導シート39を貼着する。
【0031】
次に、保持体31を器具主体22の後面側から器具主体22の保持体設置部29に向けて取り付ける。このとき、LED光源部50が熱伝導シート39を介して放熱部24の後面側に接触するようにする。固定部38とネジを用いて、保持体31を器具主体22の保持体設置部29に固定する。LED光源部50の電線は、保持体31の後面側に向けて配置されているため、この電線を点灯装置53に接続すれば、保持体31を器具主体22に取り付ける作業が完了する。
【0032】
以上説明した本実施形態に係る埋込型照明器具11によれば、次のような効果を有する。
【0033】
第1の発明によれば、器具主体22の前面側に放熱部24を設けており、放熱部24の前面は空間であるため、放熱部24の周囲に別途のクリアランスを設ける必要がない。このため、埋込型照明器具11の厚みを薄くすることができる。また、LED光源部50からの光を第1反射部32と第2反射部28で反射させた反射光を開口部25から出射するため、眩しさを感じさせにくくすることができる。
【0034】
LED光源部50は放熱部24の後面側に接触させて設置されるため、本来組み立てにくい位置に設置されているが、LED光源部50は保持体31に設けられ、保持体31ごと器具主体22の後面側から器具主体22に取り付けられるため、組立性がよく、組立コストを低減させることができる。また、LED光源部50を交換する場合は、保持体31ごと器具主体22から取り外すことができるため、交換が容易である。
【0035】
放熱部24は板状であるため、放熱部24自体の厚みを薄くすることができる。また、LED光源部50を器具主体22の後面側に向けて設けるため、器具主体22を薄くしても配置することができる。このため、埋込型照明器具11の厚みを薄くすることができる。
【0036】
開口部25から出射させる光の配光方向を器具主体22に対して斜め方向としたため、ウォールウォッシャーとフットライトのいずれにも使用できる埋込型照明器具11とすることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、埋込型照明器具11は角型としたが、丸型やその他の形状としてもよい。
【0038】
LED光源部50は、器具主体22の後面側に向けて設けたが、これに限定されず異なる方向に向けて設けてもよい。
【0039】
放熱部24は板状に形成したが、これに限定されず、LED光源部50の熱を効率よく放熱できる形状であればよい。また、放熱部24は埋込型照明器具11の意匠面の一部を構成するため、放熱部24の形状は埋込型照明器具11のデザインに応じて変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
11 埋込型照明器具
21 器具本体
22 器具主体
23 蓋部
24 放熱部
25 開口部
26 フランジ
27 側壁部
28 第2反射部
29 保持体設置部
30 パッキン
31 保持体
32 第1反射部
33 保持体開口部
34 光源用孔部
35 基板収容部
36 電線用溝
37 電線用凹部
38 固定部
39 熱伝導シート
41 パネル
50 LED光源部
51 基板
52 LED素子
53 点灯装置
54 端子台
55 電線
61 取付バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付穴に埋め込まれて設置される埋込型照明器具であって、
光を出射させる開口部と、放熱部とを前面側に設けた器具本体と、
前記放熱部の後面側に設置されるLED光源部と、
前記LED光源部から照射された光を反射させ、前記開口部から出射させる反射部と、
を備えたことを特徴とする埋込型照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の埋込型照明器具であって、
前記反射部は、
前記LED光源部から照射された光を反射させる第1反射部と、
前記第1反射部からの反射光を反射させて前記開口部から出射させる第2反射部と、
を備えたことを特徴とする埋込型照明器具。
【請求項3】
請求項2に記載の埋込型照明器具であって、
前記LED光源部と前記第1反射部とが設けられる保持体を更に備え、
前記保持体は、前記LED光源部が前記放熱部の後面側に接触するように、前記器具本体の後面側から前記器具本体に取り付けられる、ことを特徴とする埋込型照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−234686(P2012−234686A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102026(P2011−102026)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(505455945)コイズミ照明株式会社 (65)
【出願人】(592126016)株式会社光電器製作所 (8)
【Fターム(参考)】